説明

リアルタイムクロックの制御方法およびリアルタイムクロック

【課題】計時データの読み出し時間を短縮するとともに、消費電力を小さするリアルタイムクロックの制御方法およびリアルタイムクロックを提供する。
【解決手段】リアルタイムクロックの制御方法は、所定周波数のクロック信号に基づいてカウンタ14で計時を行い、前記カウンタ14で計時している計時データが更新されれば、前記カウンタ14からデータ更新記録レジスタ16にカウントアップ発生信号を出力して、前記データ更新記録レジスタ16の符号を初期値から規定値に移行させるとともに、前記初期値または前記規定値に基づいたデータ更新情報を作成し、前記データ更新記録レジスタ16に接続するユーザからのリード命令に応じて前記データ更新記録レジスタ16から前記ユーザに前記データ更新情報を出力する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムクロックの制御方法およびリアルタイムクロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リアルタイムクロックは、時計機能およびカレンダ機能を備えている。このリアルタイムクロックは、秒、分、時、曜、日、月、年の計時項目をそれぞれ計時しており、時刻を示す時刻データを生成している。リアルタイムクロックは、コンピュータやファクシミリ等の時間管理を必要とする電子機器に使用されている。そして電子機器がリアルタイムクロックの有する時計やカレンダの計時データを得るには、電子機器側(ユーザ)からリアルタイムクロックにアクセスして、リアルタイムクロックから計時データを読み出すことが必要になる。
【0003】
図6は従来技術に係る第1のデータ読み出しフローである。まずユーザは、リアルタイムクロックにアクセスして、リアルタイムクロックが有している秒、分、時、曜、日、月、年の各計時データの中から最下位桁の秒データ(対象データ)を読み出す(S100)。そしてユーザは、現有している秒データ(対象データ)を確認し(S102)、読み出した秒データと現有している秒データが異なっているか確認する(S104)。ここでユーザは、読み出した秒データと現有している秒データが同じ(No)であれば、ユーザが現有している秒、分、時、曜、日、月、年の各計時データがリアルタイムクロックの有している秒、分、時、曜、日、月、年の各計時データと同じであると判断して、これ以降の分、時、曜、日、月、年の各計時データの確認作業を行わない。これに対し、ユーザは、読み出した秒データと現有している秒データが異なっている(Yes)のであれば、上位桁の計時データが更新されている可能性があるため、読み出した対象データと現有の対象データが同じになるまで読み出し確認作業を行う。
【0004】
次にS104でYesだった場合、ユーザは、リアルタイムクロックにアクセスして、秒データよりも1つ上位桁の分データ(対象データ)を読み出す(S106)。そしてユーザは、現有している分データ(対象データ)を確認し(S108)、読み出した分データと現有している分データが異なっているか確認する(S110)。ここでユーザは、読み出した分データと現有している分データが同じ(No)であれば、ユーザが現有している分、時、曜、日、月、年の各計時データがリアルタイムクロックの有している分、時、曜、日、月、年の各計時データと同じであると判断して、これ以降の時、曜、日、月、年の計時データの確認作業を行わない。これに対し、ユーザは、読み出した分データと現有している分データが異なっている(Yes)のであれば、分データよりも1つ上位桁の時データを確認する。
【0005】
この後もS100〜S104やS106〜S110の動作と同様にして、ユーザはリアルタイムクロックにアクセスし、リアルタイムクロックの有している時、曜、日、月、年の各計時データの中から対象となる計時データの比較を行っていく。このようにユーザは、秒、分、時、曜、日、月、年の計時データ毎に計時データが更新されているか確認する作業を繰り返し行っている。
【0006】
図7は従来技術に係る第2のデータ読み出しフローである。ユーザがリアルタイムクロックの計時データを読み出すには、図6を用いて説明した形態の他に、図7に示される形態で読み出す場合もある。まずユーザは、リアルタイムクロックにアクセスして、リアルタイムクロックが有している秒、分、時、曜、日、月、年の計時データの中から秒データを読み出す(S200)。次に、ユーザは、リアルタイムクロックが有している計時データの中から分データを読み出す(S202)。この後もS200やS202の動作と同様にして、ユーザはリアルタイムクロックにアクセスし、リアルタイムクロックが有している時、曜、日、月、年の各計時データを順番に読み出していく。これによりユーザは、リアルタイムクロックから秒、分、時、曜、日、月、年の各計時データを読み出している。
【0007】
