ペーパーホルダー装置
【課題】コンパクタな構成の中に、ペーパーホルダー機能以外の機能をも盛り込むことで、スペース的に余裕の無い場所にも適用し得るようにしたペーパーホルダー装置を提供する。
【解決手段】壁面４から略水平方向へ延出状態で取付けられたホルダー支持具２の下面側にペーパーホルダー１を配置し、これを該ホルダー支持具２の下側に収納される第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出す第２の位置の間で移動可能とする。係る構成によれば、第１の位置に設定されたペーパーホルダー１を手摺として機能させることができ、用便時における使用者の移動の安全性が確保され、特に使用者が身体的弱者である場合には、上記効果はより顕著なものとなる。
【解決手段】壁面４から略水平方向へ延出状態で取付けられたホルダー支持具２の下面側にペーパーホルダー１を配置し、これを該ホルダー支持具２の下側に収納される第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出す第２の位置の間で移動可能とする。係る構成によれば、第１の位置に設定されたペーパーホルダー１を手摺として機能させることができ、用便時における使用者の移動の安全性が確保され、特に使用者が身体的弱者である場合には、上記効果はより顕著なものとなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本願発明は、壁面取付式のペーパーホルダー装置に関し、さらに詳しくはペーパーホルダーの壁面への取付構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
トイレの縦壁面に取付けられるペーパーホルダー装置におけるペーパーホルダーの取付構造に関しては、従来から種々の提案がなされており、例えば、特許文献１に示されるように壁面にペーパーホルダーを単体状態で取付ける構成とか、特許文献２に示されるように壁面に取付けられた棚等の備品の適所にペーパーホルダーを組み込んで取付ける構成等が知られている。
【０００３】
一方、トイレの壁面に手摺を設置することも多いが、その場合は、例えば、特許文献３（特に、図２）に示されるように、手摺をペーパーホルダーとは別個独立に設けるのが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００５−０２８１６３号公報
【特許文献２】特開２００２−２１９０７８号公報
【特許文献３】特開２００２−２６３０３４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、特許文献１に示されるように、壁面にペーパーホルダーを単体状態で取付けるものにあっては、該ペーパーホルダーはそれ本来の機能、即ち、トイレットペーパーの保持機能を持つに止まり、トイレ内に他の機能を持たせようとすれば、必然的にペーパーホルダーとは別個独立に設けなければならず、トイレ内が狭い限られたスペースであることを勘案すれば、好ましい形態とは言い難いものである。
【０００６】
また、特許文献２に示されるように、壁面に取付けられた棚等の備品の適所にペーパーホルダーを組み込む構成のものは、トイレスペースに余裕がある場合を想定した構成であって、トイレスペースに余裕がない場合には適用できにくいものでる。このことは、特許文献３に示されるように、手摺をペーパーホルダーとは別個独立に設ける構成においても同様である。
【０００７】
これらの点を考え合わせれば、よりコンパクタな構成の中に、ペーパーホルダーとしての機能に加えて、他の機能（例えば、手摺機能等）を盛り込むことが有効と考えられる。
【０００８】
そこで本願発明は、コンパクタな構成の中に、ペーパーホルダー機能以外の機能をも盛り込むことで、スペース的に余裕の無い場所にも適用し得るようにしたペーパーホルダー装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【００１０】
本願の第１の発明では、ホルダー支持具２を介して壁面４に設置されるペーパーホルダー１を備えたペーパーホルダー装置において、上記ホルダー支持具２を上記壁面４から略水平方向へ延出状態で取付ける一方、上記ホルダー支持具２の下面側には上記ペーパーホルダー１を、該ホルダー支持具２の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けたことを特徴としている。
【００１１】
本願の第２の発明では、上記第１の発明に係るペーパーホルダー装置において、上記ホルダー支持具２を、上記壁面４に固定された壁面固定材２１と、上記ペーパーホルダー１が取付けられ且つ上記壁面固定材２１に対して略水平方向における第１の位置と第２の位置の間で相対変位可能に連結されたホルダー取付材２４を備え、上記ホルダー取付材２４を、上記第１の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側に収納させ、上記第２の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側から側方へ張り出すように構成したことを特徴としている。
【００１２】
本願の第３の発明では、上記第２の発明に係るペーパーホルダー装置において、上記壁面固定材２１に、上記壁面４に沿って配置された手摺３の一端を固定したことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１３】
（ａ）本願の第１の発明に係るペーパーホルダー装置によれば、ホルダー支持具２を介して壁面４に設置されるペーパーホルダー１を備えたペーパーホルダー装置において、上記ホルダー支持具２を上記壁面４から略水平方向へ延出状態で取付ける一方、上記ホルダー支持具２の下面側には上記ペーパーホルダー１を、該ホルダー支持具２の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けているので、上記ペーパーホルダー１を第１の位置に設定しこれを上記ホルダー支持具２の下側に収納した状態では、該ホルダー支持具２からその側方へ延出する障害物が殆どないため、該ホルダー支持具２の近傍を人が安全に通ることができる。従って、この状態では、上記ホルダー支持具２を手摺として機能させることができ、例えば、使用者が用便の前後において上記ホルダー支持具２の近傍を通って移動する場合、このホルダー支持具２を手で掴んで、あるいは該ホルダー支持具２の上面に手又は肘を付いて体重の一部を預けることで、安全に移動することができ、特にその使用者が高齢者とか身体障害者等の身体的弱者である場合には、上記効果はより顕著なものとなる。
