説明

マルノコ

【課題】ハンドルの位置変更動作によりモータの回転切替えを行なえるようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明に係るマルノコによると、ハンドル30は、ベースの前部を前にしてそのベースを前進させる場合の第1の取付け位置と、ベースの後部を前にしてそのベースを前進させる場合の第2の取付け位置とのいずれかに取付け可能に構成されており、ハンドル30とモータハウジング14hとには、モータハウジング14hに対するハンドル30の取付け位置を変更する動作により、モータ14の回転方向を切替えられるように構成された回転方向切替え手段43が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断材である平板上を摺動可能に構成された平らな下面を備えるベースと、前記ベースの下面から一部が下方に突出するようにそのベースに支持された円盤状の鋸刃と、前記鋸刃を回転させるモータと、モータハウジングに取付けられたハンドルとを備え、作業者がハンドルを把持して前記ベースを前記平板に対して前進させることで、前記鋸刃の回転により前記平板を切断するマルノコに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したマルノコに関する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の技術は、右手操作用のマルノコと、このマルノコに対して左右対称に形成された左手操作用のマルノコとが共通のハンドルを使用できるように構成されている。このため、右手操作用のマルノコで使用したハンドルを左手操作用のマルノコに取付けることが可能になる。
【0003】
【特許文献1】特表2005−532178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したマルノコでは、右手操作用と左手操作用とが左右対称に形成されており、一台のマルノコを右手操作用と左手操作用とに兼用することはできない。
一般的に、右手操作用と左手操作用とに兼用できるマルノコの場合、右手操作用から左手操作用、あるいは左手操作用から右手操作用に変更する場合、マルノコの前後方向が逆になるため、それに合わせてモータの回転方向と鋸刃の向きを切替え、ハンドルの取付け位置を変更する必要がある。
ここで、前記マルノコを右手操作用、あるいは左手操作用に変更した場合、変更後のハンドルの取付け位置、及び鋸刃の向き等は、マルノコの外観から正常な状態か否かが判断可能である。しかし、モータの回転方向の切替えはスイッチ等の操作により行なわれるため、表示部の損傷や汚れ等で正常に切替えられたか否かが判断できない場合がある。また、モータの回転方向の切替え操作を忘れることがある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、マルノコを右手操作用、あるいは左手操作用に切替える際、ハンドルの位置変更動作によりモータの回転方向の切替えを行なえるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、被切断材である平板上を摺動可能に構成された平らな下面を備えるベースと、前記ベースの下面から一部が下方に突出するようにそのベースに支持された円盤状の鋸刃と、前記鋸刃を回転させるモータと、モータハウジングに取付けられたハンドルとを備え、作業者がハンドルを把持して前記ベースを前記平板に対して前進させることで、前記鋸刃の回転により前記平板を切断するマルノコであって、前記ハンドルは、前記ベースの前部を前にしてそのベースを前進させる場合の第1の取付け位置と、前記ベースの後部を前にしてそのベースを前進させる場合の第2の取付け位置とのいずれかに取付け可能に構成されており、前記ハンドルと前記モータハウジングとには、前記モータハウジングに対するハンドルの取付け位置を変更する動作により、前記モータの回転方向を切替えられるように構成された回転方向切替え手段が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、ハンドルは、ベースの前部を前にしてそのベースを前進させる場合の第1の取付け位置と、ベースの後部を前にしてそのベースを前進させる場合の第2の取付け位置とのいずれかに取付け可能に構成されている。即ち、ハンドルを右手操作用の位置、あるいは左手操作用の位置に取付けることが可能になる。
