説明

レジストインキ用バインダー樹脂およびそれを用いたレジストインキ

【課題】高顔料濃度レジストインキや微細顔料使用レジストインキの現像性を改善することができるレジストインキ用バインダー樹脂を提供する。
【解決手段】側鎖末端にカルボキシル基を有する特定構造の共重合体を主鎖構造として有することを特徴とするレジストインキ用バインダー樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高顔料濃度レジストインキや微細顔料使用レジストインキの現像性を改善することができるレジストインキ用バインダー樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層とを有している。
【0003】
このような着色層の形成方法としては、顔料を含有するレジストインキを用いたフォトリソグラフィー法が一般的に用いられている。
しかしながら、このようなフォトリソグラフィー法に用いられるレジストインキについては、着色層の薄膜化のための顔料濃度の向上や、高輝度・高コントラスト化のための顔料の微細化が求められている。このような顔料濃度向上や顔料の微細化は、インキ成分中の顔料分散剤の増加を招き、結果として、現像性が低下するという問題があった。
また、その結果、強力な現像液の使用や現像時間の増加を招き、形成した着色層に膜荒れが生じるといった問題があった。
さらに、現像液の変更等、従来とは異なる条件や設備が必要となるといった問題があった。
【0004】
このような現像性低下の問題を解決するために、特許文献1では、レジストインキに含まれるバインダー樹脂の酸価を制御することにより、現像性を向上させる方法が開示されている。
しかしながら、このような方法を用いた場合であっても、顔料濃度が向上した場合や微細顔料を用いた場合には現像性が不十分となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−276878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高顔料濃度レジストインキや微細顔料使用レジストインキの現像性を改善することができるレジストインキ用バインダー樹脂を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有する共重合体を主鎖構造として有することを特徴とするレジストインキ用バインダー樹脂を提供する。
【0008】
【化1】

【0009】
(式(I)中、Rは、水素、またはメチル基であり、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、RまたはRと、RまたはRとが環を形成していても良いものである。
また、Xは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【0010】
本発明によれば、上記共重合体が上記構成単位(1)を有することにより、アルカリ現像液への溶解性を著しく向上させることができるため、上記レジストインキ用バインダー樹脂を現像性に優れたものとすることができる。
したがって、このようなレジストインキ用バインダー樹脂を用いた場合には、高顔料濃度のレジストインキや微細顔料を使用するレジストインキを現像性に優れたものとすることができる。
【0011】
本発明においては、上記構成単位(1)が下記一般式(a)、(b)および(c)で表される構造であることが好ましい。現像性に特に優れたものとすることができるからである。
【0012】
【化2】

【0013】
(式(a)、(b)および(c)中、R11は、水素、またはメチル基であり、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R12またはR13と、R14またはR15とが環を形成していても良いものである。
また、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそれぞれ独立に水素またはメチル基である。aは2〜5の整数、bおよびcは0または1〜10の整数(bとcが同時に0となることはない。)、dは4〜6の整数、eは1〜10の整数である。)
【0014】
本発明においては、上記構成単位(1)が下記一般式(II)で表される化合物を用いて形成されるものであることが好ましい。上記一般式(II)で表される化合物を用いることにより、上記共重合体を所望の構成単位を所望量有するものとすることができるからである。
【0015】
【化3】

【0016】
(式(II)中、R31は、水素、またはメチル基であり、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R32またはR33と、R34またはR35とが環を形成していても良いものである。
また、Yは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【0017】
本発明においては、上記構成単位(1)が、下記一般式(III)で表される化合物の重合後、酸無水物を反応させることにより形成されるものであることが好ましい。上記共重合体を所望の構成単位を所望量有するものとすることが容易だからである。
【0018】
【化4】

【0019】
(式(III)中、R41は、水素、またはメチル基であり、Zは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【0020】
本発明においては、上記共重合体に含まれるカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物を付加させることにより、不飽和二重結合が導入されたものであることが好ましい。上記レジストインキ用バインダー樹脂を硬化性および密着性等に優れたものとすることができるからである。
【0021】
本発明は、上述のレジストインキ用バインダー樹脂を含むバインダー樹脂、顔料、顔料分散剤、光硬化性多官能モノマー、光重合開始剤および溶剤を含むことを特徴とするレジストインキを提供する。
【0022】
本発明によれば、上述のレジストインキ用バインダー樹脂を含むことにより、顔料濃度が高い場合や微細顔料を用いる場合であっても、現像性に優れたものとすることができる。また、現像性に優れる結果、強力な現像液が不要となり現像時間も短縮できることから、カラーフィルタの着色層等を形成した場合には膜荒れの少ない着色層を形成することができ、さらに、プロセス適性に優れたものとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、高顔料濃度レジストインキや微細顔料使用レジストインキの現像性を改善することができるレジストインキ用バインダー樹脂を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、レジストインキ用バインダー樹脂およびそれを用いたレジストインキに関するものである。
以下、本発明のレジストインキ用バインダー樹脂およびレジストインキについて説明する。
【0025】
A.レジストインキ用バインダー樹脂
まず、本発明のレジストインキ用バインダー樹脂について説明する。本発明のレジストインキ用バインダー樹脂は、下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有する共重合体を主鎖構造として有することを特徴とするものである。
【0026】
【化5】