【００１４】
また、上記ペーパーホルダー１が第２の位置に設定された状態では、該ペーパーホルダー１が上記ルダー支持具２の下側からその側方へ張り出すので、例えば、上記ペーパーホルダー１へのトイレットペーパーの補充とか、内部機構のメンテナンス作業を、上記ペーパーホルダー１を露出状態で行うことができ、作業性が高く且つ的確な作業が実現される。このような上記ペーパーホルダー１の第２の位置への設定は、上記の如きトイレットペーパーの補充とか、内部機構のメンテナンス作業時においてのみ行われるので、使用者の利便性を阻害することはない。
【００１５】
（ｂ）本願の第２の発明に係るペーパーホルダー装置によれば、上記ホルダー支持具２を、上記壁面４に固定された壁面固定材２１と、上記ペーパーホルダー１が取付けられ且つ上記壁面固定材２１に対して略水平方向における第１の位置と第２の位置の間で相対変位可能に連結されたホルダー取付材２４を備え、上記ホルダー取付材２４を、上記第１の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側に収納させ、上記第２の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側から側方へ張り出すように構成しているので、上記壁面固定材２１とホルダー取付材２４の組み合わせという簡単且つ安価な構成によって、上記（ａ）に記載の効果を確実に得ることができる。
【００１６】
ここで、上記壁面固定材２１と上記ホルダー取付材２４との相対変位は、例えば、上記壁面固定材２１に対して上記ホルダー取付材２４を相対回動させるとか、上記壁面固定材２１に対して上記ホルダー取付材２４を面方向にスライドさせる等の機構によって容易に実現できるものであって、この発明では上記壁面固定材２１とホルダー取付材２４を相対変位させるための機構についてはこれを特定するものでなく、広く各種の機構が適用できるものである。
【００１７】
（ｃ）本願の第３の発明に係るペーパーホルダー装置によれば、上記（ａ）又は（ｂ）に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記壁面固定材２１に、上記壁面４に沿って配置された手摺３の一端を固定しているので、上記壁面固定材２１を、上記ペーパーホルダー１を支持する支持機能と、使用者の歩行等の動作を補助する手摺機能に加えて、上記手摺３を固定保持する手摺固定機能をも併せ持つこととなり、このような上記ホルダー支持具２の多機能化によってペーパーホルダー装置全体のコンパクト化がより一層促進され、特にスペース的に余裕のないトイレに適用する場合にあってはその効果が顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本願発明の第１の実施の形態に係るペーパーホルダー装置をトイレ内に設置した状態を示す斜視図である。
【図２】図１に示したホルダー支持具の第１の位置への設定時における斜視図である。
【図３】図１に示したホルダー支持具の第２の位置への設定時における斜視図である。
【図４】図２に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図５】図３に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図６】本願発明の第２の実施の形態に係るペーパーホルダー装置をトイレ内に設置した状態を示す斜視図である。
【図７】図６に示したホルダー支持具の第１の位置への設定時における斜視図である。
【図８】図６に示したホルダー支持具の第２の位置への設定時における斜視図である。
【図９】図７に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図１０】図８に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
Ａ：第１の実施形態
図１には、本願発明の第１の実施形態に係るペーパーホルダー装置Ｚを、固定式の便器５が備えられたトイレ内の壁面４に設置した状態を示している。上記ペーパーホルダー装置Ｚは、次述のペーパーホルダー１とホルダー支持具２及び手摺３を備えて構成される。
【００２０】
「ペーパーホルダー１」
上記ペーパーホルダー１は、図５に示すように、自動切断・折畳方式のペーパーホルダーであって、筐体上のホルダー本体部１１と該ホルダー本体部１１の上面側を開閉する開閉カバー１２を備えるとともに、これらによって囲まれた内部空間には、図示しないペーパー保持機構、ペーパー切断機構、ペーパー折畳機構、駆動機構等を内蔵して構成され、その構成は周知事項に相当する（例えば、本件出願人の出願に係る特願２０１０−０６３６０４号公報、特願２００７−０１４３６７号公報参照）。そして、このペーパーホルダー１では、上記ホルダー本体部１１に設けた人センサ１４において人の挙動が検出された際には、これを受けて、トイレットペーパーを送り出して順次これを折り畳むとともに、所定長さにおいて切断するという一連動作が自動的に行われ、使用者は単に、ペーパー取出口１３部分に保持されたトイレットペーパーを取り出して使用することができるようになっている。
【００２１】
なお、このペーパーホルダー１としては、この実施形態のような自動切断・折畳方式のものに限定されるものではなく、手動式のペーパーホルダーを採用することもできる。
【００２２】
「ホルダー支持具２」
上記ホルダー支持具２は、上記壁面４に固定されて上記ペーパーホルダー１を保持するとともに、略水平面内において上記ペーパーホルダー１の配置位置及び姿勢を変更し得るようにしたものであり、図２、図３に示すように、次述の壁面固定材２１と取付基材２３及びホルダー取付材２４を備えて構成される。
【００２３】
