説明

ラベル作成方法

【課題】引張強度や耐衝撃性等のフィルム特性、フィルム化軟化点温度や粉体特性及び定着性等のフィルム化適性、印刷適性のそれぞれに優れたラベル基材用組成物、ラベル基材、ラベル作成装置、及びラベル作成方法を提供する。
【解決手段】ラベル基材用組成物は、主成分として脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを縮合させたユニットを含むポリエステル樹脂を主要構成成分として含有する。ラベル基材は、ラベル基材用組成物と、少なくとも画像形成部と定着部を有する電子写真式の画像形成装置とを用い、画像形成部によりラベル基材用組成物を所望のラベル形状のベタ画像として現像し、このベタ画像を剥離紙の粘着剤塗布面に転写し定着して、剥離紙と剥離紙の粘着剤塗布面にフィルム状に定着されたラベル基材用組成物のベタ画像として得られる。ラベル作成装置は、ラベル基材の上にトナー画像を転写し定着して、所望のラベル画像を形成されたラベルを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張強度や耐衝撃性等のフィルム特性、フィルム化軟化点温度や粉体特性及び定着性等のフィルム化適性、印刷適性のそれぞれに優れたラベル基材用組成物、ラベル基材、ラベル作成装置、及びラベル作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、裏糊の付いたラベルの作成方法がある。このラベルの作成方法は、裏面の接着剤が塗布されている面を剥離シートに剥離可能に貼りつけてあるラベル用紙に、絵柄を印刷して、刃型でラベル用紙を任意の形にカットする方法が一般的に行われている。
【0003】
このカットの形式には、ラベル用紙と接着剤部分のみをカットするハーフカットと、剥離紙ごと裁断してしまう全カットがあるが、いずれにしても、上記のカット方法は、1種類のラベルを作成するために絵柄を印刷するための版と絵柄に従ってラベルを切り抜く刃型の両方を作成しなければならない。
【0004】
このようなラベルの作成方式は、ラベルを大量に作成する場合には、これといった支障はないが、作成するラベルの数量が少量の場合には、元来、絵柄を印刷する版と絵柄をカットする刃型の制作費用が高いため、結果的にラベルの単価が高くなってしまうという解決すべき課題がある。
【0005】
これに対して本出願人は、先に、電子写真方式によりトナーを任意の形状に現像し、その後加熱処理してラベルを作製するという、要求に即応してラベルを任意の形状で作成することを可能とした方法を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このようなラベル作成方法で作成されたラベルにおいて、ラベルとしての特性を向上させるためには、ラベル基材となるフィルムを形成するラベル基材用組成物の特性の改善が重要な問題となる。
【0007】
上記の特許文献1においては、ラベル基材用のトナーの主成分としてポリビニルアセタール樹脂を使用している。また、この他には、ラベルの構成樹脂としてポリ乳酸を使用する例も開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、ラベルの構成樹脂としてUV硬化性ポリエステルを使用する例も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また、ラベル用基材にPET(Polyethylene Terephthalate)を用い、そのラベル用基材の受像層にポリブチレンコハク酸を含むポリエステルを使用する例が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
また、ラベル基材用としてではないが、色再現性が良好なトナー像を形成することができるものとして、ポリブチレンコハク酸をトナー用樹脂成分として使用する例が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−283745号公報
【特許文献2】特開2011−008047号公報
【特許文献3】特開2010−184470号公報
【特許文献4】特開2005−173182号公報
【特許文献5】特開2011−095342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1におけるポリビニルアセタール樹脂は、通常のトナーとしての特性は比較的良好であるが、ラベル基材として現像、転写、定着してフィルム状にして使用した場合、そのフィルム特性は割れやすく、ラベル基材としては不十分であった。
【0012】
また、特許文献2におけるポリ乳酸の使用では、フィルム特性は向上したものの十分とは言い難い点がある。また、ポリ乳酸は溶融する温度すなわち軟化点が高く、ラベルフィルム化する際に大きい熱量を必要とする点が解決すべき課題として残されていた。
【0013】
また、特許文献3においては、UV光を用いて樹脂の溶融時に重合をさせる方法は、ラベルフィルムの強度を強くする方法として効果があるが、UV光源を別途必要とすること及び十分な強度アップのためにはUVの出力を大きくしなければならないという解決すべき課題がある。
【0014】
また、特許文献4の技術は、ラベル用基材としてPETを用いた場合の印刷適性を改善するために、トナー受像層にポリブチレンコハク酸を使用しているが、PETをラベル用基材として用いた場合のラベルフィルム強度については何ら記載がない。
【0015】
また、特許文献5の技術は、トナー受像層ではなく、画像形成用のトナーそのものにポリブチレンコハク酸を使用しているが、トナーでラベルフィルムを作成するという思想は何ら記載されていない。
【0016】
尚、トナー用樹脂として汎用されているスチレン・アクリル樹脂が知られているが、スチレン・アクリル樹脂を用いて形成したフィルムは、屈曲性が著しく劣り、フィルム特性に問題があった。そこで、本願出願人は、このようなフィルムの引張強度を測定してみたところ、引張破壊伸び(%)が1%未満と極めて小さい伸度のためにフィルム特性に劣ることが判明した。
【0017】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、引張強度や耐衝撃性等のフィルム特性、フィルム化軟化点温度や粉体特性及び定着性等のフィルム化適性、印刷適性のそれぞれに優れたラベル基材用組成物、ラベル基材、ラベル作成装置、及びラベル作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明のラベル基材用組成物は、結着樹脂の主成分として脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを縮合させたユニット(下記式(1)の一般式により表される単一モノマーユニット)を含むポリエステル樹脂を含有する、ように構成される。
【0019】
【化1】

