説明

マンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋

【課題】取り扱い易く、製造も容易である、マンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋を、提供すること。
【解決手段】補助梯子として機能する横枠21、22、23を有し、且つ、閉状態において地表開口部を塞ぐよう機能する、蓋本体2と、蓋本体2を蓋受け枠に開閉可能に支持する、支持部3と、蓋本体2を閉状態で蓋受け枠に解除可能に係止する係止部4と、を備えており、蓋本体2が、横枠21、22、23と一体の一対の縦縁枠25、26も有しており、1枚の金属板を打抜き加工した後に折り曲げ加工することによって、形成されており、横枠及び縦縁枠の周縁裏面に、折り曲げ加工によって起立した折り曲げ片を有している、ことを特徴とする、マンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールの地表開口部を開閉するようにマンホール蓋用蓋受け枠に取り付けられて、開状態では補助梯子として機能し、閉状態ではマンホールへの落下防止用の蓋として機能する、中蓋、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、図11に示されるように、マンホールの地表開口部90においては、マンホール蓋91を載せる蓋受け枠92に、中蓋1が取り付けられるようになってきている。この中蓋1は、マンホール作業中に作業者や作業道具等がマンホール内へ落下するのを防止するために、及び、補助梯子として利用するために、用いられている。このような落下防止兼補助梯子用中蓋は、例えば、特許文献1、2に開示されている。そして、それらの中蓋の蓋本体は、複数の横枠と、2本の真っ直ぐな縦縁枠と、で構成されており、横枠は、両端にて、縦縁枠にボルト固定されている。
【特許文献1】特開2002−38504号公報
【特許文献2】特開2003−20665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、中蓋は、マンホール作業において補助的目的のために使用されるものである。したがって、中蓋には、取扱い易さが求められている。しかしながら、特許文献1、2に示されている中蓋は、蓋本体に重量感があるために、取り扱い難く、しかも、製造も面倒である。
【0004】
本発明は、取り扱い易く、製造も容易である、マンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マンホールの地表開口部を開閉するようにマンホール蓋用蓋受け枠に取り付けられて、開状態では補助梯子として機能し、閉状態ではマンホールへの落下防止用の蓋として機能する、中蓋において、補助梯子として機能する横枠を有し、且つ、閉状態において地表開口部を塞ぐよう機能する、蓋本体と、蓋本体を上記蓋受け枠に開閉可能に支持する、支持部と、蓋本体を閉状態で上記蓋受け枠に解除可能に係止する係止部と、を備えており、蓋本体が、横枠と一体の一対の縦縁枠も有しており、1枚の金属板を打抜き加工した後に折り曲げ加工することによって、形成されており、横枠及び縦縁枠の周縁裏面に、折り曲げ加工によって起立した折り曲げ片を有している、ことを特徴とする、マンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋である。
【0006】
なお、上記金属板としては、ステンレス鋼板を用いるのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓋本体が1枚の金属板を打抜き加工した後に折り曲げ加工することによって形成されているので、容易に製造できる。したがって、生産性を向上できる。しかも、蓋本体が1枚の金属板からなる一体物であり且つ横枠や縦縁枠の周縁裏面に起立した折り曲げ片を有しているので、マンホール用の落下防止兼補助梯子として必要とされる強度を保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明のマンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋の上方斜視図、図2は下方斜視図、図3は平面図、図4は図3のIV矢視図、図5は図3のV矢視図である。この中蓋1は、蓋本体2、支持部3、及び係止部4からなっている。ところで、図11に示されるように、マンホールの地表開口部90には、マンホール蓋91が載せられる平面視環状の蓋受け枠92が、設けられている。中蓋1は、この蓋受け枠92に取り付けて用いられる。
【0009】
蓋本体2は、3本の横枠21、22、23と、2本の縦縁枠25、26と、からなっている。なお、縦縁枠25、26は、それぞれ、平面視で外側へ膨出した形態を有している。
【0010】
支持部3は、2本の縦縁枠25、26の基端に設けられた、2個の支持体31と、水平な回動軸32と、からなっている。支持体31は、蓋受け枠92を上下から挟持する挟持部311と、回動軸32に回動自在に連結している連結部312と、からなっている。支持体31は、挟持部311によって蓋受け枠92を挟持することによって、蓋受け枠92に固定される。2個の支持体31は、互いに左右対称に構成されている。回動軸32は、蓋本体2の2本の縦縁枠25、26の基端に、回動自在に支持されている。なお、回動軸32としては、樹脂製のパイプを用いるのが好ましい。したがって、蓋本体2は、基端側が蓋受け枠92に支持された状態で、回動軸32を中心として、図4の矢印に示されるように、回動するようになっている。
【0011】
