説明

ベローズ式選択取水設備

【課題】取水設備を耐久性に優れ維持管理費を低減可能にすること、製作費や据え付け費の面で格段に有利にすること、蛇腹状取水筒を整然と折り畳み可能にすること、蛇腹状取水筒に共振振動が生じるのを防止可能にすること。
【解決手段】ダムの任意層の水を取水する為、ダム堤体に沿って鉛直に配設される取水通路形成体5を伸縮可能な蛇腹状取水筒20で構成し、蛇腹状取水筒20は円錐台の外周形状を持つ環状体21を複数直列状に連結して複数の内径側パイプ材と外径側パイプ材とを介して連結され、蛇腹状取水筒をその下端部が接続される水路接続体の環状受部上に整然と折り畳み可能にし、蛇腹状取水筒の高さ方向途中部に水平方向への変位を規制する中間支持機構を設け、上下に隣接する各対の外径側パイプ材同士を連結する複数のバンド部材を設け、折り畳み時にバンド部材が確実に外側へ屈曲可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダムなどの貯水施設の任意層の水を取水する為の取水設備に関し、特に蛇腹状取水筒を主体として構成したベローズ式選択取水設備において、収縮状態に折り畳んだときの折り畳み形態を改良し、蛇腹状取水筒の最大伸び状態規制用の複数のベルト部材の連結構造を改良し、蛇腹状取水筒の高さ方向の途中部が水平方向へ移動しないように規制されて上下方向に移動可能に支持される機構を追加したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水用ダム、農業用ダム、その他の多目的ダムには、取水呑口の高さ位置を自由に調節可能な取水設備が設けられる。従来の取水設備として、特許文献に示すような、複数の直径の異なるゲート管を直列状に接続してテレスコピックに伸縮可能に構成し、上端に取水呑口を設けてなる円形多段型ゲートが広く採用されている。
【特許文献1】特開平10−331136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の円形多段型ゲートからなる取水設備では、複数の直径の異なるゲート管が鋼製のものであるため、その製作費が高価になり、複数のゲート管を伸縮させる為の昇降駆動装置も大型化して高価になるなど、製作費や据付け費が全体として高価になる。しかも、鋼製の複数のゲート管が腐食しやすく耐久性に劣り、長期の使用の間の維持管理費も高価になる、などの問題がある。そこで、近年、ステンレス鋼製のゲート管を採用したものが実用に供されているが、製作コストが高価である。
【0004】
そこで、本願発明者等は、特願2004−157125号において、前記取水設備における取水通路形成体を伸縮可能な蛇腹状取水筒で構成し、その蛇腹状取水筒を、補強繊維入りの合成樹脂又はゴム製の可撓性を有する環状体であって円錐台の外周形状を持つ環状体を複数直列状に連結して構成するベローズ式選択取水設備を提案し、この取水設備の開発研究を行って来た。
【0005】
図19−1〜図19−5は、前記のベローズ式選択取水設備の蛇腹状取水筒100の下端付近部分の片側半分の断面を示し、蛇腹状取水筒100を水路接続体101の内周側の収容受部102上に収縮状態に折り畳む際の挙動を示す。この選択取水設備では、収容受部102が下方程小径化するテーパ状に形成され、蛇腹状取水筒100の下端部分には下方に向かって大径化する可撓性のある環状体103が配設されてその環状体103の下端の大径端部が収容受部102の上端に接続されている。
【0006】
蛇腹状取水筒100における上下に隣接する環状体103の小径端部同士は環状の内径側パイプ材104で連結され、上下に隣接する環状体103の大径端部同士は環状の外径側パイプ材105で連結されている。蛇腹状取水筒100を収縮状態に折り畳む際に、内外の水圧差がない状態では、折り畳む際の問題はない。しかし、図示のように、蛇腹状取水筒100に外側から水圧が作用する際には、外径側パイプ材105が内径側パイプ材104よりも重いことにも起因して、図19−4〜図19−5に示すように、蛇腹状取水筒100の外面側において環状体103同士間に水を抱き込んだまま、蛇腹状取水筒100が折り畳まれてしまう。そのため、複数の環状体103を整然と接近状に重ね合わせた状態に折り畳むことが難しいという問題がある。
【0007】
さらに、上下に隣接する各対の外径側パイプ材105同士の最大離間距離を規制する為に、各対の外径側パイプ材105同士を連結する複数(周方向の6ケ所)のバンド部材106が設けられているが、外径側パイプ材105に連結する部位において、上側のバンド部材106の下端部と下側のバンド部材106の上端部との高さ方向の位置がラップするという関係上、それらバンド部材106の中心線を周方向にずらして配設していたため、上下のバンド部材106から外径側パイプ材105に曲げモーメントが作用し、強度上不利になるという問題もあった。そして、蛇腹状取水筒100の折り畳みの際に全部のバンド部材106が蛇腹状取水筒100から遠のくように外側へ屈曲するとは限らず、一部のバンド部材106が内側へ屈曲して折り畳まれた蛇腹状取水筒100の環状体103の間に挟まることがあるという問題がある。