【0020】
尚、上記結着樹脂は、更に下記式(2)の一般式により表されるように複数種のユニットの共重合体を含むポリエステル樹脂を含有する、ように構成されてもよい。
【0021】
【化2】

【0022】
この場合、上記ラベル基材用組成物によりフィルム状のサンプルを作成し、JIS K 7113に準じた引張試験を行った際の引張破壊伸び(%)が、50〜450%である、ことが好ましい。
【0023】
また、上記ラベル基材用組成物の軟化点が140℃以下である、ことも好ましい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明のラベル基材は、上記のラベル基材用組成物と、少なくとも画像形成部と定着部を有する電子写真式の画像形成装置とを用い、上記画像形成部により、上記ラベル基材用組成物を所望のラベル形状のベタ画像として現像し、現像した上記ベタ画像を剥離紙の粘着剤塗布面に転写し、上記定着部により、転写した上記ベタ画像を上記剥離紙の上記粘着剤塗布面に加熱と加圧によりフィルム状に定着させて、上記剥離紙及び該剥離紙の上記粘着剤塗布面にフィルム状に定着された上記ラベル基材用組成物のベタ画像からなる、ように構成される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明のラベル作成装置は、少なくとも画像形成部と定着部を有し、上記画像形成部により、所望のトナー画像を現像し、上記のラベル基材の上に上記トナー画像を転写し、上記定着部により、上記転写した上記トナー画像をラベル基材の上に加熱と加圧により定着して、所望のラベル画像を形成されたラベルを作成する、ように構成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、引張強度や耐衝撃性等のフィルム特性、フィルム化軟化点温度や粉体特性及び定着性等のフィルム化適性、印刷適性のそれぞれに優れたラベル基材用組成物、ラベル基材、ラベル作成装置、及びラベル作成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ラベル基材用組成物を用いて剥離紙粘着層面にラベル基材を作成し、そのラベル基材の上に通常のトナー画像を形成してラベルを作成する実施例1に係るラベル基材及びラベルの作成装置としての画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】評価項目として、引張破壊伸び(%)およびフィルム化軟化点温度(℃)を数値化し、ラベルフィルムを引張った際の切れ易さ(引張強度)、割れ易さ(耐衝撃性)等のフィルム特性および溶融混練時の粉体特性やフィルム定着性等のフィルム化適性、印刷画像の定着性(印刷適性)、総合評価について、良いものは「○」、悪いものは「×」、どちらともいえないものは「△」として評価した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、「印字」と「印刷」は同義語として使用される。
【0029】
図1は、後述するラベル基材用トナー(ラベル基材用組成物)を用いて剥離紙粘着層面にラベル基材を作成し、そのラベル基材の上に通常のトナー画像を形成してラベルを作成する実施例1に係るラベル基材及びラベルの作成装置としての画像形成装置の構成を示す断面図である。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置1は、画像形成部2、再搬送ユニット3、及び給紙部4で構成されている。上記の画像形成部2は、5個の画像形成ユニット5(5−1、5−2、5−3、5−4、5−5)を多段式に並設した構成からなる。
【0031】
上記5個の画像形成ユニット5のうち用紙搬送方向上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3は、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0032】
上記3個の画像形成ユニット5−1、5−2、5−3に続く4番目の画像形成ユニット5−4は、ブラック(K)のモノクロ画像を形成する。これら4色のトナー画像は後述する剥離紙の粘着剤層を塗布された面(以下、粘着剤層面という)の上に塗り重ねられてフルカラーの画像を形成する。
【0033】
また、上記5個の画像形成ユニット5のうち用紙搬送方向最下流側(図の左端)の画像形成ユニット5−5は、詳しくは後述するラベル基材用組成物による画像(ここでは後述する感光体ドラム上に現像される像を形状に係わり無く画像という)を形成する。
【0034】
上記の各画像形成ユニット5−1〜5−5は、現像ユニットに収容された現像剤の色や種類を除けば同じ構成である。したがって、以下、画像形成ユニット5−4を例にしてその構成を説明する。
【0035】
画像形成ユニット5は、感光体ドラム6と、この感光体ドラム6の周面に沿って配設されたクリーナ7、帯電ローラ8、現像ユニット9、この現像ユニット9の下部側面の開口部に組み付けられている現像ローラ11を備えている。
【0036】
感光体ドラム6の帯電ローラ8と現像ユニット9との間に位置する上面に近接して、本体装置側の光書込ヘッド12が配置されている。また、感光体ドラム6の下面に近接して搬送ベルト13が配設されている。そして、この搬送ベルト13を間に挟んで転写器14が感光体ドラム6の下面に向けて押圧されている。
【0037】
搬送ベルト13は、導電性カーボン又はイオン伝導物質を含有した樹脂製の導電性のシート状部材からなり、駆動ローラ15と従動ローラ16に掛け渡されて、駆動ローラ15により駆動され、図の矢印a、b、cで示す反時計回り方向に循環移動する。
【0038】
上記の感光体ドラム6は、図の時計回り方向に回転する。そして先ず帯電ローラ8からの電荷付与により、感光体ドラム6の周面が一様に帯電して初期化される。次に、印字情報に基づく光書込ヘッド12からの光書き込みにより、感光体ドラム6の周面に静電潜像が形成される。
【0039】
そして、この静電潜像は、現像ローラ11による現像処理によって、現像ユニット9に収納したトナーによりトナー像化(現像)される。感光体ドラム6の周面に現像されたトナー像は、感光体ドラム6の回転に伴われて、感光体ドラム6と転写器14とが対向する転写部に回転搬送される。
【0040】
他方、給紙部4の給紙カセット17には多枚数のカット紙状の剥離紙18が粘着剤層を塗布された面を下向きにして収容されている。剥離紙18は、給紙コロ19の一回転によって一枚毎に給紙カセット17から搬出され、搬送案内路21を通って待機ローラ対22に給送される。
【0041】
あるいは、作成されるラベルが少枚数のときは、剥離紙18は、開成された装着部23に装着されたMPFトレイ24上から給紙コロ25によって待機ローラ対22に給送される。
【0042】
待機ローラ対22は、剥離紙18の粘着剤層面のトナー像印刷位置が紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−5の感光体ドラム6のトナー像の先端に一致するタイミングで搬送ベルト13上に給送する。
【0043】
剥離紙18は、循環移動する搬送ベルト13の上面に静電的に吸着されて搬送され、感光体ドラム6の直下を用紙搬送方向上流側から下流側へ搬送ベルト13と共に移動する。
【0044】
このとき、搬送ベルト13は画像形成ユニット5−1〜5−4から下方に離隔する。そして、粘着剤層面のトナー像の印刷を受け持つ画像形成ユニット5−5が上方の退避位置から降下して、その感光体ドラム6が搬送ベルト13に当接する。
【0045】
そして、剥離紙18は、画像形成ユニット5−5の転写部で、粘着剤層面にラベル基材用組成物(以下、便宜上トナーとも言う)の画像を転写される。尚、この粘着剤層面に形成されるラベル基材用組成物による画像はベタ印字画像である。
