説明

ホログラフィックデータ格納システムにおけるデータ画素の処理

ホログラフィックデータ格納システムにおけるデータ画素を処理するための方法が、開示されている。上記方法は、各データページ全体にわたって、所定の予備のブロックを割り当てることであって、各予備のブロックは既知の画素パターンを含む、ことと、データページの領域と所定の予備のブロックとの間の最良のマッチングを計算することによって、データページの位置誤差を決定することと、検出器においてデータ画素を対応するデータページの位置誤差に従って補正することとを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、一部継続出願であり、本出願の譲受人に譲渡され、本明細書にその全容が参考として援用されている2004年6月28日提出の、同時係属の米国出願第10/879,847号「Method and System for Equalizing Holographic Data Pages」の利益を請求する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ホログラフィックデータ格納システムの分野に関する。特に、本発明は、ホログラフィックデータ格納システムにおいて、データ画素を処理することに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ホログラフィックデータ格納システムは、信号ビームがホログラフィック格納媒体において、基準ビームに干渉するという概念に基づいて情報またはデータを格納する。信号ビームと基準ビームとの干渉は、例えばフォトポリマーまたは光屈折クリスタルのような、格納媒体または記録媒体の容積に印刷された変化する屈折率および/または吸収のパターンとしてのデータ要素のホログラフィック表現、すなわちホログラムを作成する。オブジェクトビームと称されるデータ符号化信号ビームと基準ビームとを組み合わせることは、格納媒体において干渉パターンを作成する。例えば、空間光変調器(SLM)は、データ符号化信号ビームを作成し得る。干渉パターンは、格納媒体において、ホログラムを生成する物質変化を誘発する。格納媒体におけるホログラムの形成は、信号ビームと基準ビームとの相対振幅および偏光状態、ならびに信号ビームと基準ビームとの間の位相差の関数である。ホログラムはまた、信号ビームおよび基準ビームが格納媒体の中に投影される波長および角度に依存する。ホログラムが格納媒体に作成された後、基準ビームを格納媒体の中に投影すると、元のデータ符号化信号ビームが再構成される。再構成された信号ビームは、たとえばCMOS光検出器アレイなどのような検出器を使用することによって検出され得る。検出されたデータは、元の符号化されたデータに復号化され得る。
【0004】
ページ志向のホログラフィックデータ格納装置において、最大の格納密度を達成するように、ホログラムのサイズを最小にすることが有利である。これを達成する1つの方法は、ページ画像化アパーチャのサイズを最小にすることである。しかしながら、アパーチャのサイズを最小にすることは、ページ画像における画素広がり関数(PSF)を広げるという点から、ぼやけを促す結果を有する。このぼやけは、フォトグラフィック格納装置の信号対ノイズ比(SNR)を低減し、システムのビットエラーレート(BER)が増大し、それにより、格納密度を制限する。
【0005】
画像におけるぼやけは、決定性のプロセスであるから、SNR損失の多くは、検出されたページ画像をデジタル的に後処理することによって回復され得る。従来、検出された画像は、逆ぼやけ作動(ディコンボリューション(de−convolution))を表す核としても知られている、小核行列wで畳み込まれ、それによって有限インパルス応答(FIR)フィルタ等化をインプリメントする。
【0006】
FIRフィルタの核、例えば3x3または5x5マトリックスなどは、現在の技術で公知のいくつかの方法によって決定され得る。例えば、ページ画像画素広がり関数が既知である場合、ゼロ強制等化器が、PSFの線形的な逆数を計算することによって、設計され得る。ゼロ強制方法の例が、非特許文献1に記載されている。別のアプローチは、等化されたデータページ画像と元のデータページとの間の差を最小にするFIRフィルタ係数を選択することである。そのような方法は、非特許文献2に記載されている。
【0007】
ページ志向のホログラフィックデータ格納装置において、光検出器アレイは、ホログラフィック再構成データ画像を読み取るために使用される。検出器アレイは通常、ホログラフィック画像と画素マッチングされる。画素マッチングされたデータ格納の例は、本明細書に参考としてその全容が援用されている非特許文献3によって記載されている。このアプローチは、各データ画素画像の同じサイズの検出器画素に対する正確なアライメントを達成するために、極めて高度な性能の光学機器および機械を必要とする。ミスアライメントされたまたはゆがんだ画像を読み取るために、ナイキスト率またはそれより高いナイキスト率で、画像を空間的にサンプリングする検出器アレイを使用する商業システムが設計されている。そのようなシステムは、本明細書に参考としてその全容が援用されている非特許文献4によって記載されている。
【0008】
しかしながら、検出器アレイの性能に影響を与える多くの要因がある。例えば、視界一面にわたって画素広がり関数の幅または形状に変化を与える要因が多くある。例えば、変動は、レンズ収差およびミスアライメントによって、歪曲、収縮、および他の非理想的な媒体応答によって、ならびに再構成する基準ビームにおけるミスアライメント、および波面誤差によって引き起こされ得る。画素マッチングシステムにおけるこれらの影響の著しい結果は、画素マッチングの劣化である。なぜならば、画像歪曲は、画像の局所的な領域を検出器画素に対してシフトするからである。例えば、媒体の均一な収縮によって、ホログラフィック画像は拡大され、放射状の変位が生じ、その結果、データ画素画像はもはやそれぞれの検出器画素の中心ではない。歪曲を無視しても、媒体ミスレジストレーションおよび他の非理想的なコンポーネントアライメントによって引き起こされる画像シフトおよび回転は、マイクロアクチュエータが、動的な画像対検出器アライメントをもたらすように使用されることを必要とする。
【0009】
非特許文献5および非特許文献6は、部分的に(1つの画素の半分より小さい)ミスアライメントされた画像の忠実度をもとに戻すための方法を提案しているが、しかし、現実的な許容モデルは、数百ミクロンに及ぶ画像シフトが、当分野のユニットにおいて生じ得ることを示している。
【0010】
サンプリング理論は、ホログラフィック画像が、各線形次元において、その最高のコンポーネントの周波数(ナイキスト周波数)の少なくとも2倍の周波数で空間的にサンプリングされる場合、信号は損失なくキャプチャされ得ることを示している。ホログラフィックデータ格納(特に、フーリエ変換図形において)に対して、データビームの空間的帯域を、データパターンのナイキスト周波数よりも極わずかに高くに制限することは有利である。データパターンは、2画素につき多くても1サイクルを含み得るので、ナイキスト周波数は、1画素につき1サンプルとなる。通常、フーリエ平面におけるアパーチャは、データビームを帯域制限するために使用され、それによって、ホログラムのサイズを最小化する。
【0011】
検出器を打つ電磁場のスペクトル成分は、理論上、1画素当たり1つの同期サンプルでキャプチャされ得るが、検出器は実際には放射を検出し得るのみであり、電磁場の強さは検出し得ない。放射パターンのスペクトラムは、対応する電磁場配分のスペクトラムの自己相関であり、従って、システムに実際利用可能な信号の空間的帯域は2倍となる。従って、検出器で放射パターンを損失なくサンプリングするためには、(2次元において1データ画像画素につき合計4つの検出器画素に対して)1データ画素画像につき少なくとも2検出器サンプルを必要とする。このアプローチは、特許文献1「Distortion correction of a reconstructed holographic data image」のなかで、T.Visel等によって、および特許文献2「Method and apparatus for processing of reconstructed holographic images of digital data patterns」のなかで、A.Hartmannによって記載され、両特許文献は、本明細書に参考としてその全容が援用されている。しかしながら、放射パターンは、装置の動作にとって最重要ではない。重要なのは、それではなく、下にあるデータパターンである。より高い高周波を生成するマグニチュード平方変換は、非線形であるがゆえに、新しい問題を引き起こす。
【0012】
別の解決法は、データ画像画素に対する検出器画素の比率を4よりも1に近づけることである。この方法は、本明細書に参考としてその全容が援用されている非特許文献7よって記載されている。しかしながら、この方法は、ナイキストよりもさらに大きなアパーチャを必要とし、ナイキストは歪曲とノイズで速やかに劣化する。
【0013】
従って、従来技術の方法の上記問題に取り組むための新しい方法とシステムが必要とされる。特に、任意にアライメントされ、かつ歪んだデータページを回復するための方法が、ホログラフィックデータ格納システムの格納密度を改善するために必要とされる。
【特許文献1】米国特許第5,511,058号明細書
【特許文献2】米国特許第5,694,448号明細書
【非特許文献1】V.VaddeおよびB.Kumar、Channel estimation and intra−page equalization for digital volume holographic data storage、Optical Data Storage 1997、1997年、pp.250〜255
【非特許文献2】M.KeskinozおよびB.Kumar、Application of linear minimum mean−squared−error equalization for volume holographic data storage、Applied Optics、1999年7月10日、vol.38,no.20
【非特許文献3】R.Shelby等、Pixel−matched holographic data storage with megabit pages、Opt.Letter22、1997年、pp.1509〜1511
【非特許文献4】S.Redfield等、Tamarack Optical Head Holographic Storage、Holographic Data Storage(D.PsaltisおよびG.Sincerbox編)、Springer−Verlag、New York、2000年
【非特許文献5】G.Burr等、Compensation for pixel misregistration in volume holographic data storage、Opt.Letter26、2001年、pp.542〜544
【非特許文献6】P.Yoon等、Image Compensation for Sub−pixel Misalignment in Holographic Data Storage、ISOM Proceedings、2004年
【非特許文献7】G.Burr、Holographic data storage with arbitrarily misaligned data pages、Opt.Letter27、2002年、pp.542〜544
