説明

リチウム二次電池用セパレータ及びリチウム二次電池

【課題】本発明の課題は、巻回性と耐リチウムデントライト性に優れるリチウム二次電池用セパレータ及び放電容量維持率に優れるリチウム二次電池を提供することにある。
【解決手段】ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の下記で定義される変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであるリチウム二次電池用セパレータ。
変法濾水度:ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用セパレータ及びリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液を使用するリチウムイオン電池が注目されてきた。このリチウムイオン電池は、平均電圧として従来の二次電池であるアルカリ二次電池の約3倍である3.7V程度が得られることから高エネルギー密度となるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。非水電解液は可燃性であるため発火等の危険性があり、その使用において安全性には細心の注意が払われている。発火等の危険に曝されるケースとしていくつか考えられるが、特に過充電が危険である。
【0003】
過充電を防止するために、現状の非水系二次電池では定電圧・定電流充電が行われ、電池に精密なIC(保護回路)が装備されている。この保護回路にかかるコストは大きく、非水系二次電池をコスト高にしている要因にもなっている。
【0004】
保護回路で過充電を防止する場合、当然保護回路がうまく作動しないことも想定され、本質的に安全であるとは言い難い。現状の非水系二次電池には、過充電時に保護回路が壊れ、過充電されたときに安全に電池を破壊する目的で、安全弁・PTC(Positive Temperature Coefficient)素子の装備、セパレータには熱ヒューズ機能を有する工夫がなされている。しかし、上記のような手段を装備していても、過充電される条件によっては、確実に過充電時の安全性が保証されているわけではなく、実際には非水系二次電池の発火事故は現在でも起こっている。
【0005】
セパレータとしては、ポリエチレン等のポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルムが多く使用されており、電池内部の温度が130℃近傍になった場合、溶融して微多孔を塞ぐことで、リチウムイオンの移動を防ぎ、電流を遮断させる熱ヒューズ機能(シャットダウン機能)があるが、何らかの状況により、さらに温度が上昇した場合、ポリオレフィン自体が溶融してショートし、熱暴走する可能性が示唆されている。そこで、現在、200℃近くの温度でも溶融及び収縮しない耐熱性セパレータが開発されている。
【0006】
耐熱性セパレータとして、不織布からなるセパレータがあり、ポリエステル不織布(例えば、特許文献1及び2参照)、水分存在下で加熱することによってゲル化しうる湿熱ゲル化樹脂と、他の繊維を含む不織布で構成されたセパレータ(例えば、特許文献3〜6参照)、分割型複合繊維を含む不織布をセパレータとして内蔵するリチウムイオン二次電池(例えば、特許文献7〜8参照)が開示されている。
【0007】
しかしながら、リチウム二次電池は、充放電を繰り返し行ったときや、過充電したときに負極表面に金属リチウムが析出する。この析出物をリチウムデンドライトと呼ぶが、リチウムデンドライトは徐々に成長し、セパレータを貫通して正極に達し、内部短絡の原因になる場合がある。特許文献1〜2のセパレータは不織布の孔が大きく、ピンホールができやすいために、この内部短絡が発生しやすいという問題があった。特許文献3〜6のセパレータは、湿熱ゲル化樹脂の皮膜があるため、セパレータの空隙が不十分になりやすい問題があった。皮膜を少なくすると、ピンホールができやすく、リチウムデンドライトがセパレータを貫通する問題があった。
【0008】
特許文献7〜8は、ビニルアルコール単位を含むポリマーをリチウム二次電池に内蔵することによって、電池電圧を下げることができ、高温に曝された後の電池が再度充電できないようにして安全性を高めるという効果を達成している。実施例には、エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリプロピレンからなる分割型複合繊維を使用したセパレータがリチウム二次電池に内蔵された場合が記載されているが、このセパレータは繊維同士の接着力が不十分で、取り扱い時に毛羽立ちやすく、巻回性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−123728号公報
【特許文献2】国際公開第2008/130020号パンフレット
【特許文献3】特開2005−317215号公報
【特許文献4】特開2005−317216号公報
【特許文献5】特開2005−317217号公報
【特許文献6】国際公開第2004/038833号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2009/025332号パンフレット
【特許文献8】特開2010−192248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、巻回性と耐リチウムデンドライト性に優れるリチウム二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、セルロース繊維の種類と濾水度の最適化、さらにはセルロース繊維の繊維長分布を最適化することによって、巻回性と耐リチウムデンドライト性に優れるリチウム二次電池用セパレータが得られること、及び、該セパレータを具備したリチウム二次電池は放電容量維持率が優れることを見出し、下記の本発明に至ったものである。
【0012】
(1)ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の下記で定義される変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであるリチウム二次電池用セパレータ。
【0013】
変法濾水度:ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度。
【0014】
(2)叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上である(1)記載のリチウム二次電池用セパレータ。
(3)叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下である(2)記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【0015】
(4)叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上である(1)記載のリチウム二次電池用セパレータ。
(5)叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する(4)記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【0016】