上記壁面固定材２１は、木製、金属製あるいは樹脂製の矩形平板体で構成され、その上面を略水平とした状態で、一の縁部２１ａが左右一対の固定ブラケット２２を介して上記壁面４に固定されることで、該壁面４の表面から手前側に延設されている。この壁面固定材２１は、上記壁面４側に強固に取付けられ、且つ壁面４彼手前側へ略水平に延出していることから、これを手摺として使用することができるものであり、本願発明はこの壁面固定材２１の手摺機能に着目したものであるが、この実施形態では上記壁面固定材２１のほかに、後述するように手摺３を備えることで、使用者の歩行移動時の安全性の更なる向上を期している。
【００２４】
上記取付基材２３は、略矩形状の金属板で一体構成され、その一側に折曲形成された固定部２３ａを、上記壁面固定材２１の上記縁部２１ａに隣接する他の縁部２１ｂにその下面側から締着固定することで、上記壁面固定材２１から垂下した状態で該壁面固定材２１と一体化されている。
【００２５】
上記ホルダー取付材２４は、上記ペーパーホルダー１を固定保持するものであって、木製、金属製あるいは樹脂製の矩形平板体で構成され、その一の縁部２４ａを上記取付基材２３の上記縁部２３ａに隣接する他の縁部２３ｂに、蝶番２５を介して連結することで、該蝶番２５を枢支軸として枢回動可能とされる。即ち、図２に示すように上記取付基材２３側に折り畳まれた位置（このホルダー取付材２４の位置が特許請求の範囲における「第１の位置」である）と、図３に示すように上記取付基材２３の縁部２３ｂからこれに直交するように張り出した位置（このホルダー取付材２４の位置が特許請求の範囲における「第２の位置」である）の間で位置及び姿勢が変更可能とされる。
【００２６】
なお、上記ホルダー取付材２４が「第１の位置」に設定された状態では、該ホルダー取付材２４と上記取付基材２３の間に設けた磁器吸着体（図示省略）によって位置保持がされ、上記ホルダー取付材２４が手前側に引かれることで上記磁器吸着体の吸着力による位置保持作用が解除される。
【００２７】
また、上記ホルダー取付材２４が「第２の位置」に設定された状態では、上記壁面固定材２１の前端側に縁部２１ｃと上記ホルダー取付材２４は、平面視において略平行に延出した状態となる。この「第２の位置」が上記ホルダー取付材２４の最大開放角度であって、その位置規制は図示しないストッパーによって行われる。
【００２８】
以上のように構成された上記ホルダー支持具２の上記ホルダー取付材２４部分に、上記ペーパーホルダー１が取付けられる。即ち、図４及び図５に示すように、上記ペーパーホルダー１はその背面を上記ホルダー取付材２４に衝合当接させた状態で、該ホルダー取付材２４に対して締結固定される。従って、このペーパーホルダー１は、上記ホルダー取付材２４が上記「第１の位置」と「第２の位置」の間で位置変更されることで、図４に示す「使用時位置」と、図５に示す「作業時位置」の間で位置変更される。
【００２９】
なお、「使用時位置」は、用便に際して使用者が上記ペーパーホルダー１からトイレットペーパーを取り出す際の位置であって、この位置においては上記ペーパーホルダー１は上記ホルダー支持具２の上記壁面固定材２１の下側に収納され、これらの平面視においては上記ペーパーホルダー１の上記人センサ１４部分が上記壁面固定材２１から側方へ延出しているのみで、該ホルダー支持具２の近傍を人が通る際に障害となるような物は存在しない。
【００３０】
上記「作業時位置」は、上記ペーパーホルダー１へのトイレットペーパーの補充時とか、該ペーパーホルダー１の内部機構のメンテナンス時等においてのみ設定される位置であって、この作業時位置においては上記ペーパーホルダー１の全体が上記ホルダー支持具２の壁面固定材２１の下側から側方へ張り出しているので、上記ペーパーホルダー１の開閉カバー１２を上方へ開いて上記各作業を行うことができる。
【００３１】
なお、この実施形態では、上述のように上記ホルダー支持具２のホルダー取付材２４を上記取付基材２３に対して枢回動可能とすることで「第１の位置」と「第２の位置」の間で位置変更可能に構成しているが、本願発明では係る構成に限定されるものでななく、種々の移動機構が適用可能であり、例えば、上記取付基材２３に対して上記ホルダー取付材２４を該取付基材２３の面方向にスライドさせることで位置変更する構成を採用することもできる。
【００３２】
「手摺３」
上述のように、上記壁面固定材２１には手摺３が取付けられている。この手摺３は、上記便器５を使用する使用者の歩行移動時の安全性を確保するもので、上記壁面固定材２１が有する手摺機能に加えて設けられたものである。即ち、上記手摺３は、図１に示すように、その一端３ａを上記ホルダー支持具２の上記壁面固定材２１の上面に固定する一方、その他端３ｂを屈曲させて上記壁面４に衝合固定することで、上記ホルダー支持具２と上記壁面４の間に跨って設置されている。なお、この実施形態では、上記手摺３の他端３ｂ側を、その一端３ａ側よりも上記便器５の前方側へ所定の傾斜角「α」をもって傾斜させており、この傾斜によって、特に上記便器５から立ち上がって前方へ移動する使用者に対する介助機能が高められる。
【００３３】
「作用効果」
以上のように構成されたペーパーホルダー装置Ｚにおいては、以下のような作用効果が得られる。
【００３４】
この実施形態のペーパーホルダー装置Ｚによれば、上記ホルダー支持具２を上記壁面４から略水平方向へ延出状態で取付ける一方、上記ホルダー支持具２の下面側には上記ペーパーホルダー１を、該ホルダー支持具２の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けているので、上記ペーパーホルダー１を第１の位置に設定しこれを上記ホルダー支持具２の下側に収納した状態では、該ホルダー支持具２からその側方へ延出する障害物が殆どないため、該ホルダー支持具２の側を人が安全に通ることができる。
【００３５】
この結果、上記ホルダー支持具２を手摺として機能させることができ、例えば、使用者が用便の前後において上記ホルダー支持具２の近傍を通って移動する場合、このホルダー支持具２を手で掴んで、あるいは該ホルダー支持具２の上面に手又は肘を付いて体重の一部を預けることで、安全に移動することができ、特にその使用者が高齢者とか身体障害者等の身体的弱者である場合には、上記効果はより顕著なものとなる。
【００３６】
また、上記ペーパーホルダー１が第２の位置に設定された状態では、該ペーパーホルダー１が上記ルダー支持具２の下側からその側方へ張り出すので、例えば、上記ペーパーホルダー１へのトイレットペーパーの補充とか、内部機構のメンテナンス作業を、上記ペーパーホルダー１を露出状態で行うことができ、作業性が高く且つ的確な作業が実現される。
