ホログラム記録媒体、ホログラム装置
【課題】 光導波路型のホログラム記録媒体において、参照光を伝播させる記録層の選択にあたって従来のメカニカルな可動部を不要とする。
【解決手段】各記録層(21〜24)には参照光B1を光導波路(コア層2)に結合するためのグレーティング5が設けられ、コア層2が外部電界に応じて屈折率が変化するエレクトロリフラクティブ材料により構成され、また各記録層の各々を挟み込むようにして透明電極層(25〜29)が設けられている。駆動電圧が印加されない状態での各層の屈折率を同一とすることで、各層にてグレーティング5は光学的に顕在化せず参照光B1はいずれの記録層にも伝播しない。駆動電圧が印加された記録層でのみコア層2の屈折率が上昇してグレーティング5が顕在化し、駆動電圧を印加する記録層を選択することで、参照光B1を伝播させる記録層を選択することができる。これにより、従来のメカニカルな可動部は省略できる。
【解決手段】各記録層(21〜24)には参照光B1を光導波路(コア層2)に結合するためのグレーティング5が設けられ、コア層2が外部電界に応じて屈折率が変化するエレクトロリフラクティブ材料により構成され、また各記録層の各々を挟み込むようにして透明電極層(25〜29)が設けられている。駆動電圧が印加されない状態での各層の屈折率を同一とすることで、各層にてグレーティング5は光学的に顕在化せず参照光B1はいずれの記録層にも伝播しない。駆動電圧が印加された記録層でのみコア層2の屈折率が上昇してグレーティング5が顕在化し、駆動電圧を印加する記録層を選択することで、参照光B1を伝播させる記録層を選択することができる。これにより、従来のメカニカルな可動部は省略できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光導波路型によるホログラム記録媒体に関する。また、このようなホログラム記録媒体についての記録及び/又は再生を行うホログラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の光導波路型によるホログラム記録媒体の構造とそのデータ読み出し方法について説明する図である。
なお、図12では、従来のホログラム記録媒体110の構造を断面図により示している。
図12において、従来のホログラム記録媒体110は、例えば図示するようにしてクラッド層113、コア層112、クラッド114層をこの順に積層して成る。コア層112は、この場合の光導波路であり、これを挟む2つのクラッド層113、114よりも屈折率の高い部材により形成されている。
光導波路は、光が屈折率の高い領域に伝播する性質を有することを利用したものである。つまり、このように屈折率の低いクラッド層113、114の間に屈折率の高いコア層112が挿入されることで、後述するようにして入射される参照光B1がこのコア層112を介して伝播するようにされている。
また、この場合は、コア層112とクラッド層113とが接する面の形状が、図のように凹凸形状となるようにされている。すなわち、これによって屈折率が互いに異なる凹凸形状(図中ホログラムパターン116)が形成され、そのパターンにより情報が記録されている。
【0003】
このようなホログラム記録媒体110に対するデータの読み出しとしては、例えば図12(a)、図12(b)に示される手法が知られている。
先ず、図12(a)に示されるようにして、ホログラム記録媒体110における光導波路に対して平行に参照光B1を入射させる手法が知られている。
この場合は、図示されるようにホログラム記録媒体110の端面側から光導波路(コア層112)に対して正確に参照光B1を入射させる必要がある。このため、レーザダイオードLDからの出射光を対物レンズL1によって集光することで、参照光B1が正確に光導波路に入射するように構成されている。
【0004】
このようにしてホログラム記録媒体110に対して入射された参照光B1は、光導波路であるコア層112を伝播することになる。そして、このようにコア層112を参照光B1が伝播することで、この参照光B1は上記したホログラムパターン116が形成された部分で回折をうけ、図示するように回折光となって光導波路外に放射される。
装置側では、このように放射される回折光が図示しない二次元光センサ上に結像されるようになっている。そして、このように二次元光センサ上に得られた像が、記録されたホログラムパターン116に応じた情報信号として読み出される。
【0005】
また、他の手法として、図12(b)に示す例では、コア層112と一方のクラッド層113とが接する面に対して、図示するグレーティング115を設けるようにしたものが知られている。
このグレーティング115は、照射された参照光B1を光導波路としてのコア層112に導くための結合器として機能する。周知のように、グレーティングは、入射した光ビームの波数をグレーティングの周期に応じた波数だけ変換するはたらきがある。波数変換を受けた光ビームは、その波数が導波路を導波することのできる光波の波数と一致することで、光導波路に結合される。すなわち、光導波路方向に導かれることになる。
そして、このとき、入射する光ビームの光導波路方向に対する波数は、光導波路方向に対する入射角に依存することになる。従ってこの場合、レーザダイオードLDから出射される参照光B1は、光導波路に結合される入射角度で以てグレーティングに照射されることで、光導波路に導かれるようにすることができる。
このようにして参照光B1が光導波路であるコア層112に導かれ、ここを伝播することで、先の図12(a)の場合と同様にホログラムパターン116に応じた回折光が放射され、情報の読み出しが行われる。
【0006】
また、図13は、ホログラム記録媒体110の記録層が多層とされる場合での、従来の読み出し方法について示している。
図12の説明から理解されるように、光導波路型のホログラム記録媒体110では、ホログラムパターン116が形成されたコア層112(光導波路)に対して参照光B1を伝播させることで、回折光を導波路外に放射して情報の読み出しが行われるものである。従って、各記録層に記録されたホログラムパターン116としての情報の読み出しは、各記録層ごとにコア層112に参照光B1を伝播させて行うようにされる。
このため、ホログラム記録媒体110に形成される記録層が多層とされる場合において、先の図12(a)の手法と同様の手法が採られる場合は、図13(a)に示されるように、参照光B1を照射するためのレーザダイオードLDと対物レンズL1とを少なくとも含むピックアップPICを矢印方向に移動させて、各記録層に形成されるコア層112ごとに参照光B1を順次伝播させて情報の読み出しを行うようにされる。
【0007】
また、先の図12(b)のようにグレーティング115としての結合器を用いる手法では、図13(b)に示されるように、例えばレーザダイオードLDを図中の矢印方向に動かすことで、各記録層に形成されたグレーティング115に対応する入射角で参照光B1を照射するようにされる。
ここで、この場合のホログラム記録媒体110としては、各記録層ごとに周期の異なるグレーティング115を備えるようにされる。つまり、仮に、各記録層で同じ周期によるグレーティング115を備えた場合は、或る記録層に対する或る入射角度での参照光B1の照射によって、全ての記録層で参照光B1が光導波路と結合してしまい、回折光が全ての記録層から放射されてしまうからである。
そして、このように各記録層ごとで異なるグレーティングの周期に対応させて、この場合は各記録層に対して異なる入射角で以て参照光B1を照射することで、各記録層ごとで参照光B1を光導波路と結合させることができ、これによって記録層ごとの読み出しが可能となるものである。
【0008】
なお、下記特許文献には、このようにして参照光の入射角を変化させて多層ホログラム記録媒体に対する読み出しを行う技術について記載されている。
【特許文献1】特表2003−521744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようにして従来においては、記録層が多層とされたホログラム記録媒体110については、例えば図13に示した2つの手法によって記録層ごとの情報の読み出しを行うようにされていた。
しかしながら、これら図13の手法では、先の説明からも理解されるように、ホログラム記録媒体110に対して各記録層ごとに異なる位置から参照光B1を照射するようにされることから、このためのメカニカルな可動部が必須となる。
しかも、先の図13の構成によると、図13(a)の場合は各記録層のコア層112に正確に参照光B1を入射させるために高精度の位置制御を要し、また、図13(b)の場合としても、コア層112に参照光B1を正確に導くために高精度に入射角を調整する必要がある。このため、この場合の可動部としては高精度なアクチュエータを用いる必要があり、その分大規模で高価な装置となることを避けられなかった。
【0010】
また、メカニカルな可動部が採用されることで、例えば装置に振動が与えられた場合に照射位置又は照射角度にずれが生じやすく、参照光B1を正確に導波路に伝播できなくなる等、十分な耐振動性の確保がその分困難となるといったデメリットもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、ホログラム記録媒体として以下のように構成することとした。
つまり、本発明のホログラム記録媒体は、2つのクラッド層と、これらクラッド層に挟まれたコア層とが備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、先ず、上記ホログラム記録媒体に対して照射される参照光を上記光導波路に導波光として結合するためのグレーティングを備える。
そして、上記グレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域がエレクトロリフラクティブ材料によって構成され、また、少なくとも上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層された透明電極層を備えるようにされたものである。
【0012】
また、本発明では、このような本発明のホログラム記録媒体について記録及び/又は再生を行うホログラム装置として、以下のように構成することとした。
つまり、上記ホログラム記録媒体に形成される上記グレーティングに対して参照光を照射する光照射手段と、上記透明電極層間に所要の駆動電圧を印加するもので、この駆動電圧についてのオン/オフ切り替えが可能となるように構成された駆動手段とを少なくとも備えるものである。
【0013】
上記本発明のホログラム記録媒体によれば、エレクトロリフラクティブ材料が用いられた部分は、上記透明電極層間に電圧が印加されることに応じてその屈折率が変化するようにされる。
そして、このようなエレクトロリフラクティブ材料は、上記のようにしてグレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域に用いるものとしている。これによれば、例えばこのエレクトロリフラクティブ材料を用いる層又は領域の通常時の屈折率を、この層又は領域と接する層の屈折率と同等に設定しておくことで、グレーティングが光学的に顕在化しない状態とすることができ、すなわちグレーティングによる作用が得られない(無効な)状態としておくことができる。そして、透明電極層間に電圧が印加された際には、このエレクトロリフラクティブ材料による層又は領域の屈折率が変化することで、グレーティングを光学的に顕在化させ、その結合器としての作用を有効にすることができるようになる。
つまり、このようにして本発明によれば、透明電極層間への電圧印加の有無でグレーティングによる作用を有効/無効で切り替えることができる。そして、このようにグレーティングによる作用を有効/無効で切り替えることができることで、透明電極層間への電圧印加のオン/オフ切り替えによって、光導波路への参照光の伝播/非伝播についての切り替えを行うことができるものである。
【発明の効果】
【0014】
このようにして本発明によれば、光導波路への参照光の伝播/非伝播を、ホログラム記録媒体に設けられた透明電極層間への電圧印加のオン/オフ切り替えによって確実に制御することができる。
そして、このように透明電極層間への電圧印加のオン/オフ切り替えで光導波路への参照光の伝播/非伝播を確実に切り替えることができれば、従来の手法で用いられていたような参照光の伝播/非伝播の切り替えのためのメカニカルな可動部は不要とすることができる。
【0015】
また、このような本発明としての動作の実現のために、ホログラム装置側としては、少なくとも上記透明電極層間に駆動電圧を印加するための構成のみを追加すれば良いもので、この結果切り替え制御に必要な構成としては非常に簡易で小規模なものとすることができる。そして、このように簡易で小規模な構成が実現できることで、装置製造コストも削減が図られる。
さらに、本発明ではメカニカルな可動部が不要であることで、振動に対しても有利なホログラム装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態について説明していく。
なお、発明を実施するための最良の形態は、以下実施の形態と呼ぶ。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明における第1の実施の形態のホログラム記録媒体としての、ホログラムメモリ1の構造を断面図により示している。
このホログラムメモリ1は、ROMタイプの記録媒体とされ、図示するようにしてコア層2とクラッド層3との境界面において、断面形状の凹凸パターンによるホログラムパターン6が形成されて情報が記憶されている。
【0018】
なお、以下実施の形態では、ホログラムメモリがROMタイプとされ、これに対応して再生時における動作のみについて説明するが、本発明としては光導波路に対する参照光の伝播/非伝播についての切り替えを行うための構成に特徴があるもので、記録可能なホログラムメモリへの記録時において同様に参照光の伝播/非伝播について切り替える際にも同様に適用することができるものである。
【0019】
図1において、この場合もホログラムメモリ1としては、光導波路型のものを想定している。
ここで、光導波路型のホログラム記録媒体では、一般的に2つのクラッド層と、これらクラッド層の間に挟まれるようにして積層されたコア層とを備えて光導波路が形成される。この光導波路は、ホログラム記録媒体に記憶される情報の読み出し(或いは書き込み)のために、参照光をホログラム記録媒体内に伝播させるために形成される。
