説明

マルチキャストゲートウェイ映像配信経路制御方法及びその映像配信システム

【課題】受信クライアントが接続されたユニキャスト網上で配信経路の混雑や通信機器の障害などが生じても、受信する映像の品質を良好に維持することが可能なマルチキャストゲートウェイ映像配信経路制御方法及びその配信システムを提供する
【解決手段】ユニキャスト網18に接続され、特定のマルチキャストゲートウェイ16aを選択するリクエスト振り分け装置32を有する。リクエスト振り分け装置32は、複数のマルチキャストゲートウェイ16の中から特定の受信クライアント20aに最も適したマルチキャストゲートウェイ16aを選択して、受信開始要求パケットを送信する。マルチキャストゲートウェイ16aは、特定の受信開始要求パケットを、マルチキャスト網14に送信する。リクエスト振り分け装置32は、通信経路の変更を要求する変更要求パケットを受信すると、新マルチキャストゲートウェイ16bを選択し、変更要求パケットをマルチキャスト網14に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットに代表されるユニキャスト網に接続された受信クライアントに向け、送信サーバから映像データの配信を行うマルチキャストゲートウェイ映像配信経路制御方法及びその映像配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
映像などの大量のデータを効率的に同報配信する方式として、IPマルチキャスト通信方式がある。しかし、現在のインターネット通信網は、サーバとクライアントが1対1で通信を行うユニキャスト通信方式の構成であり、IPマルチキャスト通信に対応していない。
【0003】
近年、インターネット通信にIPマルチキャスト通信の技術を適用したマルチキャストゲートウェイ方式と呼ばれる通信方式が実用化されつつある。この種のマルチキャストゲートウェイ方式の通信システムとして、例えば、図19に示すような映像配信システム10がある。映像配信システム10は、送信サーバ12が、1対多数の通信を行うマルチキャスト網14を介してマルチキャストゲートウェイ16(16a,16b,16c)に接続されている。さらに、マルチキャストゲートウェイ16は、1対1の通信を行うユニキャスト網18を介して受信クライアント20(20a,20b,20c,20d)に各々接続されている。このマルチキャストゲートウェイ16は、マルチキャスト形式のデータとユニキャスト形式のデータを相互変換して伝送する機能を備え、マルチキャスト通信とユニキャスト通信を中継する動作を行う。
【0004】
映像配信システム10は、以下のように動作する。送信サーバ12は、種々の映像データのパケットを、定常的にマルチキャスト網14の直近のマルチキャストルータ15aに流し続けている。そして、例えばユニキャスト網18に接続している受信クライアント20aの利用者がある映像を視聴したいとき、受信クライアント20aから、あらかじめ定められたマルチキャストゲートウェイ16aに向け、当該映像データの識別子を含む信号である受信開始要求パケットPK1を、IGMP(internet group management protocol)やその他その通信回線で決められた通信方式により送信する。受信開始要求パケットPK1は、マルチキャストゲートウェイ16aによってマルチキャスト形式の受信開始要求パケットPK2に変換され、マルチキャスト網14の直近のマルチキャストルータ15bへ、IGMPにより送信される。マルチキャストルータ15bは、送信サーバ12からの映像信号を受信したマルチキャストルータ15aへ、別方式の信号の受信開始要求パケットPK3をPIM(Protocol-Independent Multicast)により送信する。
【0005】
これを受けて、マルチキャストルータ15aは、受信開始要求パケットPK3の送信元であるマルチキャストゲートウェイ16aに向けて、当該識別子に対応した映像データの映像パケットPK4を送信する。その映像パケットPK4は、マルチキャストゲートウェイ16aによってユニキャスト形式の映像パケットPK5に変換され、ユニキャスト網18を通して受信クライアント20aに送られる。また、受信者がいない映像は、マルチキャストルータ15aにおいて、その映像パケットは廃棄される。
【0006】
また、特許文献1に開示されているように、送信ホストからIPマルチキャストデータグラムとして送信されたメッセージを、IPマルチキャスト通信をサポートしていない受信ホストが受信することを可能にした、上記映像配信システム10と類似の構成を有するインターネット上のマルチキャストゲートウェイ通信方法及びシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−242962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インターネットで映像データを配信する場合、ネットワークの混雑や通信機器の障害などによって通信品質が低下すると、それに伴って、受信クライアントで視聴した映像の品質も低下する。
【0009】
しかし、従来の映像配信システム10の場合、受信クライアント20個々に割り当てられるマルチキャストゲートウェイ16は、ユニキャスト網18の管理者(例えばインターネットプロバイダ)によって決められるため、各受信クライアント20の利用者は、他に通信品質の高い通信経路があったとしても、それを利用することができない。特許文献1のインターネット上のマルチキャストゲートウェイ通信方法及びシステムにおいても同様の問題があった。
【0010】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、受信クライアントが接続されたユニキャスト網上で配信経路の混雑や通信機器の障害などが生じても、受信クライアントが受信する映像の品質を良好に維持することが可能なマルチキャストゲートウェイ映像配信経路制御方法及びその映像配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、所望の映像データをリクエストし、当該リクエストに応じて送信された特定の映像データを受信する受信クライアントと、映像データをマルチキャスト網へ送信する送信サーバと、前記送信サーバから送られる映像データを受信するマルチキャストルータと、前記マルチキャスト網に接続されているとともに、ユニキャスト網を介して前記受信クライアントに接続され、マルチキャスト形式のデータとユニキャスト形式のデータを相互変換して伝送する複数のマルチキャストゲートウェイとを備え、特定の前記受信クライアントから所望の映像データの配信を要求する特定の受信開始要求パケットが送信されると、その特定の受信開始要求パケットは前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から適宜選択された一つを介して前記マルチキャストルータに送信され、前記送信サーバからの映像データを受信した前記マルチキャストルータは、前記特定の受信開始要求パケットを受信すると、それに該当する特定の映像データを抽出して前記マルチキャスト網を経て選択された前記一つのマルチキャストゲートウェイへ送信し、前記特定の受信クライアントは、当該1つのマルチキャストゲートウェイを経由して前記特定の映像データを受信するマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法において、前記特定の受信クライアントから前記特定の受信開始要求パケットが送信されると、前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から当該特定の受信クライアントに最も適した前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した特定のマルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定するマルチキャストゲートウェイ選択工程と、前記特定の映像データの通信中に、前記特定のマルチキャストゲートウェイを除く前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から、当該特定の受信クライアントに最も適した新マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定するマルチキャストゲートウェイ変更工程とを備えたマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法である。
【0012】
ここで、前記マルチキャストゲートウェイ選択工程は、後述する実施形態の図6、図7に示すステップS11a〜S11g,S12に相当する。
【0013】