【００３７】
さらにこの実施形態のペーパーホルダー装置Ｚによれば、上記壁面固定材２１に、上記壁面４に沿って配置された手摺３の一端を固定しているので、上記壁面固定材２１を、上記ペーパーホルダー１を支持する支持機能と、使用者の歩行等の動作を補助する手摺機能に加えて、上記手摺３を固定保持する手摺固定機能をも併せ持つこととなり、このような上記ホルダー支持具２の多機能化によってペーパーホルダー装置全体のコンパクト化がより一層促進され、特にスペース的に余裕のないトイレに適用する場合にあってはその効果が顕著となる。
【００３８】
Ｂ：第２の実施形態
図６には、本願発明の第２の実施形態に係るペーパーホルダー装置Ｚを、固定式の便器５が備えられたトイレ内の壁面４に設置した状態を示している。このペーパーホルダー装置Ｚは、次述のペーパーホルダー１とホルダー支持具２備えて構成される。
【００３９】
「ペーパーホルダー１」
上記ペーパーホルダー１は、上記第１の実施形態におけるペーパーホルダー１と同様の構成をもつものであり、従って、第１の実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。なお、この実施形態では、図６に示すように、上記ペーパーホルダー１の使用時位置における指向方向を、上記壁面４に直交する方向に設定しており、上記第１の実施形態においては上記ペーパーホルダー１の指向方向を上記壁面４に平行な方向に設定した（図１参照）点と相違しているが、該ペーパーホルダー１の使用形態という点においてが差異は無い。
【００４０】
「ホルダー支持具２」
上記ホルダー支持具２は、上記第１の実施形態におけるホルダー支持具２と基本構成を同じにするものであって、これと異なる点は、上記壁面固定材２１の構成と上記取付基材２３の構成である。以下、この相違点を中心に説明する。
【００４１】
上記壁面固定材２１は、上記第１の実施形態における上記壁面固定材２１とはその機能を若干異にしている。即ち、上記第１の実施形態の壁面固定材２１は、これを手摺として機能させる場合に、該壁面固定材２１の上面に手とか肘を付く使用態様とか、該壁面固定材２１の外周部分を掴む使用態様を想定していたが、この実施形態の壁面固定材２１は、該壁面固定材２１に手等を付く使用形態よりも、該壁面固定材２１を掴む使用形態に重点を置いた構成としている。
【００４２】
具体的には、図７及び図８に示すように、上記壁面固定材２１を上記壁面４側に該壁面４への接地部をもつＵ形の平面形態として、手による把持性を高めている。また、この把持性をさらに高める観点から、上記壁面固定材２１を「ラバーウッド構造」、即ち、Ｕ型の平面形態を有する板材を基材とし、その上面側をラバー材で覆って柔軟性を持たせた構造としている。そして、この壁面固定材２１の下面には、次述の取付基材２３の一部で構成される裏打部２６が締着固定される。
【００４３】
上記取付基材２３は、矩形平板状の金属板で構成されるが、この場合、その上端縁側を略直交方向へ延出させて上記壁面固定材２１のＵ形状に対応するＵ形の平面形体としてこれを裏打部２６としている。そして、上記取付基材２３を上記壁面４に衝合させてこれを締結固定すると共に、上記裏打部２６に上記壁面固定材２１を締結固定する。これで、上記壁面固定材２１は上記取付基材２３を介して上記壁面４側に固定されることになる。なお、上記取付基材２３と上記裏打部２６の隅部分にリブ２７が設けられていることで、上記壁面固定材２１の上記壁面４にたいする高い取付剛性が確保されている。
【００４４】
上記ホルダー取付材２４は、矩形平板状の金属板で構成され、上記取付基材２３の一側２３ａに蝶番２５を介して連結され、該蝶番２５を枢支軸として「第１の位置」と「第２の位置」の間での枢回動で位置変更されることは上記第１に実施形態の場合と同様である。
【００４５】
このように構成された上記ホルダー支持具２の上記ホルダー取付材２４に対して、図９及び図１０に示すように上記ペーパーホルダー１が取付けられる。そして、このペーパーホルダー１は、上記ホルダー取付材２４が上記「第１の位置」と「第２の位置」の間で位置変更されることで、図９に示す「使用時位置」と、図１０に示す「作業時位置」の間で位置変更される点は上記第１の実施形態の場合と同様である。
【００４６】
上記以外の構成及び作用効果は、上記第１の実施形態の場合と同様であるので、その該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【符号の説明】
【００４７】
１ ・・ペーパーホルダー
２ ・・ホルダー支持具
３ ・・手摺
４ ・・壁面
５ ・・便器
１１ ・・ホルダー本体部
１２ ・・開閉カバー
１３ ・・ペーパー取出口
１４ ・・人センサ
２１ ・・壁面固定材
２２ ・・固定ブラケット
２３ ・・取付基材
２４ ・・ホルダー取付材
２５ ・・蝶番
２６ ・・裏打部
Ｚ ・・ペーパーホルダー装置
【技術分野】
【０００１】
本願発明は、壁面取付式のペーパーホルダー装置に関し、さらに詳しくはペーパーホルダーの壁面への取付構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
トイレの縦壁面に取付けられるペーパーホルダー装置におけるペーパーホルダーの取付構造に関しては、従来から種々の提案がなされており、例えば、特許文献１に示されるように壁面にペーパーホルダーを単体状態で取付ける構成とか、特許文献２に示されるように壁面に取付けられた棚等の備品の適所にペーパーホルダーを組み込んで取付ける構成等が知られている。
【０００３】
一方、トイレの壁面に手摺を設置することも多いが、その場合は、例えば、特許文献３（特に、図２）に示されるように、手摺をペーパーホルダーとは別個独立に設けるのが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００５−０２８１６３号公報
【特許文献２】特開２００２−２１９０７８号公報
【特許文献３】特開２００２−２６３０３４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところが、特許文献１に示されるように、壁面にペーパーホルダーを単体状態で取付けるものにあっては、該ペーパーホルダーはそれ本来の機能、即ち、トイレットペーパーの保持機能を持つに止まり、トイレ内に他の機能を持たせようとすれば、必然的にペーパーホルダーとは別個独立に設けなければならず、トイレ内が狭い限られたスペースであることを勘案すれば、好ましい形態とは言い難いものである。
