リバーシブル靴
【課題】
本発明は、一足で2つの異なったデザインを選択できるリバーシブルタイプの靴であり、靴の表面及び裏面を裏返すことが容易であり、歩いている時でも脱げ易すくないリバーシブルタイプの靴を提供する。
【解決手段】
靴側面部及び底面部が裏表反転使用可能な靴であって、足入れ部分からつま先部分近傍に亘って開口部を設け、開口部には裏表両面から開口部を閉状態に固定する固定手段を設け、該開口部を開いて裏返して使用することが出来るリバーシブル靴。
本発明は、一足で2つの異なったデザインを選択できるリバーシブルタイプの靴であり、靴の表面及び裏面を裏返すことが容易であり、歩いている時でも脱げ易すくないリバーシブルタイプの靴を提供する。
【解決手段】
靴側面部及び底面部が裏表反転使用可能な靴であって、足入れ部分からつま先部分近傍に亘って開口部を設け、開口部には裏表両面から開口部を閉状態に固定する固定手段を設け、該開口部を開いて裏返して使用することが出来るリバーシブル靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、裏表反転使用可能なリバーシブル靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、装身具としての帽子では、例えば、特許文献1等で裏返して反転使用可能なリバーシブルタイプの帽子が知られており、1つの帽子で2つのデザインを表現でき、旅行先等でも気軽に服装に合わせて変化させることが出来る。
しかしながら、靴等の履き物においては、有る程度の硬さが必要であることから裏返すことが困難であることや、歩いている時に脱げ易すくなることから、リバーシブルタイプの靴の構造は知られていない。
なお、スポーツシューズ等で、例えば、特許文献2に示されているように、足入れ部分を大きく開く構造が知られているが、開口部はつま先の近傍までは延びてはおらず、リバーシブルでも裏返せる構造でもない。
【特許文献1】登録実用新案3047331号公報
【特許文献2】特開2002−300907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、一足で2つの異なったデザインを表現できるリバーシブルタイプの靴であり、出張や旅行先等でも、訪問先や、服装に合わせて靴のデザインを選択することができ、そのために靴の表面及び裏面を外側に裏返すことが容易であり、歩いている時でも脱げ難くいリバーシブルタイプの靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、靴側面部及び底面部が裏表反転使用可能なリバーシブル靴であって、足入れ部分からつま先部分近傍に亘って開口部を設け、開口部には裏表両面から開口部を閉状態に固定する固定手段を設け、該開口部を開いて裏返して裏面を外側にしても使用することが出来ることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のリバーシブル靴において、前記閉状態に固定する固定手段は、前記開口部には着脱自在の適宜の切込部を有するアッパーベロー部を設けるとともに、該開口部の両側に複数のループ部又は鳩目を設け、該切込部とループ部に紐を掛け渡してなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載のリバーシブル靴において、前記閉状態に固定する固定手段は、ファスナーであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1に記載のリバーシブル靴において、前記開口部は中間帯部を介在させた二列であり、該二列の開口部を閉状態に固定する固定手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の靴は、リバーシブルタイプの靴であるから、遊び心のある人、オシャレな靴好きな人や、構造・仕様・背景・モノ作り等が好きな人やスニーカーコレクターには十分にアピールすることができ、一足で2つのデザインを表現できるリバーシブルタイプであり、旅先や出張先でもひっくり返して履けるので、別途に替えの靴を持参しなくとも良く荷物が少なくなり、気軽に、会合や訪問先の雰囲気、歩く場所や服装に合わせて、即座に変化させることができる。
また、開口部がつま先近傍にまで施してあるので、表面及び裏面を簡単に裏返すことができ、裏返した後の開口部を閉状態に固定する固定手段が設けてあるので、履き物として歩いている時は脱げ易すくなく、着用後にひっくり返せば、こもった湿気や臭気を容易に発散し、清潔に保つことができる。
