説明

ポット収納用トレイ及び苗情報の表示方法

【課題】 トレイのフレームに表示タグを簡単に装着し、長期間外れないようにする。
【解決手段】 ポット収納用トレイ1のかご形フレーム3に、育苗ポット6を収納するための複数のセル4を設ける。フレーム3上端の周縁部8を四角環状に形成し、その四辺の上面にそれぞれ一対の掛止部9を突設する。掛止部9をフレーム3の内側に向くフック状突起に形成し、表示タグ10の穴を掛止部9に着脱自在に引っ掛け、該表示タグ10をフレーム3の外側に吊り下げ、苗情報を表示タグ10によって表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草花や野菜等の植物の苗が植えられたポットを収納するためのトレイと、このトレイを用いて苗情報を表示する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物の苗をポットに植え、複数のポットをトレイに収納して、店頭に陳列することが広く行われている。また、その苗に関する苗情報(品種や値段等)を表示するために、次の方法が知られている。
(1)ポット毎のラベルで表示する方法: 苗情報を記したラベルを各ポットの土に挿して立てる方法が一般的である。また、例えば特許文献1には、かご形のポット収納用トレイに複数のポットを並べ、ポット毎に立てたラベルで苗情報を表示して方法が記載されている(同文献の図1、図24参照)。
(2)トレイに表示する方法: 苗情報を記した表示タグをトレイの側面に粘着テープで貼り付ける方法が一般的である。また、特許文献2には、ケース本体の側壁外面に微小突条のあるラベル貼着部を設け、ここにバーコードラベルを貼着する方法が記載されている(同文献の図13、図15参照)。
【特許文献1】特開2003−204723号公報
【特許文献2】特開平10−178912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記(1)に対し、(2)は大きな字で一括表示できる利点があるが、表示タグを粘着テープで貼り付けるのに手間がかかり、また、期間が経つと雨や紫外線で粘着テープが劣化して表示タグが外れたり、反対に粘着テープがトレイに固着して表示タグを付け替えたいときに剥がしにくくなったり、トレイに貼り跡が残って汚れたりする等の問題があった。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決し、表示タグを簡単に装着でき、表示タグが長期間外れにくく、表示タグを付け替えやすく、トレイが汚れないポット収納用トレイ及び苗情報の表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のポット収納用トレイは、苗が植えられた複数のポットを収納するかご形のフレームを備え、該フレームに表示タグを着脱自在に引っ掛けて止めるための突起状、凹部状又は穴状の掛止部を設けたことを特徴とする。
【0006】
ここで、トレイに収納するポットは、特に限定されず、例えば、軟質樹脂で成形した育苗ポット、硬質樹脂からなるフラワーポット、素焼きの植木鉢等を例示できる。トレイは、透水性と軽量化を確保できる点で、全体としてかご形のフレームに成形するのが好ましい。トレイを陳列のみならず播種、育成、運搬、出荷に兼用できるように、フレームを耐久性に優れた樹脂又は金属で成形するのが望ましい。
【0007】
また、同じ大きさのポットを整然と収納できるように、フレームの内側にポットの大きさに対応した大きさの凹状をなす複数のセルを設けてもよい。セルを四角箱形のフレームに縦横に配列するように形成してもよい。異なる大きさのポットを混載する場合は、セルを省き、フレームの底面をフラットに形成してもよい。
【0008】
掛止部を設けるフレームの位置は、特に限定されないが、表示タグを引っ掛けやすい点でフレームの周縁部が好ましい。また、フレームを積み重ねる時や取り扱う時の邪魔にならないように、掛止部をフレームの周縁部の上面に設けることが最も好ましい。この場合、フレームの周縁部を四角環状に形成し、該周縁部の四辺の上面に掛止部をそれぞれ設けるとよい。こうすれば、四辺のうち適切な辺に表示タグを引っ掛けて止めて、フレームの四つの側面のうち適切な面に表示タグを吊り下げることができる。
【0009】
掛止部としては、特定の形状に限定されず、次のものを例示できる。
(1)凸状の掛止部:突起、突条等を例示できる。突起としては、棒状突起、フック状突起等を例示できる。フック状突起の形状は、特に限定されず、倒立L字形、C字形等を例示できる。また、表示タグの脱落を確実に防止するために、フック状突起の先端はフレームの内側に向いて曲がるものが好ましい。
