説明

ランドリー機器

【課題】 洗濯物が回転槽内に投入された状態で洗濯物から無線情報を検出することができるランドリー機器を提供すること。
【解決手段】 水受槽3の外周面にはリーダーのアンテナ34A〜34Fが固定されており、回転槽11には複数の開口部16が形成されている。これら各開口部16はアンテナ34A〜34Fに比べて大きなものであり、アンテナ34A〜34Fは洗濯物の投入状態で洗濯物の無線タグ素子から送信される洗濯物情報を開口部16を通して検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線情報の受信機能を備えたランドリー機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ランドリー機器には洗濯物に貼付されたRFIDから無線でランドリー情報を検出し、ランドリー情報の検出結果に基いて洗濯モードを選択する構成のものがある。
【特許文献1】特開2002−360968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来構成の場合、洗濯物の投入時にRFIDからランドリー情報を検出しているので、電源の遮断状態で洗濯物が投入されたときにはランドリー情報を検出することができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗濯物が投入された状態で洗濯物から無線情報を検出することができるランドリー機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載のランドリー機器は、非金属製の水受槽と、前記水受槽内に回転可能に収納され洗濯物が投入される金属製の回転槽と、前記回転槽に設けられた開口部と、前記水受槽側に設けられ前記回転槽が回転することに基いて前記開口部に対向する棒状のアンテナとを備え、前記開口部の幅寸法が前記アンテナの使用周波数波長の1/4以上に設定されているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2記載のランドリー機器は、非金属製の水受槽と、前記水受槽内に回転可能に収納され洗濯物が投入される金属製の回転槽と、前記回転槽に設けられた開口部と、前記水受槽側に設けられ前記回転槽が回転することに基いて前記開口部に対向するコイル状のアンテナとを備え、前記開口部の大きさは前記アンテナに比べて大きく設定されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の手段によれば、回転槽内に洗濯物を投入した状態で運転が開始されると、回転槽が回転することに基いて回転槽の開口部が棒状のアンテナに対向する。この開口部の幅寸法がアンテナの使用周波数波長の1/4以上に設定されているので、洗濯物の投入状態でアンテナが洗濯物からの無線情報を開口部を通して検出することができる。
請求項2記載の手段によれば、回転槽内に洗濯物を投入した状態で運転が開始されると、回転槽が回転することに基いて回転槽の開口部がコイル状のアンテナに対向する。この開口部の大きさがアンテナに比べて大きく設定されているので、洗濯物の投入状態でアンテナが洗濯物からの無線情報を開口部を通して検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1実施例を図1〜図9に基いて説明する。外箱1内には、図1に示すように、制振用の複数のダンパ2を介して円筒状の水受槽3が固定されている。この水受槽3は非導電性の合成樹脂を材料に形成されたものであり、水受槽3の前面には円形孔状の開口部4が形成されている。この水受槽3は給水弁を通して水道水が注入されるものであり、水道水を洗濯水として受ける貯水容器として機能する。この給水弁は給水弁ソレノイド5(図2参照)を駆動源とするものであり、給水弁ソレノイド5がオンオフされることに基いて開閉される。この水受槽3には、図1に示すように、排水路6が接続されており、排水路6には排水弁7が介在されている。この排水弁7は排水弁ソレノイド8(図2参照)を駆動源とするものであり、排水路6は排水弁ソレノイド8がオンオフされることに基いて開閉される。
【0008】
水受槽3の後面には、図1に示すように、洗濯モータ9が固定されており、洗濯モータ9の回転軸には水受槽3内に位置して導電金属製の回転槽11が連結されている。この回転槽11は水受槽3と同心の円筒状をなすものであり、回転槽11には洗濯水が流通する複数の貫通孔12が形成されている。この回転槽11は洗濯物を洗う洗い容器と洗濯物をすすぐすすぎ容器と洗濯物を脱水する脱水容器とを兼用するものであり、回転槽11には水受槽3の開口部4の後方に位置して円形孔状の開口部13が形成されている。