【0046】
このように粘着剤層面にラベル基材用組成物のベタ画像を転写された剥離紙18は、定着ユニット26に搬入される。定着ユニット26は、熱ローラ26a、押圧ローラ26b、及びクリーナ26cで構成されている。
【0047】
剥離紙18は、熱ローラ26aと押圧ローラ26bにより挟持されて搬送されながら、熱と圧力とによりラベル基材用組成物のベタ画像を、溶融され、粘着剤層面に圧着されて、定着される。また、クリーナ26cは熱ローラ26aに残留するトナーを除去する。
【0048】
このように、定着ユニット26によってラベル基材用組成物のベタ画像を粘着剤層面に定着された剥離紙18は、切換板27が支点28を中心に図の実線で示す上方に回動していることにより、再搬送ユニット3に送り込まれる。また、切換板27が支点28を中心に図の破線で示す下方に回動している場合には、搬送ローラ29により上に搬送され、排紙ローラ31によって排紙部32に排出される。
【0049】
再搬送ユニット3には、内部に複数の搬送ローラ33a〜33eが配設されている。再搬送ユニット3は、用紙の搬送一時停止と複数の搬送ローラ33a〜33eによる搬送によって重ね印刷が可能なように用紙を搬送案内路21に返送する。
【0050】
本例では、ラベル基材用トナーのベタ画像を定着された剥離紙18は、ラベル基材だけでなく画像形成されたラベルを作成するために、切換板27が図の実線で示す上方に回動されることで、そのまま再搬送ユニット3に送り込まれる。
【0051】
待機ローラ対22は、返送された剥離紙18を、その粘着剤層の面の印字開始位置が紙搬送方向最上流の画像形成ユニット5−1の感光体ドラム6のトナー像の先端に一致するタイミングで搬送ベルト13上に給送する。
【0052】
そして、剥離紙18は、画像形成ユニット5−1の転写部で最初の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−2の転写部で次の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−3の転写部で3番目のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−4の転写部でブラックのトナー像を転写される。
【0053】
尚、本例における上記のフルカラー印字モードにおける印字処理では、画像形成ユニット5−1〜5−4が印字状態に設定され、画像形成ユニット5−5は、搬送ベルト13への当接位置から上に離れるように移動する。
【0054】
上記のように粘着剤層に形成されて定着されているラベル基材用組成物のベタ画像の上に4色のトナー像を重ねて転写された剥離紙18は、定着ユニット26に搬入される。定着ユニット26は、熱ローラ26a、押圧ローラ26bにより4色のトナー像をラベル基材用組成物のベタ画像の上に定着して下流側に排出する。
【0055】
定着ユニット26から排出された剥離紙18は、切換板27が破線で示す下方の位置に回動していることにより、搬送ローラ29により上に搬送され、排紙ローラ31によって画像形成面を下にして排紙部32に排出される。
【0056】
以上により、本発明の実施例1によるラベル基材用組成物を用いて剥離紙の粘着剤層へのラベル基材の作成、及びそのラベル基材上への通常のトナーによるフルカラーのラベル画像の形成による、剥離紙付きラベルが完成する。
【0057】
ここで、上記の粘着剤層付きの剥離紙(以下、ラベル台紙ともいう)の作成について簡単に述べる。
【0058】
本例のラベル台紙は、3M社製スプレー式粘着剤「55」を塗付した後、粘着剤層表面にポリエチレン酢酸ビニル樹脂水分散液を塗布し、水分を乾燥して、ラベル台紙を得た。
【0059】
この得られたラベル台紙の粘着剤層に上述したようにフィルム状に転写して定着するラベル基材用組成物を構成する樹脂について説明する。
【0060】
ラベル基材用組成物を構成する樹脂として、種々の材料を検討した結果、コハク酸と1,4−ブタンジオールの共重合体、ポリブチレンコハク酸を主要構成成分とするポリエステル樹脂を使用することで大きな改善が見られた。
【0061】
また、そのラベル基材用トナーにより形成したフィルムのフィルム特性が向上し、ラベル台紙への定着時の軟化点も実用的に問題ない水準であり、定着後におけるカラートナー等による印刷適性も優れていた。
【0062】
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
<各物性値の測定方法>
各例で用いた物性値の測定方法を以下に示す。
【0063】
<軟化点の測定>
軟化点の測定には、装置はフローテスター((株)島津製作所製、CFT−500D)、試料は1g、昇温速度は6℃/分、荷重は20kg、ノズルは直径1mm、長さ1mm、とし、軟化点には1/2法(試料の半分が流出した温度)を用いた。
【0064】
<粒径の測定>
トナー(ラベル基材用組成物)粒径の測定には、装置はFPIA−2100(シスメックス(株)製)、試料はビーカーに試料少量と精製水、界面活性剤を入れ、超音波洗浄器にて分散した。測定結果としては体積平均粒径(D50)を得た。
【0065】
<ガラス転移点の測定>
ガラス転移点(Tg)の測定には、装置は示差走査熱量計((株)島津製作所社製:DSC−60)、試料は8mg、昇温条件は10℃/分で160℃まで昇温し、降温速度10℃/分で35℃まで冷却したあと、再度10℃/分で160℃まで昇温する。2回目の昇温時において、転移により得られる曲線部分の2つの接線の交点をガラス転移点とした。
【0066】
<融点の測定>
離型剤融点の測定には、ガラス転移点と同様の測定を行い、2回目の昇温時の離型剤による吸熱曲線のピーク温度を融点とした。吸熱曲線が2山以上の場合は、各ピークの平均値をピークとした。
【0067】
<分子量の測定>
分子量の測定には、装置はGPC((株)島津製作所社製)検出器RI、分子量Mnは分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定される数平均分子量である。同様に分子量Mwは重量平均分子量である。
【0068】
<引張破壊伸び(%)の測定>
ラベル基材用組成物から後述する方法により得られたフィルム状のラベル基材を試験片として、引張強度としての引張破壊伸び(%)を測定する。測定には、引張試験器(オートグラフAGS-J、(株)島津製作所製)を用い、JIS K 7113(プラスチックの引張試験方法)に準じて、4号形試験片(幅10mm及び長さ250mmの短冊片)により、引張速度10mm/分及びチャック間距170mm、標線間距離100mm、測定温度23℃の条件で測定した。測定個数n=5を測定し、算術平均を算出した。伸び(%)は、試験片の破断時の標線間距離−元の標線間距離を、元の標線間距離で除した値を百分率で算出した。
【0069】
尚、本発明において、上記引張破壊伸び(%)の測定をJIS K 7113(プラスチックの引張試験方法)に準じて、行っているが、これに限定されるものではない。例えば、上記試験片のサイズや測定個数n等は、一例に過ぎない。具体的には、JIS K 7113に関連する試験方法の規格としては、例えばASTM D638やISO 527-1があり、これらに準じて行っても良い。
【0070】
<ラベル基材用組成物の主成分となるポリブチレンコハク酸の合成>
合成例1(合成例1−1)として、コハク酸100質量部と1,4−ブタンジオール89質量部に対して、リンゴ酸0.4質量部と二酸化ゲルマニウム1質量部を溶解させた88%乳酸水溶液を5質量部添加した。反応系内を窒素雰囲気にした後、220℃にて1時間反応させて、次に230℃に昇温を行いながら1.5時間かけて70Paまで減圧した。さらに2時間重合を進行させて、下記式(3)で表されるポリブチレンコハク酸Aを得た。
【0071】
【化3】