さらに、1足で2足分の靴の機能を有するから、下駄箱や収納場所の省スペース化に貢献し、玄関をすっきりさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ここで、本発明の好適なリバーシブルタイプの靴の実施例を図面に沿って説明する。
図1は、実施例1のアッパーベロ4を有するタイプのリバーシブル靴Aの斜視図で、本底部11は、平底部12と若干厚めのヒール部13とから構成され、後述するように、本底部11はひっくり返すと中底にもなり得るものである。この本底部11の縁部11c(図4参照)と、図1で中底15(裏返した場合には本底11となる)となっている縁部15cとに靴のアッパー側面部2の下端部2cが挟まれて(図4参照)、縫い糸14でアリアンズ縫い等で強固に縫いつけられている。
前記アッパー側面部2は、下部アッパー側面部21と上部アッパー側面部22から構成されるが、下部アッパー側面部21は、靴の形を維持するためと、つま先を保護するために、有る程度の硬さと普通の女性でも裏返すことのできる柔らかさが必要である。また、上部アッパー側面部22は、通常の足入れ部分24からつま先部分25の近傍に亘って開口部23を設け、開口部23の両側には対向する複数のループ5が縫いつけられている。このアッパー側面部2の裏側3もリバーシブルして裏返したときは、アッパー側面部になる。
【0007】
本実施例1のリバーシブル靴Aでは、アッパー側面部2は革仕立て、裏面3はデニム地仕立てとして、アッパー側面部2が外側の時は比較的フォーマル風に、裏地3のデニム地が外側の時は、カジュアル風になる。
前記開口部23は、アッパーベロ部4で塞がれるとともに、靴紐6によって閉状態に固定される固定手段を有するものである。
この閉状態の構成を説明すると、図2に示されるアッパーベロ部4には、つま先部分25に近い位置に一対の切込部41aと、足入れ部分24に近い位置に一対の切込部41cと、これらの切込部の中間位置にも一対の切込部41bが設けられており、図1に示すように、先ず、靴紐6を一対の切込部41aに通し、これを最初の対向するループ5aに通し、これを従来の靴紐と同じように、対向するループ5bに順次通し、途中にある一対の切込部41bに通した後に、同様に対向するループ5に通し、足入れ部24の近傍の一対の切込部41cに通した後、最後の一対のループ5に通した後、靴紐6の両端を結んで、開口部23を閉状態に固定する。
【0008】
なお、靴の内部の中底は、図3に示すようなカップインソール(中敷)7を挿入する。これは、本底11が足底に触れて足を汚さないためと、履き心地を良くするために底部に敷き詰めるが、本底部11のヒール部12が高くなっているので、これに対応して、他の中敷きと同じ高さになるように踵部72を薄くし、且つ、内層71はクッション性が高いスポンジ等で構成されている。もっとも、カップインソール(中敷)7が厚ければ、踵部72を薄くする必要はなく、全体が平坦なものでも十分である。
図1の(4)−(4)線での断面図を図4に示し、つま先部分の断面図を図5に示すが、リバーシブル靴Aとするために アッパー側面部2を底部11と中底15(裏返した場合には本底11となる)の間に挟み、アッパー側面部2の存在しない部分には中物16を敷き詰めて、底部11と中底15のどちらが本底になっても良いように、底部11の縁部11cと、中底15の縁部15cとをアッパー側面部2の下端部2cを挟んで、縫い糸14を用いアリアンズ縫い等で強固に縫いつける。
【0009】
[リバーシブル靴の操作]
図1に示すような、フォーマル風の革地の靴において、革地のアッパー側面部2が外側になる第1の着用状態のリバーシブル靴を、靴の側面部2及び底面部を裏表反転させるには、先ず、図6に示すように、靴Aの開口部23のループ5及びアッパーベロ部4の切込部41a,b,cから靴紐6を取り除き、アッパーベロ部4とカップインソール(中敷)7も抜き取る。
次に、図7、図8に示すように、アッパー側面部2を図中で矢印Xの方向の下側に反転させると、底部11が靴の内側の中底になり、図1で中底15が本底部になり、図9に示すように、全部のアッパー側面部2を裏返すと、それまでの裏側の裏地3のデニム地が外側に現れる。
この状態で、着脱自在のアッパーベロ部4も裏側のデニム地を表側にし、切込部41a,41b,41cの間を引き出し、靴紐6を切込部41a,41b,41c及びループ5に通して、 図1と同じ状態にしてカップインソール(中敷)7を挿入すれば、カジュアル風のデニム地の靴A'となる。