(6)(1)〜(5)の何れかに記載のリチウム二次電池用セパレータを具備してなるリチウム二次電池。
【発明の効果】
【0017】
本発明のリチウム二次電池用セパレータ(1)は、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであるため、極細繊維同士の交点及び/又は極細繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の交点がポリオレフィンで接着されることによって、巻回性に優れる。また、分割して得られる極細繊維の存在により、充放電の繰り返しによって、リチウムデンドライトが電極表面に生成した場合でも、リチウムデンドライトが正負極間で導通することを防ぐことができ、耐リチウムデンドライト性に優れる。
【0018】
また、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるリチウム二次電池用セパレータ(2)では、溶剤紡糸セルロース繊維と、分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維とが良く絡み、極細繊維が単独でスラリーの水面に浮くことを抑制するため、表面平滑性が良く、さらに、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下であるリチウム二次電池用セパレータ(3)では、表面平滑性がより優れている。
【0019】
そして、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であるリチウム二次電池用セパレータ(4)では、抄紙性と表面平滑性を両立できる。また、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有するリチウム二次電池用セパレータ(5)では、このようなピークを有さない溶剤紡糸セルロース繊維よりも、抄紙性が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維のカナダ標準濾水度と変法濾水度(試料濃度を0.03%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度)の関係を表したグラフである。
【図2】叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度(ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度)を表したグラフの一例である。
【図3】本発明の実施例で用いた叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度(ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度)を表したグラフである。
【図4】叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[I]の繊維長分布ヒストグラムである。
【図5】叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[II]の繊維長分布ヒストグラムである。
【図6】叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[I]及び[II]の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.0〜2.0mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合のグラフと近似直線を示した図である。
【図7】0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有する叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[i]の繊維長分布ヒストグラムの例である。
【図8】最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[ii]の繊維長分布ヒストグラムの例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明におけるリチウム二次電池とは、リチウムイオン電池やリチウムイオンポリマー電池を意味する。リチウム二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークスなどの炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe、WO、Nb、Li4/3Ti5/3等の金属酸化物、Li0.4CoNなどの窒化物が用いられる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらに、マンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
【0022】
リチウム二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウムや4フッ化ホウ酸リチウムが挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
【0023】
本発明において「セパレータ」と表記する場合は、リチウム二次電池用セパレータを意味する。
【0024】
本発明に用いられる分割型複合繊維は、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接して配置されてなる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、これらの誘導体が挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンと他のポリオレフィンとの混合物、ポリプロピレンとしては、ホモプロピレン(プロピレン単独重合体)、又はプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン若しくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。
【0025】
分割型複合繊維の断面形状は、放射状型、層状型、櫛型、碁盤型などが挙げられる。分割型複合繊維は、パルパーやミキサーなどで攪拌する方法や高圧水流を当てる方法により、ポリエステルからなる極細繊維と、ポリオレフィンからなる極細繊維とに分割させることができるものが好ましい。分割型複合繊維をパルパーやミキサーで攪拌して分割させる際には、必要に応じて分散助剤や消泡剤を使用しても良い。分割型複合繊維の平均繊維径は3〜18μmが好ましく、3〜16μmがより好ましく、6〜16μmがさらに好ましい。3μm未満だと、分割しにくくなる場合があり、18μmより太いと、分割後の極細繊維断面の長軸が長くなるため、セパレータの空隙を閉塞する場合がある。
【0026】