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態において、ホログラフィックデータ格納システムにおけるデータ画素を処理するための方法が開示されている。上記方法は、各データページにわたって、所定の予備のブロックを割り当てることであって、各予備のブロックは、既知の画素パターンを含む、ことと、データページの領域と所定の予備のブロックとの間の最良のマッチングを計算することによってデータページの位置誤差を決定することと、検出器においてデータ画素を対応するデータページの位置誤差に従って補正することとを包含する。
【0015】
別の実施形態において、ホログラフィックデータ格納システムは、コンピュータプログラムを実行するための、少なくとも1つのマイクロプロセッサユニットと、オペレーティングシステムおよびアプリケーション層を格納するメモリと、コヒーレントな光のビームを提供する光源と、符号化されたホログラフィック画像ページを格納する格納媒体と、符号化されたホログラフィック画像ページを読み取る検出器と、検出器を制御する1つ以上のマイクロコントローラとを含む。ホログラフィックデータ格納システムは、各データページにわたって所定の予備のブロックを割り当てる手段であって、各予備のブロックは、既知の画素パターンを含む、手段と、データページの領域と所定の予備のブロックとの間の最良のマッチングを計算することによってデータページの位置誤差を決定する手段と、対応するデータページの位置誤差に従って検出器におけるデータ画素を補正する手段とをさらに含む。
【0016】
さらに別の実施形態において、オーバーサンプリングされたホログラフィック画像ページを処理する方法は、オーバーサンプリングされたホログラフィック画像ページにおいてデータ画素を取り巻くオーバーサンプリングウインドウを選択することと、線形有限インパルス応答(FIR)係数のセットを決定することと、ある範囲のデータページにわたり線形FIR係数のセットの性能を評価することにより、オーバーサンプリング線形係数のセットを取得することと、オーバーサンプリング線形係数のセットを使用して、データ画素の状態を決定することとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の前述の特徴および利点、ならびにその追加的な特徴および利点は、次の図面に関連して解釈された場合、本発明の実施形態の詳細な説明の結果として、今後さらに明確に理解される。
【0018】
図面全部を通して、同様な番号が使用されている。
【0019】
ホログラフィックデータ格納システムにおいてデータ画素を処理するための方法が提供される。
【0020】
以下の記述は、当業者が本発明を構成および使用することを可能にするために提示される。特定の実施形態およびアプリケーションの記載が例としてのみ提供される。本明細書に記載の例の様々な改変および組み合わせが、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、他の例およびアプリケーションに適用され得る。それ故に、本発明は、記載および示される例に限定されることを意図せず、本明細書で開示される原理および特性と一致する最も広い範囲に従うことを意図する。
【0021】
ホログラフィックデータ格納システムにおいて、検出器(カメラ)は通常、読み取り動作中に、ホログラフィック画像とアライメントされることにより画像の中の各画素が検出器の単一の画素上の中心に来る。このアライメント処理は概して、「画素マッチング」と呼ばれる。「画素マッチング」の目的は、検出された画像が低いビットエラーのレート(BER)を有するように、情報コンテンツを保存する態様でデータを含むホログラムのホログラフィック画像を検出器上でサンプルリングすることである。ホログラフィックデータシステムの1つ以上のコンポーネントが平行移動または回転移動させられ、それにより検出された画像において平行、傾斜、回転移動、拡大、または焦点ぼけの誤差を生じ得る。それ以外の指示されていない場合には、ミスアライメント検出された画像の平行移動の誤差、傾斜移動の誤差、回転移動の誤差、拡大の誤差、または焦点ボケのうちの1つ以上を指す。
【0022】
(ホログラフィック画像のページを等化すること)
図1は、本発明の実施形態に従った、ホログラフィックデータ格納システムを示す。ホログラフィックデータ格納システムは、光源110、第1のレンズ112、ビームスプリッタ114、SLM116、第1のマイクロコントローラ117を含む。ホログラフィックデータ格納システムはさらに、第1のミラー118、第2のレンズ120、格納媒体124、第3のレンズ126、検出器128、第2のマイクロコントローラ129、第2のミラー130、マイクロプロセッサ136、およびメモリ138を含む。メモリ138は、オペレーティングシステム140、アプリケーション層141、等化モジュール142、および線形化モジュール143を含む。
【0023】
一実施形態において、光源110は、コヒーレントな(coherent)光ビームを提供するためのレーザーである。ビームスプリッタ114は、レーザービームをオブジェクトビームおよびレファレンスビームに分割するように配置される。オブジェクトビームは、SLM116に向けられ、そこで例えば第1のマイクロコントローラ117内の符号化ユニットによって符号化される。オブジェクトビームは、2次元の画像信号を形成するデータであって、データページと関連するデータを用いて符号化を表す。データページの画像によって変調された信号ビームは、次いで第1のミラー118を介して記憶格納媒体124に向けられる。
【0024】
第1のマイクロコントローラ117は、SLM116のアドレス可能な要素のアレイを適切にアドレス指定することによって、データシーケンスを画素の値に符号化することが可能であるソフトウェアおよび/またはハードウェアを含み得る。第1のマイクロコントローラ117はまた、SLM116、格納媒体124、または検出器128のミスアライメント(つまり、回転、平行移動等)を決定するために、様々な登録マークまたは既知の画素パターンを符号化し得るミスアライメント、すなわち回転移動、平行移動を決定するための画素パターンを符号化し得、SLM116、格納媒体124、または検出器128も同様である。例えば、第1のマイクロコントローラ117は符号器および/または複号器などを含み得、ファームウェアのコマンドなどを介して、SLM116および検出器128をアドレス指定し得る。
【0025】
マイクロプロセッサ136は、(双頭の矢印で示されるように)メモリ138だけでなく第1のマイクロコントローラ117およびシステムの他のコンポーネントに通信する。メモリ138は、高速ランダムアクセスメモリを含み得、フラッシュRAMのような不揮発性のメモリを含み得る。メモリ138はまた、マイクロプロセッサ136から離れて位置する大容量格納装置を含み得る。メモリ138は好適には、
・様々な基本システムのサービスを処理し、ハードウェア依存のタスクを行なうための手順を含むオペレーティングシステム140と、
・オペレーティングシステムとホログラフィックデータ格納システムの他のアプリケーションとの間にインターフェイスをとるためのアプリケーション層141と
を含む。
【0026】
マイクロプロセッサ136はさらに、ホログラフィックデータ格納システムの等化モジュール142および線形化モジュール143に通信する。ここで
・等化モジュール142は、ON画素およびOFF画素の両方に対する信号強度の変化を低減させ、
・線形化モジュール143は、ホログラフィックデータ格納システムのチャネルの非線形性を補正する。
【0027】
等化モジュール142および線形化モジュール143は、実行可能な手順、サブモジュール、テーブル、および他のデータ構造を含み得る。他の実施形態において、追加または異なるモジュールおよびデータ構造が使用され得、上記のモジュールおよび/またはデータ構造のうちの一部は使用されないかもしれない。等化モジュール142および線形化モジュール143はソフトウェアおよび/またはハードウェアにおいて実装され得る。ハードウェアにおいて実装するときには、等化モジュール142および線形化モジュール143はアプリケーション特定統合回路(ASIC)またはフィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)において実装され得る。
【0028】
図1のホログラフィックデータ格納システムはまた、SLM116、検出器128、および記録媒体124のうちの少なくとも1つを移動させるように構成されるマイクロアクチュエータ(図示しない)を含み得る。一例に従って、マイクロアクチュエータは、例えばマイクロプロセッサ136を介して、第1のマイクロコントローラ117または第2のマイクロコントローラ129によって制御され得る。マイクロプロセッサ136は、検出器128から信号を受信し、ホログラフィックデータ格納デバイスの性能を増加させるように、SLM116、検出器128、および記録媒体124のうちの少なくとも1つを動作させるように、サーボ制御のフィードバックループなどを使用し得る。例えば、ミスアライメントと関連する誤差信号は、第1のマイクロコントローラ117、または第2のマイクロコントローラ129(または格納媒体124の位置を制御するマイクロコントローラ)に送信され得るように、1つ以上のマイクロアクチュエータを作動させる。
【0029】
概して、ホログラフィックコンポーネントのアライメントは製造時に設定される。しかしながら時と共に、コンポーネントは、振動、衝撃、温度変化、媒体の収縮などによりミスアライメントされ得る。格納されるホログラムが使用可能な信号対ノイズ比(SNR)を有する空間範囲は、たったの約数ミクロン以下である。それ故に、機械的な誤差、振動、温度変化、媒体の収縮などによるSLM、検出器、または格納媒体に基づく、ホログラムのわずかな移動でさえ、多くの場合にホログラフィックシステムの性能を低下させる。
【0030】
InPhase Technologies,Inc.による共同所有権の「Micro−Positioning Movement of Holographic Data Storage System Components」と題される米国特許出願第10/305,769号(2002年11月27日出願)において、画像の一部分とデータページの既知の部分との間で相互関係を実行することによって、画像の局所的な領域におけるページのずれを測定するための方法が開示される。第10/305,769号出願の全内容が本明細書に参照として援用される。第10/305,769号出願はさらに、ページのずれを測定する方法が、全画像にわたる画素のミスアライメントのマップを生成するために、複数のサンプルの位置にどのように適用され得るかを開示する。各サンプル位置に対するミスアライメントは、2つのアライメント誤差コンポーネントe=(Δx、Δy)を有するベクトルであり、画素においてそれぞれ測定されるxおよびyのミスアライメントを表す。画像に関する測定されたミスアライメント情報を与えられた場合には、開示される方法はFRIの等化の性能を改善する際に、アライメント誤差のベクトルを利用可能にする。
【0031】
一実施形態において、画像ページがn個の局所的な画像領域に分割され、分割された画像のそれぞれが局所的なアライメント誤差ベクトルe(i=1・・・n)によって特徴付けられる。各局所的な画像領域は局所的なFIRの核wで等化され、局所的なFIRの核wは、大域的FIRの核wの改変バージョンである。つまり、本方法は各画像領域の局所的な画素アライメントの誤差のマグニチュードおよび方向を決定し、適宜に局所的なFIRの核wを補正する結果、局所的な画素のアライメント誤差を除去する。特に、wは、局所的な画素アライメントの誤差の影響を無効にするために、eの反対方向にwを移動させることによって形成される。例えば、3x3のマトリックスの場合において、wは
【0032】
【数1】

