説明

モノブロック型エンジン

【課題】組み立てが容易で、しかも高速回転時のバルブの追従性を良好にすることができるモノブロック型エンジンを提供する。
【解決手段】クランク軸を26支持するシリンダブロック22と、吸気通路及び排気通路46を備えたシリンダヘッド42とを備えている。シリンダブロック22及びシリンダヘッド42は、機械加工された対向面を有しない単一のモノブロック部材48からなっている。シリンダブロック22及びクランクケース88は、ピストンの往復動軸線に対して傾斜した平面上にある境界面に沿う合わせ面90及び91を有していて、これらの合わせ面を突き合わせた状態でクランクケース88がシリンダブロック22に取り付けられている。シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面に設けられたクランク軸支持部及びカム軸支持部にクランク軸24及びカム軸70が支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダヘッドとシリンダブロックとが一体に形成されたモノブロック形エンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンは、シリンダを有するシリンダブロックと、シリンダ内に開口した燃焼室と該燃焼室内に開口した吸気ポート及び排気ポートと吸気ポート及び排気ポートにそれぞれ一端が接続された吸気通路及び排気通路とを有するシリンダヘッドと、吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉する吸気バルブ及び排気バルブと、シリンダ内に往復動自在に嵌合されたピストンと、シリンダブロックに取り付けられたクランクケースと、シリンダブロック及びクランクケースに対して支持されてピストンにより駆動されるクランク軸と、シリンダブロック及びクランクケースに対して支持されてクランク軸により減速歯車機構を介して駆動されるカム軸とを備えている。また、オーバヘッドバルブ式のエンジンにおいては、カム軸により駆動される第1及び第2のプッシュロッドと、第1及び第2のプッシュロッドによりそれぞれ駆動されて吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動する第1及び第2のロッカーアームとが設けられている。
【0003】
通常のエンジンでは、シリンダブロック及びシリンダヘッドが別体に構成されていて、、シリンダブロック及びシリンダヘッドが一対の機械加工された対向面で結合され、該対向面の間にガスケットが設けられている。このような構造では、部品点数が多くなって構造が複雑になるのを避けられない。
【0004】
そこで、特許文献1や特許文献2に示されているように、シリンダブロックとシリンダヘッドとを一体化して単一のモノブロック部材としたモノブロック型のエンジンが開発された。シリンダブロックとシリンダヘッドとを一体化すると、部品点数を削減して構造の簡素化を図ることができる。
【0005】
特許文献1に示されているように、モノブロック型のエンジンにおいては、シリンダブロック及びクランクケースに、ピストンの移動方向と直交する平面に沿う合わせ面が設けられていて、シリンダブロックの合わせ面とクランクケースの合わせ面とが突き合わせ接続され、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面に設けられた支持部にクランク軸及びカム軸が支持される。
【0006】
このように、シリンダブロックの合わせ面とクランクケースの合わせ面との間にクランク軸及びカム軸を支持するようにすると、クランク軸とカム軸とを同時に組み付けることが可能になり、エンジンの組立を容易にすることができる。また、クランク軸とカム軸とを同時に組み付けることができるため、クランク軸とカム軸との間に設ける減速機構を構成するタイミングギアの合わせマークを合わせ間違うおそれを無くすことができ、品質の安定化を図ることができる。
【特許文献1】特開平11−107849号公報
【特許文献2】米国特許第4,938,183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のこの種のエンジンにおいては、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面がピストンの移動方向と直交する平面に沿うように設けられていたため、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面に設けられた支持部にクランク軸及びカム軸を支持した場合、カム軸とロッカーアームとの間の距離が長くなるのを避けられなかった。