説明

リールシートの可動フード取付構造及び釣り竿

【課題】 可動フードのリールシートからの抜け出しを阻止するとともに、可動フード等に対するメインテナンス作業を行う際の可動フードの取外し作業を容易に行うことができるリールシートの構造、及び、釣り竿を提供する。
【解決手段】 リールシート5に可動フード7を摺動移動自在に装着するとともに、可動フード7を摺動移動端から取付取外し可能に構成する。摺動移動端に可動フード7の抜出しを阻止する受止部材11を設け、受止部材11を摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、受止部材11の端縁部で裏面側にマイナスドライバの差込用の凹入溝5cを形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールを取り付けるリールシートの可動フード取付構造及び釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り竿のリールシートは、リール脚を挿入して固定するためのフードを竿先側と竿尻側とに設けるが、少なくとも一方を可動フードとしている。そして、可動フードの後端位置に可動フードをガイドするガイド溝からの抜出しを阻止する、受止部材を設けてあるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−070396号公報(公報段落番号〔0011〕、図2、4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動フード等が汚損された場合や損傷した場合には、可動フードをリールシートから取り外す必要があるが、上記した従来技術においては、受止部材の取外し構造が明確に記載されてはいないところから、取外し構造は不明である。
【0005】
本発明の目的は、可動フードがリールシートから抜け出すことを防止するとともに、可動フード等にメインテナンス作業を行う場合には容易に取外し可能に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、リールシートに可動フードを摺動移動自在に装着するとともに、前記可動フードを摺動移動端から取付取外し可能に構成し、前記摺動移動端に可動フードの抜出しを阻止する受止部材を設け、前記受止部材を前記摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、前記受止部材の端縁部で裏面側に取外治具の差込用の凹入溝を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
受止部材によって可動フードがリールシートから抜出すことを阻止でき、メインテナンス作業等を行う場合には、受止部材をリールシートの所定位置から取外し、可動フードを取り外す。メインテナンス作業等を終えた後には、可動フードを所定位置に装着し、受止部材を取り付けて可動フードの抜出しを阻止する。
この受止部材を取り外す際には、取外治具を差込用の凹入溝内に差込み、その取外治具を操作して受止部材を取り外すことができる。
【0008】
〔効果〕
上記のように、差込用の凹入溝は受止部材の裏面側に設けてあるので、受止部材の表面側からは視認することができず、装飾効果が高いものであるにもかかわらず、受止部材の端縁部に形成してあるので、取外治具を差し込む操作上での不都合は少ない。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴構成は、リールシートに可動フードを摺動移動自在に装着するとともに、前記可動フードを摺動移動端から取付取外し可能に構成し、前記摺動移動端に可動フードの抜出しを阻止する受止部材を設け、前記受止部材を前記摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、前記所定位置に、前記受止部材の端縁部に取外治具を作用させるための差込用の凹入溝を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0010】
〔作用効果〕
受止部材によって可動フードがリールシートから抜出すことを阻止でき、メインテナンス作業等を行う場合には、受止部材をリールシートの所定位置から取外し、可動フードを取り外す。メインテナンス作業等を終えた後には、可動フードを所定位置に装着し、受止部材を取り付けて可動フードの抜出しを阻止する。
この受止部材を取り外す際には、リールシートの所定位置に形成した差込用の凹入溝内に取外治具を差込み、その取外治具を操作して受止部材を取り外すことができる。
上記のように、差込用の凹入溝は受止部材の裏面側でリールシート側の所定位置に設けてあるので、受止部材の表面側からは視認することができず、装飾効果が高いものであるにもかかわらず、受止部材の端縁部に対向して形成してあるので、取外治具を差し込む操作上での不都合は少ない。
【0011】