また、前記マルチキャストゲートウェイ選択工程は、前記特定の受信クライアントが前記特定の受信開始要求パケットを送信する受信開始要求工程と、前記各受信クライアントの識別情報、前記特定の映像データの通信経路に設定する前記特定のマルチキャストゲートウェイの候補として前記各受信クライアント個々に割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイの識別情報、前記マルチキャストゲートウェイ個々に付与された優先度、及び使用の可否を示す使用状態情報が互いに対応付けて登録された転送先状態管理テーブルを参照し、前記特定の受信開始要求パケットの送信元である前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときに、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられ、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、その選択した特定のマルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定する基本選択工程と、前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときに、前記受信クライアントをグループ分けして成る受信クライアント群の識別情報、前記特定の映像データの通信経路に設定する前記特定のマルチキャストゲートウェイの候補として前記各受信クライアント群個々に割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイの識別情報、及び前記マルチキャストゲートウェイ個々に付与された優先度が互いに対応付けて登録された転送先対応データテーブルを参照し、前記特定の受信クライアントが属する前記受信クライアント群の存在が認識されたときに、認識された前記受信クライアント群に割り当てられた全ての前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を読み取り、読み取った前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を、前記転送先状態管理データテーブルの前記特定の受信クライアントの識別情報に対応付けて、かつその使用状態情報を可にして登録し、その後、前記基本選択工程と同じ工程を実行して前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択し、選択した特定のマルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定する二次選択工程と、前記転送先対応データテーブルに該当する前記受信クライアント群の存在が認識されないときに、あらかじめ初期設定された前記マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定する三次選択工程とを備えたものであってもよい。
【0014】
ここで、受信開始要求工程は、後述する実施形態の図7ステップS11aに相当する。また、基本選択工程は、同ステップS11b,S11c,S12に相当する。二次選択工程は、同ステップS11d,S11e,S11f,S11c,S12に相当する。三次選択工程は、同ステップS11g,S12に相当する。
【0015】
また、前記マルチキャストゲートウェイ変更工程は、前記特定の受信クライアントが、前記特定の映像データの受信中に前記特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する変更要求パケットを送信する配信経路変更要求工程と、前記変更要求パケットが送信されると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときに、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、かつ前記特定の映像データの通信動作を終了させる基本変更工程と、前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときに、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択し、その選択した前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続して前記特定の映像データの通信経路に設定する二次変更工程とを備えたものであってもよい。
【0016】
ここで、マルチキャストゲートウェイ変更工程は、後述する実施形態の図14ステップS21a〜S21e,S22,S23に相当するもので、そのうち、配信経路変更要求工程は、同ステップS21aに相当する。また、基本変更工程は、同ステップS21b,S21c,S21d,s22,s23に相当する。二次変更工程は、同ステップS21eに相当する。
【0017】
また、前記マルチキャストゲートウェイ変更工程は、前記特定のマルチキャストゲートウェイの前記マルチキャスト網側の一端に向け、所定のトラフィックパターンを有する基準データパケットを連続送信し、その基準データパケットを当該特定のマルチキャストゲートウェイの前記ユニキャスト網側の一端で通過後データパケットとして連続受信する品質確認データ送受信工程と、前記基準データパケットと前記通過後データパケットとが有するトラフィックパターンを互いに比較するトラフィックパターン比較工程と、前記トラフィックパターンの差が一定の基準を超えると、当該特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する変更要求パケットを送信する変更要求工程とを備え、前記変更要求パケットが送信されると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときに、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、かつ前記特定の映像データの通信動作を終了させ、前記転送先対応データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときに、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択し、その選択した前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続して前記特定の映像データの通信経路に設定するものであってもよい。
【0018】
またこの発明は、所望の映像データをリクエストし、当該リクエストに応じて送信された特定の映像データを受信する受信クライアントと、映像データをマルチキャスト網へ送信する送信サーバと、前記送信サーバから送られる映像データを受信するマルチキャストルータと、前記マルチキャスト網に接続されているとともに、ユニキャスト網を介して前記受信クライアントに接続され、マルチキャスト形式のデータとユニキャスト形式のデータを相互変換して伝送する複数のマルチキャストゲートウェイとを備え、特定の前記受信クライアントから所望の映像データの配信を要求する特定の受信開始要求パケットが送信されると、その特定の受信開始要求パケットは前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から適宜選択された一つを介して前記マルチキャストルータに送信され、前記送信サーバからの映像データを受信した前記マルチキャストルータは、前記特定の受信開始要求パケットを受信すると、それに該当する特定の映像データを抽出し前記マルチキャスト網を経て選択された前記一つのマルチキャストゲートウェイへ送信し、前記特定の受信クライアントは、当該1つのマルチキャストゲートウェイを経由して前記特定の映像データを受信するマルチキャストゲートウェイ映像配信システムにおいて、前記ユニキャスト網に接続され、前記特定の受信開始要求パケットのデータに基づいて、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択するリクエスト振り分け装置が設けられ、前記特定の受信クライアントから前記特定の受信開始要求パケットが送信されると、前記リクエスト振り分け装置は、当該特定の受信開始要求パケットを受信し、前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から当該特定の受信クライアントに最も適した前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した特定のマルチキャストゲートウェイに向けて当該特定の受信開始要求パケットを送信し、当該特定の受信開始要求パケットを受信した当該特定のマルチキャストゲートウェイは、当該特定の受信開始要求パケットを前記マルチキャストルータに送信する動作を行い、前記リクエスト振り分け装置は、前記特定の映像データの通信中に、前記特定の受信クライアントから通信経路の変更を要求する変更要求パケットを受信すると、前記特定のマルチキャストゲートウェイを除く前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から、当該特定の受信クライアントに最も適した新マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイに向けて当該変更要求パケットを送信し、当該変更要求パケットを受信した当該新マルチキャストゲートウェイは、当該変更要求パケットを前記マルチキャストルータに送信する動作を行うマルチキャストゲートウェイ映像配信システムである。
【0019】
