リアクトル
【課題】柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトルを提供すること。
【解決手段】リアクトル1は、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、コイル2の内周側において、コイル2の軸線方向Xに配設された柱状部材4と、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコア3とを備えている。コア3の内部には、コイル2及び柱状部材4が埋設されている。柱状部材4におけるコア3との接触面には、内表面511が球面状の凹部51が形成されている。
【解決手段】リアクトル1は、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、コイル2の内周側において、コイル2の軸線方向Xに配設された柱状部材4と、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコア3とを備えている。コア3の内部には、コイル2及び柱状部材4が埋設されている。柱状部材4におけるコア3との接触面には、内表面511が球面状の凹部51が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置等に用いられるリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のインバータ等の電力変換装置等に用いられるリアクトルとして、様々な構造のものが知られている(特許文献1等参照)。
上記リアクトルとしては、例えば、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、コイルがコアの内部に埋設されたものがある。また、コイルへの通電によってコイル及びコアが発熱することから、放熱性を向上させるためにコイルの内周側に金属製の柱状部材を配置したものがある。この柱状部材は、その一部がコイルと共にコアの内部に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−212632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成のリアクトルでは、次のような問題があった。
すなわち、導体線を巻回してなるコイルに通電した際、隣り合う導体線同士の間に電気的な反発力が生じ、この反発力がコイルに通電される電流の大きさに応じて変化することにより、コイルに振動が生じる。そして、この振動が周囲のコアや柱状部材等に伝達され、リアクトル全体に振動が生じる。
【0005】
このようにコイルの振動が周囲に伝達されると、柱状部材とコアとの接触面に剪断力が生じる。ここで、柱状部材とコアとは、それぞれ異種材料(金属と樹脂)により構成されており、両者の密着性が十分に高いとはいえない。そのため、柱状部材とコアとの接触面に生じる剪断力によって剥離が生じ、リアクトル全体としての剛性が低下することにより、リアクトルの振動がより一層大きくなってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面には、少なくとも、内表面が球面状の凹部又は外表面が球面状の凸部が形成されていることを特徴とするリアクトルにある(請求項1)。
【0008】
本発明の他の態様は、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面の表面粗さRzは、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトルにある(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の一の態様におけるリアクトルにおいて、柱状部材におけるコアとの接触面には、少なくとも、内表面が球面状の凹部又は外表面が球面状の凸部が形成されている。そのため、柱状部材とコアとの接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイルの振動によって柱状部材とコアとの界面に生じる剪断力を、柱状部材の接触面に形成した凹部や凸部によって分散・緩和することができる。特に、凹部の内表面や凸部の外表面を球面状としたことにより、その剪断力をより効果的に分散・緩和することができ、柱状部材とコアとの剥離を確実に抑制することができる。これにより、リアクトル全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトルを作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0010】
上記本発明の他の態様におけるリアクトルにおいて、柱状部材におけるコアとの接触面の表面粗さRzは、コア内の磁性粉末の平均粒子径以上である。そのため、柱状部材とコアとの接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイルの振動によって柱状部材とコアとの界面に生じる剪断力を、表面粗さRzを上記特定の値以上とした柱状部材の接触面の粗さによって効果的に分散・緩和することができ、柱状部材とコアとの剥離を抑制することができる。これにより、リアクトル全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトルを作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0011】
このように、本発明によれば、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
【図2】実施例1における、柱状部材を示す説明図。
【図3】実施例1における、コア成形型にコイル及び柱状部材を配置した状態を示す断面説明図。
【図4】実施例1における、コア成形型に磁性粉末混合樹脂を充填した状態を示す断面説明図。
【図5】実施例1における、リアクトルをケースに収納・固定した状態を示す断面説明図。
【図6】実施例2における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
【図7】実施例2における、柱状部材を示す説明図。
【図8】実施例3における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
【図9】実施例4における、シミュレーションに用いる試験体を示す断面説明図。
【図10】実施例4における、シミュレーションによる周波数と振動レベルとの関係を示すグラフ。
【図11】実施例4における、実験による周波数と振動レベルとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記本発明の一の態様のリアクトルにおいて、上記柱状部材の上記接触面には、少なくとも、上記凹部又は上記凸部が形成されている。すなわち、柱状部材の接触面には、凹部だけを形成してもよいし、凸部だけを形成してもよい。また、凹部と凸部の両方を混在するように形成してもよい。
また、凹部や凸部は、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減するという上述の効果をより確実に発揮するためには、柱状部材の接触面全体に対して万遍なく形成されていることが望ましい。
【0014】
また、上記柱状部材の上記接触面には、上記凹部が形成されており、該凹部の深さ及び幅は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上である構成とすることができる(請求項2)。
この場合には、コア内の磁性粉末の粒子が柱状部材の接触面に形成された凹部内に入り込み易くなり、柱状部材とコアとの密着性を十分に高めることができる。
また、上記凹部の深さ及び幅は、通常用いる磁性粉末の粒子径を考慮すると、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
【0015】