【0027】
(式(I)中、Rは、水素、またはメチル基であり、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、RまたはRと、RまたはRとが環を形成していても良いものである。
また、Xは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【0028】
本発明によれば、上記共重合体が上記構成単位(1)を有することにより、アルカリ現像液への溶解性を著しく向上させることができるため、上記レジストインキ用バインダー樹脂を現像性に優れたものとすることができる。
したがって、このようなレジストインキ用バインダー樹脂を用いた場合には、高顔料濃度のレジストインキや微細顔料を使用するレジストインキを現像性に優れたものとすることができる。
【0029】
また、現像性を向上させることができる結果、高顔料濃度等の場合であっても強力な現像液の不使用および現像時間の短縮が可能となるため、顔料濃度が低いまたは微細顔料を含まない従来のレジストインキと同様の条件で現像できるものとすることができる。
その結果、カラーフィルタの着色層等を形成した場合には、膜荒れの少ない着色層を形成することができる。また、従来のレジストインキと同様の条件を用いるものとすることができ、大幅なプロセス変更が不要であることから、従来の設備、条件等を使用できるプロセス適性に優れたものとすることができる。
【0030】
さらに、少量の添加で現像性を著しく向上させることができることから、上記レジストインキ用バインダー樹脂を添加して現像性を向上させた場合でも、レジストインキ中の他の成分の含有比率、例えば、光重合開始剤や光硬化性多官能モノマー等の含有比率が低下することはない。
このため、高顔料濃度のレジストインキ等に用いて現像性を向上させた場合でも密着性や硬化度等が低下することがないものとすることができる。また、露光等の条件についても従来のレジストインキと同様の条件とすることができ、プロセス適性に優れたものとすることができる。
【0031】
ここで、上記レジストインキ用バインダー樹脂が、上記構成単位(1)を有することにより、上述したような効果を奏する理由については、以下のように推察される。
【0032】
すなわち、側鎖が上述した長さであることにより、現像に用いるアルカリ水溶液に対して親和性を有するカルボキシル基を主鎖から離れて位置するものとすることができる。このため、現像時にアルカリ水溶液中に溶解し易いものとすることができ、現像性に優れるものとすることができるのである。
【0033】
本発明のレジストインキ用バインダー樹脂は、上記共重合体を主鎖構造として有するものである。
以下、本発明のレジストインキ用バインダー樹脂について詳細に説明する。
【0034】
1.共重合体
本発明に用いられる共重合体は、少なくとも上記一般式(I)で表される構成単位(1)を有するものである。
【0035】
(1)構成単位(1)
上記一般式(I)中における置換基R〜Rは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、RまたはRと、RまたはRとが環を形成していても良いものである。
【0036】
ここで、置換基R〜Rが環を形成しない場合、置換基R〜Rは、二重結合、三重結合等を有する不飽和炭化水素基であっても良く、飽和炭化水素基であっても良い。
また、置換基R〜Rは、現像性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものでは無いが、水素または炭素数1〜5の炭化水素基であることが好ましく、なかでも、水素または炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。側鎖を柔軟性に優れるものとすることができることにより、現像性に優れたものとすることができるからである。
【0037】
本発明における置換基R〜Rが環を形成、すなわち、RまたはRと、RまたはRとが環を形成する場合、置換基R〜Rが形成する環の数は1つであっても良く2つであっても良いが、通常、1つである。
本発明において置換基R〜Rが形成する環、例えば、置換基RとRとが形成する環は、不飽和炭化水素基であっても良く飽和炭化水素基であっても良い。
また、形成される環としては、現像性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものでは無いが、炭素数4〜10の環状炭化水素であることが好ましく、なかでも、炭素数5〜6の環状炭化水素であることが好ましい。側鎖を柔軟性に優れるものとすることができることにより、現像性に優れたものとすることができるからである。
【0038】
上記一般式(I)中における2価の有機基Xは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内のものである。
【0039】
本発明に用いられるアルキレン基としては、本発明のレジストインキ用バインダー樹脂を現像性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、−C2n−で表されるものや、−C2n−に含まれる水素原子が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されたものを挙げることができる。なお、nは1以上の整数である。
【0040】
本発明において、上記有機基Xは、アルキレン基を少なくとも有する有機基であれば良く、アルキレン基以外に、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−O−C(=O)−)、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合、イミド結合、カーボネート結合、スルホニル結合を含むものとすることができる。
【0041】
本発明における上記有機基Xの鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数は、2〜85の範囲内であるが、なかでも、2〜36の範囲内であることが好ましく、特に、2〜15の範囲内であることが好ましい。上記鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が、上述の範囲内であることにより、現像性に特に優れるものとすることができるからである。
なお、鎖長方向の炭素原子および酸素原子とは、有機基Xの両端を結ぶ鎖を構成する炭素原子および酸素原子をいうものであり、例えば、有機基Xが下記一般式(i)、(ii)および(iii)の場合における上記合計数は、それぞれ、3、1、9である。
【0042】
【化6】