また、前記リクエスト振り分け装置は、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択するマルチキャストゲートウェイ選択手段と、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段が選択処理を行うときに参照される情報であって、前記複数のマルチキャトゲートウェイに関する所定の情報が格納された転送先状態管理データベース及び転送先対応データベースと、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段が選択した前記特定のマルチキャストゲートウェイに向けて当該特定の受信開始要求パケットを送信する要求転送手段とを備え、前記転送先状態管理データベースには、前記各受信クライアントの識別情報と、前記特定のマルチキャストゲートウェイの候補として前記各受信クライアント個々に割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と、前記マルチキャストゲートウェイ個々に付与された優先度及び使用の可否を示す使用状態情報とが互いに対応付けて登録された転送先状態管理データデータテーブルが格納され、前記転送先対応データベースには、前記1つ以上の受信クライアントがグループ分けされた受信クライアント群ごとの識別情報と、その受信クライアント群ごとに各受信クライアントと前記送信サーバとの間を中継させるマルチキャストゲートウェイの候補として割り当てられたマルチキャストゲートウェイ群の識別情報と、前記複数のマルチキャストゲートウェイごとに付与された優先度情報とが互いに対応付けて登録された転送先対応データテーブルが格納され、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段は、前記特定の受信開始要求パケットを受信すると、前記転送先状態管理テーブルを参照し、当該特定の受信開始要求パケットの送信元である前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときは、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられ、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、前記転送先状態管理テーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときは、前記転送先対応データテーブルを参照し、前記特定の受信クライアントが属する前記受信クライアント群の存在が認識されたときは、認識された前記受信クライアントに割り当てられた全ての前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を読み取り、読み取った前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を、前記転送先状態管理テーブルの前記特定の受信クライアントの識別情報に対応付けて、かつその使用状態情報を可にして登録し、その後、前記転送先状態管理データベースを参照して、当該特定の受信開始要求パケットの送信元である前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイ群に属し、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中で、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、前記転送先対応データテーブルに該当する前記受信クライアント群の存在が認識されないときは、あらかじめ初期設定された前記マルチキャストゲートウェイを選択するものであってもよい。
【0020】
また、前記受信クライアントは、前記特定の映像データの受信中に前記特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する変更要求パケットを送信する変更要求送信手段を備え、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段は、前記特定の受信クライアントの前記変更要求送信手段から送信された特定の前記変更要求パケットを受信すると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、当該特定の受信クライアントの存在が認識されたときは、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときは、前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続的に選択するものであってもよい。
【0021】
また、前記リクエスト振り分け装置は、一端が前記マルチキャスト網を介して前記複数のマルチキャストゲートウェイに接続され、さらに、前記リクエスト振り分け装置には、前記特定の映像データ通信中の前記特定のマルチキャストゲートウェイに対し、その前記マルチキャスト網側の一端に向け、所定のトラフィックパターンを有する基準データパケットを継続的に送信する基準データ送信手段と、その基準データパケットが変換され当該特定のマルチキャストゲートウェイの前記ユニキャスト網側の一端から送信された通過後データパケットを連続受信する通過後データ受信手段と、基準データパケットと通過後データパケットとが各々有するトラフィックパターンを互いに比較して所定の演算処理を行う比較処理手段とで構成された、当該特定のマルチキャストゲートウェイの通信品質状態を確認する伝送路品質確認手段が設けられ、前記比較処理手段は、当該トラフィックパターンの差が一定の閾値を超えると、当該特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する特定の前記変更要求パケットを、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段に向けて送信し、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段は、前記特定の変更要求パケットを受信すると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、当該特定の受信クライアントの存在が認識されたときは、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときは、前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続的にするものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
この発明のマルチキャストゲートウェイ映像配信経路制御方法及びその映像配信システムは、受信クライアントから映像配信の開始要求を受けると、複数のマルチキャストゲートウェイの中から、その時点でその受信クライアントに最も適したマルチキャストゲートウェイを自動的に選択し、送信サーバとの間を中継するマルチキャストゲートウェイを適宜振り分けるので、ユニキャスト網上の配信経路の混雑などが生じにくい。
【0023】
また、ユニキャスト網上の特定の通信機器等に障害が発生して映像データの通信品質の低下が生じても、それを検知してマルチキャストゲートウェイを他のマルチキャストゲートウェイに自動的に変更することができるので、映像品質の低下を容易に回復させることが可能になる。
【0024】
さらに、映像データを通信中のマルチキャストゲートウェイに所定の品質確認データを通過させ、その通過前後のトラフィックパターンを比較し該マルチキャストゲートウェイの通信品質の良否を判定するという処理を継続的に行って、異常が生じたときは速やかに他のマルチキャストゲートウェイに変更するという動作を行うので、受信クライアントでは常に高品質な映像を視聴することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの第一の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態のリクエスト振り分け装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】受信開始要求パケットのデータ構造を説明する図である。
【図4】第一の実施形態の転送先状態管理データテーブルの構成を示す図である。
【図5】第一の実施形態の転送先対応データテーブルの構成を示す図である。
【図6】第一の実施形態の受信開始の動作を説明するシーケンスチャートである。
【図7】図6のステップS11を説明するフローチャートである。
【図8】受信開始要求パケットのデータ構造を示す図である。
【図9】受信開始要求パケットのデータ構造を示す図である。
【図10】マルチキャスト形式の映像パケットのデータ構造を示す図である。
【図11】ユニキャスト形式の映像パケットのデータ構造を示す図である。
【図12】第一の実施形態の通信経路変更の動作を説明するシーケンスチャートである。
【図13】第一の実施形態のリクエスト振り分け装置の構成と通信経路変更の動作を説明するブロック図である。
【図14】図12のステップS21を説明するフローチャートである。
【図15】第一の実施形態のマルチキャストゲートウェイ変更の動作を説明するブロック図である。
【図16】この発明のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの第二の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図17】第二の実施形態のリクエスト振り分け装置の構成を説明するブロック図である。
【図18】基準データパケットと通過後データパケットのトラフィックパターンを説明する模式図である。
【図19】従来のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの第一の実施形態と、このシステム上で行われる本発明の配信経路制御方法の第一の実施形態について、図1〜図15に基づいて説明する。なお、従来の映像配信システム10と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
【0027】