また、上記柱状部材の上記接触面には、上記凸部が形成されており、該凸部の高さ及び該凸部同士の間の距離は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上である構成とすることができる(請求項3)。
この場合には、コア内の磁性粉末の粒子が柱状部材の接触面に形成された凸部同士の間に入り込み易くなり、柱状部材とコアとの密着性を十分に高めることができる。
また、上記凹部の高さ及び該凹部同士の間の距離は、通常用いる磁性粉末の粒子径を考慮すると、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
【0016】
また、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。
なお、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、測定した粒度分布から求める方法等、すでに公知の一般的な方法を用いて求めることができる。
【0017】
また、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されている構成とすることができる(請求項4)。
この場合には、柱状部材の端部に形成された拡径部により、柱状部材の放熱効率を高めることができる。
なお、拡径部は、柱状部材の両端部のうち、一方の端部だけに形成してもよいし、両方の端部に形成してもよい。
【0018】
また、柱状部材の端部に拡径部を形成した場合、コア内部からの熱応力が柱状部材の拡径部に集中する傾向がある。しかしながら、拡径部におけるコアとの接触面に凹部又は凸部を形成することにより、拡径部とコアとの間の接触面積を増やし、コア内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材の拡径部への応力集中を効果的に抑制することができる。
【0019】
上記本発明の他の態様のリアクトルにおいて、上記柱状部材の接触面の表面粗さとしては、最大高さ粗さ(Rz)を用いている。ここで、最大高さ粗さ(Rz)とは、基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さをいう。
また、上記柱状部材の接触面の表面粗さRzは、通常用いる磁性粉末の粒子径を考慮すると、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
【0020】
また、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。
なお、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、測定した粒度分布から求める方法等、すでに公知の一般的な方法を用いて求めることができる。
【0021】
また、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されている構成とすることができる(請求項6)。
この場合には、柱状部材の端部に形成された拡径部により、柱状部材の放熱効率を高めることができる。
なお、拡径部は、柱状部材の両端部のうち、一方の端部だけに形成してもよいし、両方の端部に形成してもよい。
【0022】
また、上記柱状部材の端部に拡径部を形成した場合、コア内部からの熱応力が柱状部材の拡径部に集中する傾向がある。しかしながら、柱状部材の接触面の表面粗さRzを上記特定の値以上としていることにより、拡径部とコアとの間の接触面積を増やし、コア内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材の拡径部への応力集中を効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
リアクトルに係る実施例について、図を用いて説明する。
本例のリアクトル1は、図1、図2に示すごとく、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、コイル2の内周側において、コイル2の軸線方向Xに配設された柱状部材4と、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からコア3とを備えている。
コア3の内部には、コイル2及び柱状部材4が埋設されており、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、内表面511が球面状の凹部51が形成されている。
以下、これを詳説する。
【0024】
図1に示すごとく、本例のリアクトル1は、例えば、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置に用いられるものである。
リアクトル1は、通電により磁束を発生するコイル2と、コイル2への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア3と、コイル2及びコア3に発生した熱を伝達して放熱する放熱用の柱状部材4とを備えている。
【0025】
コイル2は、銅線からなる導体線(図示略)を螺旋状に巻回して円筒状に形成されている。コイル2は、コア3の内部に埋設されている。また、コイル2の表面は、絶縁被膜21により被覆されている。
コア3は、絶縁樹脂に磁性粉末である鉄粉を混合した磁性粉末混合樹脂からなる。コア3は、コイル2全体を覆うように配設されている。
【0026】
柱状部材4は、アルミニウム合金からなり、コイル2の内周側を貫通するように、コイル2の軸線方向Xに配設されている。また、柱状部材4は、その両端面をコア3の外側に露出させた状態で、それ以外の部分がコア3の内部に埋設されている。
また、柱状部材4の両端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部41が形成されている。
【0027】
また、柱状部材4には、後述するケース7の突出部73(図5参照)に嵌合させる嵌合凹部42が形成されている。また、柱状部材4には、軸線方向Xの一方の端面から嵌合凹部42まで貫通してなると共に、後述するボルト74(図5参照)を挿通させる貫通孔43が設けられている。貫通孔43は、後述するケース7の突出部73の螺合穴731(図5参照)に連通している。
【0028】
図1、図2に示すごとく、柱状部材4における外周面402、すなわちコア3との接触面409には、複数の凹部51が形成されている。凹部51は、柱状部材4の外周面402を凹ませて(窪ませて)なり、その内表面511が球面状となっている。また、凹部51は、他の凹部51との間にある程度の距離を設けて、接触面409全体に万遍なく形成されている。
【0029】
図2に示すごとく、凹部51の深さD及び幅Wは、例えば、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上、最大粒子径以下とすることができる。ここで、平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。また、最大粒子径は、例えば、500〜600μmの範囲内とすることができる。また、平均粒子径及び最大粒子径は、例えば、磁性粉末の粒度分布を測定し、その粒度分布から求める方法等、すでに公知の一般的な方法を用いて求めることができる。
なお、図1、図2では、説明の便宜上、柱状部材4の接触面409に形成された凹部51を実際よりも大きく図示してある。
【0030】
次に、本例のリアクトル1の製造方法について説明する。
本例のリアクトル1を製造するに当たっては、まず、図3に示すごとく、コア成形型6内に、表面を絶縁被膜21で被覆したコイル2と柱状部材4とを配置する。このとき、柱状部材4がコイル2の内周側に配置されるように、コイル2及び柱状部材4を配置する。また、コア成形型6の底面部61とコイル2との間にスペーサ等を配置し、コイル2をコア成形型6内の所定の位置に配置する。
【0031】
次いで、図4に示すごとく、コア成形型6内に磁性粉末混合樹脂30を充填し、コイル2及び柱状部材4を磁性粉末混合樹脂30内に埋設させる。そして、磁性粉末混合樹脂30に対して熱処理を施し、磁性粉末混合樹脂30を硬化させてコア3を成形する。その後、一体となったコイル2、コア3及び柱状部材4をコア成形型6から取り出す。