【0008】
さらに、蛇腹状取水筒100が円滑に上下に伸縮できるように、蛇腹状取水筒100の外周側の周方向3ケ所に対応する位置において、鉛直に張設した3本のワイヤにより、全部の外径側パイプ材105を案内するワイヤ式案内機構が採用されていた。ところで、蛇腹状取水筒100内を水が流れる際に、その水流に伴う振動が蛇腹状取水筒100に発生するが、前記のワイヤ式案内機構の比較的低い固有振動数と水流に伴う振動が共振する虞がある。そこで、水流の流速を下げるために、蛇腹状取水筒100を大径化すると、蛇腹状取水筒100が大型化し、このベローズ式選択取水設備の設備費低減の特長がかなり損なわれてしまう。
【0009】
本発明の目的は、耐久性に優れ維持管理費を低減可能な取水設備を提供すること、製作費や据え付け費の面で格段に有利な取水設備を提供すること、整然と折り畳み可能な蛇腹状取水筒を有する取水設備を提供すること、蛇腹状取水筒に共振振動が生じるのを防止可能な取水設備を提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のベローズ式選択取水設備は、ダムなどの貯水施設の任意層の水を取水する為の取水設備において、貯水の全高にわたる鉛直構造体に沿って上端に取水呑口を有する取水通路形成体を鉛直姿勢に設け、この取水通路形成体を伸縮可能な蛇腹状取水筒で構成し、前記蛇腹状取水筒は、補強繊維入りの合成樹脂又はゴム製の可撓性を有する環状体であって円錐台の外周形状を持つ環状体を複数直列状に連結して構成され、前記蛇腹状取水筒の下端部を放水水路に接続する水路接続体と、この水路接続体の外周部に形成され下方程大径化したテーパ状の環状受部を有する水路接続体を設け、前記蛇腹状取水筒をその下端側に収縮状態に折り畳むとき、前記複数の環状体を前記環状受部上に同一姿勢に接近状に重ね合せ可能に構成したものである。
【0011】
このベローズ式選択取水設備においては、蛇腹状取水筒を伸縮させることで、取水呑口の高さ位置を変えて任意層の水を取水できる。蛇腹状取水筒の下端部は水路接続体に接続されて放水水路に接続されている。水路接続体の外周部には、下方程大径化したテーパ状の環状受部が形成され、前記蛇腹状取水筒をその下端側に収縮状態に折り畳む時、前記蛇腹状取水筒を構成する複数の環状体が環状受部上に同一姿勢に接近状に重ね合わされる。
【0012】
請求項2のベローズ式選択取水設備は、請求項1の発明において、上下に隣接する各対の環状体の小径端部同士を連結する金属製の環状の内径側パイプ材を複数設け、上下に隣接する各対の環状体の大径端部同士を連結する金属製の環状の外径側パイプ材を複数設けたものである。
【0013】
請求項3のベローズ式選択取水設備は、請求項1の発明において、前記蛇腹状取水筒の最下端部分には、上端に大径端部を有し且つ下端に小径端部を有する環状体を配置し、この環状体の小径端部が前記環状受部の上端部に接続されたものである。
【0014】
請求項4のベローズ式選択取水設備は、請求項2の発明において、上下に隣接する各対の外径側パイプ材同士間の最大離間距離を規制する為に、前記各対の外径側パイプ材同士を連結する複数のバンド部材を設けたものである。
【0015】
請求項5のベローズ式選択取水設備は、請求項4の発明において、前記蛇腹状取水筒のほぼ全長に亙って上下方向に列をなす複数のバンド部材はそれらの中心線を一致させた直列状に配設され、各バンド部材は、バンド部材の大部分を構成するバンド部材本体とこのバンド部材本体の下端部に連結された1対のリンク部材とで構成されたものである。
請求項6のベローズ式選択取水設備は、請求項5の発明において、前記リンク部材が蛇腹状取水筒の内方へ倒れないように規制するストッパーを外径側パイプ材に固定的に設けたものである。
【0016】
請求項7のベローズ式選択取水設備は、請求項4〜6の何れかの発明において、前記バンド部材本体は補強繊維入りの可撓性のある成形体で構成され、このバンド部材本体は、前記蛇腹状取水筒を折り畳む際に蛇腹状取水筒から遠のくように外側へ屈曲するように癖付けして成形されたものである。
【0017】
請求項8のベローズ式選択取水設備は、請求項1〜7の何れかの発明において、前記蛇腹状取水筒の高さ方向の1又は複数の途中部に、外径側パイプ材として機能する円環体と、この円環体に固定されて水平に延びる複数の腕部材と、各腕部材の先端部に装備した複数のガイドローラとを設け、鉛直構造体と一体の複数の側壁構造に、複数の腕部材の先端部のガイドローラを夫々上下方向に移動自在に案内する案内レールを設け、前記円環体と複数の腕部材と複数のガイドローラと案内レールとを有する中間支持機構により、前記蛇腹状取水筒の高さ方向の1又は複数の途中部が水平方向へ移動しないように規制されて上下方向に移動可能に支持されるように構成したものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、取水通路形成体を伸縮可能な蛇腹状取水筒で構成するが、蛇腹状取水筒は補強繊維入りの可撓性のある合成樹脂やゴム材料で構成することができるため、製作費を低減でき、軽量化できるため蛇腹状取水筒を昇降する為の昇降駆動装置の小型化を図ることも可能で、取水設備全体の建設費を低減可能である。