ところで特許文献1には、リアルタイムクロックの制御方法及びリアルタイムクロックが開示されている。この特許文献1に開示された技術は、時刻データを格納するレジスタテーブルにアクセスする場合、レジスタテーブルに時刻データを更新するのをホールドして、時刻データの読み出しまたは書き込みを行うものである。また特許文献1に開示された技術は、時刻データ以外のデータを格納するRAMにアクセスする場合、時刻データの更新をホールドすることなく、直ちにデータの読み出しまたは書き込みを行うものである。
【特許文献1】特開2002−182780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところでユーザがリアルタイムクロックの計時データを図6に示されるように読み出す場合、リアルタイムクロックが有している対象データと自己が有している対象データの比較作業を、比較結果が同じ(No)になるまで繰り返さなければならないので、計時データの読み出しと比較・確認作業のためにシステムの負担が大きくなってしまう問題があり、また消費電流が大きくなってしまう虞がある。
【0009】
またユーザがリアルタイムクロックの計時データを図7に示されるように読み出す場合、ユーザが現有している計時データとリアルタイムクロックが有している計時データが同じであっても、リアルタイムクロックの有する秒、分、時、曜、日、月、年の全データを順番に読み出すのでシステムの負担が大きくなり、消費電流が大きくなる問題がある。
【0010】
本発明は、計時データの読み出し時間を短縮するとともに、消費電力を小さするリアルタイムクロックの制御方法およびリアルタイムクロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るリアルタイムクロックの制御方法は、所定周波数のクロック信号を計数して時刻を計時するリアルタイムクロックの制御方法であって、前記所定周波数の前記クロック信号を計数して生成された複数の計時データのいずれかを更新したときに、前記計時データが更新されたことを示すユーザが読み出し可能なデータ更新情報を作成するとともに、前記ユーザが前記データ更新情報を読み出したときに、前記データ更新情報を初期化することを特徴としている。
【0012】
これによりユーザがデータ更新情報を読み出せば、計時データが更新されているか否か判断することができる。そしてユーザは、データ更新情報によって計時データが更新されていることがわかれば、この更新された計時データを読み出す必要があると判断できる。これに対し、ユーザは、データ更新情報によって計時データが更新されていないことがわかれば、計時データを読み出す必要がないと判断できる。したがって計時データの読み出し時間を短縮でき、システムの負荷を低減させることができる。また消費電流を小さくすることができる。
【0013】
またユーザがデータ更新情報を読み出した後はこのデータ更新情報が初期化されるので、ユーザがデータ更新情報を再度読み出したときに前回読み出したときと今回読み出したときの間において計時データが更新されているか否か判断することができる。
【0014】
そして前記データ更新情報は、前記複数の計時データのそれぞれに対応してなることを特徴としている。すなわちデータ更新情報を構成する各ビットが、各計時データと1対1に対応している。これによりユーザがデータ更新情報を取得して、計時データが更新されているビットを特定すれば、どの計時データが更新されたのか断定することができる。そしてユーザは、データ更新情報から更新された計時データを断定した場合、この更新された計時データを取得すればよいので、必要最小限の読み出しで計時データを取得できる。したがってシステムの処理量を低減できるので、計時データの読み出し時間を短縮でき、消費電流も低減することができる。
【0015】
また前記データ更新情報は、更新された前記計時データの計時項目数であることを特徴としている。データ更新情報は更新された計時データの数を表しているので、この数にあわせてユーザが計時データを読み込めば必要最小限の読み出し回数で計時データを取得できる。したがってシステムの処理量を低減できるので、計時データの読み出し時間を短縮でき、消費電流も低減することができる。
【0016】
また本発明に係るリアルタイムクロックは、所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記発振部が出力した前記クロック信号に基づいて時刻を示す計時項目を構成する複数の計時データのそれぞれに対応して設けたカウンタと、前記カウンタのカウントアップ発生信号に基づいて前記計時データが更新されたことを示すデータ更新情報を保持するデータ更新記録レジスタと、ユーザからのリード命令により前記データ更新記録レジスタが保持しているデータ更新情報を前記ユーザに出力するとともに、前記データ更新記録レジスタを初期化する読み出し部と、を有することを特徴としている。
【0017】