分割して得られる極細繊維は、断面の短軸長さが1〜5μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。1μm未満だと、断面の理論扁平度が大きくなりすぎてセパレータの空隙を閉塞する場合や、極細繊維同士の交点や極細繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の交点の接着が不十分になる場合があり、5μmを超えると、セパレータの厚みを薄くしにくくなる場合がある。短軸長さとは、極細繊維断面の短軸方向の最大長さを意味する。極細繊維の長さは0.5〜10mmが好ましく、1〜6mmがより好ましく、1〜4mmがさらに好ましい。0.5mm未満だと、湿式抄紙の際に漉き網から抜け落ちて排水に流出する割合が多くなる場合があり、10mmより長いと、極細繊維同士が撚れて塊ができる場合がある。極細繊維の理論扁平度は、1.0〜5.0が好ましく、1.5〜3.0がより好ましい。理論扁平度とは極細繊維の長軸の最大長さを短軸長さで除した値を意味し、分割型複合繊維の繊維径と分割数から計算することができる。理論扁平度が5.0より大きいと、セパレータの空隙を閉塞する場合や、極細繊維同士の交点や極細繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の交点の接着が不十分になる場合がある。
【0027】
本発明のセパレータを構成する必須成分である溶剤紡糸セルロース繊維とは、セルロース誘導体を経ずに、直接、有機溶剤に溶解させて紡糸して得られるセルロース繊維を意味する。JIS L0204−2では、この繊維の名称として、「リヨセル」という用語が用いられている。本発明においては、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維が用いられる。本発明においては、溶剤紡糸セルロース繊維の叩解度を変法濾水度で表す。
【0028】
本発明における変法濾水度とは、JIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法に対して、試料濃度若しくはふるい板の何れか、又は、試料濃度及びふるい板の両方を変更して測定した濾水度を意味する。これまで、針葉樹木材パルプ、広葉樹木材パルプ、麻パルプ、エスパルトパルプなどの天然セルロース繊維のカナダ標準濾水度と変法濾水度との関係については報告されているが、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維のカナダ標準濾水度と変法濾水度との関係は、明らかになっていなかった。本発明では、リファイナーを用いて、溶剤紡糸セルロース繊維を微細化していき、微細化の程度ごとに、カナダ標準濾水度と変法濾水度を測定した結果、溶剤紡糸セルロース繊維の濾水挙動が、特開2000−331663号公報に開示されている天然セルロース繊維の濾水挙動と異なることを見出した。
【0029】
図1に、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維のカナダ標準濾水度と変法濾水度の関係を表す。図1において、標準濾水度とは、JIS P8121のカナダ標準濾水度を意味している。変法濾水度とは、試料濃度を0.03%にした以外は、JIS P8121に準拠して測定した濾水度を意味する。図1の横軸は長さ加重平均繊維長を示しており、右に向かうほど微細化の程度が進んでいる。カナダ標準濾水度は、長さ加重平均繊維長が0.72mmまで濾水度が0.5mlであるが、長さ加重平均繊維長が0.55mm以下では短くなるほど濾水度が大きくなっている。一方、変法濾水度は、微細化の程度が進むに従って、濾水度が大きくなっている。この濾水挙動は、特開2000−331663号公報に開示されている天然セルロース繊維の濾水挙動、すなわち、微細化の程度が進むほど、カナダ標準濾水度と変法濾水度が減少する濾水挙動とは全く異なっている。
【0030】
このように微細化の程度が進むほど濾水度が大きくなる理由は、微細化が進むに従って叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄い場合に、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまうからである。つまり、微細化した溶剤紡糸セルロース繊維の場合は、JIS P8121の測定方法では、正確な濾水度が計測できないのである。より詳細に説明すると、天然セルロース繊維は、微細化の程度が進むほど、繊維の幹から細いフィブリルが多数裂けた状態になるため、フィブリルを介して、繊維同士が絡みやすく、繊維ネットワークを形成しやすいのに対し、溶剤紡糸セルロース繊維は、微細化処理によって繊維の長軸に平行に細かく分割されやすく、分割後の繊維1本1本における繊維径の均一性が高いため、平均繊維長が短くなるほど、繊維同士が絡みにくくなり、繊維ネットワークを形成しにくいと考えられる。
【0031】
そこで、本発明では、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の正確な濾水度を測定するための検討を行った。図2は、試料濃度とふるい板の両方を変更して測定した変法濾水度の一例を表す。すなわち、JIS P8121に規定されているふるい板の代わりに80メッシュの金網を用い、試料濃度を0.1%にして測定した変法濾水度である。80メッシュの線径は直径0.14mmで、目開き0.18mmの金網(PULP AND PAPER RESEARCH INSTITUTE OF CANADA製)を使用した。図2から明らかなように、微細化の程度が進むほど、濾水度は小さくなっており、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の抜けが抑えられ、より正確な濾水度を計測できたことがわかる。以下、本発明における変法濾水度とは、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度を意味し、特に断りのない限り、単に「変法濾水度」と表記する。
【0032】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長及び繊維長分布ヒストグラムは、繊維にレーザー光を当てて得られる偏光特性を利用して求めることができ、市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。本発明では、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じてKajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の「繊維長」、「平均繊維長」及び「繊維長分布」とは、上記に従って測定・算出される「長さ加重繊維長」、「長さ加重平均繊維長」及び「長さ加重繊維長分布」を意味する。
【0033】
また、微細化の条件を変えることによって、変法濾水度0〜400mlの範囲内で長さ加重平均繊維長をいかようにも調節することができるため、同程度の変法濾水度であっても、長さ加重平均繊維長の異なる叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を作製することができる。図3は、本発明の実施例18〜38で用いた叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度を表す。
【0034】
本発明において用いられる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度は、0〜400mlであり、0〜300mlであることがより好ましく、0〜250mlであることがさらに好ましい。400mlを超えると、太い繊維径の割合が多くなり、セパレータに大きな貫通孔ができる場合や、厚み斑や地合斑を生じる場合がある。
