説明

レンズ鏡筒及びカメラ

【課題】小型化が可能なレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】本発明のレンズ鏡筒(20)は、第1係合部(52)を有し、絞り動作に応じて駆動される駆動部材(50)と、前記第1係合部(52)と係合する第2係合部(75A)を有し、前記駆動部材(50)の駆動が前記第1係合部(52)及び前記第2係合部(75A)を介して伝達され、絞り動作が行われる絞り部材(70)と、前記絞り部材(70)の回転を制限する回転制限板(60)と、前記駆動部材(50)と前記絞り部材(70)との間に配置され、光軸に沿って移動する被電気供給部(30)と、前記被電気供給部(30)と電気供給部(90)とを接続する可撓性電気接続部材(80,80X,80Y)と、を備え、前記可撓性電気接続部材(80,80X,80Y)が、前記回転制限板(60)に保持されていること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、絞込みレバーを有し、絞り動作に応じて駆動される絞り操作環部材と、絞込みレバーと係合するレバー係合突起を有し、絞り操作環部材の駆動が絞込みレバー及び絞りレバー係合突起を介して伝達され、絞り動作が行われる絞り部材と、絞り部材の回転を制限する回転制限板と、を備えるレンズ鏡筒がある(たとえば、特許文献1参照)。そのようなレンズ鏡筒において、駆動部材と絞り部材との間に配置され、光軸に沿って移動するVRユニットと、VRユニットと回路基板とを接続するフレキシブルプリント基板とが設けられているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−129135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、このようなレンズ鏡筒では、光軸方向に移動可能なVRユニットと、固定されている回路基板と、をフレキシブルプリント基板で接続する際に、当該フレキシブルプリント基板を這わせるための専用部材が光軸に沿って設けられており、レンズ鏡筒の小型化の支障となっていた。
【0005】
本発明の課題は、小型化が可能なレンズ鏡筒及びカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1係合部(52)を有し、絞り動作に応じて駆動される駆動部材(50)と、前記第1係合部(52)と係合する第2係合部(75A)を有し、前記駆動部材(50)の駆動が前記第1係合部(52)及び前記第2係合部(75A)を介して伝達され、絞り動作が行われる絞り部材(70)と、前記絞り部材(70)の回転を制限する回転制限板(60)と、前記駆動部材(50)と前記絞り部材(70)との間に配置され、光軸に沿って移動する被電気供給部(30)と、前記被電気供給部(30)と電気供給部(90)とを接続する可撓性電気接続部材(80,80X,80Y)と、を備え、前記可撓性電気接続部材(80,80X,80Y)が、前記回転制限板(60)に保持されていること、を特徴とするレンズ鏡筒(20)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレンズ鏡筒(20)であって、前記被電気供給部は、ブレ補正を行うブレ補正ユニット(30)であること、を特徴とするレンズ鏡筒(20)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のレンズ鏡筒(20)であって、前記回転制限板(60)は、前記駆動部材(50)及び前記絞り部材(70)の外周側に配置された固定筒(21,22)に固定され、前記可撓性電気接続部材(80,80X,80Y)の一端は前記固定筒(21,22)に固定されていること、を特徴とするレンズ鏡筒(20)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒(20)であって、前記可撓性電気接続部材(80,80X,80Y)は、前記回転制限板(60)の固定端側から該回転制限板(60)に沿って延び、該回転制限板(60)の一面に固定されている固定部(81)と、該固定部(81)における前記固定端と反対側の端部から折れ曲がり、該固定部(81)と重なって前記回転制限板(60)に沿って前記固定端側に延びる第1折曲部(82)と、前記第1折曲部(82)の前記固定端側の端部で再度折れ曲がり、前記第1折曲部(82)と重なって前記回転制限板(60)に沿って延びる第2折曲部(84)と、を備え、該第2折曲部(84)が前記被電気供給部(30)に接続されていることを特徴とするレンズ鏡筒(20)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒(20)を備えるカメラ(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化が可能なレンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を適用したカメラを模式的に示す図である。
