レンズシステム
【課題】従来技術の欠点を解消できる光学システムおよびレンズシステムを提供することる。
【解決手段】変形可能部分を備えた膜を含む第1変形可能レンズを有する光学システム。センサは、第1変形可能レンズにより合焦された光を受入れるように構成されている。光路は、第1変形可能レンズを通ってセンサまで延びている。第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされる。第1光学媒体の第1体積および第2光学媒体の第2体積は、少なくとも一部が、膜の変形可能部分により定められ、第1体積および第2体積はハウジングにより完全に包囲されている。第1体積および第2体積は、第1変形可能レンズのあらゆる形状に対して実質的に一定に維持される。
【解決手段】変形可能部分を備えた膜を含む第1変形可能レンズを有する光学システム。センサは、第1変形可能レンズにより合焦された光を受入れるように構成されている。光路は、第1変形可能レンズを通ってセンサまで延びている。第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされる。第1光学媒体の第1体積および第2光学媒体の第2体積は、少なくとも一部が、膜の変形可能部分により定められ、第1体積および第2体積はハウジングにより完全に包囲されている。第1体積および第2体積は、第1変形可能レンズのあらゆる形状に対して実質的に一定に維持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズおよびレンズの作動方法に関する。
【0002】
(発明の詳細な説明)
本願は、「ズームレンズシステムおよび方法(Zoom Lens System and Method)」の名称に係る2009年3月13日付米国仮特許出願第61/160,012号に関する米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)項の利益を主張し、該米国仮特許出願の全内容を本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
種々の作動原理を用いた種々の形式の光学システムが存在する。例えば、アフォーカル(無限焦点)レンズは集光力をもたず、他方のビーム直径の平行光線に対して平行な一方のビーム直径の平行光線を伝達する。アフォーカルシステムの後に単一焦点レンズを付加することにより、パーフォーカル(同焦点)レンズが創出される。慣用のズームレンズシステムでは、ズーム効果を得るのに、集光レンズを静止させたまま、アフォーカル部分のレンズ要素のみを前後に移動させなくてはならない。したがって、倍率および焦点距離が変えられるとき、パーフォーカルレンズは合焦状態に維持される。
他のアプローチとして、今日の光学システムではバリフォーカル(可変焦点)レンズシステムがときどき使用される。バリフォーカルシステムは、他方のビーム直径に対する一方のビーム直径の平行光線の伝達に基づいてはいない。それどころか、軸線方向に移動可能な第1レンズが、集光レンズである第2(または第3)レンズに向けて光線を集光させるか、拡散させる。像平面内にシャープな像を常に得るためには、集光レンズを静止させておくことはできず、軸線方向に移動できるようにするか、焦点を調節できなくてはならない。したがって、倍率および焦点距離が変えられるときは、バリフォーカルレンズが最終集光レンズの位置または形状を調節する。
【0004】
いずれのアプローチを用いても、慣用のズームレンズは、モータ駆動並進ステージにより他方の光学要素に対して幾つかの光学要素を軸線方向に変位させなくてはならないため、大きいスペースを要し、高価でありかつ材料の摩耗を生じ易い傾向を有している。スペースが得難い携帯電話、医療用内視鏡または他の装置に使用されるこのようなレンズの極小化の可能性は、これらの機能原理および作動により制限されている。
軸線方向に変位可能な固定・変形不能レンズ(fixed,non-deformable lenses)の代わりに焦点調節可能なレンズが使用されている従来のシステムでは、上記欠点を解消する試みがなされてきた。これらの従来のシステムでは、焦点距離およびレンズの他の光学的特性を変えるのに、レンズの形状が変えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】本願と同日出願に係る特許出願(代理人整理番号第97372号、名称「レンズアセンブリシステムおよび方法(Lens Assembly System and Method)」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念なことに、これらの従来のアプローチは、依然として幾つかの欠点を有している。より詳しくは、軸線方向長さを充分に短縮すると同時に像センサ上に高いズームファクタおよび充分な像サイズを形成する従来のアプローチの可能性は、選択されたズーム原理(例えばアフォーカルシステムおよびパーフォーカルシステム)により、または充分なチューニングレンジ(例えばエレクトロウェッティングレンズまたは液晶レンズ)を提供しない変形可能レンズの構成または作動原理により依然として制限されている。したがって、これらの従来のシステムに存在する欠点は、これらのシステムの用途を制限しかつこれらの従来のアプローチのもつ不満をユーザに与えている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ズームレンズには、慣用のズームレンズおよび変形可能レンズを利用した従来のアプローチの両方の欠点を解消できる変形可能レンズが設けられている。本発明で設けられる変形可能レンズは、幾つかの例を得るべく、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされ、高フォーカスチューニング範囲を得ることができる。また、本発明により提供されるズームレンズは、アフォーカル原理およびパーフォーカル原理の代わりにバリフォーカル作動原理を用いている。本発明のアプローチの一例では、単一オートフォーカス要素として単一フォーカスチューニング可能レンズが使用される。
【0008】
これらの多くの実施形態では、コンパクトなズームレンズが、変形可能部分を備えた膜と充填材料とで構成された第1変形可能レンズを有している。これらのアプローチでは、変形は、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素で達成される。
【0009】
レンズには、センサ上に充分な拡大像を形成できる曲率半径をもつ静的発散レンズも含まれる。例えば、半径は約1.5mmのように小さく、したがって高い負の集光力を与える。レンズは更に、変形可能部分と、光線を種々の像面角度(field angle)からセンサ上の所望像サイズに指向させるズーム要素として機能する充填材料とで構成された第2変形可能レンズを有している。更に、レンズは、光学システムにより形成される像を検出するセンサ(例えばセンサチップ)を有している。このような構成により、レンズは、変形可能レンズの特性を呈しかつ非常に高いチューニング範囲を有している。また、レンズは、アフォーカル原理およびパーフォーカル原理の代わりに光学システムのバリフォーカル原理に従がう(すなわち、第2変形可能レンズは、光線をセンサチップ上に直接合焦させるフォーカス要素として機能する)。
【0010】
これらの実施形態のうちの他の実施形態では、ズームレンズは、単一レンズおよび全光学システムの単色収差を矯正するための1つ以上の位相板または矯正レンズ要素を有している。或る例では、色収差を矯正する目的を達成する色消し要素が、第2変形可能レンズの前または後に配置される。更に別の例では、光学システムの像面湾曲を矯正する目的を達成する像面補償扁平化レンズ(field-compensating flattener lens)が、第2変形可能レンズの後ろに配置される。
【0011】
これらの実施形態のうちの更に別の実施形態では、第1変形可能レンズのみからなりかつ変形可能部分を備えた膜および充填材料から構成された光学システムが提供される。或いは、第1変形可能レンズの光学的特性は、オートフォーカス要素として機能させるべく、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータまたはエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素により調節される。いずれのアプローチを用いても、種々の対物距離からの光ビームコーンがセンサ上にシャープに合焦される。これらのアプローチには、単色収差を矯正する位相板または矯正レンズ要素を使用することもできる。
【0012】
したがって、本発明のアプローチは、非常にコンパクトなバリフォーカルシステムを作るべく、多数の固定・変形不能光学要素と一緒に2つ(または2つより多くてもよい)の変形可能レンズを使用する。調節可能レンズは、変形可能部分を備えた膜と充填材料とから構成されており、少なくとも一部の変形が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素により達成される。このような構成により、調節可能レンズは、エレクトロウェッティングまたは液晶のような他のレンズチューニング技術より優れた非常に高いチューニング範囲を得ることができる。また、ズームレンズに使用される変形可能レンズと組み合わせて、単色収差の矯正のための位相板または矯正レンズ要素を使用できる。
【0013】
前述のように、従来のズームシステムとは異なり、本発明のズームレンズは、大きいスペースを要しかつ多数の光学要素を必要とするアフォーカル原理およびパーフォーカル原理に従って作動するものではない。それどころか、レンズおよびこれらのレンズが配置されるシステムは、軸線方向長さおよびズーミングに必要な光学要素の数の両方を劇的に低減させるべく、バリフォーカル原理にしたがって作動する。概していえば、一例では、第1変形可能レンズが、変化するビーム拡散角の光線束を作り、一方、第2変形可能レンズが、光線をセンサ上に直接合焦させるフォーカス要素として機能する。
バリフォーカル作動原理とは異なり、アフォーカルレンズは集光力がなく、一ビーム直径の平行光線を他の直径の平行光線に伝達する。アフォーカルシステムまたはアフォーカル要素の後に単一集光レンズを付加することにより、パーフォーカルレンズが創出される。従来のズームシステムでは、ズーム効果を得るには、アフォーカル部分のレンズ要素のみが移動され、一方、集光レンズは固定位置に維持される。本発明で使用される他の方法では、パーフォーカルレンズは、倍率および焦点距離が変更されるときに合焦状態に維持されるレンズである。
【0014】
バリフォーカルレンズは、一直径から他直径への平行光線の伝達に基づいてはいない。センサ上に常にシャープな像を得るためには、集光レンズは静的ではない。本発明で使用される他の方法では、倍率および焦点距離が変えられるときに、バリフォーカルレンズが、最終集光レンズの位置または形状を調節する。換言すれば、バリフォーカルレンズは、焦点距離とともにフォーカスが変化する非固定焦点距離レンズである。
これらの多くの実施形態では、光学システムは、第1変形可能レンズ、センサおよび光路を有している。第1変形可能レンズは、変形可能部分を備えた膜を有している。センサは第1変形可能レンズにより合焦される光を受けるように構成され、光路は第1変形可能レンズを通ってセンサまで延びている。第1変形可能レンズは、光路を進行(traverse)する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされる。第1光学媒体の第1体積および第2光学媒体の第2体積は、少なくとも一部が、膜の変形可能部分により定められる。第1体積および第2体積は、ハウジングにより完全に包囲されている。第1体積および第2体積は、第1変形可能レンズの全ての形状に対して実質的に一定に維持される。
【0015】
或る態様では、第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素により変形される。他の例も可能である。
【0016】
他の態様では、第2変形可能レンズが光路内に配置される。第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させる。或る例では、第1および第2変形可能レンズは、光路を進行する光を、バリフォーカル作動によりセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされる。他の例では、第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素によりチューニングされる。アクチュエータ要素の他の例も可能である。
【0017】
これらの例の或るものにおいては、第1変形可能レンズは、凹状から凸状に変化するように構成されており、他の例では、第2変形可能レンズは、凸状から凹状に変化するように構成されている。
