ベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイ
【課題】 ベビーリーフ野菜の茎及び葉の屈曲を防止して茎、葉及び培養土に日光の照射と空気の循環を促して、病気の発生を防止し、健全なベビーリーフ野菜の生育を可能とするほか、作業者の簡単な手作業で、二重刈りなどが無い良品質な本葉だけを短時間で収穫可能とする、ベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイを提供する。
【解決手段】 ベーストレイと補助トレイと蓋体から構成されている栽培トレイのベーストレイの上方に、補助トレイと蓋体を順に重ね合わせ、ベーストレイの培養土に播種したベビーリーフ野菜の子葉が補助トレイ内に納まるよう、そして本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通過して生育し、収穫時には補助トレイと蓋体の密着面を若干開放してその面をカット面として収穫できるようにした。
【解決手段】 ベーストレイと補助トレイと蓋体から構成されている栽培トレイのベーストレイの上方に、補助トレイと蓋体を順に重ね合わせ、ベーストレイの培養土に播種したベビーリーフ野菜の子葉が補助トレイ内に納まるよう、そして本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通過して生育し、収穫時には補助トレイと蓋体の密着面を若干開放してその面をカット面として収穫できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ベビーリーフ野菜を健全に生育させると共に、容易に収穫できる栽培方法とその栽培トレイに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来ではデトロイト、ルッコラ、グリーンロメイン、水菜、からし菜、タアツァイ、エンダイブなどの野菜類を圃場に直接播種または、それぞれの苗を短期間育成して圃場に移植し、通常収穫させる期間より早く収穫することでベビーリーフ野菜として市場に供給されている。
【０００３】
また、特開平１１−０４２０１８号公報においては、プラグトレイのトレイ本体に設けられている複数のセルに土を充填し播種し覆土後、トレイ自体を圃場に設置してベビーリーフ野菜を栽培することは既に公知である。
【０００４】
なお、特開平０８−２４２６９９号公報のように、外周を囲うリブを備え縦横方向の格子状の複数のセルを有するトレイ本体に、各セルの対向する位置に、頂部を開放して育苗穴を有する錐台状の筒体を立設して、トレイ本体の上面に位置決め可能として被せるトレイキャップを備える接木苗用の育苗トレイが公知となっている。
【０００５】
【特許文献１】特開平１１−０４２０１８号公報
【特許文献２】特開平０８−２４２６９９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
従来のベビーリーフの育成方法、例えば特許文献１のようにトレイ本体の各セルに培養土を充填後、ベビーリーフ野菜の種子を播種し、覆土後圃場に設置して収穫まで生育させる方法であっては播種作業は容易になるものの、収穫においては圃場収穫の作業と何ら変わりなく作業者にとっては重労働になるものである。
【０００７】
特許文献１において、その明細書に電動バリカン等の機械収穫が可能との記載があるが、バリカンや回転体に切断刃を取り付けた収穫装置の刈取部を用いて収穫作業を行うと、葉や茎などを重複して切断または折り曲げてしまうため、ベビーリーフ野菜としての価値を低下させることとなってしまう。また品種によっては茎や葉が培養土に接するまで靡きまたは屈曲し、バリカン等の収穫機械による切断収穫が出来ない場合が発生したり、品種によって切り取り高さが異なるので、機械化による収穫は困難であり、作業者による手作業での収穫が不可欠で、作業コストと作業時間の軽減を図ることが困難な実情である。
【０００８】
そこで本発明では、ベビーリーフ野菜の靡きまたは屈曲しやすいの品種であっても、その野菜の茎及び葉の屈曲を防止することによって、野菜の茎、葉及び培養土に日光の照射と空気の循環を促して、病気の発生しやすい環境を防止することで、健全なベビーリーフ野菜を生産することを可能とするほか、収穫作業機械を使用することなく、作業者の簡単な手作業で、しかも短時間で均一な高さで収穫を可能とする収穫効率の向上を実現すると共に、二重刈りなどが無く、良品質な本葉だけの収穫を可能とした、ベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そこで上記目的を達成するために、請求項１に係わる発明は、ベビーリーフ野菜の栽培方法であって、植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて設け、各セルでベビーリーフ野菜が、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とするものである。
【００１０】
請求項２に係わる発明は、請求項１記載のベビーリーフ野菜の栽培方法であって、ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とするものである。
【００１１】
請求項３に係わる発明は、請求項１または請求項２記載のベビーリーフ野菜の栽培方法であって、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とするものである。
【００１２】
請求項４に係わる発明は、ベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて備えて、各セルで生育するベビーリーフ野菜が、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育させることを特徴とするものである。
【００１３】
請求項５に係わる発明は、請求項４記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するように構成したことを特徴とするものである。
【００１４】