の形式である。
【0033】
大域的wマトリックスを取得するための1つの方法は、線形最小平均平方誤差(LMMSE)法を既知の画像ページ全体にわたって適用することである。0≦Δx≦1および0≦Δy≦1を仮定すると(すなわち、局所的な画素アライメントの誤差は正であり、かつ1つの画素よりも小さい)、局所的なwが以下の式にしたがって計算される。
【0034】
【数2】

この例において、wはwに対して右方向および下方向に移動され、正のΔxおよびΔyが左方向および上方向にそれぞれ対応するように座標が定義されたことを意味する。他の実施形態において、wは他の4分の3の部分に移動され得(すなわちΔxおよび/またはΔyは負)または移動(すなわちΔxおよびΔy)は1よりも大きく、式1は他の四半分への移動またはΔxおよびΔyの範囲の変化を補正するように書き直され得る。
【0035】
上記の技術の利点のうちの1つは、入力画像に関する深い知識を有することおよび多くの計算を通常行なうことを必要とする、各局所的な領域の各wマトリックスを最初から決定するのではなく、各wマトリックスは大域的wマトリックスおよび局所的な画素アライメントの誤差のベクトルに従って決定される。局所的なwマトリックスは、画素のミスアライメントに対応する自由度のみが調整されることを可能にするような様態に制限される。従って、局所的なwマトリックスを決定する際に必要とされる計算の量は著しく低減される。さらに、なぜなら本技術はノイズ影響を受けにくいwマトリックスを最初から生成する場合には、自由度9からノイズ寄与がとれることとは対照的に、自由度2を有する局所的な画素アライメントの誤差を使用することによって、wマトリックスをより正確に推定するからである。
【0036】
代替実施形態において、局所的なFIRの核wに適用される移動のマグニチュードは局所的な画素アライメントの誤差(Δx、Δy)と完全に等しくはないかもしれないが、むしろスケーリングされたバージョンの局所的な画素アライメントの誤差(aΔx、aΔy)と等しい。倍率aおよびaの値は、一つ以上の性能メトリクスを最適化することによって決定され得る。倍率の例示的な範囲は、0<|a|<1、および0<|a|<1であり、つまり最適な移動量はアライメントの誤差全体より小さい。
【0037】
他の実施形態において、異なる性能メトリクスは、信号対ノイズ比、ビットエラーのレートまたは最小限度の平均平方の誤差を含む(それらには限定されない)倍率は、決定するように使用され得る。さらに、実験データまたは理論(模擬)データのいずれかが倍率を決定するために使用され得る。さらに、倍率aおよびaはある量のノイズを含み、従って、1未満の倍率の値を使用することによって、ノイズを増幅させないことが好まれ得る。さらに、生の画素アライメントの誤差eは、例えばローパスフィルタを使用して空間的にフィルタされ得、先の測定から受信されたノイズを排除することにより、複数のeが、先の測定から受信されたノイズを排除するために、平均され得る。
【0038】
さらなる実施形態において、式1の移動動作は、FIRの核wに直接的に適用されるよりもむしろ、eと同じ方向の所定の大域的PSFhに適用され得る。この場合に、局所的なPSFhが、各画像領域に対して決定され、対応するwが、ゼロフォーシング法のような反転移動によって決定される。FIRの核wを移動させるための他の式は、本発明の精神および範囲を逸脱することのない態様で、式1とは異なり得ることを当業者は理解し得る。
【0039】
概して、背景技術で述べたように、従来技術は、例えばゼロフォーシング法またはLMMSE方法を使用することによって、最初から局所的なFIRの核wを生成することを熟考している。これらの方法は、画像の充分に小さい局所的なサンプルから導出された局所的なFIRの核wは、ノイズを伴う傾向にあるという不利な点を有する。上記の方法はグローバルFIRの核wの従来の知識を取り込み、局所的なデータが影響を与える自由度を制限することとによってこの欠点に取り組む。xおよびy画素アライメントの誤差といった、許容される自由度が実際の画像に対して最大限の変形を有すると思われる。
【0040】
この方法はホログラフィック画像のページを等化する際に、他の自由度を可能にすることによってさらに一般化され得る。特に、ぼやけは、画像内の局所的に、または画像全体にわたって大域的に変化し得るパラメータである。ぼやけの局所的な測定値を導出し、大域的FIRの核wにおいて見込まれるぼやけと比較されるぼやけにおける変形を補償する様態で、局所的なFIRの核wを変更することによって、本発明の方法による局所的に調整可能なパラメータとして、ぼやけは組み込まれ得る。
【0041】
一実施形態において、局所的な画像領域のぼやけは、上記されるように米国特許出願第10/305,769号の画素のミスアライメントの測定方法の改変を使用して導出される。局所的な画素アライメントの誤差のベクトルの計算中に、測定された画像パターンの小さい領域のゼロ平均バージョンと対応する既知の画像パターンのゼロ平均バージョンとの間の相互関係を測定する共分散マトリックスが生成される。共分散マトリックスは、局所的PSF
【0042】
【数3】

の推定値として使用される。第1の画素信号誤差要素(PSEF)(ぼやけにより反比例して変化するメトリクス)が、意図される画素の位置に届く信号の隣接する画素の位置に届く信号に対する比率(すなわち、意図される画素に当たる光の隣接する画素に当たる光に対する比率)を計算することによって、局所的なPSFから導出される。別の実施形態において、隣接する画素の位置は、1つ以上の画素分意図される目的の画素から離れている位置を含み得る。同様に、第2のPSEFは、所定の大域的PSFから導出される。次いで、第1のPSEFは、第2のPSEFへ除算されることにより、画素と信号の誤差率(PSER)を形成する。次いで、PSERは、通常のぼやけからのずれを補償するように、局所的なwを調整するように使用される。
【0043】
特定の実装において、PSF、h22の中心要素およびその4つの最も近接する要素(h22の真上、真下、左、および右)と関連する共分散のみが計算される。PSERは
【0044】
【数4】

となる。局所的なFIRの核wは、次いで、その要素w22のみを変更することによって修正され得、
【0045】
【数5】

となり、数式5は、検出されたPSEFの変化と同じ比率分、wのPSEFを調整し、それにより局所的な画像領域の局所的なぼやけを補償する。
【0046】
代替実施形態において、PSEF率が局所的なPSF、hを直接的に等化するように使用され(すなわち、h’22=errPSEF22)、次いで、これが、ゼロフォーシング法、線形の最小平均平方の誤差法または他の方法によって、wを決定するように使用される。さらに別の代わりの実施形態において、適用されたPSEFの率は、測定ノイズの影響を最小化するために、0<ERRPSEF<1の間、好ましくは1の付近において、ファクタによってリスケーリングされ得る。ぼやけを測定するための異なる倍率および/または局所的なFIRの核wまたは局所的なPSFhを調整するための異なる方法が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく適用され得ることを、当業者は理解し得る。
【0047】
図2A、図2Bおよび図2Cは、本発明の実施形態に従って、局所的に変更可能なFIR等化の有益な点を示す。図2Aは、空間的光モジュレータによって生成される例示的な21x21画素の画像データを示す。図2Aは、ホログラフィックデータ格納システムの入力時における生の画像である。ON画素が1x1の白い正方形で表され、OFF画素が1x1の黒い正方形で表される。
【0048】
図2Bは、本発明の技術によって処理されていない、ホログラフィックデータ格納システムの出力において検出された、図2Aの21x21画素画像データを表す。つまり、図2Bは、本発明の技術によって処理されていない、ホログラフィックデータ格納システムの検出器128において読み取られた、対応する画像領域である。図2Bに示されるように、非常に輝くものからグレーなものに範囲するON画素の明るさにおける様々なバリエーションが存在する。例えば、座標(3、7)、(9、8)、(16、6)および(16、3)において、ON画素の少なくとも4つのレベルの明るさがそれぞれ存在する。このようなON画素のバリエーションは、OFF画素との区別が難しい。この制限により、ホログラフィック画像ページにおいて、より高いビットエラーのレートを生じ、それによりホログラフィックデータ格納システムの格納密度を低減する。
【0049】
図2Cは、本発明の実施形態に従って、処理された後の図2Aの21x21画素の画像データを示す。つまり、ホログラフィックデータ格納システムの検出器128において読み取られた画像データが、局所的に変更可能なFIR等化技術に従って処理される。図2Bと比較すると、図2Cの画像データのON画素は明るさのバリエーションがより少ない。制限されたアパーチャを介して画像化を処理することにより、画像フィールドの振幅に、まるでローパス空間フィルタを適用したかのように、画素をぼやけさせる。この影響はON画素において最も顕著である隣接する画素からの変化するノイズ寄与が、コヒーレントにON信号自体にすら加算されるので、効果的にノイズの強度を増幅させる。チャネルの線形化技術は、ノイズが付加的にON画素とOFF画素との両方に対して等しい大きさになるように、コヒーレントなノイズ増幅の処理を反転させる。FIRフィルタを適用する技術は、ローパスぼやけ処理を反転させ(すなわちFIRフィルタはハイパス等化器である)、ON画素およびOFF画素の隣接のものに依存するレベルをより低いものにする。さらに、局所的な画素アライメントに従って、FIRフィルタを変化させる技術はさらに、画素アライメント(画素のずれは非対称のぼやけとして現される)を復元することによって、等化器の性能を改善する。これらの動作の結果として、ON画素およびOFF画素のヒストグラムは、より狭くかつより区別可能になり得る。
【0050】
図3Aおよび図3Bはさらに、本発明の実施形態に従った、局所的に変化可能なFIR等化技術の有益な点を示す。図3Aは、本発明の実施形態に従って、未処理の画素画像データのヒストグラムである。垂直方向の軸は画素数を表す。平行方向の軸は検出器128における画素の明るさを表す。等化を適用することなく、ON画素の明るさの多くのバリエーションが存在する。大多数のON画素は、250から500に範囲する明るさの値を有するが、一部のON画素は、600から1000を超える範囲の明るさの値を有する。この例において、等化を適用していない生の画像データのSNRは、約3.409dBである。ON画素の明るさにおける多様なバリエーションにおける問題のうちの1つは、ON画素が低部においてOFF画素と重複することである。その結果として、1つの信号の閾値もON画素とOFF画素とを区別するために使用され得ない。この制限が、ホログラフィック画像のページにおいて、より高いビットエラーのレートをもたらし、従って、ホログラフィックデータ格納システムの格納密度を低減する。
【0051】
図3Bは、本発明の実施形態に従って、処理された後の処理された画素画像データのヒストグラムである。垂直方向の軸は画素の数を表し、平行方向の軸は、等化の後の画素の明るさを表す。図3Bに示されるように、大多数のOFF画素は画素の明るさの値1に集まり、大多数のON画素は画素の明るさの値2に集まる。従って、ON画素とOFF画素とのより明確な分離がある。この例において、処理された画像領域のSNRは、図3Aに示されているような3.409dBから5.999dBにSNRから改善される。
【0052】
上記のように線形化および等化の方法の効率を改善するために、特別なデータのページが、大域的PSFまたは大域的FIRの核の指数を決定する際に、手順を単純化するように使用され得る。例えば、ページ全体にわたって既知の位置に広がる多くの孤立した画素からなるページが使用され得る。この文脈では、孤立した画素は、OFF画素である最も近くの隣接する画素によって取り囲まれた単一のON画素である。PSFおよび線形化指数に空間的に依存する復元された既知の画素のパターンの分析は、隣接する画素の影響のために単純化される。
【0053】
さらに、既知の画素パターンは、ホログラフィックドライブが最初に製造されたとき、アライメントのための較生手順の一部分として、かつホログラフィックドライブがずれかつ老朽化するにつれ、またはホログラフィックドライブが機械的な衝撃または振動をこうむった後には、再較生の方法の一部分として使用され得る。事前に記憶された既知の画素ホログラムを使用して、ホログラフィックドライブはそれ自体を再較生し得、必要に応じてフィルタパラメータを更新し得る。
【0054】
(非線形のホログラフィックデータ格納チャネルを補正すること)
上記の背景技術で示唆したように、コヒーレントな光データチャネルに対するFIRフィルタリングの性能に関する著しい限定要素は、チャネル固有の非線形化である。なぜならばFIRフィルタリングは、線形のレジームの内で隣接する画素に対する画素のミスアライメントの影響をできる限り排除するために、回転させられるからである。そのため、非線形のホログラフィックデータ格納チャネルは補正される必要がある。
【0055】
図4Aおよび図4Bはホログラフィックデータ格納チャネルの非線形性を示す。図4Aは3画素x3画素の例示的なデータ画像の一部分を示す。平行方向の軸と垂直方向の軸との両方が画素の次元を示す。ON画素は、白い点によって表され、OFF画素は黒い点で表されている。第1の列は、ON/OFF/ON画素からなり、第2の列は、ON/ON/OFF画素からなり、第3の列は、OFF/ON/OFF画素からなる。画素の明るさは、その画素の位置において二乗される電界強度の集中のレベルを表す。さらに一部のOFF画素に関して、非常に濃い色は、ON画素の電界強度値に対して反転された電界強度値を表す。図4Aに示されるように、ON画素の光は隣接する画素に及び、それにより符号間干渉を形成する。このような符号間干渉は、ホログラフィックデータ格納システムが非線形になることを生じさせる。
【0056】
図4Bは、本発明の実施形態による、図4Aの第1の列における画素の電界強度を加算および二乗した結果から生じた明るさのプロファイルを示す。例として、第1の列における画素の間の符号間干渉の影響のみが図4Bに示されることに留意する。近接する列の画素の間の符号間干渉の影響が、同様の方法で分析され得ることを、当業者は理解し得る。平行方向の軸は画素の間の距離を表し、垂直方向の軸はON画素の電界強度を表す。曲線410は、左のON画素の距離に対する電界強度のプロファイルを表す。曲線412は、右のON画素の距離に対する電界強度のプロファイルを表す。曲線414は、曲線410および曲線412を合計および二乗することによって獲得される光の強度の特徴を表す。ボックス416は、左の画素検出器の大きさを表し、ボックス418は、中央の画素検出器の大きさを表し、ボックス420は右の画素検出器の大きさを表す。
【0057】
留意すべきは、左のON画素410からの電界強度のプロファイルは、右のON画素412だけでなく中央のOFF画素に影響する。同様に、右のON画素412からの電界強度のプロファイルは、中央のOFF画素および左のON画素410に影響する。画像のアパーチャが低減されるにつれ、ON画素の電界の強度がぼやけ、隣接する画素に届く。さらに、電界強度は負の値であり得る。言い換えると、1つの隣接する画素からの符号間干渉は隣接する画素の電界強度に加算されるのみではあり得ず、同様に隣接する画素から減算され得る。この特徴は、別の問題を提示する。線形のチャネルの推定に対して隣接する画素の信号のレベルが常に加算され、互いに減算されないことを想定する。
【0058】
一実施形態において、生の信号が線形化指数(α)を各検出された画素の値に適用することによって線形化される。線形化指数は、線形性を想定するFIRフィルタリングのような等化動作の前に適用される。
【0059】
このアプローチにおいて、チャネルの非線形性は、ホログラフィックデータ格納システムの所望のデータの正確性に対応する測定基準の所望の値に従って測定される。このアプローチは、記録データが2値であり、状態0(OFF)および状態1(ON)を有する。このアプローチはまた、有限の大域的チャネルPSFhを想定し、かつこのアプローチが垂直方向および水平方向の対称性を有することを想定する。例えば、グローバルPSFhは
【0060】
【数6】

