説明

ヘッドマウントディスプレイ及び虚像提示方法

【課題】ユーザが歩行中に使用しても、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとならないヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】ユーザの頭部に装着され、ユーザが所定の虚像提示距離に提示された虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイであって、画像光を生成する空間光変調素子33と、前記画像光を集光するレンズ34と、前記集光された画像光をユーザの眼球に反射させるハーフミラー35を有し、レンズ34と空間光変調素子33との離間距離を変更させる移動手段と、ユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知手段と、前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記移動手段を作動させることにより、虚像提示距離をより遠距離に変更させる虚像変更手段を更に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所定の虚像提示距離に提示された虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像光をユーザの眼球に照射するシースルー型のヘッドマウントディスプレイが提案されている。このようなヘッドマウントディスプレイでは、ユーザには、数m(例えば1m)先に所定サイズ(例えば16インチ)の虚像が空中に提示されているように見え、更に、ユーザは外界も視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−67083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが前記したようなヘッドマウントディスプレイを歩行中に使用した場合には、ユーザは数m(例えば1m)先に提示された虚像を注視してしまうことから、提示された虚像が外界へ意識を集中することを妨げ、結果としてユーザの歩行の妨げとなる可能性があった。一方で、ユーザが虚像を非表示にすると、歩行中のユーザはヘッドマウントディスプレイに電源が投入されているのか否かが分からなくなってしまい、ユーザが虚像を再び見る場合に、ヘッドマウントディスプレイの電源を消してしまう等の誤操作をしてしまい、速やかに虚像を見ることができないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決し、ユーザが歩行中に使用しても、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとならないヘッドマウントディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、
ユーザの頭部に装着され、ユーザが所定の虚像提示距離に提示された虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイであって、
画像光を生成する空間光変調素子と、
前記画像光を集光しつつユーザの眼球に導き、ユーザに虚像を視認させる接眼光学系と、
前記空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離又は、前記接眼光学系構成要素の離間距離を変更する移動手段と
ユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知手段と、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記移動手段を作動させることにより、虚像提示距離をより遠距離に変更させる虚像変更手段を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
虚像提示距離記憶手段を更に有し、
前記虚像提示距離記憶手段には、非歩行時の虚像提示距離が記憶され、
前記歩行状態検知手段が、ユーザの歩行状態を検知しなくなった場合には、前記虚像変更手段は、虚像提示距離を、前記虚像提示距離記憶手段に記憶されている非歩行時の虚像提示距離にすることを特徴とする。
これにより、ユーザが歩行を止めた場合に、ユーザが特別な操作をすること無く、再び虚像を明確に視認することができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記歩行状態検知手段が、ユーザの歩行状態を検知した場合には、前記虚像変更手段は、前記虚像提示距離を無限遠よりも近い距離とすることを特徴とする。
これにより、虚像が無限遠に提示されることが防止され、提示された虚像が視認し難くなってしまうことが防止される。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
虚像提示距離記憶手段を更に有し、
前記虚像提示距離記憶手段には、ユーザにより設定される歩行時の虚像提示距離が記憶され、
前記虚像変更手段は、虚像提示距離を、前記虚像提示距離記憶手段に記憶されている前記歩行時の虚像提示距離にすることを特徴とする。
これにより、ユーザは、歩行の妨げとならない虚像提示距離を任意に設定することが可能となる。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、