請求項６に係わる発明は、請求項４または請求項５記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて育成するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とするものである。
【００１５】
請求項７に係わる発明は、請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周板と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面板からなり、前記外周板にはベーストレイと補助トレイの空間と外部を連通する複数の孔が設けられ、上面板には複数のセルに対向する孔を備えると共に、蓋体は上面板の孔と同一の孔を設けたことを特徴とするものである。
【００１６】
請求項８に係わる発明は、請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周網面と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面網面からなる網体であって、蓋体においても補助トレイと同等網体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１７】
本発明によれば、ベビーリーフ野菜の靡きまたは屈曲しやすいの品種であっても、補助トレイを通り抜けて生長するので、茎及び葉が屈曲して成長するのを防止し、野菜の葉、茎及び培養土に日光の照射と空気の循環を促して、病気の抑制環境を創りだし、健全なベビーリーフ野菜を生産することが出来る効果を有する。
【００１８】
さらに、収穫作業機械を使用することなく、作業者の簡単な手作業で、しかも短時間で均一な高さで収穫を可能とする収穫効率の向上を実現すると共に、二重刈りなどが無く、子葉を含まない本葉だけの良品質なものの収穫を可能とする効果を備えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
図１は本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第一の実施に用いる栽培トレイの斜視図、図２は第一の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の正面断面図、図３は図２の他例を示した正面断面図、図４は第一の実施の栽培トレイの使用状態を示した正面断面図、図５は第一の実施の栽培状態を示す正面断面図、図６は図５における第一の実施の切断位置と切断状態を示す正面図、図７は第一の実施の収穫の状態を示した正面図、図８は本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第二の実施に用いる栽培トレイの斜視図、図９は第二の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の関係を表した正面断面図である。
【実施例１】
【００２０】
図１において、１は栽培トレイであって、ベーストレイ２と補助トレイ３と蓋体４から構成されている。ベーストレイ２は、縦横方向の格子状に区画された四角形状または円柱形状及び逆円錐形状からなる空間を有する複数のセル５と、そのセル５が配置された外周を囲うリブ６と、リブ６の外周に備えられた平面のフランジ７から構成されている。セル５の底面には水の給排水のための給排水口８が備えられていて、その形状は円径の孔であったり、セル５の側面と底面に連なる溝であっても良い。
【００２１】
補助トレイ３は垂直方向の面の外周板９とベーストレイ２の上面と平行に備える表面板１０から構成されている。外周板９は表面板１０の四辺すべてか、対向する二辺に備えられていて、極力開口率が高くなるように大きな孔を全面に設けて、外周板９を通過する風の抵抗にならないようになっている。表面板１０にも孔が設けられていて、その孔は各セルに対向して空けられていて、開口率が高くなるように極力大きな孔を設けた開口面１８を備えているものであると良いが、大体その孔は直径１５ｍｍから４０ｍｍくらいが良好である。
【００２２】
蓋体４は補助トレイ３と同様に垂直面の外周板α１１とベーストレイ２の上面と平行に備える表面板α１２から構成され、表面板α１２の上面に外周板α１１が四辺全てか、対向する二辺に備えられている。表面板α１２の開口面α１９の孔は、補助トレイ３の表面板１０の開口面１８の孔が重なるように備えられると共に、その孔の径は開口面１８と同等の大きさか、それより若干大きい孔であると良い。
【００２３】
補助トレイ３と蓋体４はそれぞれの表面板を重ねた場合に、振動や植物の成長による押し上げや人為的な動作によって補助トレイ３と蓋体４のズレが発生するのを防止するために図１及び図２に示すように、ピン１３を表面板１０と表面板α１２に設けたピン１３より若干大きな径を備えた孔に差し込むようになっている。なおこのピン１３の代わりに図３のように、それぞれの表面板の二箇所に突起部１４を備えて対向する表面板の突起部用の孔に差し込む方式であっても良い。
【００２４】
上記の補助トレイ３と蓋体４は透明板で全て構成されていているものであって、補助トレイ３を反転して蓋体４として使用しても良い。
【００２５】
１５は水耕栽培装置の容器の底面であって、その表面形状は凹凸形状の物がよくベーストレイ２の給排水口８を極力塞がないようになっているものであって、若干の傾斜を備えて、設定時刻及び設定間隔で、容器底面１５に給水を行い、ある程度の水位２０を確保した後、早急に排水できるようになっているものである。
【００２６】
ベーストレイ２の各セル５に培養土１６を充填の後、ベビーリーフ野菜の種子１７を播種を行う。種子１７の粒が小さい物は覆土をしなくても良いが、デトロイトなどの種子の形状が大きい物においては覆土をおこなうと発芽率が高くなり良好な収量が見込める効果がある。その後ベーストレイ２の各セル５に万遍なく灌水し、ベーストレイ２のリブ６の外周面に接するよう、そしてフランジ７に補助トレイ３の外周板９が乗るように補助トレイ３をベーストレイ２に被せて設置する。ベーストレイ２の表面板１０の上には蓋体４の表面板α１２が密着して、それぞれの開口面の孔が重なり合うように蓋体４を配置し、ピン１３を蓋体４と補助トレイ３に通して蓋体４のズレを防止する（図４参照）。また図３のようにそれぞれの表面板に突起部１４を備える場合は、それぞれの突起部１４が差し込まれる表面板の孔に差込、補助トレイ３と蓋体４の表面板を密着して配置する。