また、ハンドルとモータハウジングとには、モータハウジングに対するハンドルの取付け位置を変更する動作により、前記モータの回転方向を切替えられるように構成された回転方向切替え手段が設けられている。このため、前記ハンドルの取付け位置を第1の取付け位置と第2の取付け位置間で変更したときに、自動的に鋸刃の回転方向が切替わるようになる。
【0008】
請求項2の発明によると、回転方向切替え手段は、切替スイッチと、前記切替スイッチを動作させる動作部材とからなり、前記切替えスイッチは、前記モータハウジングに取付けられる構成で、第1突起と第2突起とを備え、前記第1突起が押込まれることで第2突起が前記モータハウジングの表面から突出する第1の状態と、前記第2突起が押込まれることで前記第1突起が前記モータハウジングの表面から突出する第2の状態とに切替わる構成であり、前記動作部材は、前記ハンドル側に設けられる構成で、押圧面と凹部とからなり、前記記ハンドルを前記モータハウジングに対する第1の取付け位置に取付ける動作により、前記動作部材の押圧面は前記切替スイッチの第1突起を押込み、前記凹部は前記モータハウジングの表面から突出する第2突起を収納し、前記ハンドルを前記モータハウジングの第2の取付け位置に取付ける動作により、前記押圧面は前記切替スイッチの第2突起を押込み、前記凹部は第1突起を収納できるように構成されていることを特徴とする。
このため、前記ハンドルをモータハウジングの第1の取付け位置、あるいは第2の取付け位置に取付けることで、確実にモータの回転方向を切替えることができる。
【0009】
請求項3の発明によると、回転方向切替え手段は、ハンドル内に設けられたモータの電気回路の一部と、モータハウジング内に設けられた前記モータの電気回路の一部とを接続可能に構成された前記ハンドル側及び前記モータハウジング側のコネクタであり、前記ハンドルを前記モータハウジングに対する第1の取付け位置に取付ける際に、前記双方のコネクタは前記電気回路が前記モータを正転させる回路構成となるように接続され、前記ハンドルを前記モータハウジングに対する第2の取付け位置に取付ける際に、前記双方のコネクタは前記電気回路が前記モータを逆転させる回路構成となるように接続されることを特徴とする。
このため、前記ハンドルをモータハウジングの第1の取付け位置、あるいは第2の取付け位置に取付けることで、確実にモータの回転方向を切替えることができる。
請求項4の発明によると、回転方向切替え手段は、切替スイッチと、前記切替スイッチを動作させる動作部材とからなり、前記切替えスイッチは、第1の位置と第2の位置との間を移動可能な可動部を備え、前記可動部が第1の位置にある第1の状態と、前記可動部が第2の位置にある第2の状態とに切替わる構成であり、前記動作部材は、前記ハンドルを前記モータハウジングの第1の取付け位置に取付ける動作により、前記切替スイッチの可動部を第2の位置から第1の位置まで押圧し、前記ハンドルを前記モータハウジングの第2の取付け位置に取付ける動作により、前記切替スイッチの可動部を第1の位置から第2の位置まで押圧できるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、マルノコを右手操作用、あるいは左手操作用に切替える際、ハンドルの位置変更動作によりモータの回転方向の切替えを行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、図1から図7に基づいて、本発明の実施形態1に係るマルノコの説明を行なう。図1、図2は本実施形態に係るマルノコの正面図、平面図であり、図3はマルノコのハンドルとモータハウジングの切替スイッチとの関係を表す模式図、図4はマルノコのモータの回路図である。また、図5から図7は変更例に係る切替スイッチの模式図、及びマルノコのモータの回路図である。
【0012】
<マルノコの構成概要について>
本実施形態のマルノコ10は、図1(B)に示すように、右手でハンドル30を把持して平板Bの端縁Beを切断する場合と、図2(B)に示すように、左手でハンドル30を把持して平板Bの端縁Beを切断する場合との双方で使用できるように構成されている。