前記歩行状態検知手段は、ユーザの歩行速度を算出し、
前記虚像変更手段は、前記算出された歩行速度に応じた虚像提示距離に変更することを特徴とする。
移動速度が速いほど、より遠くに注意を払う必要があるため、ユーザの注視する(眼のピントが合う)距離は、遠くなると考えられる。そこで、ユーザの歩行速度に応じた虚像提示距離に変更することで、ユーザの注視する距離が変化しても、適切に歩行の妨げとならない虚像提示距離に虚像を提示することが出来る。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
非歩行時の虚像提示距離が無限遠にある場合において、前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記虚像変更手段は、虚像提示距離を有限距離に変更することを特徴とする。
非歩行時に虚像が無限遠に提示されている場合、ユーザの眼のピントも、無限遠に合っていると考えられる。そのため、歩行状態が検知された場合に、虚像提示距離を有限距離に変更することで、無限遠に眼のピントの合ったユーザに対して、歩行の妨げとならない虚像を提示することができる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6に記載の発明において、
前記接眼光学系は、
前記空間変調素子が生成した画像光を集光する単数又は複数のレンズと、
前記レンズの光軸と傾斜して配設され、前記レンズが集光した画像光を反射させてユーザの眼球に導かせるハーフミラーとから構成され、
前記移動手段は、前記空間変調素子と前記レンズとの離間距離を変更することを特徴とする。
これにより、空間変調素子側が略テレセントリック系となるので、虚像提示距離を変更させても、ユーザに提示される虚像の大きさが変わりにくい。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、
前記移動手段は、前記空間変調素子を移動させることを特徴とする。
これにより、虚像提示距離を変更させた場合における、ハーフミラー反射後の画像光の光軸が変動しない。また、虚像提示距離が変更されても、虚像のピントがずれない。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の発明において、
前記画像光がハーフミラーで反射後にユーザの眼球に導かれる画像光光軸を移動させる画像光光軸移動手段を有し、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記虚像変更手段は、前記画像光光軸移動手段を作動させて、ハーフミラーで反射される画像光をユーザの眼球からずらすことを特徴とする。
これにより、ユーザには、虚像が直前位置から側方位置にずれて見えるので、虚像の提示によるユーザの歩行の妨げとなることがより防止される。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9に記載の発明において、
前記空間光変調素子が生成する画像光の輝度を変更させ、又は、前記ハーフミラーの反射率を変更させることにより、ユーザの眼球に導かれる画像光の輝度を変更させる画像光輝度変更手段を有し、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記画像光輝度変更手段は、ユーザの眼球に導かれる画像光の輝度を低下させることを特徴とする。
これにより、ユーザが歩行中に提示された虚像を煩わしく感じることが抑制され、ユーザの歩行の妨げとなることがより防止される。
【0015】
請求項11に記載の発明は、
ユーザの頭部に装着され、ユーザが虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイの虚像提示方法であって、
前記ヘッドマウントディスプレイは、
画像光を生成する空間光変調素子と、
前記空間変調素子が生成した画像光を集光しつつユーザの眼球に導き、ユーザに虚像を視認させる接眼光学系と、
前記空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離又は、前記接眼光学系構成要素の離間距離を変更する移動手段と、
ユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知手段を有し、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知工程を有し、
前記歩行状態検知工程において、ユーザの歩行状態が検知された場合には、
前記移動手段が前記空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離を変更させて、虚像提示距離をより遠距離に変更させる虚像提示距離変更工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、移動手段が、空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離又は、前記接眼光学系構成要素の離間距離を変更し、虚像提示距離をより遠距離に変更させる。
これにより、ユーザの歩行中には、虚像がより遠い距離に提示される。このため、ユーザは、近距離に提示された虚像を注視してしまうことが無く、ユーザが歩行中に使用しても、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとならないヘッドマウントディスプレイを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態を示すヘッドマウントディスプレイの斜視図である。