これにより、図1に示すリアクトル1が得られる。
【0032】
なお、本例のリアクトル1は、例えば、図5に示すごとく、ケース7に収容し、固定して用いられる。
ここで、ケース7は、アルミニウム合金からなり、底面部71とその底面部71の外周部から立設された筒状の側面部72とを有する。また、ケース7には、底面部71から突出してなる突出部73が設けられている。突出部73には、後述するボルト74を螺合させる螺合穴731が形成されている。
【0033】
リアクトル1をケース7に収容し、固定するに当たっては、同図に示すごとく、予め液状の放熱用樹脂79を入れておいたケース7内に、リアクトル1を収容する。このとき、柱状部材4の嵌合凹部42にケース7の突出部73を嵌合させる。また、ケース7とコア3との間に放熱用樹脂79を入り込ませる。
次いで、ボルト74を柱状部材4の貫通孔43に挿通させ、ケース7の突出部73の螺合穴731に螺合させることにより、柱状部材4をケース7に固定する。
これにより、リアクトル1をケース7に収容し、固定する。
【0034】
次に、本例のリアクトル1における作用効果について説明する。
本例のリアクトル1において、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、内表面511が球面状の凹部51が形成されている。そのため、柱状部材4とコア3との接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイル2の振動によって柱状部材4とコア3との界面に生じる剪断力を、柱状部材4の接触面409に形成した凹部51によって分散・緩和することができる。特に、凹部51の内表面511を球面状としたことにより、その剪断力をより効果的に分散・緩和することができ、柱状部材4とコア3との剥離を確実に抑制することができる。これにより、リアクトル1全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトル1を作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0035】
また、本例では、凹部51の深さD及び幅Wは、コア3内の磁性粉末(鉄粉)の平均粒子径以上である。そのため、コア3内の磁性粉末の粒子が柱状部材4の接触面409に形成された凹部51内に入り込み易くなり、柱状部材4とコア3との密着性を十分に高めることができる。
【0036】
また、柱状部材4の両端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部41が形成されている。そのため、柱状部材4の放熱効率を高めることができる。
また、柱状部材4の両端部に拡径部41を形成した場合、コア3内部からの熱応力が柱状部材4の拡径部41に集中する傾向がある。しかしながら、拡径部41におけるコア3との接触面409に凹部51が形成されているため、拡径部41とコア3との間の接触面積を増やし、コア3内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材4の拡径部41への応力集中を効果的に抑制することができる。
【0037】
このように、本例によれば、柱状部材4とコア3との剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトル1を提供することができる。
【0038】
(実施例2)
本例は、図6、図7に示すごとく、柱状部材4の接触面409に凸部52を形成した例である。
本例では、同図に示すごとく、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、外表面521が球面状の凸部52が形成されている。
【0039】
さらに詳説すると、同図に示すごとく、柱状部材4における外周面402、すなわちコア3との接触面409には、複数の凸部52が形成されている。凸部52は、柱状部材4の外周面402を突出させてなり、その外表面521が球面状となっている。また、凸部52は、他の凸部52との間にある程度の距離を設けて、接触面409全体に万遍なく形成されている。
【0040】
また、図7に示すごとく、凸部52の高さH及び凸部52同士の間の距離Sは、例えば、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上、最大粒子径以下とすることができる。ここで、平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。また、最大粒子径は、例えば、500〜600μmの範囲内とすることができる。
なお、図6、図7では、説明の便宜上、柱状部材4の接触面409に形成された凸部52を実際よりも大きく図示してある。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0041】
本例の場合、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、外表面521が球面状の凸部52が形成されている。そのため、柱状部材4とコア3との接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイル2の振動によって柱状部材4とコア3との界面に生じる剪断力を、柱状部材4の接触面409に形成した凸部52によって分散・緩和することができる。特に、凸部52の外表面521を球面状としたことにより、その剪断力をより効果的に分散・緩和することができ、柱状部材4とコア3との剥離を確実に抑制することができる。これにより、リアクトル1全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトル1を作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0042】
また、凸部52の高さH及び凸部52同士の間の距離Sは、コア3内の磁性粉末(鉄粉)の平均粒子径以上である。そのため、コア3内の磁性粉末の粒子が柱状部材4の接触面409に形成された凸部52同士の間に入り込み易くなり、柱状部材4とコア3との密着性を十分に高めることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0043】
なお、実施例1では、図1、図2に示すごとく、柱状部材4の接触面409に凹部51を形成し、実施例2では、図6、図7に示すごとく、柱状部材4の接触面409に凸部52を形成したが、例えば、柱状部材4の接触面409に凹部51と凸部52の両方を混在するように形成してもよい。
【0044】
(実施例3)
リアクトルに係る別態様の実施例について、図を用いて説明する。
本例のリアクトルは、図8に示すごとく、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、コイル2の内周側において、コイル2の軸線方向Xに配設された柱状部材4と、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコア3とを備えている。
コア3の内部には、コイル2及び柱状部材4が埋設されており、柱状部材4におけるコア3との接触面409の表面粗さRzは、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上である。
以下、これを詳説する。
【0045】
図8に示すごとく、本例のリアクトル1は、例えば、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置等に用いられるものである。
リアクトル1は、通電により磁束を発生するコイル2と、コイル2への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア3と、コイル2及びコア3に発生した熱を伝達して放熱する放熱用の柱状部材4とを備えている。
なお、コイル2及びコア3の構成は、実施例1と同様である。