これによりユーザがデータ更新情報を読み出せば、計時データが更新されているか否か判断することができる。そしてユーザは、データ更新情報によって計時データが更新されていることがわかれば、この更新された計時データを読み出す必要があると判断できる。これに対し、ユーザは、データ更新情報によって計時データが更新されていないことがわかれば、計時データを読み出す必要がないと判断できる。したがって計時データの読み出し時間を短縮でき、システムの負荷を低減させることができる。また消費電流を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係るリアルタイムクロックの制御方法およびリアルタイムクロックの最良の実施形態について説明する。まず第1の実施形態について説明する。図1はデータ更新記録部のブロック図である。図2はリアルタイムクロックの概略を説明するブロック図である。
【0019】
図2に示されるリアルタイムクロック20は、所定周波数のクロック信号を出力する発振部22、時計機能およびカレンダ機能を有し、クロック信号に基づいて計時を行う時計・カレンダ回路30、この時計・カレンダ回路30に接続したインターフェース32を有している。このリアルタイムクロック20のインターフェース32には、ユーザとなるコントローラ34が接続されている。
【0020】
発振部22は、圧電振動子24、発振回路26および分周回路28を有している。圧電振動子24は、電気信号を入力すると所定周波数で発振するものであり、例えば32.768[kHz]で発振する。発振回路26は、電気信号を圧電振動子24に供給して発振させ、源振を出力するものであり、例えば32.768[kHz]の周波数の源振を出力する。分周回路28は、源振を入力して分周し、所定周波数のクロック信号を出力するものである。この分周回路28から出力されるクロック信号は発振部22の出力信号となり、例えば1[Hz]のクロック信号が出力される。
【0021】
時計・カレンダ回路30には、図1に示されるデータ更新記録部10および読み出し部31が設けられている。データ更新記録部10は、時計・カレンダレジスタ12およびデータ更新記録レジスタ16を有している。時計・カレンダレジスタ12は、秒カウンタ14a、分カウンタ14b、時カウンタ14c、曜カウンタ14d、日カウンタ14e、月カウンタ14fおよび年カウンタ14gを備えている。これらのカウンタ14(14a〜14g)は、割り当てられた項目(年、月、日、曜、時、分、秒)を計時するものであり、秒カウンタ14aが最下位桁となる。そして分カウンタ14b、時カウンタ14c、曜カウンタ14d、日カウンタ14e、月カウンタ14fの順に上位桁となっていき、年カウンタ14gが最上位桁となる。また隣り合う下位桁のカウンタ14と上位桁のカウンタ14は接続されている。例えば、分カウンタ14bは、これの下位桁となる秒カウンタ14aと接続されるとともに、これの上位桁となる時カウンタ14cと接続されている。なお時カウンタ14cは、上位桁となる曜カウンタ14dおよび日カウンタ14eと接続されている。また曜カウンタ14dは、上位桁のカウンタ14と接続されていない。また秒カウンタ14aは発振部22と接続している。
【0022】
そしてカウンタ14は計時を行って、この計時が一巡すると上位桁のカウンタ14に対してオーバーフロー信号を出力するとともに、計時しているデータ(計時データ)が更新された場合に更新されたことを知らせるカウントアップ発生信号を出力するものである。なお計時データとは、秒データ、分データ、時データ、曜データ、日データ、月データおよび年データのことをいう。そして、例えば秒カウンタ14aは、0秒から秒の計時を開始して秒が変わるとカウントアップ発生信号を出力するとともに、秒の計時が一巡して0秒(60秒)になると分カウンタ14bにオーバーフロー信号を出力する。また月カウンタ14fは、1月から月の計時を開始して月が変わるとカウントアップ発生信号を出力するとともに、12月が終了して1月になるとオーバーフロー信号を出力する。
【0023】
またデータ更新記録レジスタ16は、時計・カレンダレジスタ12と接続されており、各カウンタ14からカウントアップ発生信号を入力する。データ更新記録レジスタ16は複数の記録手段18(18a〜18g)を備えており、この記録手段18は、秒記録手段18a、分記録手段18b、時記録手段18c、曜記録手段18d、日記録手段18e、月記録手段18fおよび年記録手段18gから構成されている。各記録手段18は、各カウンタ14と1対1に対応して接続されており、一例を挙げると秒カウンタ14aと秒記録手段18aが1対1に接続されている。各記録手段18は、対応するカウンタ14からカウントアップ発生信号を入力すると、符号(特定データ)を初期値から規定値に移行する。またデータ更新記録レジスタ16は、読み出し部31がインターフェース32を介してコントローラ34から出力されたリード命令を入力すると、この読み出し部31の求めに応じて各記録手段18に保持されている符号の初期値または規定値をデータ更新情報として出力する。