の形態である。
【0061】
hは、1より大きい中央からの全ての距離に対する仮定された0であるので、hによって所定の画素に導入される符号間干渉(ISI)は、画素と8つのすぐ隣の画素との関数である。チャネルが線形である場合には、式2は、チャネルの応答および中央の画素を取り囲んでいる3x3の隣接する画素の512(すなわち、2)の考えられる状況に関する画素の測定された強度レベルを
【0062】
【数7】

として表すために使用され得る。Xは512x4のマトリックスであり、各列は、中央の画素に合計されるhにおけるそれぞれの項の数を含み、信号の強度のレベルのベクトルIは、中央の画素の理想的な線形のレベルを含む512の要素の列ベクトルである。
【0063】
非線形のチャネルの場合において、512の全ての考えられる画素の隣接状況の全体にわたって得られる検出器の値の実際の信号強度のレベルのベクトルI’は、分析的方法か経験的方法かのいずれかによって取得され得る。それ故に、実際のベクトルI’対理想の線形のベクトルIのフィット誤差は
【0064】
【数8】

のような、信号の強度のレベルの最小二乗の誤差(LSE)として定義され得、errLSは、チャネルの線形性を調整するための測定基準として使用される。
【0065】
このようなメトリクスが与えられると、チャネル性能がある範囲の線形化指数(α)にわたって評価され得、errLSを最小化する所望の線形化指数が選択される。一特定の実施において、チャネルは、画素充填比、線形化指数(α)、および連続的な画像化システム点広がり関数を組み込むMatLabコンピュータ言語においてシミュレートされる。MatLabにおけるバックスラッシュ(\)によって表される最小二乗フィット関数を使用して、実際のチャネル応答I’とともに最もフィットするPSFhが取得され得る。対応する線形Iベクトルは式2を解くことによって作成され得る。従って、測定基準のerrLSが、IおよびI’を使用することによって計算される。
【0066】
図5は、上記の方法に従って、線形化指数を選択する方法を示す。水平方向の軸は、線形化指数の値を表す。垂直方向の軸は最小二乗誤差errLS、つまりホログラフィックデータ格納チャネルにデータの正確性を測定するための倍率を表す。この例において、最小のerrLSを生成する最良の線形化指数の値αは、約0.58であり、errLSが対応する極小値は0.043(27.3dB)である。この例示的なホログラフィックデータ格納システムに関して、線形化指数が0.58を下回るときには、errLSは増加し、線形化指数が0.58を上回るときには、errLSはまた増加する。留意すべきは、線形化指数(α)がまた上記方法を使用して、ホログラフィック画像のページのビットエラーのレート(BER)を最小化するために調整され得ることである。
【0067】
さらに別の実施形態において、線形化指数(α)は、上記の信号強度のレベルの最小二乗フィット誤差とは対照的に、信号対ノイズ比(SNR)に従って最適化される。隣接する画素の状態にわたる画素I’の測定された値のSNRが計算され得る。第1に、I’を第1のセットおよび第2のセットに分割する。第1のセットは1と等しい中心画素を有し、第2のセットは0と等しい中心画素を有する。第2に、1のセットおよび0のセットそれぞれに対して平均(μおよびμ)を計算する。第3に、1のセットおよび0のセットそれぞれに対して標準偏差(σおよびσ2)を計算する。ISIより制限されたSNRは
【0068】
【数9】

のような式3によって計算され得る。
【0069】
このSNRは符号間干渉によって生じたノイズを考慮したのみであり、従ってSNRは、ISIより制限される。しかしながら、他の実施形態においては、例えばコヒーレントな追加的な光ノイズまたは検出器応答のばらつきのような他のノイズ源がノイズ分母に組み込まれ得る。さらに、例えば、SNSの代わりの定義(例えば、二乗および平方根されたノイズ項同士を加算する)が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく使用され得る。さらに、SNRは、実際のホログラムまたは代表的な光画像化システムから収集された経験的データに対して、式3と同様な式から計算され得る。さらに、式2は、大域的PSFの大きさ、形状、および対称性に関して異なる仮定が用いられた場合には、異なる形式を有し得る。最後に、線形化指数(α)を最適化するための倍率は、ホログラフィックデータ格納チャネルにおける出力または他のポイントにおいて、補正されたビットエラーのレートから導出され得る。ビットエラーのレートは、分析的または経験的に決定され得る。
【0070】
図6は、議論された様々な等化のスキームに従って、信号対ノイズ比を画像化アパーチャと比較する。図は、従来技術に対して信号対ノイズ比における、本発明の等化技術および線形化技術の改善を示す。平行方向の軸は画像化アパーチャの領域を表す。画像化アパーチャは、システムのPSFを決定する。垂直方向の軸はデータページの信号対ノイズ比を表す。曲線602は、いずれの等化または線形化も用いていない出力画像の信号対ノイズ比を示す。曲線604は、線形化指数α=0.58を適用することによって達成される信号対ノイズ比を示す。曲線606は、従来技術の方法のゼロフォーシング等化器によって測定されたPSFから決定された大域的wの核を有する、線形化されたページをフィルタリングした効果を示す。曲線608は、曲線606におけるものと同じ大域的wの核を取得すること、各局所的な画像領域の対応する測定された画素アライメントの誤差に従って、各局所的な画像領域において局所的に大域的wの核を修正することから取得される改善を示す。最後に、曲線610は、局所的な変化可能なFIR等化技術を再び曲線608に適用することによって、第2の反復から取得される改善を示す。図6に示されるように、線形化および等化の本発明の方法は、従来技術の方法と比較してより高いSNRを達成する。
【0071】
データポイントの最も左のセットは、ナイキストアパーチャにおける各スキームの効果を示す。ナイキストアパーチャは、ナイキスト基準に従って、データページの情報を適切にサンプリングする最小のアパーチャ(従って最も高い格納密度)である。この構成はまた、最も広いPSFを有し、従って、ISI除去方法によるゲインが最も多い。それ故に、この方法は、特定のSNR設計基準を満たすようにより小さい画像化アパーチャを選択することによって、ホログラフィックデータ格納システムの格納密度を、ユーザーが最適化することを可能にする。
【0072】
異なる実施形態において、接合反復方法がホログラフィックデータ格納システムの性能を最適化するパラメータのセットを確立するために適用される。このアプローチにおいて、パラメータのセットは、SNR、errLS、またはビットエラーのレートのような性能メトリクスに対する影響を経験的に評価することによって、相互作用するように最適化される。接合反復方法の一特定の例において、パラメータα、a、a、w11およびw12のセットがホログラフィックデータ格納システムの性能を改善するために、相互作用するように調整される。最初に、パラメータのセットは、例えばα=a=a=1およびw11=w12=−1/10のような特定の所定の値で初期化される。1つ以上のホログラフィックデータ画像が、上記の方法に従って、線形化、等化、および復号化される。(全FIRの核wは、w22が1であると仮定するによって、w11およびw12から生成され、3x3のマトリックスが対角方向および直角方向の対称性を有することに留意すべきである。)次に、復号化された画像はオリジナルの画像と比較され、実際の最初のビットエラーのレートが確立される。増分的変更が第1のパラメータαで行なわれ(例えば第1のパラメータを1/10だけ増分させる)、ビットエラーのレートが再評価される。新しいビットエラーのレートが最初のビットエラーのレートよりも低い(よりよい)場合には、αの新しい値が続く反復のために保持され、それ以外の場合にはαの古い値が保存される。
【0073】
この処理が、第1の反復を完了させるために、他のパラメータ(a、a、w11およびw12)のそれぞれで繰り返される。従って、処理全体が、後続する反復において繰り返される。各パラメータが各反復において最後の最良の既知の値から調整(増分または減少)される。各パラメータに対する調整の方向が変更され得、マグニチュードは、ある反復が改善を生成することが出来ないときはいつでも収縮され得る(例えば、aを1/10だけ減少させることがビットエラーのレートを改善することが出来ない場合には、aは次の反復において9/100だけ増分される)。パラメータ(α、a、a、w11およびw12)のセットは、複数の反復の後に、ビットエラーのレートに対する極小値とともに生成する値に集束し得る。各反復が、全体的なビットエラーのレートにおいてわずかな変化のみを生成するときには、手順は集束したと考えられ、自由パラメータの最終的な値が記録される。
【0074】
上記のジョイント反復法は、各個々のパラメータがどのように取得されるかとは独立していることに留意する。例えばゼロフォーシング法は、所定の画素広がり関数hからFIR係数wを決定するように使用され得、また、LMMSE方法は、(等化されていない)チャネル応答のインスタンス化から直接的にwを決定するために使用され得る。
【0075】
(リサンプリング法)
一実施形態において、各データ画素の状態の推定が、検出器上のデータ画素の画像の位置に対応する、局所的なウィンドウ内の検出器要素のみを使用して、取得される。さらに、隣接するデータ画素画像の非線形的なコヒーレントな加算を部分的に補正するように、「線形化」指数が、各検出器の値に適用されることを除いて、推定関数は、線形である。
【0076】
例示のために、本開示の実施形態のために選択される局所的な検出器ウィンドウの大きさは4x4画素である。この選択は、計算の複雑さと計算の性能とのトレードオフを表す。線形的なオーバーサンプリング率は、検出器要素の間隔によって除算されるデータ画素の画像の間隔として定義される。適度なレベルのオーバーサンプリングに関しては、4x4の検出器ウィンドウは、検出器ウィンドウのデータ画素の画像に対する全ての考えられる局所的なアライメントのための、実質的に全てのデータ画素画像のエネルギーをキャプチャする。4x4のウィンドウはまた、隣接するデータ画素画像のかなりの部分をキャプチャし、当該のデータ画素画像に影響する符号間干渉(ISI)についての情報を伝達する。さらに、データ画素画像の中心が正に検出器画素の間に来る場合には、局所的なアライメントの最悪ケースが生じる(わずかなアライメントδ=δ=1/2)ことが明らかである。このケースは性能を支配するので、(奇数サイズのウィンドウを要求し得る)局所的に画素がマッチングしたδ=δ=0のケースで対称であるウィンドウサイズよりも、むしろ最悪なケースにおいては、データ画素画像に対して対称(つまり、偶数のウィンドウ画素)であるウィンドウのサイズを選択することが適切である。図7は、本発明の実施形態に従って、シミュレートされたデータ画素画像の近傍を示す。図7は、δ=δ=1/2の最悪のケースにおいて、中央のデータ画素の画像にアライメントされた4x4の検出器画素のウィンドウのアクティブ範囲を輪郭づけるオーバーレイを有する。
【0077】
検出器のアレイに対するデータ画素画像の位置の知識が与えられると、位置の整数部分が、最も近い4x4の検出器画素のウィンドウを選択するために使用される。係数のセットw=[w・・・w16]が、16個の検出器画素の値から中央のデータ画素画像の状態を推定するために必要とされる。しかしながら、4x4の画素のウィンドウは、データ画素画像に対して恣意的なわずかなアライメントを有し得るので、係数の単一のセットは、このタスクを最適に実行し得ないかもしれない。これに対する解決法は、考えられるアライメントに対して異なる係数のセットを選択することである。ここで提示されている結果は、x方向とy方向との両方に検出器画素間隔の5%ごとに増分して、わずかなアライメントδ、δのために最適化される係数を利用することである。このことは、441(21x21)サイズの異なるw係数のセットの表となる。
【0078】
上記のアルゴリズムのアプローチが与えられると、実際のw係数は様々な方法で決定され得る。このタイプの問題に関する一標準的なアプローチは、最小平均平方誤差の最適化メトリクスを使用することである。この方法において、係数は、大きな入力データのセットにわたる出力誤差の平均を最小化するように選択され得るI=[I・・・I16]を、検出器画素のウィンドウから測定またはシミュレートされた検出器の値のベクトルと定義し、dを決定されるデータ画素画像の状態である(増幅変調された2値データに関しては、dは0または1のいずれかであり得る)と定義する。
データの状態dの出力推定
【0079】
【数10】