【００２７】
上記のようにベーストレイ２、補助トレイ３及び蓋体４を重ね合わせて配置されて栽培トレイ１を水耕栽培装置のベンチ、即ち容器底面１５に配置し、定期的な灌水と灌水に含まれる肥料分の補給を行って、ベビーリーフ野菜の生育を開始する。容器底面１５には栽培装置の制御によってその表面に水および肥料分を含んだ水が供給され、指定した水位２０まで給水が行われ、容器底面１５の全てに均等に水位２０まで達した後、指定時間経過後に容器底面１５の水は全て排水されるようになっていて、栽培トレイ１のそれぞれのセル５の培養土１６と種子１７に水分と栄養分の供給を行えるようになっている。
【００２８】
栽培トレイ１では、蓋体４と補助トレイ３の開口面の孔が大きく配置され、またそれぞれが透明板で構成されているので、それぞれのセル５の培養土１６には均一に太陽光の照射を受けることが出来ると共に、補助トレイ３の外周板９には大きな孔が複数備えられているので、通気性を損なうことが無く、良好な日光の照射と、良好な換気を行うことが出来るようになっている。
【００２９】
水分を含んだ種子１７は発芽して子葉を展開させてその後、本葉が展開し育成を行っていくが、子葉はベーストレイ２の表面から補助トレイ３の表面板１０の開口面までの空間内に成長が納まるように、空間２１が設けられている。この空間２１の高さもベビーリーフ野菜の品種によって異なり、例えばグリーンロメイン、レッドオーク、エンダイブなどの品種やレタス系の品種において子葉があまり長く成長しないので、空間２１の高さは２０ｍｍ程度でも良好に、子葉が空間内に納まることが出来るが、ルッコラ、水菜、からし菜、赤高菜、ロラロッサなどは子葉が長く成長するので空間２１は５０ｍｍ程度が良好であるので、品種によってその空間２１の高さの異なった補助トレイ３や、外周板９の高さが容易に変更できる補助トレイ３であると良い。
【００３０】
本葉は成長し、補助トレイ３の開口面１８の孔とそれと密着して備えられた蓋体４の開口面α１９の孔を通り抜けて育成を続け、播種から二週間から三週間後に図５に示すように生育するものである。本葉がそれぞれの開口面の孔を通り抜けて成長を続けるので、茎や葉が屈曲しやすいまたは折れやすい品種（例えばデトロイトなど）と、背丈が高くなる品種（例えば水菜、からし菜など）は、その茎の部分や葉の一部が開口面の孔の縁によって茎や葉を支えるので、屈曲を防止することが出来、ベビーリーフ野菜の根元まで常に日光を当てることが出来ると共に通気性を良好に保つことを可能として、病害虫の発生を防止する効果を有するものである。また、ベビーリーフ野菜の屈曲と折れを防止することは収穫作業での品質の低下防止と、簡単な収穫作業の実施を可能とする効果を有するものである。
【００３１】
図５は播種から二週間から三週間経過した収穫間近を示す（季節によって若干の長短あり）状態であるが、収穫において図６に示すように、補助トレイ３と蓋体４のズレを防止するためのピン１３を取り外し、それぞれの表面板の密着部を若干開放して刃物２５を挿入し、表面板１０と表面板α１２をこすりながら走行することによって、カット面２４を形成することが出来る。このカット面２４によってベビーリーフ野菜は、空間２１の高さをもって子葉と茎の基の部分と、ベビーリーフ野菜の商品となる本葉の部分に分離することが出来る。この収穫方法は短時間で容易にそして、品質の良いベビーリーフ野菜の本葉だけを均一な高さで収穫することが出来ようになっている。なお刃物２５の刃部を出来るだけ長い物を使用すると一回の切断作業工程で全てのベビーリーフ野菜を一定の高さで短時間で切断することが出来るものである。
【００３２】
図７はカット面２４で本葉２３の部分だけを均一の高さで切断し、本葉を一定の方向に向けて収穫した後のベビーリーフ野菜の移動の方法を示したものである。カット面２４で切断されたベビーリーフ野菜はその長さを５０ｍｍから２００ｍｍと長く刈り取られるので、刃物２５によってカット面２４で切断されたベビーリーフ野菜は、蓋体４の表面板α１２の裏面に重なり合って乗った状態で、略一定の方向に横倒しになって切断される。切断され横倒しになったベビーリーフ野菜は、それぞれの開口面の孔の幅より、長さがあるため、横倒しになると、その開口面の孔より落下することなく、表面板α１２上に留まるようになっている。さらに切断されたベビーリーフ野菜が多段に高さをもって重なり合っても蓋体４の外周板α１１を乗り越えて落下するベビーリーフ野菜は少なく、蓋体４自体を作業者が持ち上げて収穫物を集める容器または整列させる工程に一度にしかも簡単に移動することが出来るようになっている。
【００３３】
カット面２４を刃物２５によって極力少ない回数で同じ方向から切断を行うと、ベビーリーフ野菜の本葉、即ち商品の倒れる方向は同一となり、同じ方向を向いたまま袋詰めを容易に行うことが出来るので、商品の視覚を良好にする効果を有して、商品に付加価値をもたらすことが出来る。
【実施例２】
【００３４】
図８に示す栽培トレイ３１は、第二の実施の形態を示す栽培トレイ３１であって、ベーストレイ２と補助トレイ３３と蓋体３４から形成されている。
【００３５】
ベーストレイ２は実施例１に示すベーストレイ２と同様の物であって、縦横方向の格子状に区画された四角形状または円柱形状及び逆円錐形状からなる空間を有する複数のセル５と、そのセル５が配置された外周を囲うリブ６と、リブ６の外周の備えられた平面のフランジ７から構成されている。セル５の底面には水の給排水のための給排水口８が備えられていて、その形状は円径の孔であったり、セル５の側面と底面に連なる溝であっても良い。
【００３６】
補助トレイ３３は、縦横の格子からなる網体から形成され、ベーストレイ２の表面と並行な上面網面３６と、その垂直方向の外周を覆う外周網面３５とで構成されている。外周網面３５は上面網面３６の対向する二辺か四辺全てに設けられているものであって、網目は針金のような線形の細い金属であるとよく、極力開口率を妨げないような線４１で構成されている。
【００３７】
蓋体３４も補助トレイ３３と同様に、補助トレイ３３の上面網面３６と平行となる上面網面α３７と垂直方向の外周を覆う外周網面α３８とで構成されている。
【００３８】
前記補助トレイ３３と蓋体３４のそれぞれの網目は同一でなくてもよく、その網目は、１０ｍｍから３０ｍｍ間隔で配置されていると良い。
【００３９】
