説明

リアデフォッガ

【課題】消費電力を低減できる熱線パターンを備えたリアデフォッガを提供する。
【解決手段】リアウィンドウ30に固着される熱線を備えたリアデフォッガであって、リアウィンドウガラス30の中央の第1エリアA1に固着される熱線が、第1エリアA1を囲繞する第2エリアA2に固着される熱線よりも、高抵抗に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のリアウィンドウガラスに設けられるリアデフォッガに係り、特にリアデフォッガを構成する熱線のパターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリアデフォッガ装置は、電流が供給されることで発熱するリアデフォッガと、リアデフォッガの起動を指示するリアデフォッガスイッチと、リアデフォッガスイッチを含む電流通路に挿入され所定温度以上になることで電流通路に流れる電流を所定値以下に制限するPTC素子(Positive Temperature Coefficient Thermistor)と、電流通路に流れる電流値がPTC素子によって所定値以下に制限されない場合にリアデフォッガへ電流を供給し、所定値以下に制限された場合にリアデフォッガへの電流供給を停止するスイッチ手段とを備える。
【0003】
特許文献1には、PTC素子が所定温度以上になれば、電流通路に流れる電流を所定値以下に制限してリアデフォッガへの電流供給が停止するリアデフォッガ制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PTC素子は電流を通電することで自己発熱して温度が徐々に上昇するため、リアデフォッガを使用し続けた場合、PTC素子自体の影響でリアデフォッガの電流供給が制限されてしまう。このため、リアデフォッガが低消費電力でその機能を発揮することが望まれる。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みて創作されたもので、消費電力を低減できる熱線パターンを備えたリアデフォッガを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、リアウィンドウに固着される熱線を備えたリアデフォッガであって、リアウィンドウガラスの中央の第1エリアに固着される熱線が、第1エリアを囲繞する第2エリアに固着される熱線より高抵抗に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るリアデフォッガ装置の模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリアデフォッガ部の特性を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るリアデフォッガ部の熱線モデルを模式的に示す図である。
【図4】従来のリアデフォッガ部の特性を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図中の矢印Upは車両上方を、LHは車幅方向であって左方を示す。
図1は本発明の実施形態に係るリアデフォッガ装置1の模式図である。リアデフォッガ装置1はリアデフォッガ10と制御部20とを備えている。
【0011】
リアデフォッガ10はリアウィンドウ30に固着される発熱体から構成されている。発熱体は熱線で構成されている。
【0012】
制御部20は、リアデフォッガ10の起動を指示するリアデフォッガスイッチ21と、リアデフォッガスイッチ21を含む電流通路に挿入され、所定温度以上になることで電流通路に流れる電流を所定値以下に制限するPTC素子22と、電流通路に流れる電流値がPTC素子によって所定値以下に制限されない場合にリアデフォッガ10へ電流を供給し、所定値以下に制限された場合にリアデフォッガ10への電流供給を停止するスイッチ手段23とを備える。
【0013】
以上の構成は、従来のリアデフォッガ装置の構成と同様であるが、本発明の実施形態では、リアデフォッガ10は以下のように構成されている。
図1に示すように、リアウィンドウガラス30を2つのエリアに区分して取り扱う。第1のエリア(以下、第1エリアと呼ぶ。)A1は、リアウィンドウガラス30の中央部、敷衍して言えば、車幅方向の中間領域であると共に、車両上下方向の中間領域である。第2のエリア(以下、第2エリアと呼ぶ。)A2は、第1エリアA1を囲繞する領域である。
【0014】
図2は本実施形態に係るリアデフォッガ10の特性を模式的に示す図である。この図に示すように、第1エリアA1では熱線は高抵抗に構成され、第2エリアA2では熱線は低抵抗に構成されている。図3は熱線モデルを模式的に示す図であり、第1エリアA1の熱線の太さを第2エリアA2の熱線の太さよりも細くする。例えば、第1エリアA1の熱線は、抵抗が1.8±10%[Ω/cm]に構成され、第2エリアA2の熱線は、抵抗が0.4±10%[Ω/cm]に構成されている。
【0015】
ここで、図4は従来のリアウィンドウガラス30の熱線パターンを模式的に示す図である。従来のリアデフォッガ装置では、リアウィンドウガラス30を車幅方向に5つのエリアに区分している。中央の領域を電力高密度エリアB1、電力高密度エリアB1の両側のエリアを電力中密度エリアB2、各電力中密度エリアB2より外側のエリアを電力低密度エリアB3とする。例えば、電力高密度エリアB1の熱線は抵抗が0.4±10%[Ω/cm]に構成され、電力中密度エリアB2の熱線は抵抗が0.3±10%[Ω/cm]に構成され、電力低密度エリアB3の熱線は抵抗が0.3±10%[Ω/cm]に構成されている。なお、一般的に、電力中密度エリアB2と電力低密度エリアB3とが区分されているが、同じ抵抗値の熱線が利用されている。
【0016】
この従来のリアウィンドウガラスの熱線パターンと比較すると、本実施形態の熱線パターンは、電力中密度エリアB2の熱線構造を省略し、さらに電力高密度エリアB1全体に高抵抗の熱線を配置するのではなく電力密度高エリアである第1エリアA1を従来の電力高密度エリアB1よりも狭く構成している。このように構成することで、本実施形態は、図5の従来技術と比較すると、省電力化を図ることができる。
【0017】
さらに本実施形態では、第1エリアA1と第2エリアA2との温度差が大きい、言い換えれば第1エリアA1の熱線と第2エリアA2の熱線の抵抗値の差が1.4±10%[Ω/cm]程度と大きいことから、リアウィンドウガラス30を早く晴らすことができると共に第1エリアA1で生成した高い熱を第2エリアA2へ拡散することができる。つまり、使用時に温度の高い第1エリアA1から温度の低い第2エリアA2へ熱を伝え易い。
【0018】
以上詳述したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。例えば、本発明は、図示例の寸法比率に依存されるものではないことは勿論である。
【符号の説明】
【0019】
1 リアデフォッガ装置
10 リアデフォッガ部
20 制御部
21 リアデフォッガスイッチ
22 PTC素子
23 スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアウィンドウに固着される熱線を備えたリアデフォッガであって、
上記リアウィンドウガラスの中央の第1エリアに固着される熱線が、上記第1エリアを囲繞する第2エリアに固着される熱線より、高抵抗に構成されていることを特徴とする、リアデフォッガ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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