また、蛇腹状取水筒は、耐蝕性に優れるものに構成できるから、耐蝕性と耐久性を高め、維持管理を簡単化し、維持管理費を低減することができる。蛇腹状取水筒が円錐台の外周形状を持つ環状体を複数直列状に連結して構成されるため、1種類の環状体を複数製作すればよいので、蛇腹状取水筒を安価に製作可能である。
【0019】
蛇腹状取水筒を折り畳む際に、水路接続体の外周部の下方程大径化した環状受部上に、蛇腹状取水筒の複数の環状体を同一姿勢で近接状に重ね合わせることができるので、蛇腹状取水筒の外面側に水圧が作用する場合でも、複数の環状体を整然と近接状に重ね合わせて折り畳むことができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、環状体の小径端部を内径側パイプ材に連結するため環状体を強く屈曲させる必要がなく、蛇腹状取水筒の伸縮に伴う環状体の歪み量を小さくして耐久性を高めることができる。環状体の大径端部を外径側パイプ材に連結するため環状体を強く屈曲させる必要がなく、蛇腹状取水筒の伸縮に伴う環状体の歪み量を小さくして耐久性を高めることができる。
【0021】
接続3の発明によれば、蛇腹状取水筒の最下端部分には、上端に大径端部を有し且つ下端に小径端部を有する環状体を配置し、この環状体の小径端部が前記環状受部の上端部に接続されるため、蛇腹状取水筒の取水通路を水路接続体内の水路に接続できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、複数のバンド部材により上下に隣接する外径側パイプ材同士の最大離間距離を規制するため、環状体に無理な荷重が作用するのを防止でき、耐久性を確保できる。
【0023】
請求項5の発明によれば、蛇腹状取水筒のほぼ全長に亙って上下方向に列をなす複数のバンド部材はそれらの中心線を一致させた直列状に配設されているため、バンド部材から外径側パイプ材に曲げモーメントが作用しないから強度的に有利である。しかも、各バンド部材は、バンド部材の大部分を構成するバンド部材本体とこのバンド部材本体の下端部に連結された1対のリンク部材とで構成されているため、蛇腹状取水筒を収縮させる際に、1対のリンク部材を介してバンド部材を外側へ屈曲させることができる。
請求項6の発明によれば、リンク部材が蛇腹状取水筒の内方へ倒れないように規制するストッパーを外径側パイプ材に固定的に設けたので、蛇腹状取水筒を収縮させる際に、リンク部材が蛇腹状取水筒の外方へ倒れて、バンド部材を外側へ屈曲させることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、バンド部材本体は補強繊維入りの可撓性のある成形体で構成され、このバンド部材本体は、前記蛇腹状取水筒を折り畳む際に蛇腹状取水筒から遠のくように外側へ屈曲するように癖付けして成形されているため、蛇腹状取水筒を収縮させる際に、バンド部材を確実に外側へ屈曲させることができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、蛇腹状取水筒の高さ方向の1又は複数の途中部に、外径側パイプ材として機能する円環体と、この円環体に固定されて水平に延びる複数の腕部材と、各腕部材の先端部に装備した複数のガイドローラとを設け、鉛直構造体と一体の複数の側壁構造に、複数の腕部材の先端部のガイドローラを夫々上下方向に移動自在に案内する案内レールを設け、この円環体と複数の腕部材と複数のガイドローラと案内レールとを有する中間支持機構により、蛇腹状取水筒の高さ方向の1又は複数の途中部が水平方向へ移動しないように規制されて上下方向に移動可能に支持されるように構成したので、蛇腹状取水筒内を流れる水流により蛇腹状取水筒が振動するとき、円環体と腕部の高さ位置の部位が振動の節部となる。つまり、円環体と腕部の高さ位置を適切に設定することにより、蛇腹状取水筒内を流れる水流による振動と蛇腹状取水筒の固有振動との共振を回避することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のベローズ式選択取水設備は、ダムなどの貯水施設の任意層の水を取水する為の取水設備において、貯水の全高にわたる鉛直構造体に沿って上端に取水呑口を有する取水通路形成体を鉛直姿勢に設け、この取水通路形成体を伸縮可能な蛇腹状取水筒で構成し、前記蛇腹状取水筒は、補強繊維入りの合成樹脂又はゴム製の可撓性を有する環状体であって円錐台の外周形状を持つ環状体を複数直列状に連結して構成され、前記蛇腹状取水筒の下端部を放水水路に接続する水路接続体と、この水路接続体の外周部に形成され下方程大径化したテーパ状の環状受部を有する水路接続体を設け、前記蛇腹状取水筒をその下端側に収縮状態に折り畳むとき、前記複数の環状体を前記環状受部上に同一姿勢に接近状に重ね合せ可能に構成したものである。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1〜図7に示すように、このベローズ式選択取水設備1はダム(貯水施設に相当する)の水面付近及び任意層の水を取水する為のものであり、このベローズ式選択取水設備1は、ダムの貯水側においてコンクリート製のダム堤体2(貯水の全高にわたる鉛直構造体に相当する)に沿って鉛直姿勢に配設されている。このベローズ式選択取水設備1の前面側には、浮遊物やゴミ等の異物の進入を防止する為のスクリーン3が設けられ、ベローズ式選択取水設備1の左右両側には、ダム堤体2と一体的に形成されたコンクリート製の側壁体4が形成されている。