(2)凹状の掛止部:穴、溝等を例示できる。
【0010】
表示タグは、平面的な表示媒体であり、特に限定されないが、紙、樹脂、金属、木材等からなるラベル、パネル、ボード、カード等を例示できる。表示タグに表示する苗に関する苗情報は、例えば、品種、産地、値段、移植方法等を表示する文字、図形等である。
【0011】
そして、表示タグには、前記掛止部の形状に応じて被掛止部が設けられる。例えば、凸状の掛止部に対しては凹状の被掛止部(穴、溝等)あるいは凸条の掛止部(フック同士の掛止等)が、凹状の掛止部に対しては凸状の被掛止部(突起(フック状突起等)、突条等)が設けられる。また、表示タグを、鎖や紐等を介して前記掛止部に引っ掛けてもよい。
【0012】
次に、本発明の苗情報の表示方法は、ポット収納用トレイのかご形のフレームに苗が植えられた複数のポットを収納し、表示タグを該フレームの周縁部に設けた掛止部に着脱自在に引っ掛けてフレームの外側に吊り下げ、前記苗に関する苗情報を表示タグにより表示することを特徴とする。このポット収納用トレイとしては、上記発明のポット収納用トレイを例示できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポット収納用トレイによれば、表示タグを簡単に装着でき、表示タグが長期間外れにくく、表示タグを付け替えやすく、トレイが汚れない。また、本発明の苗情報の表示方法によれば、前記効果に加え、苗情報を見やすく表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1、図2に本発明を実施するための最良の形態を示す。このポット収納用トレイ1はかご形のフレーム3を備え、フレーム3の内側に苗5を植えた軟質樹脂製の育苗ポット6を収納する複数のセル4が設けられている。フレーム3の周縁部8は四角環状に形成され、その四辺の上面にそれぞれ掛止部9が設けられている。掛止部9はフレーム3の内側を向くフック状突起に形成され、表示タグ10の穴14が掛止部9に着脱自在に引っ掛けられる。これにより、表示タグ10がフレーム3の側面の外側に吊り下げられ、育苗ポット6に植えられた苗5に関する苗情報を表示タグ10によって表示する。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1、図2に示すように、このポット収納用トレイ1は、店頭で苗5を陳列するケースとしての機能に加え、生産農場での播種、育成、運搬、出荷に使用するコンテナとしての機能を備えている。トレイ1のフレーム3は、全体が樹脂により平面長方形の薄いかご形に成形されている。フレーム3の内側にはポットの大きさに対応した大きさの凹状をなす複数のセル4が縦横に配列するように形成され、各セル4に苗5を植えた軟質樹脂製の育苗ポット6が収納される。
【0016】
フレーム3の上端には、育苗ポット6をセル4に出し入れするための開放部7と、開放部7を取り囲む周縁部8とが設けられている。周縁部8は長四角環状に形成され、その四辺の上面にそれぞれ一対の掛止部9が突設されている。掛止部9は四辺共に同じ間隔で設けられ、この実施例では、短辺側の掛止部9が短辺と長辺とのコーナ部に位置している。そして、苗5に関する情報を記した表示タグ10が長辺側又は短辺側の掛止部9に着脱自在に引っ掛けられる。
【0017】
図3、図4に示すように、掛止部9は周縁部8の上面に倒立L字形に一体形成され、その上端にフレーム2の内側に向くフック部9aが設けられている。周縁部8の上面には、フック部9aをアンダーカット成形するための型抜き穴12が透設されている。表示タグ10は樹脂製のパネルであって、その両端上部に折曲部13を備えている。折曲部13には穴14が形成され、この穴14を掛止部9に引っ掛けることで、表示タグ10がフレーム3の外側に吊り下げられる。
【0018】
次に、苗5の陳列方法の一例を、図5に基づいて説明する。苗5を店頭で陳列するにあたり、まず、所要枚数のポット収納用トレイ1を用意する。次いで、各トレイ1において、複数の育苗ポット6をフレーム3のセル4に収納する。このとき、苗5の品種に応じてトレイ1を変え、一つのトレイ1に同じ品種の苗5を揃えて配列するのが好ましい。そして、苗5の品種、値段、配色等を考慮した所定のレイアウトで、複数のトレイ1を展示台16の上に並べる。
【0019】
続いて、表示タグ10を各トレイ1の掛止部9に引っ掛けてフレーム3の外側に吊り下げ、タグ10によって苗5に関する苗情報を表示する。この場合、トレイ1がフレーム3の長手方向に配列されている場所では、タグ10を長辺側の掛止部9に吊り下げ、トレイ1がフレーム3の短手方向に配列されている場所では、タグ10を短辺側の掛止部9に吊り下げる。また、フレーム3の複数の側面が通路に面している場所では、それぞれの側面の上部にある掛止部9にタグ10を吊り下げる。