【0035】
本発明における溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長は、0.20〜2.00mmであり、0.40〜1.80mmがより好ましく、0.50〜1.50mmがさらに好ましい。長さ加重平均繊維長が0.20mm未満だと、湿式抄紙の際に漉き網から抜け落ちて排水に流出する割合が多くなる場合や、濾水性が悪くなり、抄紙性が悪くなる場合がある。2.00mmより長いと繊維同士が撚れてダマになる場合がある。長さ加重平均繊維長は、繊維にレーザー光を当てて得られる偏光特性を利用して求めることができ、市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。
【0036】
さらに、本発明では、変法濾水度0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmである叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維において、その繊維長分布ヒストグラムを詳細に検討した結果、下記に説明する第一の繊維長分布を有する場合、分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維がスラリーの水面に浮くことを抑制し、湿式不織布の表面平滑性を向上させる効果が得られ、第二の繊維長分布を有する場合、抄紙性と表面平滑性を両立させる効果が得られるため、より好ましいことを見出した。
【0037】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維において、好ましい第一の繊維長分布は、該繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上である。このような叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維は、分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と良く絡み合い、極細繊維がスラリーの水面に浮くことを抑制する。その結果、湿式不織布の表面に極細繊維が束状に堆積することがなく、湿式不織布の表面平滑性が高くなる。また、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下である場合、極細繊維との絡みがより良くなり、結果的に湿式不織布の表面平滑性がより優れていて、さらに好ましいことを見出した。
【0038】
図4及び図5は、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムであり、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上である。表面平滑性という点で、より好ましくは、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.30〜0.70mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が12%以上で高い方が好ましいが、50%程度あれば十分である。
【0039】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下であることが好ましく、−2.5以上−0.8以下がより好ましく、−2.0以上−1.0以下がさらに好ましい。傾きが−3.0より小さい場合、分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維との絡みが弱くなり、極細繊維がスラリーの水面に浮き、基材の表面に極細繊維が束状に堆積しやすくなる場合がある。また傾きが−0.5を超えると緻密性が向上しない場合がある。図4及び図5に示すように、「傾きが大きい」とは叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布が広い状態である。「傾きが小さい」とは叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布が狭く、より繊維長が揃っている状態である。なお、図4の叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[I]の傾きは、−2.9であり、図5の叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維[II]の傾きは、−0.6である。
【0040】
なお、「1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾き」とは、図6に示したように1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の値に対し、最小二乗法により近似直線を算出し、得られた近似直線の傾きを意味する。
【0041】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維において、好ましい第二の繊維長分布は、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上である。このような叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維は、濾水性が相対的に良く、抄紙速度を上げることができ、抄紙性と表面平滑性を両立できる。また、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する場合、このようなピークを有さない溶剤紡糸セルロース繊維よりも濾水性が良く、より抄紙速度を上げることができる。
【0042】
図7は、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムであり、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上である。表面平滑性という点において、繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.30〜0.70mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が55%以上で高い方が望ましいが、75%程度あれば十分である。
【0043】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、図8に示したように、上記の最大頻度ピーク以外に、1.50〜3.50mmの間にピークを有することがより好ましく、1.75〜3.25mmの間にピークを有することがさらに好ましく、1.90〜3.00mmの間にピークを有することが特に好ましい。この範囲にピークを有することにより、さらに濾水性が良く、より抄紙速度を上げることができるため好ましい。該ピークの繊維長が1.50mmより短い場合、濾水性が悪くなり、抄紙速度を上げにくくなる場合がある。また3.50mmを超えると、ダマが発生して厚み斑になり、湿式不織布の表面平滑性が悪く場合がある。
【0044】