【0009】
外箱1の前面には貫通孔状の投入口14が形成されており、回転槽11内には投入口14から水受槽3の開口部4および回転槽11の開口部13を通して洗濯物が投入される。この外箱1には外蓋15が回動可能に装着されており、投入口14は外蓋15が回動操作されることに基いて開閉される。
回転槽11には、図3に示すように、4個の開口部16が周方向に等ピッチで形成されている。これら各開口部16は、図4に示すように、回転槽11の軸方向に沿って延びる長方形状をなすものであり、各開口部16内には、図3に示すように、合成樹脂製のバッフル17が嵌合されている。これら各バッフル17は開口部16を塞ぐ補強部材に相当するものであり、回転槽11の回転時にはバッフル17が回転槽11内の洗濯物を持ち上げて落下させることに基いて撹拌する。
【0010】
外箱1の上端部には、図1に示すように、前面が開口する空間状の電装室18が形成されている。この電装室18内には制御基板19が収納されており、制御基板19には、図2に示すように、運転制御回路20が搭載されている。この運転制御回路20はマイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、CPU21・ROM22・RAM23を有している。
【0011】
電装室18の前面には、図1に示すように、操作パネル24が固定されている。この操作パネル24には、図2に示すように、洗濯コーススイッチ25およびスタートスイッチ26が装着されており、運転制御回路20は洗濯コーススイッチ25の操作内容に応じて洗濯コースを設定する。この洗濯コースの設定状態でスタートスイッチ26が操作されたことを検出したときには給水弁ソレノイド5・排水弁ソレノイド8・洗濯モータ9を洗濯コースの設定結果に応じたパターンで駆動制御し、洗濯運転を実行する。この処理は運転制御回路20のCPU21がROM22に記録された運転制御プログラムに基いて実行するものであり、RAM23はワークエリアとして機能する。
【0012】
操作パネル24には、図2に示すように、報知器に相当する運転情報表示器27が固定されている。この運転情報表示器27は液晶表示器からなるものであり、運転制御回路20は洗濯コースの設定結果および残り洗濯時間等の運転情報を運転情報表示器28に表示する。
制御基板19には、図2に示すように、通信制御回路29が搭載されている。この通信制御回路29はマイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、CPU30・ROM31・RAM32を有している。この通信制御回路29は送信回路33を駆動制御することに基いてキャリア信号を変調し、キャリア信号の変調結果を6個のアンテナ34A〜34Fから質問信号として発振するものである。この処理は通信制御回路29のCPU30がROM31に記録された通信制御プログラムに基いて行うものであり、RAM32はワークエリアとして機能する。
【0013】
通信制御回路29のアンテナ34A〜34Fはアンテナ線をループ状に巻回してなる電磁誘導式のものであり、図3に示すように、水受槽3の外周面に周方向に等ピッチで固定されている。これら各アンテナ34A〜34Fは、図4に示すように、回転槽11が回転することに基いて回転槽11の開口部16に径方向から対向するものであり、各アンテナ34A〜34Fの大きさは開口部16に比べて小さく設定されている。図3の(a)の二点鎖線Eはアンテナ34A〜34Fの検出領域を示すものである。これらアンテナ34A〜34Fの検出領域Eは周方向に隣接する検出領域Eに重なるものであり、全ての検出領域Eの合計は回転槽11の内周部の全体を網羅するように設定されている。
【0014】
無線タグ素子35は洗濯物に装着された無線送信部に相当するものであり、図2に示すように、アンテナ36・電源回路37・制御回路38・メモリ39を有している。アンテナ36は、図4に示すように、回転槽11の開口部16を通して通信制御回路29のアンテナ34A〜34Fに磁気的に結合するものであり、アンテナ34A〜34Fに磁気的に結合することに基いてキャリア信号を受信する。電源回路37はアンテナ36が受信したキャリア信号を整流平滑することに基いて無線タグ素子35の駆動電源を生成するものであり、無線タグ素子35は通信制御回路29のアンテナ34A〜34Fから電源が非接触で送信される。
【0015】