矯正固定レンズ要素を配置することもでき、該矯正固定レンズ要素は第1フォーカス調節可能レンズと一体であり、矯正固定レンズは、変形可能レンズの変形可能材料と接触しておりかつ単色収差または多色収差を矯正するように構成されている。或るアプローチでは、矯正固定レンズ要素は、剛性材料(例えば、ガラスまたはポリカーボネートまたはPMMAまたはシクロオレフィンポリマーまたはコポリマー)から構成されている。或る例では、2つの変形可能レンズの間に開口絞りが配置されている。他のアプローチでは、第1変形可能レンズ内に開口絞りが配置されている。
他の態様では、固定・変形不能レンズが光路内に配置される。該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成されかつ単色収差または球面収差を矯正するように構成されている。 更に別の態様では、少なくとも1つの固定・変形不能レンズが光路内に配置される。該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成され、少なくとも1つの固定・変形不能レンズは多色収差を矯正するように構成されている。
他の例では、光路内に矯正レンズが配置される。該矯正レンズは剛性材料(例えば、ガラスまたはポリカーボネートまたはPMMAまたはシクロオレフィンポリマーまたはコポリマー)から構成されかつセンサに最も近い変形可能レンズとセンサとの間に配置される。
【0018】
これらの多くのアプローチでは、光学システムの全軸線方向長さは、レンズが対角線dの像センサについてズームファクタkを形成できる値Lに短縮され、比r=L/(k*d)を有する。該比rは約0.7より小さく、同時に、完全ズーム状態においてセンサを完全に照明する像サイズを形成する。
作動信号は種々の源から発することができる。例えば、作動信号は、手動により発生される信号および自動的に発生される信号とすることができる。
これらの実施形態の他のものでは、レンズシステムは、第1変形可能レンズと、矯正光学要素と、センサと、光路とを有している。第1変形可能レンズは充填材料を有している。矯正光学要素は充填材料と接触している。センサは、第1変形可能レンズにより合焦される光を受けるように構成されている。光路は、第1変形可能レンズおよび矯正要素を通ってセンサまで延びている。第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される手動または自動の電気信号にしたがってチューニングされ、矯正要素は、光路を進行する光の少なくとも1つの特性を調節する。
【0019】
第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素によりチューニングされる。アクチュエータ要素の他の例も可能である。
他の例では、第2変形可能レンズは光路内に配置され、該第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させる。これらの多くの例では、第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素によりチューニングされる。
【0020】
他の態様では、矯正光学要素および充填材料により形成される界面は、設計光線が通過する形状にいかなる変曲点も有していない。これらの要素の形状に存在する変曲点は、温度の感度に関係するため、一般に好ましいものではない。光学表面が変曲点を有すると、温度が屈折率の差に対する感度の上昇の結果として温度が設計温度から偏寄するときに、充填材料と矯正レンズ要素との間の界面の2次より高次の全ての付加表面が像のクオリティを大きく低下させる。あらゆる変曲点を無くすことにより、これらの問題を解消または実質的に解消できる。
【0021】
本願に開示する矯正レンズには、一定形状に形成された前面および後面を設けることができる。この形状は、球状または非球形等の種々の形状にすることができる。すなわち、これらの形状は、例えば4次以上の非球面係数を有するm型を形成する高次の多項式または4次以上の非球面係数を有するw型を形成する高次の多項式により説明できる。
本発明の開示をより完全に理解するため、以下の詳細な説明および添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の原理によるレンズシステムを示す図面である。
【図1B】本発明の原理によるレンズシステムを示す図面である。
【図2A】本発明の原理によるズームレンズシステムを示すブロック図である。
【図2B】本発明の原理によるズームレンズシステムを示すブロック図である。
【図3】本発明の原理によるレンズシステムを示す図面である。
【図4A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図4B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図4C】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図4D】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5C】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5D】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図6A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図6B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7C】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7D】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7E】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7F】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図8A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図8B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図9】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【0023】
同じまたは同様な要素を示す幾つかの図面では、明瞭化のため幾つかの要素に参照番号が示されていない。当業者ならば、図面中の要素は簡単化されかつ明瞭化されて示されていることは理解されよう。また、或る作用および/またはステップは特定の発生順序で説明されまたは図示されるが、当業者ならば、連続性に関するこのような特定性は実際には不要であることは理解されよう。また、本明細書で使用される用語および表現は、本明細書で特定の意味を説明する場合を除き、これらが対応するそれぞれの調査および研究領域に関するこのような用語および表現に一致する通常の意味を有するものであることも理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで図面特に図1Aを参照すると、非ズーム広角状態(例えばズームファクタ=1)にあるズームレンズの一例が示されている。低集光力の状態にある第1変形可能レンズ101が示されている。任意であるが、球面収差または色収差等のレンズの単色収差を矯正するため、第1位相板または矯正レンズ要素(corrective lens element)102を使用できる。レンズ群103は、次の第2変形可能レンズ104のズーム機能を支持しかつ球面収差または色収差等の単色収差を矯正する目的を達成する1つ以上の固定・変形不能レンズからなる。
【0025】
第2変形可能レンズ104は、バリフォーカル作動原理にしたがって光を像センサ107上に合焦させる高集光力の状態にある。単色収差または多色収差を矯正するため、第2位相板または矯正レンズ要素105が使用される。光学システムの像面湾曲を矯正する目的を達成するのに、像面補償扁平化レンズ106が使用される。像は、最終的に像センサ107上に形成される。或る例では、矯正レンズすなわちレンズ群103または106を省略するか、他の矯正要素を使用できる。
第1変形可能レンズ101および第2変形可能レンズ104の形状は、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素を用いて変えることができる。 変形可能レンズ101は、自動または手動により入力される入力信号によって、第1電圧または電流制御要素108により電圧または電流が制御される。自動的作動はオートフォーカスアルゴリズムを採用できる。オートフォーカスアルゴリズムは、像をオートフォーカスさせる入力を与える任意のアルゴリズム形式である。このようなオートフォーカスアルゴリズムは当業者に良く知られており、ここではこれ以上説明しない。第2変形可能レンズ104は、自動または手動により入力される入力信号によって、第2電圧または電流制御要素109により電圧または電流が制御される。
【0026】
本明細書で説明するチューニング可能すなわち変形可能な任意のレンズは、上記特許文献1に開示の任意のアプローチにしたがって調整できる。該特許文献1の全内容は本願に援用する。他のチューニングアプローチを使用することもできる。
像センサ107は、任意の形式の検出デバイスで構成できる。CCDまたはCMOS技術に基づいた像センサを使用できる。このような像センサは、一般に、任意のデジタルカメラまたは携帯電話に使用されており、3メガピクセルまたは12メガピクセルのような種々の画素数に特徴を有している。像センサの一例として、Omnivision Inc.社のOV5630 1/3.2” 5メガピクセルセンサがある。他の像検出技術および/または検出チップを採用することもできる。
【0027】
ここで図1Bを参照すると、完全ズーム望遠状態(ズームファクタ>約2.5)にある図1Aと同じズームレンズが示されている。図示のように、光線束を像センサ107に合焦させるべく、第1変形可能レンズ101は高集光力の状態にあり、一方、第2変形可能レンズ104は低集光力の状態または負の集光力状態にすらある。
第1変形可能レンズ101および第2変形可能レンズ104は図1Aの例と同様に形状が変化される。なぜならば、表面変形が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素によって達成されるからである。図1Aの例と同様に、電流または電圧の増大により、レンズの集光力が増減される。ズーミングを付勢するため、ユーザは、ボタンを押し(例えば、電圧または電流をレンズに付与することにより)第2変形可能レンズの形状の変化を開始させることができ、一方、第1変形可能レンズは、本明細書のどこかで説明するようなオートフォーカスアルゴリズムにより自動的に調節される。
【0028】
また、図1Aの例と同様に、変形可能レンズ101は、自動または手動により入力される入力信号によって、第1電圧または電流制御要素108により電圧制御または電流制御される。第2変形可能レンズ104は、自動または手動による入力によって、第2電圧または電流制御要素108により電圧制御または電流制御される。オートフォーカスアルゴリズムは、レンズのフォーカス調節を決定しかつこれらの調節を表示する第1電圧または電流制御要素108または第2第1電圧または電流制御要素109への入力を行う。電圧または電流制御要素108はその電圧または電流を調節し、これにより、レンズ101の光学特性を変え、したがって像のオートフォーカシングを行う。第1電圧または電流制御要素108または第2第1電圧または電流制御要素109は、入力信号(例えばユーザ入力またはオートフォーカスアルゴリズムからの信号)を受けかつ第1変形可能レンズ101または第2変形可能レンズ104を直接的または間接的に調節する信号を用いるアナログまたはデジタル電子コンポーネンツの任意の組合せである。
より詳しくは、レンズの形状は幾つかのアプローチにより調節できる。本明細書で説明するアプローチに加え、他のアプローチも可能である。一例では、電圧または電流制御要素が電圧または電流を受け、かつこれらの受けた電圧または電流に基づいて、電圧または電流を、レンズに直接接触する電気リード線を介してレンズに直接入力する。
【0029】
本発明のアプローチによる固定・変形不能レンズ(すなわち、変形不可能であるかフォーカス調節可能な形状を有する全てのレンズ)は、多くの方法で形成できる。例えば、第1位相板または矯正レンズ要素102(例えば、カバーガラス補償器)のような図1Aおよび図1Bの静止レンズ、レンズ群103(例えば、発散レンズまたはメニスカスレンズ)または扁平化レンズ106(例えば、像面湾曲の補償に使用される)は、ガラス、ポリカーボネート、PMMA、シクロオレフィンポリマーまたはコポリマー等の材料で射出成形により形成できる。他の成形アプローチおよびガラス等の材料を使用することもできる。