前記マルノコ10は、前記ベース12と、そのベース12上の傾動機構13a,13bと、そのベース12上で傾動機構13a,13bにより一定範囲で傾斜可能に構成されたモータ14と、鋸刃20とを備えている。
ベース12は、平面角形に形成された前後方向に長い板状体であり、被切断材である平板B上をスライド可能なように平らな下面12bを備えている。また、ベース12の幅方向における一端縁際(図1(B)において下端縁際)には、鋸刃20を通す切欠き(図示省略)が形成されている。
モータ14は、前記ベース12の前後方向中央部上で横向きに配置されており、ベース12上の前端部と後端部とに設けられた傾動機構13a,13bを介して前記ベース12に連結されている。そして、モータ14は、傾動機構13a,13bの働きで、その軸心をベース12の下面12bと平行な状態から所定角度で傾斜する状態まで傾動可能に構成されている。
【0013】
モータ14の回転軸(図示省略)は、ギヤ機構(図示省略)に接続されており、前記回転軸と平行なギヤ機構のスピンドル24(図1参照)に円盤状の鋸刃20が同軸に装着されている。これにより、鋸刃20は傾動機構13a,13bの働きにより、モータ14と共にベース12の下面12bに対して直角な状態から所定角度まで傾斜可能となる。そして、前記鋸刃20の一部がベース12の端縁際に形成された切欠き(図示省略)に通された状態で、ベース20の下面から下方に突出している。なお、ベース20の下面に対する鋸刃20の突出量は突出量調整機構(図示省略)の働きで調整可能に構成されている。
また、鋸刃20の外周は、ベース12上の部分がブレードケース25によって覆われており、前記ベース12から下方に突出した部分が可動ブレードケース(図示省略)によって覆われている。可動ブレードケースは、鋸刃20が平板Bを切断する際にその平板Bに押圧されて円周方向に退避するため、鋸刃20と平板Bの接触を妨げない。
モータ14のハウジング14h(モータハウジング14h)には、上記したように右手でマルノコ10を操作する場合と左手でマルノコ10を操作する場合とで、取付け位置を変更できるように構成されたハンドル30が取付けられている。
【0014】
<ハンドル30について>
ハンドル30は、マルノコ10の使用者が平板Bを切断する際に把持する部分であり、図3(A)に示すように、握り部31の人差し指支持位置31mの近傍にモータ14を起動させるトリガスイッチ32が設けられている。また、ハンドル30の内部には、図4(A)(B)に示すように、モータ14の電気回路40の電源である電源装置41が収納されている。前記モータ14の電気回路40は、ハンドル30内の回路とモータハウジング14h内の回路とがコネクタCN1,CN2により相互に接続されることにより構成される。ここで、コネクタCN1のNo.1、No.2端子は、図3(B)(C)に示すように、ハンドル30の下側接合平面34に形成されており、コネクタCN2のNo.1、No .2端子は、モータハウジング14hの上部接合平面14zに形成されている。そして、ハンドル30がモータハウジング14hに対する第1の取付け位置(図3(A)の実線位置、図3(B)の位置)にあるとき、及びハンドル30がモータハウジング14hに対する第2の取付け位置(図3(A)の二点鎖線位置、図3(C)の位置)にあるときの双方で、前記コネクタCN1,CN2が相互に接続可能なように構成されている。
ここで、第1の取付け位置は、右手でマルノコ10を操作する場合のハンドル30の取付け位置であり、第2の取付け位置は、左手でマルノコ10を操作する場合のハンドル30の取付け位置である。
【0015】
また、モータハウジング14hの上部接合平面14zには、図3(B)(C)に示すように、電気回路40を構成する切替スイッチ43が取付けられている。切替スイッチ43は、ハンドル30の取付け位置に対応してモータ14の回転方向を切替えるスイッチであり、例えば、シーソー型のスイッチが使用される。即ち、切替スイッチ43は、第1突起43aと第2突起43bとを備えており、第1突起43aが押込まれると第2突起43bが突出する第1の状態となり、第2突起43bが押込まれると第1突起43bが突出する第2の状態となる。