光導波路は、光が屈折率の高い領域を伝播する性質を利用したものである。すなわち、一般的に光導波路は、屈折率(参照光に対する)が比較的低くされた2つのクラッド層に挟まれた、比較的屈折率の高いコア層に参照光が伝播するように構成されている。
【0020】
第1の実施の形態のホログラムメモリ1としても、このように屈折率が比較的低くされた2のクラッド層3,4に挟まれた、比較的屈折率の高いコア層2において参照光を伝播させる一般的な光導波路型としての基本構造を採る。
そして、光導波路としての上記コア層2と、一方の上記クラッド層3とにおける互いの層が接する面(境界面)に対しては、ホログラムパターン6を形成している。すなわち、図示するように互いの層の接触面の断面形状が凹凸形状とされ、この凹凸形状の形成パターンによって所要の情報が記憶されるものである。
【0021】
さらに、この場合のホログラムメモリ1には、同様に上記コア層2と上記クラッド層3との境界面において、グレーティング5を形成するものとしている。このグレーティング5としても、その断面形状は凹凸構造とされる。
このグレーティング5としては、後述するようにして所要の入射角により参照光がグレーティング5に対して照射された際に、この参照光の一部又は全部をコア層2による光導波路に導波光として結合し、導波路内を伝播させるために設けられる。
【0022】
なおこの場合、グレーティング5としては、上記凹凸構造が周期構造を有するものとされる。そして、この凹凸構造による周期をΛ、後述する参照光B1としてグレーティング5に照射される光ビーム波数の光導波路方向の成分をkin、さらに光導波路の伝播定数をβとした場合に、
「Λ=2π/kin−β」
が成り立つように設定されているものとする。
これにより、後述するようにしてグレーティング5に参照光B1が照射された際に、この参照光B1の一部又は全部が光導波路に導波光として結合し、光導波路内を伝播するようにさせるできる。
なお、グレーティング5の断面形状は必ずしも矩形でなくとも良く、例えば三角形状等の他の凹凸形状が採用されてもよい。
【0023】
また、上記2つのクラッド層3,4、及びコア層2からなる記録層に対しては、これを挟み込むようにして2つの透明電極層7,8が積層されている。
この透明電極層7,8としては、透明で且つ導電性を有するものであれば任意の材質を選定することができる。
【0024】
その上で、このホログラムメモリ1においては、上記コア層2として、外部電界に応じてその屈折率が変化するエレクトロリフラクティブ材料(電気光学材料)を用いるようにしている。
具体的にこの場合には、外部電界に応じて屈折率が上昇する性質のものを選定するようにされている。
例えば、このようなホログラムメモリ1で用いるエレクトロリフラクティブ材料としては、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等を挙げることができる。
【0025】
ここで、この場合のホログラムメモリ1としては、上記もしたようにコア層2及びクラッド層3,4から成る記録層が透明電極層7,8によって挟まれている。よって、これら透明電極層7,8間に電圧が印加されると、これに挟まれるようにされたコア層2に対して外部電界が印加されることになって、これによりエレクトロリフラクティブ材料によるコア層2の屈折率が変化するようにされる。つまり、このような構造により、この場合のホログラムメモリ1では、透明電極層7,8間に電圧を印加するか否かでコア層2の屈折率を変化させることができるようにされている。
【0026】
そして、この場合、このようなコア層2の屈折率(nC)と、他のクラッド層3,4の屈折率(nC)の関係としては、透明電極層7,8間に電圧が印加されず、コア層2にエレクトロリフラクティブ効果が生じていない場合において、
nC=nCL
による屈折率を設定するものとしている。
すなわち、透明電極層7,8間に電圧が印加されない場合では、コア層2とクラッド層3,4との屈折率は同等で、電圧が印加された場合はコア層2の屈折率の方が高くなるように設定されているものである。
【0027】
なお、これらコア層2、クラッド層3,4の屈折率の設定については、エレクトロリフラクティブ効果が発生していない状態でのコア層2の屈折率にあわせて、クラッド層3,4の屈折率がこれと同等となるように、クラッド層3,4の構成材料を調整することで行うようにすればよい。
或いは、クラッド層の構成材料として通常用いられるフォトポリマーには様々な屈折率のものが存在するので、その中からコア層2の屈折率と同等となる適当なものを選定するようにしてもよい。
【0028】
図2は、上記構成によるホログラムメモリ1に対応して少なくとも再生を行うホログラム装置10の構成と、このホログラム装置10とホログラムメモリ1とによって得られる動作について説明するための図である。
なお、この図では、ホログラム装置10の構成について、主に本発明の特徴となる、ホログラム記録媒体に形成された光導波路に参照光を導くための構成のみを抽出して示すものであり、他の部分の構成については図示を省略している。
また、この図では説明をわかりやすくするために、ホログラムメモリ1に形成される各層について、参照光B1に対する屈折率の高い層ほど濃色によって示している。
【0029】
図2において、先ず実施の形態のホログラム装置10としては、図示するようにして参照光B1を照射するためのレーザダイオードLDと、ホログラムメモリ1に備えられる2つの透明電極層7,8間に電圧を印加するための駆動回路11、及びホログラムメモリ1に形成されたホログラムパターン6に応じた情報信号を得るための二次元光センサ12とを少なくとも備える。
【0030】
そして、図2(a)において、この場合のホログラム装置10では、例えばホログラムメモリ1に対する読み出し動作を停止すべき状態となった場合等に、例えば図示されない装置全体制御を行う制御部から、図中の駆動回路11に対し、OFF信号が供給される。このOFF信号の供給に応じ、駆動回路11は、透明電極層7,8に対する駆動電流の供給を停止し、これによってこれら電極間への電圧印加が停止される。
【0031】
このように、駆動回路11からの駆動電流の供給が停止され、透明電極層7,8間に電圧が印加されない状態では、コア層2に対して外部電界は印加されず、コア層2とクラッド層3,4の屈折率は同等の状態となる。
コア層2とクラッド層3,4の屈折率とが同等とされることで、この場合は図2(a)に示されるようにしてレーザダイオードLDからのグレーティング5に対する参照光B1の照射によっても、この参照光B1はグレーティング5によってコア層2としての光導波路に導波光として結合されないものとなる。
つまり、コア層2とクラッド層3の屈折率が同等であれば、これらの層間に形成されたグレーティング5は光学的に顕在化せず、結合器としては機能しないものとなる。このため、図示するようにしてレーザダイオードLDにより照射される参照光B1は、この場合のグレーティング5を透過することとなって、光導波路方向に導かれることはない。
つまり、駆動回路11によって透明電極層7,8間に駆動電圧を印加しないようにすることで、参照光B1をコア層2としての光導波路に導かないように制御することができるものである。
【0032】
一方、例えばホログラムメモリ1に対する読み出しを行うとした場合には、図2(b)に示されるように、例えば上記した制御部から駆動回路11に対してON信号が供給され、これに応じて駆動回路11は、透明電極層7,8に対し駆動電流を供給してこれらの電極間に所要の駆動電圧を印加するようにされる。
透明電極層7,8間に駆動電圧が印加されることで、コア層2には外部電界が印加され、エレクトロリフラクティブ効果によりその屈折率が上昇してクラッド層3,4の屈折率よりも高い屈折率となる。
【0033】
これによれば、コア層2とクラッド層3とに屈折率の差が生じることで、これらの層間に形成されたグレーティングが光学的に顕在化するようになる。すなわち、グレーティング5の機能が有効となる。そして、この場合、上述したようにグレーティング5の周期Λ、参照光B1の光導波路方向の成分kin、光導波路の伝播定数βについて、
「Λ=2π/kin−β」
が成り立つように設定されていることで、レーザダイオードLDから照射される参照光B1の一部又は全部を、コア層2に導波光として結合させることができる。
なおかつ、この場合は、コア層2の屈折率が他のクラッド層3,4より高くなることで、このコア層2が光導波路として機能することとなって、参照光B1をコア層2内に伝播させることができる。
【0034】
このようにして、駆動回路11により透明電極層7,8間に電圧を印加することによっては、参照光B1をコア層2としての光導波路に導くように制御することができる。
そして、これによってコア層2を伝播するようにされた参照光B1は、このコア層2とクラッド層3との境界面に形成されたホログラムパターン6に応じて回折を受け、これが回折光となって導波路外に放射される。
放射された回折光は二次元光センサ12上に結像するようにされ、これによって二次元光センサ12では結ばれたホログラムパターン6に応じた像が電気信号に変換されて、情報信号が得られることになる。
【0035】
これまでの説明から理解されるように、第1の実施の形態のホログラムメモリ1、及びホログラム装置10の構成によれば、透明電極層7,8間に駆動電圧を印加するか否かによって、光導波路としてのコア層2への参照光B1の伝播/非伝播についての切り替え制御を確実に行うことができる。
例えば、このような構成によれば、何らかの事情により参照光B1の照射は継続させたいが光導波路に参照光B1を伝播させたくないといったときにも、確実に参照光B1を光導波路方向に導かないように制御することができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
続いて、図3は、第2の実施の形態としてのホログラムメモリ20の構成を断面図により示している。
なお、この図において、既に図1にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態のホログラムメモリ20としては、クラッド層3,4及びこれらに挟まれたコア層2による1つの記録層が複数備えられた、多層メモリとして構成されるものである。
この場合のホログラムメモリ20としては、図示するようにしてそれぞれクラッド層3,4及びコア層2を含むようにされた、第1記録層21から第4記録層24までの4つの記録層を有するものとされている。そして、この場合のホログラムメモリ20に対しては、これら第1記録層21〜第2記録層24の個々の記録層が挟み込まれるようにして、第1透明電極層25から第5透明電極層29までの5つの透明電極層が積層されている。
すなわちこの場合、第1記録層21は、第1透明電極層25と第2透明電極層26とによって挟み込まれ、第2記録層22は上記第2透明電極層26と第3透明電極層27とによって挟み込まれるようにされている。さらに、第3記録層23は上記第3透明電極層27と第4透明電極層28とによって挟み込まれ、第4記録層24は上記第4透明電極層28と第5透明電極層29によって挟み込まれるようにされている。
なお、この場合も各透明電極層としては、図1の場合と同様に透明で且つ導電性を有するものであれば任意の材質を選定することができる。
また、ここではホログラムメモリ20に形成される記録層が4層とされる場合を例示しているが、特に記録層の数について限定するものではない。
【0037】
図4は、上記構成によるホログラムメモリ20に対応して少なくとも再生を行うホログラム装置30の構成と、このホログラム装置30とホログラムメモリ20とによって得られる動作について説明するための図である。
なお、この図において、先の図2、図3と同様の部分については同一符号を付して説明を省略する。
また、この図に示されるホログラム装置30の構成としても、主に本発明の特徴となる参照光の伝播/非伝播の切り替えについての構成のみを抽出して示すものであり、他の部分の構成については図示を省略している。
さらに、この図としても説明をわかりやすくするために、ホログラムメモリ20に形成される各層について、参照光B1に対する屈折率の高い層ほど濃色によって示している。
【0038】
先ず、この図に示すホログラム装置30において、駆動回路31に対しては、図示されない制御部等から、ホログラムメモリ20について読み出しを行う記録層を選択するための、セレクト信号SLCが供給される。
駆動回路31では、このセレクト信号SLCに応じて、ホログラムメモリ20に備えられる透明電極層について、どの電極層間に駆動電圧を印加するかを切り替えることができるように構成される。すなわち、セレクト信号SLCが第1記録層21を選択するものであった場合には、第1透明電極層25と第2透明電極層26との間に駆動電圧を印加するように構成される。また、第2記録層22を選択するものであった場合には、第2透明電極層26と第3透明電極層27との間に駆動電圧を印加し、第3記録層23を選択するものであった場合は第3透明電極層27と第4透明電極層28との間に駆動電圧を印加するように構成される。さらに、第4記録層24を選択するものであった場合は第4透明電極層28と第5透明電極層29との間に駆動電圧を印加するように構成されている。
【0039】
ここで、図4(a)において、上記セレクト信号SLCにより第2記録層22が選択されたとする。これに応じては、駆動回路31が第2透明電極層26と第3透明電極層27との間に駆動電圧を印加するようにされ、図示するようにして第2記録層22におけるコア層2の屈折率が上昇するようにされる。そして、これによっては、この第2記録層22において形成されたグレーティング5のみが有効となり、且つこの第2記録層22におけるコア層2が光導波路として機能する状態となる。
この結果、図示するレーザダイオードLDからの参照光B1の照射によっては、この参照光B1が第2記録層22のグレーティング5のみで結合されて、この第2記録層22におけるコア層2にのみ伝播するものとなる。
【0040】
このようにして、第2記録層22の選択に応じては、この第2記録層22のコア層2のみに参照光B1を伝播させることができ、これによって第2記録層22に形成されたホログラムパターン6に応じた回折光のみが外部に放射され、二次元光センサ12からはこの第2記録層22に形成されたホログラムパターン6に応じた情報信号について読み出しを行うことができる。