【図2】画像表示部の断面図である。
【図3】ヘッドマウントディスプレイのブロック図である。
【図4】ヘッドマウントディスプレイのメイン処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明のヘッドマウントディスプレイの概要)
本発明のヘッドマウントディスプレイは、ユーザが所定の虚像提示距離に提示された虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイである。本発明のヘッドマウントディスプレイは、図2に示されるように、空間光変調素子33と、レンズ34及びハーフミラー35により構成される接眼光学系を有している。空間光変調素子33から照射された画像光は、接眼光学系によって、ユーザの眼球999に導かれるようになっている。このような構成により、ユーザには、所定の虚像提示距離(例えば30cm〜1m)先に、所定サイズ(例えば16インチ)の虚像が空中に拡大投影されているかのように見える。また、ユーザは、ハーフミラー35を通して、外界を視認することができる。本発明のヘッドマウントディスプレイでは、ユーザの歩行状態が検知された場合には、より遠い距離に虚像が提示され、歩行中のユーザが近距離に提示された虚像を注視してしまうことが防止され、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとならないようになっている。以下に、このような機能を有するヘッドマウントディスプレイの具体的な構成について詳細に説明する。
【0019】
(ヘッドマウントディスプレイの構造)
本発明のヘッドマウントディスプレイは、図1に示されるように、ヘッドマウントディスプレイ本体100と駆動ユニット200から構成されている。ヘッドマウントディスプレイ本体100と駆動ユニット200は、ハーネス150で接続されている。駆動ユニット200は、ユーザの身体に装着される。駆動ユニット200は、ヘッドマウントディスプレイ本体100に電流を供給し、ユーザの操作による信号や入力された画像信号をヘッドマウントディスプレイ本体100に出力するものである。
【0020】
ヘッドマウントディスプレイ本体100は、頭部装着部10、取付部材20、画像表示部30とから構成されている。図1に示される実施形態では、頭部装着部10は、横長の前フレーム12と、前フレーム12の両端から後方に延出するテンプル13とから構成された眼鏡のフレーム形状であり、ユーザの頭部に装着される。前フレーム12の中央には、ノーズパッド11が設けられている。なお、頭部装着部10は、眼鏡のフレーム形状に限定されず、例えば、ヘルメット形状等であっても差し支え無い。なお、図1、図2において、999はユーザの眼球位置を仮想的に表したものである。
【0021】
画像表示部30は、頭部装着部10の側前部に、取付部材20を介して取り付けられている。画像表示部30は、虚像をユーザに視認させるものである。図1や図2に示されるように、画像表示部30は、筐体31、鏡筒32、空間光変調素子33、接眼光学系(レンズ34及びハーフミラー35から構成される)、ハーフミラー支持部材36、支持部材37、ヒンジ部材40、ネジ軸部材41、第1ギア42、第2ギア43、ピニオンギア44、第1モータ61、第2モータ62を有している。
【0022】
図1や図2に示されるように、筐体31は先端側が開放した有底円筒形状である。筐体31は、取付部材20によって、前フレーム12の前方位置に、横向きに取り付けられている。本実施形態では、取付部材20の先端には取付部20aが形成され、筐体31は取付部20aに、頭部装着部10の幅方向に移動可能に取り付けられている。図1や図2に示されるように、筐体31の外周面には、筐体31の軸線方向に向かって、ラック31aが形成されている。図2に示されるように、筐体31の内部の先端側には、鏡筒32が取り付けられている。鏡筒32内には、単数又は複数のレンズ34が取り付けられている。図2に示されるように、レンズ34の光軸は、ユーザの視線方向と直交している。つまり、レンズ34の光軸は、頭部装着部10の幅方向を向いている。なお、レンズ34は、図2においては複数(3枚)の凸レンズから構成される。しかし、レンズ34はこれに限定されず、凹レンズを含んだり、単一レンズによって構成されても差し支えない。
【0023】
筐体31内部の中間部分には、支持部材37が、鏡筒32の基端部と対向するように、筐体31の軸線方向に移動可能に取り付けられている。支持部材37は、円盤状の基部37aと、基部37aの外縁から直交する方向に延出する円筒形状の接触部37bとから構成されている。接触部37bの外周面は、筐体31の内周面と接触している。このため、支持部材37の筐体31内の移動時における、支持部材37の筐体31に対する傾きが防止される。レンズ34と対向する側の基部37aには、空間光変調素子33が貼設されている。本実施形態では、空間光変調素子33は、LCD(Liquid Crystal Display)33aと、この後部に配設されたバックライト33bとから構成された液晶ディスプレイである。
【0024】
図1や図2に示されるように、筐体31の先端には、ヒンジ部材40が取り付けられている。ヒンジ部材40には、ヒンジ部40aが形成されている。