【０００６】
また、特許文献２に示されるように、壁面に取付けられた棚等の備品の適所にペーパーホルダーを組み込む構成のものは、トイレスペースに余裕がある場合を想定した構成であって、トイレスペースに余裕がない場合には適用できにくいものでる。このことは、特許文献３に示されるように、手摺をペーパーホルダーとは別個独立に設ける構成においても同様である。
【０００７】
これらの点を考え合わせれば、よりコンパクタな構成の中に、ペーパーホルダーとしての機能に加えて、他の機能（例えば、手摺機能等）を盛り込むことが有効と考えられる。
【０００８】
そこで本願発明は、コンパクタな構成の中に、ペーパーホルダー機能以外の機能をも盛り込むことで、スペース的に余裕の無い場所にも適用し得るようにしたペーパーホルダー装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【００１０】
本願の第１の発明では、ホルダー支持具２を介して壁面４に設置されるペーパーホルダー１を備えたペーパーホルダー装置において、上記ホルダー支持具２を上記壁面４から略水平方向へ延出状態で取付ける一方、上記ホルダー支持具２の下面側には上記ペーパーホルダー１を、該ホルダー支持具２の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けたことを特徴としている。
【００１１】
本願の第２の発明では、上記第１の発明に係るペーパーホルダー装置において、上記ホルダー支持具２を、上記壁面４に固定された壁面固定材２１と、上記ペーパーホルダー１が取付けられ且つ上記壁面固定材２１に対して略水平方向における第１の位置と第２の位置の間で相対変位可能に連結されたホルダー取付材２４を備え、上記ホルダー取付材２４を、上記第１の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側に収納させ、上記第２の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側から側方へ張り出すように構成したことを特徴としている。
【００１２】
本願の第３の発明では、上記第２の発明に係るペーパーホルダー装置において、上記壁面固定材２１に、上記壁面４に沿って配置された手摺３の一端を固定したことを特徴としている。
【発明の効果】
【００１３】
（ａ）本願の第１の発明に係るペーパーホルダー装置によれば、ホルダー支持具２を介して壁面４に設置されるペーパーホルダー１を備えたペーパーホルダー装置において、上記ホルダー支持具２を上記壁面４から略水平方向へ延出状態で取付ける一方、上記ホルダー支持具２の下面側には上記ペーパーホルダー１を、該ホルダー支持具２の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けているので、上記ペーパーホルダー１を第１の位置に設定しこれを上記ホルダー支持具２の下側に収納した状態では、該ホルダー支持具２からその側方へ延出する障害物が殆どないため、該ホルダー支持具２の近傍を人が安全に通ることができる。従って、この状態では、上記ホルダー支持具２を手摺として機能させることができ、例えば、使用者が用便の前後において上記ホルダー支持具２の近傍を通って移動する場合、このホルダー支持具２を手で掴んで、あるいは該ホルダー支持具２の上面に手又は肘を付いて体重の一部を預けることで、安全に移動することができ、特にその使用者が高齢者とか身体障害者等の身体的弱者である場合には、上記効果はより顕著なものとなる。
【００１４】
また、上記ペーパーホルダー１が第２の位置に設定された状態では、該ペーパーホルダー１が上記ルダー支持具２の下側からその側方へ張り出すので、例えば、上記ペーパーホルダー１へのトイレットペーパーの補充とか、内部機構のメンテナンス作業を、上記ペーパーホルダー１を露出状態で行うことができ、作業性が高く且つ的確な作業が実現される。このような上記ペーパーホルダー１の第２の位置への設定は、上記の如きトイレットペーパーの補充とか、内部機構のメンテナンス作業時においてのみ行われるので、使用者の利便性を阻害することはない。
【００１５】
（ｂ）本願の第２の発明に係るペーパーホルダー装置によれば、上記ホルダー支持具２を、上記壁面４に固定された壁面固定材２１と、上記ペーパーホルダー１が取付けられ且つ上記壁面固定材２１に対して略水平方向における第１の位置と第２の位置の間で相対変位可能に連結されたホルダー取付材２４を備え、上記ホルダー取付材２４を、上記第１の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側に収納させ、上記第２の位置では上記ペーパーホルダー１を上記壁面固定材２１の下側から側方へ張り出すように構成しているので、上記壁面固定材２１とホルダー取付材２４の組み合わせという簡単且つ安価な構成によって、上記（ａ）に記載の効果を確実に得ることができる。
【００１６】
ここで、上記壁面固定材２１と上記ホルダー取付材２４との相対変位は、例えば、上記壁面固定材２１に対して上記ホルダー取付材２４を相対回動させるとか、上記壁面固定材２１に対して上記ホルダー取付材２４を面方向にスライドさせる等の機構によって容易に実現できるものであって、この発明では上記壁面固定材２１とホルダー取付材２４を相対変位させるための機構についてはこれを特定するものでなく、広く各種の機構が適用できるものである。
【００１７】
（ｃ）本願の第３の発明に係るペーパーホルダー装置によれば、上記（ａ）又は（ｂ）に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記壁面固定材２１に、上記壁面４に沿って配置された手摺３の一端を固定しているので、上記壁面固定材２１を、上記ペーパーホルダー１を支持する支持機能と、使用者の歩行等の動作を補助する手摺機能に加えて、上記手摺３を固定保持する手摺固定機能をも併せ持つこととなり、このような上記ホルダー支持具２の多機能化によってペーパーホルダー装置全体のコンパクト化がより一層促進され、特にスペース的に余裕のないトイレに適用する場合にあってはその効果が顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本願発明の第１の実施の形態に係るペーパーホルダー装置をトイレ内に設置した状態を示す斜視図である。