ハンドル30は、モータハウジング14hに対する第1の取付け位置(図3(A)の実線位置、図3(B)の位置)で、そのハンドル30の下側接合平面34により切替スイッチ43の第1突起43aを押込めるように構成されている。また、ハンドル30の下側接合平面34には、前記第1の取付け位置で突出した第2突起43bを収納できる凹部35が形成されている。ここで、ハンドル30がモータハウジング14hに対する第2の取付け位置(図3(A)の二点鎖線位置、図3(C)の位置)に取付けられると、ハンドル30の下側接合平面34は第2突起43bを押込むとともに、突出した第1突起43aが凹部35に収納される。
即ち、ハンドル30の下側接合平面34が本発明における動作部材の押圧面に相当し、前記凹部35が本発明における動作部材の凹部に相当する。
【0016】
切替スイッチ43が前記第1の状態のときは、図4(A)に示すように、モータ14の電機子14aの第1端子(No.1)は、切替スイッチ43によってモータコイル14e、コネクタCN2のNo.1端子,コネクタCN1のNo.1端子を介して電源装置41に接続される。また、電機子14aの第2端子(No.2)は、切替スイッチ43によってモータコイル14f、コネクタCN2のNo.2端子,コネクタCN1のNo.2端子、ハンドル30のトリガスイッチ32を介して電源装置41に接続される。これにより、ハンドル30のトリガスイッチ32がオンすると、モータ14は正転方向に回転するようになる。
一方、前記切替スイッチ43が前記第2の状態のときは、図4(B)に示すように、モータ14の電機子14aの第1端子(No.1)は、切替スイッチ43によってモータコイル14f、コネクタCN2のNo.2端子、コネクタCN1のNo.1端子を介して電源装置41に接続される。また、モータ14の電機子14aの第2端子(No.2)は、切替スイッチ43によってモータコイル14e、コネクタCN2のNo.1端子、コネクタCN1のNo.2端子、ハンドル30のトリガスイッチ32を介して電源装置41に接続される。これにより、ハンドル30のトリガスイッチ32がオンすると、モータ14は逆転方向に回転するようになる。
【0017】
<本実施形態に係るマルノコ10の取り扱いについて>
右手操作用のマルノコ10の場合、図1に示すように、ハンドル30はモータハウジング14hに対する第1の取付け位置に取付けられている。この状態では、モータハウジング14hの切替スイッチ43は、第1突起43aが押込まれて第2突起43bが突出する第1の状態となる。さらに、ハンドル30のコネクタCN1と、モータハウジング14hのコネクタCN2とが接続される。これにより、図4(A)に示すように、モータ14の電機子14aの第1端子は切替スイッチ43によってモータコイル14e、コネクタCN1、CN2の両No.1端子を介して電源装置41に接続される。また、モータ14の電機子14aの第2端子は切替スイッチ43によってモータコイル14f、コネクタCN1、CN2の両No.2端子、ハンドル30のトリガスイッチ32を介して電源装置41される。このため、モータ14は正転方向に回転可能になる。
【0018】
次に、右手操作用のマルノコ10を、左手操作用に変更する場合には、先ず、ハンドル30の位置を変更する。即ち、ハンドル30をモータハウジング14hに対する第1の取付け位置から取外し、第2の取付け位置に取付ける。この状態では、モータハウジング14hの切替スイッチ43は、第2突起43bが押込まれて第1突起43aが突出する第2の状態となる。さらに、ハンドル30のコネクタCN1と、モータハウジング14hのコネクタCN2とが接続される。これにより、図4(B)に示すように、モータ14の電機子14aの第1端子は、切替スイッチ43によってモータコイル14f、コネクタCN1、CN2のNo.1端子、No.2端子を介して電源装置41に接続される。また、モータ14の電機子14aの第2端子は、切替スイッチ43によってモータコイル14e、コネクタCN1、CN2のNo.2端子、No.1端子、ハンドル30のトリガスイッチ32を介して電源装置41に接続される。このため、モータ14は逆転方向に回転可能になる。
このようにして、ハンドル30取付け位置を変更した後、鋸刃20を裏返して刃の向きを変更する。
【0019】
<本実施形態に係るマルノコ10の長所について>
本実施形態に係るマルノコ10によると、ハンドル30は、ベース12の前部を前にしてそのベースを前進させる場合の第1の取付け位置(右手操作用の位置)と、ベース12の後部を前にしてそのベースを前進させる場合の第2の取付け位置(左手操作用の位置)のいずれかに取付け可能に構成されている。即ち、ハンドル30を右手操作用の位置、あるいは左手操作用の位置に取付けることが可能になる。