また、必要であるか、有利である場合には、他の変形可能レンズを使用できる。或るアプローチでは、2つの変形可能レンズが高効率を達成する。しかしながら、他の例では、例えば光学的クオリティを高めまたはズーム範囲を拡大する等の種々の目的に、より多くの変形可能レンズを使用できる。
【0030】
次に図2Aおよび図2Bを参照して、非ズーム広角状態(図2Aに示す)および完全ズーム望遠状態(図2Bに示す)を説明する。尚、ここでは、主光線204が、システムの光線の光路を象徴化している。ズームレンズは、変形可能レンズの部分および1つ以上の矯正レンズ要素からなる第1レンズ群201と、変形可能レンズの部分および1つ以上の矯正レンズ要素からなる第2レンズ群202と、像センサ203とから構成されている。種々のレンズ群内の矯正レンズ要素は、種々の形式の光学的誤差を補償する特殊形状表面を有する固定・変形不能レンズである。また、赤外線(IR)フィルタまたは紫外線(UV)フィルタを使用することもできる。図2Aおよび図2Bの全システムは全長Lを有している。図2Aに示すように、角度αで遠物体からレンズに入る光線は、センサチップ203の全対角線d(ここで、dは、長さの測定値である)の1/2に等しい像高に撮像される。図2Bに示すように、ズームファクタが増大される。より詳しくは、図2Bに示すように、図2Aの角度αよりも小さい角度βでシステムに入る主光線204は、センサチップ203の全対角線の1/2に等しい像高に撮像される。システムのズームファクタkは、角度αの正接(tanα)を、角度βの正接(tanβ)で除したものとして定義される。本発明で提案される多くのアプローチにおいて、光学システムの全軸線方向長さLは、レンズが、対角線dの像センサについてズームファクタkを形成できる値Lに短縮され、比r=L/(k*d)を有する。比rは約0.7より小さく、同時に、非ズーム(広角)状態および完全ズーム(望遠)状態の両状態でセンサを完全に照明する像サイズを形成する。
【0031】
ここで図3を参照して単一オートフォーカスを説明する。単一オートフォーカスは、独立的に(または光学システムの一部として他のコンポーネンツと一緒に)使用される。例えば、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ(例えば図1A、図1Bの要素101)のような要素により作動される第1または第2変形可能レンズが、種々の対物距離からの光ビームコーンを、センサ上にシャープに合焦させるオートフォーカス要素として使用される。任意であるが、球面収差のようなレンズの単色収差または多色収差を矯正するのに、位相板または一定範囲の変形不能矯正レンズを備えた矯正レンズ要素またはレンズスタックを使用できる。
【0032】
変形可能レンズ301は、屈折力を調節することにより対物距離に適合する。遠物体302の光線は、集光力(実線)を低減させることにより像センサ304上にシャープに合焦され、一方、近物体303からの光線は、集光力(破線)を増大させることにより像センサ304上に合焦される。フォーカス調整可能レンズの単色収差または多色収差を補償するのに、任意であるが位相板または矯正レンズ要素305を使用できる。変形可能レンズ301の形状の制御、したがって集光力の調整には、電圧または電流制御要素(図示せず)が使用される。入力される電圧または電流はオートフォーカスアルゴリズムにより制御される。
【0033】
図3の種々の要素は、図1Aおよび図1Bの同様な要素と同様に構成できる。例えば、変形可能レンズ301は、変形可能部分および充填材料を備えた膜で構成でき、変形は、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータまたはエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素に電圧または電流を入力することにより少なくとも一部が達成される。例えば、電圧または電流制御要素は、電圧または電流を直接制御する。
像センサ304は、任意の形式の像検出装置で構成できる。本明細書で説明する他のセンサと同様に、例えばCCDまたはCMOS技術に基づいた任意の像センサを使用できる。像検出のための他の技術を用いることもできる。像センサの一例として、Omnivision Inc.社のOV5630 1/3.2” 5メガピクセルセンサがある。センサの他の例も可能である。
本発明のアプローチは、広範囲の用途に適用できるレンズ構成を提供する。例えば、本発明のアプローチは、幾つかの例を挙げれば、携帯電話、任意の形式のデジタルカメラおよび医療用内視鏡がある。これらのアプローチが用いられる装置の他の例も可能である。
前述のように、レンズ301の構成には種々の材料を使用できる。エレクトロアクティブポリマーとして、Cargill Inc.社から入手できる20190ポリマー(電極として機能するコーティングを備えている)を使用できる。任意のボイスコイルモータ構造により磁気チューニングを達成できる。
【0034】
次に、図4Aおよび図4Bを参照して、4つのレンズ要素を有しかつオートフォーカスシステムとして作動するレンズシステムの他の例を説明する。図4Aの例は、レンズが無限遠にある物体上に合焦しているときのシステムの状態を示している。光路は、光軸402に沿って(光軸上および光軸の両側で)延びておりかつ図示の要素の中心を通っている。第1レンズ要素411は、1つ以上の磁気チューニングアクチュエータ、1つ以上の圧電アクチュエータ、1つ以上の磁気歪みアクチュエータまたは1つ以上の静電アクチュエータを用いて、エレクトロアクティブポリマー技術により作動する変形可能レンズである。レンズ要素411の変形可能レンズの表面を保護するのに、カバー410(例えばガラスから作られる)を配置できる。変形可能レンズの材料(例えば、第1レンズ要素内の充填材料)と接触するように、矯正要素412が配置される。この点に関し、矯正要素412は第1レンズ要素411に組込まれている。矯正要素412は、単色収差および多色収差を矯正する。固定・変形不能矯正レンズは、一態様では、球面収差および他の単色収差を矯正しかつ光軸402に沿って開口絞り413に従動する。固定・変形不能レンズ415は、一機能として像面湾曲を除去する扁平化レンズ416により、光軸402に沿って従動する。(光線が光軸402に沿って進行することにより)該光線により伝達される像は、最終的に像センサ平面417に形成される。像センサは、任意の形式の検出デバイスで構成できる。CCDまたはCMOS技術に基づいた任意の像センサを使用できる。このような像センサは、一般に任意のデジタルカメラまたは携帯電話のカメラに使用されており、3メガピクセルまたは12メガピクセル等の種々の画素数を有している。像センサの一例として、Omnivision Inc.社のOV5630 1/3.2” 5メガピクセルセンサがある。他の像検出技術および/または検出チップを使用することもできる。変形可能レンズ411は、オートフォーカスアルゴリズムからの入力により電流制御または電圧制御418される。図4Aの破線は、レンズに比較的近い(例えば約500mmより近い)物体から出る光線404を示し、物体を像平面417上に合焦させるには変形可能レンズ411の付加偏向が必要である。
【0035】
図4Bは、図4Aと同じシステムを示す。しかしながら、この例では、システムの状態が変更されており、物体は、図4Aで像が投影された物体よりシステムの近くにある。図4Bの要素は図4Aに示した要素と同じであり、したがってこれらの要素の説明はここで反復しない。図4Bに示すように、或る発散角度でレンズに入射する(物体からの)光線404は、レンズ要素411の曲率の変化により、像平面417上にシャープに合焦される。
【0036】
他の例では、ズームシステムは、図4Aおよび図4Bに示すオートフォーカスレンズに基づいて構成できる。この場合には、ズームレンズシステムは、非常にコンパクトなバリフォーカルベースのシステムを創出すべく、多数の固定・変形不能光学要素と一緒に2つの変形可能レンズを使用する。
オートフォーカスシステムのレンズ411と同様に、ズームシステムの変形可能レンズは、エレクトロアクティブポリマー技術にしたがって構成され、磁気的にチューニングでき、圧電アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータまたは静電アクチュエータを使用している。このように構成すると、レンズは、エレクトロウェッティングまたは液晶等の他のレンズチューニング技術より優れた非常に高いチューニング範囲を得ることができる。また、単色収差の矯正のため、ズームレンズに使用される変形可能レンズと組み合わせて位相板または矯正レンズ要素を使用できる。
【0037】
図4Cおよび図4Dの例では、第1変形可能レンズ411は、変形可能膜454を有している。環状レンズシェーピング構造460は、膜454を、中央の光学的に活性な部分456と、周辺の光学的に活性でない部分455とに分割する。前述のように、センサ417は、第1変形可能レンズ411により合焦された光を受けるように構成され、光路449は、第1変形可能レンズ411を通ってセンサ417まで延びている。第1変形可能レンズ411は、光路を進行する光を直接センサ417上に合焦させるため、機械的リンケージ構造461を介して、入力された電気信号418にしたがってチューニングされる。第1光学媒体(例えば空気)からなる第1体積450(一態様のクロスハッチングで示されている)および第2光学媒体(例えば充填材料)からなる第2体積(他の態様のクロスハッチングで示されている)が、変形可能膜454により少なくとも一部が形成されている。第1体積450および第2体積452は、ハウジング458により完全に包囲されている。すなわち、両体積とも、ハウジング458の外部まで延びていない。第1体積450および第2体積452は、第1変形可能レンズ411の全ての形状において実質的に一定に維持される。第1変形可能レンズ要素411には矯正光学要素412が組込まれており、第2体積452と接触している。実際には、(他の形式のシステムを構成するため)図4のシステムに他の変形可能レンズが付加されるので、これらの新しい要素により同様な新しい体積が形成されること、および(第1体積および第2体積が互いに一定に維持されるので)これらの同様な新しい体積が互いに一定または実質的に一定に維持されることは理解されよう。
【0038】
図4Dには、図4Cと同じシステムが示されている。しかしながら、この例では、システムの状態が変更されており、物体は、図4Cで像が投影された物体よりシステムの近くにある。変形可能レンズ411の曲率は、機械的リンケージ構造461をセンサ417の方向(参照番号462により示された移動方向)に移動させることにより、入力された電気的信号418にしたがって増大される。このプロセスでは、第1体積450および第2体積452は変形可能膜454により分離された状態に維持され、実質的に一定に維持される。ここで図5A,図5B、図5Cおよび図5Dを参照すると、オートフォーカスレンズの他の例が示されている。このシステムは、カバー510、変形可能レンズ520、開口絞り513、固定・変形不能レンズ515、扁平化レンズ521、矯正レンズ514および像センサ平面517を有している。これらのコンポーネンツは図4の対応要素と同じであり、したがってこれらの要素の説明はここで反復しない。
図5Aには、変形可能レンズ520が反転されており、レンズの曲率変化が像センサ平面517の方向に生じているシステムが示されている。図5Bには、像面湾曲および高次の収差の矯正を行うためのm型またはw型扁平化レンズ521を用いた変形可能レンズ520を備えたシステムが示されている。図5Cの例では、第1レンズ要素の代わりの第3レンズ要素として、変形可能レンズ522が配置されている。図5Dに示すレンズシステムでは、4枚のレンズの代わりに、3枚のみの別々のレンズ要素が使用されている。これらの例の種々の組合せが可能である。
【0039】
ここで図6Aおよび図6Bを参照すると、レンズシステムの他の例が示されている。図6Aには、非ズーム状態(すなわち、広角モード、ズームファクタ=1)にあるズームレンズの一例が示されている。第1変形可能レンズ631は、低集光力の状態にある。変形可能レンズの表面を保護するため、カバー630(例えばガラスから構成されている)が使用されている。矯正要素632が変形可能レンズの材料(例えば、レンズ631内の充填材料)と接触しており、単色収差および多色収差を矯正する。非球面矯正レンズ634は、一機能として、開口絞り633の後の球面収差を矯正する。正の集光力を有する第2変形可能レンズ636が、収差矯正要素635と接触している。第2変形可能レンズ636は、ズームレンズのズーム状態を変化させるべく機能する。一例として像面湾曲を除去すべく機能する扁平化レンズ637が、像センサ638の前方に配置されている。変形可能レンズ631、636は、制御入力639、640により電流制御される。第1変形可能レンズ631の制御入力639はオートフォーカスアルゴリズムから源を発し、第2変形可能レンズ636の制御入力640はユーザ(例えば、ユーザの手動制御またはユーザによる調節)により決定されるズーム入力から源を発している。