実際に制作したリバーシブル靴の写真を図10に示すが、図10の靴の右側が表面外側が革のファオーマル風の靴Aであり、図10の左側が表面デニム地のカジュアル風の靴A’である。
【0010】
このように、リバーシブル靴は革製のファオーマル風の靴Aと、カジュアル風のデニム地の靴A'とに見た目を変えることができ、遊び心のあるオシャレな靴好きな人や、構造・仕様・背景・モノ作り等が好きな人やスニーカーコレクターには十分にアピールすることができ、最も特徴的なことは、一足で2つのデザインを表現できるので、旅先や出張先でもひっくり返して履くことができ、別途に替えの靴を持参しなくとも良く荷物が少なくなり、気軽に、会合や訪問先の雰囲気、歩く場所や服装に合わせて、即座に変化させることができる。
また、開口部がつま先近傍にまで施してあるので、裏返すことが容易であり、裏返した後の開口部を閉状態に固定する固定手段が設けてあるので、履き物として歩いている時は脱げ易すくなく、靴紐タイプであるので、足の形に応じて充分にフィットし、着用後にひっくり返せば、こもった湿気や臭気を容易に発散し、清潔に保つことができ、1足で2足分の靴として着用できるから、下駄箱や収納場所の省スペース化に貢献し、玄関をすっきりすることができる。
【0011】
次に、実施例1とは別の実施例2のリバーシブル靴Bを説明する。
図11は実施例2のリバーシブル靴Bの側面図で、実施例1のリバーシブル靴Aとの違いは、実施例1のループ5に変えて、開口部23に沿って複数の鳩目孔51を設けてた靴紐6に関して鳩目タイプである点で、その他の構成は同じである。
開口部23の閉状態にする固定手段は、実施例1と同様に、アッパーベロ部4の切込部41a,41b,41cと鳩目51に靴紐6を通して、最後の一対の鳩目51に通した後、靴紐6の両端を結んで、開口部23を閉状態に固定する。
このリバーシブル靴Bは、実施例1とはデザインが異なるのと、ループ5を縫い付ける必要がないので、制作はより容易である。
図12は、実施例3のリバーシブル靴の側面図で、実施例2との変形例で、鳩目ハイカットタイプのリバーシブル靴Cであり、他の構成は実施例1や実施例2と同じである。このような足首に対して長い所謂長靴タイプの靴であっても、開口部23がつま先部25まで延びていれば、容易にリバーシブルな靴とすることができる。
【0012】
更に、図13に実施例4のリバーシブル靴Dを説明する。
実施例4のリバーシブル靴Dは、開口部23の固定手段として、裏表の両側で操作可能なファスナー61を使用した点であり、他の構成は、実施例1乃至3と同じである。
このようなファスナー61を使用することで、開口部23の足入部24からつま先部25までを、開口手段として、ファスナー61の把持部611をスライドさせることで、一気に開口することができ、アッパー側面部2の裏側3にリバーシブルして裏返すことができ、裏面3を外側にした後も、ファスナー61の把持部611をスライドさせることで、開口部23を閉状態に固定することができる。
図14及び図15は、実施例5の変形例のリバーシブル靴Eで、開口部23の両端231、232との間に中間帯部26を設け、この間に中間帯部26の両端261,262と前記開口部23の両端部231、232をそれぞれ対向させ、開口手段及び固定手段として二列のファスナー62,63を構成したものである。この実施例5は、アッパー側面部2の面積を小さくしてアッパー側面部2の裏返作業を容易にし、裏返した後の開口部23を閉状態に固定することを速やかに行うことができる。
【0013】
以上のように、実施例2〜5も固定手段の構成以外は実施例と同じであり、作用・効果も実施例1と同じである。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1のリバーシブル靴Aの斜視図、
【図2】図1のアッパーベロ4の平面図、
【図3】図1のカップインソール(中敷)の側面図、
【図4】図1の(4)−(4)線での断面図、
【図5】図1のつま先部分の断面図、
【図6】図1でアッパーベロと靴紐を取り除いた斜視図、
【図7】図6の状態から、裏返す工程を説明する(7)−(7)線での断面図、
【図8】図7の状態の斜視図、
【図9】図1のリバーシブル靴を完全に裏返した状態のリバーシブル靴A'の底部からの斜視図、
【図10】実施例1の実際に制作したリバーシブル靴の写真で、写真右側が表面外側が革のファオーマル風の靴Aであり、写真左側が表面デニム地のカジュアル風の靴A’の写真の図、