【0072】
また、反応条件を以下のように種々変更してポリブチレンコハク酸B〜Dを合成した。
合成例1−2として、上記合成例1−1の“70Pa減圧下で2時間重合を進行”を“70Pa減圧下で4時間重合を進行”に代えた以外上記合成例1−1と同様の方法でポリブチレンコハク酸Bを得た。
【0073】
合成例1−3として、上記合成例1−1の“70Pa減圧下で2時間重合”を“70Pa減圧下で8時間重合を進行”に代えた以外上記合成例1−1と同様の方法でポリブチレンコハク酸Cを得た。
【0074】
合成例1−4として、上記合成例1−1の“70Pa減圧下で2時間重合”を“70Pa減圧下で16時間重合を進行”に代えた以外上記合成例1−1と同様の方法でポリブチレンコハク酸Dを得た。
【0075】
合成例2として、コハク酸47質量部とエチレングリコール32質量部に対して、酢酸マンガン(II)4水和物0.03質量部を添加して、窒素気流下にて200℃にて2時間反応させて、その後、水と過剰なエチレングリコールを減圧下にて留去した。次にテトラブチルチタネート0.14質量部添加して、1〜2mmHgの減圧下にて200℃にて4時間反応させて、下記式(4)で表されるポリエチレンコハク酸を得た。
【0076】
【化4】