【0040】
図6Bには、完全ズーム状態(すなわち、望遠モード、ズームファクタ>約2.5)にある図6Aと同じズームレンズが示されている。光線束をセンサチップ638上に合焦させるため、第1変形可能レンズ631は高集光力の状態にあり、第2変形可能レンズ636は負の集光力の状態にある。「高集光力」とは、約5.0mmより小さい焦点距離(約200ディオプタより大きい集光力)が使用されることを意味し、「負の集光力」とは、約-4.0mmと0mmとの間にある焦点距離(約-250ディオプタより大きく負である集光力)が使用されることを意味する。フォーカス調節可能レンズの一方または両方の能力は、正および負の屈折力(すなわち、凸および凹の形状)の両方を与える。
【0041】
ここで図7A、図7B、図7C、図7D、図7Eおよび図7Fを参照して、ズームレンズシステムの他の例を説明する。第1変形可能レンズ731は、低集光力の状態にある。「低集光力」とは、約12.0mmより大きい焦点距離を意味する。変形可能レンズの表面を保護するため、カバー730(例えばガラスから構成される)を使用できる。矯正要素732が変形可能レンズ材料(例えば、レンズ731内の充填材料)と接触しており、単色収差および多色収差を矯正する。非球面矯正レンズ734は、その1つの機能として、開口絞り733の後の球面収差を矯正する。正の集光力を有する第2変形可能レンズ736が、収差矯正要素735と接触している。第2変形可能レンズ736は、ズームレンズのズーム状態を変える機能を有している。一例では像面湾曲を除去する扁平化レンズ740が、像センサ738の前方に置かれる。変形可能レンズ731、736は制御入力739、741により電流制御または電圧制御される。第1変形可能レンズ731の制御入力739はオートフォーカスアルゴリズムから源を発し、第2変形可能レンズ736の制御入力741は、ユーザ(例えばユーザによる手動制御または調節)により決定されるズーム入力から源を発する。
【0042】
図7Aには、像面湾曲および高次の収差の矯正を行うm型またはw型の形状を有する扁平化レンズを有するズームレンズの広角状態が示されている。図7Bは、レンズの対応望遠状態を示す。図7Cおよび図7Dは、矯正レンズ要素および扁平化レンズ740を備えた2つのみのフォーカス調節可能レンズ(すなわち、レンズ731、736)を有するズームレンズシステムを示す。図7Eは、第1フォーカス調節可能なレンズ742が負の屈折力(すなわち、広角ズームモードで凹状)を有するズームレンズシステムの一例を示す。図7Fは、第1変形可能レンズ742が正の屈折力(すなわち凸状)を有するレンズの対応望遠状態にあるシステムを示す。他の例では、種々の光学要素を互換しまたは省略できることは理解されよう。
【0043】
図8Aおよび図8Bを参照すると、矯正レンズ要素801および充填材料802からなる変形可能レンズの変更例が示されている。図8Aは、矯正光学要素801および充填材料802により形成される界面803が、少なくとも光学的に活性の矯正光学要素の部分に関する形状にいかなる反曲点も有していない好ましいバージョンを示している。これらの要素の形状に存在する反曲点は、温度の感度に関係するため、一般的には好ましくない。光学表面に反曲点が存在すると、屈折率の差に対する感度の増大の結果として、温度が設計温度から偏寄するときに、充填材料と矯正レンズ要素との間の界面での2を超える次数の何らかの付加表面が、像のクオリティに大きい欠陥をもたらす。あらゆる変曲点を無くすことにより、これらの問題を無くすか、実質的に無くすことができる。図8Bは、矯正光学要素と充填材料との間の界面804の好ましい実施形態の一例を示すものである。界面は、高次の多項式で表わされるものであるため、表面上に変曲点を有している。
図9には、アセンブリの光学部分の一例が示されている。この例は頂部の可変光学組立体990を有し、該組立体990は、膜992、光学充填材料993、容器991および該容器991内に埋入(または一体化)された矯正光学要素994を含んでいる。この組立体990は、センサ999から最も離れた光学コンポーネントである。このアプローチは、性能を最高に高めると同時に、センサ999からカバー998(例えばカバーガラス)までの高さを最小にできる組立体を提供する。この例の他の特徴は、容器991内に埋入(例えば、光学要素994が充填材料993と接触するように埋入)された光学要素994を有していることにある。この例では、第2レンズが正の屈折力から負の屈折力に変形でき、非常にコンパクトな光学的設計を可能にする。
図9の例では、磁気構造が一緒にかつシステムの1つ以上の光学要素(例えば、レンズ、容器または膜)を介して連結される。システムの他の特徴は、両モータ構造のエアギャップが非常に小さいことである。サイドリターン構造はハウジングへのセルフアタッチング構造にでき、これによりいかなる接着剤(例えば、にかわ)も不要で容易に組立てることができる。また、これらのアプローチは、前記エアギャップが正しい中心位置に自動的に位置決めすることを可能にするので、組立ての観点から欠点に対して寛容である。磁石は首尾よく形成され、ハウジング内の支柱は磁石の位置を定める。これらの全ての構造は、上記特許文献1に開示の全てのアプローチによるものである。尚、この特許文献1の全内容は本願に援用する。
【0044】
本発明の開示は種々の変更を受入れることができるが、或る実施形態は図面に例示されており、これらの実施形態は本明細書に詳細に説明されている。しかしながら、この開示は、本発明を、説明された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、本発明は、本発明の精神および範囲内に包含されるあらゆる変更および均等物をカバーすることを意図するものである。
本発明を実施するための、本発明者に知られた最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態を本明細書で説明した。説明した実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
101 第1変形可能レンズ
102 第1位相板
103 レンズ群
104 第2変形可能レンズ
105 第2位相板
106 扁平化レンズ
107 像センサ
108 第1電圧または電流制御要素
109 第2電圧または電流制御要素
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズおよびレンズの作動方法に関する。
【0002】
(発明の詳細な説明)
本願は、「ズームレンズシステムおよび方法(Zoom Lens System and Method)」の名称に係る2009年3月13日付米国仮特許出願第61/160,012号に関する米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)項の利益を主張し、該米国仮特許出願の全内容を本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
種々の作動原理を用いた種々の形式の光学システムが存在する。例えば、アフォーカル(無限焦点)レンズは集光力をもたず、他方のビーム直径の平行光線に対して平行な一方のビーム直径の平行光線を伝達する。アフォーカルシステムの後に単一焦点レンズを付加することにより、パーフォーカル(同焦点)レンズが創出される。慣用のズームレンズシステムでは、ズーム効果を得るのに、集光レンズを静止させたまま、アフォーカル部分のレンズ要素のみを前後に移動させなくてはならない。したがって、倍率および焦点距離が変えられるとき、パーフォーカルレンズは合焦状態に維持される。
他のアプローチとして、今日の光学システムではバリフォーカル(可変焦点)レンズシステムがときどき使用される。バリフォーカルシステムは、他方のビーム直径に対する一方のビーム直径の平行光線の伝達に基づいてはいない。それどころか、軸線方向に移動可能な第1レンズが、集光レンズである第2(または第3)レンズに向けて光線を集光させるか、拡散させる。像平面内にシャープな像を常に得るためには、集光レンズを静止させておくことはできず、軸線方向に移動できるようにするか、焦点を調節できなくてはならない。したがって、倍率および焦点距離が変えられるときは、バリフォーカルレンズが最終集光レンズの位置または形状を調節する。
【0004】
いずれのアプローチを用いても、慣用のズームレンズは、モータ駆動並進ステージにより他方の光学要素に対して幾つかの光学要素を軸線方向に変位させなくてはならないため、大きいスペースを要し、高価でありかつ材料の摩耗を生じ易い傾向を有している。スペースが得難い携帯電話、医療用内視鏡または他の装置に使用されるこのようなレンズの極小化の可能性は、これらの機能原理および作動により制限されている。
軸線方向に変位可能な固定・変形不能レンズ(fixed,non-deformable lenses)の代わりに焦点調節可能なレンズが使用されている従来のシステムでは、上記欠点を解消する試みがなされてきた。これらの従来のシステムでは、焦点距離およびレンズの他の光学的特性を変えるのに、レンズの形状が変えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】本願と同日出願に係る特許出願(代理人整理番号第97372号、名称「レンズアセンブリシステムおよび方法(Lens Assembly System and Method)」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念なことに、これらの従来のアプローチは、依然として幾つかの欠点を有している。より詳しくは、軸線方向長さを充分に短縮すると同時に像センサ上に高いズームファクタおよび充分な像サイズを形成する従来のアプローチの可能性は、選択されたズーム原理(例えばアフォーカルシステムおよびパーフォーカルシステム)により、または充分なチューニングレンジ(例えばエレクトロウェッティングレンズまたは液晶レンズ)を提供しない変形可能レンズの構成または作動原理により依然として制限されている。したがって、これらの従来のシステムに存在する欠点は、これらのシステムの用途を制限しかつこれらの従来のアプローチのもつ不満をユーザに与えている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ズームレンズには、慣用のズームレンズおよび変形可能レンズを利用した従来のアプローチの両方の欠点を解消できる変形可能レンズが設けられている。本発明で設けられる変形可能レンズは、幾つかの例を得るべく、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされ、高フォーカスチューニング範囲を得ることができる。また、本発明により提供されるズームレンズは、アフォーカル原理およびパーフォーカル原理の代わりにバリフォーカル作動原理を用いている。本発明のアプローチの一例では、単一オートフォーカス要素として単一フォーカスチューニング可能レンズが使用される。
【0008】
これらの多くの実施形態では、コンパクトなズームレンズが、変形可能部分を備えた膜と充填材料とで構成された第1変形可能レンズを有している。これらのアプローチでは、変形は、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素で達成される。
【0009】
レンズには、センサ上に充分な拡大像を形成できる曲率半径をもつ静的発散レンズも含まれる。例えば、半径は約1.5mmのように小さく、したがって高い負の集光力を与える。レンズは更に、変形可能部分と、光線を種々の像面角度(field angle)からセンサ上の所望像サイズに指向させるズーム要素として機能する充填材料とで構成された第2変形可能レンズを有している。更に、レンズは、光学システムにより形成される像を検出するセンサ(例えばセンサチップ)を有している。このような構成により、レンズは、変形可能レンズの特性を呈しかつ非常に高いチューニング範囲を有している。また、レンズは、アフォーカル原理およびパーフォーカル原理の代わりに光学システムのバリフォーカル原理に従がう(すなわち、第2変形可能レンズは、光線をセンサチップ上に直接合焦させるフォーカス要素として機能する)。
【0010】
