説明

モニタカバー付き電子カメラおよびモニタカバー

【課題】開位置(モニタ画面を覆わない位置)にあるモニタカバーがカメラの取り扱いの邪魔にならないようにする。
【解決手段】開位置にあるモニタカバー50は、カメラ底面に形成された凹部31Aに収容された状態で固定される。一方、閉位置にあるモニタカバー50は、カメラ背面に形成された凹部2Aに収容された状態で固定され、モニタ画面を覆う。開位置および閉位置におけるモニタカバー50の固定は、モニタカバー50に設けた磁石54と、それぞれの凹部3A,2Aに設けた磁性体32,23との吸着によってなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタ画面を覆うモニタカバーおよびこれを有する電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示が可能な液晶モニタを有し、その画面をモニタカバー(液晶カバー)で覆うことが可能な電子カメラが特許文献1に記載されている。モニタカバーは、モニタ画面を覆う閉位置と、モニタ画面を露出させる開位置との間で回動可能であり、閉位置においては、モニタカバーに設けた窓を介してモニタ画面を視認できる。一方、モニタカバーを開位置にしたときは、モニタ画面の表示をモニタカバーの内面で反射させて視認することができる。
【0003】
【特許文献1】特許第3631610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1のカメラにおいて、モニタ画面の表示をモニタカバーで反射させて見る場合は、モニタカバーをカメラ本体に対して半開きの状態とする必要がある。しかし、反射機能を持たない通常のモニタカバーの場合は、半開きのカバーはカメラを取り扱う上で著しく邪魔となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るモニタカバー付き電子カメラは、カメラの外観カバーに配置されるモニタ画面と、モニタ画面を覆う閉位置と、モニタ画面から退避する開位置との間で移動可能なモニタカバーと、モニタカバーを閉位置で固定するとともに、開位置においては、モニタカバーを外観カバーに沿う状態で固定する固定機構とを具備することを特徴とする。
開位置にあるモニタカバーが、外観カバーに形成した凹部に収容された状態で固定されるようにしてもよい。
モニタカバーが閉位置にあってもモニタ画面を視認できるように、モニタカバーの少なくともモニタ画面に対応する箇所を透明部材で構成してもよい。モニタカバーのうちモニタ画面に対応する箇所以外は、モニタ画面が配置される外観カバーの表面と同色としてもよい。
モニタ画面を外観カバーに形成したモニタ配置用凹部の底面に配置し、閉位置にあるモニタカバーは、モニタ配置用凹部に収容された状態で固定されるようにしてもよい。
開位置にあるモニタカバーが、モニタ画面が設けられる面と交叉する面に沿う状態で固定されるようにしてもよい。モニタ画面をカメラ背面に設け、開位置にあるモニタカバーは、カメラ底面に沿う状態で固定されるようにしてもよい。
閉位置にあるモニタカバーが、モニタ画面と隣接して設けられた操作部材をも覆うようにしてもよい。
モニタカバーを外観カバーに着脱可能に取り付けてもよい。
本発明に係るモニタカバーは、カバー本体と、カバー本体がカメラのモニタ画面を覆う閉位置と、モニタ画面から退避する開位置との間で移動できるようにカバー本体をカメラに支持する支持部と、カバー本体を前記閉位置で固定するとともに、開位置にあるカバー本体をカメラの外面に沿った状態で固定するための固定部とを具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、開位置(モニタ画面を覆わない位置)にあるモニタカバーがカメラの取り扱いの邪魔になることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図6により本発明の一実施の形態を説明する。
図1,図3は本発明に係る一眼レフタイプの電子カメラの背面図、図2,図4はそれぞれ横断面図である。1はカメラの外観カバーを構成する上カバー、2は同背面カバー、3は同底カバーである。上カバー1の背面には、ファインダ接眼窓11および接眼目当て12が設けられる。背面カバー2には、例えば液晶モニタ等のモニタ画面21(図3)が配置されるとともに、その両側に複数の操作部材22が配置される。モニタ画面21は、背面カバー2に形成された凹部2Aの底面に配置されるので、操作部材22が設けられる面よりも一段低い位置にある。モニタ画面21には、撮像した画像の表示やメニュー表示などが可能とされる。