請求項3に係る発明の特徴構成は、リールシートに可動フードを摺動移動自在に装着するとともに、前記可動フードを摺動移動端から取付取外し可能に構成し、前記摺動移動端に可動フードの抜出しを阻止する受止部材を設け、前記受止部材を前記摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、前記受止部材をその所定位置に取付けた状態で、前記受止部材の端縁部の裏面とその端縁部に対向する前記所定位置の縁部との夫々に、取外治具の差込用の凹入溝を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
〔作用効果〕
受止部材によって可動フードがリールシートから抜出すことを阻止でき、メインテナンス作業等を行う場合には、受止部材をリールシートの所定位置から取外し、可動フードを取り外す。メインテナンス作業等を終えた後には、可動フードを所定位置に装着し、受止部材を取り付けて可動フードの抜出しを阻止する。
この受止部材を取り外す際には、受止部材の裏面とリールシートの所定位置との間に形成した差込用の凹入溝内に取外治具を差込み、その取外治具を操作して受止部材を取り外すことができる。
上記のように、差込用の凹入溝は受止部材の裏面とリールシート側の所定位置とに設けてあるので、受止部材の表面側からは視認することができず、装飾効果が高いものであるにもかかわらず、受止部材の端縁部に対向して形成してあるので、取外治具を差し込む操作上での不都合は少ない。
しかも、差込用の凹入溝は、受止部材の裏面とリールシート側の所定位置とに設けてあるので、受止部材の裏面だけに設ける場合に比べて凹入溝を深くすることがなく、受止部材の凹入溝を形成するに必要な強度負担を軽減できる。
【0013】
請求項4に係る発明の特徴構成は、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の可動フード用の受止部材を備えたリールシートを筒状体に形成し、その筒状リールシートを元竿の所定位置に嵌着してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
リールシートを元竿に取り付ける前に、可動フードや受止部材等をリールシートに予め取付ける作業を行うことができるので、製作が能率よく行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
海釣り、磯釣り等に使用される釣り竿1について説明する。
釣り竿1は、元竿2、複数の中竿、穂先竿とを夫々糸ガイドを備えて振出式の竿に構成してあり、図1に示すように、元竿2の中間部にリール3を取り付けるリールシート5を外嵌装着してある。
【0016】
釣り竿1は、基本的には、ガラス繊維かカーボン繊維等の強化繊維にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグをマンドレルに巻回して筒状に形成した竿素材を焼成して形成されている。
【0017】
リールシート5の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、リールシート5は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)やABS樹脂等のエンジニアリング樹脂をインジェクションによって成形されている。リール脚を取り付ける表側には、固定フード(竿先側フード)6がリールシート本体と一体形成されており、固定フード6の竿尻側には金属製の可動フード(竿尻側フード)7が竿芯方向にスライド移動自在に装着されている。
【0018】
図8に示すように、リールシート5における前記表側より180°反対側の背面側には、内部空間に連通する開口9が形成されており、この開口9に後記するゴム製のカバー体8が接着固定されることになる。
開口9は、図8に示すように、略先拡がり状の長孔として形成されており、前端が固定フード6に対応する位置まで設けられており、後端は可動フード7が移動する範囲におけるその移動範囲後端近くにまで延出されている。
【0019】
開口9は、前端よりやや竿尻側の部分の横幅が最も広くなっており、この最も広い横幅部分でも円周方向の180°よりは小さな円周方向長さに抑えられている。つまり、図2及び図9に示すように、リールシート5を横側方から見た場合に開口9の縁部は、リールシート5の上下幅方向の中心となる竿軸芯Xを越えて下方までは入り込まない状態に形成されている。この開口9の形成によって、元竿2にリールシート5を嵌着するものであっても、開口分だけは軽量化を図ることができるとともに、開口9から直接元竿2に接触することができ元竿2を通して魚の当たりを捉える場合の感度向上を図ることができる。
【0020】