図９に示すように、栽培トレイ３１はベーストレイ２のリブ６の外周面に接して、フランジ７に補助トレイ３３の外周網面３５の縁が乗って、ベーストレイ２の上面から補助トレイ３３の上面網面３６までの空間４０を備えて配置されている。さらに、蓋体３４は補助トレイ３３の上面網面３６と蓋体３４の上面網面α３７が接するように配置されていている。それぞれの上面網面の網を形成する線４１は、実施例１とは異なりそれぞれが重なり合う必要は無いが、図９ではそれぞれの線４１が重なり合うように表している。
【００４０】
空間４０は実施例１と同様に、子葉の成長の長さによって、いくつかの高さを持った物や、空間４０の高さを容易に変えられるようになっているものである。図示はしないが、子葉は空間４０内に納まるように成長し、それぞれの上面網面の開口面を本葉２３が通過して成長し、二週間から三週間経過後に補助トレイ３３と蓋体３４の密着面を若干開放してカット面２４とし、刃物２５をカット面２４を通過させて、ベビーリーフ野菜の切断作業を行うものである。さらに切断したベビーリーフ野菜の本葉２３は蓋体３４の上面網面α３７上で横倒しになるため、網の穴から落ちることなく、そして蓋体３４を作業者が移動することによって容易にベビーリーフ野菜を容易に、しかも傷つけることなく良質な状態を保ったまま収穫を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第一の実施に用いる栽培トレイの斜視図である。
【図２】第一の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の正面断面図である。
【図３】図２の他例を示した正面断面図である。
【図４】第一の実施の栽培トレイの使用状態を示した正面断面図である。
【図５】第一の実施の栽培状態を示す正面断面図である。
【図６】図５における第一の実施の切断位置と切断状態を示す正面図である。
【図７】第一の実施の収穫の状態を示した正面図である。
【図８】本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第二の実施に用いる栽培トレイの斜視図である。
【図９】第二の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の関係を表した正面断面図である。
【符号の説明】
【００４２】
１ 栽培トレイ
２ ベーストレイ
３ 補助トレイ
４ 蓋体
５ セル
６ リブ
７ フランジ
８ 給排水口
９ 外周板
１０ 表面板
１１ 外周板α
１２ 表面板α
１３ ピン
１４ 突起部
１５ 容器底面
１６ 培養土
１７ 種子
１８ 開口面
１９ 開口面α
２０ 水位
２１ 空間
２２ 子葉
２３ 本葉
２４ カット面
２５ 刃物
３１ 栽培トレイ
３３ 補助トレイ
３４ 蓋体
３５ 外周網面
３６ 上面網面
３７ 上面網面α
３８ 外周網面α
４０ 空間
４１ 線
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ベビーリーフ野菜を健全に生育させると共に、容易に収穫できる栽培方法とその栽培トレイに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来ではデトロイト、ルッコラ、グリーンロメイン、水菜、からし菜、タアツァイ、エンダイブなどの野菜類を圃場に直接播種または、それぞれの苗を短期間育成して圃場に移植し、通常収穫させる期間より早く収穫することでベビーリーフ野菜として市場に供給されている。
【０００３】
また、特開平１１−０４２０１８号公報においては、プラグトレイのトレイ本体に設けられている複数のセルに土を充填し播種し覆土後、トレイ自体を圃場に設置してベビーリーフ野菜を栽培することは既に公知である。
【０００４】
なお、特開平０８−２４２６９９号公報のように、外周を囲うリブを備え縦横方向の格子状の複数のセルを有するトレイ本体に、各セルの対向する位置に、頂部を開放して育苗穴を有する錐台状の筒体を立設して、トレイ本体の上面に位置決め可能として被せるトレイキャップを備える接木苗用の育苗トレイが公知となっている。
【０００５】
【特許文献１】特開平１１−０４２０１８号公報
【特許文献２】特開平０８−２４２６９９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
従来のベビーリーフの育成方法、例えば特許文献１のようにトレイ本体の各セルに培養土を充填後、ベビーリーフ野菜の種子を播種し、覆土後圃場に設置して収穫まで生育させる方法であっては播種作業は容易になるものの、収穫においては圃場収穫の作業と何ら変わりなく作業者にとっては重労働になるものである。
【０００７】
特許文献１において、その明細書に電動バリカン等の機械収穫が可能との記載があるが、バリカンや回転体に切断刃を取り付けた収穫装置の刈取部を用いて収穫作業を行うと、葉や茎などを重複して切断または折り曲げてしまうため、ベビーリーフ野菜としての価値を低下させることとなってしまう。また品種によっては茎や葉が培養土に接するまで靡きまたは屈曲し、バリカン等の収穫機械による切断収穫が出来ない場合が発生したり、品種によって切り取り高さが異なるので、機械化による収穫は困難であり、作業者による手作業での収穫が不可欠で、作業コストと作業時間の軽減を図ることが困難な実情である。
【０００８】
そこで本発明では、ベビーリーフ野菜の靡きまたは屈曲しやすいの品種であっても、その野菜の茎及び葉の屈曲を防止することによって、野菜の茎、葉及び培養土に日光の照射と空気の循環を促して、病気の発生しやすい環境を防止することで、健全なベビーリーフ野菜を生産することを可能とするほか、収穫作業機械を使用することなく、作業者の簡単な手作業で、しかも短時間で均一な高さで収穫を可能とする収穫効率の向上を実現すると共に、二重刈りなどが無く、良品質な本葉だけの収穫を可能とした、ベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そこで上記目的を達成するために、請求項１に係わる発明は、ベビーリーフ野菜の栽培方法であって、植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて設け、各セルでベビーリーフ野菜が、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とするものである。