本発明における叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を得るには、溶剤紡糸セルロースの短繊維を適度な濃度で水などに分散させ、これをリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、高圧ホモジナイザーなどに通して、刃の形状、流量、処理回数、処理速度、処理濃度などの条件を調節して叩解すれば良い。これらの叩解により、溶剤紡糸セルロース繊維は、繊維長軸に平行に分割するとともに繊維長が短くなる。そのため、湿式不織布の空孔が比較的均一に形成される。
【0045】
本発明のリチウム二次電池用基材において、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の合計含有率は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましい。50質量%未満であると、耐リチウムデンドライト性が不十分になる場合がある。本発明のセパレータにおいて、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維と、溶剤紡糸セルロース繊維の質量比率は、8:2〜2:8が好ましく、7:3〜4:6がより好ましい。分割型複合繊維の比率が8:2より多いと、湿式不織布の熱処理の際に著しく収縮し、しわになる場合や湿式不織布の空隙が閉塞される場合があり、2:8より少ないと湿式不織布の突刺強度が弱くなり、取り扱い時や電極との巻回時に毛羽立つ場合や破損する場合や、耐リチウムデンドライト性が不十分になる場合がある。
【0046】
本発明のセパレータは、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、天然セルロース繊維、天然セルロース繊維のパルプ化物やフィブリル化物、溶剤紡糸セルロースの短繊維、合成樹脂からなる短繊維(以下、「合成短繊維」と表記することもある)、フィブリッド、パルプ化物、フィブリル化物、無機繊維を含有しても良い。天然セルロース繊維のパルプ化物やフィブリル化物は、カナダ標準濾水度0〜700mlが好ましく、0〜500mlがより好ましい。無機繊維としては、ガラス、アルミナ、シリカ、セラミックス、ロックウールが挙げられる。無機繊維を含有する場合は、基材の耐熱寸法安定性や突刺強度が向上するため好ましい。合成短繊維としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ジエン、ポリウレタン、フェノール、メラミン、フラン、尿素、アニリン、不飽和ポリエステル、フッ素、シリコーン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリテトラフルオロエチレン、これらの誘導体などの樹脂からなる短繊維が挙げられる。本発明におけるアクリルとは、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニルなどを共重合させたものを指す。ポリアミドとは、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドを指す。半芳香族ポリアミドとは、主鎖の一部に脂肪鎖などを有する芳香族ポリアミドを指す。
【0047】
合成短繊維の断面形状は、円形、楕円形、扁平、三角形、四角形、多角形の何れでも良いが、湿式不織布の空隙を閉塞しにくいことから円形、楕円形、三角形、四角形、多角形が好ましい。平均繊維径は、0.1〜12.0μmが好ましく、0.5〜8.0μmがより好ましく、1.0〜5.0μmがさらに好ましい。合成短繊維の平均繊維径が12.0μmを超えた場合、厚さ方向における繊維本数が少なくなるため、ピンホールができる場合や厚みを薄くしにくくなる場合や表面粗さが大きくなる問題がある。0.1μm未満だと、合成短繊維の添加効果が現れにくい場合がある。断面形状が円形以外の場合の平均繊維径は、同面積の円形に換算したときの平均繊維径を意味する。
【0048】
合成短繊維の繊維長としては、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜6mmがより好ましい。繊維長が10mmを超えた場合、地合不良となることがある。一方、繊維長が0.1mm未満の場合には、セパレータの突刺強度が弱くなり、破断伸度が小さくなる場合がある。
【0049】
本発明のセパレータは、湿式抄紙法で製造される。具体的には、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割させて得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を水に分散して均一なスラリーとし、このスラリーを抄紙機で漉きあげて湿式不織布を作製する。スラリーには、必要に応じて分散助剤、消泡剤、増粘剤、剥離剤などの薬品を添加しても良い。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙機、傾斜短網抄紙機、これらの複合抄紙機が挙げられる。湿式不織布を製造する工程においては、必要に応じて、水流交絡処理を施しても良い。
【0050】
本発明においては、湿式不織布を140〜175℃で熱処理して、ポリオレフィンの少なくとも一部を溶融させ、極細繊維同士の交点及び/又は極細繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の交点を接着させる。本発明における熱処理は、非加圧下で140〜175℃の温度範囲に加熱したロールに湿式不織布の片面又は両面を所定時間接触させる方法、140〜175℃の温度範囲に加熱したロール間に湿式不織布を通して加圧する方法、140〜175℃の温度範囲でホットプレス機を用いて所定時間加圧処理する方法等で行うことができる。本発明においては、巻取りを連続的に処理でき、極細繊維を溶融劣化させずに繊維形状を維持させやすいことから、非加圧下で加熱したロールに接触させる方法が好ましい。加熱するロールは樹脂製、金属製の何れでも良い。140℃未満だと、極細繊維同士の交点及び/又は該極細繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の交点の接着が弱く、耐水性が不十分になり、175℃を超えると、熱量が過剰となり、ポリオレフィンからなる極細繊維が繊維形状を消失し、薄い皮膜を形成するため、湿式不織布表面及び内部の空隙が少なくなるとともに湿式不織布が脆くなり、強度が不十分になる。また、薄く形成された皮膜により電解液をはじき、電解液のしみ込みが不均一になる。熱処理の後、必要に応じてカレンダー処理して厚みを調整する。
【0051】
本発明のセパレータの厚みは、4〜45μmが好ましく、10〜35μmがより好ましく、15〜30μmがさらに好ましい。45μmを超えると、セパレータの抵抗値が高くなる場合があり、4μm未満であると、セパレータの強度が弱くなりすぎて、セパレータの取り扱い時に破損する恐れがある。
【0052】
本発明のセパレータの密度は、0.250〜0.750g/cmが好ましく、0.300〜0.650g/cmがより好ましく、0.400〜0.600g/cmがさらに好ましい。密度が0.250g/cm未満だと、厚みを薄くしにくくなる場合があり、0.750g/cm超だと、セパレータの抵抗値が高くなる場合がある。
【0053】
