説明

モルタル受け付き土台パッキン

【課題】 基礎の外周面にモルタル仕上げを施す場合において、止め板が十分な強度を有していて施工性が良く、更に、通気孔が塞がるのを防止することもできるモルタル受け付き土台パッキンを提供すること。
【解決手段】 建造物の基礎と土台との間に介装されるパッキン材であって、
長手板状の本体部1には、上下方向に亙り貫通する複数の開口部10・10…が所定間隔で設けられており、かつ、当該本体部1の下面側12における長辺の側部には、幅方向に貫通する複数の換気孔13・13…が所定間隔で連続して形成されている一方、
前記本体部1の長辺の設置部外側には、モルタル受け板2が付設されており、かつ、このモルタル受け板2は波形断面状に形成され、上面の幅方向に複数の波状リブ21・21…が一体に成形されているようにするという技術的手段を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料の改良、更に詳しくは、基礎の外周面にモルタル仕上げを施す場合において、止め板が十分な強度を有していて施工性が良く、更に、通気孔が塞がるのを防止することもできるモルタル受け付き土台パッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、建築物の基礎と土台との間にはパッキンが敷設されており、このパッキンに設けられた通気孔により、床下の換気を行うことができる。
【0003】
ところで、かかるパッキンを敷設した後、前記基礎の外側面には、仕上げ材としてモルタルを塗着するため、当該パッキンの下面外側に持ち出された止め板をコテ替わりにすることによりはみ出しを防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、かかる土台パッキンにあっては、モルタルを塗布する際に止め板が受ける力に対する強度が十分でなく、止め板が反ってしまったり、あるいは、折れてしまったりして、施工に支障をきたすという問題があった。
【特許文献1】特開2007−120082号公報(第4−7頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のパッキンに上記問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、基礎の外周面にモルタル仕上げを施す場合において、止め板が十分な強度を有していて施工性が良く、更に、通気孔が塞がるのを防止することもできるモルタル受け付き土台パッキンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0007】
即ち、本発明は、建造物の基礎と土台との間に介装されるパッキン材であって、
長手板状の本体部1には、上下方向に亙り貫通する複数の開口部10・10…が所定間隔で設けられており、かつ、当該本体部1の下面側12における長辺の側部には、幅方向に貫通する複数の換気孔13・13…が所定間隔で連続して形成されている一方、
前記本体部1の長辺の設置部外側には、モルタル受け板2が付設されており、かつ、このモルタル受け板2は波形断面状に形成され、上面の幅方向に複数の波状リブ21・21…が一体に成形されているようにするという技術的手段を採用することによって、モルタル受け付き土台パッキンを完成させた。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、モルタル受け板2の波状リブ21の少なくとも一つを、本体部1の上面レべル高さに成形された高波リブ21Hにするという技術的手段を採用することができる。
【0009】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、モルタル受け板2の端部に切欠部22を設け、隣接するモルタル受け板2・2間によって、墨出し線を視認可能な覗き部を構成するという技術的手段を採用することができる。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、前記本体部1の設置レベルとモルタル受け板2の設置レベルとが略同一平面になるように付設するという技術的手段を採用することができる。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、本体部1の上面における開口部10・10間の架橋部14の上下に亙り、止着ビスが挿通可能な貫通孔14aを成形するという技術的手段を採用することができる。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、本体部1の上面における開口部10・10間の架橋部14の上面に突起14bを設けるという技術的手段を採用することができる。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、本体部1の側端部に凹凸部15を形成し、位置決めして長手方向に連結可能にするという技術的手段を採用することができる。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、本体部1の上面に形成された開口部10を、両方の側端部において開放させるという技術的手段を採用することができる。