説明

ペットフード及びその製造方法

【課題】食後の血糖値の急激な上昇を抑制してインシュリンの分泌を抑え、嗜好性を損なうことなく、身体への脂肪の蓄積抑制を達成し得るペットフードの提供。
【解決手段】油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)と炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)とからなるペットフード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満予防及び改善効果を有するペットフード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のペットブームによりペットの飼育数は増大し、それに伴いペットの健康に関するさまざまな問題点が指摘されている。その一つにペットの肥満による関節疾患、心疾患、糖尿病、肝臓疾患等の増大が挙げられる。また、特に去勢・避妊手術後にホルモンバランスが狂い肥満する犬や猫が多いことも指摘されている。
【0003】
そのような中で、肥満解消を意識したペットフードが数多く市販されてきている。これらペットフードの多くは、油の量を抑えたり、重量当たりのカロリーを抑えたりしたものがほとんどである。また肥満治療等の観点から脂肪吸収抑制効果を有する薬剤を含有させたり、分解酵素の活性阻害効果のある物質を含有させたりするものも多く提案されている。
【0004】
一方で、これら肥満解消有効物質を含有させるのみならず、ペットフードの構造に注目し改良を加えた肥満解消用ペットフードも数多く報告されている。例えば、かさ密度を低下させた低エネルギー密度のペットフードが知られている(特許文献1参照)。また、(A)ジグリセリド0.1〜50重量%、(B)糖吸収遅延剤、(C)炭水化物を含有するペットフードであって、成分(B)が被覆素材であるペットフードであれば、食後の血糖値の急激な上昇を抑制し、インシュリンの分泌を抑えて脂肪を有効に吸収されにくくしまた脂肪を燃焼させて体への脂肪の蓄積を抑え肥満予防及び改善効果に優れていることも知られている(特許文献2参照)。また更に、食後の血糖反応を調整する穀粉として大麦、ハイアミローストウモロコシ、ソルガムを一定比でペットフードに含有させる技術(特許文献3)も知られている。
また一方で、膵臓から分泌されたインスリンが脂肪細胞における糖の取り込みを促進し、脂肪合成を促進し、そして脂肪分解を抑制することで体脂肪を増加させることも知られている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特表平2006−507072号公報
【特許文献2】特開平2002−306088号公報
【特許文献3】特表2002−510474号公報
【非特許文献1】骨格筋・脂肪細胞におけるインスリン作用(日医雑誌第123巻・第11号/平成12(2000)年6月1日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単にかさ密度を低下させてなるペットフードでは重量当たりのカロリーには変化が無いため、食餌重量が同じであれば肥満解消効果は全く見込めないものである。むしろ、かさ密度を低下させてなるペットフードは、かさ密度の低下により引き起こされる問題点(例えば、ペットフードの酸化速度が促進されてしまう点や貯蔵に場所をとってしまう点等)を有するものである。
【0006】
また、(A)ジグリセリド0.1〜50重量%、(B)糖吸収遅延剤、(C)炭水化物を含有するペットフードであって、成分(B)が被覆素材であるペットフードも糖吸収遅延剤を用いることで肥満予防及び改善効果に優れた効果を有しているものの、本ペットフードはインシュリン分泌抑制に対し更なる改善の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、食後の血糖値の急激な上昇を抑制してインシュリンの分泌を抑え、嗜好性を損なうことなく、身体への脂肪の蓄積抑制を達成し得るペットフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者等は、犬・猫等の摂食傾向として、ヒトに比べて咀嚼数が少なく、すぐさま丸呑みする点に着目し、ペットフードの構造に改良を加え、ペットフード中の炭水化物と脂肪との溶解タイミングに差を生じさせることとした。その結果、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差を生じさせることができ、血糖値の上昇とインシュリンの分泌上昇のタイミングをずらすと共に、食後の急激な血糖値の上昇を抑制してインシュリンの分泌を抑え、身体への脂肪の蓄積が抑制できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部、及び、(B)炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部からなるペットフードを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のペットフードであれば、ペットフード中の炭水化物と脂肪との溶解タイミングに差を生じさせることが可能である。その結果、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差が生じ、食後の血糖値の急激な上昇が抑制されるためインシュリンの分泌が抑えられ、ペットに対して通常の食餌配合及び食餌重量を与えても、身体への脂肪の蓄積が抑制される効果が得られる。このような本発明のペットフードは、脂肪の添加量を減じる必要がないので嗜好性も良好であり、且つ、肥満に起因する心臓病の予防、関節疾患の予防、糖尿病の予防等の効果を発揮し得る。