【0028】
ベローズ式選択取水設備1は、スクリーン3、取水通路形成体5を構成する蛇腹状取水筒20、この取水通路形成体5の上端の取水呑口6を形成する取水呑口形成体7、取水呑口形成体7に付設された1組のフック部材8、蛇腹状取水筒20の上端部が連結された取水呑口形成体7を昇降させる為の昇降駆動装置9、休止台10、制水蓋11、休止台10を回動させる為の補助昇降駆動装置12、蛇腹状取水筒20の下端部に接続された水路接続体40などを有する。
【0029】
前記取水通路形成体5はダム堤体2に沿って鉛直姿勢に配設されて上端に取水呑口6を有し、この取水通路形成体5は伸縮可能な蛇腹状取水筒20で構成されている。蛇腹状取水筒20は、直列状に連結された可撓性のある複数の環状体21、複数の内径側パイプ材22、複数の外径側パイプ材23、複数のバンド部材24などで構成されている(図7,図13,図16参照)。
【0030】
図2,図7,図9に示すように、環状体21は、補強繊維(例えばナイロン繊維等)入りの合成樹脂又はゴム製の可撓性を有する環状体(例えば厚さ5mm)であって円錐台の外周形状を持つ環状体である。蛇腹状取水筒20における、最上端の環状体21は小径端部21a(内周端部)を上側にして取水呑口形成体7に接続され、小径端部21aを上側にした環状体21と大径端部21b(外周端部)を上側にした環状体21とが交互に配置され隣接する環状体21同士が連結されている。複数の環状体21は共通の成形型で成形される同構造・同形状のものである。
【0031】
図7,図16に示すように、上下に隣接する環状体21の小径端部21aをステンレス製の環状の内径側パイプ材22の上下両面に重ね、ステンレス製の環状当板25をボルト締結することで固定されている。内径側パイプ材22の下面において環状当板25には周方向適当間隔おきにスペーサ26が固定されている。上下に隣接する環状体21の大径端部21bをステンレス製の環状の外径側パイプ材23の上下両面に重ね、ステンレス製の環状当板27をボルト締結することで固定されている。外径側パイプ材23の下面において環状当板27には周方向適当間隔おきにスペーサ28が固定されている。尚、図16は蛇腹状取水筒20を最大限収縮させた折り畳み状態を示すものであり、この状態では、スペーサ26,28の下端が環状当板25,27に夫々当接する。
【0032】
図13〜図16に示すように、蛇腹状取水筒20を伸長させた状態のときの、上下に隣接する各対(各組)の外径側パイプ材23同士間の最大離隔距離を規制する為に、上下に隣接する各対の外径側パイプ材23同士を連結する複数(例えば6本)のバンド部材24が周方向等間隔の6ケ所に設けられている。バンド部材24は、その大部分を構成するバンド部材本体30と、このバンド部材本体30の下端部に連結された1対のリンク部材31とを有する。
【0033】
バンド部材本体30は、高張力に耐える補強繊維(例えばアラミド繊維など)入りの合成樹脂又はゴム製の帯状の可撓性のある成形体で構成され、このバンド部材本体30の上下両端部にはピン連結部30a,30bが形成されている。外径側パイプ材23の外周部にバンド部材24を連結する連結構造に関して、外径側パイプ材23の外周面には当板50を挟んで、断面「エ」字状のスペーサ部材51がボルトにて固定され、このスペーサ部材51の外面には1対の立向きのブラケット52が固定され、この1対の立向きのブラケット52に水平の連結ピン53が架着されている。
【0034】
その水平の連結ピン53の両端付近に1対のリンク部材31の下端部が枢着され、これら1対のリンク部材31の間において連結ピン53には、下側のバンド部材本体部30の上端部のピン連結部30aが連結されている。また、1対のリンク部材31の上端部には水平の連結ピン54が架着され、その水平の連結ピン54には、上側のバンド部材本体部30の下端部のピン連結部30bが連結されている。図15に示すように、蛇腹状取水筒20のほぼ全長に亙って上下方向に列をなす複数のバンド部材24,24,・・は、それらの中心線55を一致させた直列状に配設されている。これは、1対のリンク部材31を設けたことで実現されている。その結果、上下のバンド部材24から外径側パイプ材23に曲げモーメントが作用することがなく、強度的に有利になっている。尚、前記のように、外径側パイプ材23の周方向同位置において、上側のバンド部材24(リンク部材31)の下端部と下側のバンド部材24(バンド部材本体部30)の上端部とを高さ方向にずらして連結する構造については、上記構造以外の種々の構造を採用可能である。