【0077】
合成例3として、コハク酸47質量部と1,3−プロパンジオール39質量部を用いた他は合成例2と同様の方法にて下記式(5)で表されるポリプロピレンコハク酸を得た。
【0078】
【化5】

【0079】
合成例4として、コハク酸47質量部と1,6−ヘキサンジオール61質量部を用いた他は合成例2と同様の方法にて下記式(6)で表されるポリヘキサメチレンコハク酸を得た。
【0080】
【化6】

【0081】
合成例5として、コハク酸100質量部の代わりに、コハク酸85質量部、アジピン酸19質量部を用いた他は合成例1と同様の方法で下記式(7)で表されるポリブチレンコハク酸アジピン酸樹脂を得た(モル比で85/15)。
【0082】
【化7】

【0083】
合成例6として、コハク酸100質量部の代わりに、コハク酸70質量部、アジピン酸37質量部を用いた他は合成例1と同様の方法で上記式(7)で表されるポリブチレンコハク酸アジピン酸樹脂を得た(モル比で70/30)。
【0084】
合成例7として、コハク酸100質量部の代わりに、コハク酸50質量部、アジピン酸62質量部を用いた他は合成例1と同様の方法で上記式(7)で表されるポリブチレンコハク酸アジピン酸樹脂を得た(モル比で50/50)。
【0085】
合成例8として、コハク酸100質量部の代わりに、コハク酸85質量部、セバシン酸26質量部を用いた他は合成例1と同様の方法で下記式(8)で表されるポリブチレンコハク酸セバシン酸樹脂を得た(モル比で85/15)。
【0086】
【化8】

【0087】
合成例9として、コハク酸100質量部の代わりに、コハク酸85質量部、テレフタル酸21質量部を用いた他は合成例1と同様の方法で下記式(9)で表されるポリブチレンコハク酸テレフタル酸樹脂を得た(モル比で85/15)。
【0088】
【化9】

【0089】
<ラベル基材用組成物の製造>
ラベル基材用組成物製造実施例1:合成例1−1で得られたポリブチレンコハク酸Aを96.5質量部と帯電制御材として日本カーリット(株)製LR−147を1質量部とカルナバワックス((株)加藤洋行製)を2.5質量部混合し、それを2軸押出混練機にて混練した。混練物をホソカワミクロン(株)製リンレックスミルLX−0にて液体窒素下にて粉砕してD50(体積)37μmの粉末を得た。
【0090】
その後、得られた粒子100質量部を疎水化処理したシリカ粒子;キャボットコーポレーション製TG810Gを0.4質量部と日本アエロジル(株)製RY50を1.4質量部をヘンシェルミキサーにて攪拌して外添してラベル基材用組成物1を得た(D50(体積)37μm、軟化点125℃)。
【0091】
ラベル基材用組成物製造実施例2〜4:合成例1−2〜合成例1−4で得られたポリブチレンコハク酸B〜Dをポリブチレンコハク酸Aに代えた他はラベル基材用組成物製造例1と同様の方法にてラベル基材用組成物2〜4を得た。
ラベル基材用組成物2:D50(体積)39μm、軟化点131℃
ラベル基材用組成物3:D50(体積)37μm、軟化点121℃
ラベル基材用組成物4:D50(体積)35μm、軟化点131℃
【0092】
ラベル基材用組成物製造実施例5:合成例1で得られたポリブチレンコハク酸81.5質量部、石原産業(株)製酸化チタンCR−60を15質量部、日本カーリット(株)製LR−147を1質量部、カルナバワックス((株)加藤洋行製)2.5質量部、を原料として用いた他はラベル基材用組成物製造例1と同様の方法で白色地色のラベル基材用組成物10を得た(D50(体積)33μm、軟化点126℃)。
【0093】
ラベル基材用組成物製造実施例6〜13:合成例2〜9で得られたポリエステル樹脂を96.5質量部を用いた他はラベル基材用組成物製造例1と同様の方法にてラベル基材用組成物2〜9を得た。
ラベル基材用組成物6:D50(体積)33μm、軟化点118℃
ラベル基材用組成物7:D50(体積)38μm、軟化点120℃
ラベル基材用組成物8:D50(体積)40μm、軟化点106℃
ラベル基材用組成物9:D50(体積)44μm、軟化点105℃
ラベル基材用組成物10:D50(体積)47μm、軟化点95℃
ラベル基材用組成物11:D50(体積)52μm、軟化点84℃
ラベル基材用組成物12:D50(体積)38μm、軟化点95℃
ラベル基材用組成物13:D50(体積)34μm、軟化点137℃
【0094】
ラベル基材用組成物製造実施例14:積水化学工業(株)製ポリビニルアセタール樹脂(下記式(10)の化学構造式参照)エスレックBL−2の樹脂微粒子を原料として用いた他はラベル基材用組成物製造例1と同様の方法で外添を行いラベル基材用組成物11を得た(D50(体積)43μm、軟化点131℃)。
【0095】
【化10】