【0043】
このような本発明における構成単位(1)としては、具体的には、下記一般式(a)、(b)、(c)等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、下記一般式(b)または(c)であることが好ましい。溶剤への溶解性が良く、レジストインキとする際の再溶解性が良く、使い勝手が良いためである。
【0044】
【化7】

【0045】
(式(a)、(b)および(c)中、R11は、水素、またはメチル基であり、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R12またはR13と、R14またはR15とが環を形成していても良いものである。
また、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそれぞれ独立に水素またはメチル基である。aは2〜5の整数、bおよびcは0または1〜10の整数(bとcが同時に0となることはない。)、dは4〜6の整数、eは1〜10の整数である。)
【0046】
上記一般式(a)中におけるaは2〜5の整数であるが、なかでも、2〜4の整数であることが好ましい。aが上記範囲であることにより、現像性に優れたものとすることができるからである。
【0047】
上記一般式(b)中におけるbおよびcは0または1〜10の整数(bとcが同時に0となることはない。)であるが、なかでも、bおよびcがそれぞれ0〜6の整数であることが好ましい。bおよびcが上記範囲内であることにより、現像性に優れたものとすることができるからである。
上記一般式(c)中におけるdは4〜6の整数であるが、なかでも、4〜5の整数であることが好ましい。また、上記一般式(c)中におけるeは1〜10の整数であるが、なかでも、1〜5の整数であることが好ましい。dおよびeが上記範囲内であることにより、現像性に優れたものとすることができるからである。
【0048】
本発明における上記置換基R12〜R15は上記置換基R〜Rと同様のものである。
また、上記置換基R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそれぞれ独立に水素またはメチル基であるが、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28のいずれか1つがメチル基であることが好ましい。原料の入手しやすさの点で好ましいからである。
【0049】
本発明における構成単位(1)の構造は単一のものからなるものであっても良く、2種類以上を含むものであっても良い。
【0050】
本発明における構成単位(1)の上記共重合体中の配置としては、優れた現像性を発揮するものであれば特に限定されるものではなく、上記共重合体中にランダムに配置されるものであっても良く、連続して配置されブロック共重合体を構成するものであっても良い。
【0051】
本発明に用いられる共重合体に含まれる構成単位(1)の含有率としては、優れた現像性を発揮できるものであれば良いが、具体的には、上記共重合体の構成単位の全ユニット数に占める上記構成単位(1)のユニット数の比率として5%〜70%の範囲内であることが好ましく、なかでも、10%〜60%の範囲内であることが好ましく、特に、10%〜50%の範囲内であることが好ましく、なかでも特に、20%〜50%の範囲内であることが好ましい。構成単位(1)の含有率が上記範囲内であることにより、現像性とその他の性能とのバランスに特に優れたものとすることができるからである。
【0052】
(2)共重合体
本発明に用いられる共重合体は、上記構成単位(1)を少なくとも有するものであれば特に限定されるものではなく、他の構成単位を有するものであっても良い。
【0053】
このような他の構成単位としては、上記構成単位(1)と結合し共重合体を構成することができるものであれば良く、例えば、下記一般式(IV)で表される構成単位(2)を挙げることができる。また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ビニルピロリドン等からなるものを挙げることができる。
【0054】
【化8】

【0055】
(式(IV)中のR51は、水素またはメチル基である。)
【0056】
(3)共重合体の製造方法
本発明における共重合体の製造方法としては、少なくとも上記構成単位(1)を構成単位として有する共重合体を製造することができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
具体的には、下記一般式(II)で表される化合物を共重合する方法や、下記一般式(III)で表される化合物を共重合されてなるものに、酸無水物、例えば、下記一般式(V)で表される化合物を付加させる方法を挙げることができる。
【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
【化11】

【0060】
(式(II)、(III)および(V)中、R31およびR41は、水素、またはメチル基であり、R32、R33、R34およびR35、ならびに、R42、R43、R44およびR45は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R32またはR33と、R34またはR35とが環を形成していても良く、R42またはR43と、R44またはR45とが環を形成していても良いものである。
また、YおよびZは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【0061】
本発明においては、なかでも、上記一般式(II)で表される化合物を共重合する方法、すなわち、上記構成単位(1)が上記一般式(II)で表されるモノマーを用いて形成されるものであることが好ましい。上記構成単位(1)の形成が上記方法によるものであることにより、上記共重合体を所望の構成単位を所望量有するものとすることができるからである。
【0062】
本発明において、上記一般式(II)および(III)で表される化合物としては、具体的には、上記構成単位(1)が上記一般式(a)〜(c)で表される構造である場合には、下記一般式(p)〜(r)および(s)〜(u)で表されるものとなる。
【0063】
【化12】