【0035】
蛇腹状取水筒20を収縮状態に折り畳む際に、図16に示すように、バンド部材24が蛇腹状取水筒20から遠のくように外側へ屈曲するように、バンド部材24の中段高さ部位に対応するバンド部材本体部30の部位には、前記のように外側へ屈曲するように癖付けして成形した屈曲部30aが形成されており、リンク部材31が内方へ倒れないように規制するストッパー56(図14、図16、図17参照)がブラケット52に設けられいる。それ故、蛇腹状取水筒20を収縮させて折り畳む際に、図16に示すように、全部のバンド部材24が外側へ確実に屈曲する。
【0036】
尚、図17は、外径側パイプ材23として機能する後述する円環体23Aにバンド部材24の下端部と上端部を連結する構造を示す。円環体23Aの外周側の上端部分には、当板50A、スペーサ51A、ブラケット52A、連結ピン53、連結ピン54、バンド部材24(リンク部材31)などが連結されている。円環体23Aの外周側の下端部分には、当板50A、スペーサ51A、ブラケット52A、連結ピン53A、バンド部材24(バンド部材本体部30)などが連結されている。
【0037】
図2,図7,図8に示すように、全部の外径側パイプ材23を鉛直方向に案内する為の複数(例えば蛇腹状取水筒20の両側に2本)のガイドワイヤ33が鉛直に取水設備の全高にわたって張設され、これらガイドワイヤ33は、外径側パイプ材23に突設された被ガイド片32の穴を挿通し、全部の外径側パイプ材23を鉛直方向に案内している。
【0038】
図2、図5に示すように、取水呑口形成体7は、ステンレス製の板材により平面視にて扇形のボックス状に形成され、その前面側に矩形状の取水呑口6が形成されている。この取水呑口形成体7から左右に延びたアーム34の先端には案内用の3つのローラ35a,35b,35bが夫々設けられている。左右の側壁体4(側壁構造に相当する)にはローラ35a,35b,35bを案内するステンレス製の案内レール36が鉛直に延びるように設けられ、左右のアーム34の先端のローラ35a,35b,35bが案内レール36で夫々案内され、取水呑口形成体7が上下方向に円滑に昇降するように案内される。
【0039】
図10〜図12に示すように、蛇腹状取水筒20の高さ方向途中部の1又は複数個所に設ける中間支持機構60について説明する。このベローズ式選択取水設備1においては、例えば蛇腹状取水筒20の全高をほぼ3等分する高さ方向途中の2個所に装備される。中間支持機構60は、外径側パイプ材23として機能する前記の円環体23Aと、この円環体23Aに固定され且つ前記案内レール36の方へ水平に延びる1対の腕部材61と、各腕部材61の先端部に装備された3つのガイドローラ62a,62b,62bなどを有する。ローラ62aは、前記ローラ35aと同様に案内レール36の溝内を転動し、ローラ62b,62bは、前記ローラ35b,35bと同様に案内レール36の外壁面に接触して転動する。このように、中間支持機構60により、蛇腹状取水筒20の途中部が、上下動可能であるが水平方向へ殆ど変位しないように規制されている。
【0040】
図2,図3,図7,図9に示すように、蛇腹状取水筒20の下端には、ステンレス製の水路接続体40が連結され、この水路接続体40をダム堤体2の基部内の放水水路42の上端側に装備することにより、蛇腹式取水筒20内の通路が水路接続体40内の水路41を介して放水水路42に接続されている。水路接続体40の上半部の外周部には、下方程大径化したテーパ状の環状受部40aが形成されている。蛇腹状取水筒20の下端部には、小径端部21aを下側にした環状体21が配設され、その環状体21の小径端部21aが環状受部40aに接続されている。蛇腹状取水筒20を図3,図9に示すように下端側に収縮状態に折り畳むとき、複数の環状体21を環状受部40a上に同一姿勢に接近状に重ね合わせ可能に構成してある。
【0041】
図2に示すように、昇降駆動装置9は、取水呑口形成体7に連結されたワイヤを巻き取ったり繰り出したりすることにより、蛇腹状取水筒20に連結された取水呑口形成体7を昇降させるものである。この昇降駆動装置9はベローズ式選択取水設備1の上端部分の機械室14に設置されている。この昇降駆動装置9により取水呑口形成体7を昇降させることにより蛇腹状取水筒20を伸縮させることができる。
【0042】
ダムの水位が高い場合は、ほぼ水位に応じて蛇腹状取水筒20が伸長し、上端の取水呑口6からダム内の任意層(但し、通常は表層)の水が取水されて、蛇腹状取水筒20の水路と水路接続体40の水路41と放水水路42を経て放流される。ダムの水位が低い場合にも、ほぼ水位に応じて蛇腹状取水筒20が収縮し、上端の取水呑口6からダム内の任意層(但し、通常は表層)の水が取水されて、前記と同様に放流される。
【0043】
水路接続体40の前面部には、蛇腹状取水筒20の下端よりも下側に、保安ゲート13が設けられている。例えば、取水呑口6にゴミが詰まったりして、ダム内の水圧と蛇腹状取水筒20内の水圧の水頭差が所定値以上になった場合に、保安ゲート13が自動的に水平姿勢に回動して開くようになっている。
