説明

マルチポート増幅器の調整

本発明は、マルチポート増幅器(MPA)に試験信号を与えるための方法および装置、ならびにMPAのパラメータ調整を求めるための方法、装置およびシステムを提供する。MPAに試験信号を与えるステップが、MPAのパラメータ調整を示す出力信号をもたらすように遂行され、マルチポート増幅装置が、入力回路網、増幅部、および出力回路網を備え、上記方法は、入力回路網の出力と増幅部の入力との間のマルチポート増幅装置内の位置に試験信号を直接供給するステップを含む。マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める方法は、マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取るステップを含み、第1の出力信号がマルチポート増幅装置を通る第1の信号経路に対応し、上記方法は、第2の出力信号がマルチポート増幅装置を通る第2の信号経路に対応するステップと、第1および第2の出力信号に基づいてパラメータ調整を求めるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチポート増幅器(MPA)の調整に関し、特に、しかし排他的でなく、衛星ベースのMPAに試験信号を与えるための方法および装置ならびにMPAのゲイン特性および位相特性のアライメント用の調整を求める方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
MPAは、衛星通信などの通信に使用される周知の電力増幅器デバイスである。MPAは、一般に、例えば周波数が1.5GHzから2.6GHzの範囲のLバンドおよびSバンド、ならびに周波数が12GHzから20GHzのKuバンドおよびKaバンドなどといった1GHzを上回るマイクロ波周波数で動作する。
【0003】
MPAは、例えば進行波管(TWT)またはソリッドステート増幅器といった、それぞれが電力Pを有する並列に配置されたN個の類似の増幅部を含み、その結果、各入力信号がそれぞれの増幅器によって増幅される。N個の入力ポートおよびN個の出力ポートが設けられ、その結果、1つの入力ポート上の入力信号が、対応する出力ポートへルーティングされる。入力ポートは、例えばマイクロストリップ、ストリップライン、同軸ケーブル、導波管といった環境に対して適切な任意の好都合な伝送路技術で実施され得る低電力入力回路網(INET)によって増幅部に接続される。出力ポートは、一般に低損失伝送路技術を用いて実施される大電力出力回路網(ONET)によって増幅部に接続される。
【0004】
ONETは数学的にはINETの交互交換(reciprocal)であり、その結果、n番目の入力に与えられる信号は、n番目の出力に向けられる。各回路網は、導波路デバイスを分割する信号の配列を備える。バトラーマトリクスすなわちハイブリッドデバイスのみを備える回路網は、好都合なゲイン特性および位相シフト特性を有するので、信号分配にはこのような装置が一般に使用される。ハイブリッドの1つのタイプに、選択的な90°の位相シフトを有する2つの入力および2つの出力を含む、4つのポートの信号分割デバイスがあり、この位相差は、回路網の分離特性を改善するために利用することができる。しかし、180°の位相差を有し得る他のハイブリッドおよび他の信号分割デバイスが使用されてよい。
【0005】
例えばKuバンドおよび/またはKaバンドの周波数で動作するように配置されるMPAの設備では、関係する周波数(Kuバンドの12GHz、Kaバンドの20GHz)における増幅器と他のユニット間の位相および振幅のトラッキングの問題が生じる可能性がある。MPAの構成要素の性能が長時間にわたって安定していれば、マルチポート増幅器を地上で調整することができ、その性能が衛星の寿命を通じて一定のままであると予期され得る。しかし、いくつかの構成要素が安定していると予期される一方で、大電力増幅器の安定性に関してかなりの不確かさがある。性能における日変化は再較正なしで管理できると期待されるが、増幅器性能の長期ドリフト(十分には定量化されない)を補償し、例えば衛星寿命を通じてスイッチングの冗長性により引き起こされる1つまたは複数の進行波管増幅器の故障の場合には、MPAのゲインおよび位相の整合における平衡失調を補正するために衛星寿命を通じて何らかの調整が必要とされることになる。
【0006】
この不確実性を考慮して、軌道においてMPAを較正する手段を用意することが周到である。較正システムの目的は、衛星寿命を通じて1つのMPA内の諸増幅器の性能差におけるいかなる変化も補償することである。増幅器のそれぞれの性能が十分に整合しない場合、MPAのポート間の分離が不完全になり、結果として、MPAによって処理された信号間の干渉が生じることになる。
【0007】
搭載されているものによる試験信号の生成および監視に基づいたMPA較正技術がいくつか存在する。一般に、試験信号が、MPAのINETの入力に注入され、MPAのONETの出力で監視される。出力信号の測定された特性は、MPAの出力における好ましくない信号レベルを最小限にするのに必要なゲインと位相の調整の推定をもたらすのに用いられる。ゲインおよび位相の調整は、進行波管増幅器(TWTA)への入力に配置された可調整のゲインシフタおよび位相シフタによって達成される。
【0008】
一般に、試験信号生成器および試験信号測定器といった2つのタイプの搭載された機器が必要である。各タイプの機器の詳細設計は、選択されたMPA較正方法によって決定されることになる。ゲインおよび位相の調整値の推定は、十中ハ九、オンボードで行われて標準的な遠隔測定リンクによって地上へ通信された測定の結果に基づいて地上で遂行されることになる。システムは、通常、MPAのINETの入力ポートのうちの1つに注入される1つの試験信号(トーン)を用いる。すべてのMPAの入力は、試験信号を各入力へ交代で向けるように、スイッチを使用して順に与えられる。
【0009】
測定は、一般に、MPAのONETの出力ポートに現われる対応する信号に対して遂行される。測定は、各MPAの出力から測定器へ試験信号を導くために、入力におけるものと類似のスイッチ回路網を使用して順に遂行される。
【0010】
既知のMPA較正技術では、MPAによって入力信号に与えられた正確なゲインシフトおよび位相シフトを求めるために、ONETの出力ポートでの非常に正確なゲインおよび位相の測定が必要とされる。これには、MPAのいかなる較正誤差も検出するための高度に正確な信号生成および測定が必要とされる。
【0011】
衛星ベースのMPAに関して、一般に、コストおよび複雑さの理由で、可能であれば、MPAを較正するのに必要とされる試験の量を最小限にし、またそれらの試験を簡単にすること、ならびにMPA較正機能専用の搭載ハードウェアの量を最小限にすることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、マルチポート増幅装置に試験信号を与えてマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるための改善されたシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を示す出力信号を供給するようにマルチポート増幅装置に試験信号を与える方法が提供され、マルチポート増幅装置は、入力回路網、増幅部および出力回路網を備え、本方法は、入力回路網の出力と増幅部の入力との間における、マルチポート増幅装置内の位置に試験信号を直接供給するステップを含む。
【0014】
入力回路網と増幅部の入力との間の位置に試験信号を直接供給することにより、試験信号に対応する出力がMPAの出力のそれぞれに出現することになる。これによって、MPAの出力のうちの任意のもので試験信号を測定することができる。さらに、各増幅器ではなく、増幅部の諸増幅器の例えば1つのサブセットだけに試験信号を供給することができるので、増幅部を通る試験信号の特定の経路を求めることができ、その試験信号に対応する特定の増幅器のパラメータの較正および試験プロセスの簡素化が可能になる。
【0015】
試験信号を供給するステップは、入力回路網の出力と増幅部の第1の入力との間のマルチポート増幅装置の第1の位置に第1の試験信号を供給するステップと、入力回路網の出力と増幅部の第2の入力との間における、マルチポート増幅装置の第2の位置に第2の試験信号を供給するステップとをさらに含むことができる。このように、MPAを通る2つの試験経路を比較することができる。
【0016】
マルチポート増幅装置内の第1の位置に第1の試験信号を供給するのと同時に、第2の位置に第2の試験信号を供給することができる。したがって、MPA装置の出力ポートのうちの1つに供給された出力信号は、増幅部の第1の入力から出力ポートへの経路と増幅部の第2の入力から出力ポートへの経路との間で必要とされ得る較正を求めるように試験することができる。
【0017】