また、本発明のペットフードの製造方法であれば上述のとおりのペットフードを、様々な種類や大きさのペットに適宜対応して製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のペットフードは、油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)と炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)とからなる。すなわち、本発明のペットフードは、炭水化物類と油脂類が、油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)と炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)とに分離して配合されてなるものである。従って、ペットフード中の炭水化物と脂肪との溶解タイミングに差が生じ、その結果、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差が生じ、食後の血糖値の急激な上昇を抑制してインシュリンの分泌を抑え、嗜好性を損なうことなく、身体への脂肪の蓄積抑制が達成される。
【0012】
本発明のペットフードにおいて油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)及び炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)の占める割合は、様々な種類のペットに対応して適宜変更可能であるが、例えば、(A)は、ペットフード中10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に30〜70重量%占めると好ましい。一方、(B)は、ペットフード中10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に30〜70重量%占めると好ましい。
【0013】
また、本発明のペットフードにおいて油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)と、炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)とが存在する形態は、当該炭化水素含有部(A)と当該油脂類含有部(B)とが分離して配合されていればよく、例えば、(A)の中に(B)の粒が散在する形態、(B)の中に(A)の粒が散在する形態、(A)と(B)とが層状の構成を成す形態、(A)が(B)により一部もしくは全部被覆された形態、(B)が(A)により一部もしくは全部被覆された形態等何れの形態を取っていても良いが、好ましくは、炭水化物と脂肪との溶解タイミングに差が生じるよう、(A)が(B)により完全に被覆された形態、又は(B)が(A)により完全に被覆された形態が好ましい。これら炭化水素含有部(A)や当該油脂類含有部(B)の粒の大きさ、層の厚さ等の寸法については、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差を生じさせることができるよう適宜設計されれば良く、炭化水素含有部(A)や当該油脂類含有部(B)の具体的な成分によって適宜変更可能である。
【0014】
炭水化物含有部(A)及び/又は油脂含有部(B)には更にペットの栄養バランスの点から蛋白質が含有されていても良く、また、炭水化物含有部(A)には更に糖吸収阻害剤が含有されていると炭水化物等が分解されて生成した糖の体内への吸収が阻害され肥満予防・改善効果の点で好ましい。
【0015】
本発明のペットフードに用いられる油脂としては、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、亜麻仁油、ごま油、ラード、牛脂、魚油、乳脂等が挙げられるが、油脂として配合したものに限られず、他の植物原料、又は動物原料中に油脂が含有されている場合にはこれも含む。油脂は本発明のペットフード中8〜25重量%、更に10〜20重量%、特に12〜18重量%含有するのが、肥満防止効果及び摂取性の点で好ましい。
【0016】
本発明のペットフードは、全油脂中にジアシルグリセロールを20%以上含有しても良い。また、ジアシルグリセロールは、食後の血中中性脂肪濃度上昇抑制、肥満防止効果の点から、好ましくは全油脂中に25〜90重量%、更に30〜85重量%含有すると良い。
【0017】
ジアシルグリセロールは、その構成脂肪酸の80〜100%が不飽和脂肪酸(UFA)であることが好ましく、より好ましくは90〜100%、更に93〜100%、特に93〜98%、殊更94〜98%であるのが食後の血中中性脂肪濃度上昇抑制、肥満防止効果の点で好ましい。ここで、この不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、更に16〜22であるのが好ましい。