【図２】図１に示したホルダー支持具の第１の位置への設定時における斜視図である。
【図３】図１に示したホルダー支持具の第２の位置への設定時における斜視図である。
【図４】図２に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図５】図３に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図６】本願発明の第２の実施の形態に係るペーパーホルダー装置をトイレ内に設置した状態を示す斜視図である。
【図７】図６に示したホルダー支持具の第１の位置への設定時における斜視図である。
【図８】図６に示したホルダー支持具の第２の位置への設定時における斜視図である。
【図９】図７に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【図１０】図８に示したホルダー支持具に対してペーパーホルダーを取付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１９】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
Ａ：第１の実施形態
図１には、本願発明の第１の実施形態に係るペーパーホルダー装置Ｚを、固定式の便器５が備えられたトイレ内の壁面４に設置した状態を示している。上記ペーパーホルダー装置Ｚは、次述のペーパーホルダー１とホルダー支持具２及び手摺３を備えて構成される。
【００２０】
「ペーパーホルダー１」
上記ペーパーホルダー１は、図５に示すように、自動切断・折畳方式のペーパーホルダーであって、筐体上のホルダー本体部１１と該ホルダー本体部１１の上面側を開閉する開閉カバー１２を備えるとともに、これらによって囲まれた内部空間には、図示しないペーパー保持機構、ペーパー切断機構、ペーパー折畳機構、駆動機構等を内蔵して構成され、その構成は周知事項に相当する（例えば、本件出願人の出願に係る特願２０１０−０６３６０４号公報、特願２００７−０１４３６７号公報参照）。そして、このペーパーホルダー１では、上記ホルダー本体部１１に設けた人センサ１４において人の挙動が検出された際には、これを受けて、トイレットペーパーを送り出して順次これを折り畳むとともに、所定長さにおいて切断するという一連動作が自動的に行われ、使用者は単に、ペーパー取出口１３部分に保持されたトイレットペーパーを取り出して使用することができるようになっている。
【００２１】
なお、このペーパーホルダー１としては、この実施形態のような自動切断・折畳方式のものに限定されるものではなく、手動式のペーパーホルダーを採用することもできる。
【００２２】
「ホルダー支持具２」
上記ホルダー支持具２は、上記壁面４に固定されて上記ペーパーホルダー１を保持するとともに、略水平面内において上記ペーパーホルダー１の配置位置及び姿勢を変更し得るようにしたものであり、図２、図３に示すように、次述の壁面固定材２１と取付基材２３及びホルダー取付材２４を備えて構成される。
【００２３】
上記壁面固定材２１は、木製、金属製あるいは樹脂製の矩形平板体で構成され、その上面を略水平とした状態で、一の縁部２１ａが左右一対の固定ブラケット２２を介して上記壁面４に固定されることで、該壁面４の表面から手前側に延設されている。この壁面固定材２１は、上記壁面４側に強固に取付けられ、且つ壁面４彼手前側へ略水平に延出していることから、これを手摺として使用することができるものであり、本願発明はこの壁面固定材２１の手摺機能に着目したものであるが、この実施形態では上記壁面固定材２１のほかに、後述するように手摺３を備えることで、使用者の歩行移動時の安全性の更なる向上を期している。
【００２４】
上記取付基材２３は、略矩形状の金属板で一体構成され、その一側に折曲形成された固定部２３ａを、上記壁面固定材２１の上記縁部２１ａに隣接する他の縁部２１ｂにその下面側から締着固定することで、上記壁面固定材２１から垂下した状態で該壁面固定材２１と一体化されている。
【００２５】
上記ホルダー取付材２４は、上記ペーパーホルダー１を固定保持するものであって、木製、金属製あるいは樹脂製の矩形平板体で構成され、その一の縁部２４ａを上記取付基材２３の上記縁部２３ａに隣接する他の縁部２３ｂに、蝶番２５を介して連結することで、該蝶番２５を枢支軸として枢回動可能とされる。即ち、図２に示すように上記取付基材２３側に折り畳まれた位置（このホルダー取付材２４の位置が特許請求の範囲における「第１の位置」である）と、図３に示すように上記取付基材２３の縁部２３ｂからこれに直交するように張り出した位置（このホルダー取付材２４の位置が特許請求の範囲における「第２の位置」である）の間で位置及び姿勢が変更可能とされる。
【００２６】
なお、上記ホルダー取付材２４が「第１の位置」に設定された状態では、該ホルダー取付材２４と上記取付基材２３の間に設けた磁器吸着体（図示省略）によって位置保持がされ、上記ホルダー取付材２４が手前側に引かれることで上記磁器吸着体の吸着力による位置保持作用が解除される。
【００２７】
また、上記ホルダー取付材２４が「第２の位置」に設定された状態では、上記壁面固定材２１の前端側に縁部２１ｃと上記ホルダー取付材２４は、平面視において略平行に延出した状態となる。この「第２の位置」が上記ホルダー取付材２４の最大開放角度であって、その位置規制は図示しないストッパーによって行われる。
【００２８】
以上のように構成された上記ホルダー支持具２の上記ホルダー取付材２４部分に、上記ペーパーホルダー１が取付けられる。即ち、図４及び図５に示すように、上記ペーパーホルダー１はその背面を上記ホルダー取付材２４に衝合当接させた状態で、該ホルダー取付材２４に対して締結固定される。従って、このペーパーホルダー１は、上記ホルダー取付材２４が上記「第１の位置」と「第２の位置」の間で位置変更されることで、図４に示す「使用時位置」と、図５に示す「作業時位置」の間で位置変更される。
【００２９】