ゴム製のカバー体8について説明する。図8及び9に示すように、このゴム製カバー体8は、ネオプレン等を材料としてインジェクション成型したエラストマーであり、弾性に富んだものとなっており、その外形形状は開口9の開口縁9aに沿った形状に形成されている。このゴム製カバー体8の外周面には、「シボ」や「梨地」処理を行って、美観と滑り止め機能を持たせるようにしてある。ゴム製のカバー体8の側面視では、図9に示すように、左右幅方向の中心が高くなっている中高い形状をしているとともに、図10に示すように、竿軸芯Xに沿った方向視では縦断面が略円弧状を呈しており、前記横幅方向での横幅長さが最も広い部分が最も大きな半径による円弧状突出部aを呈している。この円弧状突出部aの位置は、両フード6,7に装着されたリール3におけるリール脚の中心位置bよりも固定フード6側に寄った位置に設定されている。
【0021】
ゴム製カバー体8の取付手順は、まず、リールシート5を元竿2の玉口側から外嵌する状態で嵌め込み、リールシート5を元竿2の所定位置において接着剤で固定する。このリールシート5を固定する為に、リールシート5と元竿2の外周面との間に接着剤を塗布しているが、リールシート5に前記した開口9が形成されているので、開口9がない場合に比べて接着剤が偏りなく広がりリールシート5の内周面に遍く塗布されやすい。
【0022】
リールシート5を接着固定した後、又は、同時にゴム製カバー体8を開口縁9aに嵌め込み接着固定すると、ゴム製カバー体8の周縁部もその開口縁9に接着されるとともにカバー体8の周縁部より内側に位置する内周面の一部もその元竿2の外周面に接着固定されることになる。
なお、ゴム製カバー体8を球殻状ではなく、円弧状突出部aを肉の厚いものに形成していれば、ゴム製カバー体8の内周面が元竿2の外周面に沿ったものにでき、元竿2の外周面に密着接着することになり、剥がれにくくなる。
【0023】
以上のように、リールシート5の背面側に開口9を形成してゴム製カバー体8をその開口縁9aに嵌め込む状態で接着固定しているので、開口9を形成しないでリールシート5の外周面に直接接着固定するよりも、ゴム製カバー体8の元竿2から半径方向外側への突出量を抑えることができるとともに、重量軽減にも効果がある。また、リールシート5に開口9を設けないでそのリールシート5の外周面に直接ゴム製カバー体8を被着した場合には、竿軸芯Xからゴム製カバー体8の突出部分までの半径方向長さが大径になり握りにくくなる。これに対して、本願発明においては、前記したように、リールシート5に開口9を形成して、この開口9内に落とし込む状態でゴム製カバー体8を嵌着しているので、竿軸芯Xからゴム製カバー体8の突出部分までの半径方向長さを短くすることができ、握りやすくなっている。
【0024】
上記した釣り竿1で深せ釣り等を行う場合には、図1及び図2に示すように、釣り竿1を立てて魚を引き込む場合に、リールシート5を握った人指し指と親指との基端部分がその円弧状突出部aに引っ掛かる状態で位置することになるので、釣り竿1が摺り落ちにくく引き込み操作が行い易い。しかも、円弧状突出部aは、最も横幅の広い部分でもあるので、握り込む手指に当接するゴム製カバー体8の部分を広くできるので、手指を圧迫することが少なく、長時間握って釣り操作をおこなっても、疲れが少ない。また、手指のゴム製カバー体8に接触する面積が、人指し指側程広くなっているので、滑りにくい。針掛かりした魚を引き込む際に握りが安定しているので、手返し操作等が行い易く、魚の取り込みも容易である。
【0025】
可動フード7の構成について説明する。リールシート5の可動フード7の取り付け台座5Aにおける両横側面にガイド溝5a,5aが設けてあり、ガイド溝5a,5aに可動フード7の両脚部7A,7Aを挿入して、可動フード7をスライド移動可能に構成してある。前記取り付け台座5Aの上面には可動フード7を係止固定するラック溝が形成してあり、可動フード7に設けられているロック片がラック溝に係合して、可動フード7の位置決めを行えるようになっている。
【0026】
固定フード6に対する化粧カバー10について説明する。図3〜5に示すように、化粧カバー10は、固定フード6のフード状外周面から竿尻側に位置するリール脚の取り付け台座5Aに亘って被着されるドーム部10Aと、そのドーム部10Aの竿尻側に延出されて取り付け台座5Aに嵌め込み装着される長方形状の後延部10Bとで構成されている。ドーム部10Aは、半円錐台状の前壁10aと、その前壁10aの両側端より後方に向けて延出された縦向きの側壁10bと、両側壁10bの後端部上方に連設してある上壁10cとで構成してある。側壁10bと上壁10cとは後方に向けて延出されており、前記した後延部10Bを構成してある。前壁10aと側壁10bと上壁10cとの中程に、リール脚挿入用の挿通孔10Cを貫通形成している。ここに、ドーム部10Aと後延部10Bとをカバー本体と称する。
【0027】
化粧カバー10は、薄板金属に型成形を施したものに樹脂メッキを施して形成されており、弾性変形させた状態で所定位置に装着するようになっている。装着固定状態は、接着剤も併用して行う。つまり、図4に示すように、固定フード6から取り付け台座5Aに掛けて弾性的に挟み込み載置する為の嵌め込み段差部6A、5Bを形成してあり、その段差部6A、5Bに化粧カバー10を取り付けるようにしてある。この段差部6Aは、前壁10aと側壁10bとに凹入して形成してあり、段差部5Bは取り付け台座5Aに凹入させて形成してある。従って、この段差部6Aに化粧カバー10を取り付けた状態で、化粧カバー10と固定フード6の境界面とが段差のない面一状態となるように構成してある。