【0096】
ラベル基材用組成物製造実施例15:L-ラクチド(ピューラックジャパン(株)製)100重量%、ステアリルアルコール0.10重量%を窒素雰囲気下、190℃で攪拌した。上記混合物にオクチル酸スズを0.05重量%添加して190℃にて2時間さらに攪拌した。その後、残存のL-ラクチドを除去するために10mmHgの減圧下において1時間攪拌を続けた。その結果、重量平均分子量(Mw)272000のポリ乳酸(PLA)を得た。得られたポリ乳酸をポリエチレングリコール樹脂と混合し、それを2軸押出混練機にて混練した。混練機から排出された混練物をそのまま水に浸してポリエチレングリコールを水に溶解させた。
【0097】
【化11】

【0098】
その後、沈殿したポリ乳酸粒子を採取、イオン交換水に再度分散させた。同様の洗浄作業を7回繰り返した。洗浄したポリ乳酸粒子を目開き32μmのメッシュを通して粗大粒子を除去した。その後、乾燥し、ラベル基材用組成物製造例1と同様に外添し、ラベル基材用組成物12を得た(D50(体積)27μm、軟化点158℃)。
【0099】
ラベル基材用組成物製造実施例16:日本ポリエチレン(株)製低密度ポリエチレン樹脂(下記式(12)の化学構造式参照)ノバテックLDLF240を原料として用いた他は、ラベル基材用組成物製造例1と同様の方法で外添を行いラベル基材用組成物13を得た(D50(体積)46μm、軟化点131℃)。
【0100】
【化12】

【0101】
ラベル基材用組成物製造実施例17:住友精化(株)製ポリエチレン粒子(上記式(12)の化学構造式参照)フローセンUF−4を原料として用いた他は、ラベル基材用組成物製造例1と同様の方法で外添を行いラベル基材用組成物17を得た(D50(体積)15μm、軟化点140℃)。
【0102】
ラベル基材用組成物製造実施例18:三菱化学(株)製ポリエチレンテレフタレート樹脂(下記式(13)の化学構造式参照)ノバペックスIG226Sを原料として用いた他は、ラベル基材用組成物製造例1と同様の方法で外添を行いラベル基材用組成物18を得た(D50(体積)76μm、軟化点235℃)。
【0103】
【化13】