カム軸とロッカーアームとの間の距離が長くなると、プッシュロッドが長くなって、機関の高速回転時にプッシュロッドが湾曲し易く、また慣性重量も増加するため、機関の高速回転時に吸気バルブ及び排気バルブの追従性が悪くなるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、構造の簡素化を図り、組立を容易にするとともに、プッシュロッドの長さを短くして、高速回転時のバルブの追従性を良好にすることができるようにしたモノブロック型エンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シリンダを有するシリンダブロックと、シリンダ内に開口させられる吸気ポート及び排気ポートと吸気ポート及び排気ポートにそれぞれ一端が接続された吸気通路及び排気通路とを有するシリンダヘッドと、吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉する吸気バルブ及び排気バルブと、シリンダ内に往復動自在に嵌合されたピストンと、シリンダブロックに取り付けられたクランクケースと、シリンダブロック及びクランクケースに対して支持されてピストンにより駆動されるクランク軸と、シリンダブロック及びクランクケースに対して支持されてクランク軸により減速歯車機構を介して駆動されるカム軸と、カム軸により駆動されて吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動する第1及び第2のプッシュロッドとを備え、シリンダブロックとシリンダヘッドとが単一の一体型モノブロック部材からなっているモノブロック型エンジンを対象とする。
【0010】
本発明においては、シリンダブロック及びクランクケースが、前記ピストンの往復動軸線に対して傾斜した平面上にある境界面に沿う合わせ面を有していて、シリンダブロックの合わせ面とクランクケースの合わせ面とを境界面を間にして突き合わせた状態でクランクケースがシリンダブロックに取り付けられる。また、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面に、クランク軸支持部及びカム軸支持部が設けられ、クランク軸及びカム軸は互いに平行に設けられて、それぞれの軸線を前記境界面上に位置させた状態でクランク軸支持部及びカム軸支持部にそれぞれ支持されている。本発明においては、カム軸支持部が、クランク軸支持部よりもシリンダヘッド側に偏った位置に設けられている。
【0011】
上記のように、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面にクランク軸支持部及びカム軸支持部を設けて、これらの支持部によりクランク軸及びカム軸を支持するようにすると、クランク軸とカム軸とを同時に組み付けることが可能になり、エンジンの組立を容易にすることができる。また、クランク軸とカム軸とを同時に組み付けることができるため、クランク軸とカム軸との間に設ける減速機構を構成するタイミングギアの合わせマークを合わせ間違うおそれを無くすことができ、品質の安定化を図ることができる。
【0012】
従来のエンジンでは、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面にクランク軸支持部及びカム軸支持部を設けると、カム軸とロッカアームとの間の距離が長くなり、プッシュロッドの長さが長くなるのを避けられなかったが、本発明では、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面をピストンの往復動軸線に対して傾斜させて、カム軸支持部をクランク軸支持部よりもシリンダヘッド側に偏った位置に設けたので、カム軸とロッカアームとの間の距離を短くすることができ、これによりプッシュロッドを短くすることができるため、機関の高速回転時にプッシュロッドが湾曲するのを防ぐとともに慣性重量を減らして、吸気バルブ及び排気バルブの追従性を良好にすることができる。
【0013】
本発明の好ましい態様では、シリンダヘッド及びシリンダブロックの内部に冷却媒体通路が形成され、排気通路は、冷却媒体通路と隣り合うように設けられて、排気通路と冷却媒体通路との間の隔壁が排気通路に面する第1の面と冷却媒体通路に面する第2の面とを有している。排気通路及び冷却媒体通路は同方向に直線的に伸びるように設けられ、吸気通路は、排気通路及び冷却媒体通路が延びる方向とは異なる方向に直線的に伸びるように設けられている。
【0014】
上記のように、吸気通路、排気通路及び冷却媒体通路を直線的に設けると、シリンダブロック及びシリンダヘッドを鋳造する際にこれらの通路を成形するための中子を簡単に抜くことができるため、シリンダブロック及びシリンダヘッドの鋳造を容易にすることができ、エンジンの製造能率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明よれば、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面にクランク軸支持部及びカム軸支持部を設けて、これらの支持部によりクランク軸及びカム軸を支持するので、クランク軸とカム軸とを同時に組み付けることが可能になり、エンジンの組立を容易にすることができる。また、クランク軸とカム軸とを同時に組み付けることができるため、クランク軸とカム軸との間に設ける減速機構を構成するタイミングギアの合わせマークを合わせ間違うおそれを無くすことができ、品質の安定化を図ることができる。
【0016】