また、モータハウジング14hには、そのモータハウジング14hに対するハンドル30の取付け位置を変更する動作により切替わる切替スイッチ43が設けられている。そして、切替スイッチ43によって、モータ14の回転方向が切替わるように構成されている。このため、ハンドル30の取付け位置を第1の取付け位置と第2の取付け位置間で変更したときに、自動的に鋸刃20の回転方向が切替わるようになる。
また、切替スイッチ43には、いわゆるシーソー型のスイッチが使用されるため、ハンドル30をモータハウジング14hの第1の取付け位置、あるいは第2の取付け位置に取付けることで、確実に切替えスイッチ43が動作するようになる。
【0020】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、シーソー型の切替スイッチ43を使用する例を示したが、図5に示すように、一方の突起45aを押込んだときに他方の突起45bが突出する押しボタン式のスイッチ45を使用することも可能である。
また、本実施形態では、モータハウジング14hに切替スイッチ43を設けてモータ14の回転方向を切替える例を示したが、図6、図7に示すように、モータハウジング14hに対するハンドル30の取付け位置に応じてコネクタCN1、CN2の接続部位が自動的に替わるようにし、モータ14の回転方向を切替える構成も可能である。
即ち、上記構成では、ハンドル30側のコネクタCN1は、No.1端子〜No.3端子、No.5端子、No.6端子、及びNo.8端子を備えており、モータハウジング14h側のコネクタCN2は、No.1端子〜No.8端子を備えている。そして、ハンドル30がモータハウジング14hに対する第1の取付け位置に取付けられる際に、コネクタCN1は、図6に示すように、コネクタCN2の端子に対して同じ向きに(接続端子が同一番号となるように)接続される。また、ハンドル30がモータハウジング14hに対する第2の取付け位置に取付けられる際に、コネクタCN1は、図7に示すように、コネクタCN2に対して逆向きに接続される。即ち、コネクタCN1のNo.1端子〜No.3端子がコネクタCN2のNo.8端子〜No.6端子、コネクタCN1のNo.5端子、No.6端子がコネクタCN2のNo.4端子、No.3端子、コネクタCN1のNo.8端子がコネクタCN2のNo.1端子に接続される。
【0021】
そして、前記コネクタCN1がコネクタCN2に対して同じ向きに接続された状態では、図6に示すように、電機子14aの第1端子は、コネクタCN1,CN2の両No.3端子、両No.2端子、モータコイル14e、両No.1端子を介して電源装置41に接続される。また、モータ14の電機子14aの第2端子(No.2)は、コネクタCN1,CN2の両No.6端子、両No.5端子、モータコイル14f、両No.8端子、ハンドル30のトリガスイッチ32を介して電源装置41に接続される。これにより、ハンドル30のトリガスイッチ32がオンすると、モータ13は正転方向に回転するようになる。
一方、コネクタCN1がコネクタCN2に対して逆向きに接続された状態では、図7に示すように、モータ14の電機子14aの第1端子(No.1)は、コネクタCN1,CN2のNo.3端子、No.6端子、No.5端子、No.4端子、モータコイル14f、No.8端子、No.1端子を介して電源装置41に接続される。また、モータ14の電機子14aの第2端子(No.2)は、コネクタCN1,CN2のNo.6端子、No.3端子、No.2端子、No.7端子、モータコイル14e、No.1端子、No.8端子、ハンドル30のトリガスイッチ32を介して電源装置41に接続される。これにより、ハンドル30のトリガスイッチ32がオンすると、モータ13は逆転方向に回転するようになる。
このように、モータハウジング14hに対するハンドル30の取付け位置に応じてコネクタCN1、CN2の接続位置が自動的に替わるようにすることで、モータ14の回転方向を切替えることが可能になる。
【0022】