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、本体部1の上面およびモルタル受け板2における幅方向の所定横断位置に薄肉の可断部Cを形成して、この可断部Cを切断して当該本体部1を分割可能であって、かつ、この切断箇所にそれぞれ側端部を形成可能にするという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、長手板状の本体部には、上下方向に亙り貫通する複数の開口部を所定間隔で設け、かつ、当該本体部の下面側における長辺の側部には、幅方向に貫通する複数の換気孔を所定間隔で連続して形成し、前記本体部の長辺の設置部外側には、モルタル受け板を付設して、かつ、このモルタル受け板を波形断面状に形成して、上面の幅方向に複数の波状リブを一体に成形することによって、基礎の外周面にモルタル仕上げを施す場合において、止め板に十分な強度を付与して施工性を良くし、しかも、この止め板がモルタルの侵入を防いで通気孔が塞がるのを防止することができることから、建築材料としての利用価値は頗る大きいと云える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0018】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1および図2に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは本体部であり、この本体部1は長手板状であって、上下方向に亙り貫通する複数の開口部10・10…が所定間隔で設けられており、かつ、当該本体部1の下面側12における長辺の側部には、幅方向に貫通する複数の換気孔13・13…が所定間隔で連続して形成されている。
【0019】
また、符号2で指示するものはモルタル受け板であり、このモルタル受け板2は波形断面状に形成され、上面の幅方向に複数の波状リブ21・21…が一体に成形されている。本実施形態では、前記本体部1と一体成形されており、ポリプロピレンと炭酸カルシウムの混合物を使用材料として作製する。
【0020】
しかして、本実施形態は建造物の基礎と土台との間に介装されるパッキン材であって、構成するにあっては、まず、長手板状の本体部1には、上下方向に亙り貫通する複数の開口部10・10…を所定間隔で設ける。こうすることにより、使用材料を軽減することができる。
【0021】
また、当該本体部1の下面側12における長辺の側部には、幅方向に貫通する複数の換気孔13・13…を所定間隔で連続して形成する。こうすることにより、外部と床下との通気路を確保することができる。
【0022】
そして、前記本体部1の長辺の設置部外側には、モルタル受け板2を付設して、かつ、このモルタル受け板2は波形断面状に形成され、上面の幅方向に複数の波状リブ21・21…を一体に成形する。
【0023】
本実施形態では、前記本体部1の設置レベルとモルタル受け板2の設置レベルとが略同一平面になるように付設することにより、基礎と土台パッキンとの隙間なく設置でき、モルタル受け板2の設置レベルに合わせるだけで基礎の上面と同じレベルでモルタルを塗布することができる。
【0024】
本実施形態では、本体部1の上面における開口部10・10間の架橋部14の上下に亙り、止着ビスが挿通可能な貫通孔14aを成形することができ、この止着ビスを螺入することによって土台パッキンと基礎とを確実に固定することができる。
【0025】
また、本体部1の上面における開口部10・10間の架橋部14の上面に突起14bを設けることができ、土台に食い込ませて横ズレ等を防止することができる。更にまた、本実施形態の土台パッキンは、長手方向に連結して使用されるため、本体部1の側端部に凹凸部15を形成して、容易に位置決めすることができる。
【0026】
『第2実施形態』
本発明の第2実施形態を図3および図4に基づいて説明する。本実施形態では、モルタル受け板2の波状リブ21の少なくとも一つを、本体部1の上面レべル高さに成形された高波リブ21Hにする(図3参照)。
【0027】
こうすることにより、図4に示すように、構造用合板や水切の下端の位置決めが可能になるとともに、下ズレ防止のストッパーにもなるので、より優れた構造体を構成することができる。
【0028】
『第3実施形態』
本発明の第3実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態では、モルタル受け板2の端部に切欠部22を設け、隣接するモルタル受け板2・2間によって、墨出し線を視認可能な覗き部を構成した。
【0029】
土台パッキンを基礎の上に載置する際は、位置出しを確実に行わないと土台を安定的に設置することができないため、本実施形態によれば、基礎上に描かれた墨出し線を確認しながら施工することできて、非常に使い勝手が良い。
【0030】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、本体部1の上面に形成された開口部10は、図1に示すような、片方の側端部のみが開放されているものであっても良いし、あるいは、図6に示すような、両方の側端部において開放されているものであっても良く、このような開口部10の形成位置が異なるものを適宜組み合わせることにより、この開口部10の位置と、基礎天端から土台固定するために突出したアンカーボルトの設置位置とを的確に合致させることができる。
【0031】
また、図7に示すように、本体部1の上面およびモルタル受け板2における幅方向の所定横断位置に薄肉の可断部Cを形成することもできる。本変形例では、この可断部Cは、肉厚の上下それぞれの約3分の1ずつを切り欠いた残りの部分、即ち、通常の厚みの3分の1程度の厚みに形成されており、カッター等で簡単に切断できる。
【0032】
また、この際、図8に示すように、可断部Cを境界として左右非対称に構成するとともに、この可断部Cを施工時に適宜切断して本体部1を分割することにより、前述のような開口部10の配設位置の異なる2タイプの本体部1を形成することができる。