特に本発明によれば、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面をピストンの往復動軸線に対して傾斜させて、カム軸支持部をクランク軸支持部よりもシリンダヘッド側に偏った位置に設けたので、カム軸とロッカアームとの間の距離を短くしてプッシュロッドを短くすることができ、機関の高速回転時にプッシュロッドが湾曲するのを防ぐとともに慣性重量を減らして、吸気バルブ及び排気バルブの追従性を良好にすることができる。
従って、エンジンの高速時の性能を犠牲にすることなく、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面にクランク軸及びカム軸を取り付ける構造を採用して、エンジンの組み立てを容易にするとともに品質の安定化を図ることができる。
【0017】
また本発明において、吸気通路、排気通路及び冷却媒体通路を直線的に設けた場合には、シリンダブロック及びシリンダヘッドを鋳造する際にこれらの通路を成形するための中子を簡単に抜くことができるため、シリンダブロック及びシリンダヘッドの鋳造を容易にしてエンジンの製造能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1ないし図9は、シリンダブロック22及びシリンダヘッド42を備えたエンジン20を示している。シリンダブロック22は、クランク軸26(図4,7参照)を符号24で示されたクランク軸支持部で支持している。クランク軸26は、シリンダ32(図6参照)内で往復動軸線34(図7参照)に沿って往復動する往復動ピストン30により駆動されて回転軸線28(図3,図7参照)の回りを回転する。クランク軸26のクランクロッド40には、符号38で示した部分でコネクティングロッド36が支持されている。シリンダヘッド42は、ピストン30を駆動するために可燃性の燃料と空気との混合気を供給するための吸気通路44と、燃焼生成物を排出するための排気通路46とを有している。これらの点は既に知られているが、本発明では、図7に示されているように、シリンダブロック22及びシリンダヘッド42が、機械加工された対向面と該対向面間に介在するヘッド・ガスケットとを有しない単一、一体型のモノブロック部材48からなっている。
【0019】
従来技術では、図5に示されているように、シリンダブロック22a及びシリンダヘッド42aが別体に形成されていて、機械加工された対向面22b及び42bと、該対向面間に介在するヘッドガスケット50とを有していた。また図5に示された従来技術では、シリンダ32内に開口させられる吸気ポート41a及び排気ポート43aと、吸気ポート41a及び排気ポート43aにそれぞれ一端が接続された吸気通路44a及び排気通路46aとがシリンダヘッド42a内に設けられていた。
【0020】
これに対し、本発明においては、図6に示したように、シリンダブロック22及びシリンダヘッド42が単一の一体型モノブロック部材48からなっていて、対向面を有しておらず、対向面間に介在するヘッドガスケットも有していない。
【0021】
本実施形態においては、全体を単一のモノブロック部材として形成されたシリンダヘッド42及びシリンダブロック22内に1以上の冷却媒体通路52が連続的に形成され、この冷却媒体通路52内の冷却液によりエンジン20が冷却される。
【0022】
好ましい実施形態においては、図8及び図9に示されているように、排気通路46と、1以上の冷却媒体通路52とが、両者間に設けられたシリンダヘッドの共通の壁部54を共有しており、該共通の壁部54は、排気通路46に面する第1の面56と、第1の面と反対側で冷却媒体通路52に面する第2の面58とを有している。必要に応じて、サーモスタット用開口部59(図1及び図2参照)が設けられる。
【0023】
図9に示されているように、本発明の好ましい実施形態においては、吸気通路44及び排気通路46がそれぞれ、直線的な型抜き通路60及び62に沿って伸びていて、モノブロック部材を鋳造する際にシリンダヘッド及びシリンダブロックに吸気通路44及び排気通路46を連続的に成形するための中子(コア)を直線的に型抜きする(引き抜く)ことができるようになっている。冷却媒体通路52は、直線的な型抜き通路64に沿って伸びるように設けられており、これにより、シリンダヘッド及びシリンダブロックに冷却媒体通路52を連続的に形成するための中子を直線的に型抜きすることを可能にしている。排気通路46及び冷却媒体通路52を成形する中子は、同じ型抜き方向62及び64に沿って型抜きされる。図示の例では、吸気通路44を成形する中子が、排気通路46及び冷却媒体通路52の型抜き方向62及び64とは異なる方向に型抜きされるように吸気通路44と排気通路46及び冷却媒体通路52とが設けられている。
【0024】
本実施形態のエンジンは、クランク軸をほぼ垂直方向に向けた状態で使用される4ストローク機関で、図5に示された従来例と同様に、シリンダ32内に開口した吸気ポート41及び排気ポート43(図6参照)と吸気通路44及び排気通路46とがシリンダヘッド42内に設けられている。吸気通路44及び排気通路46は、モノブロック部材48を構成するシリンダヘッド及びシリンダブロックに連続的に形成されていて、それぞれの一端が吸気ポート41及び排気ポート43に通じている。
【0025】