これらの実施形態のうちの他の実施形態では、ズームレンズは、単一レンズおよび全光学システムの単色収差を矯正するための1つ以上の位相板または矯正レンズ要素を有している。或る例では、色収差を矯正する目的を達成する色消し要素が、第2変形可能レンズの前または後に配置される。更に別の例では、光学システムの像面湾曲を矯正する目的を達成する像面補償扁平化レンズ(field-compensating flattener lens)が、第2変形可能レンズの後ろに配置される。
【0011】
これらの実施形態のうちの更に別の実施形態では、第1変形可能レンズのみからなりかつ変形可能部分を備えた膜および充填材料から構成された光学システムが提供される。或いは、第1変形可能レンズの光学的特性は、オートフォーカス要素として機能させるべく、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータまたはエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素により調節される。いずれのアプローチを用いても、種々の対物距離からの光ビームコーンがセンサ上にシャープに合焦される。これらのアプローチには、単色収差を矯正する位相板または矯正レンズ要素を使用することもできる。
【0012】
したがって、本発明のアプローチは、非常にコンパクトなバリフォーカルシステムを作るべく、多数の固定・変形不能光学要素と一緒に2つ(または2つより多くてもよい)の変形可能レンズを使用する。調節可能レンズは、変形可能部分を備えた膜と充填材料とから構成されており、少なくとも一部の変形が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素により達成される。このような構成により、調節可能レンズは、エレクトロウェッティングまたは液晶のような他のレンズチューニング技術より優れた非常に高いチューニング範囲を得ることができる。また、ズームレンズに使用される変形可能レンズと組み合わせて、単色収差の矯正のための位相板または矯正レンズ要素を使用できる。
【0013】
前述のように、従来のズームシステムとは異なり、本発明のズームレンズは、大きいスペースを要しかつ多数の光学要素を必要とするアフォーカル原理およびパーフォーカル原理に従って作動するものではない。それどころか、レンズおよびこれらのレンズが配置されるシステムは、軸線方向長さおよびズーミングに必要な光学要素の数の両方を劇的に低減させるべく、バリフォーカル原理にしたがって作動する。概していえば、一例では、第1変形可能レンズが、変化するビーム拡散角の光線束を作り、一方、第2変形可能レンズが、光線をセンサ上に直接合焦させるフォーカス要素として機能する。
バリフォーカル作動原理とは異なり、アフォーカルレンズは集光力がなく、一ビーム直径の平行光線を他の直径の平行光線に伝達する。アフォーカルシステムまたはアフォーカル要素の後に単一集光レンズを付加することにより、パーフォーカルレンズが創出される。従来のズームシステムでは、ズーム効果を得るには、アフォーカル部分のレンズ要素のみが移動され、一方、集光レンズは固定位置に維持される。本発明で使用される他の方法では、パーフォーカルレンズは、倍率および焦点距離が変更されるときに合焦状態に維持されるレンズである。
【0014】
バリフォーカルレンズは、一直径から他直径への平行光線の伝達に基づいてはいない。センサ上に常にシャープな像を得るためには、集光レンズは静的ではない。本発明で使用される他の方法では、倍率および焦点距離が変えられるときに、バリフォーカルレンズが、最終集光レンズの位置または形状を調節する。換言すれば、バリフォーカルレンズは、焦点距離とともにフォーカスが変化する非固定焦点距離レンズである。
これらの多くの実施形態では、光学システムは、第1変形可能レンズ、センサおよび光路を有している。第1変形可能レンズは、変形可能部分を備えた膜を有している。センサは第1変形可能レンズにより合焦される光を受けるように構成され、光路は第1変形可能レンズを通ってセンサまで延びている。第1変形可能レンズは、光路を進行(traverse)する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされる。第1光学媒体の第1体積および第2光学媒体の第2体積は、少なくとも一部が、膜の変形可能部分により定められる。第1体積および第2体積は、ハウジングにより完全に包囲されている。第1体積および第2体積は、第1変形可能レンズの全ての形状に対して実質的に一定に維持される。
【0015】
或る態様では、第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素により変形される。他の例も可能である。
【0016】
他の態様では、第2変形可能レンズが光路内に配置される。第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させる。或る例では、第1および第2変形可能レンズは、光路を進行する光を、バリフォーカル作動によりセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされる。他の例では、第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素によりチューニングされる。アクチュエータ要素の他の例も可能である。
【0017】
これらの例の或るものにおいては、第1変形可能レンズは、凹状から凸状に変化するように構成されており、他の例では、第2変形可能レンズは、凸状から凹状に変化するように構成されている。
矯正固定レンズ要素を配置することもでき、該矯正固定レンズ要素は第1フォーカス調節可能レンズと一体であり、矯正固定レンズは、変形可能レンズの変形可能材料と接触しておりかつ単色収差または多色収差を矯正するように構成されている。或るアプローチでは、矯正固定レンズ要素は、剛性材料(例えば、ガラスまたはポリカーボネートまたはPMMAまたはシクロオレフィンポリマーまたはコポリマー)から構成されている。或る例では、2つの変形可能レンズの間に開口絞りが配置されている。他のアプローチでは、第1変形可能レンズ内に開口絞りが配置されている。
他の態様では、固定・変形不能レンズが光路内に配置される。該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成されかつ単色収差または球面収差を矯正するように構成されている。 更に別の態様では、少なくとも1つの固定・変形不能レンズが光路内に配置される。該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成され、少なくとも1つの固定・変形不能レンズは多色収差を矯正するように構成されている。
他の例では、光路内に矯正レンズが配置される。該矯正レンズは剛性材料(例えば、ガラスまたはポリカーボネートまたはPMMAまたはシクロオレフィンポリマーまたはコポリマー)から構成されかつセンサに最も近い変形可能レンズとセンサとの間に配置される。
【0018】
これらの多くのアプローチでは、光学システムの全軸線方向長さは、レンズが対角線dの像センサについてズームファクタkを形成できる値Lに短縮され、比r=L/(k*d)を有する。該比rは約0.7より小さく、同時に、完全ズーム状態においてセンサを完全に照明する像サイズを形成する。
作動信号は種々の源から発することができる。例えば、作動信号は、手動により発生される信号および自動的に発生される信号とすることができる。
これらの実施形態の他のものでは、レンズシステムは、第1変形可能レンズと、矯正光学要素と、センサと、光路とを有している。第1変形可能レンズは充填材料を有している。矯正光学要素は充填材料と接触している。センサは、第1変形可能レンズにより合焦される光を受けるように構成されている。光路は、第1変形可能レンズおよび矯正要素を通ってセンサまで延びている。第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される手動または自動の電気信号にしたがってチューニングされ、矯正要素は、光路を進行する光の少なくとも1つの特性を調節する。
【0019】
第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素によりチューニングされる。アクチュエータ要素の他の例も可能である。
他の例では、第2変形可能レンズは光路内に配置され、該第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させる。これらの多くの例では、第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータのような要素によりチューニングされる。
【0020】
他の態様では、矯正光学要素および充填材料により形成される界面は、設計光線が通過する形状にいかなる変曲点も有していない。これらの要素の形状に存在する変曲点は、温度の感度に関係するため、一般に好ましいものではない。光学表面が変曲点を有すると、温度が屈折率の差に対する感度の上昇の結果として温度が設計温度から偏寄するときに、充填材料と矯正レンズ要素との間の界面の2次より高次の全ての付加表面が像のクオリティを大きく低下させる。あらゆる変曲点を無くすことにより、これらの問題を解消または実質的に解消できる。
【0021】
本願に開示する矯正レンズには、一定形状に形成された前面および後面を設けることができる。この形状は、球状または非球形等の種々の形状にすることができる。すなわち、これらの形状は、例えば4次以上の非球面係数を有するm型を形成する高次の多項式または4次以上の非球面係数を有するw型を形成する高次の多項式により説明できる。
本発明の開示をより完全に理解するため、以下の詳細な説明および添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】本発明の原理によるレンズシステムを示す図面である。
【図1B】本発明の原理によるレンズシステムを示す図面である。
【図2A】本発明の原理によるズームレンズシステムを示すブロック図である。
【図2B】本発明の原理によるズームレンズシステムを示すブロック図である。
【図3】本発明の原理によるレンズシステムを示す図面である。
【図4A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図4B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図4C】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図4D】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5C】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図5D】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図6A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図6B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7C】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7D】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7E】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図7F】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図8A】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図8B】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【図9】本発明の一実施形態によるレンズシステムを示す図面である。
【0023】
同じまたは同様な要素を示す幾つかの図面では、明瞭化のため幾つかの要素に参照番号が示されていない。当業者ならば、図面中の要素は簡単化されかつ明瞭化されて示されていることは理解されよう。また、或る作用および/またはステップは特定の発生順序で説明されまたは図示されるが、当業者ならば、連続性に関するこのような特定性は実際には不要であることは理解されよう。また、本明細書で使用される用語および表現は、本明細書で特定の意味を説明する場合を除き、これらが対応するそれぞれの調査および研究領域に関するこのような用語および表現に一致する通常の意味を有するものであることも理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで図面特に図1Aを参照すると、非ズーム広角状態(例えばズームファクタ=1)にあるズームレンズの一例が示されている。低集光力の状態にある第1変形可能レンズ101が示されている。任意であるが、球面収差または色収差等のレンズの単色収差を矯正するため、第1位相板または矯正レンズ要素(corrective lens element)102を使用できる。レンズ群103は、次の第2変形可能レンズ104のズーム機能を支持しかつ球面収差または色収差等の単色収差を矯正する目的を達成する1つ以上の固定・変形不能レンズからなる。