【0033】
このように構成することにより、分割された本体部1の切断箇所を外側にして、かつ、側端部同士を接合させてこれらの位置を入れ換えることによって、開口部10の配置位置が変更された別形状の本体部1を構成することができ、前記同様にアンカーボルトの設置位置に適合させることができる。
【0034】
即ち、かかる構成は、本体部1の一方の長辺にのみモルタル受け板2が配設されている場合においては、開口部10の位置調整のために反転して用いることができないという不都合を解消するものである。
【0035】
なお、この切断箇所には、それぞれ側端部を形成して、この側端部を、直線状にすることもできるし、位置決めのための前記凹凸部15が形成されるような形状にすることもできる。
【0036】
また、図示しないが、本体部1の上面側11(架橋部14の上面)の表面に凹凸ローレットを形成することにより、滑り難くすることもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態の土台パッキンを表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の土台パッキンを施工した状態を表わす説明断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の土台パッキンを表わす部分斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の土台パッキンを施工した状態を表わす説明断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の土台パッキンを表わす部分上面図である。
【図6】本発明の実施形態の土台パッキンの変形例を表わす全体斜視図である。
【図7】本発明の実施形態の土台パッキンの変形例を表わす部分斜視図である。
【図8】本発明の実施形態の土台パッキンの変形例を表わす全体上面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 本体部
10 開口部
11 上面側
12 下面側
13 換気孔
14 架橋部
14a 貫通孔
14b 突起
15 凹凸部
2 モルタル受け板
21 波状リブ
21H 高波リブ
22 切欠部
C 可断部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の基礎と土台との間に介装されるパッキン材であって、
長手板状の本体部1には、上下方向に亙り貫通する複数の開口部10・10…が所定間隔で設けられており、かつ、当該本体部1の下面側12における長辺の側部には、幅方向に貫通する複数の換気孔13・13…が所定間隔で連続して形成されている一方、
前記本体部1の長辺の設置部外側には、モルタル受け板2が付設されており、かつ、このモルタル受け板2は波形断面状に形成され、上面の幅方向に複数の波状リブ21・21…が一体に成形されていることを特徴とするモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項2】
モルタル受け板2の波状リブ21の少なくとも一つが、本体部1の上面レベル高さに成形された高波リブ21Hであることを特徴とする請求項1記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項3】
モルタル受け板2の端部に切欠部22が設けられており、隣接するモルタル受け板2・2間によって、墨出し線を視認可能な覗き部を構成したことを特徴とする請求項1または2記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項4】
前記本体部1の設置レベルとモルタル受け板2の設置レベルとが略同一平面になるように付設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項5】
本体部1の上面における開口部10・10間の架橋部14の上下に亙り、止着ビスが挿通可能な貫通孔14aが成形されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項6】
本体部1の上面における開口部10・10間の架橋部14の上面に突起14bが設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項7】
本体部1の側端部に凹凸部15が形成されており、位置決めして長手方向に連結可能であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項8】
本体部1の上面に形成された開口部10は、両方の側端部において開放されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載のモルタル受け付き土台パッキン。
【請求項9】
本体部1の上面およびモルタル受け板2における幅方向の所定横断位置に薄肉の可断部Cが形成されており、この可断部Cを切断して当該本体部1を分割可能であって、かつ、この切断箇所にそれぞれ側端部を形成可能であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載のモルタル受け付き土台パッキン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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