【0028】
図4に示すように、化粧カバー10に設けた挿通孔10Cにおける後延部10B側の縁部には、その後延部10Bに向けて入り込む切り欠き部10dを形成してある。この切り欠き部10dを設けてない場合には、化粧カバー10を段差部6A,5Bに装着するために、その化粧カバー10自体に左右方向等への弾性変形力を加えると、挿通孔10Cの左右の縁部10e、10eに亀裂が発生する等の不都合があった。そこで、上記したように、切り欠き部10dを形成すると、化粧カバー10を左右に引き伸ばすように弾性変形させても、その切り欠き部10dが左右幅方向に広がることになり、弾性変形力が挿通孔10Cの左右の縁部10e、10eに集中するのを緩和することになる。
【0029】
化粧カバー10については、ステンレスやアルミニユウム等の金属材料のみで型成型する点を言及したが、樹脂のインジェクション成型で形成することでもよい。また、その樹脂成型品に金属コーティングを施したものであってもよい。さらには、樹脂成型品の挿通孔10Cの縁部だけに金属を嵌め込んで、装飾効果と強度向上を図ることにしてもよい。
【0030】
次に、可動フード7の抜け止め機能を有する後受止部材(受止部材の一例)11について説明する。図3〜図7に示すように、後受止部材11は、樹脂のインジェクション成型品であり、後下がり傾斜面を有する上壁11Aと左右の縦向き側壁11Bとからなる。図5に示すように、内面には、左右方向に長い二つの嵌合用凹入部11a,11aが前後に平行する状態で形成されている。
一方、リールシート5における取り付け台座5Aの後端位置には、後受止部材11を嵌合固定する装着台座5Cが凹入形成してあり、この装着台座5Cには、前後平行に横長突起5b、5bが設けてある。
【0031】
このような構成によって、装着台座5Cに後受止部材11を載置し、後受止部材11の上壁11Aを押し込むと、装着台座5Cに形成した横長突起5b、5bが後受止部材11の嵌合用凹入部11a、11a内に嵌入して、後受止部材11の弾性変形力によって後受止部材11が装着台座5Cに装着固定される。固定は、カシメ処理を施して行う。後受止部材11の周縁には内向きの傾斜面となっており、その内向き傾斜面が装着台座5Cの周面に形成された傾斜面5cに接触する構成となっている。
【0032】
図7に示すように、後受止部材11の上壁11Aの後端縁部で裏面側に、前向きに凹入する取外具用の挿入凹入溝11bが設けてある。この挿入凹入溝11bは後端縁部の裏面側に上向きに凹入する状態で形成してあるので、上壁11Aの表面には現れてはいない。これに対して、後受止部材11を装着する装着台座5Cには、前記挿入凹入溝11bに対応した下向きに凹入する凹入溝5cが形成してある。この挿入凹入溝11bと装着台座側の凹入溝5cとで挿入孔を形成することによって、リールシート5の装着台座5Cに嵌着されている後受止部材11に対して、挿入孔に取外具としてのマイナスドライバ等を差し込み軽く持ち上げ操作を行うだけで、後受止部材11を取り外すことができる。
【0033】
次に、元竿2のリールシート5の装着部より竿尻側の肘当て部12とリールシート5についての構成について説明する。図1及び図2に示すように、ゴム製カバー体8と肘当て部12との竿軸芯Xから半径方向への突出長さを異なる長さに設定してある。つまり、図2に示すように、竿軸芯Xからゴム製カバー体8の円弧状突出部aまでの突出長Pよりも、竿軸芯Xから肘当て部12に最大径部までの突出長Qを長くしてある。
【0034】
このような構成を採っているので、図1に示すように、釣り竿1を立てて操作する場合や、水平に寝かせた状態で当たりを待つ間は、肘当て部12を肘に当接させて竿を操作することになる。このような操作を行う場合に、前記したような突出長の関係になっているので、肘当て部12に肘を当てた状態でリールシート5部分を握った手首が安定し、竿の操作が容易になる。前記した手返し操作もより容易になる。
【0035】
図1及び図2に示すように、肘当て部12は、全周に亘って特殊な塗装が施されている。つまり、この特殊塗装は、2液型特殊ウレタン樹脂塗料を施したもので、この特殊塗装を施した肘当て部12は、通常の塗料が有する「素材保護」「美粧」という基本的性能を発揮するとともに、その肘当て部12に触れた場合の感触が落ち着いた「柔らか味」「温かさ」に溢れたものになる。つまり、このような塗料を塗布することによって、肘当て部12に僅かな弾性変形力を付与することができ、その肘当て部12にあてた肘に対する滑り止め効果を持たせることができる。しかも、リールシート5の背面部にはゴム製カバー体8を設けてあるところから、握りの感触を向上させており、両者の協働によって、竿を寝かせて当たりを待つ場合だけでなく、竿を立てて魚を引き抜く操作を行う場合等においても、操作を容易に行うことのできる釣り竿1とできたのである。