は、検出器ベクトルと係数の内積
【0080】
【数11】

であり、関連する誤差
【0081】
【数12】

を有する。同じ16個のw係数は、検出器ウィンドウにおいて現れ得る検出器の値のいずれのセットに適用され、誤差は、それにより検出器ウィンドウのベクトルおよび関連ずるデータ状態にわたって多数nが最小化される。問題はマトリックス形式
【0082】
【数13】

で簡潔に述べられ得、ここで
【0083】
【数14】

が最小化される。
【0084】
このような式システムを解くための手順が、その内容の全体が本明細書において参照として援用される、M.Keskinozらによる「Application of linear minimum mean−squared−error equalization for volume holographic data storage」(Appl.Opt.38、1993年、4387〜4393)において述べられる。以下に示される結果に関して、係数が、n=1024のシミュレートされた異なる検出器ウィンドウベクトルにわたって導出される。シミュレーションは、標的のデータ画素dを中央に有する5x5の近傍における各データ画素に対して2値を割り当てることによって行なわれる(内側の3x3画素は、組織的に、512の全ての考えられる状態を2度通過させられ、外側のリングの画素の状態は擬似ランダムに値を割り当てられる)。シミュレートされるSLMの近傍(画素ごとに32x32のサンプル、局所的な充填比90%)が、2値を充填され、ISIをシミュレートするために、例えばナイキスト約1.08倍のような小さい幅の正方形のアパーチャを介して、数値的に増殖させられる。結果生じるシミュレートされたフィールドのモジュラス平方は、検出器画素ウィンドウ(同様に局所的充填比90%)を備える16個の検出器要素のアクティブ範囲にわたって数値的に統合される。ON画素の電力σ=0.05を有する擬似ランダムなコヒーレントなノイズが、各検出された値に加算される。
【0085】
1024の全ての隣接する画素に関するデータを収集すると、16個の係数wおよび1024のデータ状態の推定
【0086】
【数15】

