説明

ベッド装置

【課題】利用者を視認することができ、しかも手足などを挟むことのない側柵を備えたベッド装置を提供することにある。
【解決手段】ベッド本体の側部に長手方向に沿って側柵が設けられるベッド装置であって、側柵25は、厚さ方向に貫通する視認孔47が形成された側柵本体45Aと、側柵本体の厚さ方向中途部に視認孔の周辺部を囲む大きさに形成された挿入溝48と、挿入溝に周辺部を係合させて挿入され視認孔を閉塞する透明パネル49を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベッド本体の側部に側柵が設けられるベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、介護用などのベッド装置においては、仰臥した利用者や利用者に掛けられた寝具などが落下するのを防止するため、ベッド装置の側部に側柵を設けることができるようにしている。
【0003】
通常、上記側柵は、上記ベッド装置のベッド本体を構成する、上面にマットレスが載置される載置フレームの側部材に取り付け孔を形成し、その取付け孔に上記側柵の下端部に設けられた脚部材を着脱可能に差し込んで取り付けられている。そして、上記側柵が不要な場合には載置フレームから取り外すことができるようにしている。
【0004】
載置フレームの側部に側柵を設けた場合、側柵を介して載置フレーム上に仰臥した利用者を確実に看護することができるようにするためには、利用者の状態を側柵を介して視認できるようにすることが好ましい。
【0005】
そこで、従来は特許文献1に示されるように上記側柵をパイプ材によって枠状体を形成し、この枠状体の内部に複数の縦杆を幅方向に所定間隔で設けるとともに、上記枠状体の下端に脚部材を突設し、この脚部材を上記載置フレームの側部に設けられた取付け部に挿入支持するようにしていた。
【特許文献1】特開2000−140038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
側柵をパイプ材からなる枠状体と縦杆とによって形成すれば、その側柵を介して載置フレーム上に仰臥した利用者を視認することができるから、利用者を確実に看護することができるという利点がある。
【0007】
しかしながら、上記構成の側柵によると、枠状体内の縦杆の間に隙間があるから、その隙間に利用者が身体の手足などを挟んでしまうということがあり、好ましくない。
【0008】
この発明は、ベッド本体に側柵を設けた場合、側柵によってベッド本体上の利用者に対する視認性を損なうことなく、しかも利用者が身体の一部を側柵に挟むことがないようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、ベッド本体の側部に長手方向に沿って側柵が設けられるベッド装置であって、
上記側柵は、
厚さ方向に貫通する視認孔が形成された側柵本体と、
この側柵本体の厚さ方向中途部に上記視認孔の周辺部を囲む大きさに形成された挿入溝と、
この挿入溝に周辺部を係合させて挿入され上記視認孔を閉塞する透明パネルと
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【0010】
上記側柵本体は、2枚の板材を貼り合わせて形成されていて、一方の板材の内面に上記挿入溝が形成されていることが好ましい。
【0011】
上記挿入溝は上記側柵本体の幅方向の一端面に開口して形成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【0012】
上記側柵の上記視認孔よりも上方の部分には幅方向に沿って手掛け孔が開口形成されていることが好ましい。
【0013】
この発明は、ベッド本体と、
このベッド本体の長手方向の少なくとも一端部にほぼ垂直に設けられるボード体と、
このボード体の幅方向の両端部の高さ方向下端側或いは上端側の一方に幅方向外方に突出して形成された第1の突出部及び他方に幅方向内方に凹んで形成された第1の凹部と、
上記ベッド本体の側部に長手方向に沿って設けられる側柵と、
この側柵の上記ボード体側に位置する端部の高さ方向下端側或いは上端側の上記第1の突出部と逆側となる一方に長手方向内方に凹んで形成された上記第1の突出部に係合する第2の凹部及び他方に長手方向外方に突出して形成された上記第1の凹部に係合する第2の突出部を具備し、
上記側柵は請求項1に記載された構成であることを特徴とするベッド装置にある。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、側柵に視認孔を形成し、その視認孔を透明パネルで閉塞するため、側柵によってベッド本体上の利用者が視認できなくなることがなく、しかも視認孔が透明パネルによって閉塞荒れているから、その視認孔に利用者が身体の一部を挟むようなこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は病院などで用いられるベッド装置の側面図であって、このベッド装置はベースフレーム1を有する。このベースフレーム1は矩形枠状に形成されていて、その四隅部にはストッパ付のキャスタ2(2つのみ図示)が設けられている。それによって、ベースフレーム1は移動可能となっている。
【0016】
上記ベースフレーム1には上下駆動機構4によってベッド本体としての載置フレーム5が上下動可能、つまり高さ調整可能に設けられている。上記上下駆動機構4は駆動源6を有する。
【0017】