無線タグ素子35の制御回路38はアンテナ36が受信したキャリア信号を復調することに基いて通信制御回路29からの質問内容を認識し、メモリ39から洗濯物情報を検出するものであり、洗濯物情報の検出結果に基いて応答信号を生成し、アンテナ36から通信制御回路29のアンテナ34A〜34Fに応答信号を発振することに基いて質問内容に答える。
【0016】
図5は無線タグ素子35のメモリ39に記録された洗濯物情報を示すものであり、メモリ39には洗濯物情報として識別データ・衣類データ・布質データ・色合いデータ・注意データが記録されている。識別データとは洗濯物を特定する識別コードを称し、衣類データとはセーターおよびジャンパー等の衣類の種類を称する。布質データとはカシミアおよび皮等の布の種類を称し、色合いデータとは赤および茶等の洗濯物の色合いを称し、注意データとはドライクリーニングおよび洗濯不能等の洗濯を行うときの注意事項を称する。
【0017】
制御基板19には、図2に示すように、受信回路40が搭載されている。この受信回路40はアンテナ34A〜34Fの受信信号を個別に復調するものであり、通信制御回路29は受信回路40の復調結果に基いて無線タグ素子35からの応答内容を認識する。即ち、通信制御回路29と送信回路33とアンテナ34A〜34Fと受信回路40は無線タグ素子35からの洗濯物情報を読取る電磁誘導式のリーダー41を構成するものである。このリーダー41は無線受信部に相当するものであり、使用周波数が13.56MHzに設定されている。
【0018】
次に上記構成の作用について説明する。
運転制御回路20は電源が投入されると、図6のステップS1で洗濯コーススイッチ25の操作状態を判断し、洗濯コーススイッチ25の操作を検出したときにはステップS2で洗濯コースを設定する。この洗濯コースは洗濯コーススイッチ25の操作内容に応じて設定されるものであり、運転制御回路20は洗濯コースを標準コース・つけおきコース・スピーディコース・ドライコースのうちから選択する。
【0019】
運転制御回路20はステップS2で洗濯コースを設定すると、ステップS3で洗濯モータ9を駆動し、回転槽11を図3の矢印A方向へ一定速度で正転させる。この回転槽11の駆動時には水受槽3内に洗濯水が注入されておらず、回転槽11内の洗濯物が乾布状態で撹拌される。
運転制御回路20は図6のステップS3で回転槽11を正転させると、ステップS4で通信制御回路29に読込み開始指令を送信する。すると、通信制御回路29は図7のステップS21で運転制御回路20からの読込み開始指令を検出し、ステップS22で洗濯物情報の有無を判断する。ここで洗濯物情報を検出したときにはステップS23へ移行し、洗濯物情報の検出結果を運転制御回路20に転送する。
【0020】
運転制御回路20は図6のステップS4で読込み開始指令を送信すると、ステップS5で洗濯物情報の有無を判断する。ここで通信制御回路29からの洗濯物情報を検出したときにはステップS6へ移行し、洗濯物情報の検出結果をRAM23に格納する。
運転制御回路20はステップS7へ移行すると、回転槽11の回転量を検出する。この回転槽11の回転量はステップS3で回転槽11を正転開始してからの経過時間に基いて検出されるものであり、運転制御回路はステップS7で回転槽11の回転量が設定値(具体的には10回転)に到達したことを検出したときにはステップS8へ移行し、回転槽11を回転停止させる。そして、ステップS9へ移行し、通信制御回路29に読込み停止指令を送信する。すると、通信制御回路29は図7のステップS24で読込み停止指令を検出し、ステップS21で読込み開始指令を待つスリープ状態に移行する。
【0021】
運転制御回路20は図6のステップS9で読込み停止指令を送信すると、ステップS10で洗濯物情報の格納結果を加工することに基いて洗濯情報を設定し、ステップS11で洗濯情報の設定結果を運転情報表示器27に表示する。例えば洗濯物として皮製品が投入されているときには運転制御回路20が通信制御回路29からの洗濯物情報に基いて洗濯情報「皮製品は洗えません」を設定しており、運転情報表示器27に洗濯情報「皮製品は洗えません」が表示される。従って、使用者は運転情報表示器27の表示内容に基いて回転槽11内に不適切な洗濯物が投入されていることを認識できるので、回転槽11内から不適切な洗濯物を取出したり、洗濯コースを再設定する等の処置を行うことができる。
【0022】
運転制御回路20はステップS11で洗濯情報を表示すると、ステップS12でスタートスイッチ26の操作状態を検出する。ここでスタートスイッチ26が操作されたことを検出すると、ステップS13で給水弁ソレノイド5・排水弁ソレノイド8・洗濯モータ9を洗濯コースの設定結果に応じたパターンで駆動し、洗濯運転を実行する。