が決定される。さらに2値dに関して、係数に対する信号対ノイズ比(SNR)の性能メトリクスが
【0087】
【数16】

として定義され得、ここでμおよびμは、dに対応する
【0088】
【数17】

の1および0の平均であり、σおよびσはそれぞれ標準偏差である。
【0089】
ホログラフィックデータチャネルにおいて線形等化スキームの性能を制約する一要素は、根本的な物理的な処理が、電磁場の強度においては線形であり、放射照度においては線形でない。「Channel modeling and estimation for intrapage equalization in pixel−matched volume holographic data storage」(Appl.Opt.38、1999年、4374〜4386)において、V.VaddeおよびB.Kumarは、いくつかの場合において、検出された光電力の正の平方根に対して動作する別の線形のチャネルモデルが、検出器の値を直接的に使用するモデルよりも定量的により良く機能することを示した。同様にマグニチュードモデルとして呼ばれる前者(α=0.5)の場合は、位相情報が平方根動作において明らかに破壊されるので、便宜的な妥協を表す。しかしながら、本システムの配置は、ナイキストに近いアパーチャが、ISIの主要な最も隣接のコンポーネントが、信号に対し同相あるように、構成することを(他のどのような位相の変更も禁じて)強いる効果を有するので、マグニチュードモデルに適している。Qメトリクス(信号対ノイズ比の測定値)は、マグニチュードモデルと直接的な強度モデル(α=1.0)との両方において、本線形リサンプリング法の性能を定量化する機会を提示する。さらに、線形化指数αは、マグニチュードモデルおよび強度モデル以外の場合に対してテストされ得る。図8は、本発明の実施形態による線形化に基づいて、シミュレートされるSNRの改善を示す。α指数を適用した結果が、4/3の線形オーバーサンプリング率を有するδ=δ=1/2アライメントの場合に関して、0.3〜1.1の範囲に示される。
【0090】
予想されるように、αが1.0よりも0.5にずっと近いときに、約α=0.53で実際のピークを有して、Qメトリクスが生ずる。このことはマグニチュードモデルが、この構成に対して強度モデルよりも適切であることを示す。続く結果については、マグニチュードモデル(α=0.5)を使用して導出されるw係数が使用される。
【0091】
本サンプリング方法の動作は、ISIの除去を含むことに留意するべきである。内容の全体が本明細書において参照として援用される、K.Chuggらによる「Two−dimensional equalization in coherent and in coherent page−oriented optical memory」(J.Opt.Soc.Am.A16、1999年、549〜562)およびJ.Heanueらによる「Signal detection for page−access optical memories with intersymbol interference」(Appl.Opt.35、1996年、2431〜2438)は、画素マッチングのシステムにおけるISIの低減のための等化戦略を述べる。一スキームにおいて、ISI除去等化器は、例えば3x3の係数を有する線形FIRフィルタを含む。係数は、所定のぼやけ関係(「ゼロフォーシング」等化)または線形最小平均平方誤差(LMMSE等化)を反転させるように選択され得る。ISIは、特に、小さいアパーチャにおいてひどく、つまり当該のSNR画像化レジームといったより低いSNR画像化レジームにおいてひどい。
【0092】
このリサンプリング法において、基本的な線形ISI等化は、リサンプリング処理に組み込まれる。これは、wi係数が隣接するデータ画素の状態に依存して変化する画素の位置に衝突する実際の光電力を再構築するよりも、むしろデータ画素画像の状態(例えば0または1)を出力するように最適化されるからである。このことはデータ画素推定の間の共分散を0に向けて移動させる効果を有し、それにより、ISIを除去する。通常、リサンプリングアルゴリズムの目的は、本明細書においてその内容の全体が参照として援用される、J.Smithらによる「A flexible sampling−rate conversion method」(Proc.IEEE Int.Conf.Acoustic Speech Signal Processing 2、19.4.1〜19.4.4、1984年)において示されるように、できる限り高い忠実度を有する内在する連続信号を表現するために、所望のサンプリング位置を補間することである。ここでは、リサンプリングの目的は、線形ISI等化器カスケード接続される線形の補間フィルタとしてみなされる。代替実施形態においては、リサンプリングアルゴリズムは画素の内在する信号強度を補間する。
【0093】
上記のモデルは、パラメータの変化の効果を調査するために使用される。図9は、本発明の実施形態に従った、Qメトリクスに対する線形オーバーサンプリングのシミュレートされる効果を示す。平行方向の軸は、線形オーバーサンプリング率を示し、垂直方向の軸は、Q測定基準のlog10を示す。正方形を有する曲線は、δ=δ=0.5である場合を示し、円形を有する曲線は、δ=δ=0.25である場合を示し、三角形を有する曲線は、δ=δ=0である場合を示す。
【0094】
図9に示されるように、オーバーサンプリング率が1(unity)から増加するにつれて、不充分にアライメントされた場合(δ=δ=0.5)に対する急激な改善が、比較的に小さいオーバーサンプリング率に対しこのアプローチの利点を示している。同様に、照射パターンのナイキストの比率(2に概ね等しいオーバーサンプリング率)に近い曲線の傾斜の急激さの低減は、低い限界効用オーバーサンプリング率をそのレベルに増加させることを示す。これらの観察は、照射パターンのスペクトラル成分に関する先の議論と一致する。
【0095】
図9はまた、4x4の検出器画素のウィンドウに基づいた最小平均平方誤差のISI等化を含む完全に画素マッチングしたシステムのシミュレートされる性能レベルを示す。このことは、1であるオーバーサンプリング率のδ=δ=0の曲線に対するデータポイントを提供する。シミュレートされた結果は、オーバーサンプリングの低いレベル(例えば<1.8)が、理想的なレベルに対してわずかに不足して機能することを示す。
【0096】
図10は、本発明の実施形態に従った、SNR対異なるオーバーサンプリング率に対する局所的な画素のミスアライメントのシミュレートされた効果を示す。水平方向の軸は、検出器(カメラ)画素のずれを示し、垂直方向の軸はQ測定基準のlog10を示す。正方形を有する曲線は、オーバーサンプリング率が17/12である場合を示し、円形を有する曲線はオーバーサンプリング率が4/3である場合を示し、三角形を有する曲線はオーバーサンプリング率が5/4である場合を示す。上記に示したように、δ=δ=1/2の場合が、全ての率の中で最悪なものである。同様に、4x4のウィンドウがデータ画素画像に対して非常に非対称であるので、δ=δ=0は最良の場合ではないことに、留意すべきである。4x4のウィンドウが検出器画素(2、2)に中心を有する場合には、ウィンドウを左上方向にわずかに移動させることによるわずかな利点がある。検出器がデータ画素画像に対して局所的にアライメントされる場合には、すべての率がうまく機能するが、比率が最小になると、ミスアライメントの不利益は非常に大幅なものとなる。4/3の比率は、局所的なアライメントによるSNRの変動を0.4dB未満に維持するのに充分である。
【0097】
オーバーサンプリング率の選択は、システムの性能と、コストおよび複雑さとのトレードオフによる。オーバーサンプリング率の二乗に比例して、必要とされる検出器要素の合計数が増加することに留意することが重要である。ホログラフィック格納装置は、読み出しの並列動作の性質のために、非常に高いデータレートにサポートし得る。しかしながら、この高いデータレートを達成するために、検出器および読み出しチャネル論理は、画素マッチングシステムの場合にでさえ、さらに高いデータレートで、動作する必要がある。高いデータレートが要求されない消費者のアプリケーションでは、オーバーサンプリング率を最小化することは、コスト的、サイズ的および電力的有益性のために重要である。実用上の設計配慮は、オーバーサンプリング率をできる限り小さく維持することに非常に重点をおいている。
【0098】
一実施形態において、ホログラフィックデータ格納システムは、4/3のオーバーサンプリング率を生む12μmの画素を有するSLMと、9μmの画素を有する検出器を用いてアライメント測定法を実装するように構成される。以下に示される結果は、この構成に基づいている。
【0099】
(アライメント測定法)
上記の考察は、全てのデータ画素画像に対する正確なδ、δアライメント情報が利用可能であることを仮定する。アライメントデータは、リサンプリング計算の過度の低下を回避するために、アライメント測定誤差に対するwi係数のわずかな感応性内にあるように正確であるべきである。このことは、ホログラフィックデータ格納システムのパラメータに対しておよそ数ミクロンの正確性を要求する。
【0100】
正確性の必要性に加えて、アライメント基準のために取っておく記録された画素の比率を最小化するために設計されるべきである。アライメントの復調は、過度な計算コストをこうむるべきではない。最後に、アライメント測定法は、非常に頑丈である。アライメントを適切に決定することが出来ないことは、記録されたデータを復元不能にする。
【0101】
アライメント測定法の所望の特性は、画像のひずみを捕捉する能力である。一処理において、2つの基準方法(またはおそらく4つ、データ画像の各コーナーに1つ)が、別の直線の画像グリッドの平行移動、回転移動、および大きさを測定するように工夫される。
【0102】
ページ記録フォーマットは、予備のブロックを有し、予備のブロックは記録されるデータページをわたり分配される既知の画素のパターンの小さな領域である。予備のブロックは、データのような擬似ランダムのビットパターンを含む。このアプローチにおいて、予備のブロックは、x方向およびy方向の両方に64画素の間隔でグリッド上で分配された8x8画素のブロックであり、64画素の間隔は1.6%の公称上の領域的オーバーヘッドを有する。
【0103】
予備のブロックは、アライメント測定のための基準として機能する。アライメントの復調アルゴリズムは、概念的に、パターンマッチング動作、またはさらに詳細には共分散計算と似る。アライメント復調アルゴリズムは、検出器アレイの領域と既知の予備ブロック(ターゲット)パターンとを比較する。検出器のパターンが非常に強く予備のブロックパターンにマッチングする整数の位置に対応するピークを分解および分離するために、共分散が、いくつかの個別の検出器画素のアレイの位置のそれぞれにおいて計算される。最終的なわずかな画素の復調アライメントが、ピーク値と最も近い水平方向および垂直方向(x、y)の隣接する値との間で線形的に補間することによって導出される。
【0104】
しかしながら、このスキームに対して対処されなければならない2つの課題が存在する。例えば、画素マッチされた場合における予想されるピークの強度は、主に、2つのパターンの基準によって決定されるが、隣接する位置の共分散は、隣接するデータの特定の画素パターンだけでなく、予備のブロックの特定の画素パターンに非常に強く依存する。前者の例において、予備のブロックパターン自体の画素が移動したバージョンの予備のブロックパターンの非ゼロ共分散は、自己相関ノイズを復調位置に注入し、後者の状況はデータノイズを形成する。
【0105】
一アプローチおいて、これら2つの課題に対応する解決方法は2つある。第1に、隣接する画素がアライメント測定に影響を与えることを防止するために、ピークの最も近くに隣接するデータが計算された場合に、隣接するデータが計算ウィンドウに入らないほどに小さい予備のブロックパターンの内部領域にわたって、共分散が、計算される。例えば、1のオーバーサンプリング率を有する8x8画素の予備のブロックに対して、内側の6x6画素のサブブロックが、サブブロックがオリジナルの8x8ブロックの外側のいかなる領域に重複することなく任意の方向において、±1画素だけ移動され得る、ターゲットパターンとして使用される。この状態は、データノイズがピーク付近の共分散に影響を与えることを防止するには充分である。
【0106】
第2に、自己相関ノイズは、予備ブロック内の特定の画素パターンを選択することによって、排除または実質的に低減され得る。上記の例において、8x8画素の2値の予備のブロックパターンは、他の8つの縁が接する6x6画素のサブブロックのうちの任意のものを有する内部の6x6画素のサブブロックの共分散が0であるように設計される。言い換えると、内部の6x6サブブロックは、画素状態のうち8つの隣接するサブブロックと共通である半分を有し、画素状態のうちの他の半分は、8つの隣接するサブブロックとは異なる。この状況において、自己相関ノイズのピークに隣接する共分散の値に対する寄与は0になる。
【0107】
このように、自己相関等化予備ブロックパターンはやはり、擬似ランダムデータの特徴を保持するが、自己相関等化予備ブロックパターンは、正確性の高いアライメント復調に対する基準として使用され得る。デルタ関数とさらに似せるように予備ブロックパターンの自己相関を強いることによって、(自己相関のフーリエ変換である)パワースペクトル密度がより均一となることに、留意されたい。従って、自己相関等化は、予備ブロックの「ホワイトニング」効果を有する。この例において、自己相関等化予備ブロックパターンの長いリストが、コンピュータ検索によって生成される。記載の共分散特性に加えて、予備ブロックパターンは、逆方向の奇(odd)の対称性を有することを強いられる(すなわち、各画素状態が予備ブロックの中央と反対の画素状態の補数(complement)である)。この状況は、内側の6x6画素のサブブロックと全体の8x8画素の予備のブロックとの両方が、等しい数の1および0を有することを保証する。
【0108】
非単一のオーバーサンプリング率が考慮された場合、画像はさらに複雑になる。この場合において、2値のデータ画像の変調に対してでさえ、検出器アレイは値が2値である画像を認識しないかもしれない。この理由のために、共分散のために使用されるターゲットパターンは、2進性の予備ブロックパターンそれ自体というよりも、むしろ予備ブロック内部のリサンプリングされたバージョンである。オーバーサンプリングされた最適なターゲットパターンを決定するために使用され得る、回折、ノイズ、および検出器のアライメントの詳細なシミュレーションのようないくつかの考えられるアプローチが存在する。一アプローチにおいて、以下のステップがとられる。1)オリジナルの予備ブロックパターンを表す2値のグリッドが形成される。2)データノイズを導入することなく選択され得る検出器画素の最大の完全な内部領域のサイズが決定される。3)予備ブロックのパターンの中心に、オーバーサンプリングされた検出器画素のアレイを重ね、各検出器要素に中の信号を数値的に統合することによってターゲットパターンが生成される。4/3のオーバーサンプリングの例に関して、4/3のオーバーサンプリングは、予備ブロック画像の内部の6x6画素をオーバーレイする8x8の検出器画素のアレイであることに、留意されたい。同様に、回折および画素充填比の影響は無視されることに、留意されたい。図11は、本発明の実施形態に従って、予備のブロックの一部分をオーバーサンプリングすることによって、ターゲットパターンを形成する方法を示す。
【0109】
アライメント復調処理をシミュレートするために、予備ブロックのパターンを含んでいるSLM画素の12x12画素の近傍が、約1.08のナイキスト開口のサイズを介して、数値的に伝播され、12x12画素の検出器アレイにアクティブ範囲にわたって数値的に統合されることによって検出される。コヒーレントな光ノイズは選択的に追加され、α線形化係数が適用される。検出器アレイの位置が、異なる検出器アライメントのケースをテストするように変更され、アライメント復調アルゴリズムは結果として生じるシミュレートされた検出器の値に適用される。上記のシミュレーション処理は、実質的に、上記のリサンプリングシミュレーションと同様であることを、留意されたい。
【0110】
それから共分散は、シミュレートされた検出器アレイの値およびオーバーサンプルされたターゲットパターンから計算される。例えば、ターゲットパターンが8x8のマトリックスである4/3のオーバーサンプリングに場合に関して、25個の有効な共分散の値が、
【0111】
【数18】

に従って、計算され得、ここでΔrおよびΔcは、12x12の検出器アレイ(−2≦Δr、Δc≦+2)の中心に対する共分散のパターンマッチングの位置であり、c(i、j)およびt(i、j)は、線形化された検出器の値およびターゲットパターンの値であるith、jthであり、μ、μは検出器パターンおよびターゲットパターンのそれぞれの平均である。最大共分散値(ピーク)、cov(Δrmax、Δcmax)が決定され、推定される列のアライメントが、列の隣接する値が、ピーク値の閾値(τ)倍よりも大きくない場合には、修正される中心(centroid)(β)関数
【0112】
【数19】