【0018】
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、オレイン酸の含有量は20〜65%、更に25〜60%、特に30〜50%、殊更30〜45%であるのが肥満防止効果及び摂取性の点で好ましい。
【0019】
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、リノール酸の含有量は15〜65%、更に20〜60%、特に30〜55%、殊更35〜50%であるのが肥満防止効果及び摂取性の点で好ましい。更に、酸化安定性、肥満防止効果の点から、ジアシルグリセロール中のリノール酸/オレイン酸の含有質量比が0.01〜2.0、更に0.1〜1.8、特に0.3〜1.7であることが好ましい。
【0020】
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、リノレン酸の含有量は15%未満、更に0〜13%、特に1〜10%、殊更2〜9%であるのが肥満防止効果、摂取性、及び酸化安定性の点で好ましい。リノレン酸には、異性体としてα−リノレン酸とγ−リノレン酸が知られているが、α−リノレン酸が好ましい。
【0021】
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸(SFA)の含有量は20%未満であることが好ましく、更に0〜10%、更に0〜7%、特に2〜7%、殊更2〜6%であるのが肥満防止効果、摂取性、及び酸化安定性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が特に好ましい。
【0022】
ジアシルグリセロールを構成する脂肪酸中、炭素数12以下の脂肪酸の含有量は、風味、摂取性の点で5%以下であるのが好ましく、更に0〜2%、特に0〜1%、実質的に含まないのが殊更好ましい。残余の構成脂肪酸は炭素数14〜24、特に16〜22であるのが好ましい。
【0023】
また、食後の血中インシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果の点から、ジアシルグリセロール中の1,3−ジアシルグリセロールの割合が50%以上、より好ましくは52〜100%、更に54〜90%、特に56〜80%であるジアシルグリセロールを用いるのが好ましい。
【0024】
ジアシルグリセロールは、上述した天然油脂中に含有されるものを含んでいても良いが、ジアシルグリセロールの含有量を調整するために、上述した油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応等により得たものを配合することが好ましい。なお、ジアシルグリセロールは、アルカリ触媒等を用いた化学反応によっても得ることができるが、1,3−位選択的リパーゼ等の酵素を経て温和な条件の反応によって得たものであることが、酸化安定性、嗜好性の点で好ましい。
【0025】
本発明のペットフードにおける油脂中には、トリアシルグリセロールも含まれていても良く、また、若干のモノアシルグリセロール、遊離脂肪酸等が含まれていても良い。これらは、上述した天然油脂中に含有されるものの他、製造したジアシルグリセロール含有油脂、配合される植物原料、又は動物原料中に含まれる油脂に含有されるものも含む。
【0026】
本発明のペットフードに用いられる炭水化物としては、特に、加工デンプン、高アミロースデンプン、コーン、大麦及びソルガムから選択される少なくとも一種以上の炭水化物源であると、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止又は抑制効果、体重増加抑制効果、摂取性の点から好ましい。炭水化物は本発明のペットフード中10〜90重量%、更に20〜80重量%、特に30〜70重量%含有するのが好ましい。
【0027】
本発明のペットフードにおける加工デンプンとは、通常のデンプン、例えば、ワキシーコーンデンプン、コーンデンプン、小麦デンプン、米デンプン、糯米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン等に、化学的処理を施したもの、化学修飾したもの等をいう。加工デンプンの含有量は、炭水化物中に3%以上、更に3〜30%、特に3〜20%含有するのが、経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好ましい。
【0028】
具体的には、アセチル化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン等が挙げられるが、デンプンから簡単な工程で、高純度で比較的安価に製造できる点、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂食性、安全性の点から、アセチル化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプンが好ましい。
【0029】