【0046】
同図に示すごとく、柱状部材4における外周面402、すなわちコア3との接触面409は、表面に小さな凹凸が形成された粗い面となっており、その表面粗さRzは、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上である。なお、本例では、柱状部材4の接触面409の表面粗さとしては、最大高さ(Rz)を用いている。ここで、最大高さ(Rz)とは、基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さをいう。
また、磁性粉末である鉄粉の平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。また、柱状部材4の接触面409の表面粗さRzは、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
なお、柱状部材4のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0047】
次に、本例のリアクトル1における作用効果について説明する。
本例のリアクトル1において、柱状部材4におけるコア3との接触面409の表面粗さRzは、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上である。そのため、柱状部材4とコア3との接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイル2の振動によって柱状部材4とコア3との界面に生じる剪断力を、表面粗さRzを上記特定の値以上とした柱状部材4の接触面409の粗さによって効果的に分散・緩和することができ、柱状部材4とコア3との剥離を抑制することができる。これにより、リアクトル1全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトル1を作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0048】
また、本例では、柱状部材4の両端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部41が形成されている。そのため、柱状部材4の放熱効率を高めることができる。
また、柱状部材4の両端部に拡径部41を形成した場合、コア3内部からの熱応力が柱状部材4の拡径部41に集中する傾向がある。しかしながら、柱状部材4の接触面409の表面粗さRzを上記特定の値以上としていることにより、拡径部41とコア3との間の接触面積を増やし、コア3内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材4の拡径部41への応力集中を効果的に抑制することができる。
【0049】
このように、本例によれば、柱状部材4とコア3との剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトル1を提供することができる。
【0050】
(実施例4)
本例は、図9〜図11に示すごとく、リアクトルの周波数特性を調べたものである。
本例では、リアクトルの周波数特性をシミュレーション及び実験により評価した。
以下、これを詳説する。
【0051】
まず、シミュレーションによる周波数特性の評価について説明する。
シミュレーションによる評価では、2種類の試験体A1、A2を準備した。
試験体A1、A2には、図9に示すごとく、基本的な構成が実施例1のリアクトル1(図1参照)と同様のリアクトル8を用いた。
ただし、柱状部材4の外周面402(接触面409)には、凹部等が形成されていない。また、柱状部材4とコア3との間には、厚さ0.3mmのダミー層39が設けられている。
【0052】
また、試験体A1は、ダミー層39のヤング率をコア3のヤング率と同じとし、柱状部材4とコア3との密着性が高くなるようにした。
また、試験体A2は、ダミー層39のヤング率をコア3のヤング率の1/10000以下とし、柱状部材4とコア3との密着性が低い状態を模擬した。
【0053】
そして、シミュレーションによる周波数特性の評価は、試験体A1、A2について、コイルに通電する電流値を一定とした状態で、電流変動成分の周波数を低周波から高周波まで変化させ、このときのリアクトル表面の振動を計測することによって行った。
【0054】
図10にシミュレーションによる周波数特性の評価結果を示す。同図において、縦軸は振動レベル(dB)、横軸は周波数である。
同図からわかるように、試験体A1は、試験体A2に比べて、共振周波数(固有振動数)が高周波側へと移動している。これは、柱状部材とコアとの密着性を高くしたことにより、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、リアクトル全体の剛性が高くなったからである。
以上の結果から、柱状部材とコアとの密着性が高くなることにより、共振周波数(固有振動数)が高周波側へと移動することがわかる。
【0055】
次に、実験による周波数特性の評価について説明する。
実験による評価では、2種類の試験体B1、B2を準備した。
試験体B1、B2には、基本的な構成が実施例1のリアクトル(図1参照)と同様のリアクトルを用いた。
ただし、試験体B1は、柱状部材の外周面(接触面)に凹部が形成されている。一方、試験体B2は、柱状部材の外周面(接触面)に凹部が形成されていない。
【0056】
そして、実験による周波数特性の評価は、シミュレーションと同様に、試験体B1、B2について、コイルに通電する電流値を一定とした状態で、電流変動成分の周波数を低周波から高周波まで変化させ、このときのリアクトル表面の振動を計測することによって行った。
【0057】
図11に実験による周波数特性の評価結果を示す。同図において、縦軸は振動レベル(dB)、横軸は周波数である。
同図からわかるように、柱状部材の外表面(接触面)に凹部が形成された試験体B1は、凹部が形成されていない試験体B2に比べて、共振周波数(固有振動数)が高周波側へと移動している。これは、柱状部材の外表面(接触面)に凹部を形成し、柱状部材とコアとの密着性を高くしたことにより、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、リアクトル全体の剛性が高くなったからである。また、この結果は、上述したシミュレーションの結果とも一致している。
【0058】
以上の結果より、リアクトルにおいて、柱状部材におけるコアとの接触面に内表面が球面状の凹部を形成することにより、柱状部材とコアとの密着性を高め、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、リアクトル全体としての剛性を高めることができることがわかった。そして、リアクトルの共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させ、リアクトルを作動させる周波数の領域において振動の低減を図ることができることがわかった。
【0059】
なお、本例では、実施例1のリアクトルを用いて実験による周波数特性の評価を行ったが、実施例2、3のリアクトルを用いた場合でも、上記と同様の結果が得られるものと考えられる。
【符号の説明】
【0060】
1 リアクトル
2 コイル
3 コア
4 柱状部材
409 接触面
51 凹部
511 内表面
52 凸部
521 外表面
X 軸線方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置等に用いられるリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のインバータ等の電力変換装置等に用いられるリアクトルとして、様々な構造のものが知られている(特許文献1等参照)。