エンジンはまた、吸気ポート41及び排気ポート43をそれぞれ開閉する吸気バルブ66及び排気バルブ68を備えている。吸気バルブ66は、吸気ポート41を開閉する弁体66aと該弁体に連結された操作軸66bとからなり、排気バルブ68は、排気ポート43を開閉する弁体68aと、該弁体68aに連結された操作軸68bとからなっている。
吸気バルブ66及び排気バルブ68は、後記するカム軸の回転によりプッシュロッドとロッカーアームとを介して所定のタイミングで駆動される。吸気バルブ66は、エンジンの行程が吸気行程にあるときに吸気ポート41を開き、排気バルブ68はエンジンの行程が排気行程にあるときに排気ポート43を開く。吸気バルブ66が吸気ポート41を開いているときに、可燃性の燃料と空気との混合気が吸気通路44と吸気ポート41とを通してシリンダ内に供給される。また排気バルブ68が排気ポート43を開いている間に、シリンダ内で生じた燃焼生成物が、排気ポート43と排気通路46とを通して外部に排出される。
【0026】
図7に示したように、シリンダブロックはまた、クランク軸26によりタイミングギア72及び74からなる歯車減速機構を介して回転駆動されるカム軸70を支持している。
シリンダヘッド42はプッシュロッド通路76を備えている。プッシュロッド通路76は、シリンダヘッド42及びシリンダブロック22内に連続的に形成されていて、該プッシュロッド通路76に、一対のプッシュロッド78及び80(図7及び図8参照)が収容されている。既に知られているものと同様に、プッシュロッド78及び80はそれぞれカム軸70によりカム突起81を介して駆動され、プッシュロッド78及び80によりそれぞれロッカーアーム82及び84(図6,図7参照)を介して吸気バルブ66及び排気バルブ68が駆動される。ピストン30は、往復動軸線34(図7参照)に沿って往復動する。プッシュロッド通路76は、往復動軸線34と平行に伸びていて、第1の横方向に沿って往復動軸線34から横方向に間隔を隔てて配置されている。
【0027】
シリンダヘッド42及びシリンダブロック22内に連続的に形成された吸気通路44及び排気通路46は、プッシュロッド通路76の相対向する側壁部(図7の紙面と直角な方向に相対する側壁部)の近くにあって、前記第1の横方向を横切る第2の横方向に間隔を隔てて配置されている。クランク軸26は往復動軸34を横切る第1の回転軸線28の回りを回転する。カム軸70は第1の回転軸線28と平行で、かつ往復動軸線34(図7参照)を横切る方向に伸びる第2の回転軸線86の回りを回転する。
【0028】
図7に示すように、シリンダブロック22及びクランクケース88はそれぞれ、ピストン30の往復動軸線34に対して傾斜した平面上にある境界を間にして相対向する合わせ面90及び91を有していて、シリンダブロック22の合わせ面90とクランクケース88の合わせ面91とをガスケット(図示せず。)を介して突き合わせた状態でクランクケース88がシリンダブロック22に取り付けられている。
【0029】
シリンダブロック22及びクランクケース88の合わせ面90及び91に、クランク軸支持部24及びカム軸支持部92が設けられている。クランク軸支持部24は合わせ面90及び91の一部に形成された半割円筒状の部分により円筒状に形成されていて、クランク軸支持部24の内側にクランク軸26が軸受けを介して回転自在に支持されている。同様に、カム軸支持部92は合わせ面90及び91の一部に形成された半割円筒状の部分により円筒状に形成されていて、該カム軸支持部92の内側にカム軸70が軸受けを介して支持されている。このようにしてクランク軸26及びカム軸70を支持した状態で、クランク軸の回転軸線28とカム軸の回転軸線86とがシリンダブロック22及びクランクケース88の合わせ面90及び91の間の傾斜した境界面上に位置するように、クランク軸支持部24及びカム軸支持部92が設けられている。
【0030】
シリンダブロック22及びクランクケース88の合わせ面90及び91は、ピストン30の往復動軸線34に対して鋭角をなす方向に沿って、第1の回転軸線28から第2の回転軸線86に向って伸びていて、カム軸支持部92がクランク軸支持部24よりもシリンダヘッド側に偏った位置に配置されている。
【0031】
上記のように、シリンダブロック22とクランクケース88との合わせ面にクランク軸支持部24及びカム軸支持部92を設けて、これらの支持部によりクランク軸26及びカム軸70を支持するようにすると、クランク軸26とカム軸70とを同時に組み付けることが可能になるため、エンジンの組立を容易にすることができる。また、クランク軸26とカム軸70とを同時に組み付けることができるため、クランク軸とカム軸との間に設ける減速機構を構成するタイミングギア72,74の合わせマークを合わせ間違うおそれを無くすことができる。
【0032】
また上記のように、シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面90及び91をピストンの往復動軸線34に対して傾斜させて、カム軸支持部92をクランク軸支持部24よりもシリンダヘッド側に偏った位置に設けると、カム軸70とロッカアーム82,84との間の距離を短くすることができるため、プッシュロッド78,80を短くすることができる。従って、機関の高速回転時にプッシュロッド78,80が湾曲するのを防ぐとともに慣性重量を減らして、吸気バルブ及び排気バルブの追従性を良好にすることができる。