【0044】
蛇腹状取水筒20を点検したり修理したりする場合には、図3に示すように、蛇腹状取水筒20を最大限収縮した状態にし、図示のフック部材8を更に下降させて水路接続体40の上端に係合させてから、最大限収縮した状態の蛇腹状取水筒20と水路接続体40とを図2に鎖線で図示の上昇位置まで引き上げて、蛇腹状取水筒20の点検や修理を行う。
【0045】
また、放水水路42を点検したり修理したりする場合には、前記と同様に、収縮状態の蛇腹状取水筒20と水路接続体40とを図2に鎖線で示す最大上昇位置まで上昇させ、補助昇降駆動装置12により、休止台10を水平姿勢まで回動させ、休止台10に装備している制水蓋11を水路接続体40の水路41の下端側にボルトで固定し、その後それらの全体を下降させ、制水蓋11により放水水路42の上端を閉鎖し、放水水路42へ水が流れないようにする。
【0046】
次に、以上説明したベローズ式選択取水設備1の作用、効果について説明する。
昇降駆動装置9により取水呑口形成体7を昇降させることにより蛇腹状取水筒20を伸縮させることができる。ダムの水位に応じて、蛇腹状取水筒20を伸縮させることで、ダムの任意層の水を選択的に取水して放流する作用については既述のとおりである。
【0047】
取水通路形成体5を伸縮可能な蛇腹状取水筒20で構成し、蛇腹状取水筒20は複数の環状体21を直列状に連結して構成され、環状体21は補強繊維入りの可撓性のある合成樹脂やゴム材料で構成してあるため、蛇腹状取水筒20の製作費を低減でき、軽量化できるため蛇腹状取水筒20を昇降する為の昇降駆動装置9の小型化を図ることも可能で、取水設備1全体の建設費を低減することができる。蛇腹状取水筒20は、耐蝕性に優れるものに構成できるから、耐蝕性と耐久性を高め、長期の使用の間の維持管理を簡単化し、維持管理費を低減することができる。
【0048】
水路接続体40の外周部には、下方程大径化したテーパ状の環状受部40aが形成され、前記蛇腹状取水筒20をその下端側に収縮状態に折り畳む時、蛇腹状取水筒20を構成する複数の環状体21が環状受部40a上に同一姿勢に接近状に重ね合わされる。
【0049】
図18−1〜図18−2は、昇降駆動装置9により取水呑口形成体7を下降させることで、蛇腹状取水筒20を収縮状態に折り畳む際の挙動を示すものである。このとき、蛇腹状取水筒20の下端側の環状体21から順に環状受部21の上に重ねられるが、蛇腹状取水筒20に外側から水圧が作用する場合でも、外径側パイプ材23が内径側パイプ材22よりも重いことも起因して、図18−3,図18−4に示すように、上下に隣接する環状体21と環状体との間に水を抱き込むことなく、上下の環状体21,21がほぼ密着状に重なるように折り畳まれる(図3,図9参照)。
【0050】
環状体21の小径端部21aを内径側パイプ材22に連結するため、環状体21を強く屈曲させる必要がなく、蛇腹状取水筒20の伸縮に伴う環状体21の歪み量を小さくして耐久性を高めることができる。環状体21の大径端部21bを外径側パイプ材23に連結するため環状体21を強く屈曲させる必要がなく、蛇腹状取水筒20の伸縮に伴う環状体21の歪み量を小さくして耐久性を高めることができる。
【0051】
環状体21の小径端部21a(内周端部)が内径側パイプ材22に連結され、環状体21の大径端部21b(外周端部)が外径側パイプ材23に連結され、複数の環状体21の内外両端部が内径側および外径側パイプ材22,23により補強され形状保持されるため、蛇腹状取水筒20が損傷しにくくなり、耐久性を高めることができる。
【0052】
複数のバンド部材24により上下に隣接する外径側パイプ材23同士の最大離間距離を規制するため、環状体21に無理な荷重が作用するのを防止でき、耐久性を確保できる。 しかも、蛇腹状取水筒20のほぼ全長に亙って上下方向に列をなす複数のバンド部材24はそれらの中心線55を一致させた直列状に配設されているため、バンド部材24から外径側パイプ材23に曲げモーメントが作用しないから強度的に有利である。
【0053】
しかも、各バンド部材24は、バンド部材24の大部分を構成するバンド部材本体30とこのバンド部材本体30の下端部に連結された1対のリンク部材31とで構成されているため、また、リンク部材31が内方へ倒れないように規制するストッパー56が設けられているため、蛇腹状取水筒20を収縮させる際に、1対のリンク部材31を介してバンド部材24を外側へ屈曲させることができる。しかも、バンド部材本体30の途中部に成形時に癖付けした屈曲部30aを形成するため、バンド部材24を外側へ屈曲させることができる。
【0054】
他方、複数のガイドワイヤ33によって複数の外径側パイプ材23を鉛直方向に案内するため、蛇腹状取水筒20が複数のガイドワイヤ33に沿って伸縮するように案内することができ、蛇腹状取水筒20の損傷を防止し、耐久性を高め、蛇腹状取水筒20内を流れる水流の円滑化を図ることができる。
【0055】