本発明によれば、通信システム内のマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める方法も提供され、この方法は、第1および第2の試験信号を与えるステップと、マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取るステップであって、マルチポート増幅装置を通る第1の試験信号によって第1の信号経路に対応する第1の出力信号が取得され、マルチポート増幅装置を通る第2の試験信号によって第2の信号経路に対応する第2の出力信号が取得されるステップと、第1および第2の出力信号に基づいてマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるステップとを含む。
【0018】
パラメータ調整は、増幅装置のゲイン調整および位相調整から選択された少なくとも1つであり得る。
【0019】
マルチポート増幅装置を通る第1の試験信号の経路は参照経路として働くことができ、また、マルチポート増幅装置を通る第2の試験信号の経路は較正経路として働くことができ、パラメータ調整を求めるステップは、マルチポート増幅装置を通る較正経路のパラメータ調整を求めるステップを含む。
【0020】
この方法は、参照経路に対する較正経路のゲインおよび位相シフトを示す値を求めるステップをさらに含むことができる。
【0021】
この方法は、マルチポート増幅装置内の第1の位置に前記第1の試験信号を供給するステップと、前記第2の試験信号を、入力回路網の出力と増幅部の複数の入力のうち第1および第2の入力を除いたもののそれぞれとの間における、マルチポート増幅装置内のさらなる位置に供給するステップとをさらに含むことができる。
【0022】
第1および第2の試験信号はトーンを含むことができる。
【0023】
第1の試験信号は、振幅変調された信号のキャリア成分と振幅変調された信号の第1の側波帯成分の和を含むことができ、第2の試験信号は、振幅変調された信号の第2の側波帯成分を含むことができる。
【0024】
第1の試験信号は、振幅変調された信号のキャリア成分を含むことができ、第2の試験信号は、振幅変調された信号の一方または両方の側波帯成分を含むことができる。
【0025】
この方法は、試験シーケンスの第1段階で、マルチポート増幅装置の第1の位置へ前記第1および第2の試験信号を与えるステップをさらに含むことができ、第1および第2の試験信号は、試験シーケンスの第2段階で、マルチポート増幅装置の第1および第2の位置でMPAに供給される。
【0026】
この方法は、試験シーケンスの第1段階の間に、前記第2の試験信号に対応する前記第2の出力信号の振幅を測定するステップをさらに含むことができる。
【0027】
この方法は、通信システムの通信チャンネルを通じてマルチポート増幅装置の出力を伝送するステップと、マルチポート増幅装置を通る較正経路のパラメータを求めるために、伝送された出力を受け取って解析するステップとをさらに含むことができる。
【0028】
通信システムは、衛星通信システムと、衛星に搭載して配置されているマルチポート増幅装置と、地上の位置で遂行される、マルチポート増幅器の伝送された出力を受け取って解析するステップとを含むことができる。
【0029】
本発明によれば、マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を示す出力信号を供給するようにマルチポート増幅装置に試験信号を与えるための装置も提供され、マルチポート増幅装置は、入力回路網、増幅部、および出力回路網を備え、この装置は、入力回路網の出力と増幅部の入力との間における、マルチポート増幅装置内の位置に試験信号を直接供給するための試験信号印加部を備える。
【0030】
試験信号印加部は、入力回路網の出力と増幅部の第1の入力との間における、マルチポート増幅装置の第1の位置に第1の試験信号を供給し、かつ、入力回路網の出力と増幅部の第2の入力との間における、マルチポート増幅装置の第2の位置に第2の試験信号を供給するように構成され得る。
【0031】
試験信号印加部は、マルチポート増幅装置内の第1の位置に第1の試験信号を与えるのと同時に、第2の位置に第2の試験信号を与えるように構成され得る。
【0032】
試験信号印加部は、前記第2の試験信号を、入力回路網の出力と増幅部の第2の入力およびさらなる複数の入力のそれぞれとの間における、マルチポート増幅装置内の位置に供給するように構成されたスイッチ部を備えることができる。
【0033】
この装置は、衛星通信システム用に構成することができる。
【0034】
試験信号印加部は、地上局アンテナ追跡ビーコン生成器を含む。
【0035】
本発明によれば、通信システム用に構成されたマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるためのシステムも提供され、マルチポート増幅装置は、入力回路網、増幅部、および出力回路網を備え、このシステムは、本発明による装置およびマルチポート増幅装置の出力に基づいてマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるための調整計算部を備える。
【0036】
このシステムは、信号測定部および調整計算部をさらに備えることができ、信号測定部は、第1および第2の出力信号を受け取り、測定して調整計算部へ出力を供給するように構成され、調整計算部は、信号測定部からの出力に基づいてパラメータ調整を計算するように構成される。
【0037】
信号測定部は、適合された民間衛星ビーコン受信器および適合されたスペクトルアナライザから選択された少なくとも1つのものを備える。
【0038】
本発明によれば、通信システム内のマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める方法も提供され、この方法は、マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取るステップであって、第1の出力信号が、マルチポート増幅装置を通る第1の信号経路に対応し、第2の出力信号が、マルチポート増幅装置を通る第2の信号経路に対応し、第1の信号経路が、入力回路網の出力と増幅部の第1の入力との間のマルチポート増幅装置内の第1の位置と、マルチポート増幅装置の出力との間の経路を備え、第2の信号経路が、入力回路網の出力と増幅部の第2の入力との間のマルチポート増幅装置内の第2の位置と、マルチポート増幅装置の出力との間の経路を備えるステップと、第1および第2の出力信号に基づいてマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるステップとを含む。
【0039】
この通信システムは、衛星通信システムを備えることができ、マルチポート増幅装置は、衛星に搭載して配置され得て、マルチポート増幅器の伝送された出力を受け取って解析するステップが地上の位置で遂行され得る。
【0040】
本発明によれば、通信システム内のマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるための装置も提供され、この装置は、マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取るための信号測定部であって、第1の出力信号がマルチポート増幅装置を通る第1の信号経路に対応し、第2の出力信号がマルチポート増幅装置を通る第2の信号経路に対応し、第1の信号経路が、入力回路網の出力と増幅部の第1の入力との間のマルチポート増幅装置内の第1の位置と、マルチポート増幅装置の出力との間の経路を備え、第2の信号経路が、入力回路網の出力と増幅部の第2の入力との間のマルチポート増幅装置内の第2の位置と、マルチポート増幅装置の出力との間の経路を備える信号測定部と、第1および第2の出力信号に基づいてマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるための調整計算部とを備える。
【0041】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の諸実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態による、マルチポート増幅器に試験信号を与えてマルチポート増幅器のパラメータ調整を求めるためのシステムを示す概略図である。
【図2】図1のシステムをより詳細に示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による、図1および図2のシステムの一部分を形成するスイッチ部の機能部品を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による、図3のスイッチ部と共に使用するように構成された図1および図2に示すシステムの一部分を形成する信号生成器の機能部品を示す概略図ならびに信号生成器によって生成された信号を示すグラフである。
【図5】図3および図4のスイッチ部および信号生成器を使用して生じる信号を測定するように構成された図1および図2に示すシステムの一部分を形成する信号測定部の機能構成を示す概略図である。
【図6】マルチポート増幅器のパラメータ調整を求める際に本発明の一実施形態によって遂行されるステップを示す流れ図である。
【図7】本発明のさらなる実施形態による、図1および図2のシステムの一部分を形成するスイッチ部の機能部品を示す概略図である。
【図8】本発明のさらなる実施形態による、図7のスイッチ部と共に使用するように構成された図1および図2に示すシステムの一部分を形成する信号生成器の機能部品を示す概略図である。