【0033】
図1に示したように、シリンダブロック22及びクランクケース88のそれぞれの下端に、クランク軸26の軸線及びカム軸70の軸線と直交する共通の平面上に位置する開口端面93及び94が設けられ、これらの端面93及び94にガスケットを介してオイルパン100の開口端のフランジ101が突き合わされている。そして、オイルパン100のフランジ101がボルトによりシリンダブロック22及びクランクケース88に締結され、これによりオイルパン100がシリンダブロック22及びクランクケース88に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係わるエンジンを一方向から見て示した斜視図である。
【図2】図1のエンジンの要部の分解斜視図である。
【図3】図1のエンジンを他方向から見て示した要部の斜視図である。
【図4】図1のエンジンを一部切り欠いて示した要部の斜視図である。
【図5】従来の同種のエンジンの要部を示した断面図である。
【図6】図1のエンジンの図5と同様の断面図である。
【図7】図1の7−7線に沿った断面図である。
【図8】図3の8−8線に沿った断面図である。
【図9】図8の一部を切り欠いて示した斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
20 エンジン
22 シリンダブロック
24 クランク軸支持部
26 クランク軸
30 ピストン
32 シリンダ
34 ピストンの往復動軸線
41 吸気ポート
42 シリンダヘッド
43 排気ポート
44 吸気通路
46 排気通路
48 モノブロック部材
52 冷却媒体通路
66 吸気バルブ
68 排気バルブ
70 カム軸
78 プッシュロッド
80 プッシュロッド
82 ロッカーアーム
84 ロッカーアーム
88 クランクケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダを有するシリンダブロックと、前記シリンダ内に開口させられる吸気ポート及び排気ポートと前記吸気ポート及び排気ポートにそれぞれ一端が接続された吸気通路及び排気通路とを有するシリンダヘッドと、前記吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉する吸気バルブ及び排気バルブと、前記シリンダ内に往復動自在に嵌合されたピストンと、前記シリンダブロックに取り付けられたクランクケースと、前記シリンダブロック及びクランクケースに対して支持されて前記ピストンにより駆動されるクランク軸と、前記シリンダブロック及びクランクケースに対して支持されて前記クランク軸により減速歯車機構を介して駆動されるカム軸と、前記カム軸により駆動されて前記吸気バルブ及び排気バルブをそれぞれ駆動する第1及び第2のプッシュロッドとを備え、前記シリンダブロックとシリンダヘッドとが単一の一体型モノブロック部材からなっているモノブロック型エンジンにおいて、
前記シリンダブロック及びクランクケースは、前記ピストンの往復動軸線に対して傾斜した平面上にある境界面に沿う合わせ面を有していて、前記シリンダブロックの合わせ面と前記クランクケースの合わせ面とを前記境界面を間にして突き合わせた状態で前記クランクケースが前記シリンダブロックに取り付けられ、
前記シリンダブロック及びクランクケースの合わせ面に、クランク軸支持部及びカム軸支持部が設けられ、
前記クランク軸及びカム軸は互いに平行に設けられて、それぞれの軸線を前記境界面上に位置させた状態で前記クランク軸支持部及びカム軸支持部にそれぞれ支持され、
前記カム軸支持部は、前記クランク軸支持部よりも前記シリンダヘッド側に偏った位置に設けられているモノブロック型エンジン。
【請求項2】
前記シリンダヘッド及びシリンダブロックの内部に冷却媒体通路が形成され、
前記排気通路は、前記冷却媒体通路と隣り合うように設けられて、前記排気通路と冷却媒体通路との間の隔壁が前記排気通路に面する第1の面と前記冷却媒体通路に面する第2の面とを有しており、
前記排気通路及び冷却媒体通路は同方向に直線的に伸びるように設けられ、
前記吸気通路は、前記排気通路及び冷却媒体通路が延びる方向とは異なる方向に直線的に伸びるように設けられている請求項1に記載のモノブロック型エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−299959(P2006−299959A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123597(P2005−123597)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000109945)トーハツ株式会社 (8)
【出願人】(592014436)ブランズウィック コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】BRUNSWICK CORPORATION
【Fターム(参考)】