【００１０】
請求項２に係わる発明は、請求項１記載のベビーリーフ野菜の栽培方法であって、ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とするものである。
【００１１】
請求項３に係わる発明は、請求項１または請求項２記載のベビーリーフ野菜の栽培方法であって、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とするものである。
【００１２】
請求項４に係わる発明は、ベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて備えて、各セルで生育するベビーリーフ野菜が、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育させることを特徴とするものである。
【００１３】
請求項５に係わる発明は、請求項４記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するように構成したことを特徴とするものである。
【００１４】
請求項６に係わる発明は、請求項４または請求項５記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて育成するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とするものである。
【００１５】
請求項７に係わる発明は、請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周板と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面板からなり、前記外周板にはベーストレイと補助トレイの空間と外部を連通する複数の孔が設けられ、上面板には複数のセルに対向する孔を備えると共に、蓋体は上面板の孔と同一の孔を設けたことを特徴とするものである。
【００１６】
請求項８に係わる発明は、請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイであって、ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周網面と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面網面からなる網体であって、蓋体においても補助トレイと同等網体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１７】
本発明によれば、ベビーリーフ野菜の靡きまたは屈曲しやすいの品種であっても、補助トレイを通り抜けて生長するので、茎及び葉が屈曲して成長するのを防止し、野菜の葉、茎及び培養土に日光の照射と空気の循環を促して、病気の抑制環境を創りだし、健全なベビーリーフ野菜を生産することが出来る効果を有する。
【００１８】
さらに、収穫作業機械を使用することなく、作業者の簡単な手作業で、しかも短時間で均一な高さで収穫を可能とする収穫効率の向上を実現すると共に、二重刈りなどが無く、子葉を含まない本葉だけの良品質なものの収穫を可能とする効果を備えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
図１は本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第一の実施に用いる栽培トレイの斜視図、図２は第一の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の正面断面図、図３は図２の他例を示した正面断面図、図４は第一の実施の栽培トレイの使用状態を示した正面断面図、図５は第一の実施の栽培状態を示す正面断面図、図６は図５における第一の実施の切断位置と切断状態を示す正面図、図７は第一の実施の収穫の状態を示した正面図、図８は本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第二の実施に用いる栽培トレイの斜視図、図９は第二の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の関係を表した正面断面図である。
【実施例１】
【００２０】
図１において、１は栽培トレイであって、ベーストレイ２と補助トレイ３と蓋体４から構成されている。ベーストレイ２は、縦横方向の格子状に区画された四角形状または円柱形状及び逆円錐形状からなる空間を有する複数のセル５と、そのセル５が配置された外周を囲うリブ６と、リブ６の外周に備えられた平面のフランジ７から構成されている。セル５の底面には水の給排水のための給排水口８が備えられていて、その形状は円径の孔であったり、セル５の側面と底面に連なる溝であっても良い。
【００２１】
補助トレイ３は垂直方向の面の外周板９とベーストレイ２の上面と平行に備える表面板１０から構成されている。外周板９は表面板１０の四辺すべてか、対向する二辺に備えられていて、極力開口率が高くなるように大きな孔を全面に設けて、外周板９を通過する風の抵抗にならないようになっている。表面板１０にも孔が設けられていて、その孔は各セルに対向して空けられていて、開口率が高くなるように極力大きな孔を設けた開口面１８を備えているものであると良いが、大体その孔は直径１５ｍｍから４０ｍｍくらいが良好である。
【００２２】
蓋体４は補助トレイ３と同様に垂直面の外周板α１１とベーストレイ２の上面と平行に備える表面板α１２から構成され、表面板α１２の上面に外周板α１１が四辺全てか、対向する二辺に備えられている。表面板α１２の開口面α１９の孔は、補助トレイ３の表面板１０の開口面１８の孔が重なるように備えられると共に、その孔の径は開口面１８と同等の大きさか、それより若干大きい孔であると良い。
【００２３】
補助トレイ３と蓋体４はそれぞれの表面板を重ねた場合に、振動や植物の成長による押し上げや人為的な動作によって補助トレイ３と蓋体４のズレが発生するのを防止するために図１及び図２に示すように、ピン１３を表面板１０と表面板α１２に設けたピン１３より若干大きな径を備えた孔に差し込むようになっている。なおこのピン１３の代わりに図３のように、それぞれの表面板の二箇所に突起部１４を備えて対向する表面板の突起部用の孔に差し込む方式であっても良い。