【図11】本発明の実施例2の鳩目タイプのリバーシブル靴Bの側面図、
【図12】本発明の実施例3の鳩目タイプのリバーシブル靴Cの側面図、
【図13】本発明の実施例4のファスナータイプのリバーシブル靴Dの平面図、
【図14】本発明の実施例5の二列のファスナータイプのリバーシブル靴Eの側面図、
【図15】図14の中間帯部26を分離した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
A,B,C,D,E…リバーシブル靴
11…本底部、11c,15c…縁部、12…平底部、13…ヒール部、
14…縫い糸、15…中底、16…中物、
2…アッパー側面部、21…下部アッパー側面部、2c…下端部
22…上部アッパー側面部、23…開口部、231,232…開口部の端部、
24…足入れ部分、25…つま先部分、26…中間帯部、
261,262…中間帯部の両端、
3…裏側、4…アッパーベロ、41a,41b,41c…切込部、
5,5a,5bループ、51…鳩目、
6…靴紐、61,62,63…ファスナー、611…把持部、
7…カップインソール(中敷)、71…内層、72…踵部、
【技術分野】
【0001】
この発明は、裏表反転使用可能なリバーシブル靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、装身具としての帽子では、例えば、特許文献1等で裏返して反転使用可能なリバーシブルタイプの帽子が知られており、1つの帽子で2つのデザインを表現でき、旅行先等でも気軽に服装に合わせて変化させることが出来る。
しかしながら、靴等の履き物においては、有る程度の硬さが必要であることから裏返すことが困難であることや、歩いている時に脱げ易すくなることから、リバーシブルタイプの靴の構造は知られていない。
なお、スポーツシューズ等で、例えば、特許文献2に示されているように、足入れ部分を大きく開く構造が知られているが、開口部はつま先の近傍までは延びてはおらず、リバーシブルでも裏返せる構造でもない。
【特許文献1】登録実用新案3047331号公報
【特許文献2】特開2002−300907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、一足で2つの異なったデザインを表現できるリバーシブルタイプの靴であり、出張や旅行先等でも、訪問先や、服装に合わせて靴のデザインを選択することができ、そのために靴の表面及び裏面を外側に裏返すことが容易であり、歩いている時でも脱げ難くいリバーシブルタイプの靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、靴側面部及び底面部が裏表反転使用可能なリバーシブル靴であって、足入れ部分からつま先部分近傍に亘って開口部を設け、開口部には裏表両面から開口部を閉状態に固定する固定手段を設け、該開口部を開いて裏返して裏面を外側にしても使用することが出来ることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のリバーシブル靴において、前記閉状態に固定する固定手段は、前記開口部には着脱自在の適宜の切込部を有するアッパーベロー部を設けるとともに、該開口部の両側に複数のループ部又は鳩目を設け、該切込部とループ部に紐を掛け渡してなることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載のリバーシブル靴において、前記閉状態に固定する固定手段は、ファスナーであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1に記載のリバーシブル靴において、前記開口部は中間帯部を介在させた二列であり、該二列の開口部を閉状態に固定する固定手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の靴は、リバーシブルタイプの靴であるから、遊び心のある人、オシャレな靴好きな人や、構造・仕様・背景・モノ作り等が好きな人やスニーカーコレクターには十分にアピールすることができ、一足で2つのデザインを表現できるリバーシブルタイプであり、旅先や出張先でもひっくり返して履けるので、別途に替えの靴を持参しなくとも良く荷物が少なくなり、気軽に、会合や訪問先の雰囲気、歩く場所や服装に合わせて、即座に変化させることができる。