【0064】
【化13】

【0065】
(式(p)〜(r)および(s)〜(u)中、R61およびR81は、水素、またはメチル基であり、R62、R63、R64およびR65は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R62またはR63と、R64またはR65とが環を形成していても良いものである。
また、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77およびR78ならびにR91、R92、R93、R94、R95、R96、R97およびR98それぞれ独立に水素またはメチル基である。fおよびoは2〜5の整数、gおよびhならびにpおよびqは0または1〜10の整数(gとh、pとqが同時に0となることはない。)、iおよびrは4〜6の整数、jおよびsは1〜10の整数である。)
【0066】
なお、上記置換基R32〜R35、R42〜R45ならびに上記有機基YおよびZは上記「(1)構成単位(1)」の項で説明した置換基R〜Rおよび有機基Xと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、上記置換基R62〜R64、R71〜R78およびR91〜R98、ならびに、fおよびo、gおよびp、hおよびq、iおよびr、jおよびsは、それぞれ、上記「(1)構成単位(1)」の項で説明した置換基R12〜R15、R21〜R28、a、b、c、d、およびeと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0067】
2.レジストインキ用バインダー樹脂
本発明のレジストインキ用バインダー樹脂は、上記共重合体を主鎖構造として含むものである。
本発明においては、なかでも、上記バインダー樹脂用共重合体が、上記共重合体に含まれるカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物を付加させることにより、不飽和二重結合が導入されたもの、すなわち、不飽和二重結合が導入された構成単位を有するエポキシ化合物付加共重合体であることが好ましい。上記レジストインキ用バインダー樹脂を硬化性および密着性等に優れたものとすることができるからである。
なお、上記共重合体に含まれるカルボキシル基としては、具体的には、上記構成単位(1)および構成単位(2)等に含まれるカルボキシル基を挙げることができる。
【0068】
このようなエポキシ基含有化合物としては、上記カルボキシル基と結合することができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサンを挙げることができる。
なお、これらのエポキシ基含有化合物は単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。
【0069】
本発明のレジストインキ用バインダー樹脂に含まれる不飽和二重結合が導入された構成単位の含有量としては、優れた現像性を発揮できるものであれば良いが、具体的には、主鎖構造を構成する上記共重合体の構成単位の全ユニット数に占める上記不飽和二重結合が導入された構成単位のユニット数の比率として0%〜60%の範囲内であることが好ましく、なかでも、1%〜50%の範囲内であることが好ましく、特に、5%〜40%の範囲内であることが好ましい。不飽和二重結合が導入された構成単位の含有率が上記範囲内であることにより、上記レジストインキ用バインダー樹脂を硬化性および密着性等に優れたものとすることができるからである。
【0070】
本発明のレジストインキ用バインダー樹脂の重量平均分子量としては、優れた現像性を発揮できるものであれば良いが、具体的には3000〜50000の範囲内であることが好ましく、なかでも、5000〜20000の範囲内であることが好ましく、特に、5000〜15000の範囲内であることが好ましい。上記重量平均分子量が上述した範囲であることにより、密着性に優れ、かつ、現像性に優れたものとすることができるからである。具体的には、上記重量平均分子量が上記範囲より小さいと、アルカリ水溶液への溶解性が大きく、本発明のレジストインキ用バインダー樹脂を用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、露光箇所の着色層も溶解してしまい、上記着色層の密着性が低いものとなってしまう可能性があるからである。また、上記範囲より大きいと、アルカリ水溶液への溶解性が低くなり、現像に要する時間が長いものとなる可能性があるからである。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
【0071】
本発明のレジストインキ用バインダー樹脂の酸価としては、優れた現像性を発揮するものであれば良いが、具体的には、50mgKOH/g〜150mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、なかでも、55mgKOH/g〜130mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、特に、60mgKOH/g〜110mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。上記酸価が、上述した範囲内であることにより、密着性に優れた着色層とすることができ、かつ、現像性に優れたものとすることができるからである。具体的には、上記酸価が上記範囲より大きいと、アルカリ水溶液への溶解性が高すぎるため、本発明のレジストインキ用バインダー樹脂を用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、露光箇所の着色層も溶解してしまい、上記着色層の密着性が低いものとなってしまう可能性があるからである。また上記範囲より小さいと、アルカリ水溶液への溶解性が低いものとなり、現像に要する時間が長いものとなる可能性があるからである。
なお、上記酸価はJIS K 0070に従って測定することができる。
【0072】
3.用途
本発明のレジストインキ用バインダー樹脂の用途としては、カラーフィルタの着色層形成に用いられるレジストインキに用いられ、なかでも、高顔料濃度のレジストインキおよび微細顔料を使用するレジストインキに好適に用いられる。
【0073】
B.レジストインキ
次に、本発明のレジストインキについて説明する。
本発明のレジストインキは、上述したレジストインキ用バインダー樹脂を含むバインダー樹脂、顔料、顔料分散剤、光硬化性多官能モノマー、光重合開始剤および溶剤を含むことを特徴とするものである。
【0074】
本発明によれば、上述のレジストインキ用バインダー樹脂を含むことにより、顔料濃度が高い場合や微細顔料を用いる場合であっても、現像性に優れたものとすることができる。また、現像性に優れる結果、強力な現像液が不要となり現像時間も短縮できることから、カラーフィルタの着色層等を形成した場合には膜荒れの少ない着色層を形成することができる。
また、従来のレジストインキと同様の条件を用いるものとすることができ、大幅なプロセス変更が不要であることから、従来の設備、条件等を使用できるプロセス適性に優れたものとすることができる。
さらに、少量の添加で現像性を著しく向上させることができることから、上記レジストインキ用バインダー樹脂を添加して現像性を向上させた場合でも、レジストインキ中の他の成分の含有比率、例えば、光重合開始剤や光硬化性多官能モノマー等の含有比率が低下することはない。
このため、高顔料濃度のレジストインキ等に用いて現像性を向上させた場合でも密着性や硬化度等が低下することがないものとすることができる。また、露光等の条件についても従来のレジストインキと同様の条件とすることができ、プロセス適性に優れたものとすることができる。また、上記レジストインキ用バインダー樹脂は、現像性に優れるものの顔料分散性がやや低い傾向があり、顔料の分散には、別途、顔料分散剤が用いられる。しかしながら、上述のように上記レジストインキ用バインダー樹脂は少量の添加で優れた現像性を発揮するため、上記顔料分散剤を十分な量添加することができる。このため、このようなレジストインキ用バインダー樹脂を含むレジストインキは、顔料分散性を損なうことなく、現像性に優れたものとすることができるのである。
【0075】
本発明は、上述したバインダー樹脂、顔料、顔料分散剤、光硬化性多官能モノマー、光重合開始剤および溶剤を含むものである。
以下、本発明のレジストインキに含まれる各成分について説明する。
【0076】
1.バインダー樹脂
本発明に用いられるバインダー樹脂は、上記レジストインキ用バインダー樹脂を含むものである。
【0077】
(1)レジストインキ用バインダー樹脂
本発明におけるレジストインキ用バインダー樹脂の含有量としては、固形分中に、5質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも8質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましく、特に10質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、現像性に優れたものとすることができるからである。