【0104】
ラベル基材用組成物製造実施例19:トナー用ポリエステル樹脂A(花王(株)製)を96.5質量部と帯電制御材として日本カーリット(株)製LR−147を1質量部とカルナバワックス((株)加藤洋行製)を2.5質量部混合し、それを2軸押出混練機にて混練した。混練物をエアージェット粉砕機(ホソカワミクロン(株)製AFG100)にて粉砕後、ラベル基材用組成物製造例1と同様の方法で外添を行いラベル基材用組成物19を得た(D50(体積)38μm、軟化点108℃)。
【0105】
ラベル基材用組成物製造実施例20:原料樹脂をトナー用ポリエステル樹脂B(花王(株)製)に代えた以外は、ラベル基材用組成物製造実施19と同様にしてラベル基材用組成物20を得た(D50(体積)39μm、軟化点126℃)。
【0106】
ラベル基材用組成物製造実施例21:原料樹脂をトナー用スチレン・アクリル樹脂A(三井化学(株)製CPR720)に代えた以外は、ラベル基材用組成物製造実施19と同様にしてラベル基材用組成物21を得た(D50(体積)36μm、軟化点120℃)。
【0107】
ラベル基材用組成物製造実施例22:原料樹脂をトナー用スチレン・アクリル樹脂B(三井化学(株)製CPR120)に代えた以外は、ラベル基材用組成物製造実施19と同様にしてラベル基材用組成物21を得た(D50(体積)37μm、軟化点134℃)。
【0108】
<ラベルの作成>
ラベル作成実施例1:電子写真プロセスにより、ラベル基材となるラベル基材用組成物1を、A4サイズのラベル台紙1上に現像し、ラベル基材用組成物が現像されたラベル台紙を200℃でヒートプレスすることによりラベル台紙上1上に50μmの厚みのラベル基材を得た。その後、ラベル基材上にカシオ計算機(株)製N5300プリンタにて画像を現像し定着させた。
【0109】
ラベル作成実施例2〜13:ラベル基材用組成物2〜13を用いて実施例1と同様にラベルを作成した。
比較例1〜9:ラベル基材用組成物14〜22を用いて実施例1と同様にラベルを作成した。
<ラベルの評価>
【0110】
図2は、評価項目として、引張破壊伸び(%)およびフィルム化軟化点温度(℃)を数値化し、ラベルフィルムを引張った際の切れ易さ(引張強度)、割れ易さ(耐衝撃性)等のフィルム特性および溶融混練時の粉体特性やフィルム定着性等のフィルム化適性、印刷画像の定着性(印刷適性)、総合評価について、良いものは「○」、悪いものは「×」、どちらともいえないものは「△」として評価した図表である。
【0111】
同図表の左端の欄には、本発明のラベル作成に係わり、ラベル基材用組成物の製造実施例1〜22までを、実施例1〜13、比較例1〜9として示してある。
【0112】
その右の欄には、ラベル基材用組成物に対応する樹脂種類と括弧内にモノマー比率を示している。そして、その右に並ぶ6つの欄に、上述した評価項目の引張破壊伸び(%)とフィルム化軟化点温度(℃)の数値、引張強度や耐衝撃性、粉体特性や定着性、印刷適性、総合評価を「○」、「△」、「×」の記号で示している。
【0113】
同図表から判明するように、ポリブチレンコハク酸を主成分として用いたラベル基材用組成物1〜5においてはフィルム特性、フィルム化適性、印刷適正、のいずれにおいても優れていた。また、樹脂のジオール成分を変更したラベル基材用組成物6〜8においても良好な結果が得られた。
【0114】
樹脂のジカルボン酸成分としてアジピン酸やセバシン酸を15%(モル比)共重合させた樹脂を用いたラベル基材用組成物9、12、13においても良好な結果が得られた。
【0115】
但し、アジピン酸の含有量を30%、50%にしたラベル基材用組成物10、11においては粉体特性がやや悪化(粉体が凝集しやすくなり、粉体として扱いにくくなる)傾向があった。特に50%添加したラベル基材用組成物11は、フィルムが柔らかくなりすぎて扱いにくい特性であった。
【0116】
一方、比較例1のポリビニルアセタールに基づくラベル基材用組成物14では、引張強度と耐衝撃性が劣っていた。
【0117】
比較例2のポリ乳酸に基づくラベル基材用組成物15では耐衝撃性がやや劣っていた。また、ラベル基材用組成物15は軟化点が158℃と比較的高く、フィルム化に多くのエネルギーを要した。結果、実用的な定着速度でラベルを作成することが困難であった。
【0118】
比較例3、4のポリエチレン製のラベル基材用組成物16、17は、フィルム特性、フィルム化適性で良好であるものの、ラベルフィルムを作製した後、カラートナーで絵柄や文字をラベル上に印刷した際、ラベルに対するカラートナーの定着性が極めて悪く、ラベル表面から容易にカラートナーが剥がれた。すなわち、ポリエチレン樹脂は印刷特性が悪く、ラベルとしては極めて使用するのが困難である。
【0119】
また、樹脂製のラベル基材としてしばしば用いられるPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂に基づく比較例5のラベル基材用組成物18では、樹脂の溶融温度が極めて高いため(軟化点 235℃)、通常のプリンタの定着器にて定着可能な温度ではなく、使用するのは困難であった。因みに、上記PET(ポリエチレンテレフタレート)は世間一般にポリエステル樹脂として認識されるが、このPETはコハク酸エステルではなくテレフタル酸を使用している。従って、軟化点が200℃以上と高く、トナー用樹脂として使用されていない。
【0120】
尚、比較例6、7のトナー用ポリエステル樹脂や比較例8、9のトナー用スチレンアクリル樹脂を用いた場合には、いずれも現像後に作成したラベルフィルムの屈曲性が悪く、フィルム特性に大きな課題があった。すなわち、トナー化するのに用いたそれぞれの樹脂の引張破断伸びは、測定するのも困難なレベルであり、1%未満と極めて小さい伸度であることから、フィルムとしては使用できなかった。
【0121】
以上の結果から、実施例1〜13に係るラベル基材用組成物(トナー)を用いて剥離紙粘着層面にラベル基材を作成すると、フィルム特性、フィルム化適性、印刷適性のそれぞれについて優れたフイルム状のラベル基材が得られることが判明した。とりわけ、ラベル基材用組成物の軟化点が140℃以下、引張破壊伸び(%)が50〜450%であることが好ましいと判明した。
【0122】
尚、酸化チタンを混合した実施例5のラベル基材用組成物は、不透明の白色となるので、白色ラベルを提供できる。
【0123】
尚、本発明のラベル基材は、金属、木材、樹脂、紙、セラミックス、などにも適用可能である。
【0124】
また、ラベル基材用組成物の主成分となるポリブチレンコハク酸の合成において、1,ブタンジオールを用いているが、1,4−ブタンジオール以外にも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、などの直鎖末端ジオールを用いてもよい。
【0125】
さらには、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの分岐ジオールなども有効と考えられる。これらを複数種使用することも可能である。
【0126】
また、コハク酸と異なる脂肪族ジカルボン酸を重合、または複数のジカルボン酸を共重合させることも可能である。その脂肪族ジカルボン酸としては以下のようなものが考えられる。すなわち、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸。また、芳香族ジカルボン酸であっても、脂肪族ジカルボン酸と共重合させて使用することは可能である。例えば以下のような芳香族ジカルボン酸が考えられる。すなわち、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等である。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0128】
主成分として脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを縮合させたユニットを含むポリエステル樹脂を含有する、
ことを特徴とするラベル基材用組成物。