運転制御回路20は洗濯運転を開始すると、洗い工程で通信制御回路29に読込み開始指令を送信することに基いて洗濯物情報の転送を要求し、下記1)および2)に示すように、洗濯物情報の転送結果に基いて洗濯物の撹拌状態を検出する。そして、洗濯物の撹拌状態が良好でないことを検出したときには洗濯モータ9の回転状態を調整し、洗濯物の撹拌状態を改善する。
1)図3の矢印Bは洗濯物が回転槽11の正転途中で最高高度から落下する移動軌跡を示すものである。この場合には、図8の(a)・(b)・(c)に示すように、アンテナ34A・34B・34Cが同一の無線タグ素子35から同一の洗濯物情報を順に検出し、図8の(d)に示すように、アンテナ34D〜34Fが当該洗濯物情報を検出しない。この状態では運転制御回路20が洗濯物の撹拌状態が良好であると判断し、洗い工程が終了するまで洗濯モータ9を現在速度で運転する。
2)洗濯物が回転槽11の内周面から落下しないときにはアンテナ34A〜34Fが同一の無線タグ素子35から同一の洗濯物情報を順に検出する。この場合には運転制御回路20が洗濯物の撹拌状態が良好でないと判断し、洗濯モータ9の回転速度を変更する。そして、アンテナ34A〜34Cが同一の洗濯物情報を順に検出し、アンテナ34D〜34Fが当該洗濯物情報を検出しないことを確認することに基いて洗濯モータ9の回転速度を固定し、洗い工程が終了するまで洗濯モータ9を固定速度で運転する。
【0023】
運転制御回路20は脱水工程で通信制御回路29に読込み開始指令を送信することに基いて洗濯物情報の転送を要求し、下記3)および4)に示すように、洗濯物情報の転送結果に基いて洗濯物の分布状態を検出する。そして、洗濯物の分布状態が良好でないことを検出したときには洗濯モータ9の回転状態を調整し、洗濯物の分布状態を改善する。この脱水工程は洗濯モータ9を洗い工程に比べて高速回転させるものであり、脱水工程では洗濯物が遠心力で回転槽11の内周面に貼付き、回転槽11と共に回転する。
3)洗濯物が回転槽11内に均一に分布しているときには、図9の(a)に示すように、特定のアンテナ34Aが異なる複数の無線タグ素子35から異なる複数の洗濯物情報を時間的に等間隔で順に検出する。この場合には運転制御回路20が洗濯物の分布状態が良好であると判断し、脱水工程が終了するまで洗濯モータ9を現在速度で運転する。
4)洗濯物が回転槽11内に不均一に分布しているときには、図9の(b)に示すように、特定のアンテナ34Aが異なる複数の無線タグ素子35から異なる複数の洗濯物情報を時間的に偏って検出する。この場合には運転制御回路20が洗濯物の分布状態が偏っていると判断し、洗濯モータ9を逆方向へほぐし速度で回転させた後に正方向へ脱水速度で回転させる。そして、洗濯物の分布状態を再検出し、洗濯物の分布状態が改善されるまで洗濯モータ9の逆転および正転を繰返す。
【0024】
上記第1実施例によれば、回転槽11の開口部16の大きさをリーダー41のアンテナ34A〜34Fに比べて大きく設定したので、洗濯物を回転槽11内に投入した状態で無線タグ素子35からの洗濯物情報を開口部16を通して検出することができる。しかも、洗濯物の分布状態および撹拌状態を運転時にリアルタイムで検出することができるので、回転槽11の回転状態を検出結果に基いて制御することに基いて洗濯物の分布状態および撹拌状態を改善できる。さらに、回転槽11に開口部16を形成する程度で洗濯物情報を検出することができるので、回転槽11に検出用の構造を敷設する必要もなくなる。
【0025】
アンテナ34A〜34Fを静止部位3に固定したので、アンテナ34A〜34Fをリード線等の通常の配線だけで制御基板19に接続することができる。このため、アンテナ34A〜34Fを回転槽11等の非静止部位に固定する場合とは異なり、アンテナ34A〜34Fと運転制御回路29との間に電磁カップリング等の複雑な接続構造を介在する必要がなくなるので、追加スペースが不要になり、部品点数の増加も抑えられる。
【0026】
アンテナ34A〜34Fを水受槽3の外周面に配置した。このため、アンテナ34A〜34Fに水がかかり難くなるので、アンテナ34A〜34Fとして防水耐性程度のものを使用することが可能になる。従って、浸水耐性のアンテナを使用する必要がなくなるので、構成が簡素になる。
回転槽11の開口部16内にバッフル17を嵌合することに基いて開口部16を塞いだので、洗濯物が運転時に開口部16内に吸込まれることがなくなる。しかも、回転槽11の剛性低下が抑えられるので、回転槽11が遠心力で変形することが防止される。さらに、開口部16内に専用栓を嵌合する必要がなくなるので、専用栓の影響で洗濯性能が悪化することもなくなる。