上記リアクトルとしては、例えば、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、コイルがコアの内部に埋設されたものがある。また、コイルへの通電によってコイル及びコアが発熱することから、放熱性を向上させるためにコイルの内周側に金属製の柱状部材を配置したものがある。この柱状部材は、その一部がコイルと共にコアの内部に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−212632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成のリアクトルでは、次のような問題があった。
すなわち、導体線を巻回してなるコイルに通電した際、隣り合う導体線同士の間に電気的な反発力が生じ、この反発力がコイルに通電される電流の大きさに応じて変化することにより、コイルに振動が生じる。そして、この振動が周囲のコアや柱状部材等に伝達され、リアクトル全体に振動が生じる。
【0005】
このようにコイルの振動が周囲に伝達されると、柱状部材とコアとの接触面に剪断力が生じる。ここで、柱状部材とコアとは、それぞれ異種材料(金属と樹脂)により構成されており、両者の密着性が十分に高いとはいえない。そのため、柱状部材とコアとの接触面に生じる剪断力によって剥離が生じ、リアクトル全体としての剛性が低下することにより、リアクトルの振動がより一層大きくなってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面には、少なくとも、内表面が球面状の凹部又は外表面が球面状の凸部が形成されていることを特徴とするリアクトルにある(請求項1)。
【0008】
本発明の他の態様は、通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面の表面粗さRzは、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトルにある(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の一の態様におけるリアクトルにおいて、柱状部材におけるコアとの接触面には、少なくとも、内表面が球面状の凹部又は外表面が球面状の凸部が形成されている。そのため、柱状部材とコアとの接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイルの振動によって柱状部材とコアとの界面に生じる剪断力を、柱状部材の接触面に形成した凹部や凸部によって分散・緩和することができる。特に、凹部の内表面や凸部の外表面を球面状としたことにより、その剪断力をより効果的に分散・緩和することができ、柱状部材とコアとの剥離を確実に抑制することができる。これにより、リアクトル全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトルを作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0010】
上記本発明の他の態様におけるリアクトルにおいて、柱状部材におけるコアとの接触面の表面粗さRzは、コア内の磁性粉末の平均粒子径以上である。そのため、柱状部材とコアとの接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイルの振動によって柱状部材とコアとの界面に生じる剪断力を、表面粗さRzを上記特定の値以上とした柱状部材の接触面の粗さによって効果的に分散・緩和することができ、柱状部材とコアとの剥離を抑制することができる。これにより、リアクトル全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトルを作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0011】
このように、本発明によれば、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
【図2】実施例1における、柱状部材を示す説明図。
【図3】実施例1における、コア成形型にコイル及び柱状部材を配置した状態を示す断面説明図。
【図4】実施例1における、コア成形型に磁性粉末混合樹脂を充填した状態を示す断面説明図。
【図5】実施例1における、リアクトルをケースに収納・固定した状態を示す断面説明図。
【図6】実施例2における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
【図7】実施例2における、柱状部材を示す説明図。
【図8】実施例3における、リアクトルの構造を示す断面説明図。
【図9】実施例4における、シミュレーションに用いる試験体を示す断面説明図。
【図10】実施例4における、シミュレーションによる周波数と振動レベルとの関係を示すグラフ。
【図11】実施例4における、実験による周波数と振動レベルとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記本発明の一の態様のリアクトルにおいて、上記柱状部材の上記接触面には、少なくとも、上記凹部又は上記凸部が形成されている。すなわち、柱状部材の接触面には、凹部だけを形成してもよいし、凸部だけを形成してもよい。また、凹部と凸部の両方を混在するように形成してもよい。
また、凹部や凸部は、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、振動を低減するという上述の効果をより確実に発揮するためには、柱状部材の接触面全体に対して万遍なく形成されていることが望ましい。
【0014】
また、上記柱状部材の上記接触面には、上記凹部が形成されており、該凹部の深さ及び幅は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上である構成とすることができる(請求項2)。
この場合には、コア内の磁性粉末の粒子が柱状部材の接触面に形成された凹部内に入り込み易くなり、柱状部材とコアとの密着性を十分に高めることができる。
また、上記凹部の深さ及び幅は、通常用いる磁性粉末の粒子径を考慮すると、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
【0015】
また、上記柱状部材の上記接触面には、上記凸部が形成されており、該凸部の高さ及び該凸部同士の間の距離は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上である構成とすることができる(請求項3)。
この場合には、コア内の磁性粉末の粒子が柱状部材の接触面に形成された凸部同士の間に入り込み易くなり、柱状部材とコアとの密着性を十分に高めることができる。
また、上記凹部の高さ及び該凹部同士の間の距離は、通常用いる磁性粉末の粒子径を考慮すると、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
【0016】
また、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。
なお、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、測定した粒度分布から求める方法等、すでに公知の一般的な方法を用いて求めることができる。
【0017】
また、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されている構成とすることができる(請求項4)。
この場合には、柱状部材の端部に形成された拡径部により、柱状部材の放熱効率を高めることができる。
なお、拡径部は、柱状部材の両端部のうち、一方の端部だけに形成してもよいし、両方の端部に形成してもよい。
【0018】
また、柱状部材の端部に拡径部を形成した場合、コア内部からの熱応力が柱状部材の拡径部に集中する傾向がある。しかしながら、拡径部におけるコアとの接触面に凹部又は凸部を形成することにより、拡径部とコアとの間の接触面積を増やし、コア内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材の拡径部への応力集中を効果的に抑制することができる。
【0019】