本発明のセパレータは、ASTM−F316−86で規定される最大孔径0.1〜10μmであることが好ましく、0.1〜6μmであることがより好ましい。0.1μm未満だと、電解液保液率が低くなる場合があり、10μmより大きいと、耐リチウムデンドライト性が不十分になる場合がある。
【0054】
本発明のセパレータは、流れ方向の引張強度が300N/m以上であることが好ましく、400N/m以上であることがより好ましい。300N/m未満だと、電池組立の際の巻回時や取り扱い時に切断する場合や破れる場合がある。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0056】
≪実施例1〜17、比較例1〜3≫
[叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の物性値]
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維について、
(1)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度:「変法濾水度」
(2)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
を表1に示す。なお、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維C1〜C11は、叩解されていない溶剤紡糸セルロース短繊維(繊度1.7dtex、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して作製した。
【0057】
表1に、本発明の実施例及び比較例で使用した分割型複合繊維、合成短繊維、溶剤紡糸セルロース繊維を示した。表1中の分割型複合繊維の断面形状は、分割型複合繊維全体の断面が円形で、ポリエステルとポリオレフィンの配置が放射状型であることを意味する。表1中のB1は、ポリエステルとポリエチレンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を意味し、B2は、ポリエステルとポリプロピレンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を意味する。F4は、芯部にポリエステル、鞘部にポリエステル誘導体を配置してなる芯鞘型複合繊維を意味する。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例1〜17、比較例1〜3
表2に示したスラリーを調製し、実施例1〜17、比較例1〜3に対応するスラリーを2連式の円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、ヤンキードライヤー温度を110℃にして乾燥させて湿式不織布を作製した。次いで、表3に示した熱処理温度と熱処理時間に従って金属ロールに湿式不織布の表裏面を接触させて熱処理し、さらにカレンダー処理して厚み調整し、実施例1〜17、比較例1〜3のセパレータを作製した。
【0060】
【表2】

【0061】
表2中の原料の記号は、表1の記号に該当する。
【0062】
[評価]
実施例及び比較例で作製したセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。
【0063】
<厚み>
JIS P8118に準拠して厚みを測定し、その平均値を算出した。
【0064】
<密度>
JIS P8124に準拠して基材の坪量を測定し、坪量を厚みで除して100倍した値を密度とした。
【0065】
<抄紙性>
40m/min以上の抄紙速度でセパレータを安定して湿式抄紙できた場合を「◎」、20m/min以上、40m/min未満の抄紙速度で安定して湿式抄紙できた場合を「○」、10m/min以上、20m/min未満の抄紙速度で安定して湿式抄紙できた場合を「△」、10m/min未満の抄紙速度でしか安定して湿式抄紙できなかった場合を「×」とした。抄紙速度が速いほど抄紙性が良いことを意味する。
【0066】
<浮き>
セパレータを湿式抄紙する際に、原料スラリーを円網抄紙機に送液する途中の希釈種箱の中で、分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維がスラリーの水面に浮いているか否か目視確認した。浮いている極細繊維の量が多い場合を「多」、少ない場合を「少」、多くもなく、少なくもない場合を「中」とした。
【0067】
<表面平滑性>
セパレータの表面について、任意の10か所の厚みを測定し、その標準偏差(μm)を算出し、表面平滑性の指標とした。標準偏差の値が小さいほど表面平滑性に優れている。
【0068】
<巻回性>
セパレータを50mm幅、500mm長に切り揃えた。正極と負極を45mm幅、490mm長に切り揃えた。セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に1枚ずつ積層し、これを巻回機にかけて巻回し、巻回素子を作製した。このとき、セパレータが切断や破れることなく巻回できた場合を「○」、セパレータの毛羽立ちが生じたが、巻回機の張力を弱めに調整することにより巻回できた場合を「△」、セパレータの切断や破れが生じた場合を「×」とした。正極は、活物質のコバルト酸リチウム、導電助剤のアセチレンブラック、結着剤のポリフッ化ビニリデンを質量比率で90:5:5に混合したスラリーをアルミニウム集電体の両面に塗布したものを用いた。負極は、天然黒鉛97質量%とポリフッ化ビニリデン3質量%の比率で混合したスラリーを銅箔集電体の両面に塗布したものを用いた。
【0069】
<耐デンドライト性>
セパレータの片面に金属リチウム箔を、セパレータの反対側に正極を配置して積層し、電解液を注入してラミネートセルを100個ずつ作製した。0.5mA/cmで3.6Vまで定電流充電し、さらに3.6Vを24時間印加し、過充電した。この過充電中に異常電流が流れた場合を内部短絡したと見なし、過充電を中止し、ラミネートセルを開封してリチウムデンドライトの発生状態を確認した。過充電により、リチウムデンドライトが発生して基材を貫通したセルの割合を耐デンドライト性とした。この割合が少ないほど、耐デンドライト性に優れることを意味する。正極には、活物質のコバルト酸リチウム、導電助剤のアセチレンブラック、結着剤のポリフッ化ビニリデンを質量比率で90:5:5に混合したスラリーをアルミニウム集電体の両面に塗布したものを用いた。電解液は、<電解液保持率>の評価に記載したものと同様である。
【0070】
<放電容量維持率>
<巻回性>の評価で作製した巻回素子を電池缶に収納した後、電解液を注入し、封口してリチウムイオン二次電池を作製した。リチウムイオン二次電池を25℃、100mAで4.2Vまで定電流充電し、さらに4.2Vで3時間定電圧充電した後、100mAで3.0Vまで放電したときの放電容量を測定し、これを初期放電容量とした。引き続き、60℃、100mAで充放電を1000時間繰り返し行い、初期放電容量に対する1000時間後の放電容量の割合を算出し、放電容量維持率とした。放電容量維持率が大きいほど良い。
【0071】
【表3】

【0072】