【0024】
次に、リアルタイムクロック20の制御方法について説明する。まず発振部22から出力されるクロック信号は、時計・カレンダレジスタ12に設けられている秒カウンタ14aに入力される。秒カウンタ14aは、クロック信号に基づいて1秒毎の計時を0秒から開始し、一巡して0秒(60秒)に到達したときに上位桁の分カウンタ14bにオーバーフロー信号を出力する。このオーバーフロー信号は、分カウンタ14bに対して分の更新を指示するものである。また秒カウンタ14aが計時を行っているときは1秒毎に秒データが更新されているので、秒カウンタ14aはカウントアップ発生信号を秒記録手段18aに出力する。
【0025】
また分カウンタ14bは、下位桁である秒カウンタ14aから入力したオーバーフロー信号に基づいて1分毎の計時を0分から開始し、計時が一巡して0分(60分)に到達したときに上位桁の時カウンタ14cにオーバーフロー信号を出力する。このオーバーフロー信号は、時カウンタ14cに対して時の更新を指示するものである。さらに分カウンタ14bが計時を行っているときは1分毎に分データが更新されているので、分カウンタ14bはカウントアップ発生信号を分記録手段18bに出力する。
【0026】
また時カウンタ14cは、分カウンタ14bから入力したオーバーフロー信号に基づいて1時間毎の計時を行う。そして時カウンタ14cは、24時間制の場合に0時から計時を開始し、計時が一巡して0時(24時)に到達したときに上位桁の曜カウンタ14dおよび日カウンタ14eにオーバーフロー信号を出力する。さらに時カウンタ14cは、秒カウンタ14aや分カウンタ14bと同様に、時データが更新されたときにカウントアップ発生信号を時記録手段18cに出力する。
【0027】
また曜カウンタ14dは、時カウンタ14cから入力したオーバーフロー信号に基づいて曜日の計時を行い、曜データが更新されたときにカウントアップ発生信号を曜記録手段18dに出力する。なお曜カウンタ14dは、オーバーフロー信号を出力しない。また日カウンタ14eは、時カウンタ14cから入力したオーバーフロー信号に基づいて日の計時を行い、日の計時が一巡したときに月カウンタ14fにオーバーフロー信号を出力する。さらに日カウンタ14eは、日データが更新されたときにカウントアップ発生信号を日記録手段18eに出力する。
【0028】
また月カウンタ14fは、月の計時を行って月の計時が一巡した時にオーバーフロー信号を年カウンタ14gに出力する。さらに月カウンタ14fは、月データが更新されたときにカウントアップ発生信号を月記録手段18fに出力する。また年カウンタ14gは、年の計時を行って年データが更新されたときにカウントアップ発生信号を年記録手段18gに出力する。
【0029】
そしてカウントアップ発生信号を入力した記録手段18は、カウンタ14のデータが更新されたときに記録手段18内の符号を初期値から規定値に移行させる。例えば、記録手段18内の符号の初期値を「0」、規定値を「1」としたときに、記録手段18は、カウントアップ発生信号を入力すると符号を「0」から「1」に移行させて、この符号「1」を保持する。
【0030】
図3は更新データ対応方式におけるビットとデータ更新内容との対応表である。データ更新記録レジスタ16のデータ更新情報には、秒、分、時、曜、日、月および年の各計時項目にそれぞれ専用の対応ビットが設定されており、図3に示されるようにbit−7には年が、bit−6には月が、bit−5には日が、bit−4には曜が、bit−3には時が、bit−2には分が、bit−1には秒がそれぞれ割り当てられている。なおbit−0には、何も割り当てられていない。そしてカウンタ14からカウントアップ発生信号を入力していないとき(データ更新が無いとき)は、記録手段18の符号が「0」になっている。これに対し、カウンタ14からカウントアップ発生信号を入力したとき(データ更新が発生したとき)は、記録手段18の符号が「1」になる。このため、全てのカウンタ14がカウントアップ発生信号を出力していない場合、データ更新記録レジスタ16が有するデータ更新情報は「00000000」となる。また、例えば、秒カウンタ14aおよび分カウンタ14bのみがカウントアップ発生信号を出力した場合、秒記録手段18aおよび分記録手段18bの符号が「0」から「1」に移行するので、データ更新記録レジスタ16が有するデータ更新情報は「00000110」となる。
【0031】
そしてリアルタイムクロック20で計時している時計・カレンダデータをコントローラ34が読み出す場合、まずコントローラ34はリアルタイムクロック20にリード命令を出力する。このリード命令は、インターフェース32を介して時計・カレンダ回路30に入力され、そして時計・カレンダ回路30に設けられた読み出し部31に入力される。読み出し部31は、データ更新記録レジスタ16が保持しているデータ更新情報を読み出す。またデータ更新記録レジスタ16は、データ更新情報を出力すると自動的に保持しているデータ更新情報および記録手段18を初期化する。したがって、各記録手段18の符号は全て「0」になり、データ更新情報も「00000000」になる。