【００２４】
上記の補助トレイ３と蓋体４は透明板で全て構成されていているものであって、補助トレイ３を反転して蓋体４として使用しても良い。
【００２５】
１５は水耕栽培装置の容器の底面であって、その表面形状は凹凸形状の物がよくベーストレイ２の給排水口８を極力塞がないようになっているものであって、若干の傾斜を備えて、設定時刻及び設定間隔で、容器底面１５に給水を行い、ある程度の水位２０を確保した後、早急に排水できるようになっているものである。
【００２６】
ベーストレイ２の各セル５に培養土１６を充填の後、ベビーリーフ野菜の種子１７を播種を行う。種子１７の粒が小さい物は覆土をしなくても良いが、デトロイトなどの種子の形状が大きい物においては覆土をおこなうと発芽率が高くなり良好な収量が見込める効果がある。その後ベーストレイ２の各セル５に万遍なく灌水し、ベーストレイ２のリブ６の外周面に接するよう、そしてフランジ７に補助トレイ３の外周板９が乗るように補助トレイ３をベーストレイ２に被せて設置する。ベーストレイ２の表面板１０の上には蓋体４の表面板α１２が密着して、それぞれの開口面の孔が重なり合うように蓋体４を配置し、ピン１３を蓋体４と補助トレイ３に通して蓋体４のズレを防止する（図４参照）。また図３のようにそれぞれの表面板に突起部１４を備える場合は、それぞれの突起部１４が差し込まれる表面板の孔に差込、補助トレイ３と蓋体４の表面板を密着して配置する。
【００２７】
上記のようにベーストレイ２、補助トレイ３及び蓋体４を重ね合わせて配置されて栽培トレイ１を水耕栽培装置のベンチ、即ち容器底面１５に配置し、定期的な灌水と灌水に含まれる肥料分の補給を行って、ベビーリーフ野菜の生育を開始する。容器底面１５には栽培装置の制御によってその表面に水および肥料分を含んだ水が供給され、指定した水位２０まで給水が行われ、容器底面１５の全てに均等に水位２０まで達した後、指定時間経過後に容器底面１５の水は全て排水されるようになっていて、栽培トレイ１のそれぞれのセル５の培養土１６と種子１７に水分と栄養分の供給を行えるようになっている。
【００２８】
栽培トレイ１では、蓋体４と補助トレイ３の開口面の孔が大きく配置され、またそれぞれが透明板で構成されているので、それぞれのセル５の培養土１６には均一に太陽光の照射を受けることが出来ると共に、補助トレイ３の外周板９には大きな孔が複数備えられているので、通気性を損なうことが無く、良好な日光の照射と、良好な換気を行うことが出来るようになっている。
【００２９】
水分を含んだ種子１７は発芽して子葉を展開させてその後、本葉が展開し育成を行っていくが、子葉はベーストレイ２の表面から補助トレイ３の表面板１０の開口面までの空間内に成長が納まるように、空間２１が設けられている。この空間２１の高さもベビーリーフ野菜の品種によって異なり、例えばグリーンロメイン、レッドオーク、エンダイブなどの品種やレタス系の品種において子葉があまり長く成長しないので、空間２１の高さは２０ｍｍ程度でも良好に、子葉が空間内に納まることが出来るが、ルッコラ、水菜、からし菜、赤高菜、ロラロッサなどは子葉が長く成長するので空間２１は５０ｍｍ程度が良好であるので、品種によってその空間２１の高さの異なった補助トレイ３や、外周板９の高さが容易に変更できる補助トレイ３であると良い。
【００３０】
本葉は成長し、補助トレイ３の開口面１８の孔とそれと密着して備えられた蓋体４の開口面α１９の孔を通り抜けて育成を続け、播種から二週間から三週間後に図５に示すように生育するものである。本葉がそれぞれの開口面の孔を通り抜けて成長を続けるので、茎や葉が屈曲しやすいまたは折れやすい品種（例えばデトロイトなど）と、背丈が高くなる品種（例えば水菜、からし菜など）は、その茎の部分や葉の一部が開口面の孔の縁によって茎や葉を支えるので、屈曲を防止することが出来、ベビーリーフ野菜の根元まで常に日光を当てることが出来ると共に通気性を良好に保つことを可能として、病害虫の発生を防止する効果を有するものである。また、ベビーリーフ野菜の屈曲と折れを防止することは収穫作業での品質の低下防止と、簡単な収穫作業の実施を可能とする効果を有するものである。
【００３１】
図５は播種から二週間から三週間経過した収穫間近を示す（季節によって若干の長短あり）状態であるが、収穫において図６に示すように、補助トレイ３と蓋体４のズレを防止するためのピン１３を取り外し、それぞれの表面板の密着部を若干開放して刃物２５を挿入し、表面板１０と表面板α１２をこすりながら走行することによって、カット面２４を形成することが出来る。このカット面２４によってベビーリーフ野菜は、空間２１の高さをもって子葉と茎の基の部分と、ベビーリーフ野菜の商品となる本葉の部分に分離することが出来る。この収穫方法は短時間で容易にそして、品質の良いベビーリーフ野菜の本葉だけを均一な高さで収穫することが出来ようになっている。なお刃物２５の刃部を出来るだけ長い物を使用すると一回の切断作業工程で全てのベビーリーフ野菜を一定の高さで短時間で切断することが出来るものである。
【００３２】
図７はカット面２４で本葉２３の部分だけを均一の高さで切断し、本葉を一定の方向に向けて収穫した後のベビーリーフ野菜の移動の方法を示したものである。カット面２４で切断されたベビーリーフ野菜はその長さを５０ｍｍから２００ｍｍと長く刈り取られるので、刃物２５によってカット面２４で切断されたベビーリーフ野菜は、蓋体４の表面板α１２の裏面に重なり合って乗った状態で、略一定の方向に横倒しになって切断される。切断され横倒しになったベビーリーフ野菜は、それぞれの開口面の孔の幅より、長さがあるため、横倒しになると、その開口面の孔より落下することなく、表面板α１２上に留まるようになっている。さらに切断されたベビーリーフ野菜が多段に高さをもって重なり合っても蓋体４の外周板α１１を乗り越えて落下するベビーリーフ野菜は少なく、蓋体４自体を作業者が持ち上げて収穫物を集める容器または整列させる工程に一度にしかも簡単に移動することが出来るようになっている。
【００３３】
カット面２４を刃物２５によって極力少ない回数で同じ方向から切断を行うと、ベビーリーフ野菜の本葉、即ち商品の倒れる方向は同一となり、同じ方向を向いたまま袋詰めを容易に行うことが出来るので、商品の視覚を良好にする効果を有して、商品に付加価値をもたらすことが出来る。