上記ベースフレーム1の四隅部には支柱7が立設され、各支柱7の上端には連動アーム8(4つのうちの2つを図示)の一端が枢着されている。各連動アーム8の他端は上記載置フレーム5の長手方向両端部の両側に垂設されたブラケット9にそれぞれ枢着されている。載置フレーム5の長手方向の両端部に設けられた左右一対の連動アーム8は図示しない連結杆によって連結されている。
【0018】
上記駆動源6は上記連動アーム8を図示しない動力伝達機構を介して揺動駆動する。それによって、上記載置フレーム5が上下方向に駆動されるようになっている。この載置フレーム5の長手方向一端にはボード体としてのヘッドボード11、他端には同じくボード体としてのフットボード12がほぼ垂直に設けられている。
【0019】
上記ヘッドボード11は図2(a)〜(c)に示すように矩形状の板材からなる本体部13よって形成されていて、その本体部13の幅方向の両端部の高さ方向の上端側には幅寸法を他の部分よりも小さくした第1の凹部41が形成され、下端側には第1の凹部41よりも幅寸法が大きい第1の突出部42が形成されている。
【0020】
上記第1の突出部42の内面には上下方向に沿って第1の受け溝43が上記第1の突出部42の上端に開放して形成されている。なお、第1の受け溝43は上記第1の突出部42の上下両端に開放して形成してもよい。
【0021】
一方、ベッド装置の載置フレーム5には上記ヘッドボード11B側に1枚の側柵25が設けられている。この側柵25は図3〜図6に示すように矩形状の2枚の板材45を接着剤によって貼り合わせ、かつ図3(b)に示すように複数の連結ピン44で連結して形成された側柵本体45Aを有する。
【0022】
なお、図3(a)では連結ピン44を実線で示しているが、連結ピン44は図3(b)に示すように一対の板材45間に設けられるから、両端が板材45の外面に露出しないようになっている。
【0023】
上記側柵25の上部には幅方向に沿って手掛け孔46が開口形成され、この手掛け孔46の下方には複数の視認孔47が開口形成されている。側柵25に手掛け孔46を形成することで、この側柵25の上部には利用者が立ち上がるときなどの把持することができる棒状の把持部46aが幅方向に沿って形成されている。
【0024】
2枚の板材45を貼り合わせて側柵本体45Aを形成するとき、一方の板材45の内面には図3(a)に破線で示すように複数の視認孔47の周辺部を囲む大きさであって、側柵25の幅方向一端面に開放する挿入溝48が形成されている。
【0025】
上記挿入溝48にはアクリル樹脂などの透明パネル49が挿入されている。この透明パネル49は上記側柵25の視認孔47を隔別した部分及び上記挿入溝48の開放端側の端部に対応する部分に厚さ方向に貫通して設けられた複数の抜け止めねじ51によって抜出不能に固定されている。側柵25の抜け止めねじ51が設けられた部分を図3(c)に拡大して示す。
【0026】
なお、上記挿入溝48は上記側柵25の幅方向一端面に開放させたが、上記側柵25の下端面、上端面或いは両側面に開放させてもよい。
【0027】
上記挿入溝48に透明パネル49を設けることで、上記視認孔47は視認性を損なうことなく閉塞される。それによって、ベッド装置の床板体21上に図示しないマットレスを介して仰臥した利用者の状態を外部から側柵25の視認孔47を介して確認することができ、しかも利用者が手足などを視認孔47に差し込むのを防止することができるようになっている。
【0028】
上記側柵25の2枚の板材45を接着剤によって貼り合せるとき、その接着剤が一方の板材45に形成された挿入溝48に流れ込んで凝固する虞があるから、2枚の板材45を貼り合せた後、上記挿入溝48に透明パネル49を差し込むことができなくなる虞がある。
【0029】
そこで、2枚の板材45を接着剤によって貼り合せるとき、ダミーのパネルを予め挿入溝48に挿入しておく。それによって、2枚の板材45を貼り合わせたときに接着剤が挿入溝48に流れ込むのを防止できるから、2枚の板材45を貼り合わせた後、ダミーのパネルを抜けば、その挿入溝48に透明パネル49を確実に挿入することができる。
【0030】
なお、側柵25は2枚の板材45を貼り合わせた後、研磨や塗装などの加工が施されるから、それらの加工後に新しい透明パネル49を挿入溝48に挿入するようにすることが望ましい。
【0031】
図3(a)に示すように、上記側柵25の下端面には一対の脚部材29aが突出している。一対の脚部材29aはパイプ材からなる連結杆52の両端部に一端を連結して設けられている。この連結杆52と一対の脚部材29aの一端部は、一対の板材45を貼り合せるとき、これら板材45の内面にそれぞれ形成された凹溝53に予め保持される。
【0032】
そして、このようにして形成された上記側柵25は、その脚部材29aを載置フレーム5の側面に設けられた一対の支持部材23に挿入してヘッドボード11側に取付けられている。
【0033】
図3(a)に示すように、上記側柵25のヘッドボード11側の端部の上下方向の下端側には他の部分よりも凹んだ第2の凹部54が形成され、この第2の凹部54の上部には前方に突出した第2の突出55が形成されている。図4(a),(b)に示すように、この第2の突出部55の両側面には上下方向全長にわたって断面形状が円弧状の第2の受け溝56が形成されている。
【0034】
上記側柵25の一対の脚部材29aを、ヘッドボード11側に位置する一対の支持部材23に差し込むと、その第2の凹部54が上記ヘッドボード11の第1の突出部42に係合し、第2の突出部55が上記ヘッドボード11の第1の凹部41に係合する。