【0041】
また、図4(b)では、上記したセレクト信号SLCにより第3記録層23が選択されたとする。これに応じては、駆動回路31によって、第3透明電極層27と第4透明電極層28との間に駆動電圧を印加するようにされ、図示するようにして第3記録層23におけるコア層2の屈折率が上昇するようにされる。
これによって、この場合は第3記録層23に形成されたグレーティング5のみが有効となり、且つ第3記録層23のコア層2が光導波路として機能するものとなり、この場合の参照光B1は、この第3記録層23におけるコア層2にのみ伝播させることができる。
【0042】
このようにして第2の実施の形態によれば、複数の記録層が形成されるホログラム記録媒体について、各記録層を挟み込むようにして透明電極層を設け、各記録層ごとに選択的に駆動電圧を印加することができるようにしたことで、グレーティング5を有効とする記録層を任意に選択することができる。そして、これによって、参照光B1を光導波路としてのコア層2に伝播させる記録層を任意に選択することができるものである。
【0043】
このような構成によれば、光導波路に参照光B1を伝播させる記録層を任意に選択するにあたって、先の図13にて説明した手法のように参照光B1の照射位置を調整するためのメカニカルな可動部を備える必要はなくなる。
そして、このようにメカニカルな可動部が不要とできることで、従来の手法で用いていたような高精度なアクチュエータや制御装置を用いる必要はなくなり、これによって装置の小型軽量化、及び低コスト化を図ることができる。
また、可動部による伝播/非伝播の切り替え制御でないことにより、耐振動性についても向上させることができる。
【0044】
続いて、以下の図5〜図11により、第1及び第2の実施の形態のホログラムメモリの変形例の構成について示しておく。
なお、以下の各図において、ホログラム装置側の構成及び動作については、ホログラムメモリとして何れの変形例の構成が採られる場合にも先の図2、図4にて説明したものと同様となることから、その説明は省略する。
また、各図においては、変形例としての構成及び動作について、記録層が1層のみとされる第1の実施の形態に適用した場合のみを例示しているが、記録層が複数とされる第2の実施の形態の場合については、各層にて各図に示されるものと同様の構成が採られればよいものであることから、その構成及び動作についても図示による説明は省略する。
また、以下の各図においても、説明をわかりやすくするために、参照光B1に対する屈折率の高い層ほど濃色により示すものとする。
【0045】
先ず、図5により第1の変形例について説明する。
この第1の変形例としては、図5(a)に示されるようにして、駆動電圧が印加されていない状態(エレクトロリフラクティブ効果が発生していない状態)では、コア層2の屈折率nCとクラッド層3,4の屈折率nCLの関係として、先の図1、図3の場合では「nC=nCL」としていたものを、「nC<nCL」となるように設定するものとしている。
さらに、駆動電圧が印加され、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のコア層2の屈折率をΔnCとしたとき、「ΔnC>nCL」の関係が得られるように設定するものである。
【0046】
これによると、駆動電圧が印加されていない場合においても、コア層2とクラッド層3との間には屈折率差が生じることになるから、図5(a)に示す駆動電圧が印加されていない状態においても、コア層2とクラッド層3との間に形成されるグレーティング5が光学的に顕在化していることになる。
しかし、この状態では、コア層2の屈折率は他のクラッド層3,4より低いものとなっていることで、コア層2が光導波路として機能しないものとされる。従ってこの場合の参照光B1は、グレーティング5において、その一部は図中Xと示されるように回折を受けてクラッド層3に入射するものの、コア層2に結合されることはない。
このため、駆動電圧が印加されない状態では、参照光B1の大部分はグレーティング5を透過するようにされることになる。
【0047】
これに対し、駆動電圧が印加された図5(b)の状態では、上記のようにしてコア層2の屈折率が上昇して他のクラッド層3,4の屈折率よりも高くなる状態が得られることになる。
これによると、グレーティング5が光学的に顕在化し、さらにコア層2が光導波路として機能する状態が得られることになるから、参照光B1(の一部又は全部)はグレーティング5において光導波路に結合し、コア層2を伝播するようにされる。
【0048】
このようにして、図5に示される第1の変形例の構成によっても、先の図2に示した構成と同様に、光導波路への参照光B1の伝播/非伝播について、透明電極層間に駆動電圧を印加するか否かによって確実に切り替え制御を行うことができる。
また、このことによって、この図5に示す変形例を図4に示した構成に適用した場合としても、駆動電圧を印加する記録層の選択によって、参照光B1を伝播させる記録層を任意に選択することができるという効果は同様に得ることができる。
【0049】
また、図6は、第2の変形例について示している。
第2の変形例は、コア層2の代わりに、クラッド層3,4に対してエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにしたものである。
その上で、図6(a)に示される駆動電圧が印加されていない状態での、コア層2の屈折率nCとクラッド層3,4の屈折率nCLの関係として、「nC=nCL」が成り立つように設定するものとしている。
さらに、駆動電圧が印加され、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のクラッド層3,4の屈折率をΔnCLとしたとき、「nC>ΔnCL」の関係が得られるように設定するものである。
すなわち、この場合のエレクトロリフラクティブ材料としては、外部電界の印加に応じて屈折率が低下する性質のものを選定するようにされる。なお、このようなエレクトロリフラクティブ材料についても、例えばニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等が選定されればよい。
【0050】
この場合、図6(a)に示される駆動電圧が印加されていない状態においては、上記のようにしてコア層2とクラッド層3,4の屈折率は同等とされることから、グレーティング5は光学的に顕在化しない状態となる。
このことから、この場合も先の図2、図4の場合と同様に、グレーティング5に照射された参照光B1がコア層2に結合されることはなく、グレーティング5を透過するようにされる。
【0051】
これに対し、駆動電圧が印加された図6(b)の状態では、上記のようにしてクラッド層3,4の屈折率が低下するようにされて、相対的にコア層2の屈折率の方が高くなる状態が得られる。
これによると、グレーティング5が光学的に顕在化し、さらにコア層2が光導波路として機能する状態が得られることになるから、参照光B1はグレーティング5において光導波路に結合し、コア層2を伝播するようにされる。
【0052】
このようにして、図6に示される第2の変形例によっても、先の図2に示した構成と同様に透明電極層間に駆動電圧を印加するか否かにより、光導波路への参照光B1の伝播/非伝播について確実に切り替え制御を行うことができ、また、このことによって図6の構成を図4に示した構成に適用した場合も、図4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0053】
図7は、第3の変形例について示している。
第3の変形例は、第2の変形例と同様に、クラッド層3,4にエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにしたもので、先ず、図7(a)に示されるように、駆動電圧が印加されていない状態では、コア層2の屈折率nCとクラッド層3,4の屈折率nCLの関係として、「nC<nCL」となるように設定するものとしている。
さらに、駆動電圧が印加され、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のクラッド層3,4の屈折率をΔnCLとしたとき、「nC>ΔnCL」の関係が得られるように設定するものである。
【0054】
これによると、駆動電圧が印加されていない場合では、先の図5の第1例の場合と同様に、コア層2とクラッド層3との間には屈折率差が生じることになるから、図7(a)に示す状態においても、コア層2とクラッド層3との間に形成されるグレーティング5が光学的に顕在化していることになる。
しかし、この場合としても、コア層2の屈折率が、他のクラッド層3,4の屈折率に対して低いものとされていることで、コア層2が光導波路として機能しないものとなる。従ってこの場合も参照光B1は、グレーティング5において、その一部は図中Xと示されるように回折を受けてクラッド層3に入射するものの、コア層2に結合されることはない。
このため、駆動電圧が印加されない状態では、この場合も参照光B1の大部分はグレーティング5を透過するようにされることになる。
【0055】
そして、駆動電圧が印加された図7(b)の状態では、上記のようにしてクラッド層3,4の屈折率が低下するようにされて、相対的にコア層2の屈折率がクラッド層3,4の屈折率よりも高くなる状態が得られる。
これにより、グレーティング5が光学的に顕在化し、さらにコア層2が光導波路として機能する状態が得られ、参照光B1はグレーティング5において光導波路に結合し、コア層2を伝播するようにされる。
【0056】
このように図7に示される第3の変形例によっても、先の図2に示した構成と同様に透明電極層間に駆動電圧を印加するか否かにより、光導波路への参照光B1の伝播/非伝播について確実に切り替え制御を行うことができ、また、このことによって図7の構成を図4に示した構成に適用した場合も、図4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらに、図8は第4の変形例について示している。
第4の変形例は、グレーティング5の形成面と接するようにされた一方のクラッド層3にのみエレクトロリフラクティブ材料を用いるものとし、図8(a)に示されるように、駆動電圧が印加されていない状態では、コア層2の屈折率nCとクラッド層3の屈折率nCLについて「nC=nCL」を設定し、また図8(b)に示される駆動電圧が印加された場合には、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のクラッド層3の屈折率ΔnCLについて、「nC>ΔnCL」を設定するものである。
なお、この第4の変形例の構成による作用と効果については、先の図6に示した第2の変形例と同様となることからここでの説明は省略する。
【0058】
また、図9は、第5の変形例について示している。
第5の変形例としても、グレーティング5の形成面と接するようにされた一方のクラッド層3にのみエレクトロリフラクティブ材料を用いるものとしているが、この場合は図9(a)に示されるように、駆動電圧が印加されていない状態では「nC<nCL」となり、駆動電圧が印加された場合では「nC>ΔnCL」となるように設定されたものである。
この第5の変形例の構成による作用と効果は、先の図7に示した第3の変形例の構成とした場合と同様となることからその説明は省略する。
【0059】
なお、これまでで説明してきたホログラムメモリにおいては、コア層とクラッド層(3及び/又は4)のいずれか一方に対してのみエレクトロリフラクティブ材料を用いるものとしたが、コア層とクラッド層の双方にエレクトロリフラクティブ材料を用いることも可能である。
例えば、図7に示した第3の変形例を例に挙げれば、ここではクラッド層3,4にのみ電圧印加に応じて屈折率が低下するエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにしていたが、コア層2としてもエレクトロリフラクティブ材料を用い、電圧印加に応じて屈折率が上昇するようにしておくことによっても、駆動電圧印加時に相対的にコア層2の屈折率の方が高い状態を得ることができ、これによって駆動電圧の印加時に参照光B1を光導波路方向に導くことが可能となる。
ここで、実施の形態としては、これまでの説明からも明らかなように、駆動電圧が印加されない状態ではコア層とクラッド層との屈折率が同等か或いはクラッド層の屈折率の方が高く、また、駆動電圧が印加された状態ではコア層2の屈折率の方が高くなる条件が設定されているものである。そして、このような条件が満たされていることで、これまでの説明のように、駆動電圧が印加されない状態では、グレーティング5が顕在化しないか又はコア層2が光導波路として機能しないようにされることとなって、参照光B1が光導波路方向に導かれないようにすることができる。また、駆動電圧が印加された状態では、グレーティング5が顕在化し且つコア層2の屈折率が相対的に高くなって光導波路として機能するようにされることで、参照光B1を光導波路方に導くことができるようになる。
従って、実施の形態としては、この条件を満たす限りにおいて、エレクトロリフラクティブ材料を用いる層、及び各層の屈折率の設定を任意に行ことができるものである。
【0060】
また、図10は、第6の変形例の構成について示している。
この図10に示される第6の変形例としては、これまではコア層2とクラッド層3の境界面に対して形成されていたグレーティング5を、一方のクラッド層3における、コア層2と接する一部の領域に対して形成するようにしたものである。
その具体例として、図10(a)に示すものは、グレーティング5の凹凸構造そのものを上記クラッド層3の一部領域として形成するようにしている。
また、図10(b)の例では、クラッド層3内に、グレーティング5の凹凸構造を含むようにされた第2クラッド層3bを別途形成することで、この第2クラッド層3bと第1クラッド層3aとによる二層構造によりクラッド層3を形成するようにしたものである。
【0061】
その上で、この場合には、上記のようにしてクラッド層3においてグレーティング5が形成された部分に対し、エレクトロリフラクティブ材料を用いるものとしている。