【実施例２】
【００３４】
図８に示す栽培トレイ３１は、第二の実施の形態を示す栽培トレイ３１であって、ベーストレイ２と補助トレイ３３と蓋体３４から形成されている。
【００３５】
ベーストレイ２は実施例１に示すベーストレイ２と同様の物であって、縦横方向の格子状に区画された四角形状または円柱形状及び逆円錐形状からなる空間を有する複数のセル５と、そのセル５が配置された外周を囲うリブ６と、リブ６の外周の備えられた平面のフランジ７から構成されている。セル５の底面には水の給排水のための給排水口８が備えられていて、その形状は円径の孔であったり、セル５の側面と底面に連なる溝であっても良い。
【００３６】
補助トレイ３３は、縦横の格子からなる網体から形成され、ベーストレイ２の表面と並行な上面網面３６と、その垂直方向の外周を覆う外周網面３５とで構成されている。外周網面３５は上面網面３６の対向する二辺か四辺全てに設けられているものであって、網目は針金のような線形の細い金属であるとよく、極力開口率を妨げないような線４１で構成されている。
【００３７】
蓋体３４も補助トレイ３３と同様に、補助トレイ３３の上面網面３６と平行となる上面網面α３７と垂直方向の外周を覆う外周網面α３８とで構成されている。
【００３８】
前記補助トレイ３３と蓋体３４のそれぞれの網目は同一でなくてもよく、その網目は、１０ｍｍから３０ｍｍ間隔で配置されていると良い。
【００３９】
図９に示すように、栽培トレイ３１はベーストレイ２のリブ６の外周面に接して、フランジ７に補助トレイ３３の外周網面３５の縁が乗って、ベーストレイ２の上面から補助トレイ３３の上面網面３６までの空間４０を備えて配置されている。さらに、蓋体３４は補助トレイ３３の上面網面３６と蓋体３４の上面網面α３７が接するように配置されていている。それぞれの上面網面の網を形成する線４１は、実施例１とは異なりそれぞれが重なり合う必要は無いが、図９ではそれぞれの線４１が重なり合うように表している。
【００４０】
空間４０は実施例１と同様に、子葉の成長の長さによって、いくつかの高さを持った物や、空間４０の高さを容易に変えられるようになっているものである。図示はしないが、子葉は空間４０内に納まるように成長し、それぞれの上面網面の開口面を本葉２３が通過して成長し、二週間から三週間経過後に補助トレイ３３と蓋体３４の密着面を若干開放してカット面２４とし、刃物２５をカット面２４を通過させて、ベビーリーフ野菜の切断作業を行うものである。さらに切断したベビーリーフ野菜の本葉２３は蓋体３４の上面網面α３７上で横倒しになるため、網の穴から落ちることなく、そして蓋体３４を作業者が移動することによって容易にベビーリーフ野菜を容易に、しかも傷つけることなく良質な状態を保ったまま収穫を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第一の実施に用いる栽培トレイの斜視図である。
【図２】第一の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の正面断面図である。
【図３】図２の他例を示した正面断面図である。
【図４】第一の実施の栽培トレイの使用状態を示した正面断面図である。
【図５】第一の実施の栽培状態を示す正面断面図である。
【図６】図５における第一の実施の切断位置と切断状態を示す正面図である。
【図７】第一の実施の収穫の状態を示した正面図である。
【図８】本発明に係わるベビーリーフ野菜の栽培方法及びその栽培トレイの第二の実施に用いる栽培トレイの斜視図である。
【図９】第二の実施の栽培トレイにおける、ベーストレイ、補助トレイ及び蓋体の関係を表した正面断面図である。
【符号の説明】
【００４２】
１ 栽培トレイ
２ ベーストレイ
３ 補助トレイ
４ 蓋体
５ セル
６ リブ
７ フランジ
８ 給排水口
９ 外周板
１０ 表面板
１１ 外周板α
１２ 表面板α
１３ ピン
１４ 突起部
１５ 容器底面
１６ 培養土
１７ 種子
１８ 開口面
１９ 開口面α
２０ 水位
２１ 空間
２２ 子葉
２３ 本葉
２４ カット面
２５ 刃物
３１ 栽培トレイ
３３ 補助トレイ
３４ 蓋体
３５ 外周網面
３６ 上面網面
３７ 上面網面α
３８ 外周網面α
４０ 空間
４１ 線
【特許請求の範囲】
【請求項１】
植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、
その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて設け、
各セルでベビーリーフ野菜が、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とする、
ベビーリーフ野菜の栽培方法。
【請求項２】
ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、
そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とする、
請求項１記載のベビーリーフ野菜の栽培方法。
【請求項３】
補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とする、
請求項１または請求項２記載のベビーリーフ野菜の栽培方法。
【請求項４】
植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、
その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて備えて、
各セルで生育するベビーリーフ野菜が、
補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育させることを特徴とする、
ベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項５】
ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、
そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するように構成したことを特徴とする、
請求項４記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項６】