また、開口部がつま先近傍にまで施してあるので、表面及び裏面を簡単に裏返すことができ、裏返した後の開口部を閉状態に固定する固定手段が設けてあるので、履き物として歩いている時は脱げ易すくなく、着用後にひっくり返せば、こもった湿気や臭気を容易に発散し、清潔に保つことができる。
さらに、1足で2足分の靴の機能を有するから、下駄箱や収納場所の省スペース化に貢献し、玄関をすっきりさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
ここで、本発明の好適なリバーシブルタイプの靴の実施例を図面に沿って説明する。
図1は、実施例1のアッパーベロ4を有するタイプのリバーシブル靴Aの斜視図で、本底部11は、平底部12と若干厚めのヒール部13とから構成され、後述するように、本底部11はひっくり返すと中底にもなり得るものである。この本底部11の縁部11c(図4参照)と、図1で中底15(裏返した場合には本底11となる)となっている縁部15cとに靴のアッパー側面部2の下端部2cが挟まれて(図4参照)、縫い糸14でアリアンズ縫い等で強固に縫いつけられている。
前記アッパー側面部2は、下部アッパー側面部21と上部アッパー側面部22から構成されるが、下部アッパー側面部21は、靴の形を維持するためと、つま先を保護するために、有る程度の硬さと普通の女性でも裏返すことのできる柔らかさが必要である。また、上部アッパー側面部22は、通常の足入れ部分24からつま先部分25の近傍に亘って開口部23を設け、開口部23の両側には対向する複数のループ5が縫いつけられている。このアッパー側面部2の裏側3もリバーシブルして裏返したときは、アッパー側面部になる。
【0007】
本実施例1のリバーシブル靴Aでは、アッパー側面部2は革仕立て、裏面3はデニム地仕立てとして、アッパー側面部2が外側の時は比較的フォーマル風に、裏地3のデニム地が外側の時は、カジュアル風になる。
前記開口部23は、アッパーベロ部4で塞がれるとともに、靴紐6によって閉状態に固定される固定手段を有するものである。
この閉状態の構成を説明すると、図2に示されるアッパーベロ部4には、つま先部分25に近い位置に一対の切込部41aと、足入れ部分24に近い位置に一対の切込部41cと、これらの切込部の中間位置にも一対の切込部41bが設けられており、図1に示すように、先ず、靴紐6を一対の切込部41aに通し、これを最初の対向するループ5aに通し、これを従来の靴紐と同じように、対向するループ5bに順次通し、途中にある一対の切込部41bに通した後に、同様に対向するループ5に通し、足入れ部24の近傍の一対の切込部41cに通した後、最後の一対のループ5に通した後、靴紐6の両端を結んで、開口部23を閉状態に固定する。
【0008】
なお、靴の内部の中底は、図3に示すようなカップインソール(中敷)7を挿入する。これは、本底11が足底に触れて足を汚さないためと、履き心地を良くするために底部に敷き詰めるが、本底部11のヒール部12が高くなっているので、これに対応して、他の中敷きと同じ高さになるように踵部72を薄くし、且つ、内層71はクッション性が高いスポンジ等で構成されている。もっとも、カップインソール(中敷)7が厚ければ、踵部72を薄くする必要はなく、全体が平坦なものでも十分である。
図1の(4)−(4)線での断面図を図4に示し、つま先部分の断面図を図5に示すが、リバーシブル靴Aとするために アッパー側面部2を底部11と中底15(裏返した場合には本底11となる)の間に挟み、アッパー側面部2の存在しない部分には中物16を敷き詰めて、底部11と中底15のどちらが本底になっても良いように、底部11の縁部11cと、中底15の縁部15cとをアッパー側面部2の下端部2cを挟んで、縫い糸14を用いアリアンズ縫い等で強固に縫いつける。
【0009】
[リバーシブル靴の操作]
図1に示すような、フォーマル風の革地の靴において、革地のアッパー側面部2が外側になる第1の着用状態のリバーシブル靴を、靴の側面部2及び底面部を裏表反転させるには、先ず、図6に示すように、靴Aの開口部23のループ5及びアッパーベロ部4の切込部41a,b,cから靴紐6を取り除き、アッパーベロ部4とカップインソール(中敷)7も抜き取る。
次に、図7、図8に示すように、アッパー側面部2を図中で矢印Xの方向の下側に反転させると、底部11が靴の内側の中底になり、図1で中底15が本底部になり、図9に示すように、全部のアッパー側面部2を裏返すと、それまでの裏側の裏地3のデニム地が外側に現れる。