図1や図2に示されるように、ハーフミラー支持部材36は、長方形状の窓穴36aが形成された枠部36bと、この枠部36bの一側端に形成された取付部36cとから構成されている。取付部36cがヒンジ部40aに軸着されて、ハーフミラー支持部材36がヒンジ部材40に取り付けられている。窓穴36aには、ハーフミラー35が取り付けられている。このような構造により、ハーフミラー35が、筐体31の先端側開口部に、レンズ34の光軸と傾斜して配設されている。後述するように、本実施形態では、ハーフミラー35の反射率は印加電圧により変更可能となっている。
【0025】
空間光変調素子33が画像光を照射すると、この画像光は、レンズ34で集光又は平行化され、ハーフミラー35で反射されて、ユーザの眼球99に到達する。
【0026】
図2に示されるように、空間光変調素子33の貼設面と反対側の基部37aには、ネジ軸部材41が取り付けられている。ネジ軸部材41の外周面には、ネジ溝41aが螺刻されている。第1ギア42は略円板形状であり、その外縁にギア溝42aが形成され、その中心にネジ溝41aと螺合するネジ溝42bが形成されている。第1ギア42は、そのネジ溝42aがネジ溝41aに螺合して、ネジ軸部材41に取り付けられている。第2ギア43は、第1モータ61の回転軸61aに取り付けられている。第2ギア43は、第1ギア42のギア溝42aと係合している。第1モータ61が駆動すると、支持部材37が筐体31内を移動し、レンズ34と空間変調素子33の離間距離が変更される。つまり、第1モータ61が駆動すると、虚像提示距離が変更される。なお、空間変調素子33が、レンズ34に近づくと、虚像提示距離が短くなる。一方で、空間変調素子33が、レンズ34から遠ざかると、虚像提示距離が長くなる。
【0027】
本実施形態では、空間変調素子33とレンズ34との離間距離を変更させることにより、虚像提示距離を変更させる構造となっている。このため、空間変調素子側33が略テレセントリック系となるので、虚像提示距離を変更させても、ユーザに提示される虚像の大きさが変わりにくくなっている。また、本実施形態では、空間変調素子33を移動させる構造としているので、虚像提示距離を変更させた場合における、ハーフミラー反射後の画像光の光軸が変動しない。また、虚像提示距離が変更されても、虚像のピントがずれ無い。
【0028】
図2に示されるように、ラック31aはピニオンギア44と係合している。ピニオンギア44は、第2モータ62により回転力が付与される。ピニオンギア44及び第2モータ62は、取付部材20の取付部20a内に配設されている。第2モータ62が駆動すると、筐体31が頭部装着部10の幅方向に移動する。
【0029】
(本体部のブロック図の説明)
以下、図3を用いて、駆動ユニット200及びヘッドマウントディスプレイ本体100のブロック図について説明する。
駆動ユニット200は、ワンチップマイコン111、トランスミッター112、操作部120、画像データ入力部130、電源回路140を有している。ワンチップマイコン111は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、インターフェースを有している。ワンチップマイコン111のインターフェースには、操作部120、画像データ入力部130、トランスミッター112が接続している。また、ワンチップマイコン111のインターフェースは、ハーネス150により、ヘッドマウントディスプレイ本体100のインターフェース54と接続している。
【0030】
操作部120は、ユーザがヘッドマウントディスプレイを操作するものであり、物理的なボタンやタッチパネル等で構成されている。ユーザが操作部120を操作すると、操作信号や設定信号がヘッドマウントディスプレイ本体100のインターフェース54に出力される。ユーザは操作部120を操作することにより、ヘッドマウントディスプレイへの電源の投入や遮断を行うことができる。また、ユーザは操作部120を操作することにより非歩行時の虚像提示距離(非歩行時虚像提示距離)と歩行時の虚像提示距離(歩行時虚像提示距離)を任意に設定することができる。なお、歩行時虚像提示距離は、後述の虚像提示距離記憶領域53dに記憶される。このように、ユーザは、非歩行時に虚像が見えやすい虚像提示距離を任意に設定することができ、また、歩行時に歩行の妨げとならない虚像提示距離を任意に設定することができる。なお、歩行時虚像提示距離は、無限遠を含めて任意に設定可能であるが、一般に、無限遠よりも有限距離の方が視認しやすいため、歩行時虚像提示距離は、ユーザが視認しやすいと感じる有限距離に適宜設定されることが望ましい。
【0031】
画像データ入力部130には、画像データが入力される。画像データ入力部130には、LAN、無線LAN等の通信インターフェースや、VGA端子やDVI端子、USB、メモリーカードリーダ等のインターフェースが含まれる。
【0032】
トランスミッター112は、ハーネス150によりレシーバー55に接続している。トランスミッター112は画像処理回路を有し、画像データ入力部130に入力された画像データのデータ形式を所定のデータ形式(例えば、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)に変換して、レシーバー55に出力するものである。
【0033】
電源回路140には、電源190が接続されている。電源190には、一時電池や二次電池等の電池や、或いは、ACアダプターから供給される電流が含まれる。電源回路140は、電源190から供給された電力を、安定化させるとともに、駆動ユニット200及びヘッドマウントディスプレイ本体100の各構成要素に合う電圧に変換して、前記構成要素に供給するものである。