【0025】
第2変形可能レンズ104は、バリフォーカル作動原理にしたがって光を像センサ107上に合焦させる高集光力の状態にある。単色収差または多色収差を矯正するため、第2位相板または矯正レンズ要素105が使用される。光学システムの像面湾曲を矯正する目的を達成するのに、像面補償扁平化レンズ106が使用される。像は、最終的に像センサ107上に形成される。或る例では、矯正レンズすなわちレンズ群103または106を省略するか、他の矯正要素を使用できる。
第1変形可能レンズ101および第2変形可能レンズ104の形状は、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素を用いて変えることができる。 変形可能レンズ101は、自動または手動により入力される入力信号によって、第1電圧または電流制御要素108により電圧または電流が制御される。自動的作動はオートフォーカスアルゴリズムを採用できる。オートフォーカスアルゴリズムは、像をオートフォーカスさせる入力を与える任意のアルゴリズム形式である。このようなオートフォーカスアルゴリズムは当業者に良く知られており、ここではこれ以上説明しない。第2変形可能レンズ104は、自動または手動により入力される入力信号によって、第2電圧または電流制御要素109により電圧または電流が制御される。
【0026】
本明細書で説明するチューニング可能すなわち変形可能な任意のレンズは、上記特許文献1に開示の任意のアプローチにしたがって調整できる。該特許文献1の全内容は本願に援用する。他のチューニングアプローチを使用することもできる。
像センサ107は、任意の形式の検出デバイスで構成できる。CCDまたはCMOS技術に基づいた像センサを使用できる。このような像センサは、一般に、任意のデジタルカメラまたは携帯電話に使用されており、3メガピクセルまたは12メガピクセルのような種々の画素数に特徴を有している。像センサの一例として、Omnivision Inc.社のOV5630 1/3.2” 5メガピクセルセンサがある。他の像検出技術および/または検出チップを採用することもできる。
【0027】
ここで図1Bを参照すると、完全ズーム望遠状態(ズームファクタ>約2.5)にある図1Aと同じズームレンズが示されている。図示のように、光線束を像センサ107に合焦させるべく、第1変形可能レンズ101は高集光力の状態にあり、一方、第2変形可能レンズ104は低集光力の状態または負の集光力状態にすらある。
第1変形可能レンズ101および第2変形可能レンズ104は図1Aの例と同様に形状が変化される。なぜならば、表面変形が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素によって達成されるからである。図1Aの例と同様に、電流または電圧の増大により、レンズの集光力が増減される。ズーミングを付勢するため、ユーザは、ボタンを押し(例えば、電圧または電流をレンズに付与することにより)第2変形可能レンズの形状の変化を開始させることができ、一方、第1変形可能レンズは、本明細書のどこかで説明するようなオートフォーカスアルゴリズムにより自動的に調節される。
【0028】
また、図1Aの例と同様に、変形可能レンズ101は、自動または手動により入力される入力信号によって、第1電圧または電流制御要素108により電圧制御または電流制御される。第2変形可能レンズ104は、自動または手動による入力によって、第2電圧または電流制御要素108により電圧制御または電流制御される。オートフォーカスアルゴリズムは、レンズのフォーカス調節を決定しかつこれらの調節を表示する第1電圧または電流制御要素108または第2第1電圧または電流制御要素109への入力を行う。電圧または電流制御要素108はその電圧または電流を調節し、これにより、レンズ101の光学特性を変え、したがって像のオートフォーカシングを行う。第1電圧または電流制御要素108または第2第1電圧または電流制御要素109は、入力信号(例えばユーザ入力またはオートフォーカスアルゴリズムからの信号)を受けかつ第1変形可能レンズ101または第2変形可能レンズ104を直接的または間接的に調節する信号を用いるアナログまたはデジタル電子コンポーネンツの任意の組合せである。
より詳しくは、レンズの形状は幾つかのアプローチにより調節できる。本明細書で説明するアプローチに加え、他のアプローチも可能である。一例では、電圧または電流制御要素が電圧または電流を受け、かつこれらの受けた電圧または電流に基づいて、電圧または電流を、レンズに直接接触する電気リード線を介してレンズに直接入力する。
【0029】
本発明のアプローチによる固定・変形不能レンズ(すなわち、変形不可能であるかフォーカス調節可能な形状を有する全てのレンズ)は、多くの方法で形成できる。例えば、第1位相板または矯正レンズ要素102(例えば、カバーガラス補償器)のような図1Aおよび図1Bの静止レンズ、レンズ群103(例えば、発散レンズまたはメニスカスレンズ)または扁平化レンズ106(例えば、像面湾曲の補償に使用される)は、ガラス、ポリカーボネート、PMMA、シクロオレフィンポリマーまたはコポリマー等の材料で射出成形により形成できる。他の成形アプローチおよびガラス等の材料を使用することもできる。
また、必要であるか、有利である場合には、他の変形可能レンズを使用できる。或るアプローチでは、2つの変形可能レンズが高効率を達成する。しかしながら、他の例では、例えば光学的クオリティを高めまたはズーム範囲を拡大する等の種々の目的に、より多くの変形可能レンズを使用できる。
【0030】
次に図2Aおよび図2Bを参照して、非ズーム広角状態(図2Aに示す)および完全ズーム望遠状態(図2Bに示す)を説明する。尚、ここでは、主光線204が、システムの光線の光路を象徴化している。ズームレンズは、変形可能レンズの部分および1つ以上の矯正レンズ要素からなる第1レンズ群201と、変形可能レンズの部分および1つ以上の矯正レンズ要素からなる第2レンズ群202と、像センサ203とから構成されている。種々のレンズ群内の矯正レンズ要素は、種々の形式の光学的誤差を補償する特殊形状表面を有する固定・変形不能レンズである。また、赤外線(IR)フィルタまたは紫外線(UV)フィルタを使用することもできる。図2Aおよび図2Bの全システムは全長Lを有している。図2Aに示すように、角度αで遠物体からレンズに入る光線は、センサチップ203の全対角線d(ここで、dは、長さの測定値である)の1/2に等しい像高に撮像される。図2Bに示すように、ズームファクタが増大される。より詳しくは、図2Bに示すように、図2Aの角度αよりも小さい角度βでシステムに入る主光線204は、センサチップ203の全対角線の1/2に等しい像高に撮像される。システムのズームファクタkは、角度αの正接(tanα)を、角度βの正接(tanβ)で除したものとして定義される。本発明で提案される多くのアプローチにおいて、光学システムの全軸線方向長さLは、レンズが、対角線dの像センサについてズームファクタkを形成できる値Lに短縮され、比r=L/(k*d)を有する。比rは約0.7より小さく、同時に、非ズーム(広角)状態および完全ズーム(望遠)状態の両状態でセンサを完全に照明する像サイズを形成する。
【0031】
ここで図3を参照して単一オートフォーカスを説明する。単一オートフォーカスは、独立的に(または光学システムの一部として他のコンポーネンツと一緒に)使用される。例えば、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ(例えば図1A、図1Bの要素101)のような要素により作動される第1または第2変形可能レンズが、種々の対物距離からの光ビームコーンを、センサ上にシャープに合焦させるオートフォーカス要素として使用される。任意であるが、球面収差のようなレンズの単色収差または多色収差を矯正するのに、位相板または一定範囲の変形不能矯正レンズを備えた矯正レンズ要素またはレンズスタックを使用できる。
【0032】
変形可能レンズ301は、屈折力を調節することにより対物距離に適合する。遠物体302の光線は、集光力(実線)を低減させることにより像センサ304上にシャープに合焦され、一方、近物体303からの光線は、集光力(破線)を増大させることにより像センサ304上に合焦される。フォーカス調整可能レンズの単色収差または多色収差を補償するのに、任意であるが位相板または矯正レンズ要素305を使用できる。変形可能レンズ301の形状の制御、したがって集光力の調整には、電圧または電流制御要素(図示せず)が使用される。入力される電圧または電流はオートフォーカスアルゴリズムにより制御される。
【0033】
図3の種々の要素は、図1Aおよび図1Bの同様な要素と同様に構成できる。例えば、変形可能レンズ301は、変形可能部分および充填材料を備えた膜で構成でき、変形は、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータまたはエレクトロアクティブポリマーアクチュエータ等の要素に電圧または電流を入力することにより少なくとも一部が達成される。例えば、電圧または電流制御要素は、電圧または電流を直接制御する。
像センサ304は、任意の形式の像検出装置で構成できる。本明細書で説明する他のセンサと同様に、例えばCCDまたはCMOS技術に基づいた任意の像センサを使用できる。像検出のための他の技術を用いることもできる。像センサの一例として、Omnivision Inc.社のOV5630 1/3.2” 5メガピクセルセンサがある。センサの他の例も可能である。
本発明のアプローチは、広範囲の用途に適用できるレンズ構成を提供する。例えば、本発明のアプローチは、幾つかの例を挙げれば、携帯電話、任意の形式のデジタルカメラおよび医療用内視鏡がある。これらのアプローチが用いられる装置の他の例も可能である。
前述のように、レンズ301の構成には種々の材料を使用できる。エレクトロアクティブポリマーとして、Cargill Inc.社から入手できる20190ポリマー(電極として機能するコーティングを備えている)を使用できる。任意のボイスコイルモータ構造により磁気チューニングを達成できる。
【0034】
次に、図4Aおよび図4Bを参照して、4つのレンズ要素を有しかつオートフォーカスシステムとして作動するレンズシステムの他の例を説明する。図4Aの例は、レンズが無限遠にある物体上に合焦しているときのシステムの状態を示している。光路は、光軸402に沿って(光軸上および光軸の両側で)延びておりかつ図示の要素の中心を通っている。第1レンズ要素411は、1つ以上の磁気チューニングアクチュエータ、1つ以上の圧電アクチュエータ、1つ以上の磁気歪みアクチュエータまたは1つ以上の静電アクチュエータを用いて、エレクトロアクティブポリマー技術により作動する変形可能レンズである。レンズ要素411の変形可能レンズの表面を保護するのに、カバー410(例えばガラスから作られる)を配置できる。変形可能レンズの材料(例えば、第1レンズ要素内の充填材料)と接触するように、矯正要素412が配置される。この点に関し、矯正要素412は第1レンズ要素411に組込まれている。矯正要素412は、単色収差および多色収差を矯正する。固定・変形不能矯正レンズは、一態様では、球面収差および他の単色収差を矯正しかつ光軸402に沿って開口絞り413に従動する。固定・変形不能レンズ415は、一機能として像面湾曲を除去する扁平化レンズ416により、光軸402に沿って従動する。(光線が光軸402に沿って進行することにより)該光線により伝達される像は、最終的に像センサ平面417に形成される。像センサは、任意の形式の検出デバイスで構成できる。CCDまたはCMOS技術に基づいた任意の像センサを使用できる。このような像センサは、一般に任意のデジタルカメラまたは携帯電話のカメラに使用されており、3メガピクセルまたは12メガピクセル等の種々の画素数を有している。像センサの一例として、Omnivision Inc.社のOV5630 1/3.2” 5メガピクセルセンサがある。他の像検出技術および/または検出チップを使用することもできる。変形可能レンズ411は、オートフォーカスアルゴリズムからの入力により電流制御または電圧制御418される。図4Aの破線は、レンズに比較的近い(例えば約500mmより近い)物体から出る光線404を示し、物体を像平面417上に合焦させるには変形可能レンズ411の付加偏向が必要である。
【0035】