【0027】
リーダー41が水受槽3内に洗濯水が注入される前に無線タグ素子35からの洗濯物情報を検出するように構成したので、洗濯物情報の検出精度が水の影響で低下することがなくなる。しかも、皮製品に水が付着する前に皮製品が投入されていることを使用者に報知することができるので、使用者が皮製品を取出す等の処置を行うことで皮製品に水が付着することを回避することができる。
【0028】
回転槽11に複数の開口部16を形成したので、回転槽11内に複数の検出エリアが形成される。このため、洗濯物が脱水工程で均一に分布しているか否かの分布状態を検出することができるので、洗濯モータ9を検出結果に基いて駆動制御することで洗濯物の分布状態を改善することができる。
水受槽3の外周面にアンテナ34A〜34Fを周方向に沿って配列したので、運転時の洗濯物の挙動を検出することができる。このため、洗濯物が洗い工程で最高高度から落下しているか否かの撹拌状態を検出することができるので、洗濯モータ9を検出結果に基いて駆動制御することで洗濯物の撹拌状態を改善することができる。しかも、アンテナ34A〜34Fの検出エリアを小さくすることができる。このため、アンテナ34A〜34Fの検出出力が小さくなるので、リーダー41の構成が小さくなる。
【0029】
上記第1実施例においては、無線タグ素子35およびリーダー41として電磁誘導式のものを利用したが、これに限定されるものではなく、例えば電波式のものを利用しても良い。この場合には、本発明の第2実施例を示す図10のように、水受槽3の外周面に棒状のアンテナ45を周方向に等ピッチで固定し(1個のみ図示する)、無線タグ素子35からの洗濯物情報を回転槽11の開口部16を通して棒状のアンテナ45に伝達すると良い。この開口部16は軸方向の幅寸法W1が周方向の幅寸法W2に比べて大きな長方形状をなすものであり、幅寸法W1およびW2の双方が使用周波数波長λの1/4以上に設定されたり、幅寸法W1およびW2の一方が使用周波数波長λの1/4以上に設定される。
【0030】
無線タグ検出用の電波としては世界的に「2.45GHz」近辺および「950MHz」近辺が利用されており、検出用電波の波長λは「約12cm」および「約31cm」になる。これらの電波は金属面で反射されるので、回転槽11の基材を通過することができないが、幅寸法W1およびW2の少なくとも一方が「λ/4」以上の開口部16を通して伝達させることができる。
【0031】
上記第1および第2実施例においては、水受槽3の外周面に複数のアンテナ34A〜34Fおよび複数のアンテナ45を固定したが、これに限定されるものではなく、例えば1個のアンテナを固定しても良い。図11は水受槽3の外周面にコイル状の1個のアンテナ34を固定した本発明の第3実施例を示すものであり、アンテナ34は最高水位HLより上方に配置され、アンテナ34の検出領域Eは回転槽11内の左側部に偏心している。この最高水位HLとは運転時に水受槽3内に貯留される水位の最高値を称するものであり、開口部16は水中から脱出した状態でアンテナ34に対向する。従って、洗濯物情報の検出精度が水の影響で低下することがなくなるので、洗濯物情報の検出精度が高まる。
【0032】
上記第1および第2実施例においては、水受槽3の外周面に複数のアンテナ34A〜34Fおよび複数のアンテナ45を周方向に等ピッチで配列したが、これに限定されるものではなく、例えば不等ピッチで配列しても良い。この場合、複数の全てのアンテナ34A〜34Fおよび複数の全てのアンテナ45を最高水位HLの上方に配置すると良い。
上記第1〜第3実施例においては、本発明をドラム式の洗濯機に適用したが、これに限定されるものではなく、例えばパルセータが生成する水流で洗濯物を洗う縦形の洗濯機に適用しても良い。図12は本発明を縦形の洗濯機に適用した第4実施例であり、合成樹脂製の水受槽51の外周面にコイル状のアンテナ34を固定し、金属製の回転槽52にアンテナ34に比べて大きな開口部16を形成する。図13は水受槽51の外周面に棒状のアンテナ45を固定した本発明の第5実施例である。この場合には開口部16の幅寸法W1およびW2の少なくとも一方を使用周波数波長λの1/4以上に設定する。
【0033】
上記第1〜第5実施例においては、運転情報表示器27に洗濯情報を表示する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばスピーカから洗濯情報を音声で出力する構成としたり、アラームを鳴動させることに基いて不適切な洗濯物の投入を報知する構成としても良い。