【0020】
この実施例のポット収納用トレイ1と陳列方法によれば、次のような効果が得られる。
(a)フレーム3に掛止部9を設けたので、表示タグ10をワンタッチでトレイ1に着脱できる。
(b)タグ10の装着に粘着テープや粘着剤を使用していないので、フレーム3の外面に貼り跡が残らず、トレイ1を長期間きれいに使用できる。
(c)掛止部9がタグ10の取付位置を定めているので、タグ10を傾けることなく見栄えよく装着できる。
【0021】
(d)掛止部9をフレーム3の周縁部8に設けたので、タグ10をフレーム3の周囲に装着できる。
(e)掛止部9をフレーム3の周縁部8の上面に設けたので、掛止部9がフレームを積み重ねる時や取り扱う時の邪魔にならない。
(f)掛止部9を周縁部8の四辺にそれぞれ設けたので、所要枚数のタグ11を適切な位置に装着できる。また、トレイ1の向きや売場のレイアウトに合わせて、タグ10の装着位置を容易に変更できる。
【0022】
(g)掛止部9をフレーム3の内側に向く倒立L字形に形成したので、フック部9aによってタグ10の脱落を確実に防止できる。
(h)タグ10をフレーム3の周囲に装着したので、苗5に妨げられることなく、顧客がタグ10の表示を容易に読み取ることができる。
(i)苗情報をタグ10でまとめて表示できるので、多品種の苗5を整然と展示できる。また、苗5を種類毎に集めたり、価額順に並べたり、花色を考慮して配列したりするなど、多品種の苗5を自由なレイアウトで展示できる。
【0023】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)図6に示すように、表示タグ10を鎖18やリボンを介して掛止部9に吊り下げる。
(2)図7に示すように、フレーム3の周縁部8に掛止穴19を形成し、表示タグ10の折曲部13に突起20を設け、突起20と掛止穴19の嵌合により、表示タグ10をフレーム3に着脱自在に引っ掛ける。
(3)図1に示すポット収納用トレイ1において、掛止部9の数を増やし、周縁部8の各辺に二枚、三枚又はそれ以上のタグ10を装着できるように構成する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例を示すポット収納用トレイの斜視図である。
【図2】図1のトレイの一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2のトレイの正面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のトレイによる苗の陳列方法を示す斜視図である。
【図6】図2とは異なるタグ取付手段を示す斜視図である。
【図7】図4とは異なるタグ取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ポット収納用トレイ
3 フレーム
4 セル
5 苗
6 育苗ポット
8 周縁部
9 掛止部
10 表示タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗が植えられた複数のポットを収納するかご形のフレームを備え、該フレームに表示タグを着脱自在に引っ掛けて止める凸状又は凹状の掛止部を設けたことを特徴とするポット収納用トレイ。
【請求項2】
前記掛止部をフレームの周縁部の上面に設けた請求項1記載のポット収納用トレイ。
【請求項3】
前記周縁部を四角環状に形成し、該周縁部の四辺の上面に掛止部をそれぞれ設けた請求項2記載のポット収納用トレイ。
【請求項4】
前記掛止部をフレームの内側に向いて曲がるフック状突起とした請求項2又は3記載のポット収納用トレイ。
【請求項5】
ポット収納用トレイのかご形のフレームに苗が植えられた複数のポットを収納し、表示タグを該フレームの周縁部に設けた掛止部に着脱自在に引っ掛けてフレームの外側に吊り下げ、前記苗に関する苗情報を表示タグにより表示することを特徴とする苗情報の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−204127(P2006−204127A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17649(P2005−17649)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(593049914)株式会社東海化成 (20)
【出願人】(502275942)サントリーフラワーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】