第一の実施形態の映像配信システム30は、図1に示すように、各種映像データの配信サーバ12が、1対多数の通信を行うマルチキャスト網14を介してマルチキャストゲートウェイ16(16a,16b,16c)に接続されている。そして、各マルチキャストゲートウェイ16は、1対1の通信を行うユニキャスト網18を介して受信クライアント20(20a,20b,20c,20d)と各々接続されている。さらに、各マルチキャストゲートウェイ16及び各受信クライアント20は、ユニキャスト網18を介してリクエスト振り分け装置32に接続されている。
【0028】
受信クライアント20は、所望の映像データをリクエストする受信開始要求パケットを送信することができる。また、例えば、受信中の映像の品質低下を検出したとき等に、通信経路の変更を要求する変更要求パケットを送信する変更要求送信手段42aを備えている。
【0029】
ここで、映像配信システム30が有する各装置間の情報の流れについて説明する。各装置間情報の流れは、図1の矢印のように示され、送信サーバ12は、種々の映像データのパケットを、定常的にマルチキャスト網14の直近のマルチキャストルータ15aに流し続けている。そして、例えば受信クライアント20aの利用者が、ある映像データの配信を要求する場合、受信クライアント20aは、受信開始要求パケットPK11をリクエスト振り分け装置32に向けて、IGMPやその他その通信回線で決められた通信方式により送信する。受信開始要求パケットPK11を受信したリクエスト振り分け装置32は、それを受信開始要求パケットPK12に変換し、例えばマルチキャストゲートウェイ16aに向けて、IGMPやその他その通信回線で決められた通信方式により送信する。受信開始要求パケットPK12を受信したマルチキャストゲートウェイ16aは、それを受信開始要求パケットPK13に変換して、マルチキャスト網14の直近のルータ15bに向けてIGMPにより送信する。受信開始要求パケットPK13を受信したマルチキャストルータ15bは、映像データである映像パケットPK21を送信サーバ12から受信しているマルチキャストルータ15aへ、PIMにより受信開始要求パケットPK14を送信する。
【0030】
これを受けて、マルチキャストルータ15aは、受信開始要求パケットPK14の送信元であるマルチキャストゲートウェイ16aに向けて、マルチキャスト網14を介して、当該識別子に対応した映像データの映像パケットPK21を送信する。マルチキャストルータ15aからの映像パケットPK21を受信したマルチキャストゲートウェイ16aは、それを映像パケットPK22に変換して受信開始要求パケットPK11の送信元である受信クライアント20に向けて送信する。
【0031】
送信サーバ12、マルチキャストゲートウェイ16、受信クライアント20、リクエスト振り分け装置32の各装置には、自己を識別する識別情報であるIPアドレスが付与されており、受信要求開始パケットPK11,PK12,PK13は、少なくとも送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、マルチキャストアドレスを含むデータ構造を有し、映像パケットPK21,PK22は、少なくとも送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、映像データを含むデータ構造を有している。
【0032】
例えば、受信開始要求パケットPK11は、データはユニキャスト形式で構成される。そして、送信元が受信クライアント20aであれば、図3に示すように、送信元IPアドレスは受信クライアント20aのIPアドレス、あて先IPアドレスはリクエスト振り分け装置32のIPアドレス、そして、マルチキャストアドレスは要求する映像データの識別子である。他の各パケットの具体的なデータ構成については、後の動作説明の中で説明する。
【0033】
リクエスト振り分け装置32は各機能ブロックによって表すと図2に示すように、受信開始要求パケットPK11を受信すると、送信元の受信クライアント20と送信サーバ12の間を中継する1つのマルチキャストゲートウェイ16を選択するマルチキャストゲートウェイ選択手段34を備えている。さらに、ネットワーク管理者によってあらかじめ作成された転送先対応データベース38と、転送先対応データベース38を基に自動的に登録される情報であって、マルチキャトゲートウェイ16に関する所定の情報が格納されマルチキャストゲートウェイ選択手段34が選択処理を行うときに参照する転送先状態管理データベース36とを備えている。また、マルチキャストゲートウェイ選択手段34が選択したマルチキャストゲートウェイ16に向けて受信開始要求パケットPK12を送信する要求転送手段40を備えている。
【0034】
転送先状態管理データベース36には、受信開始要求パケットPK11に含まれる送信元IPアドレスと、ユニキャスト網18に接続され受信開始要求パケットPK12の送信先とするマルチキャストゲートウェイ16との関係が登録された転送先状態管理データテーブル36aが格納されている。例えば、転送先状態管理データテーブル36aは、図4に示すように、受信開始要求パケットPK11の送信元が受信クライアント20aであれば、受信開始要求パケットPK12の送信先として、マルチキャストゲートウェイ16a,16bが候補として割り当てられている。
【0035】
さらに、このマルチキャストゲートウェイ16a,16bには、優先度と使用状態情報が各々付与されている。優先度は、マルチキャストゲートウェイ16a,16bからいずれの1つを優先的に選択するかを示す数値であり、ここでは、数値が大きいほど優先度が高い。また、使用状態情報は、受信クライアント20とマルチキャストゲートウェイ16との間における1対1通信の経路として使用を許可するときに可と登録される。一方、例えば、その通信経路に障害や混雑が生じている等の理由で使用を許可しないときは否と登録される。
【0036】
転送先対応データベース38には、受信開始要求パケットPK11上の送信元IPアドレスのIPアドレスプレフィックスと、ユニキャスト網18に接続され受信開始要求パケットPK12の送信先とするマルチキャストゲートウェイ16との関係が登録された転送先対応データテーブル38aが格納されている。例えば、転送先対応データテーブル38aは、図5に示すように、受信開始要求パケットPK11の送信元が受信クライアント20a,20bのグループで構成された受信クライアント群1であれば、受信開始要求パケットPK12の送信先として、マルチキャストゲートウェイ16a,16bが候補として割り当てられている。
【0037】
さらに、このマルチキャストゲートウェイ16a,16bには、優先度が各々付与されている。優先度は、マルチキャストゲートウェイ16a,16bからいずれの1つを優先的に選択するかを示す数値であり、上記の転送先状態管理データテーブル36aで付与された優先度と同じの尺度で設定されている。
【0038】
リクエスト振り分け装置32を構成する各機能ブロックの詳細な機能については、後の動作説明の中で述べる。
【0039】
次に、受信クライアント20aから映像データの配信要求があり、該当する映像データがマルチキャストルータ15aから送信され、受信クライアント20aが受信するまでの映像配信システム30の一連の動作について、図6のシーケンスチャートに基づいて説明する。
【0040】
まず、受信クライアント20aがリクエスト振り分け装置32に向けて受信開始要求パケットPK11を送信する(ステップS10)。受信開始要求パケットPK11のデータ構成は、図3に示した通りである。受信開始要求パケットPK11を受信したリクエスト振り分け装置32は、所定の選択処理を行ってマルチキャストゲートウェイ16aを選択する(ステップS11)。リクエスト振り分け装置32は、選択したマルチキャストゲートウェイ16aに向けて受信開始要求パケットPK12を送信する(ステップS12)。
【0041】
ここで、ステップS11,S12を、図7に基づいて詳細に説明する。マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、受信開始要求パケットPK11の送信元IPアドレスを認識する(ステップS11a)。ここでは、受信クライアント20aのIPアドレスが認識される。
【0042】
マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、図4に示す転送先状態管理データテーブル36aを参照し、送信元IPアドレス欄に受信クライアント20aのIPアドレスがあるか否かを確認する(ステップS11b)。受信クライアント20aのIPアドレスがあると認識される場合はステップS11cに進む。受信クライアント20aのIPアドレスがなければ、ステップS11dに進む。
【0043】
送信元IPアドレス欄に受信クライアント20aのIPアドレスがある場合、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、受信クライアント20aのIPアドレスに割り当てられ、かつ使用状態が可と登録されたマルチキャストゲートウェイ16a,16bのIPアドレスの中から、最も高い優先度100が付与されたマルチキャストゲートウェイ16aのIPアドレスを選択する。そして、次はステップ12に進む(ステップS11c)。
【0044】
一方、送信元IPアドレス欄に受信クライアント20aのIPアドレスがないとき、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、図5に示す転送先対応データテーブル38aを参照し、送信元IPアドレスプレフィックス欄に受信クライアント20aが属するIPアドレスプレフィックスが存在するか否かを確認する(ステップS11d)。受信クライアント20aが属するIPアドレスプレフィックスがあると認識される場合、ステップS11eに進む。また受信クライアント20aが属するIPアドレスプレフィックスがない場合、ステップS11gに進む。
【0045】