【0034】
ヘッドマウントディスプレイ本体100は、CPU51、RAM52、記憶部53、インターフェース54、レシーバー55、加速度センサー56、バックライトドライバ57、LCDコントローラー58、第1モータドライバ59、第2モータドライバ60、ハーフミラードライバ63を有していて、これらの構成要素は相互にバス69で接続されている。
インターフェース54には加速度センサー56が接続されている。バックライトドライバ57には、LED等のバックライト33bが接続されている。LCDコントローラー58には、LCD33aが接続されている。第1モータドライバ59には、第1モータ61が接続されている。第2モータドライバ60には、第2モータ62が接続されている。ハーフミラードライバ63には、ハーフミラー35が接続されている。
【0035】
CPU51は、RAM52、記憶部53と協動して、各種演算、処理を行う。
RAM52は、CPU51で処理されるプログラムや、CPU51が処理するデータを、そのアドレス空間に一時的に記憶する。
記憶部53には、不揮発性メモリー、ハードディスク等の補助記憶装置が含まれる。記憶部53には、本体部50を制御する各種プログラムやパラメータが記憶されている。当該各種プログラムが、CPU51で処理されることにより、各種機能が実現される。
記憶部53には、歩行状態判断プログラム53a、虚像変更プログラム53b、画像光輝度変更プログラム53cが記憶されている。
歩行状態判断プログラム53aは、加速度センサー56が検出した加速度のパターンから、ユーザが歩行状態にあるか否かを判断するプログラムである。
虚像変更プログラム53bは、歩行状態判断プログラム53aがユーザの歩行状態を検知した場合に、第1モータドライバ59に制御信号を出力して、第1モータ61を駆動させて、空間光変調素子33とレンズ34の離間距離を変更させることにより、虚像提示距離をより遠距離(歩行時虚像提示距離)に変更させるプログラムである。
画像光輝度変更プログラム53cは、バックライトドライバ57に制御信号を出力することにより、バックライト33bの輝度を変更させるプログラムである。
画像光輝度変更プログラム53cは、また、ハーフミラードライバ63に制御信号を出力することにより、ハーフミラー35の反射率を変更させる。
記憶部53は、虚像提示距離記憶領域53dを有している。虚像提示距離記憶領域53dには、歩行時虚像提示距離が記憶される。
【0036】
インターフェース54は、加速度センサー56が検出した加速度信号の物理的・論理的な形式を変換し、加速度情報として、バス69に出力するものである。また、インターフェース54は、ユーザの操作部120の操作により入力された操作信号や設定信号の物理的・論理的な形式を変換し、操作信号や設定情報としてバス69に出力する。
レシーバー55は、画像処理回路を有し、トランスミッター112から出力された画像信号を、LCDコントローラー58の仕様に合った形式に変換してLCDコントローラー58に出力するものである。
LCDコントローラー58は、画像処理回路及びビデオメモリを有し、LCD33aに出力する画像信号を生成するものである。
【0037】
第1モータドライバ59や第2モータドライバ60は、それぞれ、第1モータ61や第2モータ62に駆動電流を供給するものであり、制御回路及び増幅回路を有している。
ハーフミラードライバ63は、ハーフミラー35に電圧を印加して駆動する回路である。ハーフミラー35は、印加される電圧によって反射率が変化する反射率変化型のハーフミラーである。反射率変化型のハーフミラーとしては、例えば、マグネシウム・ニッケル合金薄膜を表面に形成した調光ガラスが用いられる。なお、ユーザーに対向する側の面に半透明反射膜を設けた液晶シャッターが利用されてもよい。この場合、反射膜における反射率自体は変化しないが、外光の透過率が変化するため、画像光輝度に対する外光輝度の比という観点で見た実質的な反射率(外界光に対する画像の視認しやすさ)が変化する。
【0038】
(メイン処理の説明)
次に、図4を用いて、ヘッドマウントディスプレイのメイン処理の説明をする。ユーザが操作部120を操作することにより、ヘッドマウントディスプレイに電源が投入されると、メイン処理が開始し、S11の処理に進む。
【0039】
S11「起動」の処理において、ヘッドマウントディスプレイの各構成要素に、電源回路140から電流が供給される。バックライトドライバ57は、バックライト33bに駆動電流を供給して、バックライト33bを点灯させる。LCDコントローラー58は、画像信号をLCD33aに出力し、LCD33aで画像光を生成させる。すると、ユーザには、眼球999から所定の虚像提示距離(例えば30cm〜1m)に、虚像が提示されているように見える。なお、S11の処理後、ユーザは、操作部120を操作することにより、虚像提示距離を任意に変更させることができる。バス69に虚像提示距離を設定させる操作信号が入力された場合には、虚像変更プログラム53bは、前記操作信号に基づき、第1モータドライバ59に制御信号を出力し、第1モータ61を駆動させ、虚像提示距離を変更させる。S11の処理が終了すると、S12の判断処理に進む。
【0040】
S12「虚像提示距離設定情報入力」の判断処理により、CPU51はバス69に、歩行時虚像提示距離の設定情報が入力されたか否かを判断する。CPU51が、バス69に前記設定情報が入力されたと判断した場合には(S12の判断処理がYES)、S13の処理に進む。一方で、CPU51が、バス69に前記設定情報が入力されていないと判断した場合には(S12の判断処理がNO)、S14の判断処理に進む。