係止部4は、2本の縦縁枠25、26の先端に設けられた、2個の上部材41と、2個の上部材41の下方に隙間44(図4)を隔てて位置する、2個の下部材42と、2個の下部材42を縦方向にスライドさせるスライド機構43と、からなっている。隙間44は、蓋受け枠92を受け入れる大きさを有している。上部材41は、蓋受け枠92に上から掛けられるよう設けられている。スライド機構43は、2個の下部材42を連結した横フレーム431と、2本の縦縁枠25、26の先端に固定された横軸432と、一端が横軸432に固定され且つ他端が横フレーム431に固定された、2個のスプリング433と、からなっている。なお、横軸432としては、樹脂製のパイプを用いるのが好ましい。下部材42は、スプリング433によって先端側へ常時付勢されている。したがって、下部材42をスプリング433に抗して基端側にスライドさせた状態で上部材41を蓋受け枠92に上から掛け、スプリング433の力によって下部材42を先端側にスライドさせると、蓋受け枠92が上部材41と下部材42との間の隙間44に位置し、これにより、蓋本体2は、蓋受け枠92に対して係止状態となる。なお、下部材42をスプリング433に抗して基端側にスライドさせると、蓋本体2は蓋受け枠92に対して解除状態となる。したがって、蓋本体2は、係止部4によって、蓋受け枠92に対して解除可能に係止される。
【0012】
そして、本発明では、蓋本体2が、1枚の金属板を打抜き加工した後に折り曲げ加工することによって、形成されている。金属板としては、例えばステンレス鋼板が用いられる。具体的には、1枚の金属板を打抜き加工することによって、図6に示されるような型板200を形成する。この型板200は、3本の横枠21、22、23と、2本の縦縁枠25、26と、それらの枠の周縁の折り曲げ片271〜294と、を有している。図中、一点鎖線は折り曲げ線である。そして、それぞれの折り曲げ片271〜294を折り曲げて裏面側にて起立させる。これにより、図7に示される形態の蓋本体2が、得られる。図7は蓋本体2の平面図、図8は図7のVIII矢視図、図9は図7のIX矢視図、図10は図7のX−X断面図である。したがって、蓋本体2は、3本の横枠21、22、23と2本の縦縁枠25、26とを有しながらも1枚の金属板からなる一体物であり、且つ、枠の周縁裏面に起立した折り曲げ片271〜294を有している。例えば折り曲げ片286、287は、図10に示されるように、裏面側において起立している。
【0013】
上記構成の中蓋1によれば、閉状態すなわち蓋本体2が係止部4によって蓋受け枠92に係止されている状態において、蓋本体2がマンホールの地表開口部を塞ぐこととなるので、作業者や作業道具等がマンホールへ落下するのを防止できる。また、上記構成の中蓋1によれば、開状態すなわち蓋本体2が図4の一点鎖線で示されるように起立している状態において、横枠21、22、23がマンホールに出入りする作業者にとっての手摺り等として役立つので、補助梯子として機能できる。したがって、上記構成の中蓋1は、マンホール用の落下防止兼補助梯子として機能できる。
【0014】
そして、上記構成の中蓋1によれば、蓋本体2が1枚の金属板を打抜き加工した後に折り曲げ加工することによって形成されているので、容易に製造できる。したがって、生産性を向上できる。しかも、上記構成の中蓋1によれば、蓋本体2が1枚の金属板からなる一体物であり且つ横枠21、22、23や縦縁枠25、26の周縁裏面に起立した折り曲げ片271〜294を有しているので、マンホール用の落下防止兼補助梯子として必要とされる強度を保持できる。
【0015】
なお、蓋本体2を構成する金属板としては、鉄板、アルミニウム板、チタン板等を用いてもよい。
【0016】
また、横枠の数は、上述した3本に限らず、2本又は4本以上でもよい。また、縦縁枠の他に、同様の構成の縦枠が、横方向中程に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のマンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋は、取り扱い易く、製造も容易であるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のマンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋の上方斜視図である。
【図2】図1の中蓋の下方斜視図である。
【図3】図1の中蓋の平面図である。
【図4】図3のIV矢視図である。
【図5】図3のV矢視図である。
【図6】打抜き加工後の型板の平面図である。
【図7】折り曲げ加工後の蓋本体の平面図である。
【図8】図7のVIII矢視図である。
【図9】図7のIX矢視図である。
【図10】図7のX−X断面図である。
【図11】マンホールの地表開口部を示す上方斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 中蓋 2 蓋本体 21、22、23 横枠 25、26 縦縁枠 3 支持部 4 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの地表開口部を開閉するようにマンホール蓋用蓋受け枠に取り付けられて、開状態では補助梯子として機能し、閉状態ではマンホールへの落下防止用の蓋として機能する、中蓋において、
補助梯子として機能する横枠を有し、且つ、閉状態において地表開口部を塞ぐよう機能する、蓋本体と、
蓋本体を上記蓋受け枠に開閉可能に支持する、支持部と、
蓋本体を閉状態で上記蓋受け枠に解除可能に係止する係止部と、を備えており、
蓋本体が、横枠と一体の一対の縦縁枠も有しており、1枚の金属板を打抜き加工した後に折り曲げ加工することによって、形成されており、横枠及び縦縁枠の周縁裏面に、折り曲げ加工によって起立した折り曲げ片を有している、ことを特徴とする、マンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋。
【請求項2】
上記金属板が、ステンレス鋼板である、請求項1記載のマンホール用の落下防止兼補助梯子用中蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−256877(P2009−256877A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103615(P2008−103615)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)
【Fターム(参考)】