または列の隣接するcov(Δrmax−I、Δcmax)がピークよりτ倍大きくない場合には
【0113】
【数20】

から決定され、cov(Δrmax+I、Δcmax)がピークよりτ倍も大きい場合は、同様に処理される。両この隣接する値がピークよりτ倍よりも大きい低ノイズの状況が例外として扱われることに、留意されたい。行アライメント
【0114】
【数21】

が列アライメントと同じような方法で決定される。
【0115】
3対2サンプル補間の間の交差ポイントを決定する閾値τは、中心倍率(β)のように、シミュレーションから経験的に設定される。これらのパラメータで使用される値はτ=3/4およびβ=1.4である。留意すべきは交差閾値が経験的に設定されるが、異なる補間法に対する潜在的な必要性が、自己相関ノイズを中心ウィンドウの外側の共分散サンプルの潜在的な導入によりかりたてられる。
【0116】
補間法が、シミュレーションの結果によって立証されている。図12は、本発明の実施形態に従って、シミュレートされた位置の復調を示す。水平方向の軸は、実際の検出器(カメラ)画素の位置を示し、垂直方向の軸は、復調された位置を示す。点線の曲線は、理想的な場合を示し、正方形を有する曲線は復調されるxの場合を示し、円形を有する曲線は復調されるyを示す。図12に示されるように、シミュレーションの結果、実際のx、yのアライメントは、−1.5、−1,0から+1.5、+1.0(カメラ画素)にわたっている。
【0117】
位置復調誤差の標準偏差は、ノイズのない場合において、検出器要素の間隔の約1.8%、現実的な最小量のコヒーレントな光ノイズが信号に注入された場合には、5.0%に上昇する。この観察は、光ノイズが実際は、システムの正確性を支配化し、より分析的な形式の補間を導入することによって、方法を複雑にする動機付けが存在しないことを示す。
【0118】
個々の共分散の値のそれぞれを計算することは、著しい計算コストを意味し、ゆえに必要とされる値の数を最小化する動機付けが存在する。しかしながら、任意にアライメントされるデータページに関して、大きな検索領域が、ピークを見つけるために要求されるかもしれない。さらに、検索される範囲が大きくなればなるほど、ランダムなデータ内における誤ったピークを識別する可能性が高くなる。これらの理由のために、粗アライメント法が使用されることが所望される。
【0119】
一アプローチにおいて、粗アライメントの許容範囲をカバーする共分散マトリックスのサイズが、ページの縁のバーコードを読み取ることによって決定される。別のアプローチにおいて、粗アライメントが、データページにおける所定のセットの予備ブロックに対して大きい(41x41画素)共分散マトリックスを計算することによって行われる。別の実施形態において、アルゴリズムは、予備ブロックごとの共分散の平均数が、6または8よりも小さくなるように最適化され得る。(3、4、または5の値のみが、予備ブロックの局所的なアライメントに従って実際に必要とされることを、想起されたい。)この場合において、アライメント復調の計算上の負担が、各共分散に対して必要とされる64の乗算一累積(multiple−and−accumulate operations)によって支配される。このことは、関連する領域をリサンプリングするために必要とされる約64,000の乗算一累積により小さい。
【0120】
記載のアライメント復調法は、検出器上における各予備ブロックの画像の中央の絶対位置のマップを生成する。オーバーサンプリングアルゴリズムは、このマップがあらゆるデータ画素画像の位置に補間されることを必要とする。補間のために、サンプリングされた絶対位置が2つのコンポーネント、つまり通常の位置および通常の位置からのオフセットに分割される。この形式において、通常の位置は、単に、サンプリング間隔が、予備ブロック掛けるオーバーサンプリング率に等しいx、yベクトルのグリッドである。
【0121】
生の予備ブロックアライメントのオフセットマップは、欠落した、または誤ったベクトルを有するかもしれない。欠落した、または誤ったベクトルは、マップが補間されるデータ画素画像のマップを生成することを不適切にする。頑丈なシステムは、単純に全ての予備ブロックのパターンが正確に認識され、提示されることに依存できない。この理由のために、フィルタリング動作は、生の予備ブロックのオフセットのマップに対して行なわれる。
【0122】
フィルタリングは3つの経路において行われる。第1の経路において、各オフセットベクトルが、すぐ隣のもの(それらのうちの8つがマップの内部にあり、5つまたは3つが縁および角にある)と比較される。オフセットベクトルのxまたはyコンポーネントのうちのいずれかが所定の閾値より大きく(デモンストレーション用のユニットに関しては、0.5検出器画素)異なる場合には、2つのベクトルが「不一致」とされる。隣接するもののうちの半分より多くと不一致であるいずれのベクトルも、無効なベクトルとしてフラグ付けされる。(復調誤差により、マップ内に無効なベクトルがすでに存在し得ることを想起されたい)。第2の経路において、無効なベクトルの全てが、隣接の平均値と置換される。第3のオプションの経路において、マップは、ローパス平滑化を行なうために、3x3の核を使用してフィルタリングされる。図13は、本発明の実施形態に従って、予備ブロックのオフセットベクトルマップをフィルタリングした効果を示す。各矢印は予備ブロックの局所的なオフセットを表す。2つの「フライヤ(fliers)」1302および1304、つまり向きの一致しない矢印が、フィルタリング処理によって排除される。
【0123】
フィルタリングされたオフセットベクトルのマップは、各データ画素の画像の位置に対してオフセットのマップを生成するように、最後に、線形的に補間される。データ画素のオフセットは、各データ画素画像の絶対位置を決定するために、公称データ画素の位置に追加される。次いでリサンプリングアルゴリズムが、リサンプリングされる最も近い4x4の検出器画素のウィンドウを決定するために、絶対位置の整数部分を使用し、係数表から係数を選択するために小数部分(δx、δy)を使用する。
【0124】
開示されるデータ画素処理方法の有効性が、画素マッチングされる検出器を使用するホログラムの復元率と4/3オーバーサンプリングされた検出器を使用する復元率を比較することによって示される。100個の角度のついた多重ホログラムのスタットが、532nmのレーザー、および92%の充填比を有する720x720の12μmピッチデータページを使用して記録される。オーバーサンプルされた検出器の大きさがデータページのサイズを制限する。次いで、データが、FTレンズを使用してフーリエ変換(FT)され、ナイキストよりも1.08倍大きいアパーチャを使用してフィルタリングされる(ナイキストアパーチャは例示的なシステムにおいては、約0.9mmx0.9mmである)。フィルタリングされ、フーリエ変換されたデータは、1.5mmの厚さのInPhase Technologies Tapestry HDS3000メディアに画像化される。結果として生じるホログラムは、位相共役構成の19mWのビームを使用して読取られる。
【0125】
図14は、本発明の実施形態に従って、オーバーサンプリング方法と画素マッチングされた方法との比較を示す。水平方向の軸は、ホログラムの数を示し、垂直方向の軸は、Qメトリクスのlog10を示す。正方形を有する曲線は、画素マッチングされた方法を示し、円形を有する曲線は、4/3オーバーサンプリング方法を示す。公称条件の下では、オーバーサンプリングされた検出器は、画素マッチングされた検出器の性能と実質的に同じ性能を有する。4/3オーバーサンプリングされた検出器は、SNRの不利益なく、横方向に最大で0.2mm、長手方向に最大で0.4mmおよび最大で0.2°の回転によるカメラのミスアライメントを補償することが可能である。
【0126】
しかしながら、ホログラムが弱くなると、4/3オーバーサンプリングされた検出器は、画素マッチングされた検出器よりも高いSNRを有する。ホログラム書き込み電光を低下させることによって、ホログラムの回折効率が制御される。オーバーサンプリングされた検出器は、低い回折効率においてさらに丈夫である。
【0127】
明確さのために上記の記述が、異なる機能ユニットおよびプロセッサを参照して本発明の実施形態を述べてきた。しかしながら、異なる機能ユニットまたはプロセッサの間で機能の任意の適切な分配が、本発明からはずれることなく使用され得ることが明らかになり得る。例えば、別個のプロセッサまたはコントローラによって実行されるように示される機能が、同じプロセッサまたはコントローラによって実行され得る。ゆえに、特定の機能ユニットに対する参照は、厳密な論理的または物理的構造または組織を示すよりも、むしろ示された機能を提供するための適切な手段に対する参照にすぎないとして考えられるべきである。
【0128】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形式に実装され得る。本発明は、オプションとして、1つ以上のデータプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウエアとして部分的に実装され得る。本発明の実施形態の要素およびコンポーネントは、物理的、機能的および論理的に、任意の適切な方法で実装され得る。実際、機能は、単一のユニット、複数のユニットにおいて、または他の機能ユニットの一部として、実装され得る。従って、本発明は、単一のユニットにおいて実装され得、または物理的および機能的に、異なるユニットおよびプロセッサとの間に分散配置され得る。
【0129】
同じ基本的な構成のメカニズムおよび方法をこれまで通り使用するが、多数の考えられる改変および開示された実施形態の組み合わせが使用され得ることを、当業者は認識し得る。説明の目的のための上記の記載は、特定の実施形態を参照して記述されてきた。しかしながら、上記の例示による考察は、網羅的であること、または開示された正確な形式に本発明を限定することを意図していない。多数の改変およびバリエーションが、上記の教示の見地から見て考えられる。実施形態は、本発明およびその実際の適用の原理を説明するために、および当業者が、予期される特定の使用に適切であるように、本発明および様々な改変を有する様々な実施形態を最大限に利用することが可能であるように選択され、かつ記載されてきた。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による、ホログラフィックデータ格納システムを示す。
【図2A】図2Aは、空間光学変調器によって生成された例示的な21画素x21画素画像データを示す。
【図2B】図2Bは、本発明的な技術によって処理されずに、ホログラフィックデータ格納システムの出力で検知された、図2Aの21画素x21画素画像データを示す。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施形態に従って処理された後の、図2Aの21画素x21画素画像データを示す。
【図3A】図3Aは、本発明の一実施形態による、処理されていない画素画像データのヒストグラムである。
【図3B】図3Bは、本発明の一実施形態による、処理された後の、処理された画素画像データのヒストグラムである。
【図4A】図4Aは、例示的なデータ画像の3画素x3画素の一部を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態による、図4Aの最初の列における画素の電場の強さを加算、かつ二乗することから生じる強度プロファイルを示す。
【図5】図5は、本明細書の一実施形態による、線形化指数を選択するための方法を示す。
【図6】図6は、論じられるさまざまな等化スキームによる、信号対ノイズ比を画像化アパーチャと比較する。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による、データ画素画像のシミュレートされた近傍を示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態による、線形化からの、シミュレートされた信号対ノイズ比(SNR)向上を示す。
【図9】図9は、本発明の一実施形態による、線形オーバーサンプリングのシミュレートされた効果を示す。
【図10】図10は、本発明の一実施形態による、異なるオーバーサンプリング比に対する、SNR対局所的画素ミスアライメントのシミュレートされた効果を示す。
【図11】図11は、本発明の一実施形態による、予備のブロックの一部をオーバーサンプリングすることによって、ターゲットパターンを生成するための方法を示す。
【図12】図12は、本発明の一実施形態による、シミュレートされた位置復調を示す。
【図13】図13は、本発明の一実施形態による、予備のブロックオフセットベクトルマップをフィルタリングする効果を示す。
【図14】図14は、本発明の一実施形態による、オーバーサンプリング方法と、画素マッチング方法との比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックデータ格納システムにおいて、データ画素を処理するための方法であって、該ホログラフィックデータ格納システムは、少なくとも1つのマイクロプロセッサユニットと、メモリと、光源と、格納媒体と、検出器と、1つ以上のマイクロコントローラとを備え、該ホログラフィックデータ格納システムは、少なくとも1つのホログラフィック画像を格納し、該方法は、
各データページにわたって、所定の予備のブロックを割り当てることであって、各予備のブロックは、既知の画素パターンを含む、ことと、
該データページの領域と該所定の予備のブロックとの間の最良のマッチングを計算することによって、該データページの位置誤差を決定することと、
該検出器において該データ画素を該データページの対応する該位置誤差に従って補正することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記予備のブロックは、水平および垂直の両方向に、64画素の間隔で各データページのグリッドに分配された縦横8×8の画素ブロックである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置誤差を決定することは、前記検出器において前記予備のブロックの一部をオーバーサンプリングすることにより、ターゲットパターンを生成することを包含し、該ターゲットパターンは、前記ホログラフィック画像よりも高い画素密度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットパターンを生成することは、
前記予備のブロックを表現する2値グリッドを作成することと、
データノイズを導入することなく、検出器画素のインテグラルな内部領域のサイズを決定することと、