上記本発明の他の態様のリアクトルにおいて、上記柱状部材の接触面の表面粗さとしては、最大高さ粗さ(Rz)を用いている。ここで、最大高さ粗さ(Rz)とは、基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さをいう。
また、上記柱状部材の接触面の表面粗さRzは、通常用いる磁性粉末の粒子径を考慮すると、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
【0020】
また、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。
なお、上記コア内の磁性粉末の平均粒子径は、例えば、測定した粒度分布から求める方法等、すでに公知の一般的な方法を用いて求めることができる。
【0021】
また、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されている構成とすることができる(請求項6)。
この場合には、柱状部材の端部に形成された拡径部により、柱状部材の放熱効率を高めることができる。
なお、拡径部は、柱状部材の両端部のうち、一方の端部だけに形成してもよいし、両方の端部に形成してもよい。
【0022】
また、上記柱状部材の端部に拡径部を形成した場合、コア内部からの熱応力が柱状部材の拡径部に集中する傾向がある。しかしながら、柱状部材の接触面の表面粗さRzを上記特定の値以上としていることにより、拡径部とコアとの間の接触面積を増やし、コア内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材の拡径部への応力集中を効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
リアクトルに係る実施例について、図を用いて説明する。
本例のリアクトル1は、図1、図2に示すごとく、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、コイル2の内周側において、コイル2の軸線方向Xに配設された柱状部材4と、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からコア3とを備えている。
コア3の内部には、コイル2及び柱状部材4が埋設されており、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、内表面511が球面状の凹部51が形成されている。
以下、これを詳説する。
【0024】
図1に示すごとく、本例のリアクトル1は、例えば、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置に用いられるものである。
リアクトル1は、通電により磁束を発生するコイル2と、コイル2への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア3と、コイル2及びコア3に発生した熱を伝達して放熱する放熱用の柱状部材4とを備えている。
【0025】
コイル2は、銅線からなる導体線(図示略)を螺旋状に巻回して円筒状に形成されている。コイル2は、コア3の内部に埋設されている。また、コイル2の表面は、絶縁被膜21により被覆されている。
コア3は、絶縁樹脂に磁性粉末である鉄粉を混合した磁性粉末混合樹脂からなる。コア3は、コイル2全体を覆うように配設されている。
【0026】
柱状部材4は、アルミニウム合金からなり、コイル2の内周側を貫通するように、コイル2の軸線方向Xに配設されている。また、柱状部材4は、その両端面をコア3の外側に露出させた状態で、それ以外の部分がコア3の内部に埋設されている。
また、柱状部材4の両端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部41が形成されている。
【0027】
また、柱状部材4には、後述するケース7の突出部73(図5参照)に嵌合させる嵌合凹部42が形成されている。また、柱状部材4には、軸線方向Xの一方の端面から嵌合凹部42まで貫通してなると共に、後述するボルト74(図5参照)を挿通させる貫通孔43が設けられている。貫通孔43は、後述するケース7の突出部73の螺合穴731(図5参照)に連通している。
【0028】
図1、図2に示すごとく、柱状部材4における外周面402、すなわちコア3との接触面409には、複数の凹部51が形成されている。凹部51は、柱状部材4の外周面402を凹ませて(窪ませて)なり、その内表面511が球面状となっている。また、凹部51は、他の凹部51との間にある程度の距離を設けて、接触面409全体に万遍なく形成されている。
【0029】
図2に示すごとく、凹部51の深さD及び幅Wは、例えば、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上、最大粒子径以下とすることができる。ここで、平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。また、最大粒子径は、例えば、500〜600μmの範囲内とすることができる。また、平均粒子径及び最大粒子径は、例えば、磁性粉末の粒度分布を測定し、その粒度分布から求める方法等、すでに公知の一般的な方法を用いて求めることができる。
なお、図1、図2では、説明の便宜上、柱状部材4の接触面409に形成された凹部51を実際よりも大きく図示してある。
【0030】
次に、本例のリアクトル1の製造方法について説明する。
本例のリアクトル1を製造するに当たっては、まず、図3に示すごとく、コア成形型6内に、表面を絶縁被膜21で被覆したコイル2と柱状部材4とを配置する。このとき、柱状部材4がコイル2の内周側に配置されるように、コイル2及び柱状部材4を配置する。また、コア成形型6の底面部61とコイル2との間にスペーサ等を配置し、コイル2をコア成形型6内の所定の位置に配置する。
【0031】
次いで、図4に示すごとく、コア成形型6内に磁性粉末混合樹脂30を充填し、コイル2及び柱状部材4を磁性粉末混合樹脂30内に埋設させる。そして、磁性粉末混合樹脂30に対して熱処理を施し、磁性粉末混合樹脂30を硬化させてコア3を成形する。その後、一体となったコイル2、コア3及び柱状部材4をコア成形型6から取り出す。
これにより、図1に示すリアクトル1が得られる。
【0032】
なお、本例のリアクトル1は、例えば、図5に示すごとく、ケース7に収容し、固定して用いられる。
ここで、ケース7は、アルミニウム合金からなり、底面部71とその底面部71の外周部から立設された筒状の側面部72とを有する。また、ケース7には、底面部71から突出してなる突出部73が設けられている。突出部73には、後述するボルト74を螺合させる螺合穴731が形成されている。
【0033】
リアクトル1をケース7に収容し、固定するに当たっては、同図に示すごとく、予め液状の放熱用樹脂79を入れておいたケース7内に、リアクトル1を収容する。このとき、柱状部材4の嵌合凹部42にケース7の突出部73を嵌合させる。また、ケース7とコア3との間に放熱用樹脂79を入り込ませる。
次いで、ボルト74を柱状部材4の貫通孔43に挿通させ、ケース7の突出部73の螺合穴731に螺合させることにより、柱状部材4をケース7に固定する。
これにより、リアクトル1をケース7に収容し、固定する。
【0034】
次に、本例のリアクトル1における作用効果について説明する。
本例のリアクトル1において、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、内表面511が球面状の凹部51が形成されている。そのため、柱状部材4とコア3との接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイル2の振動によって柱状部材4とコア3との界面に生じる剪断力を、柱状部材4の接触面409に形成した凹部51によって分散・緩和することができる。特に、凹部51の内表面511を球面状としたことにより、その剪断力をより効果的に分散・緩和することができ、柱状部材4とコア3との剥離を確実に抑制することができる。これにより、リアクトル1全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトル1を作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0035】