送信元IPアドレスプレフィックス欄に受信クライアント20aが属するIPアドレスプレフィックスがある場合、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、受信クライアント20aが属するIPアドレスプレフィックスに割り当てられた全てのマルチキャストゲートウェイ16a,16bのIPアドレスと優先度を読み取る(ステップS11e)。そして、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、読み取ったマルチキャストゲートウェイ16a,16bのIPアドレスと優先度を、転送先状態管理データテーブル36aの受信クライアント20aのIPアドレスに対応付けて、かつその使用状態情報を可にして登録する(ステップS11f)。次に、上記のステップS11cを行って受信開始要求パケットPK11の転送先を選択する。
【0046】
送信元IPアドレスプレフィックス欄に受信クライアント20aが属するIPアドレスプレフィックスがない場合は、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、あらかじめ初期設定された前記マルチキャストゲートウェイを受信開始要求パケットPK11の転送先として選択する(ステップS11g)。
【0047】
次に、ステップS12において要求転送手段40が、選択されたマルチキャストゲートウェイ16aに向けて受信開始要求パケットPK12を送信する。このときの受信開始要求パケットPK12のデータはユニキャスト形式で構成され、図8に示すように、送信元IPアドレスは受信クライアント20aのIPアドレス、あて先IPアドレスはマルチキャストゲートウェイ16aのIPアドレス、そして、マルチキャストアドレスは要求する映像データの識別子である。
【0048】
さらに、受信開始要求パケットPK12を受信したマルチキャストゲートウェイ16aは、図1、図6に示すように、送信サーバ12から映像データが送信されているマルチキャスト網14の直近のルータ15aに向けて、受信開始要求パケットPK13を送信する(ステップS13)。
【0049】
受信開始要求パケットPK13のデータはマルチキャスト形式で構成され、図9に示すように、送信元IPアドレスはマルチキャストゲートウェイ16aのIPアドレス、あて先IPアドレスは所定のマルチキャストアドレス、そして、マルチキャストアドレスは要求する映像データの識別子である。
【0050】
受信開始要求パケットPK13を受信したマルチキャストルータ15aは、当該識別子に該当する映像データを抽出し、マルチキャスト網14において、受信クライアント20a側のマルチキャストルータ15bに向けて送信する。マルチキャストルータ15bは、受信した映像パケットPK21をマルチキャストゲートウェイ16aに向けて送信する(ステップS14)。このときの映像パケットPK21のデータは、マルチキャスト形式で構成され、図10に示すように、送信元IPアドレスは送信サーバ12のIPアドレス、あて先IPアドレスは要求されたマルチキャストアドレス、そして、映像データが添付される。
【0051】
映像パケットPK21を受信したマルチキャストゲートウェイ16aは、受信開始要求パケットPK11の送信元である受信クライアント20aに向けて、映像パケットPK22を送信する(ステップS15)。このときの映像パケットPK22のデータはユニキャスト形式で構成され、図11に示すように、送信元IPアドレスは送信サーバ12のIPアドレス、あて先IPアドレスは受信クライアント20aのIPアドレス、そして、映像データが添付される。
【0052】
このように、映像配信システム30は、受信クライアント20aから映像データの配信要求があると、ステップS10〜S15の動作を行うことによって受信クライアント20aに所望の映像データを配信する。
【0053】
その後、受信クライアント20aが映像データの受信を終了したいときは、受信クライアント20aはリクエスト振り分け装置32に向けて受信の終了を要求する受信終了要求パケットを送信し、リクエスト振り分け装置32及びマルチキャストゲートウェイ16aにおいて受信開始の場合と同様の処理が行われ、マルチキャストルータ15aから受信クライアント20aへの映像配信の動作を終了させる。
【0054】
次に、映像配信システム30において、映像データ通信中のマルチキャストゲートウェイ16による通信経路を他のマルチキャストゲートウェイ16による通信経路に変更する動作を説明する。例えば、受信クライアント20aがマルチキャストゲートウェイ16aを経由して映像データを受信しているとき、受信クライアント20aの映像再生アプリケーションによる受信中の再生エラーにより映像品質の低下を検出したとする。すると、受信クライアント20aの変更要求パケット送信手段42aから、現行マルチキャストゲートウェイ16aによる通信経路の変更を要求する変更要求パケットPK31が送信される。以下、変更要求パケットPK31が送信され、新マルチキャストゲートウェイ16bの通信経路に変更されるまでの映像配信システム30の一連の動作について、図12のシーケンスチャートに基づいて説明する。
【0055】
上述したステップS14,S15によって受信クライアント20aが映像データを受信しているとき、図13に示すように、変更要求送信手段42aがリクエスト振り分け装置32に向けて変更要求パケットPK31を送信する(ステップS20)。変更要求パケットPK31を受信したリクエスト振り分け装置32は、所定の選択処理を行って、現行マルチキャストゲートウェイ16aに代わる新マルチキャストウェイ16bを選択する(ステップS21)。
【0056】
以下、上記ステップS21の詳細を、図14に基づいて説明する。マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、変更要求パケットPK31の送信元IPアドレスを認識する(ステップS21a)。ここでは、受信クライアント20aのIPアドレスが認識される。マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、図4に示す転送先状態管理データテーブル36aを参照し、送信元IPアドレス欄に受信クライアント20aのIPアドレスがあるか否かを確認する(ステップS21b)。ここでは、受信クライアント20aのIPアドレスがあると認識されるので、ステップS21cに進む。受信クライアント20aのIPアドレスがなければ、ステップS21eに進む。
【0057】
送信元IPアドレス欄に受信クライアント20aのIPアドレスがある場合、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、受信クライアント20aのIPアドレスに割り当てられた現行のマルチキャストゲートウェイ16a以外で、かつ使用状態が可と登録されたマルチキャストゲートウェイのIPアドレスの中から、最も高い優先度である50が付与されたマルチキャストゲートウェイ16bのIPアドレスを選択する(ステップS21c)。さらに、マルチキャストゲートウェイ選択手段34は、現行のマルチキャストゲートウェイ16aの使用状態を否に変更登録し、次に受信クライアント20aから受信開始要求パケットを受信しても、マルチキャストゲートウェイ16aが選択されないようにする(ステップS21d)。
【0058】
送信元IPアドレス欄に受信クライアント20aが属するIPアドレスがない場合、現行のマルチキャストゲートウェイ16aの選択を継続する(ステップS21e)。すなわち、変更要求パケットPK31を無視し、通信経路を変更しようとする動作が終了する。
【0059】
要求転送手段40は、図12、図13に示すように、現行のマルチキャストゲートウェイ16aに向けて、受信クライアント20aによる受信の終了を要求する受信終了要求パケットPK32を送信し、さらにマルチキャストゲートウェイ16aは、マルチキャスト網14に向けて受信終了要求パケットPK32を送信する(ステップS22)。これにより、マルチキャスト網14のマルチキャストルータ15aは、現行のマルチキャストゲートウェイ16aへの映像データの送信を停止し、マルチキャストゲートウェイ16aは動作を終了する。同時に、要求転送手段40は、ステップ21cで選択した新マルチキャストゲートウェイ16bに向けて、受信クライアント20aによる受信の開始を要求する受信開始要求パケットPK33を送信する。すると、新マルチキャストゲートウェイ16bが動作を開始する(ステップS23)。
【0060】
受信開始要求パケットPK33を受信したマルチキャストゲートウェイ16bは、図12、図15に示すように、マルチキャスト網14に向けて受信開始要求パケットPK34を送信する(ステップS24)。受信開始要求パケットPK34を受信したマルチキャスト網14の映像データを有するマルチキャストルータ15は、当該識別子に該当する映像データを抽出し、マルチキャストゲートウェイ16bに向けて映像パケットPK35を送信する(ステップS25)。映像パケットPK35に添付されている映像データは、変更前のマルチキャストゲートウェイ16aに向けて送信していた映像パケットPK21の映像データと同じである。
【0061】
映像パケットPK35を受信したマルチキャストゲートウェイ16bは、変更要求パケットPK31の送信元である受信クライアント20aに向けて、映像パケットPK36を送信する(ステップS26)。このように、映像配信システム30は、受信クライアント20aが有する変更要求パケット送信手段42aから、現行マルチキャストゲートウェイ16aによる通信経路の変更要求があると、ステップS21〜S26の動作を行うことによって新マルチキャストゲートウェイ16bによる通信経路に変更し、現行と同一内容の映像データを受信クライアント20aに送信する。