[付記2]
【0129】
前記脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸である、ことを特徴とする付記1記載のラベル基材用組成物。
[付記3]
【0130】
前記脂肪族ジオールに対して前記コハク酸と共に該コハク酸とは異なるジカルボン酸を共重合させて成る、ことを特徴とする付記2記載のラベル基材用組成物。
[付記4]
【0131】
前記コハク酸とは異なる前記ジカルボン酸は、前記共重合のモル比が50%以下である、ことを特徴とする付記3記載のラベル基材用組成物。
[付記5]
【0132】
前記脂肪族ジオールは、1,4−ブタンジオールである、ことを特徴とする付記1ないし4のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
[付記6]
【0133】
前記ラベル基材用組成物によりフィルム状のサンプルを作成し、引張試験を行った際の引張破壊伸び(%)が、50〜450%である、ことを特徴とする付記1ないし5のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
[付記7]
【0134】
前記引張試験は、JIS K 7113に準じた方法による引張試験である、ことを特徴とする付記6記載のラベル基材用組成物。
[付記8]
【0135】
前記ラベル基材用組成物の軟化点が140℃以下である、ことを特徴とする付記1ないし7のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
[付記9]
【0136】
酸化チタンを含有する、ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
[付記10]
【0137】
付記1ないし9のいずれかに記載のラベル基材用組成物を所望のラベル形状のベタ画像として現像し、現像した前記ベタ画像を剥離紙の粘着剤塗布面に転写し、
転写した前記ベタ画像を前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に加熱と加圧によりフィルム状に定着させて、
前記剥離紙及び該剥離紙の前記粘着剤塗布面にフィルム状に定着された前記ラベル基材用組成物のベタ画像からなるラベル基材を作成する、
ことを特徴とするラベル基材作成方法。
[付記11]
【0138】
付記10に記載のラベル基材作成方法により作成されたことを特徴とするラベル基材。
[付記12]
【0139】
所望のトナー画像を現像し、付記11に記載のラベル基材の上にトナー画像を転写する転写部と、
前記転写した前記トナー画像をラベル基材の上に加熱と加圧により定着する定着部と、
を備えることを特徴とするラベル作成装置。
[付記13]
【0140】
所望のトナー画像を現像し、付記11に記載のラベル基材の上に前記トナー画像を転写し、
前記転写した前記トナー画像をラベル基材の上に加熱と加圧により定着して、
所望のラベル画像を形成されたラベルを作成する、ことを特徴とするラベル作成方法。
[付記14]
【0141】
付記13に記載のラベル作成方法により作成されたことを特徴とするラベル。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、引張強度や耐衝撃性等のフィルム特性、フィルム化軟化点温度や粉体特性及び定着性等のフィルム化適性、印刷適性のそれぞれに優れたラベル基材用組成物、ラベル基材、ラベル作成装置、及びラベル作成方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0143】
1 画像形成装置
2 画像形成部
3 再搬送ユニット
4 給紙部
5(5−1、5−2、5−3、5−4、5−5) 画像形成ユニット
6 感光体ドラム
7 クリーナ
8、8a、8b 帯電ローラ
9 現像ユニット
11 現像ローラ
12 光書込ヘッド
13 搬送ベルト
14 転写器
14´ 転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 給紙カセット
18 剥離性シート(用紙)
19 給紙コロ
21 搬送案内路
22 待機ローラ対
23 装着部
24 MPF(Multi Paper Feeder)トレイ
25 給紙コロ
26 定着ユニット
26a 熱ローラ
26b 押圧ローラ
26c クリーナ
27 切換板
28 支点
29 搬送ローラ
31 排紙ローラ
32 排紙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを縮合させたユニットを含むポリエステル樹脂を含有する、
ことを特徴とするラベル基材用組成物。
【請求項2】
前記脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸である、ことを特徴とする請求項1記載のラベル基材用組成物。
【請求項3】
前記脂肪族ジオールに対して前記コハク酸と共に該コハク酸とは異なるジカルボン酸を共重合させて成る、ことを特徴とする請求項2記載のラベル基材用組成物。
【請求項4】
前記コハク酸とは異なる前記ジカルボン酸は、前記共重合のモル比が50%以下である、ことを特徴とする請求項3記載のラベル基材用組成物。
【請求項5】
前記脂肪族ジオールは、1,4−ブタンジオールである、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
【請求項6】
前記ラベル基材用組成物によりフィルム状のサンプルを作成し、引張試験を行った際の引張破壊伸び(%)が、50〜450%である、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
【請求項7】
前記引張試験は、JIS K 7113に準じた方法による引張試験である、ことを特徴とする請求項6記載のラベル基材用組成物。
【請求項8】
前記ラベル基材用組成物の軟化点が140℃以下である、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
【請求項9】
酸化チタンを含有する、ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のラベル基材用組成物。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のラベル基材用組成物をラベル形状のベタ画像として現像し、現像した前記ベタ画像を剥離紙の粘着剤塗布面に転写し、
転写した前記ベタ画像を前記剥離紙の前記粘着剤塗布面に加熱と加圧によりフィルム状に定着させて、
前記剥離紙及び該剥離紙の前記粘着剤塗布面にフィルム状に定着された前記ラベル基材用組成物のベタ画像からなるラベル基材を作成する、
ことを特徴とするラベル基材作成方法。
【請求項11】
請求項10に記載のラベル基材作成方法により作成されたことを特徴とするラベル基材。
【請求項12】
所望のトナー画像を現像し、請求項11に記載のラベル基材の上に前記トナー画像を転写する転写部と、
前記転写した前記トナー画像をラベル基材の上に加熱と加圧により定着する定着部と、
を備えることを特徴とするラベル作成装置。
【請求項13】
所望のトナー画像を現像し、請求項11に記載のラベル基材の上に前記トナー画像を転写し、
前記転写した前記トナー画像をラベル基材の上に加熱と加圧により定着して、
所望のラベル画像を形成されたラベルを作成する、ことを特徴とするラベル作成方法。
【請求項14】
請求項13に記載のラベル作成方法により作成されたことを特徴とするラベル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−83923(P2013−83923A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123874(P2012−123874)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】