アセチル化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりアセチル化することにより得ることができる。具体的には無水酢酸、又は酢酸ビニルをデンプンに反応させることにより得ることができる。また、Z−700(タピオカ由来、アセチル化、日澱化学社)、MT−01B(タピオカ由来、アセチル化、日本食品化工)、ADIX−H(ワキシーコーン由来、アセチル化、日本食品化工)、マプス#449(ワキシーコーン由来、アセチル化、日本食品化工)等の市販品を用いることもできる。アセチル化の程度としては、アセチル価(デンプン中の無水グルコース1残基当たりのアセチル基の数)が0.001〜1であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5であり、更に0.01〜0.1であるのが好ましい。
【0030】
オクテニルコハク酸化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりオクテニルコハク酸化することにより得ることができる。具体的にはオクテニルコハク酸無水物をデンプンに反応させることにより得ることができる。また、アミコール乳華(タピオカ由来、オクテニルコハク酸化、日澱化学社)等の市販品を用いることもできる。オクテニルコハク酸化の程度としては、オクテニルコハク酸価(デンプン中の無水グルコース1残基当たりのオクテニルコハク酸基の数)が0.001〜1であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5であり、更に0.01〜0.1であるのが好ましい。
【0031】
ヒドロキシプロピル化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりヒドロキシプロピル化することにより得ることができる。具体的にはプロピレンオキサイドをデンプンに反応させることにより得ることができる。また、ナショナルフリジェックス( タピオカ由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)、ナショナル1658(コーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)、サームフロー(ワキシーコーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)、サームテックス(ワキシーコーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)等の市販品を用いることもできる。ヒドロキシプロピル化の程度としては、置換度(デンプン中の無水グルコース1残基当たりのヒドロキシプロピル基の数)が0.001〜1であるのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5であり、更に0.1〜0.3であるのが好ましい。
【0032】
また、加工デンプンは、それぞれ他の加工処理を組み合わせることにより別の加工デンプンとしても良い。組み合わせることのできる加工処理としては酢酸、リン酸等のエステル化処理やヒドロキシプロピル化、カルボキシメチルエーテル化等によるエーテル化処理、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、アジピン酸、エピクロルヒドリン等、常用の架橋剤を用いた架橋化処理、酸化処理、酸処理、漂白処理、湿熱処理、熱処理、酵素処理等が挙げられ、その内少なくとも一種以上の加工を組み合わせても良い。中でも、エステル化処理が好ましく、リン酸化処理、特にリン酸架橋処理が好ましい。リン酸化処理の程度としては、結合リン含量が0.0001〜2%の範囲が挙げられるが、0.0001〜0.5%、更に0.0001〜0.2%であるものが摂食性等の点から好ましい。
【0033】
高アミロースデンプンとは、アミロース含量が40〜99%であるデンプンであり、特にハイアミロースコーンスターチ、六条皮麦のGlacier AC38、su2トウモロコシ等が挙げられる。市販品としては、ハイアミロースコーンスターチアミロメイズV(アミロース含量が50〜60%)、アミロメイズVI(アミロース含量が60〜70%)、アミロメイズVII(アミロース含量が70〜80%)以上日本食品加工社製、ファイボーズ(同約70%)日澱化学社製、等のハイアミロースコーンスターチが挙げられる。
【0034】
これらの高アミロースデンプンは、炭水化物中に3%以上、更に3〜30%、特に3〜20%含有するのが、経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好ましい。
コーンとは通常のトウモロコシをいうが、これを粉にしたトウモロコシ粉のみならず、コーンスターチも含む。コーンは、炭水化物源中に3%以上、更に3〜60%、特に5〜50%含有するのが、経済性、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好ましい。
【0035】
大麦は二条大麦又は六条大麦のどちらでも良く、飼料用として使用されているこれらの混合物をも含む。大麦は炭水化物源中に5%以上、更に5〜80%、特に10〜70%含有するのが、経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好ましい。