この状態で、着脱自在のアッパーベロ部4も裏側のデニム地を表側にし、切込部41a,41b,41cの間を引き出し、靴紐6を切込部41a,41b,41c及びループ5に通して、 図1と同じ状態にしてカップインソール(中敷)7を挿入すれば、カジュアル風のデニム地の靴A'となる。
実際に制作したリバーシブル靴の写真を図10に示すが、図10の靴の右側が表面外側が革のファオーマル風の靴Aであり、図10の左側が表面デニム地のカジュアル風の靴A’である。
【0010】
このように、リバーシブル靴は革製のファオーマル風の靴Aと、カジュアル風のデニム地の靴A'とに見た目を変えることができ、遊び心のあるオシャレな靴好きな人や、構造・仕様・背景・モノ作り等が好きな人やスニーカーコレクターには十分にアピールすることができ、最も特徴的なことは、一足で2つのデザインを表現できるので、旅先や出張先でもひっくり返して履くことができ、別途に替えの靴を持参しなくとも良く荷物が少なくなり、気軽に、会合や訪問先の雰囲気、歩く場所や服装に合わせて、即座に変化させることができる。
また、開口部がつま先近傍にまで施してあるので、裏返すことが容易であり、裏返した後の開口部を閉状態に固定する固定手段が設けてあるので、履き物として歩いている時は脱げ易すくなく、靴紐タイプであるので、足の形に応じて充分にフィットし、着用後にひっくり返せば、こもった湿気や臭気を容易に発散し、清潔に保つことができ、1足で2足分の靴として着用できるから、下駄箱や収納場所の省スペース化に貢献し、玄関をすっきりすることができる。
【0011】
次に、実施例1とは別の実施例2のリバーシブル靴Bを説明する。
図11は実施例2のリバーシブル靴Bの側面図で、実施例1のリバーシブル靴Aとの違いは、実施例1のループ5に変えて、開口部23に沿って複数の鳩目孔51を設けてた靴紐6に関して鳩目タイプである点で、その他の構成は同じである。
開口部23の閉状態にする固定手段は、実施例1と同様に、アッパーベロ部4の切込部41a,41b,41cと鳩目51に靴紐6を通して、最後の一対の鳩目51に通した後、靴紐6の両端を結んで、開口部23を閉状態に固定する。
このリバーシブル靴Bは、実施例1とはデザインが異なるのと、ループ5を縫い付ける必要がないので、制作はより容易である。
図12は、実施例3のリバーシブル靴の側面図で、実施例2との変形例で、鳩目ハイカットタイプのリバーシブル靴Cであり、他の構成は実施例1や実施例2と同じである。このような足首に対して長い所謂長靴タイプの靴であっても、開口部23がつま先部25まで延びていれば、容易にリバーシブルな靴とすることができる。
【0012】
更に、図13に実施例4のリバーシブル靴Dを説明する。
実施例4のリバーシブル靴Dは、開口部23の固定手段として、裏表の両側で操作可能なファスナー61を使用した点であり、他の構成は、実施例1乃至3と同じである。
このようなファスナー61を使用することで、開口部23の足入部24からつま先部25までを、開口手段として、ファスナー61の把持部611をスライドさせることで、一気に開口することができ、アッパー側面部2の裏側3にリバーシブルして裏返すことができ、裏面3を外側にした後も、ファスナー61の把持部611をスライドさせることで、開口部23を閉状態に固定することができる。
図14及び図15は、実施例5の変形例のリバーシブル靴Eで、開口部23の両端231、232との間に中間帯部26を設け、この間に中間帯部26の両端261,262と前記開口部23の両端部231、232をそれぞれ対向させ、開口手段及び固定手段として二列のファスナー62,63を構成したものである。この実施例5は、アッパー側面部2の面積を小さくしてアッパー側面部2の裏返作業を容易にし、裏返した後の開口部23を閉状態に固定することを速やかに行うことができる。
【0013】
以上のように、実施例2〜5も固定手段の構成以外は実施例と同じであり、作用・効果も実施例1と同じである。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1のリバーシブル靴Aの斜視図、
【図2】図1のアッパーベロ4の平面図、
【図3】図1のカップインソール(中敷)の側面図、
【図4】図1の(4)−(4)線での断面図、
【図5】図1のつま先部分の断面図、
【図6】図1でアッパーベロと靴紐を取り除いた斜視図、
【図7】図6の状態から、裏返す工程を説明する(7)−(7)線での断面図、
【図8】図7の状態の斜視図、