補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて育成するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とする、
請求項４または請求項５記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項７】
ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、
補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周板と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面板からなり、前記外周板にはベーストレイと補助トレイの空間と外部を連通する複数の孔が設けられ、上面板には複数のセルに対向する孔を備えると共に、蓋体は上面板の孔と同一の孔を設けたことを特徴とする、
請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項８】
ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、
補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周網面と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面網面からなる網体であって、蓋体においても補助トレイと同等網体であることを特徴とする、
請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項１】
植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、
その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて設け、
各セルでベビーリーフ野菜が、補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とする、
ベビーリーフ野菜の栽培方法。
【請求項２】
ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、
そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育することを特徴とする、
請求項１記載のベビーリーフ野菜の栽培方法。
【請求項３】
補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とする、
請求項１または請求項２記載のベビーリーフ野菜の栽培方法。
【請求項４】
植物の生育を行う複数のセルを備えたベーストレイに、
その上面から空間をもって被せる補助トレイと、補助トレイと同じ開口面を備えた蓋体を、補助トレイの上面に密着させて備えて、
各セルで生育するベビーリーフ野菜が、
補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育させることを特徴とする、
ベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項５】
ベーストレイと補助トレイとの空間は、ベーストレイで生育する野菜の子葉がその空間内に納まる高さをもって、
そして、本葉は補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて生育するように構成したことを特徴とする、
請求項４記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項６】
補助トレイと蓋体の開口面を通り抜けて育成するベビーリーフ野菜を、補助トレイと蓋体の密着面を開放してベビーリーフ野菜の切断面とすることを特徴とする、
請求項４または請求項５記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項７】
ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、
補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周板と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面板からなり、前記外周板にはベーストレイと補助トレイの空間と外部を連通する複数の孔が設けられ、上面板には複数のセルに対向する孔を備えると共に、蓋体は上面板の孔と同一の孔を設けたことを特徴とする、
請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【請求項８】
ベーストレイは外周を覆うリブと、縦横方向の複数の格子からなる複数のセルを備え、
補助トレイはベーストレイの外周を覆うリブに接する垂直方向の外周網面と、ベーストレイの上面と空間をもって平行に備える上面網面からなる網体であって、蓋体においても補助トレイと同等網体であることを特徴とする、
請求項４、５または請求項６記載のベビーリーフ野菜の栽培トレイ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００８−１３１８７３（Ｐ２００８−１３１８７３Ａ）
【公開日】平成２０年６月１２日（２００８．６．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３１９４０２（Ｐ２００６−３１９４０２）
【出願日】平成１８年１１月２８日（２００６．１１．２８）
【出願人】（０００００１４６５）金子農機株式会社 (53)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年６月１２日（２００８．６．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月２８日（２００６．１１．２８）
【出願人】（０００００１４６５）金子農機株式会社 (53)
【Ｆターム（参考）】
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