【0041】
S13「設定記憶」の処理において、バス69に入力された設定情報に基づき、歩行時虚像提示距離が、虚像提示距離記憶領域53dに記憶される。S13の処理が終了すると、S14の判断処理に進む。
【0042】
S14「歩行中」の判断処理において、歩行状態判断プログラム53aは、バス69に入力された加速度情報に基づき、ユーザが歩行状態にあるか否かを判断する。或いは、歩行状態判断プログラム53aは、バス69に入力された操作情報に基づき、ユーザが歩行状態にあるか否かを判断する。前記操作情報は、ユーザが操作部120を操作することにより、バス69に入力される。歩行状態判断プログラム53aが、ユーザが歩行状態にあると判断した場合には(S14の判断処理がYES)、S15の処理に進む。一方で、歩行状態判断プログラム53aが、ユーザが歩行状態にないと判断した場合には(S14の判断処理がNO)、S12の判断処理に戻る。
【0043】
S15「虚像提示距離変更」の処理において、虚像変更プログラム53bは、虚像提示距離記憶領域53dに、現在の虚像提示距離(非歩行時虚像提示距離)を記憶させる。次に、虚像変更プログラム53bは、虚像提示距離記憶領域53dに記憶されている歩行時虚像提示距離を参照し、第1モータドライバ59に制御信号を出力し、虚像が前記歩行時虚像提示距離に提示されるように、第1モータ61を駆動させる。本実施形態では、空間光変調素子33がレンズ34から離間する方向に、第1モータ61が回転される。この処理において、近距離(例えば30cm〜1m先)の非歩行時虚像提示距離に提示されている虚像が、遠距離(例えば数十m〜数100m先)の歩行時虚像提示距離に提示されるようになる。これにより、ユーザが近距離に提示された虚像を注視してしまうことが無く、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとなることが防止される。S15の処理が終了すると、S16の処理に進む。
【0044】
S16「画像光光軸移動」の処理において、虚像変更プログラム53bは、第2モータドライバ60に制御信号を出力することにより、第2モータ62を駆動させて、画像表示部30を移動させる。すると、眼球999の直前にあるハーフミラー35もまた移動するので、ハーフミラー35で反射される画像光の光軸もまた、眼球999からずれる。ユーザには、虚像が直前位置から側方位置にずれて見えるので、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとなることがより防止される。なお、ハーフミラー35がユーザの耳側に移動されるほうが、筐体30がユーザの視界を遮らないので、視認性の観点からは望ましい。S16の処理が終了すると、S17の処理に進む。
【0045】
S17「画像光輝度変更」の処理において、画像光輝度変更プログラム53cは、バックライトドライバ57に制御信号を出力することにより、バックライト33bの輝度を低下させることにより、画像光の輝度を低下させる。すると、ユーザに提示される虚像の輝度が低下し、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとなることがより防止される。S17の処理が終了すると、S18の処理に進む。
【0046】
S18「ハーフミラー反射率変更」の処理において、画像光輝度変更プログラム53cは、ハーフミラードライバ63に制御信号を出力することにより、ハーフミラー35の反射率を低下させる。すると、ハーフミラー35で反射されて眼球999に到達する画像光が減少し、ユーザには虚像の輝度が低下しているように見えるので、提示された虚像がユーザの歩行の妨げとなることがより防止される。また、ハーフミラー35の光透過率が向上するので、ユーザはハーフミラー35を通して前方を視認しやすくなる。S18の処理が終了すると、S19の判断処理に進む。
【0047】
S19「歩行中」の判断処理において、歩行状態判断プログラム53aは、バス69に入力された加速度情報に基づき、ユーザが歩行状態にあるか否かを判断する。或いは、歩行状態判断プログラム53aは、バス69に入力された操作情報に基づき、ユーザが歩行状態にあるか否かを判断する。歩行状態判断プログラム53aが、ユーザが歩行状態にあると判断した場合には(S19の判断処理がYES)、S12の判断処理に戻る。一方で、歩行状態判断プログラム53aが、ユーザが歩行状態にないと判断した場合には(S19の判断処理がNO)、S20の処理に進む。
【0048】
S20「復帰」の処理において、虚像変更プログラム53bは、虚像提示距離記憶領域53dに記憶されている非歩行時虚像提示距離を参照し、第1モータドライバ59に制御信号を出力し、虚像が前記歩行時虚像提示距離に提示されるように、第1モータ61を駆動させ、レンズ34と空間光変調素子33の離間距離を元に復帰させる。
また、虚像変更プログラム53bは、第2モータドライバ59に制御信号を出力して第2モータ62を駆動させ、画像表示部30を元の位置に復帰させる。
更に、画像光輝度変更プログラム53cは、バックライトドライバ57やハーフミラードライバ63に制御信号を出力して、バックライト33bの輝度及びハーフミラー35の反射率を元に復帰させる。
このS20の処理において、ユーザが歩行を止めた場合に、ユーザが特別な操作をすること無く、再び虚像を明確に視認することができる。