【図9】図8の信号生成器によって生成された信号を示すグラフである。
【図10】本発明のさらなる実施形態による、図7および図8の信号生成器およびスイッチ部を使用して生じる信号を測定するように構成された図1および図2に示すシステムの一部分を形成する信号測定部の機能構成を示す概略図である。
【図11】マルチポート増幅器のパラメータ調整を求める際に本発明のさらなる実施形態によって遂行されるステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1を参照すると、マルチポート増幅装置2に試験信号を与えてマルチポート増幅装置2のパラメータ調整を求めるためのシステム1は、信号生成器3、スイッチ部4、信号測定部5、MPA調整計算部6およびコマンドプロセッサ7を含んでいる。本実施例では、マルチポート増幅装置2、信号生成器3およびスイッチ部4は通信衛星8に搭載して配置されており、MPA装置2は、衛星8からのダウンリンク通信チャンネルを形成するアンテナ給電をもたらすために使用される。信号測定部5、MPA調整計算部6およびコマンドプロセッサ7は、本実施例では衛星通信地上局の制御局9に配置されている。
【0044】
使用するとき、コマンドプロセッサ7は、MPA装置2に試験信号を供給するように信号生成器3に指示する第1のコマンド信号を、第1のコマンド信号チャンネル10を介して信号生成器3へ供給する。信号生成器3の出力は、スイッチ部4とMPA装置2の間の接続11を介してスイッチ部4に供給され、同様にMPA装置2に供給される。信号生成器3、スイッチ部4および接続11は、本明細書では試験信号印加部と称される。MPA装置2の出力は、通信信号経路12を介して信号測定部5に伝送され、調整計算部6により、MPA装置2の較正用のMPAパラメータ調整が、受信信号に基づいて計算される。計算された調整がコマンドプロセッサ7に供給され、コマンドプロセッサ7は、MPA装置2のパラメータを調整することによりMPA 2を較正するように、第2のコマンド信号チャンネル13を介して第2のコマンド信号をMPA装置2に供給する。本実施例では、調整計算部6によるMPA調整の計算で用いるために、さらなる情報も、第1のコマンド信号チャンネル10および第2のコマンド信号チャンネル13を介してコマンドプロセッサ7に供給される。この場合、これはMPA 2によって現在用いられているMPAパラメータを示す情報であるが、この情報には信号生成器3によって生成された信号に関する情報も含まれ得る。
【0045】
図2は、図1のシステムをより詳細に示す概略図である。
【0046】
図2を参照して、MPA装置2は、本実施例ではハイブリッド要素である、4つの入力信号分割導波路デバイス21a〜21dを含む入力回路網(INET)20を有する4ポートMPAを備える。INET 20は、4つのINETの入力ポート22a〜22dおよび4つのINETの出力ノード23a〜23dを有する。MPA装置2は、4つの調整部25a〜25dを有するプログラム可能な振幅および位相の調整装置24、本実施例では進行波管増幅器(TWTA)である4つの増幅器27a〜27dを有する増幅装置26、および本実施例ではハイブリッド要素である4つの出力信号分割導波路デバイス29a〜29dを有する出力回路網(ONET)28も含む。ONET 28は、4つのONETの入力ノード30a〜30dおよび4つのONETの出力ポート31a〜31dを有する。
【0047】
TWTA 27a〜27dは、本実施例では、線形化された高出力進行波管(TWT)増幅器である。各TWT用のリニアライザ(図示せず)は、特定のTWTデバイスに正確に整合し、入力信号経路において対応するTWTの直前に配置される。チャンネル増幅器(CAMP、図示せず)は、MPA装置2の外部でMPAの入力22a〜22dの前の位置に配置される。
【0048】
本発明は線形化されたTWTA 27a〜27dの使用に限定されず、例えばMPA装置2が動作するように配置される周波数に従って選択された、例えば標準的TWTAまたは他の増幅器といった他の増幅器と共に使用することができる。
【0049】
各INETの出力ノード23a〜23dは、調整部25a〜25dのそれぞれの1つに接続され、各調整部25a〜25dのそれぞれが、TWTA 27a〜27dのそれぞれの1つのゲイン特性および位相特性を調整するのに使用される。本実施例は、ダウンリンクのRF周波数(例えばKaバンドのMPAの20GHz)で動作する、TWTリニアライザ(図示せず)と物理的に同一のハウジング内に収容された電子的なゲインおよび位相の調整器を使用する。ゲインおよび位相の調整は、コマンドプロセッサ7から第2のコマンド信号チャンネル13を通じて伝送された第2のコマンド信号により、各TWTAデバイス27a〜27dを個々に調整して達成される。第2のコマンド信号は、当業者に知られているように、衛星8の管理機能に用いられる遠隔指令信号である。各増幅器27a〜27dの出力は、ONET入力ノード30a〜30dのそれぞれの1つに接続される。
【0050】
代替実施形態では、TWTAデバイス27a〜27dの電源(例えば電子的電力コンディショナEPC)によって生成される電圧を変化させることにより、TWTAデバイス27a〜27dのそれぞれのゲインおよび位相シフトを制御することができる。これは適応EPCを必要とすることになり、その設計要件は当業者には明らかであろう。
【0051】
信号測定部5は、ONETの出力ポート31a〜31dの第1の出力ポート31aからのアンテナ給電の出力によってもたらされる衛星ダウンリンクチャンネルとして伝送された信号12を受け取るように構成されている。
【0052】
使用するとき、信号生成器3は、本実施例では参照信号「R」および較正信号「C」である試験信号を出力し、参照信号と較正信号の相対的なゲイン特性および位相特性は既知である。参照信号Rが、スイッチ部4を介してINETの出力ノード23a〜23dの最初のものに与えられ、このポートとONETの第1の出力ポート31aにおけるMPA装置2の出力との間の経路が参照経路として働く。スイッチ部4は、参照経路に対して較正されることになる、MPA装置2を通る信号経路に対応するINET 20の残りの出力ノード23a〜23dのそれぞれに較正信号「C」を与える。このように、N-1ステップを有する試験シーケンスを実施することができ、NはMPA 2のポート数である。例えば、本実施例では、参照信号がINETの第1の出力ノード23aに与えられ得て参照経路がもたらされ、残りの3つのINETの出力ノード23b〜23dに対応する経路を参照経路に対して較正するために、それらのノード23b〜23dのそれぞれに較正試験信号を与えることができる。
【0053】
信号生成器の出力からMPA装置までの経路は、あらゆる関連した中間スイッチングも含めて部分的にまたは完全にゲインおよび位相の整合が可能である。経路アライメントに対する明確な要件は、選択された較正方式の詳細に依存することになる。信号生成器3とINETの出力ノード23a〜23dの間のインターフェイスは、RFインターフェイスである。
【0054】
参照信号Rおよび較正信号Cは、該当する調整部25a〜25d、増幅器27a〜27dおよびONET 28を通って伝搬し、組み合わされてONETの出力ポート31a〜31dのそれぞれに出力される。ONET 28が、TWTA 27a〜27dの出力を分割してそれらの構成要素チャンネルへ戻すように構成されているので、参照信号および較正信号の両方がMPA 2に与えられたとき、参照信号と較正信号を組み合わせたものがONETの出力ポート31a〜31dのそれぞれに供給されることになる。
【0055】
信号測定部5は、参照信号Rと較正信号Cの間の任意のゲインおよび/または位相シフトを求めるために、本実施例ではONETの第1の出力ポート31aからの出力である組み合わされたMPA出力を受け取って解析する。参照信号および較正信号がINETの出力ノード23a〜23dから測定部5へととる経路は、特定の調整部25a〜25d、TWT 27a〜27dおよびONET 28を通る特定の経路を除いて基本的に同等である。ONET 28の特性が既知であるので、参照経路に対する較正経路の位相およびゲインの間のいかなる相対的差異も、調整部25a〜25dを使用して補償され得る経路間の較正から生じることになる。ONETの出力ポート31a〜31dのうちのいずれかから出力された信号は、信号測定部5によって測定することができる。
【0056】
信号測定部5で前もって形成された測定の結果に基づいて、調整計算部6は、MPA装置2のポート間の分離性能を改善するために、増幅器27a〜27dの位相およびゲインの特性を調整するためのパラメータを計算する。調整計算部6は、信号測定部5からの測定された性能データ、コマンドプロセッサ7を介して得られた現在のゲインおよび位相設定に関する情報、ならびに必要になり得る他の装置の状態情報を受け取る。計算されたパラメータは、較正経路のゲインおよび位相の特性を調整するために、第2のコマンド信号チャンネル13を介して、衛星8に搭載されたプログラム可能な振幅および位相の調整装置24に与えられる。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態によるスイッチ部4の機能部品を概略的に示す。