図4Bは、図4Aと同じシステムを示す。しかしながら、この例では、システムの状態が変更されており、物体は、図4Aで像が投影された物体よりシステムの近くにある。図4Bの要素は図4Aに示した要素と同じであり、したがってこれらの要素の説明はここで反復しない。図4Bに示すように、或る発散角度でレンズに入射する(物体からの)光線404は、レンズ要素411の曲率の変化により、像平面417上にシャープに合焦される。
【0036】
他の例では、ズームシステムは、図4Aおよび図4Bに示すオートフォーカスレンズに基づいて構成できる。この場合には、ズームレンズシステムは、非常にコンパクトなバリフォーカルベースのシステムを創出すべく、多数の固定・変形不能光学要素と一緒に2つの変形可能レンズを使用する。
オートフォーカスシステムのレンズ411と同様に、ズームシステムの変形可能レンズは、エレクトロアクティブポリマー技術にしたがって構成され、磁気的にチューニングでき、圧電アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータまたは静電アクチュエータを使用している。このように構成すると、レンズは、エレクトロウェッティングまたは液晶等の他のレンズチューニング技術より優れた非常に高いチューニング範囲を得ることができる。また、単色収差の矯正のため、ズームレンズに使用される変形可能レンズと組み合わせて位相板または矯正レンズ要素を使用できる。
【0037】
図4Cおよび図4Dの例では、第1変形可能レンズ411は、変形可能膜454を有している。環状レンズシェーピング構造460は、膜454を、中央の光学的に活性な部分456と、周辺の光学的に活性でない部分455とに分割する。前述のように、センサ417は、第1変形可能レンズ411により合焦された光を受けるように構成され、光路449は、第1変形可能レンズ411を通ってセンサ417まで延びている。第1変形可能レンズ411は、光路を進行する光を直接センサ417上に合焦させるため、機械的リンケージ構造461を介して、入力された電気信号418にしたがってチューニングされる。第1光学媒体(例えば空気)からなる第1体積450(一態様のクロスハッチングで示されている)および第2光学媒体(例えば充填材料)からなる第2体積(他の態様のクロスハッチングで示されている)が、変形可能膜454により少なくとも一部が形成されている。第1体積450および第2体積452は、ハウジング458により完全に包囲されている。すなわち、両体積とも、ハウジング458の外部まで延びていない。第1体積450および第2体積452は、第1変形可能レンズ411の全ての形状において実質的に一定に維持される。第1変形可能レンズ要素411には矯正光学要素412が組込まれており、第2体積452と接触している。実際には、(他の形式のシステムを構成するため)図4のシステムに他の変形可能レンズが付加されるので、これらの新しい要素により同様な新しい体積が形成されること、および(第1体積および第2体積が互いに一定に維持されるので)これらの同様な新しい体積が互いに一定または実質的に一定に維持されることは理解されよう。
【0038】
図4Dには、図4Cと同じシステムが示されている。しかしながら、この例では、システムの状態が変更されており、物体は、図4Cで像が投影された物体よりシステムの近くにある。変形可能レンズ411の曲率は、機械的リンケージ構造461をセンサ417の方向(参照番号462により示された移動方向)に移動させることにより、入力された電気的信号418にしたがって増大される。このプロセスでは、第1体積450および第2体積452は変形可能膜454により分離された状態に維持され、実質的に一定に維持される。ここで図5A,図5B、図5Cおよび図5Dを参照すると、オートフォーカスレンズの他の例が示されている。このシステムは、カバー510、変形可能レンズ520、開口絞り513、固定・変形不能レンズ515、扁平化レンズ521、矯正レンズ514および像センサ平面517を有している。これらのコンポーネンツは図4の対応要素と同じであり、したがってこれらの要素の説明はここで反復しない。
図5Aには、変形可能レンズ520が反転されており、レンズの曲率変化が像センサ平面517の方向に生じているシステムが示されている。図5Bには、像面湾曲および高次の収差の矯正を行うためのm型またはw型扁平化レンズ521を用いた変形可能レンズ520を備えたシステムが示されている。図5Cの例では、第1レンズ要素の代わりの第3レンズ要素として、変形可能レンズ522が配置されている。図5Dに示すレンズシステムでは、4枚のレンズの代わりに、3枚のみの別々のレンズ要素が使用されている。これらの例の種々の組合せが可能である。
【0039】
ここで図6Aおよび図6Bを参照すると、レンズシステムの他の例が示されている。図6Aには、非ズーム状態(すなわち、広角モード、ズームファクタ=1)にあるズームレンズの一例が示されている。第1変形可能レンズ631は、低集光力の状態にある。変形可能レンズの表面を保護するため、カバー630(例えばガラスから構成されている)が使用されている。矯正要素632が変形可能レンズの材料(例えば、レンズ631内の充填材料)と接触しており、単色収差および多色収差を矯正する。非球面矯正レンズ634は、一機能として、開口絞り633の後の球面収差を矯正する。正の集光力を有する第2変形可能レンズ636が、収差矯正要素635と接触している。第2変形可能レンズ636は、ズームレンズのズーム状態を変化させるべく機能する。一例として像面湾曲を除去すべく機能する扁平化レンズ637が、像センサ638の前方に配置されている。変形可能レンズ631、636は、制御入力639、640により電流制御される。第1変形可能レンズ631の制御入力639はオートフォーカスアルゴリズムから源を発し、第2変形可能レンズ636の制御入力640はユーザ(例えば、ユーザの手動制御またはユーザによる調節)により決定されるズーム入力から源を発している。
【0040】
図6Bには、完全ズーム状態(すなわち、望遠モード、ズームファクタ>約2.5)にある図6Aと同じズームレンズが示されている。光線束をセンサチップ638上に合焦させるため、第1変形可能レンズ631は高集光力の状態にあり、第2変形可能レンズ636は負の集光力の状態にある。「高集光力」とは、約5.0mmより小さい焦点距離(約200ディオプタより大きい集光力)が使用されることを意味し、「負の集光力」とは、約-4.0mmと0mmとの間にある焦点距離(約-250ディオプタより大きく負である集光力)が使用されることを意味する。フォーカス調節可能レンズの一方または両方の能力は、正および負の屈折力(すなわち、凸および凹の形状)の両方を与える。
【0041】
ここで図7A、図7B、図7C、図7D、図7Eおよび図7Fを参照して、ズームレンズシステムの他の例を説明する。第1変形可能レンズ731は、低集光力の状態にある。「低集光力」とは、約12.0mmより大きい焦点距離を意味する。変形可能レンズの表面を保護するため、カバー730(例えばガラスから構成される)を使用できる。矯正要素732が変形可能レンズ材料(例えば、レンズ731内の充填材料)と接触しており、単色収差および多色収差を矯正する。非球面矯正レンズ734は、その1つの機能として、開口絞り733の後の球面収差を矯正する。正の集光力を有する第2変形可能レンズ736が、収差矯正要素735と接触している。第2変形可能レンズ736は、ズームレンズのズーム状態を変える機能を有している。一例では像面湾曲を除去する扁平化レンズ740が、像センサ738の前方に置かれる。変形可能レンズ731、736は制御入力739、741により電流制御または電圧制御される。第1変形可能レンズ731の制御入力739はオートフォーカスアルゴリズムから源を発し、第2変形可能レンズ736の制御入力741は、ユーザ(例えばユーザによる手動制御または調節)により決定されるズーム入力から源を発する。
【0042】
図7Aには、像面湾曲および高次の収差の矯正を行うm型またはw型の形状を有する扁平化レンズを有するズームレンズの広角状態が示されている。図7Bは、レンズの対応望遠状態を示す。図7Cおよび図7Dは、矯正レンズ要素および扁平化レンズ740を備えた2つのみのフォーカス調節可能レンズ(すなわち、レンズ731、736)を有するズームレンズシステムを示す。図7Eは、第1フォーカス調節可能なレンズ742が負の屈折力(すなわち、広角ズームモードで凹状)を有するズームレンズシステムの一例を示す。図7Fは、第1変形可能レンズ742が正の屈折力(すなわち凸状)を有するレンズの対応望遠状態にあるシステムを示す。他の例では、種々の光学要素を互換しまたは省略できることは理解されよう。
【0043】
図8Aおよび図8Bを参照すると、矯正レンズ要素801および充填材料802からなる変形可能レンズの変更例が示されている。図8Aは、矯正光学要素801および充填材料802により形成される界面803が、少なくとも光学的に活性の矯正光学要素の部分に関する形状にいかなる反曲点も有していない好ましいバージョンを示している。これらの要素の形状に存在する反曲点は、温度の感度に関係するため、一般的には好ましくない。光学表面に反曲点が存在すると、屈折率の差に対する感度の増大の結果として、温度が設計温度から偏寄するときに、充填材料と矯正レンズ要素との間の界面での2を超える次数の何らかの付加表面が、像のクオリティに大きい欠陥をもたらす。あらゆる変曲点を無くすことにより、これらの問題を無くすか、実質的に無くすことができる。図8Bは、矯正光学要素と充填材料との間の界面804の好ましい実施形態の一例を示すものである。界面は、高次の多項式で表わされるものであるため、表面上に変曲点を有している。
図9には、アセンブリの光学部分の一例が示されている。この例は頂部の可変光学組立体990を有し、該組立体990は、膜992、光学充填材料993、容器991および該容器991内に埋入(または一体化)された矯正光学要素994を含んでいる。この組立体990は、センサ999から最も離れた光学コンポーネントである。このアプローチは、性能を最高に高めると同時に、センサ999からカバー998(例えばカバーガラス)までの高さを最小にできる組立体を提供する。この例の他の特徴は、容器991内に埋入(例えば、光学要素994が充填材料993と接触するように埋入)された光学要素994を有していることにある。この例では、第2レンズが正の屈折力から負の屈折力に変形でき、非常にコンパクトな光学的設計を可能にする。
図9の例では、磁気構造が一緒にかつシステムの1つ以上の光学要素(例えば、レンズ、容器または膜)を介して連結される。システムの他の特徴は、両モータ構造のエアギャップが非常に小さいことである。サイドリターン構造はハウジングへのセルフアタッチング構造にでき、これによりいかなる接着剤(例えば、にかわ)も不要で容易に組立てることができる。また、これらのアプローチは、前記エアギャップが正しい中心位置に自動的に位置決めすることを可能にするので、組立ての観点から欠点に対して寛容である。磁石は首尾よく形成され、ハウジング内の支柱は磁石の位置を定める。これらの全ての構造は、上記特許文献1に開示の全てのアプローチによるものである。尚、この特許文献1の全内容は本願に援用する。
【0044】
本発明の開示は種々の変更を受入れることができるが、或る実施形態は図面に例示されており、これらの実施形態は本明細書に詳細に説明されている。しかしながら、この開示は、本発明を、説明された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、本発明は、本発明の精神および範囲内に包含されるあらゆる変更および均等物をカバーすることを意図するものである。
本発明を実施するための、本発明者に知られた最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態を本明細書で説明した。説明した実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
101 第1変形可能レンズ
102 第1位相板
103 レンズ群
104 第2変形可能レンズ
105 第2位相板
106 扁平化レンズ
107 像センサ
108 第1電圧または電流制御要素
109 第2電圧または電流制御要素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能部分を備えた膜を含む第1変形可能レンズと、
該第1変形可能レンズにより合焦された光を受入れるように構成されたセンサと、
第1変形可能レンズを通ってセンサまで延びている光路とを有する光学システムにおいて、
第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされ、
第1光学媒体の第1体積および第2光学媒体の第2体積は、少なくとも一部が、膜の変形可能部分により定められ、第1体積および第2体積はハウジングにより完全に包囲されており、
第1体積および第2体積は、第1変形可能レンズのあらゆる形状に対して実質的に一定に維持されることを特徴とする光学システム。