また、図3に示すシーソー型の切替スイッチ43、図5に示す押しボタン式の切替スイッチ45を使用する代わりに、図8(A)(B)に示すように、レバー形の切替スイッチ143を使用することも可能である。レバー形の切替スイッチ143は、レバー143sが第1の位置(図8(B)点線参照)と第2の位置(図8(B)実線参照)との間で傾動することにより、第1の状態と第2の状態とに切替わるスイッチであり、モータハウジング14hの上部接合平面14zに設けられている。
一方、ハンドル30の下側接合平面34には、図8(A)に示すように、その下側接合平面34がモータハウジング14hの上部接合平面14zに合わせられた状態で、切替スイッチ143を収納できる凹部35が形成されている。
また、ハンドル30のコネクタCN1(No.1、 No.2端子)とモータハウジング14hのコネクタCN2(No.1、 No.2端子)とは、図8(A)に示すように、ハンドル30の下側接合平面34をモータハウジング14hの上部接合平面14zに当接させる際に接続されるように構成されている。そして、両コネクタCN1,CN2が接続されている状態で、図8(B)に示すように、ハンドル30をモータハウジング14hに対して矢印方向に摺動させ、コネクタCN1のNo.1、 No.2端子をコネクタCN2のNo.1、 No.2端子に沿わせることで、ハンドル30をモータハウジング14hに対する第2の取付け位置まで移動させることができる。また、ハンドル30を図8(B)に示す位置に対して左右対称に配置し、両コネクタCN1,CN2を接続した状態で、ハンドル30をモータハウジング14hに対して図8(B)の矢印と逆方向に摺動させることで、ハンドル30をモータハウジング14hに対する第1の取付け位置まで移動させることができる。
【0023】
ハンドル30の凹部35は、そのハンドル30がモータハウジング14hに対する第1の取付け位置、あるいは第2の取付け位置まで移動する際に、その凹部35の内壁面が切替スイッチ143の本体部分と干渉することなく、レバー143sの先端部のみを押圧できるように形成されている。即ち、凹部35は、切替スイッチ143の本体部分を収納する下側大空間部35bと、切替スイッチ143のレバー143sの先端部分を収納する上側小空間部35aとを備えている。そして、下側大空間部35bと上側小空間部35aとの境界部に切替スイッチ143のレバー143sの先端部を押圧可能な押圧面135が形成されている。
このため、図8(B)に示すように、両コネクタCN1,CN2が接続されている状態で、ハンドル30をモータハウジング14hに対する第2の取付け位置まで移動させる過程で、切替スイッチ143のレバー143sを凹部35の押圧面135で第1の位置(図8(B)点線参照)から第2の位置(図8(B)実線位置)まで傾動させることができる。また、ハンドル30を、図8(B)に示す位置に対して左右対称に配置し、両コネクタCN1,CN2が接続されている状態で、ハンドル30をモータハウジング14hに対する第1の取付け位置まで移動させることにより、切替スイッチ143のレバー143sを凹部35の押圧面135により第2の位置(図8(B)実線参照)から第1の位置(図8(B)点線位置)まで傾動させることができる。
このように、レバー形の切替スイッチ143を使用してもモータ14の回転方向を良好に切替えることができる。即ち、切替スイッチ143のレバー143sが本発明の可動部に相当し、凹部35の押圧面135が本発明の動作部材に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係るマルノコの正面図(A図)、平面図(B図)である。
【図2】本実施形態に係るマルノコの正面図(A図)、平面図(B図)である。
【図3】前記マルノコのモータハウジングに対するハンドルの取付け位置を表す模式図(A図)、前記ハンドルとモータハウジングの切替スイッチとの関係を表す模式図(B図、C図)である。
【図4】前記マルノコのモータの回路図(A図)(B図)である。
【図5】変更例に係るハンドルとモータハウジングの切替スイッチとの関係を表す模式図である。
【図6】変更例に係るマルノコのモータの回路図である。
【図7】変更例に係るマルノコのモータの回路図である。
【図8】変更例に係るハンドルとモータハウジングの切替スイッチとの関係を表す模式図である(A図)(B図)。
【符号の説明】
【0025】
B・・・・・・・平板(被切断材)
12・・・・・・ベース
14・・・・・・モータ