すなわち、図10(a)の場合では、クラッド層3に形成されたグレーティング5の凹凸構造そのものについてエレクトロリフラクティブ材料を用いる。また、図10(b)に示される例では、グレーティング5が形成された第2クラッド層3bのみにエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにされる。
【0062】
そして、駆動電圧が印加されていない状態では、図10に示されるようにして、クラッド層3の屈折率よりも、コア層2の屈折率の方が高くなるように設定されている。
なおかつ、この場合では、グレーティング5が形成された部分(図10(a)ではグレーティング5の凹凸構造そのもの、図10(b)では第2クラッド層3b)の屈折率は、駆動電圧が印加されない状態において、クラッド層3を構成する他の部分と同じ屈折率を有するようにされる。
また、駆動電圧が印加された状態では、エレクトロリフラクティブ材料とされるグレーティング5が形成される部分の屈折率が、コア層2の屈折率と同等となるように設定されている。
【0063】
このような構成において、駆動電圧が印加されない状態では、上記のようにしてグレーティング5が形成された部分とクラッド層3を構成する他の部分とが同じ屈折率とされていることで、この場合にグレーティング5は光学的に顕在化せず、図10(a)(b)の各図に示されるように参照光B1はグレーティング5を透過するようにされ、コア層2に導かれることはない。
【0064】
そして、駆動電圧が印加された場合には、上述のようにしてクラッド層3におけるグレーティング5が形成された部分はコア層2の屈折率と同等となるようにされることで、次の図11に示されるようにして、実質的にこの場合のコア層2は、このように屈折率が同等とされたクラッド層3におけるグレーティング5が形成された部分を含むようにして拡大されるものとなる。
さらに、この場合、このようにグレーティング5を含むようにして拡大されたコア層2の屈折率は、クラッド層3よりも高いものとされていることで、グレーティング5はクラッド層3との屈折率差によって光学的に顕在化され、且つこのコア層2は光導波路として機能するものとなる。
そして、これによって、グレーティング5により参照光B1を光導波路に結合させ、コア層2に参照光B1を伝播させることができる。
【0065】
なお、ここでは、グレーティング5が形成される部分にエレクトロリフラクティブ材料を用いると共に、駆動電圧が印加されていない状態ではこの部分の屈折率がコア層2の屈折率よりも低く、駆動電圧が印加された場合はこの部分の屈折率がコア層2と同等の屈折率となる場合を例示した。しかしながら、この第6の変形例としても、エレクトロリフラクティブ材料を用いる部分、及び各層の屈折率の設定は、実施の形態としての効果が得られる範囲で自由に設定することができる。
すなわち、この第6の変形例の構成としては、図10に示されるようにして、一方のクラッド層3におけるコア層2と接する一部の領域に対してグレーティング5を形成する構成とされた上で、結果的に駆動電圧が印加されないときはグレーティング5が光学的に顕在化しないかコア層2が光導波路として機能しないようにされ、また、駆動電圧が印加されたときはグレーティング5が顕在化し且つコア層2の屈折率が相対的に高くなって光導波路として機能するようにされていればよいものである。
そして、このように構成されることで、先の図2、図4の場合と同様の効果を得ることができることになる。
【0066】
なお、本発明のホログラム記録媒体とホログラム装置としては、これまでに説明した実施の形態の構成に限定されるものではない。
例えばホログラム記録媒体について、これまでの説明では、1組の透明電極層が個々の記録層の全体を挟み込むようにして備えられる場合を例示した。これによれば、図3に示したように多層とされる場合には、隣合う記録層間で透明電極層を共通化できるので、その分ホログラム記録媒体の構成層を少なくでき、製造工程の削減、及び構成材料の削減による低コスト化が図られる。
しかし、この場合の透明電極層の目的としては、エレクトロリフラクティブ材料で構成された部分の屈折率を駆動電圧の印加に応じて変化させることにあり、従って透明電極層としては少なくともエレクトロリフラクティブ材料により構成された部分のみを挟み込むようにして設けられていればよいものである。
【0067】
また、実施の形態では、グレーティング5をコア層2と一方のクラッド層3との間に形成する場合を例示したが、コア層2と他方のクラッド層4との境界面に対して形成することによっても同様の効果を得ることができる。
【0068】
また、ホログラム装置の構成としては、実際の光学系の設計において適宜必要なレンズを追加する等、適宜必要な構成を追加することができる。
さらに、ホログラム装置としては、記録が可能な記録装置として構成することもできる。この場合には、図2,図4に示した構成に対し、光導波路を伝播する参照光と干渉させて導波路中に干渉縞によるホログラムパターンを形成するための信号光を別途照射するための光源が少なくとも追加されればよい。
また、ホログラム装置としては、記録と再生の双方が可能な記録再生装置としても構成することができる。
【0069】
また、最後に確認のために述べておくと、これまでに説明した実施の形態では、参照光を伝播させる光導波路自体に結合器としてのグレーティングを形成し、この結合器に対して所定角度によりレーザ光を照射することで光導波路に参照光を伝播させることができる。その上で、結合器を有効とする光導波路を透明電極層に対する電圧印加により選択することで、任意の光導波路に参照光を導入できるものである。
ここで、上記のように結合器としてのグレーティングを光導波路内に形成していることで、参照光を所望の導波路に導くための構成自体としては、光導波路の厚さ以内に納めることができる。つまり、これによれば、例えば光導波路内以外に別途参照光を伝播させるための結合器を構成する場合よりも、構造が簡易で且つ小型とすることができる。
例えば、実施の形態の構成によれば、100層の導波路の切り替えを想定した場合、例えば1層あたりの厚さが20μmとすれば、上記のような導波路を導く構成自体を含めたホログラム記録媒体の厚さは2mm程度に抑えることが可能である。
【0070】
また、ホログラム装置側としては、参照光を所定角度で以てホログラム記録媒体に照射すればよいことになる。これによれば、例えば参照光を光導波路にカップリング導入する構成とされる場合と比較してより構成を簡易とすることができる。つまり、各光導波路ごとに参照光をカップリング導入する場合、実際には高性能の集光レンズ等の光学系を用いてサブミクロン程度の極めて高精度のアライメントが必要となるが、実施の形態としては所定角度で以て放射モードの光波をダイレクトに媒体に照射すればよいのでその分構成としては簡易とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明における第1の実施の形態としてのホログラム記録媒体の構造を示した断面図である。
【図2】第1の実施の形態としてのホログラム装置の構成、及び第1の実施の形態としての動作について説明するための図である。
【図3】本発明における第2の実施の形態としてのホログラム記録媒体の構造を示した断面図である。
【図4】第2の実施の形態としてのホログラム装置の構成、及び第2の実施の形態としての動作について説明するための図である。
【図5】第1の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図6】第2の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図7】第3の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図8】第4の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図9】第5の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図10】第6の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及び駆動電圧が印加されていない状態での動作について説明するための断面図である。
【図11】第6の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及び駆動電圧が印加された状態での動作について説明するための断面図である。
【図12】従来のホログラム記録媒体として、記録層が1層とされる場合の構造とその読み出し方法について説明するための断面図である。
【図13】従来のホログラム記録媒体として、記録層が多層とされる場合の構造とその読み出し方法について説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1,20 ホログラムメモリ、2 コア層、3,3a,3b,4 クラッド層、5 グレーティング、6 ホログラムパターン、10,30 ホログラム装置、11,31 駆動回路、12 二次元光センサ、LD レーザダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光導波路型によるホログラム記録媒体に関する。また、このようなホログラム記録媒体についての記録及び/又は再生を行うホログラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の光導波路型によるホログラム記録媒体の構造とそのデータ読み出し方法について説明する図である。
なお、図12では、従来のホログラム記録媒体110の構造を断面図により示している。
図12において、従来のホログラム記録媒体110は、例えば図示するようにしてクラッド層113、コア層112、クラッド114層をこの順に積層して成る。コア層112は、この場合の光導波路であり、これを挟む2つのクラッド層113、114よりも屈折率の高い部材により形成されている。
光導波路は、光が屈折率の高い領域に伝播する性質を有することを利用したものである。つまり、このように屈折率の低いクラッド層113、114の間に屈折率の高いコア層112が挿入されることで、後述するようにして入射される参照光B1がこのコア層112を介して伝播するようにされている。
また、この場合は、コア層112とクラッド層113とが接する面の形状が、図のように凹凸形状となるようにされている。すなわち、これによって屈折率が互いに異なる凹凸形状(図中ホログラムパターン116)が形成され、そのパターンにより情報が記録されている。
【0003】
このようなホログラム記録媒体110に対するデータの読み出しとしては、例えば図12(a)、図12(b)に示される手法が知られている。
先ず、図12(a)に示されるようにして、ホログラム記録媒体110における光導波路に対して平行に参照光B1を入射させる手法が知られている。
この場合は、図示されるようにホログラム記録媒体110の端面側から光導波路(コア層112)に対して正確に参照光B1を入射させる必要がある。このため、レーザダイオードLDからの出射光を対物レンズL1によって集光することで、参照光B1が正確に光導波路に入射するように構成されている。
【0004】
このようにしてホログラム記録媒体110に対して入射された参照光B1は、光導波路であるコア層112を伝播することになる。そして、このようにコア層112を参照光B1が伝播することで、この参照光B1は上記したホログラムパターン116が形成された部分で回折をうけ、図示するように回折光となって光導波路外に放射される。
装置側では、このように放射される回折光が図示しない二次元光センサ上に結像されるようになっている。そして、このように二次元光センサ上に得られた像が、記録されたホログラムパターン116に応じた情報信号として読み出される。
【0005】
また、他の手法として、図12(b)に示す例では、コア層112と一方のクラッド層113とが接する面に対して、図示するグレーティング115を設けるようにしたものが知られている。
このグレーティング115は、照射された参照光B1を光導波路としてのコア層112に導くための結合器として機能する。周知のように、グレーティングは、入射した光ビームの波数をグレーティングの周期に応じた波数だけ変換するはたらきがある。波数変換を受けた光ビームは、その波数が導波路を導波することのできる光波の波数と一致することで、光導波路に結合される。すなわち、光導波路方向に導かれることになる。
そして、このとき、入射する光ビームの光導波路方向に対する波数は、光導波路方向に対する入射角に依存することになる。従ってこの場合、レーザダイオードLDから出射される参照光B1は、光導波路に結合される入射角度で以てグレーティングに照射されることで、光導波路に導かれるようにすることができる。
このようにして参照光B1が光導波路であるコア層112に導かれ、ここを伝播することで、先の図12(a)の場合と同様にホログラムパターン116に応じた回折光が放射され、情報の読み出しが行われる。
【0006】
また、図13は、ホログラム記録媒体110の記録層が多層とされる場合での、従来の読み出し方法について示している。
図12の説明から理解されるように、光導波路型のホログラム記録媒体110では、ホログラムパターン116が形成されたコア層112(光導波路)に対して参照光B1を伝播させることで、回折光を導波路外に放射して情報の読み出しが行われるものである。従って、各記録層に記録されたホログラムパターン116としての情報の読み出しは、各記録層ごとにコア層112に参照光B1を伝播させて行うようにされる。
このため、ホログラム記録媒体110に形成される記録層が多層とされる場合において、先の図12(a)の手法と同様の手法が採られる場合は、図13(a)に示されるように、参照光B1を照射するためのレーザダイオードLDと対物レンズL1とを少なくとも含むピックアップPICを矢印方向に移動させて、各記録層に形成されるコア層112ごとに参照光B1を順次伝播させて情報の読み出しを行うようにされる。
【0007】
また、先の図12(b)のようにグレーティング115としての結合器を用いる手法では、図13(b)に示されるように、例えばレーザダイオードLDを図中の矢印方向に動かすことで、各記録層に形成されたグレーティング115に対応する入射角で参照光B1を照射するようにされる。
ここで、この場合のホログラム記録媒体110としては、各記録層ごとに周期の異なるグレーティング115を備えるようにされる。つまり、仮に、各記録層で同じ周期によるグレーティング115を備えた場合は、或る記録層に対する或る入射角度での参照光B1の照射によって、全ての記録層で参照光B1が光導波路と結合してしまい、回折光が全ての記録層から放射されてしまうからである。