【0032】
データ更新記録レジスタ16から出力されたデータ更新情報は、読み出し部31からインターフェース32を介してコントローラ34に出力される。コントローラ34は、データ更新情報を入力することによって、各カウンタ14の計時データが更新されているか否かがわかる。また計時データが更新されている場合は、各計時項目に専用の対応ビットが設定されているので、どの計時データが更新されたのかがわかる。そしてコントローラ34は、更新された計時データのみ読み出しを行えばよい。
【0033】
このようなリアルタイムクロック20の制御方法およびリアルタイムクロック20によれば、カウンタ14で計時データが更新されてないときは、データ更新記録レジスタ16に設けられている記録手段18の符号が「0」(初期値)のままであり、カウンタ14で計時データが更新されたときは、記録手段18の符号を「1」(規定値)に移行させることができる。例えば、秒カウンタ14aで計時している秒データが更新されたら、秒カウンタ14aから秒記録手段18aにカウントアップ発生信号を出力して、秒記録手段18aの符号を「0」から「1」に移行させることができる。
【0034】
これにより、記録手段18が初期値であるか規定値であるのかを確認することで計時データが更新されているか否かがわかり、カウンタ14で計時データが更新されたときは、更新された計時データの読み出しが必要なことがわかる。またカウンタ14で計時データが更新されてないときは、記録手段18が初期値のままなので計時データが更新されてないことがわかり、計時データの読み出しが不要であることがわかる。そして更新された計時データがどの計時データなのか、すなわち更新されたのが秒、分、時、曜、日、月、年の計時データのうちどれなのかが特定できるため、読み出し回数を必要最小限に抑えることができ、読み出し時間を短縮することができる。また必要最小限の読み出し処理で済むため、消費電流を小さくすることができ、電源としてバッテリーを使用している場合にバッテリーの長寿命化を図ることができる。さらに必要最小限の処理で済むため、電子機器を制御するシステムの負担を軽くすることができ、負担を軽くできた分だけ他の処理を行うことができる。
【0035】
またデータ更新記録レジスタ16は、コントローラ34からのリード命令に応じてデータ更新情報を出力すると、データ更新情報を自動的に初期化するので、各記録手段18が保持している符号は「0」になる。そして、この後、コントローラ34がデータ更新情報を読み出しても「00000000」(全て零)の場合は、前回の読み出し以降からデータの更新は起きていないので、データの読み出しが不要になることがわかる。これに対し、コントローラ34が読み出したデータ更新情報が全て零でない場合は、前回の読み出し以降からデータの更新が発生しているので、データの読み出しが必要になることがわかる。したがって不要な読み出し処理によって、システムの負荷が増加するのを防ぐことができ、電力が消費されるのを防ぐことができる。
【0036】
またデータ更新記録レジスタ16は、データ更新情報を示すのに秒、分、時、曜、日、月、年の計時項目のそれぞれに専用のビットを設定した更新データ対応方式なので、データの更新が生じた計時項目を直接断定することができ、更新された計時項目を容易に判断することができる。例えば、「○○時○○分のみを画面表示するシステム」であれば、データ更新情報のうちの時と分の計時項目だけを確認すればよいので、システムが必要な情報更新の有無を容易に確認することができる。
【0037】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、データ更新記録レジスタでデータ更新情報を設定する方法の変形例について説明するので、第1の実施形態と同構成の部分に同番号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図4は読み出し回数連動方式におけるビットとデータ更新内容との対応表である。データ更新記録レジスタ16は、カウンタ14で計時データに更新が生じた場合に、更新された計時項目数を数値化してデータ更新情報としている。一例としては、更新された計時項目が秒、分、時であれば計時項目数が3になるので、データ更新情報は「00000011」となり、16進数では3hとなる。そしてコントローラ34から出力されたリード命令に応じてデータ更新記録レジスタ16がデータ更新情報を出力すれば、コントローラ34は計時データの更新に必要な連続読み出し回数を得られる。一例としては、データ更新記録レジスタ16から3hのデータ更新情報をコントローラ34が得れば、必要な連続読み出し回数が3であることがわかるので、秒、分、時の計時データを連続して読み出せばよい。データ更新記録レジスタ16は、コントローラ34のリード命令に応じてデータ更新情報を出力すると、データ更新情報および記録手段18を自動的に初期化する。