なお、固形分とは、本発明のレジストインキに含まれる溶剤以外の全てをいうものである。
【0078】
なお、上記レジストインキ用バインダー樹脂は、上記「A.レジストインキ用バインダー樹脂」の項で説明した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0079】
(2)バインダー樹脂
本発明に用いられるバインダー樹脂は、上記レジストインキ用バインダー樹脂を含むものであるが、必要に応じて、その他の樹脂を含むものであっても良い。
このようなその他の樹脂としては、カラーフィルタの着色層形成に一般的に用いられるものを使用することができ、具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂を挙げることができる。
【0080】
2.顔料
本発明に用いられる顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本発明において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
また、用いることができる無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
なお、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0084】
また、本発明に用いられる顔料の分散平均粒径としては、本発明のレジストインキを用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、0.01μm〜0.15μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.01μm〜0.1μmの範囲内であることが好ましい。
【0085】
本発明に用いられる顔料の含有量としては、本発明のレジストインキを用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではなく、用いる顔料の種類によっても異なるが、上記顔料以外の固形分中に20質量%〜85質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、30質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましく、特に、40質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。上記顔料の含有量が上記範囲であることにより、本発明のレジストインキを用いてカラーフィルタの着色層を形成した場合に、上記着色層の膜厚を薄いものとした場合であっても、十分な発色を有するものとすることができるからである。また、従来のレジストインキにおいて現像時に膜荒れ等を生じさせないような顔料の含有量は、通常5質量%〜40質量%の範囲内であるが、本発明においては上記レジストインキ用バインダー樹脂を含むものであるので、上記範囲のような高濃度とした場合であっても優れた現像性を発揮し、膜荒れ等を抑制することができるからである。
【0086】
3.顔料分散剤
本発明に用いられる顔料分散剤としては、公知の顔料分散剤を使用することができる。具体的には、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤、リン酸エステル、アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤や顔料誘導体を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも、高分子分散剤が好ましく、具体的な商品名としては、Ciba EFKA−100、Ciba EFKA−400、Ciba EFKA−401、Ciba EFKA−4046、Ciba EFKA−4047、Ciba EFKA−4300、Ciba EFKA−4330、Ciba EFKA−4340(以上、チバスペシャルティケミカルズ社製)、Disperbyk111、Disperbyk161、Disperbyk165、Disperbyk167、Disperbyk182、Disperbyk2000、Disperbyk2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー社製)、SOLSPERSE24000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000(以上、ルーブリゾール社製)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB827、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ(株)製)等を挙げることができる。
【0087】
本発明に用いられる顔料分散剤の含有量としては、上記顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さいと、上記顔料を均一に分散することが困難になり、上記範囲より大きいと、上記レジストインキの現像性が低下したり、未露光部分での残渣が残存する可能性があるからである。
【0088】
4.光硬化性多官能モノマー
本発明に用いられる光硬化性多官能モノマーとしては、複数の重合性の官能基を有し、光照射により、上記光硬化性多官能モノマー同士または上記バインダー樹脂と重合することができるものであれば良い。
このような光硬化性多官能モノマーとしては、通常、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが用いられる。
【0089】
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0090】
また、上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カルボン酸変性ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0091】
これらの多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0092】
本発明に用いられる光硬化性多官能モノマーの含有量としては、所望の硬度の着色層とすることができるものであれば良く、固形分中に、5質量%以上であることが好ましく、なかでも9質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があるからである。また、上記範囲より多いと、未露光箇所分でも現像できなくなる可能性があるからである。
【0093】
5.光重合開始剤
本発明に用いられる光重合開始剤としては、光照射により、上記光硬化性多官能モノマー同士を重合することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものを用いることができる。具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン‐1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブチキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、1,2−オクタジオン等の光重合開始剤を挙げることができる。本発明においては、これらの光重合開始剤を単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
【0094】
このような光重合開始剤の含有量としては、上記レジストインキを所望の硬化速度で光硬化することができるものであれば良く、固形分中に、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.7質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0095】
6.溶剤
本発明のレジストインキに含まれる溶剤は、上記レジストインキ中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であれば特に限定されるものではない。
【0096】
具体的には、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;などが挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0097】
本発明に用いられる溶剤の含有量としては、本発明のレジストインキ中に60質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。このような含有量であることにより、塗布に適した粘度とすることができるからである。
【0098】