【0058】
図3を参照して、スイッチ部4は、それぞれがINET 20の出力ノード23a〜23dに対応する第1、第2、第3、第4、および第Nのスイッチ40a〜40eを含み、NはMPA装置2のポート数である。4ポートのMPAが4つのINETの出力ノード23a〜23dを有して使用される本実施例では、第1から第4のスイッチ40a〜40dが設けられる。スイッチ部4は、N-1個のそれぞれの出力へ入力信号を供給するための信号スプリッタ41を含んでいる。参照試験信号「R」に対応する信号生成器3からの第1の出力が、第1の接続42aを介してスイッチ部4に与えられ、第1のスイッチ40aの入力に与えられる。第1のスイッチ40aの出力は、INETの第1の出力ノード23aに接続される。較正信号「C」に対応する信号生成器3からの第2の出力は、第2の接続42bを介して信号スプリッタ41の入力に与えられる。信号スプリッタ41のN-1個の出力は、第2から第Nのスイッチ40b〜40e(この場合第2、第3および第4のスイッチ40b〜40d)のそれぞれの入力に供給され、その出力は、同様に、それぞれの第2、第3、第4および第NのINETの出力ノード(この場合INETの第2、第3および第4の出力ノード23b〜23d)に接続される。
【0059】
したがって、図2を参照すると、第1の増幅器27aに対応する経路に対して第2の増幅器27bに対応するMPA装置2を通る経路を較正するために、参照信号Rが信号生成器3からの第1の出力42aとしてINETの第1の出力ノード23aに供給されるように、スイッチ部4の第1のスイッチ40aが閉じられ、また、較正信号Cが信号生成器3からの第2の出力42bとしてINETの第2の出力ノード23bに供給されるように、スイッチ部4の第2のスイッチ40bが閉じられ、残りの第3および第4のスイッチ40c、40dが開いたままにされる。
【0060】
図4は、本発明の一実施形態により、参照信号および較正信号を生成するのに使用される信号生成器3の構成要素を概略的に示す。
【0061】
図4を参照して、信号生成器は、第1、第2および第3の信号生成手段50、51、52、加算部53および位相シフト部54を含む。使用するとき、第1、第2および第3のトーンは、それぞれ第1、第2および第3の信号生成器50、51、52によって生成される。生成されたトーンは、キャリア成分(accos(ωct+φc))、低い方の側波帯成分(amcos((ωcm)t+φc))および高い方の側波帯成分(amcos((ωcm)t+φc))を含む、振幅変調された信号成分を形成する。加算部53は、キャリアと低い方の側波帯を加算して参照信号「R」を形成し、高い方の側波帯は、高い方の側波帯に一定の位相シフトを導入する位相シフト部54を介して較正信号「C」として出力される。
【0062】
第1、第2および第3のトーンは、これらが、通信トラフィックが占める周波数範囲の外部にあるように、MPA装置2の動作周波数範囲の最低周波数に配置される。あるいは、これらのトーンは、動作周波数の最高のものまたは別の未使用の周波数帯に配置することができる。
【0063】
図5は、図1および図2に示されたシステムの一部分を形成する信号測定部5の機能構成を概略的に示す。
【0064】
図5を参照して、入力ライン60は、第1のミクサ62の第1の入力に接続された第1の出力および第2のミクサ63の第1の入力に接続された第2の出力を有する信号スプリッタ61に接続される。第1のミクサ62の出力が、第1の帯域通過フィルタ64および第1の低域通過フィルタ65のそれぞれに供給される。第1の帯域通過フィルタ64の出力が、第1の振幅検出器66に供給される。第1の低域通過フィルタ65の出力が、電圧制御発振器(VCO)67に供給され、その出力が第1のミクサ62の第2の入力に接続される。
【0065】
電圧制御発振器67の出力は90度移相器68にも供給され、その出力が第2のミクサ63の第2の入力に接続される。第2のミクサ63の出力が、並列に配置された第2の帯域通過フィルタ69および第2の低域通過フィルタ70のそれぞれに供給される。第2の帯域通過フィルタ69の出力は、第2の振幅検出器71に供給される。
【0066】
測定部5の測定回路は、基本的に同相(I)出力および直角位相(Q)出力の両方をもたらすコヒーレントな振幅検出器である。第1の振幅検出器66の出力が直角位相出力(Q)をもたらし、第2の振幅検出器71の出力が同相出力(I)をもたらす。I信号およびQ信号の2乗平均平方根の値は、熱雑音の影響に対してより回復力があるので、好ましくはこれらが測定されることになる。平均電流出力も、第2の低域通過フィルタ70の出力としてもたらされる。
【0067】
図示されていないが、本実施例による測定回路は、検出器が2つの側波帯トーンのうちの1つに対して間違ってロックするのを防止するように用いられる側波帯ロック防止能力も含むことになる。適切な側波帯ロック防止装置が、当技術分野で周知である。
【0068】
図6は、MPA装置2に試験信号を与えてMPA 2の測定された出力を基に図1のシステム1のMPA装置2のパラメータ調整を求める際に、本発明の一実施形態によって遂行されるステップをより詳細に示す流れ図である。
【0069】
図6を参照すると、最初のステップで、スイッチ部4は、第nのMPA経路を較正するように設定され(ステップS100)、ここで、1≦n≦(N-1)であって、NはMPA装置2のポート数であり、この場合4である。例えば第1の増幅器27aに対応する「第1の」経路に対して第2の増幅器27bに対応するMPA装置2を通る「第2の」経路を較正するために、参照信号Rが信号生成器3からの第1の出力42aとしてINETの第1の出力ノード23aに供給されるように、スイッチ部4の第1のスイッチ40aが閉じられ、また、較正信号Cが信号生成器3からの第2の出力42bとしてINETの第2の出力ノード23bに供給されるように、スイッチ部4の第2のスイッチ40bが閉じられ、残りの第3および第4のスイッチ40c、40dが開いたままにされる。
【0070】
信号生成器3は、その第1の試験信号出力42aへ参照信号Rを出力し、同時にその第2の試験信号出力42bへ較正信号Cを出力する(ステップS101)。信号生成器の出力R、Cは、調整部25a〜25d、増幅器27a〜27dおよびONET 28を通って伝搬し、参照信号と較正信号の組合せがONETの出力ポート31a〜31dのそれぞれから出力され、信号測定部5で受け取られる(ステップS102)。
【0071】
次いで、測定部5が、参照信号「R」に対する較正信号「C」のゲインおよび位相シフトを測定する(ステップS103)。各ONETの出力ポート31a〜31dにおける参照信号「R」と較正信号「C」の組合せが、各ポートにおける狭周波数帯の変調された信号の等価信号を生成する。振幅が等しい側波帯を有する純然たる振幅変調(AM)信号を生成することができ、あるいはキャリア成分に対する側波帯の位相調整および側波帯の互いに対する位相調整次第で、純然たる狭周波数帯の位相変調(PM)信号を生成することができる。本実施例では、ONETの出力ポート31aに供給された変調RF信号を復調することにより、信号測定部5で同等な変調された信号が検出される。(信号がMPAを通る結果として)1つの側波帯の振幅および/または位相が他方に対して変更されると、復調される信号の性質が変化することになる。純然たるAM信号またはPM信号が、例えば振幅変調と位相変調のいくらかの混合になるはずであり、このことは測定部5の出力で顕在化する。
【0072】
較正経路を参照経路のゲインおよび位相の特性にそろえるように、パラメータ調整が、測定部の出力に基づいて調整計算部6で計算される(ステップ104)。本実施例では、パラメータは、ONET 28によって導入されるゲイン差および位相シフトならびに通常の使用でINET 20によって導入されるはずのゲイン差および位相シフトを、以前に測定されたONET 28およびINET 20の特性に基づいて考慮に入れる。あるいは、これらの回路網20、28の、測定された特性ではなく理想的特性を用いることができる。INET 20およびONET 28は、特に導波管で実施されたときには安定していると考えられ、組立、統合化および試験(AIT)の期間中に地上の測定によって較正される。本発明の実施形態では、調整はMPAエミュレータを使用して計算され、MPAエミュレータは、衛星に搭載されたプログラム可能な振幅および位相の調整装置24による調整を適用する以前に、適切な調整を求めるためにMPAのゲイン特性および位相特性をエミュレートするのに使用される。
【0073】
結果として得られる特定の較正経路向けパラメータ調整が、次いでメモリ(図示せず)に記憶される(ステップS105)。さらなる経路が較正されることになっているかどうか判断される(ステップS106)。例えば、本実施例では、MPAのN-1個の経路がMPAの参照経路に対して較正され、したがって4ポートのMPAについては3つの経路が較正を必要とすることになる。さらなる経路が較正されることになっている場合、前述のステップ(S100からS105のステップ)が、さらなる経路のそれぞれに対して繰り返される。
【0074】