実施例1〜17のリチウム二次電池用セパレータは、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであるため、極細繊維同士の交点及び/又は極細繊維と溶剤紡糸セルロース繊維の交点がポリオレフィンで接着されており、巻回性に優れていた。充放電の繰り返しによって、リチウムデンドライトが電極表面に生成した場合でも、リチウムデンドライトが正負極間で導通することを防ぐことができ、耐デンドライト性に優れていた。実施例1〜17のセパレータを具備したリチウム二次電池は、放電容量維持率が高く優れていた。
【0073】
一方、比較例1のリチウム二次電池用セパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が0.20mm未満であるため、濾水性が悪く、抄紙性が悪かった。耐デンドライト性は良好であった。該セパレータを具備したリチウム二次電池は、放電容量維持率が低かった。
【0074】
比較例2のリチウム二次電池用セパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の長さ加重平均繊維長が2.00mmを超えていたため、抄紙性は良好だったが、耐デンドライト性が悪かった。該セパレータを具備したリチウム二次電池は、放電容量維持率が低かった。
【0075】
比較例3のリチウム二次電池用セパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が400mlを超え、且つ、長さ加重平均繊維長が2.00mmを超えているため、表面平滑性が悪く、耐デンドライト性が悪かった。該セパレータを具備したリチウム二次電池は、放電容量維持率が低かった。
【0076】
≪実施例18〜38≫
[叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の物性値]
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維について、
(1)繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークの繊維長:「最大頻度ピークの繊維長」
(2)1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合:「1.00mm以上の繊維割合」
(3)繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾き:「割合の傾き」
(4)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
(5)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度:「変法濾水度」
を表4に示す。なお、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維C12〜C23は、叩解されていない溶剤紡糸セルロース短繊維(繊度1.7dtex、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して作製した。
【0077】
【表4】

【0078】
表5に示したスラリーを調製し、実施例18〜38に対応するスラリーを2連式の円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、ヤンキードライヤー温度を110℃にして乾燥させて湿式不織布を作製した。次いで、表6に示した熱処理温度と熱処理時間に従って金属ロールに湿式不織布の表裏面を接触させて熱処理し、さらにカレンダー処理して厚み調整し、実施例18〜38のセパレータを作製した。実施例1と同様の方法で、セパレータの評価を行い、評価の結果を表6に示した。
【0079】
【表5】

【0080】
表5中の原料の記号は、表1及び表4の記号に該当する。
【0081】
【表6】

【0082】
実施例18〜27、30〜38で作製したセパレータは、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるため、実施例1〜17と同様に、巻回性と耐デンドライト性に優れるだけでなく、抄紙性が良好であった。分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維がスラリーの水面に浮くことを抑制し、セパレータの表面平滑性が良好であった。実施例18〜27、30〜38で作製したセパレータを具備したリチウム二次電池は、放電容量維持率が高く優れていた。
【0083】
実施例28のセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるため、巻回性と耐デンドライト性は良好だったが、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有していないため、スラリーの水面に極細繊維が多く浮き、湿式不織布表面に束状に堆積したため、実施例18〜27、30〜38よりも表面平滑性が劣っていた。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例18〜27、30〜38よりも劣っていた。
【0084】
実施例29のセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%未満であるため、スラリーの水面に極細繊維が多く浮き、湿式不織布表面に束状に堆積したため、実施例18〜27、30〜38よりも表面平滑性が劣っていた。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例18〜27、30〜38よりも劣っていた。
【0085】
実施例18〜21、23〜26、30〜38で作製したセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下であるため、極細繊維との絡みが良好で、極細繊維の浮きが少なく、表面平滑性が優れていた。
【0086】
実施例22のセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるが、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0よりもマイナス側であるため、スラリーの水面に極細繊維が多く浮き、湿式不織布表面に束状に堆積したため、実施例18〜21、23〜26、30〜38よりも、表面平滑性が劣っていた。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例18〜21、23〜26、30〜38より劣っていた。
【0087】
実施例27のセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上であるが、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−0.5よりもプラス側であるため、抄紙性は良かったが、スラリーの水面に極細繊維がやや多めに浮き、湿式不織布表面に束状に堆積したため、実施例18〜21、23〜26、30〜38よりも表面平滑性がやや劣っていた。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例18〜21、23〜26、30〜38よりも劣っていた。
【0088】
≪実施例39〜58≫
[叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の物性値]