【請求項2】
前記第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素により変形されることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項3】
前記光路内に配置される第2変形可能レンズを更に有し、該第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項4】
前記第1および第2変形可能レンズは、光路を進行する光を、バリフォーカル作動によりセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされることを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項5】
前記第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされることを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項6】
前記第1変形可能レンズは、凹状から凸状に変化するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項7】
前記第2変形可能レンズは、凸状から凹状に変化するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項8】
矯正固定レンズ要素を更に有し、該矯正固定レンズ要素は第1フォーカス調節可能レンズと一体であり、矯正固定レンズは、変形可能レンズの変形可能材料と接触しておりかつ単色収差または多色収差を矯正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項9】
前記矯正固定レンズ要素は、剛性材料から構成されていることを特徴とする請求項8記載の光学システム。
【請求項10】
2つの変形可能レンズの間に開口絞りが配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項11】
前記第1変形可能レンズ内に開口絞りが配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項12】
前記光路内に配置される固定・変形不能レンズを更に有し、該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成されかつ単色収差または球面収差を矯正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項13】
前記光路内に配置される少なくとも1つの固定・変形不能レンズを更に有し、該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成され、少なくとも1つの固定・変形不能レンズは多色収差を矯正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項14】
前記光路内に配置された矯正レンズを更に有し、該矯正レンズは剛性材料から構成されかつセンサに最も近い変形可能レンズとセンサとの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項15】
光学システムの全軸線方向長さは、レンズが対角線dの像センサについてズームファクタkを形成できる値Lに短縮され、比r=L/(k*d)を有し、該比rは約0.7より小さく、同時に、完全ズーム状態においてセンサを完全に照明する像サイズを形成することを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項16】
前記作動信号は、手動により発生される信号および自動的に発生される信号からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項17】
充填材料を含む第1変形可能レンズと、
充填材料と接触している矯正光学要素と、
第1変形可能レンズにより合焦される光を受けるセンサと、
第1変形可能レンズおよび矯正要素を通ってセンサまで延びている光路とを有するレンズシステムにおいて、
第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、手動または自動による電気信号にしたがってチューニングされ、矯正要素が、光路を進行する光の少なくとも1つの特性を調節することを特徴とするレンズシステム。
【請求項18】
前記第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされることを特徴とする請求項17記載のレンズシステム。
【請求項19】
前記光路内に配置される第2変形可能レンズを更に有し、該第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させることを特徴とする請求項17記載のレンズシステム。
【請求項20】
前記第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされることを特徴とする請求項19記載のレンズシステム。
【請求項21】
前記矯正光学要素および充填材料により形成される界面は、設計光線が通過する形状にいかなる変曲点も有していないことを特徴とする請求項17記載のレンズシステム。
【請求項1】
変形可能部分を備えた膜を含む第1変形可能レンズと、
該第1変形可能レンズにより合焦された光を受入れるように構成されたセンサと、
第1変形可能レンズを通ってセンサまで延びている光路とを有する光学システムにおいて、
第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされ、
第1光学媒体の第1体積および第2光学媒体の第2体積は、少なくとも一部が、膜の変形可能部分により定められ、第1体積および第2体積はハウジングにより完全に包囲されており、
第1体積および第2体積は、第1変形可能レンズのあらゆる形状に対して実質的に一定に維持されることを特徴とする光学システム。
【請求項2】
前記第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素により変形されることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項3】
前記光路内に配置される第2変形可能レンズを更に有し、該第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項4】
前記第1および第2変形可能レンズは、光路を進行する光を、バリフォーカル作動によりセンサ上に直接合焦させるべく、入力される電気信号にしたがってチューニングされることを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項5】
前記第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、磁気歪みアクチュエータ、圧電モータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされることを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項6】
前記第1変形可能レンズは、凹状から凸状に変化するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項7】
前記第2変形可能レンズは、凸状から凹状に変化するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項8】
矯正固定レンズ要素を更に有し、該矯正固定レンズ要素は第1フォーカス調節可能レンズと一体であり、矯正固定レンズは、変形可能レンズの変形可能材料と接触しておりかつ単色収差または多色収差を矯正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項9】
前記矯正固定レンズ要素は、剛性材料から構成されていることを特徴とする請求項8記載の光学システム。
【請求項10】
2つの変形可能レンズの間に開口絞りが配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項11】
前記第1変形可能レンズ内に開口絞りが配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項12】
前記光路内に配置される固定・変形不能レンズを更に有し、該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成されかつ単色収差または球面収差を矯正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項13】
前記光路内に配置される少なくとも1つの固定・変形不能レンズを更に有し、該固定・変形不能レンズは剛性材料から構成され、少なくとも1つの固定・変形不能レンズは多色収差を矯正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項14】
前記光路内に配置された矯正レンズを更に有し、該矯正レンズは剛性材料から構成されかつセンサに最も近い変形可能レンズとセンサとの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項15】
光学システムの全軸線方向長さは、レンズが対角線dの像センサについてズームファクタkを形成できる値Lに短縮され、比r=L/(k*d)を有し、該比rは約0.7より小さく、同時に、完全ズーム状態においてセンサを完全に照明する像サイズを形成することを特徴とする請求項3記載の光学システム。
【請求項16】
前記作動信号は、手動により発生される信号および自動的に発生される信号からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の光学システム。
【請求項17】
充填材料を含む第1変形可能レンズと、
充填材料と接触している矯正光学要素と、
第1変形可能レンズにより合焦される光を受けるセンサと、
第1変形可能レンズおよび矯正要素を通ってセンサまで延びている光路とを有するレンズシステムにおいて、
第1変形可能レンズは、光路を進行する光をセンサ上に直接合焦させるべく、手動または自動による電気信号にしたがってチューニングされ、矯正要素が、光路を進行する光の少なくとも1つの特性を調節することを特徴とするレンズシステム。
【請求項18】
前記第1変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされることを特徴とする請求項17記載のレンズシステム。
【請求項19】
前記光路内に配置される第2変形可能レンズを更に有し、該第2変形可能レンズは、第1変形可能レンズと協働して、光路を進行する光をセンサ上に合焦させることを特徴とする請求項17記載のレンズシステム。
【請求項20】
前記第1変形可能レンズおよび第2変形可能レンズは、少なくとも一部が、静電アクチュエータ、電磁アクチュエータ、圧電モータ、磁気歪みアクチュエータ、ステッパモータおよびエレクトロアクティブポリマーアクチュエータからなる群から選択される要素によりチューニングされることを特徴とする請求項19記載のレンズシステム。
【請求項21】
前記矯正光学要素および充填材料により形成される界面は、設計光線が通過する形状にいかなる変曲点も有していないことを特徴とする請求項17記載のレンズシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2012−520477(P2012−520477A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553440(P2011−553440)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053025
【国際公開番号】WO2010/103037
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511222146)オプトチューン アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053025
【国際公開番号】WO2010/103037
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511222146)オプトチューン アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】
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