一旦、すべての必要なMPA経路が較正されると、記憶されたゲイン調整および位相調整がメモリから検索されてMPA装置2に適用される(ステップS107)。具体的には、この調整は、コマンドプロセッサ7から遠隔指令チャンネル13を介して衛星8に送信され、衛星8で受信されて、必要なゲインパラメータおよび位相パラメータを調整するように、搭載されているプログラム可能な振幅および位相の調整装置24に与えられる。本実施例では、参照経路のゲインおよび位相の調整器は一定のままである。
【0075】
図7は、本発明のさらなる実施形態による、図1および図2のシステムの一部分を形成するスイッチ部4の代わりに使用され得るさらなるスイッチ部80の機能部品を示す概略図である。
【0076】
図7を参照して、さらなるスイッチ部80は、第1、第2、第3、および第Nのスイッチ81a〜81dを含み、NはMPA装置2のポート数である。4ポートのMPAが4つのINETの出力ノード23a〜23dを有して使用される本実施例では、第1から第4のスイッチ81a〜81dが設けられる。さらなるスイッチ部80は、入力信号をそれぞれのN個の出力へ供給することができる信号スプリッタ82も含み、これらの出力は、それぞれの第1から第4のスイッチ81a〜81dの各入力に接続される。さらなるスイッチ部80は、加算部83も含んでいる。
【0077】
使用するとき、参照試験信号「R」に対応するさらなる信号生成器85(以下でより詳細に説明される)からの第1の出力が、第1の接続84aを介してスイッチ部80に与えられ、加算部83第1の入力に与えられる。較正信号「C」に対応するさらなる信号生成器85からの第2の出力が、第2の接続84bを介して信号スプリッタ82の入力に与えられる。第1のスイッチ81aの出力が加算部83の第2の入力に接続され、加算部83の出力がINETの第1の出力ノード23aに供給される。第2、第3および第4のスイッチ81b〜81dの出力は、それぞれの第2、第3、第4のINETの出力ノード23b〜23dに接続される。
【0078】
図8は、本発明のさらなる一実施形態により、参照信号および較正信号を生成するのに使用されるさらなる信号生成器85の構成要素を概略的に示す。
【0079】
図8を参照して、さらなる信号生成器85は、第1および第2の信号生成手段90、91、ミクサ92および位相シフト部93を含む。
【0080】
使用するとき、第1および第2の信号が、それぞれの第1および第2の信号生成手段90、91によって生成される。生成された信号は、第1の信号生成手段90によって生成されたキャリア成分(accos(ωct+φc))、および第2の信号生成手段91によって生成されたメッセージ波形成分(amcos(ωmt+ψm))を含む。キャリア成分が、さらなるスイッチ部80への第1の接続84a上の第1の出力に参照信号「R」として供給され、両方の成分が、高い方の変調された信号「U」および低い方の変調された信号「L」をaLcos(ωcm)t+φcL(L)+aUcos(ωcm)t+φcU(U)としてその出力に生成するミクサ92へのそれぞれの入力として供給される。ミクサ92の出力が、位相シフト部93への入力として供給される。位相シフト部93の出力は、さらなるスイッチ部80への第2の接続84b上の第2の出力としての較正信号「C」をもたらす。
【0081】
本発明のさらなる実施形態による参照信号Rおよび較正信号Cは、これらが、通信トラフィックが占める周波数範囲の外部にあるように、MPA装置2の動作周波数範囲の最低周波数に配置される。あるいは、これらの信号は、動作周波数の最高のまたは別の未使用の周波数帯に配置することができる。
【0082】
図9は、図8のさらなる信号生成器が図7のさらなるスイッチ部と共に使用されたとき生成される信号を示す。
【0083】
図9を参照して、MPA装置2を較正するために2段階の試験シーケンスが遂行される。試験シーケンスの第1段階では、キャリア信号成分ならびに高い方の側波帯信号Uおよび低い方の側波帯信号Lが、参照信号Rおよび較正信号Cとして信号生成器85から出力される。キャリアと高い方の側波帯信号Uと低い方の側波帯信号Lとの組合せが、この場合にはINETの第1の出力ノード23aとONETの第1の出力ポート31aの間の経路であるMPA装置の参照経路に与えられるように、さらなるスイッチ部80の第1のスイッチ81aが閉じられ、残りのスイッチ81b〜81dが開いたままになる。
【0084】
試験シーケンスの第2段階では、キャリア信号成分ならびに高い方の側波帯信号Uおよび低い方の側波帯信号Lが、参照信号Rおよび較正信号Cとして信号生成器85から再び出力される。しかし、この場合、キャリア成分が、この場合にはINETの第1の出力ノード23aとONETの第1の出力ポート31aの間の経路であるMPA装置2の参照経路に供給され、また、高い方の側波帯信号Uおよび低い方の側波帯信号Lが、MPA装置の較正経路、例えばINETの第2の出力ノード23bとONETの第1の出力ポート31aの間の経路に与えられるように、さらなるスイッチ部80の第1のスイッチ81aが開かれ、今度は残りのスイッチ81b〜81dが閉じられる(その一方でその他のスイッチは開いたままになる)。さらなるスイッチ部80の残りのスイッチ81b〜81dのうち常に閉まっている1つは、そのとき較正されることになっているMPA装置2を通る経路を指定することになる。
【0085】
図10は、図7および図8のさらなる信号生成器85およびスイッチ部80を使用して生じる信号を測定するように構成された、本発明のさらなる実施形態によるさらなる信号測定部の機能構成を概略的に示す。このさらなる信号測定部は、キャリアと高い方の側波帯成分と低い方の側波帯信号成分とを加算することによって形成されたコンポジット信号を、図10に示された機能構成を有する位相ロック受信器を用いて復調する。
【0086】
図10を参照して、入力ライン100は、第1のミクサ102の第1の入力に接続された第1の出力および第2のミクサ103の第1の入力に接続された第2の出力を有する信号スプリッタ101に接続される。第1のミクサ102の出力が、第1の帯域通過フィルタ104および低域通過フィルタ105のそれぞれに供給される。第1の帯域通過フィルタ104の出力が、第1の振幅検出器106に供給される。低域通過フィルタ105の出力が電圧制御発振器(VCO)107に供給され、VCO 107の出力が第1のミクサ102の第2の入力に接続される。
【0087】
電圧制御発振器107の出力が90度移相器108にも供給され、90度移相器108の出力が第2ミクサ103の第2の入力に接続される。第2のミクサ103の出力が第2の帯域通過フィルタ109に供給され、第2の帯域通過フィルタ109の出力が第2の振幅検出器110に供給される。
【0088】
第3のミクサ111が第1および第2の帯域通過フィルタ104、109から出力を受け取り、出力を平均振幅検出器112に供給する。
【0089】
さらなる測定部は、基本的に同相(I)出力および直角位相(Q)出力の両方を供給するコヒーレントな振幅検出器である。受信器が2つの側波帯トーンのうちの1つに対して間違ってロックするのを防止するために、側波帯ロック防止能力(図示せず)が実施され得る。
【0090】
さらなる測定部の原理は、復調された信号の同相成分および直角位相成分のRMS振幅ならびに同相成分と直角位相成分の積の平均を測定し、これらを、参照経路に対して較正経路のゲインおよび位相のオフセットを求めるのに用いることである。各OMUX出力ポート31a〜31dにおけるキャリアと高い方の信号成分と低い方の信号成分との組合せが、各ポートにおける狭周波数帯の変調された信号の等価信号を生成する。振幅が等しい側波帯を有する純然たる振幅変調(AM)信号を生成することができ、あるいはキャリア成分に対する位相調整および側波帯の互いに対する位相調整次第で、純然たる狭周波数帯の位相変調(PM)信号を生成することができる。この方法は、いかなる任意の信号変調条件(すなわち、試験信号は純然たるAM信号またはPM信号を意味する必要はなく、等レベルの側波帯すら含む必要はない)に対しても実施することができる。
【0091】
したがって、試験シーケンスの第2段階の期間を通じて、(高い方の側波帯信号および低い方の側波帯信号が、MPAの参照経路ではなく較正経路を通る結果として)高い方の側波帯Uおよび/または低い方の側波帯Lの振幅および/または位相がキャリアに対して変化される場合、次いで復調される信号の性質が変化することになる。具体的には、純然たるAM信号またはPM信号が、例えば振幅変調と位相変調のいくらかの混合になるはずである。さらに、高い方の側波帯および低い方の側波帯が、第1段階では参照経路を通って伝送され、第2段階では較正経路を通って伝送されるので、試験シーケンスの第2段階における振幅と比較したときの、試験シーケンスの第1段階で伝送された高い方の側波帯の振幅および低い方の側波帯の振幅におけるいかなる差も、参照経路と較正経路の相対的ゲインを求めるのに用いることができる。
【0092】
図11は、MPA装置2に試験信号を与えてMPA 2の測定された出力を基に図1のシステム1のMPA装置2のパラメータ調整を求める際に、本発明のさらなる実施形態によって遂行されるステップをより詳細に示す流れ図である。
【0093】