【0036】
ソルガムとはイネ科の植物であり、別名コウリャンと称されるものの他、別名ホウキモロコシと称されるブルームコーン、別名サトウモロコシと称されるスウィートソルガム、別名マイロと称されるグレインソルガム等がある。ソルガムは、炭水化物源中に3%以上、更に3〜60%、特に5〜50%含有するのが、経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好ましい。
【0037】
本発明のペットフードには更に、炭水化物源として単糖類、オリゴ糖類、多糖類、食物繊維、デンプン類等が含まれる。デンプン類としては、例えば、ワキシーコーン、コーン、ソルガム、大麦、小麦、米、糯米、馬鈴薯、甘露、タピオカ、サゴ等を原料とするものが良い。食物繊維としては、動物の消化酵素では分解されない素材をいい、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を含むが、前者の具体例としては、セルロース、ヘミセルロース等を含有したビートパルプ、ビートファイバー、ピーファイバー、チコリ根、アルファルファミール、小麦ふすま等が挙げられ、後者の具体例としては、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、グアガム酵素分解物、サイリウム種皮、グルコマンナン、寒天、水溶性大豆多糖類、水溶性コーンファイバー、イヌリン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸等が挙げられる。中でも、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両者を含んだビートパルプが、経済性、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好ましい。なお、これら炭水化物源のうち食物繊維の一部のように特にインシュリン分泌促進に関与しないものに関しては油脂含有部(B)に含有させても良い。
【0038】
本発明のペットフードにおいては、更に蛋白質(動物性又は植物性の蛋白質)を含むことが、肥満防止効果、摂取性、栄養バランスの点から好ましいが、特に、摂食性の点から動物性蛋白質が好ましい。動物性蛋白質としては、カゼイン等の乳蛋白質も挙げられるが、肥満防止効果及び摂取性の点から、動物性肉類蛋白質が好ましい。このような動物性肉類蛋白質としては、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルーなどの畜肉及び獣肉、ならびにその副生成物及び加工品;鶏、七面鳥、うずらなどの鳥肉ならびにその副生物及び加工品;魚、白身魚などの魚肉ならびにその副生物及び加工品;ミートミール、ミートボーンミール、チキンミール、フィッシュミール等の上記原料のレンダリング等が挙げられる。本発明ペットフード中に動物性又は植物性蛋白質は、乾物換算で10〜90重量%、更に15〜70重量%、特に20〜50重量%含有するのが好ましい。
【0039】
本発明のペットフードに含有される糖吸収阻害剤としては、腸管からの糖吸収を阻害する植物、当該植物抽出物又は当該植物由来成分が挙げられ、具体的には、ギムネマ・シルベスタ葉の乾燥粉末又は抽出物、ヤーコン葉の乾燥粉末又は抽出物、コタラヒムの乾燥粉末又は抽出物、フェニルグルコキシド化合物、なつめ葉の乾燥粉末又は抽出物及びタラノキサポニン類が挙げられる。ここで、フェニルグルコキシド化合物としては、タキオサイド、アルブチンが挙げられ、タラノキサポニン類としてはオレアール酸3−o{β−D−グルコピラシル(1→3)−[β−D−キシロピラノシル(1→2)]−α−L−アラビノピラノシド}が挙げられる。これらの糖吸収抑制剤は、ペットフード中に0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に0.5〜3重量%含有するのが好ましい。この際、糖吸収抑制剤が抽出物である場合は乾燥固形分として含有される。
この他、ペットフードに一般的に使用されるぬか類、粕類、野菜、ゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤、野菜エキス、植物ステロール、ビタミン類、ミネラル類、乳化剤等も本発明のペットフードに添加して良く、これら添加物のうち特にインシュリン分泌促進に関与するものに関しては本炭水化物含有部(A)に含有させ、油脂含有部(B)には含有させないことが好ましい。
【0040】
乳化剤としては、食品や飼料に一般的に使用される乳化剤が挙げられる。例えばグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、また、カゼインナトリウムなどの蛋白系、大豆サポニンなどのサポニン系、大豆レシチンなどのリン脂質系が挙げられる。乳化剤はインシュリン分泌促進に関与するものであるため炭水化物含有部(A)に含有させることが好ましい。
【0041】
なお、植物ステロールは、コレステロール低下効果の点でペットフードの0.1重量%以上、特に0.5重量%以上含有させることが好ましい。また植物ステロール含量の上限は、0.1〜30重量%の範囲であればよい。ここで植物ステロールとしては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