特に、蛇腹状取水筒20の高さ方向の途中部の複数部位(例えば、2個所)に中間支持機構60を設けて、蛇腹状取水筒20の上下動は許容しつつ水平移動しないように規制するため、蛇腹状取水筒20の固有振動数を高め、蛇腹状取水筒20内の水流による振動と共振する現象が発生するのを確実に防止することができる。蛇腹状取水筒20内の水流による振動の振動数を下げるために、蛇腹状取水筒20を大径化する必要もないので、ベローズ式選択取水設備1の設備費低減可能という特長を維持することができる。
【0056】
蛇腹状取水筒20を収縮させた状態では、複数の環状体21が同一姿勢になって接近状に重なるので、収縮状態のときの蛇腹式取水筒20の全体長さが小さくなる。そのため、ベローズ式選択取水設備1の鉛直方向長さを小さくでき、設備費の面で有利である。
蛇腹状取水筒20の下端よりも下側に保安ゲート13を設けたので、何らかの理由で蛇腹状取水筒20に過大な水圧が作用する場合に、保安ゲート13を開放して蛇腹状取水筒20が損傷するのを防止できる。
【0057】
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1]前記蛇腹状取水筒20における内径側パイプ材22の代わりに、金属製の環状板を採用し、外径側パイプ材23の代わりに金属製の環状板を採用することも可能である。これらの環状板によっても、蛇腹状取水筒20を構成する複数の環状体21を補強し形状保持することができる。或いは、隣接する環状体21の小径端部21a同士を内径側パイプ材22を省略した状態で固着し、隣接する環状体21の大径端部を外径側パイプ材23を省略した状態で固着してもよい。
【0058】
2]蛇腹状取水筒20の環状体21は、強度に優れる織布(例えば、合成樹脂製のテント用生地など)で構成したり、或いは、そのような織布の両面に低摩擦の合成樹脂コートやゴムコートを被覆したような可撓性のあるシート状(膜状)材料で構成してもよい。
3]前記蛇腹状取水筒20における内径側パイプ材22や外径側パイプ材23は合成樹脂製の成形体(パイプ材又は非パイプ材)で構成してもよい。また、蛇腹状取水筒20に使用する種々の部品の大部分を、合成樹脂製の部品で構成してもよい。
【0059】
4]前記中間支持機構60を設けるため、ガイドワイヤ33によって蛇腹状取水筒を上下方向に案内する案内機構を省略することができる。尚、中間支持機構60を設ける1又は複数の部位は、蛇腹状取水筒20の全長、直径、蛇腹状取水筒20内を流れる水流の流速等を加味して適切に設定するものとする。
5]本発明は、以上説明した実施例に限定されるものではなく、ダム以外の貯水施設(、貯水池、堰、湖沼、河川、海など)から取水する取水設備に適用可能であり、また、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係るベローズ式選択取水設備の正面図である。
【図2】ベローズ式選択取水設備とダム堤体の縦断面図である。
【図3】蛇腹状取水筒を最下位置に収縮させた状態を示す要部断面図である。
【図4】昇降駆動装置と補助昇降駆動装置を収容した機械室の平面図である。
【図5】ベローズ式選択取水設備の平面図である。
【図6】ベローズ式選択取水設備の横断面図である。
【図7】伸長状態にした蛇腹状取水筒と水路接続体の要部縦断面図である。
【図8】外径側パイプ材とガイドワイヤを示す要部縦断面図である。
【図9】ほぼ収縮状態にした蛇腹状取水筒の要部縦断面図である。
【図10】ベローズ式選択取水設備の中間支持機構の部分を示す要部縦断面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図10の要部を拡大した縦断面図である。
【図13】蛇腹状取水筒のバンド部材を示す要部縦断面図である。
【図14】図13の要部を拡大した要部拡大断面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】蛇腹状取水筒の下端側部分を折り畳んだ状態を示す要部縦断面図である。
【図17】円環体とバンド部材の端部を示す要部縦断面図である。
【図18−1】蛇腹状取水筒の折り畳み開始直前の挙動を説明する説明図である。
【図18−2】蛇腹状取水筒の折り畳み開始直後の挙動を説明する説明図である。
【図18−3】蛇腹状取水筒の折り畳み開始後の挙動を説明する説明図である。
【図18−4】蛇腹状取水筒の折り畳み開始後2枚の環状体が重なり合った状態の挙動を説明する説明図である。
【図19−1】先行技術の蛇腹状取水筒の折り畳み開始直前の挙動を説明する説明図。
【図19−2】先行技術の蛇腹状取水筒の折り畳み開始直後の挙動を説明する説明図。
【図19−3】先行技術の蛇腹状取水筒の折り畳み開始後2枚の環状体の間に水を抱き込み始めたときの挙動を説明する説明図である。
【図19−4】先行技術の蛇腹状取水筒の折り畳み開始後2枚の環状体の間に水を抱き込んだときの挙動を説明する説明図である。
【図19−5】先行技術の蛇腹状取水筒の折り畳み状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ベローズ式選択取水設備
2 ダム堤体
5 取水通路形成体
6 取水呑口
13 保安ゲート