そして、このように各記録層ごとで異なるグレーティングの周期に対応させて、この場合は各記録層に対して異なる入射角で以て参照光B1を照射することで、各記録層ごとで参照光B1を光導波路と結合させることができ、これによって記録層ごとの読み出しが可能となるものである。
【0008】
なお、下記特許文献には、このようにして参照光の入射角を変化させて多層ホログラム記録媒体に対する読み出しを行う技術について記載されている。
【特許文献1】特表2003−521744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようにして従来においては、記録層が多層とされたホログラム記録媒体110については、例えば図13に示した2つの手法によって記録層ごとの情報の読み出しを行うようにされていた。
しかしながら、これら図13の手法では、先の説明からも理解されるように、ホログラム記録媒体110に対して各記録層ごとに異なる位置から参照光B1を照射するようにされることから、このためのメカニカルな可動部が必須となる。
しかも、先の図13の構成によると、図13(a)の場合は各記録層のコア層112に正確に参照光B1を入射させるために高精度の位置制御を要し、また、図13(b)の場合としても、コア層112に参照光B1を正確に導くために高精度に入射角を調整する必要がある。このため、この場合の可動部としては高精度なアクチュエータを用いる必要があり、その分大規模で高価な装置となることを避けられなかった。
【0010】
また、メカニカルな可動部が採用されることで、例えば装置に振動が与えられた場合に照射位置又は照射角度にずれが生じやすく、参照光B1を正確に導波路に伝播できなくなる等、十分な耐振動性の確保がその分困難となるといったデメリットもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、ホログラム記録媒体として以下のように構成することとした。
つまり、本発明のホログラム記録媒体は、2つのクラッド層と、これらクラッド層に挟まれたコア層とが備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、先ず、上記ホログラム記録媒体に対して照射される参照光を上記光導波路に導波光として結合するためのグレーティングを備える。
そして、上記グレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域がエレクトロリフラクティブ材料によって構成され、また、少なくとも上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層された透明電極層を備えるようにされたものである。
【0012】
また、本発明では、このような本発明のホログラム記録媒体について記録及び/又は再生を行うホログラム装置として、以下のように構成することとした。
つまり、上記ホログラム記録媒体に形成される上記グレーティングに対して参照光を照射する光照射手段と、上記透明電極層間に所要の駆動電圧を印加するもので、この駆動電圧についてのオン/オフ切り替えが可能となるように構成された駆動手段とを少なくとも備えるものである。
【0013】
上記本発明のホログラム記録媒体によれば、エレクトロリフラクティブ材料が用いられた部分は、上記透明電極層間に電圧が印加されることに応じてその屈折率が変化するようにされる。
そして、このようなエレクトロリフラクティブ材料は、上記のようにしてグレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域に用いるものとしている。これによれば、例えばこのエレクトロリフラクティブ材料を用いる層又は領域の通常時の屈折率を、この層又は領域と接する層の屈折率と同等に設定しておくことで、グレーティングが光学的に顕在化しない状態とすることができ、すなわちグレーティングによる作用が得られない(無効な)状態としておくことができる。そして、透明電極層間に電圧が印加された際には、このエレクトロリフラクティブ材料による層又は領域の屈折率が変化することで、グレーティングを光学的に顕在化させ、その結合器としての作用を有効にすることができるようになる。
つまり、このようにして本発明によれば、透明電極層間への電圧印加の有無でグレーティングによる作用を有効/無効で切り替えることができる。そして、このようにグレーティングによる作用を有効/無効で切り替えることができることで、透明電極層間への電圧印加のオン/オフ切り替えによって、光導波路への参照光の伝播/非伝播についての切り替えを行うことができるものである。
【発明の効果】
【0014】
このようにして本発明によれば、光導波路への参照光の伝播/非伝播を、ホログラム記録媒体に設けられた透明電極層間への電圧印加のオン/オフ切り替えによって確実に制御することができる。
そして、このように透明電極層間への電圧印加のオン/オフ切り替えで光導波路への参照光の伝播/非伝播を確実に切り替えることができれば、従来の手法で用いられていたような参照光の伝播/非伝播の切り替えのためのメカニカルな可動部は不要とすることができる。
【0015】
また、このような本発明としての動作の実現のために、ホログラム装置側としては、少なくとも上記透明電極層間に駆動電圧を印加するための構成のみを追加すれば良いもので、この結果切り替え制御に必要な構成としては非常に簡易で小規模なものとすることができる。そして、このように簡易で小規模な構成が実現できることで、装置製造コストも削減が図られる。
さらに、本発明ではメカニカルな可動部が不要であることで、振動に対しても有利なホログラム装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明を実施するための最良の形態について説明していく。
なお、発明を実施するための最良の形態は、以下実施の形態と呼ぶ。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明における第1の実施の形態のホログラム記録媒体としての、ホログラムメモリ1の構造を断面図により示している。
このホログラムメモリ1は、ROMタイプの記録媒体とされ、図示するようにしてコア層2とクラッド層3との境界面において、断面形状の凹凸パターンによるホログラムパターン6が形成されて情報が記憶されている。
【0018】
なお、以下実施の形態では、ホログラムメモリがROMタイプとされ、これに対応して再生時における動作のみについて説明するが、本発明としては光導波路に対する参照光の伝播/非伝播についての切り替えを行うための構成に特徴があるもので、記録可能なホログラムメモリへの記録時において同様に参照光の伝播/非伝播について切り替える際にも同様に適用することができるものである。
【0019】
図1において、この場合もホログラムメモリ1としては、光導波路型のものを想定している。
ここで、光導波路型のホログラム記録媒体では、一般的に2つのクラッド層と、これらクラッド層の間に挟まれるようにして積層されたコア層とを備えて光導波路が形成される。この光導波路は、ホログラム記録媒体に記憶される情報の読み出し(或いは書き込み)のために、参照光をホログラム記録媒体内に伝播させるために形成される。
光導波路は、光が屈折率の高い領域を伝播する性質を利用したものである。すなわち、一般的に光導波路は、屈折率(参照光に対する)が比較的低くされた2つのクラッド層に挟まれた、比較的屈折率の高いコア層に参照光が伝播するように構成されている。
【0020】
第1の実施の形態のホログラムメモリ1としても、このように屈折率が比較的低くされた2のクラッド層3,4に挟まれた、比較的屈折率の高いコア層2において参照光を伝播させる一般的な光導波路型としての基本構造を採る。
そして、光導波路としての上記コア層2と、一方の上記クラッド層3とにおける互いの層が接する面(境界面)に対しては、ホログラムパターン6を形成している。すなわち、図示するように互いの層の接触面の断面形状が凹凸形状とされ、この凹凸形状の形成パターンによって所要の情報が記憶されるものである。
【0021】
さらに、この場合のホログラムメモリ1には、同様に上記コア層2と上記クラッド層3との境界面において、グレーティング5を形成するものとしている。このグレーティング5としても、その断面形状は凹凸構造とされる。
このグレーティング5としては、後述するようにして所要の入射角により参照光がグレーティング5に対して照射された際に、この参照光の一部又は全部をコア層2による光導波路に導波光として結合し、導波路内を伝播させるために設けられる。
【0022】
なおこの場合、グレーティング5としては、上記凹凸構造が周期構造を有するものとされる。そして、この凹凸構造による周期をΛ、後述する参照光B1としてグレーティング5に照射される光ビーム波数の光導波路方向の成分をkin、さらに光導波路の伝播定数をβとした場合に、
「Λ=2π/kin−β」
が成り立つように設定されているものとする。
これにより、後述するようにしてグレーティング5に参照光B1が照射された際に、この参照光B1の一部又は全部が光導波路に導波光として結合し、光導波路内を伝播するようにさせるできる。
なお、グレーティング5の断面形状は必ずしも矩形でなくとも良く、例えば三角形状等の他の凹凸形状が採用されてもよい。
【0023】
また、上記2つのクラッド層3,4、及びコア層2からなる記録層に対しては、これを挟み込むようにして2つの透明電極層7,8が積層されている。
この透明電極層7,8としては、透明で且つ導電性を有するものであれば任意の材質を選定することができる。
【0024】
その上で、このホログラムメモリ1においては、上記コア層2として、外部電界に応じてその屈折率が変化するエレクトロリフラクティブ材料(電気光学材料)を用いるようにしている。
具体的にこの場合には、外部電界に応じて屈折率が上昇する性質のものを選定するようにされている。
例えば、このようなホログラムメモリ1で用いるエレクトロリフラクティブ材料としては、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等を挙げることができる。
【0025】
ここで、この場合のホログラムメモリ1としては、上記もしたようにコア層2及びクラッド層3,4から成る記録層が透明電極層7,8によって挟まれている。よって、これら透明電極層7,8間に電圧が印加されると、これに挟まれるようにされたコア層2に対して外部電界が印加されることになって、これによりエレクトロリフラクティブ材料によるコア層2の屈折率が変化するようにされる。つまり、このような構造により、この場合のホログラムメモリ1では、透明電極層7,8間に電圧を印加するか否かでコア層2の屈折率を変化させることができるようにされている。
【0026】
そして、この場合、このようなコア層2の屈折率(nC)と、他のクラッド層3,4の屈折率(nC)の関係としては、透明電極層7,8間に電圧が印加されず、コア層2にエレクトロリフラクティブ効果が生じていない場合において、
nC=nCL
による屈折率を設定するものとしている。
すなわち、透明電極層7,8間に電圧が印加されない場合では、コア層2とクラッド層3,4との屈折率は同等で、電圧が印加された場合はコア層2の屈折率の方が高くなるように設定されているものである。
【0027】
なお、これらコア層2、クラッド層3,4の屈折率の設定については、エレクトロリフラクティブ効果が発生していない状態でのコア層2の屈折率にあわせて、クラッド層3,4の屈折率がこれと同等となるように、クラッド層3,4の構成材料を調整することで行うようにすればよい。
或いは、クラッド層の構成材料として通常用いられるフォトポリマーには様々な屈折率のものが存在するので、その中からコア層2の屈折率と同等となる適当なものを選定するようにしてもよい。
【0028】
図2は、上記構成によるホログラムメモリ1に対応して少なくとも再生を行うホログラム装置10の構成と、このホログラム装置10とホログラムメモリ1とによって得られる動作について説明するための図である。
なお、この図では、ホログラム装置10の構成について、主に本発明の特徴となる、ホログラム記録媒体に形成された光導波路に参照光を導くための構成のみを抽出して示すものであり、他の部分の構成については図示を省略している。
また、この図では説明をわかりやすくするために、ホログラムメモリ1に形成される各層について、参照光B1に対する屈折率の高い層ほど濃色によって示している。
【0029】
図2において、先ず実施の形態のホログラム装置10としては、図示するようにして参照光B1を照射するためのレーザダイオードLDと、ホログラムメモリ1に備えられる2つの透明電極層7,8間に電圧を印加するための駆動回路11、及びホログラムメモリ1に形成されたホログラムパターン6に応じた情報信号を得るための二次元光センサ12とを少なくとも備える。
【0030】
そして、図2(a)において、この場合のホログラム装置10では、例えばホログラムメモリ1に対する読み出し動作を停止すべき状態となった場合等に、例えば図示されない装置全体制御を行う制御部から、図中の駆動回路11に対し、OFF信号が供給される。このOFF信号の供給に応じ、駆動回路11は、透明電極層7,8に対する駆動電流の供給を停止し、これによってこれら電極間への電圧印加が停止される。
【0031】
このように、駆動回路11からの駆動電流の供給が停止され、透明電極層7,8間に電圧が印加されない状態では、コア層2に対して外部電界は印加されず、コア層2とクラッド層3,4の屈折率は同等の状態となる。
コア層2とクラッド層3,4の屈折率とが同等とされることで、この場合は図2(a)に示されるようにしてレーザダイオードLDからのグレーティング5に対する参照光B1の照射によっても、この参照光B1はグレーティング5によってコア層2としての光導波路に導波光として結合されないものとなる。
つまり、コア層2とクラッド層3の屈折率が同等であれば、これらの層間に形成されたグレーティング5は光学的に顕在化せず、結合器としては機能しないものとなる。このため、図示するようにしてレーザダイオードLDにより照射される参照光B1は、この場合のグレーティング5を透過することとなって、光導波路方向に導かれることはない。