【0042】
また、前記ビタミン類としては、ビタミンA、B1、B2、D、E、ナイアシン、パントテン酸、カロチン等のビタミン類をビタミンミックスとして0.1〜2重量%、前記ミネラル類としては、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、鉄等のミネラル類をミネラルミックスとして0.1〜5重量%含有させても良い。
【0043】
また本発明のペットフードの炭水化物含有部(A)及び油脂含有部(B)には、ペットフード中の炭水化物類と油脂類の体内吸収時間の差を大きくするため、いずれか一方に腸溶性剤(腸溶性成分)を配合することができ、いずれか一方に腸溶性部を設けてもよく、特に、いずれか一方を腸溶性部で被覆しても良い。この場合、腸溶性部(D)コーティングの厚さについては、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差を生じさせることができるよう適宜設定可能である。本発明のペットフードに用いられる腸溶性剤としては、メタクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、メタアクリル酸・アクリルエチルコポリマー、メタアクリル酸・メタアクリル酸メチルコポリマー等のpH5以上で溶解するポリマーが挙げられる。更に、寒天、ゼラチン、トウモロコシ蛋白・ツェイン等も使用できる。これらの腸溶性剤は、ペットフード中に0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に0.5〜3重量%含有させるのが好ましい。
【0044】
特に、油脂含有部(B)が炭水化物含有部(A)により被覆されている場合や炭水化物含有部(A)が油脂含有部(B)により被覆されている場合、本発明のペットフードは、ペットフード中の炭水化物と脂肪との溶解タイミングに大きな差が生じ、その結果、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差が生じ、インシュリンの分泌が抑制され体への脂肪の蓄積抑制効果が得られる。
【0045】
中でも、炭水化物含有部(A)が油脂含有部(B)により被覆されている場合は、油脂含有部(B)の分解が進んだ後にコア部分である炭水化物含有部(A)が露出して分解されるため、アミラーゼ等による炭水化物の糖への分解が遅延し、糖の体内吸収量が低下する傾向も有する。
【0046】
腸溶性部(D)で炭水化物含有部(A)が被覆されたものが油脂含有部(B)で被覆されている場合や、腸溶性部(D)で油脂含有部(B)が被覆されたものが炭水化物含有部(A)で被覆されている場合も、夫々のコア部分は胃及び小腸の上部で完全には吸収されない。すなわち、上記腸溶性部(D)及び外側部分の存在によってコア部分の分解あるいはその吸収が遅延し、胃及び小腸の上部でのコア部分成分の吸収が不完全となり、例えば、コア部分が炭水化物含有部(A)の場合、通常は胃及び小腸上部でほとんど消化吸収されてしまう炭水化物が小腸中部、下部にわたって消化吸収されるため、血液への糖の移行が緩やかになりインシュリンの分泌が抑制され、その結果、体への脂肪の蓄積が抑制される。
【0047】
本発明のペットフードは最外部に嗜好性向上剤を存在させるのが、ペットの嗜好性を向上させる観点から好ましい。ここで、嗜好性向上剤としては、ペットフード用フレーバー、例えば、乳製品フレーバーとしてはバターフレーバー、ミルクフレーバー、チーズフレーバー、ヨーグルトフレーバー、畜肉フレーバーとしてはポークフレーバー、ビーフフレーバー、チキンフレーバー、魚介類フレーバーとしてはカキフレーバー、ホタテフレーバー、エビフレーバー等が挙げられる。これらのフレーバーは天然の抽出あるいは濃縮物であっても、それを酵素処理などして得られたものであってもかまわない。また、合成のフレーバーであってもかまわない。当該嗜好性向上剤の含有量は、本発明ペットフード中に0.01〜10質量%、更に0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%が好ましい。
【0048】
本発明のペットフードの形状は特に制限されないが、その大きさは、炭水化物と脂肪の溶解タイミングに差を生じさせ、炭水化物と脂肪の体内吸収時間とに差を生じさせる観点から、ペットが一回の咀嚼で飲み込める大きさ又はそのまま飲み込める大きさが好ましい。好ましい大きさは、ペットの種類、大きさによって異なるが、例えば、イヌの大きさに関しては、一般に3つの主な区分、すなわち小型犬(10kg未満:パピヨン、パグ等)、中型犬(11kg〜20kg:ビーグル等)、及び大型犬(20kg以上:レトリバー等)に分類され、小型犬では短径5mm×長径6mm、中型犬では短径5mm×長径10mm、約20kg以上の大型犬では直径10mmの球状又は楕円状の形状等であれば、ペットフードを丸呑みする割合が高まり好ましい。
【0049】