【0036】
リールシート5の横幅Dとの関係について説明する。図9、図10、及び図11に示すように、化粧カバー10を固定フード6に装着した状態で、化粧カバー10の横幅がリールシート5の横幅Dより突出しない寸法に形成してある。しかも、段差なく、化粧カバー10の横側面とリールシート5の横側面とが繋がる状態に形成してある。これによって、図1に示すように、リール脚部を握った場合に、化粧カバー10に巻回される人指し指等が圧迫を受けることが少ない。
【0037】
図9及び図12に示すように、可動フード7をリールシート5の取り付け台座5Aに装着した状態で、可動フード7の横幅Lがリールシート5の横幅Dより小さな寸法に形成してある。これによって、図1に示すように、リール脚部を握った場合に、可動フード7に巻回される薬指や小指等が圧迫を受けることが少ない。
【0038】
〔別実施の形態〕
(1) 取外治具用の挿入凹入溝11bとして受止部材11に形成する構成のものを示したが、ここでは、リールシート5の所定位置に形成するものであってもよい。リールシート5の所定位置の装着台座5Cの端縁部に凹入溝5cを設けてもよい。
(2) 取外治具用の挿入凹入溝11bとして受止部材11に形成する構成のものと、リールシート5の装着台座5Cの所定位置に形成するものを示したが、受止部材11と装着台座5Cとの両方に凹入溝を形成し、両凹入溝で取外治具を挿入する孔を形成してもよい。
(3) リールシート5としては、元竿2と別体に構成するものを示したが、元竿2の所定位置に直接形成するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】竿を立てて、魚を取り込む動作状態を示す側面図
【図2】元竿のリールシートと肘当て部を示す側面図
【図3】リールシートのリール脚取付部を示す斜視図
【図4】化粧カバーと可動フードと後受止部材とを取り外した状態を示す斜視図
【図5】化粧カバーと可動フードと後受止部材との取付前の状態を示す斜視図
【図6】後受止部材の装着前状態を示す平面図
【図7】後受止部材を取り外す状態を示す縦断側面図
【図8】リールシートの開口と、その開口を覆うカバー体を示す斜視図
【図9】元竿にリールシートを取り付けた状態を示す縦断側面図
【図10】図9におけるA―A線断面図
【図11】図9におけるB―B線断面図
【図12】図9におけるC―C線断面図
【図13】図9におけるD―D線断面図
【符号の説明】
【0040】
5 リールシート
5c 凹入溝
7 可動フード
11 受止部材
11b 凹入溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールシートに可動フードを摺動移動自在に装着するとともに、前記可動フードを摺動移動端から取付取外し可能に構成し、前記摺動移動端に可動フードの抜出しを阻止する受止部材を設け、前記受止部材を前記摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、前記受止部材の端縁部で裏面側に取外治具の差込用の凹入溝を形成してあるリールシートの可動フード取付構造。
【請求項2】
リールシートに可動フードを摺動移動自在に装着するとともに、前記可動フードを摺動移動端から取付取外し可能に構成し、前記摺動移動端に可動フードの抜出しを阻止する受止部材を設け、前記受止部材を前記摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、前記所定位置に、前記受止部材の端縁部に取外治具を作用させるための差込用の凹入溝を形成してあるリールシートの可動フード取付構造。
【請求項3】
リールシートに可動フードを摺動移動自在に装着するとともに、前記可動フードを摺動移動端から取付取外し可能に構成し、前記摺動移動端に可動フードの抜出しを阻止する受止部材を設け、前記受止部材を前記摺動移動端の所定位置に着脱自在に装着し、前記受止部材をその所定位置に取付けた状態で、前記受止部材の端縁部の裏面とその端縁部に対向する前記所定位置の縁部との夫々に、取外治具の差込用の凹入溝を形成してあるリールシートの可動フード取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の可動フード用の受止部材を備えたリールシートを筒状体に形成し、その筒状リールシートを元竿の所定位置に嵌着してある釣り竿。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−25685(P2006−25685A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208726(P2004−208726)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】