図11を参照して、試験シーケンスの第1段階の最初のステップで、さらなるスイッチ部80は、図7を参照しながら前述されたように、参照経路に参照信号および較正信号を与えるように設定される。さらなる信号生成器85は、その第1の試験信号出力84aへ参照信号Rを出力し、同時にその第2の試験信号出力84bへ較正信号Cを出力する(ステップS201)。信号生成器の出力R、Cは、調整部25a〜25d、増幅器27a〜27dおよびONET 28を通って伝搬し、参照信号と較正信号の組合せがONETの出力ポート31a〜31dのそれぞれから出力され、さらなる信号測定部で受け取られる(ステップS202)。さらなる信号測定部は、平均振幅検出器112からの出力に基づいて、復調された信号の平均振幅を測定し(ステップ203)、結果として生じる平均振幅測定値を記憶する(ステップ204)。
【0094】
試験シーケンスの第2段階の最初のステップで、さらなるスイッチ部80が、第nのMPA経路を較正するように設定され(ステップS205)、ここで1≦n≦(N-1)であって、NはMPA装置2のポート数であり、この場合4である。例えば、第2の増幅器27bに対応するMPA装置2を通る「第2の」経路を、第1の増幅器27aに対応する「第1の」経路に対して較正するために、参照信号Rがさらなる信号生成器85からの第1の出力84aとしてINETの第1の出力ノード23aに供給され、較正信号Cがさらなる信号生成器85からの第2の出力84bとしてINETの第2の出力ノード23bに供給されるように、さらなるスイッチ部80の第1のスイッチ81aが開かれて第2のスイッチ81bが閉じられる。
【0095】
さらなる信号生成器85は、その第1の試験信号出力84aへ参照信号Rを出力し、同時にその第2の試験信号出力84bへ較正信号Cを出力する(ステップS206)。信号生成器の出力R、Cは、調整部25a〜25d、増幅器27a〜27dおよびONET 28を通って伝搬し、参照信号と較正信号の組合せがONETの出力ポート31a〜31dのそれぞれから出力され、さらなる信号測定部で受け取られる(ステップS207)。
【0096】
次いで、さらなる測定部が、参照信号「R」に対する較正信号「C」のゲインおよび位相シフトならびに復調された信号の平均振幅を測定する(ステップS208)。各ONETの出力ポート31a〜31dにおける参照信号「R」と較正信号「C」の組合せが、各ポートにおける狭周波数帯の変調された信号の等価信号を生成する。振幅が等しい側波帯を有する純然たる振幅変調(AM)信号を生成することができ、あるいはキャリア成分に対する側波帯の位相調整および側波帯の互いに対する位相調整次第で、純然たる狭周波数帯の位相変調(PM)信号を生成することができる。本実施例では、ONETの出力ポート31aに供給された変調RF信号を復調することにより、さらなる信号測定部で同等な変調された信号が検出される。(信号がMPAを通る結果として)側波帯の振幅および/または位相がキャリアに対して変更されると、復調される信号の性質が変化することになる。純然たるAM信号またはPM信号が、例えば振幅変調と位相変調のいくらかの混合になるはずであり、このことはさらなる測定部のRMS出力で顕在化する。
【0097】
復調された信号の平均振幅は、高い方の信号成分および低い方の信号成分が参照経路をとる第1段階と、両成分が較正経路をとる第2段階との、試験シーケンスの両方で計算される。このように、較正経路からもたらされる、高い方の信号成分と低い方の信号成分の振幅間の差を求めることができる。したがって、ダウンリンク伝送経路のいかなる顕著なゲインまたは位相の傾斜も、測定精度に影響を及ぼさないことになる。したがって、伝送経路のゲインおよび位相の傾斜は、参照経路および較正経路の測定に等しく影響を及ぼし、相対的なゲインおよび位相のオフセットを計算すればそれらの影響が除去されるので、本発明のさらなる実施形態は、伝送経路のゲインおよび位相の傾斜の影響を受けにくい。
【0098】
較正経路を参照経路のゲインおよび位相の特性にそろえるように、パラメータ調整が、さらなる測定部の出力に基づいて調整計算部6で計算される(ステップ209)。本実施例では、パラメータは、ONET 28によって導入されるゲイン差および位相シフトならびに通常の使用でINET 20によって導入されるはずのゲイン差および位相シフトを、以前に測定されたONET 28およびINET 20の特性に基づいて考慮に入れる。あるいは、これらの回路網20、28の、測定された特性ではなく理想的特性を用いることができる。INET 20およびONET 28は、特に導波管で実施されたときには安定していると考えられ、組立、統合化および試験(AIT)の期間中に地上の測定によって較正される。結果として得られる特定の較正経路のパラメータ調整が、次いでメモリ(図示せず)に記憶される(ステップS210)。さらなる経路が較正されることになっているかどうか判断される(ステップS211)。例えば、本実施例では、MPAのN-1個の経路がMPAの参照経路に対して較正され、したがって4ポートのMPAについては3つの経路が較正を必要とすることになる。さらなる経路が較正されることになっている場合、試験シーケンスの第2段階の前述のステップ(S205からS211のステップ)が、さらなる経路のそれぞれに対して繰り返される。
【0099】
一旦、すべての必要なMPA経路が較正されると、記憶されたゲイン調整および位相調整がメモリから検索されてMPA装置2に適用される(ステップS212)。具体的には、この調整は、コマンドプロセッサ7から遠隔指令チャンネル13を介して衛星8に送信され、衛星8で受信されて、必要なゲインパラメータおよび位相パラメータを調整するように、搭載されているプログラム可能な振幅および位相の調整装置24に与えられる。本実施例では、参照経路のゲインおよび位相の調整器は一定のままである。
【0100】
前述の本発明の実施例では、話を簡単にするためにMPA装置の特定の構成要素が図から省略されているが、このような機能の実装形態は、当業者には容易に明らかになるはずである。例えば、実際には、MPAの増幅器向けに入力の冗長スイッチングを実施するスイッチ回路網が存在する可能性がある。このスイッチ回路網は、INETとゲインおよび位相の調整器への入力との間に配置されるはずである。したがって、参照信号および較正信号が、このスイッチ回路網への入力に注入され、その結果、スイッチ回路網を再構成するときに加えられるいかなるゲインの差異および位相シフトも、参照信号および較正信号の経路に含まれて測定され得る。低域通過フィルタ(任意選択でMPAの外部に配置することもできる)、サーキュレータおよび増幅器の出力に配置された負荷ならびにMPA内の他の要素も、図面と説明から省略されている。しかし、これらの要素が参照経路および較正される信号経路に存在するようなシステム設計になっており、したがって、これらの要素の性能は較正で考慮に入れられる。
【0101】
有利には、試験信号生成器15は、(変調側波帯のない)地球局アンテナ追跡ビーコン生成器として機能することもできる。既に追跡ビーコンを必要とする衛星の実装形態については、較正機能の搭載コストは、(標準的なビーコン生成器に対して)複雑さの増した機器の増分原価(incremental cost)になる。
【0102】
さらに、それに加えて、あるいはその代わりに、地上の測定回路が、地球局アンテナ追跡の目的に使用される民間通信衛星ビーコン受信器の変更バージョンとして設計され得る。このような受信器は側波帯ロック防止機能を有し、その結果、これらはアンテナ追跡用の遠隔測定信号を用いることができる。受信器は未加工のI出力およびQ出力を供給すれば十分であり得て、フィルタリングおよび振幅検出の動作は外部で遂行される。この場合、試験信号のパラメータ(側波帯の周波数オフセットおよび相対的電力レベル)は、ビーコン受信器の設計に適合するように制限する必要があることになる。
【0103】
測定を制御し、測定結果を得て処理するようにソフトウェアによって補完された標準的スペクトルアナライザを有する測定システムを実施することも可能であろう。
【0104】
前述の本発明の特徴は、本発明の例示的実施形態の一部分としてのみ説明されており、説明されたやり方で実施することに限定されない。
【0105】
例えば、4ポートのMPA装置2が説明されてきたが、本発明は、例えば8×8のMPA、16×16のMPAといった他の数のポートを有するMPAにも適用可能である。
【0106】
また、信号測定部5が地上局に設けられると説明されてきたが、信号測定部5は、例えば衛星ダウンリンクチャンネル21を受信するのに適切な別の地上位置といった他のどこかに設けることができる。MPA装置2からの出力信号は、例えば、衛星が複数のダウンリンクビームを伝送する様々な地上位置で測定されてよい。しかし、特定の装置では、測定を行うことができる位置を制限することになる、共通周波数、共通極のビーム間の何らかの干渉がある可能性がある。マルチビームシステムでは、測定が可能なのは、周波数再利用方式次第で、いくつかのビームのビームセンター領域のみである。ゲートウェイの地球局は、ビームセンターの近くに配置されることが多く、したがって測定部21に対する好都合なホストになり得るので、ゲートウェイの地球局は信号処理部20に適切な位置をもたらす。
【0107】