つまり、駆動回路11によって透明電極層7,8間に駆動電圧を印加しないようにすることで、参照光B1をコア層2としての光導波路に導かないように制御することができるものである。
【0032】
一方、例えばホログラムメモリ1に対する読み出しを行うとした場合には、図2(b)に示されるように、例えば上記した制御部から駆動回路11に対してON信号が供給され、これに応じて駆動回路11は、透明電極層7,8に対し駆動電流を供給してこれらの電極間に所要の駆動電圧を印加するようにされる。
透明電極層7,8間に駆動電圧が印加されることで、コア層2には外部電界が印加され、エレクトロリフラクティブ効果によりその屈折率が上昇してクラッド層3,4の屈折率よりも高い屈折率となる。
【0033】
これによれば、コア層2とクラッド層3とに屈折率の差が生じることで、これらの層間に形成されたグレーティングが光学的に顕在化するようになる。すなわち、グレーティング5の機能が有効となる。そして、この場合、上述したようにグレーティング5の周期Λ、参照光B1の光導波路方向の成分kin、光導波路の伝播定数βについて、
「Λ=2π/kin−β」
が成り立つように設定されていることで、レーザダイオードLDから照射される参照光B1の一部又は全部を、コア層2に導波光として結合させることができる。
なおかつ、この場合は、コア層2の屈折率が他のクラッド層3,4より高くなることで、このコア層2が光導波路として機能することとなって、参照光B1をコア層2内に伝播させることができる。
【0034】
このようにして、駆動回路11により透明電極層7,8間に電圧を印加することによっては、参照光B1をコア層2としての光導波路に導くように制御することができる。
そして、これによってコア層2を伝播するようにされた参照光B1は、このコア層2とクラッド層3との境界面に形成されたホログラムパターン6に応じて回折を受け、これが回折光となって導波路外に放射される。
放射された回折光は二次元光センサ12上に結像するようにされ、これによって二次元光センサ12では結ばれたホログラムパターン6に応じた像が電気信号に変換されて、情報信号が得られることになる。
【0035】
これまでの説明から理解されるように、第1の実施の形態のホログラムメモリ1、及びホログラム装置10の構成によれば、透明電極層7,8間に駆動電圧を印加するか否かによって、光導波路としてのコア層2への参照光B1の伝播/非伝播についての切り替え制御を確実に行うことができる。
例えば、このような構成によれば、何らかの事情により参照光B1の照射は継続させたいが光導波路に参照光B1を伝播させたくないといったときにも、確実に参照光B1を光導波路方向に導かないように制御することができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
続いて、図3は、第2の実施の形態としてのホログラムメモリ20の構成を断面図により示している。
なお、この図において、既に図1にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態のホログラムメモリ20としては、クラッド層3,4及びこれらに挟まれたコア層2による1つの記録層が複数備えられた、多層メモリとして構成されるものである。
この場合のホログラムメモリ20としては、図示するようにしてそれぞれクラッド層3,4及びコア層2を含むようにされた、第1記録層21から第4記録層24までの4つの記録層を有するものとされている。そして、この場合のホログラムメモリ20に対しては、これら第1記録層21〜第2記録層24の個々の記録層が挟み込まれるようにして、第1透明電極層25から第5透明電極層29までの5つの透明電極層が積層されている。
すなわちこの場合、第1記録層21は、第1透明電極層25と第2透明電極層26とによって挟み込まれ、第2記録層22は上記第2透明電極層26と第3透明電極層27とによって挟み込まれるようにされている。さらに、第3記録層23は上記第3透明電極層27と第4透明電極層28とによって挟み込まれ、第4記録層24は上記第4透明電極層28と第5透明電極層29によって挟み込まれるようにされている。
なお、この場合も各透明電極層としては、図1の場合と同様に透明で且つ導電性を有するものであれば任意の材質を選定することができる。
また、ここではホログラムメモリ20に形成される記録層が4層とされる場合を例示しているが、特に記録層の数について限定するものではない。
【0037】
図4は、上記構成によるホログラムメモリ20に対応して少なくとも再生を行うホログラム装置30の構成と、このホログラム装置30とホログラムメモリ20とによって得られる動作について説明するための図である。
なお、この図において、先の図2、図3と同様の部分については同一符号を付して説明を省略する。
また、この図に示されるホログラム装置30の構成としても、主に本発明の特徴となる参照光の伝播/非伝播の切り替えについての構成のみを抽出して示すものであり、他の部分の構成については図示を省略している。
さらに、この図としても説明をわかりやすくするために、ホログラムメモリ20に形成される各層について、参照光B1に対する屈折率の高い層ほど濃色によって示している。
【0038】
先ず、この図に示すホログラム装置30において、駆動回路31に対しては、図示されない制御部等から、ホログラムメモリ20について読み出しを行う記録層を選択するための、セレクト信号SLCが供給される。
駆動回路31では、このセレクト信号SLCに応じて、ホログラムメモリ20に備えられる透明電極層について、どの電極層間に駆動電圧を印加するかを切り替えることができるように構成される。すなわち、セレクト信号SLCが第1記録層21を選択するものであった場合には、第1透明電極層25と第2透明電極層26との間に駆動電圧を印加するように構成される。また、第2記録層22を選択するものであった場合には、第2透明電極層26と第3透明電極層27との間に駆動電圧を印加し、第3記録層23を選択するものであった場合は第3透明電極層27と第4透明電極層28との間に駆動電圧を印加するように構成される。さらに、第4記録層24を選択するものであった場合は第4透明電極層28と第5透明電極層29との間に駆動電圧を印加するように構成されている。
【0039】
ここで、図4(a)において、上記セレクト信号SLCにより第2記録層22が選択されたとする。これに応じては、駆動回路31が第2透明電極層26と第3透明電極層27との間に駆動電圧を印加するようにされ、図示するようにして第2記録層22におけるコア層2の屈折率が上昇するようにされる。そして、これによっては、この第2記録層22において形成されたグレーティング5のみが有効となり、且つこの第2記録層22におけるコア層2が光導波路として機能する状態となる。
この結果、図示するレーザダイオードLDからの参照光B1の照射によっては、この参照光B1が第2記録層22のグレーティング5のみで結合されて、この第2記録層22におけるコア層2にのみ伝播するものとなる。
【0040】
このようにして、第2記録層22の選択に応じては、この第2記録層22のコア層2のみに参照光B1を伝播させることができ、これによって第2記録層22に形成されたホログラムパターン6に応じた回折光のみが外部に放射され、二次元光センサ12からはこの第2記録層22に形成されたホログラムパターン6に応じた情報信号について読み出しを行うことができる。
【0041】
また、図4(b)では、上記したセレクト信号SLCにより第3記録層23が選択されたとする。これに応じては、駆動回路31によって、第3透明電極層27と第4透明電極層28との間に駆動電圧を印加するようにされ、図示するようにして第3記録層23におけるコア層2の屈折率が上昇するようにされる。
これによって、この場合は第3記録層23に形成されたグレーティング5のみが有効となり、且つ第3記録層23のコア層2が光導波路として機能するものとなり、この場合の参照光B1は、この第3記録層23におけるコア層2にのみ伝播させることができる。
【0042】
このようにして第2の実施の形態によれば、複数の記録層が形成されるホログラム記録媒体について、各記録層を挟み込むようにして透明電極層を設け、各記録層ごとに選択的に駆動電圧を印加することができるようにしたことで、グレーティング5を有効とする記録層を任意に選択することができる。そして、これによって、参照光B1を光導波路としてのコア層2に伝播させる記録層を任意に選択することができるものである。
【0043】
このような構成によれば、光導波路に参照光B1を伝播させる記録層を任意に選択するにあたって、先の図13にて説明した手法のように参照光B1の照射位置を調整するためのメカニカルな可動部を備える必要はなくなる。
そして、このようにメカニカルな可動部が不要とできることで、従来の手法で用いていたような高精度なアクチュエータや制御装置を用いる必要はなくなり、これによって装置の小型軽量化、及び低コスト化を図ることができる。
また、可動部による伝播/非伝播の切り替え制御でないことにより、耐振動性についても向上させることができる。
【0044】
続いて、以下の図5〜図11により、第1及び第2の実施の形態のホログラムメモリの変形例の構成について示しておく。
なお、以下の各図において、ホログラム装置側の構成及び動作については、ホログラムメモリとして何れの変形例の構成が採られる場合にも先の図2、図4にて説明したものと同様となることから、その説明は省略する。
また、各図においては、変形例としての構成及び動作について、記録層が1層のみとされる第1の実施の形態に適用した場合のみを例示しているが、記録層が複数とされる第2の実施の形態の場合については、各層にて各図に示されるものと同様の構成が採られればよいものであることから、その構成及び動作についても図示による説明は省略する。
また、以下の各図においても、説明をわかりやすくするために、参照光B1に対する屈折率の高い層ほど濃色により示すものとする。
【0045】
先ず、図5により第1の変形例について説明する。
この第1の変形例としては、図5(a)に示されるようにして、駆動電圧が印加されていない状態(エレクトロリフラクティブ効果が発生していない状態)では、コア層2の屈折率nCとクラッド層3,4の屈折率nCLの関係として、先の図1、図3の場合では「nC=nCL」としていたものを、「nC<nCL」となるように設定するものとしている。
さらに、駆動電圧が印加され、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のコア層2の屈折率をΔnCとしたとき、「ΔnC>nCL」の関係が得られるように設定するものである。
【0046】
これによると、駆動電圧が印加されていない場合においても、コア層2とクラッド層3との間には屈折率差が生じることになるから、図5(a)に示す駆動電圧が印加されていない状態においても、コア層2とクラッド層3との間に形成されるグレーティング5が光学的に顕在化していることになる。
しかし、この状態では、コア層2の屈折率は他のクラッド層3,4より低いものとなっていることで、コア層2が光導波路として機能しないものとされる。従ってこの場合の参照光B1は、グレーティング5において、その一部は図中Xと示されるように回折を受けてクラッド層3に入射するものの、コア層2に結合されることはない。
このため、駆動電圧が印加されない状態では、参照光B1の大部分はグレーティング5を透過するようにされることになる。
【0047】
これに対し、駆動電圧が印加された図5(b)の状態では、上記のようにしてコア層2の屈折率が上昇して他のクラッド層3,4の屈折率よりも高くなる状態が得られることになる。
これによると、グレーティング5が光学的に顕在化し、さらにコア層2が光導波路として機能する状態が得られることになるから、参照光B1(の一部又は全部)はグレーティング5において光導波路に結合し、コア層2を伝播するようにされる。
【0048】
このようにして、図5に示される第1の変形例の構成によっても、先の図2に示した構成と同様に、光導波路への参照光B1の伝播/非伝播について、透明電極層間に駆動電圧を印加するか否かによって確実に切り替え制御を行うことができる。
また、このことによって、この図5に示す変形例を図4に示した構成に適用した場合としても、駆動電圧を印加する記録層の選択によって、参照光B1を伝播させる記録層を任意に選択することができるという効果は同様に得ることができる。
【0049】
また、図6は、第2の変形例について示している。
第2の変形例は、コア層2の代わりに、クラッド層3,4に対してエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにしたものである。
その上で、図6(a)に示される駆動電圧が印加されていない状態での、コア層2の屈折率nCとクラッド層3,4の屈折率nCLの関係として、「nC=nCL」が成り立つように設定するものとしている。
さらに、駆動電圧が印加され、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のクラッド層3,4の屈折率をΔnCLとしたとき、「nC>ΔnCL」の関係が得られるように設定するものである。
すなわち、この場合のエレクトロリフラクティブ材料としては、外部電界の印加に応じて屈折率が低下する性質のものを選定するようにされる。なお、このようなエレクトロリフラクティブ材料についても、例えばニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウム等が選定されればよい。
【0050】
この場合、図6(a)に示される駆動電圧が印加されていない状態においては、上記のようにしてコア層2とクラッド層3,4の屈折率は同等とされることから、グレーティング5は光学的に顕在化しない状態となる。
このことから、この場合も先の図2、図4の場合と同様に、グレーティング5に照射された参照光B1がコア層2に結合されることはなく、グレーティング5を透過するようにされる。
【0051】
これに対し、駆動電圧が印加された図6(b)の状態では、上記のようにしてクラッド層3,4の屈折率が低下するようにされて、相対的にコア層2の屈折率の方が高くなる状態が得られる。
これによると、グレーティング5が光学的に顕在化し、さらにコア層2が光導波路として機能する状態が得られることになるから、参照光B1はグレーティング5において光導波路に結合し、コア層2を伝播するようにされる。
【0052】