【図2】絞り機構の主要部を抽出して斜め背面側から見た斜視図である。
【図3】回転制限板およびフレキシブルプリント基板の装着構造を説明する固定リングを斜め背面側から見た斜視図である。
【図4】フレキシブルプリント基板の装着構造およびその作用を説明する図である。
【図5】本発明の変形例を示す図2と対応する絞り機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用したカメラ1を模式的に示す図である。
なお、以下に説明する各図には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ1の位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をX軸プラス方向、正位置において上側に向かう方向をY軸プラス方向、正位置において被写体に向かう方向をZ軸プラス方向とする。また、以下の説明では、光軸OAと平行な方向を「前後」とし、被写体側を「前面側」、他端側を「背面側」とそれぞれ称する。
【0011】
カメラ1は、カメラボディ10と、レンズ鏡筒20とを備える。
カメラボディ10は、被写体の光学像を電気信号に変換する撮像素子11と、絞りの設定を行うボディ側連動部12と、ボディ側連動部12を駆動する駆動部13とを備える。
レンズ鏡筒20は、カメラボディ10に着脱可能な交換レンズである。なお、本実施形態では、レンズ鏡筒20は、交換レンズである例を示したが、これに限らず、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒としてもよい。
【0012】
レンズ鏡筒20は、焦点距離が可変のいわゆるズームレンズであって、外形を形成する外筒21の内部に、結像光学系を構成するレンズ群(第1レンズ群L1,第2レンズ群L2)と、ブレ補正ユニット30と、結像光学系の絞り開口径を調整する絞り機構40等を備えている。
【0013】
外筒21の内部には、固定筒22と、カム筒23とが、同心状に配置されている。
外筒21の基端部(背面側の端部)には小径のフランジ部21Aが形成されている。このフランジ部21Aは、レンズ側マウント部24と固定リング25との間に固定されている。レンズ側マウント部24は、レンズ鏡筒20をカメラボディ10に結合する部材である。また、外筒21の外周には、ズーム操作環26が回転可能に装着されている。
【0014】
固定筒22の基端は、固定リング25に結合され、外筒21に対して相対回転不能に固定されている。
カム筒23は、固定筒22の内周に摺動回転および移動可能に嵌合している。このカム筒23は、図示しないカム機構を介してズーム操作環26と連繋されており、ズーム操作環26の回転に連動して回転すると共に当該レンズ鏡筒20の光軸OA方向に移動するようになっている。
【0015】
第1レンズ群L1は、カム筒23の前端部に保持されている。従って、カム筒23の移動に伴って光軸OA方向に移動する。
第2レンズ群L2は、ブレ補正ユニット30に保持されている。
ブレ補正ユニット30は、詳しい説明は省略するが、摺動筒31の内部に、第2レンズ群L2をアクチュエータによって光軸OAと直交するX軸方向およびY軸方向に移動駆動可能に構成されている。
摺動筒31の背面側には、背面板32が設けられている。背面板32は、ブレ補正ユニット30の背面を構成し、背面側に突出して後述するフレキシブルプリント基板80を保持する基板保持部32Aを備えている。
【0016】
ブレ補正ユニット30は、摺動筒31の外周がカム筒23の内周に摺動移動可能に嵌合し、カム筒23と図示しないカム機構を介して連繋している。そして、ブレ補正ユニット30は、カム筒23の移動および回転に伴って、回転することなく光軸OA方向に所定の関係で移動するようになっている。
【0017】
また、ブレ補正ユニット30には、フレキシブルプリント基板80が接続されており、このフレキシブルプリント基板80を介してアクチュエータ等への制御情報や駆動電力の供給等が行われるようになっている。
フレキシブルプリント基板80は、固定リング25の外周に配置された制御基板90から、後述する絞り機構40における回転制限板60に沿って配置されて、制御基板90とブレ補正ユニット30とを接続している。このフレキシブルプリント基板80の配置構造については、後に詳述する。
【0018】
絞り機構40は、外筒21の基端部に配置された絞り操作環部材50および回転制限板60と、ブレ補正ユニット30の前面側に配置された絞りユニット70と、によって構成されている。
絞り機構40は、カメラボディ10側の操作によって、絞り開口径を調整すると共に、レンズ鏡筒20のズーム操作に応じて絞り開放開口径を調整するものである。この絞り機構40については、後に詳述する。
【0019】