信号測定部5および調整計算部6は、衛星8に搭載して物理的に配置することができるが、衛星8の機器および所要電力を最小限にするという点ではユニット5、6を地上に配置するのが望ましい。信号測定部5が衛星8に搭載して実施される場合、MPAの出力31a〜31dから信号測定の入力までの経路は、関連したあらゆる中間スイッチングも含めて、部分的にまたは完全にゲインおよび位相の整合が可能である。経路アライメントに対する明確な要件は、選択された較正方式の詳細に依存することになる。
【0108】
本実施例では、MPA装置2を較正するための判断は、コマンドプロセッサによって供給されるMPA性能の情報に基づいてオペレータによってなされる。しかし、代替実施形態では、この判断は、自動的に、すなわちオペレータの援助または介在なしでなされ得る。
【0109】
コマンドプロセッサ7は、地上局9で実施されると説明されたが、あるいは衛星8に搭載して実施することができる。しかし、信号測定部5および調整計算部6については、衛星8の機器および所要電力を最小限にするという点では地上に配置するのが望ましい。実際には、コマンドプロセッサ7の機能は、衛星制御センターの地上のペイロード制御機能に統合することができる。
【0110】
信号生成器3は、衛星8に搭載して実施されると説明されたが、あるいは地上で、例えばMPA 2と一緒に、信号生成器3が用いられることになっている衛星の打ち上げに先立ってMPA 2の試験期間中に実施することができる。本発明は、必要とされる試験の数を最小限にし、MPAの特定の位置以外の位置における出力信号の正確な測定を可能にすることにより、地上で実行される既知のMPAの試験装置および調整装置に対してかなりの利点を有することができる。例えば、環境チャンバ内でのMPAなどの衛星構成要素の試験期間を通じて、試験結果に対する測定および試験機器のいかなる影響も低減するために、この機器を環境チャンバの外部に配置することは有利である。本発明は、MPAのパラメータ調整を、例えば環境試験チャンバの外部の遠隔位置から求めることができるように、無線伝送リンクなどの伝送リンクを通じてMPAの出力の正確な測定を可能にする装置および方法を提供し、試験チャンバ内に試験装置を配置する必要がなくなり、試験チャンバ内の構成要素とチャンバ外の構成要素の間に配線式の通信リンクを設ける必要性も解消する。
【0111】
MPA装置を通る各経路の較正が、いかなる他の経路にも左右されないので、MPAの複数の経路に対して、較正、ゲインおよび位相シフトの調整を記憶したり同時に適用したりすることは、必ずしも必要ではない。あるいは、各経路の較正に続いて、調整を個々に行うことができる。特定の環境では、MPAの1つの増幅器経路しか調整を必要としない可能性もあり、本発明によれば、このような調整は最小限の測定回数で行うことができる。
【0112】
特定の参照信号および較正信号が説明されてきたが、本発明の方法は、いかなる任意の(しかし既知の)信号変調条件に対しても実施することができる。例えば、組み合わせた試験信号「R」および「C」が純然たるAM信号またはPM信号を表す必要はなく、等レベルの側波帯を備える必要性すらない。さらに、試験信号が、測定回路に対して別個に供給され得るキャリア成分を含んでいる必要性はない。
【0113】
さらに、代替形態の試験信号生成方式が可能である。例えば、何らかの参照経路に対する値ではなく、絶対的なゲインおよび位相シフト値を推定することができる。これは、例えば8×8のMPAに対する一連の8回の測定といった、N-1回ではなくN回の試験信号測定を必要とする、MPAを通る別の参照経路を使用する試験信号測定を追加することにより、例えば達成することができる。この方法には、ダウンリンクチャンネル23のゲインおよび位相の傾斜による誤差を低減することができるという利点がある。このような誤差は、較正信号として順に使用される別々のそれぞれの側波帯成分を用いて各較正経路に対する較正測定を2度遂行することによっても低減することができる。次いで、それらの結果を平均することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 パラメータ調整を求めるためのシステム
2 マルチポート増幅装置
3 信号生成器
4 スイッチ部
5 信号測定部
6 MPA調整計算部
7 コマンドプロセッサ
8 通信衛星
9 制御局
10 第1のコマンド信号チャンネル
11 接続
12 通信信号経路
13 第2のコマンド信号チャンネル
20 入力回路網
21a、21b、21c、21d 入力信号分割導波路デバイス
22a、22b、22c、22d INETの入力ポート
23a、23b、23c、23d INETの出力ノード
24 プログラム可能な振幅および位相の調整装置
25a、25b、25c、25d 調整部
26 増幅装置
27a、27b、27c、27d 増幅器
28 出力回路網
29a、29b、29c、29d 出力信号分割導波路デバイス
30a、30b、30c、30d ONETの入力ノード
31a、31b、31c、31d ONETの出力ポート
40a、40b、40c、40d、40e スイッチ
41 信号スプリッタ
42a、42b 第2の接続
50、51、52 第3の信号生成手段
53 加算部
54 位相シフト部
60 入力ライン
61 信号スプリッタ
62、63 第2のミクサ
64 第1の帯域通過フィルタ
65 第1の低域通過フィルタ
66 第1の振幅検出器
67 電圧制御発振器
68 90度移相器
69 第2の帯域通過フィルタ
70 第2の低域通過フィルタ
71 第2の振幅検出器
80 スイッチ部
81a 第1のスイッチ
81b 第2のスイッチ
81c 第3のスイッチ
81d 第4のスイッチ
82 信号スプリッタ
83 加算部
84a 第1の接続
84b 第2の接続
85 信号生成器
90 第1の信号生成手段
91 第2の信号生成手段
92 ミクサ
93 位相シフト部
100 入力ライン
101 信号スプリッタ
102 第1のミクサ
103 第2のミクサ
104 第1の帯域通過フィルタ
105 低域通過フィルタ
106 第1の振幅検出器
107 電圧制御発振器
108 90度移相器
109 第2の帯域通過フィルタ
110 第2の振幅検出器
111 第3のミクサ
112 平均振幅検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を示す出力信号を供給するように前記マルチポート増幅装置に試験信号を与える方法であって、前記マルチポート増幅装置が、入力回路網、増幅部、および出力回路網を備え、前記方法が、
前記入力回路網の出力と前記増幅部の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の位置に試験信号を直接供給するステップを含む方法。
【請求項2】
試験信号を供給するステップが、
前記入力回路網の出力と前記増幅部の第1の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第1の位置に第1の試験信号を供給するステップと、
前記入力回路網の出力と前記増幅部の第2の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第2の位置に第2の試験信号を供給するステップとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の試験信号が前記マルチポート増幅装置内の前記第1の位置に供給されるのと同時に、前記第2の試験信号が前記第2の位置に供給される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
通信システム内のマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める方法であって、
請求項2または請求項3に記載の方法による第1および第2の試験信号を与えるステップと、
前記マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取るステップと、を含み、
前記マルチポート増幅装置を通る前記第1の試験信号によって、第1の信号経路に対応する前記第1の出力信号が取得され、前記マルチポート増幅装置を通る前記第2の試験信号によって、第2の信号経路に対応する前記第2の出力信号が取得され、
前記方法が、
前記第1および第2の出力信号に基づいて、前記マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるステップを含む方法。
【請求項5】