【0008】
画面保護用のモニタカバー50は、例えば樹脂製の不透明のカバー本体51に略矩形の窓を形成して成り、窓には透明部材52(例えば、アクリル板)が嵌め込まれている。カバー本体51に設けられたヒンジ部53は、底カバー3に取り付けられた軸部材31に回動可能に軸支され、これによりモニタカバー50は、図1,図2に示す閉位置と、図3,図4に示す開位置との間で回動可能とされる。
【0009】
モニタカバー50は、背面カバー2の凹部2Aと略同形状とされ、閉位置にしたときに凹部2Aに収容される。このとき、カバー本体51に埋め込まれた永久磁石54と、背面カバー2の凹部2Aに埋め込まれた磁性体23とが吸着し、モニタカバー50は閉位置で固定される。この閉位置では、モニタカバー50がモニタ画面21を覆って画面の保護を図りつつ、透明部材52を介してモニタ画面全体を視認可能である。
【0010】
また図2から分かるように、凹部2Aに収容されたモニタカバー50は、背面カバー2の表面(操作部材22が設けられる面)から後方に突出しないので、モニタカバー50が浮き上がって見えることがなく、カメラの見栄えを損なうことがない。さらに、カバー本体51を背面カバー2と同色(例えば、黒色)とし、表面処理も両者同一とすることで、あたかもモニタカバー50が背面カバー2の一部であるかのように見せることも可能である。
【0011】
したがって、通常はモニタカバー50を閉位置に固定しておくことが画面保護の観点からは望ましいが、透明部材52に汚れや傷がついたり、透明部材52の反射が気になるような場合は、モニタ画面21を直接視認すべくモニタカバー50を閉位置から開位置に移動させる。移動は、モニタカバー50に開方向の力を加えて磁石54によるロックを外し、そのまま約270度回動させて開位置にもたらすだけでよい。図5はモニタカバー50を約180度開いた状態を示している。開位置では、底カバー3に設けた凹部3Aにモニタカバー50が収容され、カバー本体51の磁石54と、凹部3Aに埋め込まれた磁性体32(図4)とが吸着し、モニタカバー50はこの状態で固定される。
【0012】
このように、モニタカバー50をカメラ底面に沿った状態で固定できるので、カメラの取り扱いに何ら邪魔になることはない。また、モニタカバー50をカメラから取り外して別に保管する必要もないので、紛失のおそれもなく、さらにモニタカバー50を落下させて破損に至らしめる心配もない。なお、底カバー3には三脚座(不図示)が設けられるが、これは凹部3Aから外れた位置にあり、モニタカバー50の開閉状態に拘わらず三脚取り付けに支障を来すことはない。
【0013】
しかも図3,図4から分かるように、凹部3Aに収容されたモニタカバー50は、底カバー3の表面、つまりカメラ底面から下方に突出しないので、カメラを机上などに置く際に安定性を損なうことがなく、またカメラ底面にバッテリパックなどのアクセサリを取り付ける場合にも何ら支障を来すことはない。
モニタカバー50を開位置から閉位置に戻すには、上述と逆方向に回動させるだけでよい。
【0014】
ここで、モニタカバー50のヒンジ部53は可撓性の部材で構成されているため、モニタカバー50を半開状態にして引っ張ることで、図6に示すようにモニタカバー50を簡単に軸部材31から取り外すことができる。また軸部材31への装着も容易である。したがって、モニタカバー50が傷付いたり破損した場合は、容易に新品と交換することができる。
【0015】
図7はモニタカバー50’で操作ボタン22をも覆うようにした例を示し、先の実施形態と同様の機能を果たす部材には同一の符号を付してある。このようにすることで、操作ボタン22の誤操作を防止できるとともに、操作ボタン22と背面カバー2の隙間からのゴミの侵入を防止できる。
【0016】
なお以上では、閉位置と開位置との間でモニタカバー50を約270度回動するようにしたが、例えばモニタカバー50を閉位置から約90度回動してカメラ底面と平行にし、その状態でモニタカバー50を回動軸ごとスライドさせて凹部3Aに収納し(閉位置)、逆の動作で開位置にもたらすようにしてもよい。あるいはモニタカバーを単にスライドさせることで開閉する構成でもよい。
【0017】
また、モニタカバーを開いてモニタ画面を視認することを前提とした場合は、モニタカバーに窓および透明部材は必ずしも必要ではない。逆にモニタカバー全体を透明部材で構成しても構わない。また透明、一部透明および不透明のモニタカバーを用意しておき、ユーザが好みに応じて付け替えられるようにしてもよい。
【0018】