また、本例では、凹部51の深さD及び幅Wは、コア3内の磁性粉末(鉄粉)の平均粒子径以上である。そのため、コア3内の磁性粉末の粒子が柱状部材4の接触面409に形成された凹部51内に入り込み易くなり、柱状部材4とコア3との密着性を十分に高めることができる。
【0036】
また、柱状部材4の両端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部41が形成されている。そのため、柱状部材4の放熱効率を高めることができる。
また、柱状部材4の両端部に拡径部41を形成した場合、コア3内部からの熱応力が柱状部材4の拡径部41に集中する傾向がある。しかしながら、拡径部41におけるコア3との接触面409に凹部51が形成されているため、拡径部41とコア3との間の接触面積を増やし、コア3内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材4の拡径部41への応力集中を効果的に抑制することができる。
【0037】
このように、本例によれば、柱状部材4とコア3との剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトル1を提供することができる。
【0038】
(実施例2)
本例は、図6、図7に示すごとく、柱状部材4の接触面409に凸部52を形成した例である。
本例では、同図に示すごとく、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、外表面521が球面状の凸部52が形成されている。
【0039】
さらに詳説すると、同図に示すごとく、柱状部材4における外周面402、すなわちコア3との接触面409には、複数の凸部52が形成されている。凸部52は、柱状部材4の外周面402を突出させてなり、その外表面521が球面状となっている。また、凸部52は、他の凸部52との間にある程度の距離を設けて、接触面409全体に万遍なく形成されている。
【0040】
また、図7に示すごとく、凸部52の高さH及び凸部52同士の間の距離Sは、例えば、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上、最大粒子径以下とすることができる。ここで、平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。また、最大粒子径は、例えば、500〜600μmの範囲内とすることができる。
なお、図6、図7では、説明の便宜上、柱状部材4の接触面409に形成された凸部52を実際よりも大きく図示してある。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0041】
本例の場合、柱状部材4におけるコア3との接触面409には、外表面521が球面状の凸部52が形成されている。そのため、柱状部材4とコア3との接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイル2の振動によって柱状部材4とコア3との界面に生じる剪断力を、柱状部材4の接触面409に形成した凸部52によって分散・緩和することができる。特に、凸部52の外表面521を球面状としたことにより、その剪断力をより効果的に分散・緩和することができ、柱状部材4とコア3との剥離を確実に抑制することができる。これにより、リアクトル1全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトル1を作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0042】
また、凸部52の高さH及び凸部52同士の間の距離Sは、コア3内の磁性粉末(鉄粉)の平均粒子径以上である。そのため、コア3内の磁性粉末の粒子が柱状部材4の接触面409に形成された凸部52同士の間に入り込み易くなり、柱状部材4とコア3との密着性を十分に高めることができる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0043】
なお、実施例1では、図1、図2に示すごとく、柱状部材4の接触面409に凹部51を形成し、実施例2では、図6、図7に示すごとく、柱状部材4の接触面409に凸部52を形成したが、例えば、柱状部材4の接触面409に凹部51と凸部52の両方を混在するように形成してもよい。
【0044】
(実施例3)
リアクトルに係る別態様の実施例について、図を用いて説明する。
本例のリアクトルは、図8に示すごとく、通電により磁束を発生する筒状のコイル2と、コイル2の内周側において、コイル2の軸線方向Xに配設された柱状部材4と、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコア3とを備えている。
コア3の内部には、コイル2及び柱状部材4が埋設されており、柱状部材4におけるコア3との接触面409の表面粗さRzは、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上である。
以下、これを詳説する。
【0045】
図8に示すごとく、本例のリアクトル1は、例えば、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置等に用いられるものである。
リアクトル1は、通電により磁束を発生するコイル2と、コイル2への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア3と、コイル2及びコア3に発生した熱を伝達して放熱する放熱用の柱状部材4とを備えている。
なお、コイル2及びコア3の構成は、実施例1と同様である。
【0046】
同図に示すごとく、柱状部材4における外周面402、すなわちコア3との接触面409は、表面に小さな凹凸が形成された粗い面となっており、その表面粗さRzは、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上である。なお、本例では、柱状部材4の接触面409の表面粗さとしては、最大高さ(Rz)を用いている。ここで、最大高さ(Rz)とは、基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さをいう。
また、磁性粉末である鉄粉の平均粒子径は、例えば、50〜150μmの範囲内とすることができる。また、柱状部材4の接触面409の表面粗さRzは、その上限値を例えば500〜600μmの範囲内とすることができる。
なお、柱状部材4のその他の構成は、実施例1と同様である。
【0047】
次に、本例のリアクトル1における作用効果について説明する。
本例のリアクトル1において、柱状部材4におけるコア3との接触面409の表面粗さRzは、コア3内の磁性粉末の平均粒子径以上である。そのため、柱状部材4とコア3との接触面積を増やすことができ、両者の密着性を高めることができる。また、コイル2の振動によって柱状部材4とコア3との界面に生じる剪断力を、表面粗さRzを上記特定の値以上とした柱状部材4の接触面409の粗さによって効果的に分散・緩和することができ、柱状部材4とコア3との剥離を抑制することができる。これにより、リアクトル1全体としての剛性を高めることができ、共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させることができる。その結果、リアクトル1を作動させる周波数の領域において、振動の低減を図ることができる。
【0048】
また、本例では、柱状部材4の両端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部41が形成されている。そのため、柱状部材4の放熱効率を高めることができる。
