説明

リール装着部を有する釣竿

【課題】装着したリールの緩み難いリール装着部を有する釣竿を提供する。
【解決手段】移動フード16を有する1対のフードを設けたリール装着部を有する釣竿であって、前記移動フードのリール脚挿入穴16Aとは径方向反対側であって、移動フード内周とリール装着部の本体部12との間に、移動フード並びに前記本体部と比較して柔軟であって、リール脚を前記リール脚挿入穴に押し込んだ際の力を作用させれば移動フード内周と本体部外周との間で圧縮される柔軟さを有する柔軟性部材22を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リールを装着固定させるリール装着部を有する釣竿に関する。
【背景技術】
【0002】
前後に1対のフードを設けたリール装着部を有する釣竿では、夫々のフードのリール脚挿入穴にリール脚を挿入し、ナット部材を回転させることで移動フードをリール脚に押し付けてリールを固定するものが一般的である。その一例が下記2つの特許文献に開示されている。
【特許文献1】特開平7−327555号公報
【特許文献2】実開平6−41473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、一旦、リールを固定しても、釣り操作によってリールに種々の方向の力が作用すれば、やがて移動フードとナット部材が僅かずつ緩んでリールがガタつき始める。
依って解決しようとする課題は、装着したリールの緩み難いリール装着部を有する釣竿の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明は、移動フードを有する1対のフードを設けたリール装着部を有する釣竿であって、前記移動フードのリール脚挿入穴とは径方向反対側であって、移動フード内周とリール装着部の本体部との間に、移動フード並びに前記本体部と比較して柔軟であって、リール脚を前記リール脚挿入穴に押し込んだ際の力を作用させれば移動フード内周と本体部外周との間で圧縮される柔軟さを有する柔軟性部材を配設していることを特徴とするリール装着部を有する釣竿を提供する。
【0005】
第2の発明は、第1の発明の前記リール装着部の本体部には、リール脚載置面側とは径方向反対側に長手方向に沿った案内溝を設けており、前記移動フードのリール脚挿入穴とは径方向反対側の対応位置には、前記案内溝に係合する凸部を設けており、前記柔軟性部材は前記案内溝を跨ぐ位置に設けられているように構成する。
【発明の効果】
【0006】
移動フードはリール装着部の本体部に対して径方向に隙間を有しており、このため前後移動できる。従って、リール脚を移動フードのリール脚挿入穴により深く挿入すればするほど、該移動フードを前記隙間の範囲内でリール脚載置面側(リール脚挿入穴側)に引き寄せるように作用する。従って、第1の発明において、移動フードや本体部よりも柔軟な柔軟性部材をリール脚挿入穴とは径方向反対側に配設していると、該柔軟性部材がその厚さ方向に押し潰されつつ移動フード内面と本体部の外周面との間で押圧され、移動フードの摩擦力を大きくして該移動フードの固定の信頼性を向上させ、引いてはリールが緩み難くなる。
【0007】
第2の発明では、本体部に設けられている移動フード案内用の溝を跨いで柔軟性部材が設けられているため、リール脚挿入によって押圧された柔軟性部材はこの案内溝に係合し、この案内溝と移動フードの凸部との間の僅かな隙間に起因する移動フードの僅かな回転をも防止でき、移動フードの固定の信頼性を更に向上させ、引いてはリールが更に緩み難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明につき図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るリール装着部を有する釣竿の要部側面図であり、図2は図1の移動フードとナット部材の付近の拡大縦断面図、図3は図2の矢視線C−Cによる横断面図である。繊維強化樹脂材による竿杆10を内部に挿通させた合成樹脂製のリール装着部本体部12には、リール脚20を載置させるリール脚載置部12Sを形成しており、その前後方向の一側にリール脚挿入穴14Aを有する固定フード14を形成配設している。前後方向他側にはリール脚挿入穴16Aを有する移動フード16を配設している。部品16Bはリール脚を傷付けないための合成樹脂材による内挿部品である。
【0009】
移動フードの前記他側方向隣接部にはナット部材18が配設されている。一方、本体部12のナット部材側外周には雄ねじ部12Nが形成されており、ナット部材の内周の雌ねじ部18Nと螺合している。ナット部材の移動フード側端部には環状の係合溝18Kが形成されており、移動フードには(環状の)係合凸部16Kが形成されていて、互いに相対回転可能に連結されている。本体部の、前記リール脚載置部12Sの径方向反対側には移動フード16の前後移動の範囲内に案内溝12Mが形成されており、移動フード16の凸部16Tが係合している。これらの係合構造によって、ナット部材が回転すれば、移動フードが前後に移動する。
【0010】
この例では、上記凸部16Tの前記他側であって、移動フードの内部に凹部16Mを形成しており、この中に、例えば、合成ゴム、発泡ゴムのような部材であって、移動フード16や本体部12よりも柔軟な部材による柔軟性部材22の厚さ方向の一部を入れて接着固定している。図3に示すように、この柔軟性部材は案内溝12Mを中心とし、角度範囲が20度以下又は30度以下という狭い幅であり、その厚さは、リール脚20をリール脚挿入穴16Aに挿入した際、柔軟性部材22の内面が本体部12の外周面に押圧当接する厚さである。リール脚挿入による移動フードの引き寄せ力によって本体部の表面を押圧できればよいのであり、この程度の幅で構成できる。また、移動フードの前後移動を円滑にさせるために、柔軟性部材22の大きさは小さ目が良く、少なくとも、リール脚載置部12Sの径方向反対側以外には設けない方がよい。
【0011】
更には、この例では、柔軟性部材はその幅方向の中央部が前記案内溝12Mに係合できる。即ち、移動フード16がその凸部16Tと案内溝12Mとの円周方向の隙間によって僅かに相対回転し得るが、リール固定時には、押圧された柔軟性部材22がこの案内溝に引っ掛かる。従って、この僅かな回転を防止でき、引いては移動フードの緩みを防止できる。
【0012】
本発明の別形態例としては、前記柔軟性部材22が前記案内溝12Mと円周方向にずれていて、柔軟性部材が案内溝に係合できない配置関係でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明はリール装着部を有する釣竿に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明に係る釣竿の要部側面図である。
【図2】図2は図1の移動フードとナット部材の付近の拡大縦断面図である。
【図3】図3は図2の矢視線C−Cによる横断面図である。
【符号の説明】
【0015】
12 リール装着部の本体部
12M 案内溝
12S リール脚載置面
16 移動フード
16A リール脚挿入穴
18 ナット部材
22 柔軟性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動フードを有する1対のフードを設けたリール装着部を有する釣竿であって、
前記移動フードのリール脚挿入穴とは径方向反対側であって、移動フード内周とリール装着部の本体部との間に、移動フード並びに前記本体部と比較して柔軟であって、リール脚を前記リール脚挿入穴に押し込んだ際の力を作用させれば移動フード内周と本体部外周との間で圧縮される柔軟さを有する柔軟性部材を配設していることを特徴とするリール装着部を有する釣竿。
【請求項2】
前記リール装着部の本体部には、リール脚載置面側とは径方向反対側に長手方向に沿った案内溝を設けており、前記移動フードのリール脚挿入穴とは径方向反対側の対応位置には、前記案内溝に係合する凸部を設けており、前記柔軟性部材は前記案内溝を跨ぐ位置に設けられている請求項1記載のリール装着部を有する釣竿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−211980(P2008−211980A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49515(P2007−49515)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】