モニタカバーを閉/開位置で固定する機構は磁石に限定されず、例えばスナップフィット式でもよい。またモニタ画面の位置は背面に限定されず、モニタカバーが開位置において沿う面も底面に限定されない。さらに、一眼レフタイプの電子カメラにて説明したが、コンパクトタイプの電子カメラにも本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態における電子カメラの背面図で、モニタカバーが閉位置にある状態を示す。
【図2】図1のカメラの側面断面図。
【図3】図1と同様の図で、モニタカバーが開位置にある状態を示す。
【図4】図3のカメラの側面断面図。
【図5】モニタカバーが半開状態にあるときのカメラの側面断面図。
【図6】モニタカバーを取り外した状態を示すカメラの側面断面図。
【図7】他の実施形態における電子カメラの背面図。
【符号の説明】
【0020】
1 上カバー
2 背面カバー
2A,3A 凹部
3 底カバー
21 モニタ画面
22 操作ボタン
23,32 磁性体
31 回動軸
50 モニタカバー
51 カバー本体
52 透明部材
53 ヒンジ部
54 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの外観カバーに配置されるモニタ画面と、
前記モニタ画面を覆う閉位置と、該モニタ画面から退避する開位置との間で移動可能なモニタカバーと、
該モニタカバーを前記閉位置で固定するとともに、前記開位置においては、該モニタカバーを前記外観カバーに沿う状態で固定する固定機構とを具備することを特徴とするモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項2】
前記開位置にあるモニタカバーは、前記外観カバーに形成した凹部に収容された状態で固定されることを特徴とする請求項1に記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項3】
前記モニタカバーは、前記閉位置にあっても前記モニタ画面を視認できるように、少なくともモニタ画面に対応する箇所が透明部材で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項4】
前記モニタカバーのうち前記モニタ画面に対応する箇所以外は、前記モニタ画面が配置される前記外観カバーの表面と同色とされることを特徴とする請求項3に記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項5】
前記モニタ画面は、前記外観カバーに形成したモニタ配置用凹部の底面に配置され、前記閉位置にあるモニタカバーは、前記モニタ配置用凹部に収容された状態で固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項6】
前記開位置にあるモニタカバーは、前記外観カバーの前記モニタ画面が設けられる面と交叉する面に沿う状態で固定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項7】
前記モニタ画面が設けられる面はカメラ背面であり、前記開位置にあるモニタカバーは、カメラ底面に沿う状態で固定されることを特徴とする請求項6に記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項8】
前記閉位置にあるモニタカバーは、前記モニタ画面と隣接して設けられた操作部材をも覆うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項9】
前記モニタカバーは、前記外観カバーに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のモニタカバー付き電子カメラ。
【請求項10】
カバー本体と、
該カバー本体がカメラのモニタ画面を覆う閉位置と、該モニタ画面から退避する開位置との間で移動できるようにカバー本体をカメラに支持する支持部と、
前記カバー本体を前記閉位置で固定するとともに、前記開位置にあるカバー本体をカメラの外面に沿った状態で固定するための固定部とを具備することを特徴とするモニタカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−15126(P2008−15126A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185155(P2006−185155)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】