14h・・・・・モータハウジング
20・・・・・・鋸刃
30・・・・・・ハンドル
34・・・・・・下側接合平面(動作部材の押圧面)
35・・・・・・凹部(動作部材)
43・・・・・・切替スイッチ
43a・・・・・第1突起
43b・・・・・第2突起
45・・・・・・切替スイッチ(回転方向切替え手段)
CN1・・・・・コネクタ(回転方向切替え手段)
CN2・・・・・コネクタ(回転方向切替え手段)
135・・・・・押圧面(動作部材)
143・・・・・切替スイッチ
143s・・・・レバー(可動部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断材である平板上を摺動可能に構成された平らな下面を備えるベースと、前記ベースの下面から一部が下方に突出するようにそのベースに支持された円盤状の鋸刃と、前記鋸刃を回転させるモータと、モータハウジングに取付けられたハンドルとを備え、作業者がハンドルを把持して前記ベースを前記平板に対して前進させることで、前記鋸刃の回転により前記平板を切断するマルノコであって、
前記ハンドルは、前記ベースの前部を前にしてそのベースを前進させる場合の第1の取付け位置と、前記ベースの後部を前にしてそのベースを前進させる場合の第2の取付け位置とのいずれかに取付け可能に構成されており、
前記ハンドルと前記モータハウジングとには、前記モータハウジングに対するハンドルの取付け位置を変更する動作により、前記モータの回転方向を切替えられるように構成された回転方向切替え手段が設けられていることを特徴とするマルノコ。
【請求項2】
請求項1に記載されたマルノコであって、
前記回転方向切替え手段は、切替スイッチと、前記切替スイッチを動作させる動作部材とからなり、
前記切替えスイッチは、前記モータハウジングに取付けられる構成で、第1突起と第2突起とを備え、前記第1突起が押込まれることで第2突起が前記モータハウジングの表面から突出する第1の状態と、前記第2突起が押込まれることで前記第1突起が前記モータハウジングの表面から突出する第2の状態とに切替わる構成であり、
前記動作部材は、前記ハンドル側に設けられる構成で、押圧面と凹部とからなり、
前記記ハンドルを前記モータハウジングに対する第1の取付け位置に取付ける動作により、前記動作部材の押圧面は前記切替スイッチの第1突起を押込み、前記凹部は前記モータハウジングの表面から突出する第2突起を収納し、
前記ハンドルを前記モータハウジングの第2の取付け位置に取付ける動作により、前記押圧面は前記切替スイッチの第2突起を押込み、前記凹部は第1突起を収納できるように構成されていることを特徴とするマルノコ。
【請求項3】
請求項1に記載されたマルノコであって、
前記回転方向切替え手段は、前記ハンドル内に設けられた前記モータの電気回路の一部と、前記モータハウジング内に設けられた前記モータの電気回路の一部とを接続可能に構成された前記ハンドル側及び前記モータハウジング側のコネクタであり、
前記ハンドルを前記モータハウジングに対する第1の取付け位置に取付ける際に、前記双方のコネクタは前記電気回路が前記モータを正転させる回路構成となるように接続され、
前記ハンドルを前記モータハウジングに対する第2の取付け位置に取付ける際に、前記双方のコネクタは前記電気回路が前記モータを逆転させる回路構成となるように接続されることを特徴とするマルノコ。
【請求項4】
請求項1に記載されたマルノコであって、
前記回転方向切替え手段は、切替スイッチと、前記切替スイッチを動作させる動作部材とからなり、
前記切替えスイッチは、第1の位置と第2の位置との間を移動可能な可動部を備え、前記可動部が第1の位置にある第1の状態と、前記可動部が第2の位置にある第2の状態とに切替わる構成であり、
前記動作部材は、前記ハンドルを前記モータハウジングの第1の取付け位置に取付ける動作により、前記切替スイッチの可動部を第2の位置から第1の位置まで押圧し、前記ハンドルを前記モータハウジングの第2の取付け位置に取付ける動作により、前記切替スイッチの可動部を第1の位置から第2の位置まで押圧できるように構成されていることを特徴とするマルノコ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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