S20の処理が終了すると、S12の判断処理に戻る。
なお、S15〜S18の処理の順序は、任意であっても差し支え無い。
【0049】
(総括)
空間光変調素子33として、液晶ディスプレイを用いた実施形態について本発明を説明したが、空間光変調素子33として、有機ELディスプレイや、デジタルミラーデバイス (Digital Mirror Device)を用いたディスプレイ、レーザ光を直接作業者の眼球に走査することにより、作業者に画像を視認させる網膜走査型ディスプレイであっても差し支え無い。空間光変調素子33が、前記したディスプレイであっても、図4に示されるS17の処理において、画像光輝度変更プログラム53cは、前記したディスプレイが生成する画像光の輝度を低下させる処理を行う。
【0050】
以上説明した実施形態では、図4に示されるS16の処理において、空間光変調素子33側を移動させて、レンズ34と空間光変調素子33の離間距離を変更させているが、レンズ34側を移動させて、レンズ34と空間光変調素子33の離間距離を変更させる実施形態であっても差し支え無い。或いは、レンズ34が複数のレンズで構成されている場合には、レンズ間距離を変更させて、虚像提示距離を変更させる構成であっても差し支え無い。
以上説明した実施形態では、図4のS15の処理において、筐体31を頭部装着部10の幅方向に移動させているが、ハーフミラー36支持部材を、筐体31に対して移動可能に取り付けた構成とし、ハーフミラー支持部材36を頭部装着部10の幅方向に移動させて、ハーフミラー35で反射される画像光の光軸を眼球999からずらす構成であっても差し支え無い。或いは、ハーフミラー支持部材36の筐体31に対する角度を変更させて、ハーフミラー35で反射される画像光の光軸を眼球999からずらす構成であっても差し支え無い。
【0051】
なお、以上説明した実施形態では、S15の処理において、虚像変更プログラム53bは、虚像提示距離記憶領域53dに記憶されている歩行時虚像提示距離を参照し、虚像が前記歩行時虚像提示距離に提示されるように、第1モータ61を駆動させている。この実施形態の代わりに、虚像変更プログラム53bは、検出された非歩行時虚像提示距離を、虚像提示距離テーブルに参照させて、第1モータ61を駆動させる実施形態であっても差し支え無い。なお、虚像提示距離テーブルは、非歩行時虚像提示距離と歩行時虚像提示距離の関係が記憶されたテーブルである。例えば、非歩行時虚像提示距離が近距離ならば、虚像提示距離が遠距離に変更される。一方で、非歩行時虚像提示距離が遠距離であるならば、虚像提示距離が変更されない。或いは、虚像提示距離が少しだけ遠距離に変更される。
【0052】
なお、非歩行時の虚像提示距離を無限遠に設定されている場合には、S15の処理において、虚像変更プログラム53bは、虚像提示距離記憶領域53dに記憶されている歩行時虚像提示距離を参照し、第1モータドライバ59に制御信号を出力し、虚像が前記歩行時虚像提示距離に提示されるように、第1モータ61を駆動させる。つまり、虚像提示距離が、近くなり、有限距離に設定される。
【0053】
なお、ユーザの歩行速度に応じて、虚像提示距離が遠くなる実施形態であっても差し支え無い。この実施形態では、S14の判断処理において、歩行状態判断プログラム53は、バス69に入力された加速度情報に基づき、ユーザの歩行速度を算出する。具体的には、歩行状態判断プログラム53は、加速度情報の変動周期に基づき、ユーザの歩行速度を算出する。例えば、ユーザが、ゆっくり歩いている場合には、加速度情報の変動周期が長くなる。一方で、ユーザが早く歩いている場合又は走っている場合には、加速度情報の変動周期が短くなる。歩行状態判断プログラム53は、ユーザの歩幅がほぼ一定と仮定し、歩幅を加速度情報の変動周期で除して、ユーザの歩行速度を算出する。
次に、S15の判断処理において、虚像変更プログラム53bは、第1モータドライバ59に制御信号を出力し、前記算出された歩行速度に応じて、提示距離が遠くなるように、第1モータ61を駆動させる。
この実施形態では、例えば、ユーザが4 km/hで歩行している時に20m先に提示された虚像が、ユーザが8km/hで歩行すると、40m先に提示される。
【0054】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うヘッドマウントディスプレイ及び虚像提示方法もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0055】
10 頭部装着部
20 取付部材
30 画像表示部
31 筐体
32 鏡筒
33 空間光変調素子
33a LCD
33b バックライト
34 接眼光学系
35 ハーフミラー
36 ハーフミラー支持部材
37 支持部材
40 ヒンジ部材
41 ネジ軸部材
42 第1ギア
43 第2ギア
44 ピニオンギア
61 第1モータ
62 第2モータ
100 ヘッドマウントディスプレイ本体
150 ハーネス
200 駆動ユニット
999 ユーザの眼球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着され、ユーザが所定の虚像提示距離に提示された虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイであって、
画像光を生成する空間光変調素子と、
前記画像光を集光しつつユーザの眼球に導き、ユーザに虚像を視認させる接眼光学系と、