【0039】
図5は読み出し回数連動方式のレジスタテーブルである。このレジスタテーブルのレジスタ0hにデータ更新記録レジスタ16を位置付けて、レジスタ1h〜7hに変化した計時項目のデータが反映されるようにしておく。すなわち、レジスタ1hには更新された秒データが、レジスタ2hには更新された分データが、レジスタ3hには更新された時データが、レジスタ4hには更新された曜データが、レジスタ5hには更新された日データが、レジスタ6hには更新された月データが、レジスタ7hには更新された年データがそれぞれ反映されるようにしておく。そしてコントローラ34は、必要な連続読み出し回数に応じて各レジスタ1h〜7hから計時データを連続して読み出す。一例としては、必要な連続読み出し回数が3回であれば、コントローラ34は図5に示されるレジスタ1h、レジスタ2hおよびレジスタ3hの内容を連続して読み出す。
【0040】
このような第2の実施形態によれば、コントローラ34は、計時データを更新のための計時項目数、すなわち最新情報に入れ替える必要のある計時項目数をデータ更新記録レジスタ16から取得することで、更新された計時データを読み出す回数を取得することができる。またコントローラ34は、この読み出し回数に応じた数だけ、秒、分、時、曜、日、月、年の順に更新された計時データの内容を連続して読み出せば、更新された計時データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】データ更新記録部のブロック図である。
【図2】リアルタイムクロックの概略を説明するブロック図である。
【図3】更新データ対応方式におけるビットとデータ更新内容との対応表である。
【図4】読み出し回数連動方式におけるビットとデータ更新内容との対応表である。
【図5】読み出し回数連動方式のレジスタテーブルである。
【図6】従来技術に係る第1のデータ読み出しフローである。
【図7】従来技術に係る第2のデータ読み出しフローである。
【符号の説明】
【0042】
12………時計・カレンダレジスタ、14………カウンタ、16………データ更新記録レジスタ、18………記録手段、22………発振部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数のクロック信号を計数して時刻を計時するリアルタイムクロックの制御方法であって、
前記所定周波数の前記クロック信号を計数して生成された複数の計時データのいずれかを更新したときに、前記計時データが更新されたことを示すユーザが読み出し可能なデータ更新情報を作成するとともに、前記ユーザが前記データ更新情報を読み出したときに、前記データ更新情報を初期化することを特徴とするリアルタイムクロックの制御方法。
【請求項2】
前記データ更新情報は、前記複数の計時データのそれぞれに対応してなることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイムクロックの制御方法。
【請求項3】
前記データ更新情報は、更新された前記計時データの計時項目数であることを特徴とする請求項1に記載のリアルタイムクロックの制御方法。
【請求項4】
前記データ更新情報は、前記計時データを更新したカウントアップ発生信号に基づいて作成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリアルタイムクロックの制御方法。
【請求項5】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、
前記発振部が出力した前記クロック信号に基づいて時刻を示す計時項目を構成する複数の計時データのそれぞれに対応して設けたカウンタと、
前記カウンタのカウントアップ発生信号に基づいて前記計時データが更新されたことを示すデータ更新情報を保持するデータ更新記録レジスタと、
ユーザからのリード命令により前記データ更新記録レジスタが保持しているデータ更新情報を前記ユーザに出力するとともに、前記データ更新記録レジスタを初期化する読み出し部と、
を有することを特徴とするリアルタイムクロック。
【請求項6】
前記データ更新記録レジスタは、前記複数の計時項目のそれぞれに対応した記録手段を有していることを特徴とする請求項5に記載のリアルタイムクロック。
【請求項7】
前記データ更新記録レジスタは、更新された前記計時データの計時項目数を保持してなることを特徴とする請求項5または6に記載のリアルタイムクロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−155655(P2007−155655A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354664(P2005−354664)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】