7.レジストインキ
本発明のレジストインキは、上記レジストインキ用バインダー樹脂、顔料、顔料分散剤、光硬化性多官能モノマー、光重合開始剤および溶剤を少なくとも含むものであるが、必要に応じて添加剤を含むものであっても良い。
本発明における添加剤としては、増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤等などが挙げられる。
【0099】
上記増感剤としては、カラーフィルタの着色層の形成に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば脂肪族あるいは芳香族の単、多官能チオール化合物や芳香族アミン系化合物等を挙げることができる。このような増感剤の含有量としては、固形分中に0.01質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.7質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましい。
【0100】
本発明のレジストインキの製造方法としては、上記バインダー樹脂、顔料、顔料分散剤、光硬化性多官能モノマー、光重合開始剤および溶剤を均一に混合あるいは分散することができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の混合手段あるいは分散手段を用いることができる。
【0101】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0102】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0103】
[実施例1〜17および比較例1〜3]
1.共重合体1〜18の作製
下記の合成例1〜18に示す方法により共重合体1〜18を作製した。
【0104】
[合成例1]
攪拌機、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)122gを入れ、マントルヒーターで100℃に加熱した。そこに、メチルメタクリレート(MMA;三菱レイヨン製アクリエステルM)53gと、メタクリル酸(MAA;三菱レイヨン製)12g、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸(SA;新中村化学工業(株)製NKエステルSA)20g、n−ドデシルメルカプタン(nDM;日油製)4.5g、t-ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油製パーブチルO)2.0gの混合液を、滴下漏斗より1.5時間かけて滴下した。
滴下中はフラスコ内の温度が100℃±1℃となるように調整した。100℃に保ったまま3時間攪拌後、残ったパーブチルOを分解するため130℃で15分間加熱し、無色透明のMMA/MAA/SA共重合体溶液を得た。反応終了後冷却し、このMMA/MAA/SA共重合体溶液にグリシジルメタクリレート(GMA;三菱レイヨン製アクリエステルG)15g、p−メトキシフェノール0.05g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.2gを加え、窒素導入管の代わりに空気導入管を4つ口フラスコに接続し、110℃で6時間加熱することにより側鎖に不飽和二重結合を持つ共重合体1を得た。
GPC測定装置(東ソー(株)製HLC−8220GPC)にてゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体1の重量平均分子量(Mw)は9000(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ75mgKOH/gであった。
【0105】
[合成例2]
滴下するモノマーをMMA47.6g、MAA9.2g、SA28.2gとした以外は共重合体1と同様に合成し、共重合体2を得た。
ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体2の重量平均分子量(Mw)は10000(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ、75mgKOH/gであった。
【0106】
[合成例3]
滴下するモノマーをMMA43.3g、MAA6.7g、SA35.0gとした以外は共重合体1と同様に合成し、共重合体3を得た。
ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体3の重量平均分子量(Mw)は9500(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ、75mgKOH/gであった。
【0107】
[合成例4]
滴下するモノマーをMMA35.0g、SA50.0gとした以外は共重合体1と同様に合成し、共重合体4を得た。
ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体4の重量平均分子量(Mw)は10000(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ、70mgKOH/gであった。
【0108】
[合成例5]
攪拌機、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにPGMEA122gを入れ、マントルヒーターで100℃に加熱した。そこに、MMA47.6gと、MAA9.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA;日油製ブレンマーE)15.9g、nDM4.5g、パーブチルO2.0gの混合液を、滴下漏斗より1.5時間かけて滴下した。
滴下中はフラスコ内の温度が100℃±1℃となるように調整した。100℃に保ったまま3時間攪拌後、残ったパーブチルOを分解するため130℃で15分間加熱し、無色透明のMMA/MAA/HEMA共重合体溶液を得た。反応終了後冷却し、このMMA/MAA/HEMA共重合体溶液に無水コハク酸12.3g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.2gを添加し100℃で2時間反応後、GMA15g、p−メトキシフェノール0.05gを加え、窒素導入管の代わりに空気導入管を4つ口フラスコに接続し、110℃で6時間加熱することにより側鎖に不飽和二重結合を持つ共重合体5を得た。
ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体5の重量平均分子量(Mw)は9000(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ75mgKOH/gであった。
【0109】
[合成例6]
攪拌機、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにPGMEA122gを入れ、マントルヒーターで100℃に加熱した。そこに、MMA38.9gと、MAA11.6g、HEMA15.9g、nDM4.5g、パーブチルO2.0gの混合液を、滴下漏斗より1.5時間かけて滴下した。
滴下中はフラスコ内の温度が100℃±1℃となるように調整した。100℃に保ったまま3時間攪拌後、残ったパーブチルOを分解するため130℃で15分間加熱し、無色透明のMMA/MAA/HEMA共重合体溶液を得た。反応終了後冷却し、このMMA/MAA/HEMA共重合体溶液にテトラヒドロ無水フタル酸(THPA)18.6g、N,N−ジメチルベンジルアミン0.2gを添加し100℃で2時間反応後、GMA15g、p−メトキシフェノール0.05gを加え、窒素導入管の代わりに空気導入管を4つ口フラスコに接続し、110℃で6時間加熱することにより側鎖に不飽和二重結合を持つ共重合体6を得た。
ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体6の重量平均分子量(Mw)は9000(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ75mgKOH/gであった。
【0110】
[合成例7]
攪拌機、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにPGMEA122gを入れ、マントルヒーターで100℃に加熱した。そこに、MMA55.0gと、HEMA15.0g、SA30.0g、nDM4.5g、パーブチルO2.0gの混合液を、滴下漏斗より1.5時間かけて滴下した。
滴下中はフラスコ内の温度が100℃±1℃となるように調整した。100℃に保ったまま3時間攪拌後、残ったパーブチルOを分解するため130℃で15分間加熱し、無色透明の共重合体7(MMA/HEMA/SA共重合体)溶液を得た。
ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体7の重量平均分子量(Mw)は8500(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ73mgKOH/gであった。