なお、「使用時位置」は、用便に際して使用者が上記ペーパーホルダー１からトイレットペーパーを取り出す際の位置であって、この位置においては上記ペーパーホルダー１は上記ホルダー支持具２の上記壁面固定材２１の下側に収納され、これらの平面視においては上記ペーパーホルダー１の上記人センサ１４部分が上記壁面固定材２１から側方へ延出しているのみで、該ホルダー支持具２の近傍を人が通る際に障害となるような物は存在しない。
【００３０】
上記「作業時位置」は、上記ペーパーホルダー１へのトイレットペーパーの補充時とか、該ペーパーホルダー１の内部機構のメンテナンス時等においてのみ設定される位置であって、この作業時位置においては上記ペーパーホルダー１の全体が上記ホルダー支持具２の壁面固定材２１の下側から側方へ張り出しているので、上記ペーパーホルダー１の開閉カバー１２を上方へ開いて上記各作業を行うことができる。
【００３１】
なお、この実施形態では、上述のように上記ホルダー支持具２のホルダー取付材２４を上記取付基材２３に対して枢回動可能とすることで「第１の位置」と「第２の位置」の間で位置変更可能に構成しているが、本願発明では係る構成に限定されるものでななく、種々の移動機構が適用可能であり、例えば、上記取付基材２３に対して上記ホルダー取付材２４を該取付基材２３の面方向にスライドさせることで位置変更する構成を採用することもできる。
【００３２】
「手摺３」
上述のように、上記壁面固定材２１には手摺３が取付けられている。この手摺３は、上記便器５を使用する使用者の歩行移動時の安全性を確保するもので、上記壁面固定材２１が有する手摺機能に加えて設けられたものである。即ち、上記手摺３は、図１に示すように、その一端３ａを上記ホルダー支持具２の上記壁面固定材２１の上面に固定する一方、その他端３ｂを屈曲させて上記壁面４に衝合固定することで、上記ホルダー支持具２と上記壁面４の間に跨って設置されている。なお、この実施形態では、上記手摺３の他端３ｂ側を、その一端３ａ側よりも上記便器５の前方側へ所定の傾斜角「α」をもって傾斜させており、この傾斜によって、特に上記便器５から立ち上がって前方へ移動する使用者に対する介助機能が高められる。
【００３３】
「作用効果」
以上のように構成されたペーパーホルダー装置Ｚにおいては、以下のような作用効果が得られる。
【００３４】
この実施形態のペーパーホルダー装置Ｚによれば、上記ホルダー支持具２を上記壁面４から略水平方向へ延出状態で取付ける一方、上記ホルダー支持具２の下面側には上記ペーパーホルダー１を、該ホルダー支持具２の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具２の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けているので、上記ペーパーホルダー１を第１の位置に設定しこれを上記ホルダー支持具２の下側に収納した状態では、該ホルダー支持具２からその側方へ延出する障害物が殆どないため、該ホルダー支持具２の側を人が安全に通ることができる。
【００３５】
この結果、上記ホルダー支持具２を手摺として機能させることができ、例えば、使用者が用便の前後において上記ホルダー支持具２の近傍を通って移動する場合、このホルダー支持具２を手で掴んで、あるいは該ホルダー支持具２の上面に手又は肘を付いて体重の一部を預けることで、安全に移動することができ、特にその使用者が高齢者とか身体障害者等の身体的弱者である場合には、上記効果はより顕著なものとなる。
【００３６】
また、上記ペーパーホルダー１が第２の位置に設定された状態では、該ペーパーホルダー１が上記ルダー支持具２の下側からその側方へ張り出すので、例えば、上記ペーパーホルダー１へのトイレットペーパーの補充とか、内部機構のメンテナンス作業を、上記ペーパーホルダー１を露出状態で行うことができ、作業性が高く且つ的確な作業が実現される。
【００３７】
さらにこの実施形態のペーパーホルダー装置Ｚによれば、上記壁面固定材２１に、上記壁面４に沿って配置された手摺３の一端を固定しているので、上記壁面固定材２１を、上記ペーパーホルダー１を支持する支持機能と、使用者の歩行等の動作を補助する手摺機能に加えて、上記手摺３を固定保持する手摺固定機能をも併せ持つこととなり、このような上記ホルダー支持具２の多機能化によってペーパーホルダー装置全体のコンパクト化がより一層促進され、特にスペース的に余裕のないトイレに適用する場合にあってはその効果が顕著となる。
【００３８】
Ｂ：第２の実施形態
図６には、本願発明の第２の実施形態に係るペーパーホルダー装置Ｚを、固定式の便器５が備えられたトイレ内の壁面４に設置した状態を示している。このペーパーホルダー装置Ｚは、次述のペーパーホルダー１とホルダー支持具２備えて構成される。
【００３９】
「ペーパーホルダー１」
上記ペーパーホルダー１は、上記第１の実施形態におけるペーパーホルダー１と同様の構成をもつものであり、従って、第１の実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。なお、この実施形態では、図６に示すように、上記ペーパーホルダー１の使用時位置における指向方向を、上記壁面４に直交する方向に設定しており、上記第１の実施形態においては上記ペーパーホルダー１の指向方向を上記壁面４に平行な方向に設定した（図１参照）点と相違しているが、該ペーパーホルダー１の使用形態という点においてが差異は無い。
【００４０】
「ホルダー支持具２」
上記ホルダー支持具２は、上記第１の実施形態におけるホルダー支持具２と基本構成を同じにするものであって、これと異なる点は、上記壁面固定材２１の構成と上記取付基材２３の構成である。以下、この相違点を中心に説明する。
【００４１】
上記壁面固定材２１は、上記第１の実施形態における上記壁面固定材２１とはその機能を若干異にしている。即ち、上記第１の実施形態の壁面固定材２１は、これを手摺として機能させる場合に、該壁面固定材２１の上面に手とか肘を付く使用態様とか、該壁面固定材２１の外周部分を掴む使用態様を想定していたが、この実施形態の壁面固定材２１は、該壁面固定材２１に手等を付く使用形態よりも、該壁面固定材２１を掴む使用形態に重点を置いた構成としている。
【００４２】