また、柱状部材4の両端部に拡径部41を形成した場合、コア3内部からの熱応力が柱状部材4の拡径部41に集中する傾向がある。しかしながら、柱状部材4の接触面409の表面粗さRzを上記特定の値以上としていることにより、拡径部41とコア3との間の接触面積を増やし、コア3内部からの熱応力を分散・緩和させることができる。これにより、柱状部材4の拡径部41への応力集中を効果的に抑制することができる。
【0049】
このように、本例によれば、柱状部材4とコア3との剥離を抑制し、振動を低減することができるリアクトル1を提供することができる。
【0050】
(実施例4)
本例は、図9〜図11に示すごとく、リアクトルの周波数特性を調べたものである。
本例では、リアクトルの周波数特性をシミュレーション及び実験により評価した。
以下、これを詳説する。
【0051】
まず、シミュレーションによる周波数特性の評価について説明する。
シミュレーションによる評価では、2種類の試験体A1、A2を準備した。
試験体A1、A2には、図9に示すごとく、基本的な構成が実施例1のリアクトル1(図1参照)と同様のリアクトル8を用いた。
ただし、柱状部材4の外周面402(接触面409)には、凹部等が形成されていない。また、柱状部材4とコア3との間には、厚さ0.3mmのダミー層39が設けられている。
【0052】
また、試験体A1は、ダミー層39のヤング率をコア3のヤング率と同じとし、柱状部材4とコア3との密着性が高くなるようにした。
また、試験体A2は、ダミー層39のヤング率をコア3のヤング率の1/10000以下とし、柱状部材4とコア3との密着性が低い状態を模擬した。
【0053】
そして、シミュレーションによる周波数特性の評価は、試験体A1、A2について、コイルに通電する電流値を一定とした状態で、電流変動成分の周波数を低周波から高周波まで変化させ、このときのリアクトル表面の振動を計測することによって行った。
【0054】
図10にシミュレーションによる周波数特性の評価結果を示す。同図において、縦軸は振動レベル(dB)、横軸は周波数である。
同図からわかるように、試験体A1は、試験体A2に比べて、共振周波数(固有振動数)が高周波側へと移動している。これは、柱状部材とコアとの密着性を高くしたことにより、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、リアクトル全体の剛性が高くなったからである。
以上の結果から、柱状部材とコアとの密着性が高くなることにより、共振周波数(固有振動数)が高周波側へと移動することがわかる。
【0055】
次に、実験による周波数特性の評価について説明する。
実験による評価では、2種類の試験体B1、B2を準備した。
試験体B1、B2には、基本的な構成が実施例1のリアクトル(図1参照)と同様のリアクトルを用いた。
ただし、試験体B1は、柱状部材の外周面(接触面)に凹部が形成されている。一方、試験体B2は、柱状部材の外周面(接触面)に凹部が形成されていない。
【0056】
そして、実験による周波数特性の評価は、シミュレーションと同様に、試験体B1、B2について、コイルに通電する電流値を一定とした状態で、電流変動成分の周波数を低周波から高周波まで変化させ、このときのリアクトル表面の振動を計測することによって行った。
【0057】
図11に実験による周波数特性の評価結果を示す。同図において、縦軸は振動レベル(dB)、横軸は周波数である。
同図からわかるように、柱状部材の外表面(接触面)に凹部が形成された試験体B1は、凹部が形成されていない試験体B2に比べて、共振周波数(固有振動数)が高周波側へと移動している。これは、柱状部材の外表面(接触面)に凹部を形成し、柱状部材とコアとの密着性を高くしたことにより、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、リアクトル全体の剛性が高くなったからである。また、この結果は、上述したシミュレーションの結果とも一致している。
【0058】
以上の結果より、リアクトルにおいて、柱状部材におけるコアとの接触面に内表面が球面状の凹部を形成することにより、柱状部材とコアとの密着性を高め、柱状部材とコアとの剥離を抑制し、リアクトル全体としての剛性を高めることができることがわかった。そして、リアクトルの共振周波数(固有振動数)を高周波側へと移動させ、リアクトルを作動させる周波数の領域において振動の低減を図ることができることがわかった。
【0059】
なお、本例では、実施例1のリアクトルを用いて実験による周波数特性の評価を行ったが、実施例2、3のリアクトルを用いた場合でも、上記と同様の結果が得られるものと考えられる。
【符号の説明】
【0060】
1 リアクトル
2 コイル
3 コア
4 柱状部材
409 接触面
51 凹部
511 内表面
52 凸部
521 外表面
X 軸線方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面には、少なくとも、内表面が球面状の凹部又は外表面が球面状の凸部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項2】
請求項1に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の上記接触面には、上記凹部が形成されており、該凹部の深さ及び幅は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の上記接触面には、上記凸部が形成されており、該凸部の高さ及び該凸部同士の間の距離は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項5】
通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面の表面粗さRzは、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項6】
請求項5に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項1】
通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面には、少なくとも、内表面が球面状の凹部又は外表面が球面状の凸部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項2】
請求項1に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の上記接触面には、上記凹部が形成されており、該凹部の深さ及び幅は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の上記接触面には、上記凸部が形成されており、該凸部の高さ及び該凸部同士の間の距離は、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【請求項5】
通電により磁束を発生する筒状のコイルと、
該コイルの内周側において、該コイルの軸線方向に配設された柱状部材と、
絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備え、
該コアの内部には、上記コイル及び上記柱状部材が埋設されており、
上記柱状部材における上記コアとの接触面の表面粗さRzは、上記コア内の上記磁性粉末の平均粒子径以上であることを特徴とするリアクトル。
【請求項6】
請求項5に記載のリアクトルにおいて、上記柱状部材の両端部のうち、少なくとも一方の端部には、先端に近づくに従って外径が大きくなる拡径部が形成されていることを特徴とするリアクトル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−62389(P2013−62389A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200182(P2011−200182)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
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