前記パラメータ調整が、前記増幅装置のゲイン調整および位相調整から選択された少なくとも1つのものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マルチポート増幅装置を通る前記第1の試験信号の経路が参照経路として働き、前記マルチポート増幅装置を通る前記第2の試験信号の経路が較正経路として働き、パラメータ調整を求める前記ステップが、前記マルチポート増幅装置を通る前記較正経路に対するパラメータ調整を求めるステップを含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記参照経路に相対的な前記較正経路の前記ゲインおよび位相シフトを示す値を求めるステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マルチポート増幅装置内の前記第1の位置に前記第1の試験信号を供給するステップと、前記第2の試験信号を、前記入力回路網の出力と前記増幅部の複数の入力のうち第1および第2の入力を除いたもののそれぞれとの間における、前記マルチポート増幅装置内のさらなる位置に供給するステップと、をさらに含む請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2の試験信号がトーンである、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の試験信号が、振幅変調された信号のキャリア成分と前記振幅変調された信号の第1の側波帯成分との和を含み、前記第2の試験信号が、前記振幅変調された信号の第2の側波帯成分を含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の試験信号が、振幅変調された信号のキャリア成分を含み、前記第2の試験信号が、前記振幅変調された信号の一方または両方の側波帯成分を含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
試験シーケンスの第1段階で、前記マルチポート増幅装置内の前記第1の位置に前記第1および第2の試験信号を与えるステップをさらに含み、前記第1および第2の試験信号が、前記試験シーケンスの第2段階で、前記マルチポート増幅装置内の前記第1および第2の位置でマルチポート増幅装置に供給される、請求項2から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試験シーケンスの前記第1段階の間に、前記第2の試験信号に対応する前記第2の出力信号の振幅を測定するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記通信システムの通信チャンネルを通じて前記マルチポート増幅装置の出力を伝送するステップと、前記マルチポート増幅装置を通る較正経路に対するパラメータを求めるために前記伝送された出力を受け取って解析するステップをさらに含む請求項2から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記通信システムが衛星通信システムを備え、前記マルチポート増幅装置が衛星に搭載して配置され、前記マルチポート増幅装置の前記伝送された出力を受け取って解析する前記ステップが地上の位置で遂行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を示す出力信号を供給するように前記マルチポート増幅装置に試験信号を与える装置であって、前記マルチポート増幅装置が、入力回路網、増幅部、および出力回路網を備え、前記試験信号を与える装置が、
前記入力回路網の出力と前記増幅部の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の位置に試験信号を直接供給する試験信号印加部を備える装置。
【請求項17】
前記試験信号印加部が、
前記入力回路網の出力と前記増幅部の第1の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第1の位置に第1の試験信号を供給し、
前記入力回路網の出力と前記増幅部の第2の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第2の位置に第2の試験信号を供給するように構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記試験信号印加部が、前記マルチポート増幅装置内の前記第1の位置に前記第1の試験信号を与えるのと同時に、前記第2の位置に前記第2の試験信号を与えるように構成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記試験信号印加部が、前記入力回路網の出力と前記増幅部の前記第2の入力およびさらなる複数の入力のそれぞれとの間における、前記マルチポート増幅装置内の位置に、前記第2の試験信号を供給するように構成されたスイッチ部を備える、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
衛星通信システム内で使用するように構成された請求項16から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記試験信号印加部が、地上局アンテナ追跡ビーコン生成器を含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
通信システム内で使用するように構成されたマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるシステムであって、前記マルチポート増幅装置が、入力回路網、増幅部、および出力回路網を備え、前記システムが、
請求項16から21のいずれか一項に記載の装置と、
前記マルチポート増幅装置の出力に基づいて、前記マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める調整計算部と、を備えるシステム。
【請求項23】
信号測定部をさらに備え、前記信号測定部が、前記第1および第2の出力信号を受け取りかつ測定して前記調整計算部に出力を供給するように構成され、前記調整計算部が、前記信号測定部からの前記出力に基づいて前記パラメータ調整を計算するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記信号測定部が、適合された民間通信衛星ビーコン受信器および適合されたスペクトルアナライザから選択された少なくとも1つのものを備える請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
通信システム内のマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める方法であって、
前記マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取るステップを含み、前記第1の出力信号が、前記マルチポート増幅装置を通る第1の信号経路に対応し、前記第2の出力信号が、前記マルチポート増幅装置を通る第2の信号経路に対応し、前記第1の信号経路が、前記入力回路網の出力と前記増幅部の第1の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第1の位置と前記マルチポート増幅装置の前記出力との間の経路を備え、前記第2の信号経路が、前記入力回路網の出力と前記増幅部の前記第2の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第2の位置と、前記マルチポート増幅装置の前記出力との間の経路を備え、
前記方法が、
前記第1および第2の出力信号に基づいて前記マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求めるステップを含む方法。
【請求項26】
前記通信システムが衛星通信システムを備え、前記マルチポート増幅装置が衛星に搭載して配置され、前記マルチポート増幅器の前記伝送された出力を受け取って解析するステップが地上の位置で遂行される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
通信システム内のマルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める装置であって、
前記マルチポート増幅装置の出力に関連した第1および第2の出力信号を受け取る信号測定部を備え、前記第1の出力信号が、前記マルチポート増幅装置を通る第1の信号経路に対応し、前記第2の出力信号が、前記マルチポート増幅装置を通る第2の信号経路に対応し、前記第1の信号経路が、前記入力回路網の出力と前記増幅部の第1の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第1の位置と、前記マルチポート増幅装置の前記出力との間の経路を備え、前記第2の信号経路が、前記入力回路網の出力と前記増幅部の第2の入力との間における、前記マルチポート増幅装置内の第2の位置と、前記マルチポート増幅装置の前記出力との間の経路を備え、
前記パラメータ調整を求める装置は、
前記第1および第2の出力信号に基づいて、前記マルチポート増幅装置に対するパラメータ調整を求める調整計算部を備える装置。

【図1】
image rotate

【図6】
image rotate

【図11】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2012−511852(P2012−511852A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540110(P2011−540110)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066868
【国際公開番号】WO2010/066853
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508330939)アストリウム・リミテッド (28)
【Fターム(参考)】