具体的には、図７及び図８に示すように、上記壁面固定材２１を上記壁面４側に該壁面４への接地部をもつＵ形の平面形態として、手による把持性を高めている。また、この把持性をさらに高める観点から、上記壁面固定材２１を「ラバーウッド構造」、即ち、Ｕ型の平面形態を有する板材を基材とし、その上面側をラバー材で覆って柔軟性を持たせた構造としている。そして、この壁面固定材２１の下面には、次述の取付基材２３の一部で構成される裏打部２６が締着固定される。
【００４３】
上記取付基材２３は、矩形平板状の金属板で構成されるが、この場合、その上端縁側を略直交方向へ延出させて上記壁面固定材２１のＵ形状に対応するＵ形の平面形体としてこれを裏打部２６としている。そして、上記取付基材２３を上記壁面４に衝合させてこれを締結固定すると共に、上記裏打部２６に上記壁面固定材２１を締結固定する。これで、上記壁面固定材２１は上記取付基材２３を介して上記壁面４側に固定されることになる。なお、上記取付基材２３と上記裏打部２６の隅部分にリブ２７が設けられていることで、上記壁面固定材２１の上記壁面４にたいする高い取付剛性が確保されている。
【００４４】
上記ホルダー取付材２４は、矩形平板状の金属板で構成され、上記取付基材２３の一側２３ａに蝶番２５を介して連結され、該蝶番２５を枢支軸として「第１の位置」と「第２の位置」の間での枢回動で位置変更されることは上記第１に実施形態の場合と同様である。
【００４５】
このように構成された上記ホルダー支持具２の上記ホルダー取付材２４に対して、図９及び図１０に示すように上記ペーパーホルダー１が取付けられる。そして、このペーパーホルダー１は、上記ホルダー取付材２４が上記「第１の位置」と「第２の位置」の間で位置変更されることで、図９に示す「使用時位置」と、図１０に示す「作業時位置」の間で位置変更される点は上記第１の実施形態の場合と同様である。
【００４６】
上記以外の構成及び作用効果は、上記第１の実施形態の場合と同様であるので、その該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【符号の説明】
【００４７】
１ ・・ペーパーホルダー
２ ・・ホルダー支持具
３ ・・手摺
４ ・・壁面
５ ・・便器
１１ ・・ホルダー本体部
１２ ・・開閉カバー
１３ ・・ペーパー取出口
１４ ・・人センサ
２１ ・・壁面固定材
２２ ・・固定ブラケット
２３ ・・取付基材
２４ ・・ホルダー取付材
２５ ・・蝶番
２６ ・・裏打部
Ｚ ・・ペーパーホルダー装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ホルダー支持具（２）を介して壁面（４）に設置されるペーパーホルダー（１）を備えたペーパーホルダー装置であって、
上記ホルダー支持具（２）が上記壁面（４）から略水平方向へ延出状態で取付けられる一方、
上記ホルダー支持具（２）の下面側には上記ペーパーホルダー（１）が、該ホルダー支持具（２）の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具（２）の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けられていることを特徴とするペーパーホルダー装置。
【請求項２】
上記請求項１において、
上記ホルダー支持具（２）は、上記壁面（４）に固定された壁面固定材（２１）と、上記ペーパーホルダー（１）が取付けられ且つ上記壁面固定材（２１）に対して略水平方向における第１の位置と第２の位置の間で相対変位可能に連結されたホルダー取付材（２４）を備え、
上記ホルダー取付材（２４）は、上記第１の位置では上記ペーパーホルダー（１）を上記壁面固定材（２１）の下側に収納させ、上記第２の位置では上記ペーパーホルダー（１）を上記壁面固定材（２１）の下側から側方へ張り出すように構成されたことを特徴とするペーパーホルダー装置。
【請求項３】
請求項１又は２において、
上記壁面固定材（２１）には、上記壁面（４）に沿って配置された手摺（３）の一端が固定されていることを特徴とするペーパーホルダー装置。
【請求項１】
ホルダー支持具（２）を介して壁面（４）に設置されるペーパーホルダー（１）を備えたペーパーホルダー装置であって、
上記ホルダー支持具（２）が上記壁面（４）から略水平方向へ延出状態で取付けられる一方、
上記ホルダー支持具（２）の下面側には上記ペーパーホルダー（１）が、該ホルダー支持具（２）の下側に収納された第１位置と該ホルダー支持具（２）の下側から側方へ張り出した第２の位置の間で移動可能に取付けられていることを特徴とするペーパーホルダー装置。
【請求項２】
上記請求項１において、
上記ホルダー支持具（２）は、上記壁面（４）に固定された壁面固定材（２１）と、上記ペーパーホルダー（１）が取付けられ且つ上記壁面固定材（２１）に対して略水平方向における第１の位置と第２の位置の間で相対変位可能に連結されたホルダー取付材（２４）を備え、
上記ホルダー取付材（２４）は、上記第１の位置では上記ペーパーホルダー（１）を上記壁面固定材（２１）の下側に収納させ、上記第２の位置では上記ペーパーホルダー（１）を上記壁面固定材（２１）の下側から側方へ張り出すように構成されたことを特徴とするペーパーホルダー装置。
【請求項３】
請求項１又は２において、
上記壁面固定材（２１）には、上記壁面（４）に沿って配置された手摺（３）の一端が固定されていることを特徴とするペーパーホルダー装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１２−６５９５８（Ｐ２０１２−６５９５８Ａ）
【公開日】平成２４年４月５日（２０１２．４．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２１５０２５（Ｐ２０１０−２１５０２５）
【出願日】平成２２年９月２７日（２０１０．９．２７）
【出願人】（５９９１１７２５５）株式会社 シコク (28)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年４月５日（２０１２．４．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月２７日（２０１０．９．２７）
【出願人】（５９９１１７２５５）株式会社 シコク (28)
【Ｆターム（参考）】
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