このようにして、図6に示される第2の変形例によっても、先の図2に示した構成と同様に透明電極層間に駆動電圧を印加するか否かにより、光導波路への参照光B1の伝播/非伝播について確実に切り替え制御を行うことができ、また、このことによって図6の構成を図4に示した構成に適用した場合も、図4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0053】
図7は、第3の変形例について示している。
第3の変形例は、第2の変形例と同様に、クラッド層3,4にエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにしたもので、先ず、図7(a)に示されるように、駆動電圧が印加されていない状態では、コア層2の屈折率nCとクラッド層3,4の屈折率nCLの関係として、「nC<nCL」となるように設定するものとしている。
さらに、駆動電圧が印加され、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のクラッド層3,4の屈折率をΔnCLとしたとき、「nC>ΔnCL」の関係が得られるように設定するものである。
【0054】
これによると、駆動電圧が印加されていない場合では、先の図5の第1例の場合と同様に、コア層2とクラッド層3との間には屈折率差が生じることになるから、図7(a)に示す状態においても、コア層2とクラッド層3との間に形成されるグレーティング5が光学的に顕在化していることになる。
しかし、この場合としても、コア層2の屈折率が、他のクラッド層3,4の屈折率に対して低いものとされていることで、コア層2が光導波路として機能しないものとなる。従ってこの場合も参照光B1は、グレーティング5において、その一部は図中Xと示されるように回折を受けてクラッド層3に入射するものの、コア層2に結合されることはない。
このため、駆動電圧が印加されない状態では、この場合も参照光B1の大部分はグレーティング5を透過するようにされることになる。
【0055】
そして、駆動電圧が印加された図7(b)の状態では、上記のようにしてクラッド層3,4の屈折率が低下するようにされて、相対的にコア層2の屈折率がクラッド層3,4の屈折率よりも高くなる状態が得られる。
これにより、グレーティング5が光学的に顕在化し、さらにコア層2が光導波路として機能する状態が得られ、参照光B1はグレーティング5において光導波路に結合し、コア層2を伝播するようにされる。
【0056】
このように図7に示される第3の変形例によっても、先の図2に示した構成と同様に透明電極層間に駆動電圧を印加するか否かにより、光導波路への参照光B1の伝播/非伝播について確実に切り替え制御を行うことができ、また、このことによって図7の構成を図4に示した構成に適用した場合も、図4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらに、図8は第4の変形例について示している。
第4の変形例は、グレーティング5の形成面と接するようにされた一方のクラッド層3にのみエレクトロリフラクティブ材料を用いるものとし、図8(a)に示されるように、駆動電圧が印加されていない状態では、コア層2の屈折率nCとクラッド層3の屈折率nCLについて「nC=nCL」を設定し、また図8(b)に示される駆動電圧が印加された場合には、エレクトロリフラクティブ効果が得られた場合のクラッド層3の屈折率ΔnCLについて、「nC>ΔnCL」を設定するものである。
なお、この第4の変形例の構成による作用と効果については、先の図6に示した第2の変形例と同様となることからここでの説明は省略する。
【0058】
また、図9は、第5の変形例について示している。
第5の変形例としても、グレーティング5の形成面と接するようにされた一方のクラッド層3にのみエレクトロリフラクティブ材料を用いるものとしているが、この場合は図9(a)に示されるように、駆動電圧が印加されていない状態では「nC<nCL」となり、駆動電圧が印加された場合では「nC>ΔnCL」となるように設定されたものである。
この第5の変形例の構成による作用と効果は、先の図7に示した第3の変形例の構成とした場合と同様となることからその説明は省略する。
【0059】
なお、これまでで説明してきたホログラムメモリにおいては、コア層とクラッド層(3及び/又は4)のいずれか一方に対してのみエレクトロリフラクティブ材料を用いるものとしたが、コア層とクラッド層の双方にエレクトロリフラクティブ材料を用いることも可能である。
例えば、図7に示した第3の変形例を例に挙げれば、ここではクラッド層3,4にのみ電圧印加に応じて屈折率が低下するエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにしていたが、コア層2としてもエレクトロリフラクティブ材料を用い、電圧印加に応じて屈折率が上昇するようにしておくことによっても、駆動電圧印加時に相対的にコア層2の屈折率の方が高い状態を得ることができ、これによって駆動電圧の印加時に参照光B1を光導波路方向に導くことが可能となる。
ここで、実施の形態としては、これまでの説明からも明らかなように、駆動電圧が印加されない状態ではコア層とクラッド層との屈折率が同等か或いはクラッド層の屈折率の方が高く、また、駆動電圧が印加された状態ではコア層2の屈折率の方が高くなる条件が設定されているものである。そして、このような条件が満たされていることで、これまでの説明のように、駆動電圧が印加されない状態では、グレーティング5が顕在化しないか又はコア層2が光導波路として機能しないようにされることとなって、参照光B1が光導波路方向に導かれないようにすることができる。また、駆動電圧が印加された状態では、グレーティング5が顕在化し且つコア層2の屈折率が相対的に高くなって光導波路として機能するようにされることで、参照光B1を光導波路方に導くことができるようになる。
従って、実施の形態としては、この条件を満たす限りにおいて、エレクトロリフラクティブ材料を用いる層、及び各層の屈折率の設定を任意に行ことができるものである。
【0060】
また、図10は、第6の変形例の構成について示している。
この図10に示される第6の変形例としては、これまではコア層2とクラッド層3の境界面に対して形成されていたグレーティング5を、一方のクラッド層3における、コア層2と接する一部の領域に対して形成するようにしたものである。
その具体例として、図10(a)に示すものは、グレーティング5の凹凸構造そのものを上記クラッド層3の一部領域として形成するようにしている。
また、図10(b)の例では、クラッド層3内に、グレーティング5の凹凸構造を含むようにされた第2クラッド層3bを別途形成することで、この第2クラッド層3bと第1クラッド層3aとによる二層構造によりクラッド層3を形成するようにしたものである。
【0061】
その上で、この場合には、上記のようにしてクラッド層3においてグレーティング5が形成された部分に対し、エレクトロリフラクティブ材料を用いるものとしている。
すなわち、図10(a)の場合では、クラッド層3に形成されたグレーティング5の凹凸構造そのものについてエレクトロリフラクティブ材料を用いる。また、図10(b)に示される例では、グレーティング5が形成された第2クラッド層3bのみにエレクトロリフラクティブ材料を用いるようにされる。
【0062】
そして、駆動電圧が印加されていない状態では、図10に示されるようにして、クラッド層3の屈折率よりも、コア層2の屈折率の方が高くなるように設定されている。
なおかつ、この場合では、グレーティング5が形成された部分(図10(a)ではグレーティング5の凹凸構造そのもの、図10(b)では第2クラッド層3b)の屈折率は、駆動電圧が印加されない状態において、クラッド層3を構成する他の部分と同じ屈折率を有するようにされる。
また、駆動電圧が印加された状態では、エレクトロリフラクティブ材料とされるグレーティング5が形成される部分の屈折率が、コア層2の屈折率と同等となるように設定されている。
【0063】
このような構成において、駆動電圧が印加されない状態では、上記のようにしてグレーティング5が形成された部分とクラッド層3を構成する他の部分とが同じ屈折率とされていることで、この場合にグレーティング5は光学的に顕在化せず、図10(a)(b)の各図に示されるように参照光B1はグレーティング5を透過するようにされ、コア層2に導かれることはない。
【0064】
そして、駆動電圧が印加された場合には、上述のようにしてクラッド層3におけるグレーティング5が形成された部分はコア層2の屈折率と同等となるようにされることで、次の図11に示されるようにして、実質的にこの場合のコア層2は、このように屈折率が同等とされたクラッド層3におけるグレーティング5が形成された部分を含むようにして拡大されるものとなる。
さらに、この場合、このようにグレーティング5を含むようにして拡大されたコア層2の屈折率は、クラッド層3よりも高いものとされていることで、グレーティング5はクラッド層3との屈折率差によって光学的に顕在化され、且つこのコア層2は光導波路として機能するものとなる。
そして、これによって、グレーティング5により参照光B1を光導波路に結合させ、コア層2に参照光B1を伝播させることができる。
【0065】
なお、ここでは、グレーティング5が形成される部分にエレクトロリフラクティブ材料を用いると共に、駆動電圧が印加されていない状態ではこの部分の屈折率がコア層2の屈折率よりも低く、駆動電圧が印加された場合はこの部分の屈折率がコア層2と同等の屈折率となる場合を例示した。しかしながら、この第6の変形例としても、エレクトロリフラクティブ材料を用いる部分、及び各層の屈折率の設定は、実施の形態としての効果が得られる範囲で自由に設定することができる。
すなわち、この第6の変形例の構成としては、図10に示されるようにして、一方のクラッド層3におけるコア層2と接する一部の領域に対してグレーティング5を形成する構成とされた上で、結果的に駆動電圧が印加されないときはグレーティング5が光学的に顕在化しないかコア層2が光導波路として機能しないようにされ、また、駆動電圧が印加されたときはグレーティング5が顕在化し且つコア層2の屈折率が相対的に高くなって光導波路として機能するようにされていればよいものである。
そして、このように構成されることで、先の図2、図4の場合と同様の効果を得ることができることになる。
【0066】
なお、本発明のホログラム記録媒体とホログラム装置としては、これまでに説明した実施の形態の構成に限定されるものではない。
例えばホログラム記録媒体について、これまでの説明では、1組の透明電極層が個々の記録層の全体を挟み込むようにして備えられる場合を例示した。これによれば、図3に示したように多層とされる場合には、隣合う記録層間で透明電極層を共通化できるので、その分ホログラム記録媒体の構成層を少なくでき、製造工程の削減、及び構成材料の削減による低コスト化が図られる。
しかし、この場合の透明電極層の目的としては、エレクトロリフラクティブ材料で構成された部分の屈折率を駆動電圧の印加に応じて変化させることにあり、従って透明電極層としては少なくともエレクトロリフラクティブ材料により構成された部分のみを挟み込むようにして設けられていればよいものである。
【0067】
また、実施の形態では、グレーティング5をコア層2と一方のクラッド層3との間に形成する場合を例示したが、コア層2と他方のクラッド層4との境界面に対して形成することによっても同様の効果を得ることができる。
【0068】
また、ホログラム装置の構成としては、実際の光学系の設計において適宜必要なレンズを追加する等、適宜必要な構成を追加することができる。
さらに、ホログラム装置としては、記録が可能な記録装置として構成することもできる。この場合には、図2,図4に示した構成に対し、光導波路を伝播する参照光と干渉させて導波路中に干渉縞によるホログラムパターンを形成するための信号光を別途照射するための光源が少なくとも追加されればよい。
また、ホログラム装置としては、記録と再生の双方が可能な記録再生装置としても構成することができる。
【0069】
また、最後に確認のために述べておくと、これまでに説明した実施の形態では、参照光を伝播させる光導波路自体に結合器としてのグレーティングを形成し、この結合器に対して所定角度によりレーザ光を照射することで光導波路に参照光を伝播させることができる。その上で、結合器を有効とする光導波路を透明電極層に対する電圧印加により選択することで、任意の光導波路に参照光を導入できるものである。
ここで、上記のように結合器としてのグレーティングを光導波路内に形成していることで、参照光を所望の導波路に導くための構成自体としては、光導波路の厚さ以内に納めることができる。つまり、これによれば、例えば光導波路内以外に別途参照光を伝播させるための結合器を構成する場合よりも、構造が簡易で且つ小型とすることができる。
例えば、実施の形態の構成によれば、100層の導波路の切り替えを想定した場合、例えば1層あたりの厚さが20μmとすれば、上記のような導波路を導く構成自体を含めたホログラム記録媒体の厚さは2mm程度に抑えることが可能である。
【0070】
また、ホログラム装置側としては、参照光を所定角度で以てホログラム記録媒体に照射すればよいことになる。これによれば、例えば参照光を光導波路にカップリング導入する構成とされる場合と比較してより構成を簡易とすることができる。つまり、各光導波路ごとに参照光をカップリング導入する場合、実際には高性能の集光レンズ等の光学系を用いてサブミクロン程度の極めて高精度のアライメントが必要となるが、実施の形態としては所定角度で以て放射モードの光波をダイレクトに媒体に照射すればよいのでその分構成としては簡易とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明における第1の実施の形態としてのホログラム記録媒体の構造を示した断面図である。
【図2】第1の実施の形態としてのホログラム装置の構成、及び第1の実施の形態としての動作について説明するための図である。
【図3】本発明における第2の実施の形態としてのホログラム記録媒体の構造を示した断面図である。
【図4】第2の実施の形態としてのホログラム装置の構成、及び第2の実施の形態としての動作について説明するための図である。