【0111】
[合成例8]
滴下するモノマーをMMA65.0g、MAA20.0gとした以外は、共重合体1の合成法と同様に行い、共重合体8を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体8の重量平均分子量(Mw)は8500(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ75mgKOH/gであった。
【0112】
[合成例9]
滴下するモノマーをMMA62.5g、MAA22.5gとした以外は、共重合体1の合成法と同様に行い、共重合体9を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体9の重量平均分子量(Mw)は8500(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ93mgKOH/gであった。
【0113】
[合成例10]
滴下するモノマーをMMA33.7g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(プラクセルFM1D;ダイセル化学工業株式会社製)29.8g、MAA9.2gとした以外は、共重合体5の合成法と同様に行い、共重合体10を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体10の重量平均分子量(Mw)は9800(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0114】
[合成例11]
滴下するモノマーをMMA42.2g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPE90;日油株式会社製)21.3g、MAA9.2gとした以外は、共重合体5の合成法と同様に行い、共重合体11を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体11の重量平均分子量(Mw)は9100(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ75mgKOH/gであった。
【0115】
[合成例12]
滴下するモノマーをMMA28.8g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPE200;日油株式会社製)34.7g、MAA9.2gとした以外は、共重合体5の合成法と同様に行い、共重合体12を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体12の重量平均分子量(Mw)は9900(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0116】
[合成例13]
滴下するモノマーをMMA18.1g、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPP1000;日油株式会社製)45.4g、MAA9.2gとした以外は、共重合体5の合成法と同様に行い、共重合体13を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体13の重量平均分子量(Mw)は8800(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0117】
[合成例14]
滴下するモノマーをMMA12.1g、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(ブレンマー70PEP−350B;日油株式会社製)51.4g、MAA9.2gとした以外は、共重合体5の合成法と同様に行い、共重合体14を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体14の重量平均分子量(Mw)は10100(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ81mgKOH/gであった。
【0118】
[合成例15]
滴下するモノマーをMMA28.0g、アダマンチルメタクリレート(ADAMA;出光興産製)25.0g、SA20.0g、MAA12.0gとした以外は、共重合体1の合成法と同様に行い、共重合体15を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体15の重量平均分子量(Mw)は9000(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0119】
[合成例16]
滴下するモノマーをMMA28.0g、フェノキシエチルメタクリレート(PhEMA;共栄社化学製「ライトエステルPO」)25.0g、SA20.0g、MAA12.0gとした以外は、共重合体1の合成法と同様に行い、共重合体16を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体16の重量平均分子量(Mw)は8800(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0120】
[合成例17]
滴下するモノマーをMMA28.0g、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA;三菱レイヨン製「アクリエステルCH」)25.0g、SA20.0g、MAA12.0gとした以外は、共重合体1の合成法と同様に行い、共重合体17を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体17の重量平均分子量(Mw)は9200(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0121】
[合成例18]
滴下するモノマーをMMA28.0g、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA;日立化成工業製「ファンクリルFA513M」)25.0g、SA20.0g、MAA12.0gとした以外は、共重合体1の合成法と同様に行い、共重合体18を得た。ゲル浸透クロマトグラフにより分子量を確認したところ、共重合体18の重量平均分子量(Mw)は8500(ポリスチレン換算)であった。また、0.1N KOHエタノール溶液で滴定することにより酸価を測定したところ80mgKOH/gであった。
【0122】
2.レジストインキの調製
上記合成例1〜18により得た共重合体1〜18を用いて、下記に示すような顔料分散液Aおよび感光性樹脂溶液Bを調製した。
【0123】
<顔料分散液A>
・顔料(ピグメントグリーン36(P.G.36)):13.0重量部
・顔料分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB821):3.0重量部
・分散樹脂(共重合体8):5.0重量部(固形分換算)
・PGMEA:79.0重量部
【0124】
<感光性樹脂溶液B>
・光硬化性多官能モノマー(東亞合成製アロニックスM−402):13.6重量部
・光重合開始剤(BASF製イルガキュア907):3.0重量部
・上記バインダー樹脂(共重合体1〜18):3.4重量部(固形分換算)
・PGMEA:80.0重量部
【0125】
次いで、下記に示すP/V=0.5または0.7とする混合比で上記顔料分散液A、感光性樹脂溶液Bおよび溶剤(PGMEA)を混合することにより、下記表3および表4に示すようなレジストインキを調製した。
なお、P/V値とは、固形分中に占める顔料配合量を顔料を除く固形分成分で割った値であり、顔料濃度を表す指標である。また、表3および表4中の固形分濃度、酸価、重量平均分子量は上記共重合体1〜18の値である。
【0126】
<P/V=0.5とする混合比>
・顔料分散液A:43.59重量部
・感光性樹脂溶液B:39.21重量部
・PGMEA:17.2重量部
【0127】
<P/V=0.7とする混合比>
・顔料分散液A:53.85重量部
・感光性樹脂溶液B:28.44重量部
・PGMEA:17.71重量部
【0128】
3.評価
上記レジストインキを、カラーフィルタ用のガラス基板上に乾燥後の厚みが2μmとなるようにスピンコートし、70℃ホットプレート上にて3分間静置(予備乾燥)し、マスク露光を行った。次いで、現像液として、0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて現像を行い、未露光部の現像性を評価した。
なお、露光条件は以下のとおりとした。また、現像性の評価は、未露光部が完全に溶解し、除去されるまでの時間(秒)にて行った。結果を下記表3および表4に示す。
【0129】
(露光条件)
露光機:プロキシ露光機
マスク:クロムマスク
露光ギャップ:150μm
光源:超高圧水銀灯
露光量:60mJ/cm
【0130】
【表3】