上記第1〜第5実施例においては、アンテナ34A〜34Fおよびアンテナ45等を水受槽3等の外周面に固定したが、これに限定されるものではなく、要は水受槽3側に回転槽11に対して相対的に静止するように配置すれば良い。
【0034】
上記第1〜第5実施例においては、開口部16をバッフル17によって塞いだが、これに限定されるものではなく、例えば合成樹脂製の専用の栓部材によって塞いでも良い。この場合、栓部材を強度確保の目的でアーチ構造等の突状にすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例を示す図(洗濯機の内部構成を示す断面図)
【図2】電気的構成を示すブロック図
【図3】(a)はリーダーのアンテナおよび回転槽の開口部の機械的な配置関係を示す図、(b)はX部を拡大して示す図
【図4】(a)はリーダーのアンテナおよび回転槽の開口部をバッフルの除去状態で示す斜視図、(b)はリーダーのアンテナおよび無線タグ素子のアンテナを磁気的結合状態で示す模式図
【図5】無線タグ素子の記録データを示す図
【図6】運転制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図7】通信制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図8】洗濯物の撹拌状態の検出方法を説明するための図
【図9】洗濯物の分布状態の検出方法を説明するための図
【図10】本発明の第2実施例を示す図4相当図
【図11】本発明の第3実施例を示す図3の(a)相当図
【図12】本発明の第4実施例を示す図4の(a)相当図
【図13】本発明の第5実施例を示す図4の(a)相当図
【符号の説明】
【0036】
3は水受槽、11は回転槽、16は開口部、17はバッフル(補強部材)、34はアンテナ、34A〜34Fはアンテナ、35は無線タグ素子(無線送信部)、41はリーダー(無線受信部)、45はアンテナ、51は水受槽、52は回転槽を示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属製の水受槽と、
前記水受槽内に回転可能に収納され、洗濯物が投入される金属製の回転槽と、
前記回転槽に設けられた開口部と、
前記水受槽側に設けられ、前記回転槽が回転することに基いて前記開口部に対向する棒状のアンテナとを備え、
前記開口部の幅寸法は、前記アンテナの使用周波数波長の1/4以上に設定されていることを特徴とするランドリー機器。
【請求項2】
非金属製の水受槽と、
前記水受槽内に回転可能に収納され、洗濯物が投入される金属製の回転槽と、
前記回転槽に設けられた開口部と、
前記水受槽側に設けられ、前記回転槽が回転することに基いて前記開口部に対向するコイル状のアンテナとを備え、
前記開口部の大きさは、前記アンテナに比べて大きく設定されていることを特徴とするランドリー機器。
【請求項3】
前記アンテナは、前記水受槽内の最高水位より上方に配置されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のランドリー機器。
【請求項4】
前記開口部内には、非導電性の補強部材が詰込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のランドリー機器。
【請求項5】
前記補強部材は、前記回転槽内の洗濯物を撹拌するバッフルから構成されていることを特徴とする請求項4記載のランドリー機器。
【請求項6】
前記回転槽内に投入された洗濯物の無線送信部から送信される無線情報を前記アンテナを通して検出する無線受信部を備え、
前記無線受信部は、前記水受槽内に洗濯水が注入される前に前記無線送信部からの無線情報を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のランドリー機器。
【請求項7】
前記回転槽には、前記開口部が周方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のランドリー機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−6700(P2006−6700A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189591(P2004−189591)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】