【0062】
以上説明したように、この実施形態の映像配信システム30は、受信クライアント20aから映像配信の開始要求を受けると、複数のマルチキャストゲートウェイ16の中から、その時点でその受信クライアント20aに最も適したマルチキャストゲートウェイ16aを自動的に選択し、その選択したマルチキャストゲートウェイ16aを送信サーバ12との間を中継する通信経路に設定するため、複数のマルチキャストゲートウェイ16の負荷が分散され、ユニキャスト網18上の配信経路の混雑などが生じにくい。
【0063】
また、ユニキャスト網上の特定の通信機器等に障害が発生して映像データの通信品質の低下が生じても、それを検知してマルチキャストゲートウェイを他のマルチキャストゲートウェイに自動的に変更することができるので、映像品質の低下を容易に回復させることが可能になる。
【0064】
次に、本発明のマルチキャストゲートウェイ映像配信システム及びこのシステム上で行われる配信経路制御方法の第二の実施形態について、図16〜図18に基づいて説明する。なお、上述した映像配信システム10,30と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。
【0065】
第二の実施形態の映像配信システム50は、図16に示すように、各種映像データの配信サーバ12が、1対多数の通信を行うマルチキャスト網14を介してマルチキャストゲートウェイ16(16a,16b,16c)に接続されている。さらに、各マルチキャストゲートウェイ16は、1対1の通信を行うユニキャスト網18を介して受信クライアント20(20a,20b,20c,20d)と各々接続されている。さらに、送信サーバ12及び各マルチキャストゲートウェイ16は、マルチキャスト網14を介してリクエスト振り分け装置52に接続され、各マルチキャストゲートウェイ16及び各受信クライアント20は、ユニキャスト網18を介してリクエスト振り分け装置52に接続されている。
【0066】
リクエスト振り分け装置52は、図17に示すように、上述したリクエスト振り分け装置30の構成に加え、マルチキャストゲートウェイ16の通信品質状態を確認する伝送品質確認手段54が設けられている。伝送品質確認手段54は、映像データ通信中の特定のマルチキャストゲートウェイ16のマルチキャスト網14側の一端に向け、所定のトラフィックパターンを有する基準データパケットHCS1を継続的に送信する基準データ送信手段56を備えている。また、その基準データパケットHCS1が変換されて当該特定のマルチキャストゲートウェイ16のユニキャスト網18側の一端から送信される通過後データパケットHCS2を連続受信する通過後データ受信手段58を備えている。さらに、基準データパケットHCS1と通過後データパケットHCS2のトラフィックパターンを比較して所定の演算処理を行い、処理結果をマルチキャストゲートウェイ選択手段34に向けて送信する比較処理手段60を備えている。なお、通過後データ受信手段58と比較処理手段60は、受信クライアント20側に持たせても良い。
【0067】
次に、映像配信システム50において、映像データ通信中のマルチキャストゲートウェイ16による通信経路を他のマルチキャストゲートウェイ16に変更するまでの一連の動作(マルチキャストゲートウエイ変更工程)を説明する。
【0068】
まず、品質確認データ送受信工程において、受信クライアント20aが映像データパケットPK22を受信しているとき、基準データ送信手段56は、マルチキャストゲートウェイ16aのマルチキャスト網14側の一端に向けて、基準データパケットHCS1を継続的に送信する。基準データパケットHCS1は、図18に示すように、n個のデータパケットが所定の時間間隔を空けて配列されて成るトラフィックパターンを有しており、そのトラフィックパターンの状態は、例えば、バースト時のパケット間隔A1、バースト間のパケット間隔B1、パケットサイズC1、バースト間のパケット数D1、全パケット数E1などの数値で表すことができる。
【0069】
次に、通過後データ受信手段58は、基準データパケットHCS1が変換された通過後データパケットHCS2を、マルチキャストゲートウェイ16aのユニキャスト網18側の一端から連続受信する。通過後データパケットHCS2のトラフィックパターンは、図18に示すように、バースト時のパケット間隔A2、バースト間のパケット間隔B2、パケットサイズC2、バースト間のパケット数D2、全パケット数E2と表される。
【0070】
そして、トラフィックパターン比較工程において、比較処理手段60は、基準データパケットHCS1と通過後データパケットHCS2とのトラフィックパターンを互いに比較する。
【0071】
ここで、2つのトラフィックパターンは差がないことが理想であるが、図18の場合は、バースト時のパケット間隔A2はA1より広くなり、バースト間のパケット間隔B2はB1より狭くなり、バースト間のパケット数D2はD1より1つ少なくなり、全パケット数E2はE1より2つ少なくなった、という差が検出される。すなわち、比較処理手段60は、基準データパケットHCS1はマルチキャストゲートウェイ16aを通過するとデータの状態が変化するので、検出された差の分だけ、マルチキャストゲートウェイ16aの通信品質が低下したもの認識する。そして、検出された差が一定の基準値を超えたか否かを判定する。上記の数値を単純比較してもよいが、例えば、バースト時のパケット間隔Aの差の絶対値をn個のパケットについて求め、各絶対値の平均値を所定の基準値(例えば10ミリ秒)と比較するなどの統計的な処理を行って判定してもよい。検出された差が基準値を超えたときは、マルチキャストゲートウェイ16aが許容限度の通信品質を維持できないと判定し、マルチキャストゲートウェイ16aによる通信経路の変更を要求する変更要求パケットPK40を、マルチキャストゲートウェイ選択手段34に送信する。
【0072】
変更要求パケットPK40を受信したリクエスト振り分け装置52は変更要求工程において、所定の選択処理を行って、現行マルチキャストゲートウェイ16aに代わる新マルチキャストウェイ16bを選択する。この選択処理を含め、以降は上述した映像配信システム30におけるステップ21〜S26と同様の動作を行うので、説明を省略する。
【0073】
このように、映像配信システム50は、伝送路品質確認手段54によって通信中のマルチキャストゲートウェイ16aの通信品質を継続的に評価確認し、一定以上の通信品質の低下が検出されると、上記ステップS21〜S26の動作を行うことによって現行のマルチキャストゲートウェイ16aから新マルチキャストゲートウェイ16bの通信経路に変更して、現行と同一内容の映像データを受信クライアント20aに送信する。
【0074】
この実施形態の映像配信システム50は、上記実施形態と同様の効果に加えて、通信品質の低下を継続的に評価確認するため、映像データを通信中のマルチキャストゲートウェイ16aに基準データパケットHCS1を通過させ、その通過前後のトラフィックパターンを比較して通信品質の良否を判定するという構成にすれば、現行のマルチキャストゲート16aに異常が生じたときでも速やかに他のマルチキャストゲートウェイ16bに変更するという動作が行われ、受信クライアント20aでは常に高品質な映像を視聴することができる。
【0075】
なお、この発明のマルチキャストゲートウェイ映像配信システム及び配信経路制御方法は、上記実施形態に限定されるものではない。リクエスト振り分け装置は、複数のマルチキャストゲートウェイの中から複数の受信クライアントごとに最適なマルチキャストゲートウェイを選択する仕組みを有し、例えば、あらかじめ2つのデータシートに設定した優先度、受信クライアントとマルチキャストゲートウェイのネットワーク的な近さ、あるいは、マルチキャストゲートウェイが接続している通信経路の通信速度など、様々な判断基準に基づいてマルチキャストゲートウェイを選択することができる。
【0076】
また、リクエスト振り分け装置は、上述したような変更要求送信手段や比較処理手段から送信された通信品質の低下に基づく変更要求に限らず、各装置が何らかのきっかけによって任意のタイミングで送信した変更要求に基づいて、通信中のマルチキャストゲートウェイの変更を行うことができる。例えば、リクエスト振り分け装置から各装置に対して定期的にポーリングを実行し、取得した情報と所定の基準値との比較結果を変更要求のきっかけとすることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
10,30,50 映像配信システム
12 送信サーバ
14 マルチキャスト網
15,15a,15b マルチキャストルータ
16 マルチキャストゲートウェイ
18 ユニキャスト網
20 受信クライアント
32,52 リクエスト振り分け装置
34 マルチキャストゲートウェイ選択手段
36 転送先状態管理データベース
36a 転送先状態管理データテーブル
38 転送先対応データベース
38a 転送先対応データテーブル
40 要求転送手段
54 伝送路品質確認手段
56 基準データ送信手段
58 通過後データ受信手段
60 比較処理手段
PK1,PK2,PK3,PK11,PK12,PK13,PK14,PK33,PK34 受信要求開始パケット
HCS1 基準データパケット
HCS2 通過後データパケット
PK3,PK4,PK21,PK22,PK35,PK36 映像パケット
PK31 変更要求パケット
PK32 受信終了要求パケット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の映像データをリクエストし、当該リクエストに応じて送信された特定の映像データを受信する受信クライアントと、