20 蛇腹状取水筒
21 環状体
21a 小径端部
21b 大径端部
22 内径側パイプ材
23 外径側パイプ材
23A 円環体
24 バンド部材
30 バンド部材本体
31 リンク部材
33 ガイドワイヤ
36 案内レール
40 水路接続体
40a 環状受部
60 中間支持機構
61 腕部材
62a,62b ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダムなどの貯水施設の任意層の水を取水する為の取水設備において、
貯水の全高にわたる鉛直構造体に沿って上端に取水呑口を有する取水通路形成体を鉛直姿勢に設け、この取水通路形成体を伸縮可能な蛇腹状取水筒で構成し、
前記蛇腹状取水筒は、補強繊維入りの合成樹脂又はゴム製の可撓性を有する環状体であって円錐台の外周形状を持つ環状体を複数直列状に連結して構成され、
前記蛇腹状取水筒の下端部を放水水路に接続する水路接続体と、この水路接続体の外周部に形成され下方程大径化したテーパ状の環状受部を有する水路接続体を設け、
前記蛇腹状取水筒をその下端側に収縮状態に折り畳むとき、前記複数の環状体を前記環状受部上に同一姿勢に接近状に重ね合せ可能に構成した、
ことを特徴とするベローズ式選択取水設備。
【請求項2】
上下に隣接する各対の環状体の小径端部同士を連結する金属製の環状の内径側パイプ材を複数設け、上下に隣接する各対の環状体の大径端部同士を連結する金属製の環状の外径側パイプ材を複数設けたことを特徴とする請求項1に記載のベローズ式選択取水設備。
【請求項3】
前記蛇腹状取水筒の最下端部分には、上端に大径端部を有し且つ下端に小径端部を有する環状体を配置し、この環状体の小径端部が前記環状受部の上端部に接続されたことを特徴とする請求項1に記載のベローズ式選択取水設備。
【請求項4】
上下に隣接する各対の外径側パイプ材同士間の最大離間距離を規制する為に、前記各対の外径側パイプ材同士を連結する複数のバンド部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載のベローズ式選択取水設備。
【請求項5】
前記蛇腹状取水筒のほぼ全長に亙って上下方向に列をなす複数のバンド部材はそれらの中心線を一致させた直列状に配設され、各バンド部材は、バンド部材の大部分を構成するバンド部材本体とこのバンド部材本体の下端部に連結された1対のリンク部材とで構成されたことを特徴とする請求項4に記載のベローズ式選択取水設備。
【請求項6】
前記リンク部材が蛇腹状取水筒の内方へ倒れないように規制するストッパーを外径側パイプ材に固定的に設けたことを特徴とする請求項5に記載のベローズ式選択取水設備。
【請求項7】
前記バンド部材本体は補強繊維入りの可撓性のある成形体で構成され、このバンド部材本体は、前記蛇腹状取水筒を折り畳む際に蛇腹状取水筒から遠のくように外側へ屈曲するように癖付けして成形されたことを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載のベローズ式選択取水設備。
【請求項8】
前記蛇腹状取水筒の高さ方向の1又は複数の途中部に、外径側パイプ材として機能する円環体と、この円環体に固定されて水平に延びる複数の腕部材と、各腕部材の先端部に装備した複数のガイドローラとを設け、
前記鉛直構造体と一体の複数の側壁構造に、複数の腕部材の先端部のガイドローラを夫々上下方向に移動自在に案内する案内レールを設け、
前記円環体と複数の腕部材と複数のガイドローラと案内レールとを有する中間支持機構により、前記蛇腹状取水筒の高さ方向の1又は複数の途中部が水平方向へ移動しないように規制されて上下方向に移動可能に支持されるように構成したことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のベローズ式選択取水設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図18−3】
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【図18−4】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【図19−3】
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【図19−4】
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【図19−5】
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【公開番号】特開2007−120058(P2007−120058A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310853(P2005−310853)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(502102268)内閣府沖縄総合事務局長 (2)
【Fターム(参考)】