本発明はまた、油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)が炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)で被覆されてなるペットフードの製造方法であって、(a)炭水化物含有部(A)を粒状に成形し、次いで、(b)粒状に成形された炭水化物含有部に油脂含有部を粘結剤によって接着被覆することを特徴とするペットフードの製造方法を提供するものである。なお、油脂含有部に更なる油脂含有部を粘結剤によって接着被覆することで油脂含有部の厚さは適宜調節可能である。なお、工程(a)成形された炭水化物含有部を、更に、腸溶性部で被覆する工程が、工程(b)の前に実施されても良い。
【0050】
本発明はまた更に、炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)が油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)で被覆されてなるペットフードの製造方法であって、(a’)油脂含有部を粒状に成形し、そして、(b’)粒状に成形された油脂含有部(B)に炭水化物含有部(A)を粘結剤によって接着被覆することを特徴とするペットフードの製造方法を提供するものである。なお、炭水化物含有部に更なる炭水化物含有部を粘結剤によって接着被覆することで炭水化物含有部の厚さは適宜調節可能である。なお、工程(a’)にて成形された油脂含有部を、更に、腸溶性部で被覆する工程が、工程(b’)の前に実施されても良い。
【0051】
このように、本発明のペットフードの製造方法において、粒状に成形された炭水化物含有部に油脂含有部を炭水化物系結着剤以外の粘結剤によって接着被覆する工程や、粒状に成形された油脂含有部に炭水化物含有部を油脂系結着剤以外の粘結剤によって接着被覆する工程を繰り返し実施することで被覆物となる油脂含有部に炭水化物が混入することなく、そして炭水化物含有部に油脂が混入することなくその厚さを適宜調節することが可能である。その結果、様々な種類や大きさのペットに適した厚さの被覆物を形成することが可能である。また本発明のペットフードの粘結剤としては、炭水化物系粘結剤としてCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)等が挙げられ、多価アルコール系粘結剤又は油脂系粘結剤としてプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、蛋白質系粘結剤として卵白、小麦グルテン等が挙げられる。これらの粘結剤は、ペットフード中に1〜60重量%、好ましくは2〜50重量%、特に3〜40重量%使用されるのが好ましい。
【0052】
また、本発明のペットフードの製造方法において、コア部分となる炭水化物含有部又は油脂含有部を成形する方法としてはペットフードに悪影響を及ぼさない方法であれば如何なる方法でも良いが、例えば、エクストルーダや押し出し成型器を用いた押出成形等が好ましい。また、既存の炭水化物粒子としてタピオカあるいはタピオカパール等を用いることもできる。
【0053】
また更に、腸溶性部(腸溶性成分)で被覆する方法、粘結剤を付着させる方法、炭水化物成分混合物又は油脂成分混合物を被覆する方法も、ペットフードや腸溶性成分や粘結剤に悪影響を及ぼさない方法であれば如何なる方法でも良いが、例えば、噴霧法、ドリップ法、転動造粒等が好ましい。
【0054】
また更に、嗜好性向上剤を最外部に付着させる場合、例えばフレーバダイジェストを付着させる場合も、その付着方法はペットフードに悪影響を及ぼさない方法であれば如何なる方法でも良いが、例えば、嗜好性向上剤を噴霧する方法が挙げられる。
【0055】
また更に、本発明のペットフードの製造方法における各種条件に関しても、ペットフードに悪影響を及ぼさない条件であれば如何なる方法でも良い。
【0056】
特に、本発明のペットフードの製造方法において、油脂の酸化を抑制する目的で脱気しながら、或いは、窒素などの不活性ガスで置換した雰囲気で製造することは、特に加熱工程で有効であるため好ましい。
【0057】
以上のように本発明のペットフードであればペットの肥満防止又は抑制効果、体重増加抑制効果を有する。従って、本発明のペットフードの容器には、「ペットの肥満を防止する効果がある」、「ペットの肥満を抑制する効果がある」、「ペットの体重増加を抑制する効果がある」、「肥満が気になるペットに適しています」等、表示することができる。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
コア部分を構成する炭水化物源としてブラックタピオカパール1.6gを用いた。ついで、蛋白質系粘結剤である卵白(乾燥重量0.1g)を用いてチキンミール0.2gをタピオカパールの周りにコーティングした。卵白を十分乾燥させた後更にジアシルグリセロール含有油脂0.2gを当該蛋白質コーティング層に吸収させた。
【0059】
こうして得られた、サンプルの栄養組成の分析を行った。
炭水化物層:炭水化物90%、油脂2%、水分8%、蛋白質0%
油脂層:蛋白質55%、油脂20%、灰分、10%、水分15%、炭水化物0%
【0060】
更に、このものを胃、小腸を想定した温水槽中に入れ、崩壊試験を行った。以下そのときの観察記録を示す。
試験開始から20分までは外側の油脂層が徐々に外側からはがれ落ちた。この時はがれ落ちた油脂の量は水面の油膜の量が増加していることで確認できた。20分すぎに、内層の炭水化物層が確認できはじめ、25分後には炭水化物層のみとなった。