映像データをマルチキャスト網へ送信する送信サーバと、
前記送信サーバから送られる映像データを受信するマルチキャストルータと、
前記マルチキャスト網に接続されているとともに、ユニキャスト網を介して前記受信クライアントに接続され、マルチキャスト形式のデータとユニキャスト形式のデータを相互変換して伝送する複数のマルチキャストゲートウェイとを備え、
特定の前記受信クライアントから所望の映像データの配信を要求する特定の受信開始要求パケットが送信されると、その特定の受信開始要求パケットは前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から適宜選択された一つを介して前記マルチキャストルータに送信され、
前記送信サーバからの映像データを受信した前記マルチキャストルータは、前記特定の受信開始要求パケットを受信すると、それに該当する特定の映像データを抽出して前記マルチキャスト網を経て選択された前記一つのマルチキャストゲートウェイへ送信し、
前記特定の受信クライアントは、当該1つのマルチキャストゲートウェイを経由して前記特定の映像データを受信するマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法において、
前記特定の受信クライアントから前記特定の受信開始要求パケットが送信されると、前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から当該特定の受信クライアントに最も適した前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した特定のマルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定するマルチキャストゲートウェイ選択工程と、
前記特定の映像データの通信中に、前記特定のマルチキャストゲートウェイを除く前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から、当該特定の受信クライアントに最も適した新マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定するマルチキャストゲートウェイ変更工程とを備えたことを特徴とするマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法。
【請求項2】
前記マルチキャストゲートウェイ選択工程は、
前記特定の受信クライアントが前記特定の受信開始要求パケットを送信する受信開始要求工程と、
前記各受信クライアントの識別情報、前記特定の映像データの通信経路に設定する前記特定のマルチキャストゲートウェイの候補として前記各受信クライアント個々に割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイの識別情報、前記マルチキャストゲートウェイ個々に付与された優先度、及び使用の可否を示す使用状態情報が互いに対応付けて登録された転送先状態管理テーブルを参照し、
前記特定の受信開始要求パケットの送信元である前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときに、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられ、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、その選択した特定のマルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定する基本選択工程と、
前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときに、前記受信クライアントをグループ分けして成る受信クライアント群の識別情報、前記特定の映像データの通信経路に設定する前記特定のマルチキャストゲートウェイの候補として前記各受信クライアント群個々に割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイの識別情報、及び前記マルチキャストゲートウェイ個々に付与された優先度が互いに対応付けて登録された転送先対応データテーブルを参照し、
前記特定の受信クライアントが属する前記受信クライアント群の存在が認識されたときに、認識された前記受信クライアント群に割り当てられた全ての前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を読み取り、
読み取った前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を、前記転送先状態管理データテーブルの前記特定の受信クライアントの識別情報に対応付けて、かつその使用状態情報を可にして登録し、その後、前記基本選択工程と同じ工程を実行して前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択し、選択した特定のマルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定する二次選択工程と、
前記転送先対応データテーブルに該当する前記受信クライアント群の存在が認識されないときに、あらかじめ初期設定された前記マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定する三次選択工程と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法。
【請求項3】
前記マルチキャストゲートウェイ変更工程は、
前記特定の受信クライアントが、前記特定の映像データの受信中に前記特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する変更要求パケットを送信する配信経路変更要求工程と、
前記変更要求パケットが送信されると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、
前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときに、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、かつ前記特定の映像データの通信動作を終了させる基本変更工程と、
前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときに、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択し、その選択した前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続して前記特定の映像データの通信経路に設定する二次変更工程とを備えたことを特徴とする請求項2記載のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法。
【請求項4】
前記マルチキャストゲートウェイ変更工程は、
前記特定のマルチキャストゲートウェイの前記マルチキャスト網側の一端に向け、所定のトラフィックパターンを有する基準データパケットを連続送信し、その基準データパケットを当該特定のマルチキャストゲートウェイの前記ユニキャスト網側の一端で通過後データパケットとして連続受信する品質確認データ送受信工程と、
前記基準データパケットと前記通過後データパケットとが有するトラフィックパターンを互いに比較するトラフィックパターン比較工程と、
前記トラフィックパターンの差が一定の基準を超えると、当該特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する変更要求パケットを送信する変更要求工程とを備え、
前記変更要求パケットが送信されると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、
前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときに、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイを前記特定の映像データの通信経路に設定すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、かつ前記特定の映像データの通信動作を終了させ、
前記転送先対応データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときに、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択し、その選択した前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続して前記特定の映像データの通信経路に設定することを特徴とする請求項2記載のマルチキャストゲートウェイ映像配信システムの配信経路制御方法。
【請求項5】
所望の映像データをリクエストし、当該リクエストに応じて送信された特定の映像データを受信する受信クライアントと、
映像データをマルチキャスト網へ送信する送信サーバと、
前記送信サーバから送られる映像データを受信するマルチキャストルータと、
前記マルチキャスト網に接続されているとともに、ユニキャスト網を介して前記受信クライアントに接続され、マルチキャスト形式のデータとユニキャスト形式のデータを相互変換して伝送する複数のマルチキャストゲートウェイとを備え、