【図5】第1の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図6】第2の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図7】第3の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図8】第4の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図9】第5の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及びその動作について説明するための断面図である。
【図10】第6の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及び駆動電圧が印加されていない状態での動作について説明するための断面図である。
【図11】第6の変形例としてのホログラム記録媒体の構造、及び駆動電圧が印加された状態での動作について説明するための断面図である。
【図12】従来のホログラム記録媒体として、記録層が1層とされる場合の構造とその読み出し方法について説明するための断面図である。
【図13】従来のホログラム記録媒体として、記録層が多層とされる場合の構造とその読み出し方法について説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1,20 ホログラムメモリ、2 コア層、3,3a,3b,4 クラッド層、5 グレーティング、6 ホログラムパターン、10,30 ホログラム装置、11,31 駆動回路、12 二次元光センサ、LD レーザダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのクラッド層と、これらクラッド層に挟まれたコア層とが備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、
上記ホログラム記録媒体に対して照射される参照光を上記光導波路に導波光として結合するためのグレーティングを備えると共に、
上記グレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域がエレクトロリフラクティブ材料によって構成されており、
少なくとも上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層された透明電極層を備えるようにされる、
ことを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
少なくとも上記2つのクラッド層と上記コア層とを含む記録層が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
上記透明電極層は、上記2つのクラッド層と上記コア層とによって構成される個々の記録層を挟み込むようにして積層されていることを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
上記グレーティングは上記コア層と一方の上記クラッド層との境界面に形成され、
且つ上記コア層が、上記エレクトロリフラクティブ材料として、2つの上記透明電極層間に電圧が印加された際にエレクトロリフラクティブ効果により屈折率が上昇する材料により構成されていると共に、
その屈折率は、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られていない状態では上記クラッド層の屈折率と同等若しくはより低く設定され、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られた状態では上記クラッド層の屈折率よりも高くなるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】
上記グレーティングは上記コア層と一方の上記クラッド層との境界面に形成され、
且つ少なくとも上記一方のクラッド層が、上記エレクトロリフラクティブ材料として、2つの上記透明電極層間に電圧が印加された際にエレクトロリフラクティブ効果により屈折率が低下する材料により構成されていると共に、
その屈折率は、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られていない状態では上記コア層の屈折率と同等若しくはより高く設定され、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られた状態では上記コア層の屈折率よりも低くなるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項6】
上記2つのクラッド層の双方が上記エレクトロリフラクティブ材料により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
上記2つのクラッド層のうちの、上記グレーティングと接する一方のクラッド層のみが上記エレクトロリフラクティブ材料により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項8】
一方の上記クラッド層における、上記コア層と接する一部の領域に上記グレーティングが形成されることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項9】
一方の上記クラッド層における、上記コア層と接する一部の領域に上記グレーティングが形成され、
且つ上記一部の領域が、上記エレクトロリフラクティブ材料として、2つの上記透明電極層間に電圧が印加された際にエレクトロリフラクティブ効果により屈折率が上昇する材料により構成されていると共に、
その屈折率は、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られていない状態では、この一部の領域を除いた上記クラッド層の屈折率と同等となるように設定され、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られた状態では上記コア層の屈折率と同等となるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項10】
2つのクラッド層と、これらクラッド層に挟まれたコア層とが備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、上記ホログラム記録媒体に対して照射される参照光を上記光導波路に導波光として結合するためのグレーティングを備えると共に、上記グレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域がエレクトロリフラクティブ材料によって構成されており、少なくとも上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層された透明電極層を備えるようにされるホログラム記録媒体について、記録及び/又は再生を行うホログラム装置であって、
上記ホログラム記録媒体に形成される上記グレーティングに対して参照光を照射する光照射手段と、
上記透明電極層間に所要の駆動電圧を印加するもので、この駆動電圧についてのオン/オフ切り替えが可能となるように構成された駆動手段と、
を少なくとも備えることを特徴とするホログラム装置。
【請求項11】
上記ホログラム記録媒体は、上記2つのクラッド層と上記コア層とを含む記録層が複数設けられて、上記透明電極層が少なくとも個々の上記記録層における上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層されていると共に、
上記駆動手段は、
上記個々の記録層に対して設けられる1組の上記透明電極層ごとに、選択的に上記駆動電圧を印加するように構成されている、
ことを特徴とする請求項10に記載のホログラム装置。
【請求項1】
2つのクラッド層と、これらクラッド層に挟まれたコア層とが備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、
上記ホログラム記録媒体に対して照射される参照光を上記光導波路に導波光として結合するためのグレーティングを備えると共に、
上記グレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域がエレクトロリフラクティブ材料によって構成されており、
少なくとも上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層された透明電極層を備えるようにされる、
ことを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
少なくとも上記2つのクラッド層と上記コア層とを含む記録層が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
上記透明電極層は、上記2つのクラッド層と上記コア層とによって構成される個々の記録層を挟み込むようにして積層されていることを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
上記グレーティングは上記コア層と一方の上記クラッド層との境界面に形成され、
且つ上記コア層が、上記エレクトロリフラクティブ材料として、2つの上記透明電極層間に電圧が印加された際にエレクトロリフラクティブ効果により屈折率が上昇する材料により構成されていると共に、
その屈折率は、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られていない状態では上記クラッド層の屈折率と同等若しくはより低く設定され、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られた状態では上記クラッド層の屈折率よりも高くなるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】
上記グレーティングは上記コア層と一方の上記クラッド層との境界面に形成され、
且つ少なくとも上記一方のクラッド層が、上記エレクトロリフラクティブ材料として、2つの上記透明電極層間に電圧が印加された際にエレクトロリフラクティブ効果により屈折率が低下する材料により構成されていると共に、
その屈折率は、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られていない状態では上記コア層の屈折率と同等若しくはより高く設定され、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られた状態では上記コア層の屈折率よりも低くなるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項6】
上記2つのクラッド層の双方が上記エレクトロリフラクティブ材料により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
上記2つのクラッド層のうちの、上記グレーティングと接する一方のクラッド層のみが上記エレクトロリフラクティブ材料により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項8】
一方の上記クラッド層における、上記コア層と接する一部の領域に上記グレーティングが形成されることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項9】
一方の上記クラッド層における、上記コア層と接する一部の領域に上記グレーティングが形成され、
且つ上記一部の領域が、上記エレクトロリフラクティブ材料として、2つの上記透明電極層間に電圧が印加された際にエレクトロリフラクティブ効果により屈折率が上昇する材料により構成されていると共に、
その屈折率は、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られていない状態では、この一部の領域を除いた上記クラッド層の屈折率と同等となるように設定され、上記エレクトロリフラクティブ効果が得られた状態では上記コア層の屈折率と同等となるように設定されている、
ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項10】
2つのクラッド層と、これらクラッド層に挟まれたコア層とが備えられて光導波路が形成される光導波路型のホログラム記録媒体であって、上記ホログラム記録媒体に対して照射される参照光を上記光導波路に導波光として結合するためのグレーティングを備えると共に、上記グレーティングを介して接するようにされた2つの層のうちの少なくとも何れかにおける、少なくとも一部の領域がエレクトロリフラクティブ材料によって構成されており、少なくとも上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層された透明電極層を備えるようにされるホログラム記録媒体について、記録及び/又は再生を行うホログラム装置であって、
上記ホログラム記録媒体に形成される上記グレーティングに対して参照光を照射する光照射手段と、
上記透明電極層間に所要の駆動電圧を印加するもので、この駆動電圧についてのオン/オフ切り替えが可能となるように構成された駆動手段と、
を少なくとも備えることを特徴とするホログラム装置。
【請求項11】
上記ホログラム記録媒体は、上記2つのクラッド層と上記コア層とを含む記録層が複数設けられて、上記透明電極層が少なくとも個々の上記記録層における上記エレクトロリフラクティブ材料により構成される層又は領域を挟み込むようにして積層されていると共に、
上記駆動手段は、
上記個々の記録層に対して設けられる1組の上記透明電極層ごとに、選択的に上記駆動電圧を印加するように構成されている、
ことを特徴とする請求項10に記載のホログラム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−171532(P2006−171532A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365988(P2004−365988)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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