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維について、
(1)1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合:「1.00mm以上の繊維割合」
(2)繊維長分布ヒストグラムにおける最大頻度ピークの繊維長:「最大頻度ピークの繊維長」
(3)最大頻度ピーク以外のピークの繊維長:「第2ピークの繊維長」
(4)長さ加重平均繊維長:「平均繊維長」
(5)ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度:「変法濾水度」
を表7に示す。なお、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維C24〜C34は、叩解されていない溶剤紡糸セルロース短繊維(繊度1.7dtex、繊維長6mm、コートルズ社製)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理して作製した。
【0089】
【表7】

【0090】
表8に示したスラリーを調製し、実施例39〜58に対応するスラリーを2連式の円網抄紙機を用いて湿式抄紙し、ヤンキードライヤー温度を110℃にして乾燥させて湿式不織布を作製した。次いで、表9に示した熱処理温度と熱処理時間に従って金属ロールに湿式不織布の表裏面を接触させて熱処理し、さらにカレンダー処理して厚み調整し、実施例39〜58のセパレータを作製した。実施例1と同様の方法で、セパレータの評価を行い、評価の結果を表9に示した。
【0091】
【表8】

【0092】
表8中の原料の記号は、表1及び表7の記号に該当する。
【0093】
【表9】

【0094】
実施例39〜47、50〜58で作製したセパレータは、ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上であるため、実施例1〜17と同様に巻回性と耐デンドライト性に優れるだけでなく、抄紙性がさらに良好であった。
【0095】
実施例48で作製したセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有さず、1.00mm以上に最大頻度ピークを有するため、抄紙性は良かったが、表面平滑性が実施例39〜47、50〜58より悪かった。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例39〜47、50〜58よりも劣っていた。
【0096】
実施例49で作製したセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有するが、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が5%と少ないため、抄紙性が劣っており、実施例39〜47、50〜58よりも表面平滑性が悪かった。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例39〜47、50〜58よりも劣っていた。
【0097】
実施例39〜41、43〜46、50〜58で作製したセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有するため、抄紙性に優れていた。実施例39〜41、43〜46、50〜58で作製したセパレータを具備したリチウム二次電池は、放電容量維持率が高く優れていた。
【0098】
実施例42で作製したセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に存在するピークが1.50mmより短いため、実施例39〜41、43〜46、50〜58よりも、抄紙性で劣っていた。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率は、実施例39〜41、43〜46、50〜58よりも劣っていた。
【0099】
実施例47で作製したセパレータは、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に存在するピークが3.50mmより長いため、実施例39〜41、43〜46、50〜58よりも、表面平滑性が悪かった。該セパレータを具備したリチウム二次電池の放電容量維持率が実施例39〜41、43〜46、50〜58よりも劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のリチウム二次電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池等のリチウムイオン二次電池に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルとポリオレフィンが相互に隣接してなる分割型複合繊維を分割して得られる極細繊維と、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維を含有してなる湿式不織布からなり、叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の下記で定義される変法濾水度が0〜400mlで、且つ、長さ加重平均繊維長が0.20〜2.00mmであるリチウム二次電池用セパレータ。
変法濾水度:ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した濾水度。
【請求項2】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が10%以上である請求項1記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項3】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、1.00〜2.00mmの間における0.05mm毎の繊維長を有する繊維の割合の傾きが−3.0以上−0.5以下である請求項2記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項4】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、0.00〜1.00mmの間に最大頻度ピークを有し、1.00mm以上の繊維長を有する繊維の割合が50%以上である請求項1記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項5】
叩解されてなる溶剤紡糸セルロース繊維の繊維長分布ヒストグラムにおいて、最大頻度ピーク以外に1.50〜3.50mmの間にピークを有する請求項4記載のリチウム二次電池用セパレータ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のリチウム二次電池用セパレータを用いてなることを特徴とするリチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221768(P2012−221768A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86948(P2011−86948)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】