【0035】
それによって、ヘッドボード11の幅方向の一端部と、側柵25の先端部の間に隙間が生じるのが防止される。
【0036】
しかも、ヘッドボード11の第1の凹部41の先端部は側柵25の第2の突出部55の内面側に形成された第2の受け溝56に入り込み、側柵25の第2の凹部54の先端部はヘッドボード11の第1の突出部42に形成された第1の受け溝43に入り込む。
【0037】
それによって、ヘッドボード11の幅方向の一端部と、側柵25の先端部の間にさらに隙間が生じ難くなるばかりか、これらの係合状態が確実になる。
【0038】
すなわち、上記構成のヘッドボード11及び側柵25によれば、ヘッドボード11の幅方向の端部と側柵25Aの端部との間の隙間をなくすることができるから、利用者が手足などの身体をヘッドボート11と側柵25との間に挟むのを防止することができる。
【0039】
上記側柵25の第2の突出部55にはその両側面に第2の受け溝56を形成した。そのため、側柵25を載置フレーム5の幅方向一端側或いは他端側のいずれに取付ける場合であっても、その第2の受け溝56にヘッドボード11の第1の凹部41の先端部を入り込ませることができる。つまり、側柵25の使い勝手を向上させることができる。
【0040】
上記側柵26は視認孔47を形成し、この視認孔47を側柵本体45Aの一対の板材45巻の挿入溝48に挿入された透明パネル49によって閉塞した。そのため、視認孔47を介して載置フレーム5の床板体21上に仰臥した利用者を側柵26の外方から確実に視認することができるばかりか、視認孔47が透明パネル49によって閉塞されているため、利用者が視認孔47に手足などを挟むということもない。
【0041】
上記第3の実施の形態においては1枚の側柵25Aを載置フレーム5のヘッドボード11側に設ける場合について説明したが、側柵25をヘッドボード11側とフットボード12側の両方或いはフットボード12側だけに設ける場合には、フットボード12を上述したヘッドボード11と同じ構成、つまり幅方向の両端部に第1の凹部41と第1の突出部42を有する形状とすればよい。
また、載置フレーム5の一側だけでなく、両側にそれぞれ側柵25を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の一実施の形態を示すベッド装置の側面図。
【図2】図2(a)〜(c)上記ベッド装置に用いられるヘッドボードの三面図。
【図3】(a)は側柵の側面図、(b)は側柵の2枚の板材が連結ピンによって連結された部分の断面図、(c)は側柵の2枚の板材間の挿入溝に挿入された透明パネルが抜け止めねじよって止められた部分の断面図。
【図4】(a)は側柵の平面図、(b)は同じく横断面図。
【図5】(a)は側柵の挿入溝が開放した端面を示す図、(b)は同じく縦断面図。
【図6】板材に形成された挿入溝の拡大図。
【符号の説明】
【0043】
5…載置フレーム(ベッド本体)、11…ヘッドボード(ボード体)、12…フットボード(ボード体)、15…受け溝、25,…側柵、41…第1の凹部、42…第1の突出部、43…第1の受け溝、45…板材、45A…側柵本体、47…視認孔、48…挿入溝、49…透明パネル、54…第2の凹部、55…第2の突出部、56…第2の受け溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド本体の側部に長手方向に沿って側柵が設けられるベッド装置であって、
上記側柵は、
厚さ方向に貫通する視認孔が形成された側柵本体と、
この側柵本体の厚さ方向中途部に上記視認孔の周辺部を囲む大きさに形成された挿入溝と、
この挿入溝に周辺部を係合させて挿入され上記視認孔を閉塞する透明パネルと
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記側柵本体は、2枚の板材を貼り合わせて形成されていて、一方の板材の内面に上記挿入溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
上記挿入溝は上記側柵本体の幅方向の一端面に開口して形成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項4】
上記側柵の上記視認孔よりも上方の部分には幅方向に沿って手掛け孔が開口形成されていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項5】
ベッド本体と、
このベッド本体の長手方向の少なくとも一端部にほぼ垂直に設けられるボード体と、
このボード体の幅方向の両端部の高さ方向下端側或いは上端側の一方に幅方向外方に突出して形成された第1の突出部及び他方に幅方向内方に凹んで形成された第1の凹部と、
上記ベッド本体の側部に長手方向に沿って設けられる側柵と、
この側柵の上記ボード体側に位置する端部の高さ方向下端側或いは上端側の上記第1の突出部と逆側となる一方に長手方向内方に凹んで形成された上記第1の突出部に係合する第2の凹部及び他方に長手方向外方に突出して形成された上記第1の凹部に係合する第2の突出部を具備し、
上記側柵は請求項1に記載された構成であることを特徴とするベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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