【0061】
残った炭水化物層を乾燥させ分析を行った。
残存炭水化物層:炭水化物83.99%、油脂1.31%、水分13.0%、蛋白質0.82%、灰分0.88%
【0062】
以上の結果より、本発明の構成のフードであれば、油脂と炭水化物の間で、それぞれの成分の溶け出す時間に差異を生じさせることが可能である。その結果、炭水化物の体内吸収時間と脂肪の体内吸収時間との間に差を生じさせて食後の血糖値の急激な上昇を抑制することでインシュリンの分泌を抑制して体への脂肪の蓄積を抑制することが可能であることを見出した。
【0063】
(実施例2)
表1に示すペットフードの組成のうち、コア部分を構成する炭水化物成分又は油脂成分を予備混合したものを水分含有量30重量%に調整してから、2軸エクストルーダーに送り、120℃、1MPaで充分に混合し、ダイの細孔(直径6mm)より急速に押し出した後、6mmの長さに切断した。該成形物に、腸溶性成分を使用する場合は、該成形物に腸溶性成分メタクリル酸コポリマーLDの20%エタノール溶液をスプレーし、ついで蛋白質系粘結剤である小麦グルテンで油脂成分を付着させるか或いは炭水化物系粘結剤であるジャガイモでんぷんで炭水化物成分を接着被覆させ、更にフレーバダイジェストを使用する場合は、該被覆物にフレーバダイジェスト成分をスプレーし、70℃、5時間送風乾燥した。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部、及び、
(B)炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部からなるペットフード。
【請求項2】
炭水化物含有部(A)及び/又は油脂含有部(B)が更に蛋白質を含有する請求項1記載のペットフード。
【請求項3】
炭水化物含有部(A)が更に糖吸収阻害剤を含有する請求項1記載のペットフード。
【請求項4】
糖吸収阻害剤がギムネマ・シルベスタ葉の乾燥粉末又は抽出物、ヤーコン葉の乾燥粉末又は抽出物、コタラヒムの乾燥粉末又は抽出物、フェニルグルコキシド化合物、なつめ葉の乾燥粉末又は抽出物及びタラノキサポニン類からなる群より選択される少なくとも一種以上である請求項3記載のペットフード。
【請求項5】
炭水化物含有部(A)が油脂含有部(B)により被覆されてなる請求項1〜4のいずれか1項記載のペットフード。
【請求項6】
油脂含有部(B)が炭水化物含有部(A)により被覆されてなる請求項1〜4のいずれか1項記載のペットフード。
【請求項7】
油脂含有部(B)と炭水化物含有部(A)のいずれか一方が腸溶性部(D)で被覆してなる請求項5又は6記載のペットフード。
【請求項8】
更に(C)嗜好性向上剤部をペットフードの最外部に存在させてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載のペットフード。
【請求項9】
油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)が炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)で被覆されてなるペットフードの製造方法であって、
(a)炭水化物含有部を粒状に成形し、次いで、
(b)粒状に成形された炭水化物含有部に油脂含有部を粘結剤によって接着被覆することを特徴とするペットフードの製造方法。
【請求項10】
油脂含有部に更なる油脂含有部を粘結剤によって接着被覆することで油脂含有部の厚さを調節することを特徴とし、油脂含有部同士の接着においては粘結剤を炭水化物系結着剤以外のものとする請求項9記載のペットフードの製造方法。
【請求項11】
更に、工程(c)嗜好性向上剤を被覆物に付着させることからなる請求項9記載のペットフードの製造方法。
【請求項12】
工程(a)にて成形された炭水化物含有部を、腸溶性部で被覆する工程が、工程(b)の前に実施される請求項9記載のペットフードの製造方法。
【請求項13】
炭水化物類の含有量が2重量%未満である油脂含有部(B)が油脂類の含有量が5重量%未満である炭水化物含有部(A)で被覆されてなるペットフードの製造方法であって、
(a’)油脂含有部を粒状に成形し、次いで、
(b’)粒状に成形された油脂含有部に炭水化物含有部を粘結剤によって接着被覆することを特徴とするペットフードの製造方法。
【請求項14】
炭水化物含有部に更なる炭水化物含有部を粘結剤によって接着被覆することで炭水化物含有部の厚さを調節することを特徴とし、炭水化物含有部同士の接着においては粘結剤を油脂系結着剤以外のものとする請求項13記載のペットフードの製造方法。
【請求項15】
更に、工程(c)嗜好性向上剤を被覆物に付着させることからなる請求項14記載のペットフードの製造方法。
【請求項16】
工程(a’)にて成形された油脂含有部を、更に、腸溶性部で被覆する工程が、工程(b’)の前に実施される請求項13記載のペットフードの製造方法。

【公開番号】特開2008−161135(P2008−161135A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355419(P2006−355419)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】