前記空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離又は、前記接眼光学系構成要素の離間距離を変更する移動手段と
ユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知手段と、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記移動手段を作動させることにより、虚像提示距離をより遠距離に変更させる虚像変更手段を有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
虚像提示距離記憶手段を更に有し、
前記虚像提示距離記憶手段には、非歩行時の虚像提示距離が記憶され、
前記歩行状態検知手段が、ユーザの歩行状態を検知しなくなった場合には、前記虚像変更手段は、虚像提示距離を、前記虚像提示距離記憶手段に記憶されている非歩行時の虚像提示距離にすることを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記歩行状態検知手段が、ユーザの歩行状態を検知した場合には、前記虚像変更手段は、前記虚像提示距離を無限遠よりも近い距離とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
虚像提示距離記憶手段を更に有し、
前記虚像提示距離記憶手段には、ユーザにより設定される歩行時の虚像提示距離が記憶され、
前記虚像変更手段は、虚像提示距離を、前記虚像提示距離記憶手段に記憶されている前記歩行時の虚像提示距離にすることを特徴とする請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記歩行状態検知手段は、ユーザの歩行速度を算出し、
前記虚像変更手段は、前記算出された歩行速度に応じた虚像提示距離に変更することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
非歩行時の虚像提示距離が無限遠にある場合において、前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記虚像変更手段は、虚像提示距離を有限距離に変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記接眼光学系は、
前記空間変調素子が生成した画像光を集光する単数又は複数のレンズと、
前記レンズの光軸と傾斜して配設され、前記レンズが集光した画像光を反射させてユーザの眼球に導かせるハーフミラーとから構成され、
前記移動手段は、前記空間変調素子と前記レンズとの離間距離を変更することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記移動手段は、前記空間変調素子を移動させることを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
前記画像光がハーフミラーで反射後にユーザの眼球に導かれる画像光光軸を移動させる画像光光軸移動手段を有し、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記虚像変更手段は、前記画像光光軸移動手段を作動させて、ハーフミラーで反射される画像光をユーザの眼球からずらすことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項10】
前記空間光変調素子が生成する画像光の輝度を変更させ、又は、前記ハーフミラーの反射率を変更させることにより、ユーザの眼球に導かれる画像光の輝度を変更させる画像光輝度変更手段を有し、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知した場合には、前記画像光輝度変更手段は、ユーザの眼球に導かれる画像光の輝度を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項11】
ユーザの頭部に装着され、ユーザが虚像を視認しつつ外界も視認することができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイの虚像提示方法であって、
前記ヘッドマウントディスプレイは、
画像光を生成する空間光変調素子と、
前記空間変調素子が生成した画像光を集光しつつユーザの眼球に導き、ユーザに虚像を視認させる接眼光学系と、
前記空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離又は、前記接眼光学系構成要素の離間距離を変更する移動手段と、
ユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知手段を有し、
前記歩行状態検知手段がユーザの歩行状態を検知する歩行状態検知工程を有し、
前記歩行状態検知工程において、ユーザの歩行状態が検知された場合には、
前記移動手段が前記空間変調素子と前記接眼光学系との離間距離を変更させて、虚像提示距離をより遠距離に変更させる虚像提示距離変更工程を有することを特徴とする虚像提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−194501(P2012−194501A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60093(P2011−60093)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】