該予備のブロック上にオーバーサンプリングされた検出器画素アレイを重ねることによって、該ターゲットパターンを生成することと、
対応する検出器要素内で信号を数値的に積分することと
を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記位置誤差を決定することは、
共分散計算を実行することによって、前記検出器における前記データページのパターンと、既知のターゲットパターンとを、マッチングさせることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データページのパターンをマッチングさせることは、該データページにおける予備のブロックのセットに対して共分散マトリックスを計算することを包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パターンをマッチングさせることは、
ドット積を実行することにより、画像が、画素オフセット全体でマッチングするかどうかを決定することを包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ピークとその近傍との間を補間することにより、わずかな画素アライメント位置を決定することをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記共分散計算を実行することは、
前記予備のブロックの所定の内部領域を選択し、それにより、隣接する画素データは、該共分散計算に影響しないことと、
画素データミスアライメントの位置誤差に従って、補間方法を選択することと
を包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記共分散計算を実行することは、
ドット積オフセット位置において、ゼロを有する予備のブロックを選択することと、
画素データミスアライメントの位置誤差に従って、補間方法を選択すること
をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記データページの前記位置誤差をフィルタリングすることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記位置誤差をフィルタリングすることは、
前記データページの該位置誤差を平均することを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記位置誤差をフィルタすることは、
隣接する位置誤差間の差と、所定のしきい値とを比較することと、
画素オフセットベクトルの水平コンポーネントまたは垂直コンポーネントいずれかが、該所定のしきい値より多く異なる場合、該画素オフセットベクトルを無効なベクトルと特定することと、
該無効なベクトルを、隣接の平均値を表すベクトルで置換することと
を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記位置誤差をフィルタすることは、
前記検出器においてローパスフィルタを適用することにより前記位置誤差のノイズを低減することをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ホログラフィックデータ格納システムであって、該システムは、
コンピュータプログラムを実行する少なくとも1つのマイクロプロセッサユニットと、
オペレーティングシステムおよびアプリケーション層を格納するメモリと、
コヒーレントな光のビームを提供する光源と、
符号化されたホログラフィック画像ページを格納する格納媒体と、
該符号化されたホログラフィック画像ページを読み取る検出器と、
該検出器を制御する1つ以上のマイクロコントローラと、
各データページにわたって所定の予備のブロックを割り当てる手段であって、各予備のブロックは、既知の画素パターンを含む、手段と、
該データページの領域と該所定の予備のブロックとの間の最良なマッチングを計算することによって該データページの位置誤差を決定する手段と、
対応する該データページの該位置誤差に従って、検出器におけるデータ画素を補正する手段と
を含む、システム。
【請求項16】
前記予備のブロックは、水平および垂直の両方向に、64画素の間隔で各データページのグリッドに配分された縦横8×8の画素ブロックである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
位置誤差を決定するための手段は、
前記検出器において前記予備のブロックの一部をオーバーサンプリングすることにより、ターゲットパターンを生成する手段を包含し、該ターゲットパターンは、前記ホログラフィック画像よりも高い画素密度を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ターゲットパターンを生成するための手段は、
前記予備のブロックを表現する2値グリッドを作成するための手段と、
データノイズを導入することなく、検出器画素のインテグラルな内部領域のサイズを決定するための手段と、
該予備のブロック上にオーバーサンプリングされた検出器画素アレイを重ねることによって、該ターゲットパターンを生成するための手段と、
対応する検出器要素内で信号を数値に積分するための手段と
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記位置誤差を決定するための手段は、
共分散計算を実行することによって、前記検出器における前記データページのパターンと、既知のターゲットパターンとをマッチングさせるための手段をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記データページのパターンをマッチングさせるための手段は、
該データページにおける予備のブロックのセットに対して共分散マトリックスを計算するための手段を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記パターンをマッチングさせるための手段は、
ドット積を実行することにより、画像が、画素オフセット全体でマッチングするかどうかを決定する手段を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
ピークとその近傍との間を補間することにより、わずかな画素アライメント位置を決定する手段をさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
共分散計算を実行するための手段は、
前記予備のブロックの所定の内部領域を選択し、それにより、隣接する画素データは、該共分散計算に影響しない手段と、
画素データミスアライメントの位置誤差に従って、補間方法を選択するための手段と
を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
共分散計算を実行するための手段は、
ドット積オフセット位置において、ゼロを有する前記予備のブロックを選択するための手段と、
画素データミスアライメントの前記位置誤差に従って、補間方法を選択するための手段と
をさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記データページの前記位置誤差をフィルタリングするための手段をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記位置誤差をフィルタリングするための手段は、
前記データページの位置誤差を平均するための手段を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前期位置誤差をフィルタリングする手段は、
隣接する位置誤差間の差と、所定のしきい値とを比較する手段と、
画素オフセットベクトルの水平コンポーネントまたは垂直コンポーネントいずれかが、該所定のしきい値より多く異なる場合、該画素オフセットベクトルを無効なベクトルと特定する手段と、
該無効なベクトルを、隣接の平均値を表すベクトルで置換する手段と
を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前期位置誤差をフィルタする手段は、
前記検出器においてローパスフィルタを適用することにより前期位置誤差のノイズを低減する手段をさらに含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
オーバーサンプリングされたホログラフィック画像ページを処理する方法であって、該方法は、
該オーバーサンプリングされたホログラフィック画像ページにおいてデータ画素を取り巻くオーバーサンプリングウインドウを選択することと、
線形有限インパルス応答(FIR)係数のセットを決定することと、
ある範囲のデータページにわたり該線形FIR係数のセットの性能を評価することにより、オーバーサンプリング線形係数のセットを取得することと、
該オーバーサンプリング線形係数のセットを使用して、該データ画素の状態を決定することと
を包含する、方法。
【請求項30】
前記オーバーサンプリングウインドウは、前記データ画素に対して対称的である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記オーバーサンプリングウインドウは、偶数の画素の幅を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記線形FIR係数のセットを決定することは、
線形最小平均平方誤差最適化方法を適用することを包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
ある範囲のデータページにわたり前記線形FIR係数のセットの性能を評価することにより、オーバーサンプリング比を取得することと、
前記オーバーサンプリング線形係数のセットおよび対応する該オーバーサンプリング比を、メモリに格納することと
をさらに包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記データ画素の状態は、
ON状態と、
OFF状態と
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記データ画素の状態を決定することは、
線形補間フィルタを使用して、検出器において該データ画素をリサンプリングすることを包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記線形補間フィルタは、前記データ画素の信号強度を補間する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記線形補間フィルタは、線形符号間干渉等化器とカスケード接続されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
線形化指数を適用することにより、前記ホログラフィック画像ページの信号対ノイズ比を最大にすることをさらに包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
ホログラフィックデータ格納システムであって、該システムは、
コンピュータプルグラムを実行するための、少なくとも1つのマイクロプロセッサユニットと、
オペレーティングシステムおよびアプリケーション層を格納するメモリと、
コヒーレントな光のビームを提供する光源と、
符号化されたホログラフィック画像ページを格納する格納媒体と、
該符号化されたホログラフィック画像ページを読み取る検出器と、
該検出器を制御する1つ以上のマイクロコントローラと、
オーバーサンプリングされた該ホログラフィック画像ページにおいてデータ画素を取り巻くオーバーサンプリングウインドウを選択する手段と、
線形有限インパルス応答(FIR)係数のセットを決定する手段と、
ある範囲のデータページにわたり線形FIR係数のセットの性能を評価することにより、オーバーサンプリング線形係数のセットを取得することと、
該オーバーサンプリング線形係数のセットを使用して、該データ画素の状態を決定する手段と
を含む、システム。
【請求項40】
前記オーバーサンプリングウインドウは、前記データ画素に対して対称的である、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記オーバーサンプリングウインドウは、偶数の画素の幅を有する、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記線形FIR係数のセットを決定するための手段は、
線形最小平均平方誤差最適化方法を適用する手段を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
前記ある範囲のデータページにわたり前記線形FIR係数のセットの性能を評価することにより、オーバーサンプリング比を取得する手段と、
前記オーバーサンプリング線形係数のセットおよび対応する該オーバーサンプリング比を、メモリに格納するための手段と
をさらに含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記データ画素の状態は、
ON状態と、
OFF状態と
を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記データ画素の状態を決定するための手段は、
線形補間フィルタを使用して、前記検出器において該データ画素をリサンプリングする手段を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記線形補間フィルタは、前記データ画素の信号強度を補間する、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記線形補間フィルタは、線形符号間干渉等化器とカスケード接続されている、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
線形化指数を適用することにより、前記ホログラフィック画像ページの信号対ノイズ比を最大にする手段をさらに含む、請求項39に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−536158(P2008−536158A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558126(P2007−558126)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/007046
【国際公開番号】WO2006/093945
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(501182197)インフェイズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】