【0131】
【表4】

【0132】
表3および表4に示すように、実施例ではP/V=0.7という高顔料濃度の場合でも速やかに現像することができた。
また、上記実施例において、共重合体10〜14を用いたもの(実施例9〜13)は、共重合体1〜10および15〜18を用いたもの(実施例1〜8および14〜17)と比較し、溶剤への溶解性が良好であり、上記感光性樹脂溶液Bの調製を簡便に、短時間で行うことができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有する共重合体を主鎖構造として有することを特徴とするレジストインキ用バインダー樹脂。
【化1】

(式(I)中、Rは、水素、またはメチル基であり、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、RまたはRと、RまたはRとが環を形成していても良いものである。
また、Xは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【請求項2】
前記構成単位(1)が下記一般式(a)、(b)および(c)で表される構造であることを特徴とする請求項1に記載のレジストインキ用バインダー樹脂。
【化2】

(式(a)、(b)および(c)中、R11は、水素、またはメチル基であり、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R12またはR13と、R14またはR15とが環を形成していても良いものである。
また、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27およびR28はそれぞれ独立に水素またはメチル基である。aは2〜5の整数、bおよびcは0または1〜10の整数(bとcが同時に0となることはない。)、dは4〜6の整数、eは1〜10の整数である。)
【請求項3】
前記構成単位(1)が、下記一般式(II)で表される化合物を用いて形成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のレジストインキ用バインダー樹脂。
【化3】

(式(II)中、R31は、水素、またはメチル基であり、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R32またはR33と、R34またはR35とが環を形成していても良いものである。
また、Yは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【請求項4】
前記構成単位(1)が、下記一般式(III)で表される化合物の重合後、酸無水物を反応させることにより形成されるものであることを特徴とする請求項1に記載のレジストインキ用バインダー樹脂。
【化4】

(式(III)中、R41は、水素、またはメチル基であり、Zは、アルキレン基を少なくとも有し、鎖長方向の炭素原子および酸素原子の合計数が2〜85の範囲内である2価の有機基である。)
【請求項5】
前記共重合体に含まれるカルボキシル基に、エポキシ基および不飽和二重結合を有するエポキシ基含有化合物を付加させることにより、不飽和二重結合が導入されたものであることを特徴とする請求項1から4までのいずれかの請求項に記載のレジストインキ用バインダー樹脂。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかの請求項に記載のレジストインキ用バインダー樹脂を含むバインダー樹脂、顔料、顔料分散剤、光硬化性多官能モノマー、光重合開始剤および溶剤を含むことを特徴とするレジストインキ。

【公開番号】特開2011−127092(P2011−127092A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199916(P2010−199916)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【Fターム(参考)】