特定の前記受信クライアントから所望の映像データの配信を要求する特定の受信開始要求パケットが送信されると、その特定の受信開始要求パケットは前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から適宜選択された一つを介して前記マルチキャストルータに送信され、
前記送信サーバからの映像データを受信した前記マルチキャストルータは、前記特定の受信開始要求パケットを受信すると、それに該当する特定の映像データを抽出し前記マルチキャスト網を経て選択された前記一つのマルチキャストゲートウェイへ送信し、
前記特定の受信クライアントは、当該1つのマルチキャストゲートウェイを経由して前記特定の映像データを受信するマルチキャストゲートウェイ映像配信システムにおいて、
前記ユニキャスト網に接続され、前記特定の受信開始要求パケットのデータに基づいて、前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択するリクエスト振り分け装置が設けられ、
前記特定の受信クライアントから前記特定の受信開始要求パケットが送信されると、前記リクエスト振り分け装置は、当該特定の受信開始要求パケットを受信し、前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から当該特定の受信クライアントに最も適した前記マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した特定のマルチキャストゲートウェイに向けて当該特定の受信開始要求パケットを送信し、
当該特定の受信開始要求パケットを受信した当該特定のマルチキャストゲートウェイは、当該特定の受信開始要求パケットを前記マルチキャストルータに送信する動作を行い、
前記リクエスト振り分け装置は、前記特定の映像データの通信中に、前記特定の受信クライアントから通信経路の変更を要求する変更要求パケットを受信すると、前記特定のマルチキャストゲートウェイを除く前記複数のマルチキャストゲートウェイの中から、当該特定の受信クライアントに最も適した新マルチキャストゲートウェイを選択し、選択した新マルチキャストゲートウェイに向けて当該変更要求パケットを送信し、
当該変更要求パケットを受信した当該新マルチキャストゲートウェイは、当該変更要求パケットを前記マルチキャストルータに送信する動作を行うことを特徴とするマルチキャストゲートウェイ映像配信システム。
【請求項6】
前記リクエスト振り分け装置は、
前記特定のマルチキャストゲートウェイを選択するマルチキャストゲートウェイ選択手段と、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段が選択処理を行うときに参照される情報であって、前記複数のマルチキャトゲートウェイに関する所定の情報が格納された転送先状態管理データベース及び転送先対応データベースと、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段が選択した前記特定のマルチキャストゲートウェイに向けて当該特定の受信開始要求パケットを送信する要求転送手段とを備え、
前記転送先状態管理データベースには、前記各受信クライアントの識別情報と、前記特定のマルチキャストゲートウェイの候補として前記各受信クライアント個々に割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と、前記マルチキャストゲートウェイ個々に付与された優先度及び使用の可否を示す使用状態情報とが互いに対応付けて登録された転送先状態管理データデータテーブルが格納され、
前記転送先対応データベースには、前記1つ以上の受信クライアントがグループ分けされた受信クライアント群ごとの識別情報と、その受信クライアント群ごとに各受信クライアントと前記送信サーバとの間を中継させるマルチキャストゲートウェイの候補として割り当てられたマルチキャストゲートウェイ群の識別情報と、前記複数のマルチキャストゲートウェイごとに付与された優先度情報とが互いに対応付けて登録された転送先対応データテーブルが格納され、
前記マルチキャストゲートウェイ選択手段は、
前記特定の受信開始要求パケットを受信すると、前記転送先状態管理テーブルを参照し、
当該特定の受信開始要求パケットの送信元である前記特定の受信クライアントの存在が認識されたときは、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられ、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、
前記転送先状態管理テーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときは、前記転送先対応データテーブルを参照し、
前記特定の受信クライアントが属する前記受信クライアント群の存在が認識されたときは、認識された前記受信クライアントに割り当てられた全ての前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を読み取り、
読み取った前記マルチキャストゲートウェイの識別情報と優先度を、前記転送先状態管理テーブルの前記特定の受信クライアントの識別情報に対応付けて、かつその使用状態情報を可にして登録し、その後、前記転送先状態管理データベースを参照して、当該特定の受信開始要求パケットの送信元である前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記マルチキャストゲートウェイ群に属し、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中で、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択し、
前記転送先対応データテーブルに該当する前記受信クライアント群の存在が認識されないときは、あらかじめ初期設定された前記マルチキャストゲートウェイを選択することを特徴とする請求項5記載のマルチキャストゲートウェイ映像配信システム。
【請求項7】
前記受信クライアントは、前記特定の映像データの受信中に前記特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する変更要求パケットを送信する変更要求送信手段を備え、
前記マルチキャストゲートウェイ選択手段は、
前記特定の受信クライアントの前記変更要求送信手段から送信された特定の前記変更要求パケットを受信すると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、
当該特定の受信クライアントの存在が認識されたときは、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、
前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときは、前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続的に選択することを特徴とする請求項6記載のマルチキャストゲートウェイ映像配信システム。
【請求項8】
前記リクエスト振り分け装置は、一端が前記マルチキャスト網を介して前記複数のマルチキャストゲートウェイに接続され、
前記リクエスト振り分け装置には、前記特定の映像データ通信中の前記特定のマルチキャストゲートウェイに対し、その前記マルチキャスト網側の一端に向け、所定のトラフィックパターンを有する基準データパケットを継続的に送信する基準データ送信手段と、その基準データパケットが変換され当該特定のマルチキャストゲートウェイの前記ユニキャスト網側の一端から送信された通過後データパケットを連続受信する通過後データ受信手段と、基準データパケットと通過後データパケットとが各々有するトラフィックパターンを互いに比較して所定の演算処理を行う比較処理手段とで構成された、当該特定のマルチキャストゲートウェイの通信品質状態を確認する伝送路品質確認手段が設けられ、
前記比較処理手段は、当該トラフィックパターンの差が一定の基準を超えると、当該特定のマルチキャストゲートウェイの変更を要求する特定の前記変更要求パケットを、前記マルチキャストゲートウェイ選択手段に向けて送信し、
前記マルチキャストゲートウェイ選択手段は、前記特定の変更要求パケットを受信すると、前記転送先状態管理データテーブルを参照し、当該特定の受信クライアントの存在が認識されたときは、認識された前記特定の受信クライアントに割り当てられた前記特定のマルチキャストゲートウェイ以外の前記マルチキャストゲートウェイで、かつ使用の状態情報が可と登録された前記マルチキャストゲートウェイの中から、最も高い優先度が付与された前記マルチキャストゲートウェイを選択すると共に、前記特定のマルチキャストゲートウェイの使用の状態情報を否に変更登録し、
前記転送先状態管理データテーブルに前記特定の受信クライアントの存在が認識されないときは、前記特定のマルチキャストゲートウェイを継続的にすることを特徴とする請求項6記載のマルチキャストゲートウェイ映像配信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−199857(P2010−199857A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41145(P2009−41145)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)地域情報通信技術振興型研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(500309920)株式会社インテックシステム研究所 (22)
【Fターム(参考)】