【図9】図1のリバーシブル靴を完全に裏返した状態のリバーシブル靴A'の底部からの斜視図、
【図10】実施例1の実際に制作したリバーシブル靴の写真で、写真右側が表面外側が革のファオーマル風の靴Aであり、写真左側が表面デニム地のカジュアル風の靴A’の写真の図、
【図11】本発明の実施例2の鳩目タイプのリバーシブル靴Bの側面図、
【図12】本発明の実施例3の鳩目タイプのリバーシブル靴Cの側面図、
【図13】本発明の実施例4のファスナータイプのリバーシブル靴Dの平面図、
【図14】本発明の実施例5の二列のファスナータイプのリバーシブル靴Eの側面図、
【図15】図14の中間帯部26を分離した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
A,B,C,D,E…リバーシブル靴
11…本底部、11c,15c…縁部、12…平底部、13…ヒール部、
14…縫い糸、15…中底、16…中物、
2…アッパー側面部、21…下部アッパー側面部、2c…下端部
22…上部アッパー側面部、23…開口部、231,232…開口部の端部、
24…足入れ部分、25…つま先部分、26…中間帯部、
261,262…中間帯部の両端、
3…裏側、4…アッパーベロ、41a,41b,41c…切込部、
5,5a,5bループ、51…鳩目、
6…靴紐、61,62,63…ファスナー、611…把持部、
7…カップインソール(中敷)、71…内層、72…踵部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴側面部及び底面部が裏表反転使用可能な靴であって、足入れ部分からつま先部分近傍に亘って開口部を設け、開口部には裏表両面から開口部を閉状態に固定する固定手段を設け、該開口部を開いて裏返して裏面を外側にしても使用することが出来ることを特徴とするリバーシブル靴。
【請求項2】
前記閉状態に固定する固定手段は、前記開口部には着脱自在の適宜の切込部を有するアッパーベロー部を設けるとともに、該開口部の両側に複数のループ部又は鳩目を設け、該切込部とループ部に紐を掛け渡してなることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブル靴。
【請求項3】
前記閉状態に固定する固定手段は、ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブル靴。
【請求項4】
前記開口部は中間帯部を介在した二列であり、該二列の開口部を閉状態に固定する固定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリバーシブル靴。
【請求項1】
靴側面部及び底面部が裏表反転使用可能な靴であって、足入れ部分からつま先部分近傍に亘って開口部を設け、開口部には裏表両面から開口部を閉状態に固定する固定手段を設け、該開口部を開いて裏返して裏面を外側にしても使用することが出来ることを特徴とするリバーシブル靴。
【請求項2】
前記閉状態に固定する固定手段は、前記開口部には着脱自在の適宜の切込部を有するアッパーベロー部を設けるとともに、該開口部の両側に複数のループ部又は鳩目を設け、該切込部とループ部に紐を掛け渡してなることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブル靴。
【請求項3】
前記閉状態に固定する固定手段は、ファスナーであることを特徴とする請求項1に記載のリバーシブル靴。
【請求項4】
前記開口部は中間帯部を介在した二列であり、該二列の開口部を閉状態に固定する固定手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリバーシブル靴。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図10】
【公開番号】特開2009−11682(P2009−11682A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179051(P2007−179051)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(507193700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(507193700)
【Fターム(参考)】
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