上記構成のレンズ鏡筒20は、レンズ側マウント部24を介してカメラボディ10に装着され、第1レンズ群L1および第2レンズ群L2によって被写体像を撮像素子11に結像させる。第1レンズ群L1および第2レンズ群L2(ブレ補正ユニット30)は、外筒21の外周に設けられたズーム操作環26の回転操作によって光軸OA方向に移動する。
【0020】
ブレ補正ユニット30は、制御基板90によって構成された制御装置によって制御され、図示しないブレ検出センサによるブレの検出結果に基づいてアクチュエータを駆動し、第2レンズ群L2を撮像素子に対してブレ等に起因する被写体像の像ブレを打ち消す方向に移動して、撮像素子11の結像面における像ブレを補正する。絞り機構40は、カメラボディ10側の操作に応じて絞り開口径を調整する。
【0021】
そして、カメラ1は、レンズ鏡筒20によって結像された被写体光像を撮像素子11によって電気信号に変換し、画像情報としてカメラボディ10が備える図示しないメモリに記録する。
【0022】
つぎに、図1に加えて図2〜図4を参照して、絞り機構40とフレキシブルプリント基板80の配置構造について詳細に説明する。
図2は、絞り機構40の主要部を抽出して斜め背面側から見た斜視図である。この図2中、レンズ側マウント部24、外筒21のフランジ部21Aおよびブレ補正ユニット30の大部分は省略してある。図3は、回転制限板60およびフレキシブルプリント基板80の装着構造を説明する固定リング25を斜め背面側から見た斜視図である。図4は、フレキシブルプリント基板80の装着構造およびその作用を説明する図である。
【0023】
絞り機構40は、前述したように、絞り操作環部材50および回転制限板60と、絞りユニット70と、を備えている。
絞り操作環部材50は、カメラボディ10側の絞り動作に応じて駆動される円環状の部材であって、レンズ鏡筒20の基端部に固定されたレンズ側マウント部24の内側に回転可能に装着されている。
絞り操作環部材50は、レンズ側連動部51と、絞込みレバー52と、バネかけ部53とを備えている。
【0024】
レンズ側連動部51は、背面側(カメラボディ10側)に延在して設けられており、カメラボディ10に設けられたボディ側連動部12に押圧操作されて、当該ボディ側連動部12に連動して動作する部材である。
絞込みレバー52は、前面側(絞りユニット70側)に延在して設けられた腕状の部材であり、後述する絞りユニット70における絞り操作部材73の第1レバー係合突起73Aの係合部73Aaが当接係合している。
【0025】
バネかけ部53は、背面側に向けて突設されており、このバネかけ部53と、レンズ側マウント部24の内面に配置された固定ピン27との間に、絞り操作環付勢バネ41が掛け渡されている。
絞り操作環付勢バネ41は、コイルスプリングであって、一端がバネかけ部53に係合すると共に、他端がレンズ側マウント部24の内面に配置された固定ピン27に係合して設けられている。
これにより、絞り操作環部材50は、絞り操作環付勢バネ41の弾性復帰力によって図2中矢印Aの方向に回転付勢されている。
【0026】
回転制限板60は、平板状の装着部61と、この装着部61から直角に延設された操作板部62と、を備えている。回転制限板60は、装着部61がレンズ鏡筒20の基端部に固定された固定リング25の背面側にネジによって締着されて、固定リング25に固定されている。
【0027】
操作板部62は、板状であって、その板面を光軸OAに向けた姿勢で、光軸OAと平行に配置されている。操作板部62の図2中矢印Aで示す回転方向前方側の端縁は、先細りとなる所定角度の補正勾配面62Aとなっている。この操作板部62の補正勾配面62Aには、後述する絞りユニット70における絞り操作部材73の第2レバー係合突起73Bの係合部73Baが当接係合している。
また、操作板部62の内側面62Bには、制御基板90とブレ補正ユニット30とを接続するフレキシブルプリント基板80が配置されている。
【0028】
絞りユニット70は、保持部材71と、絞り羽根72と、絞り操作部材73と、固定枠74と、回転部材75を備え、ブレ補正ユニット30の前面側に一体に移動可能に構成されている。
保持部材71は、絞りユニット70の骨格を構成する円盤状の部材であって、ブレ補正ユニット30における摺動筒31の前面側に、回転部材75を挟んで装着されている。
また、保持部材71は、周方向所定位置に、背面側に突出するバネ係合部71Aを備えている。このバネ係合部71Aには、回転部材75における被操作バネ係合部75Bに一端が係合した回転部材バネ76の他端が係合している。
【0029】
保持部材71の前面側には、絞り羽根72と、絞り操作部材73とが、ブレ補正ユニット30における摺動筒31の前面側に固定された固定枠74によって装着されている。
絞り羽根72は、絞りの開閉を制御する弓形の部材であって、保持部材71と絞り操作部材73との間に複数枚配置されている。各絞り羽根72は、保持部材71側に突出して保持部材71に支持される図示しない枢着ピンと、カム部材側に突出した図示しないカムピンと、を備えている。
【0030】
絞り操作部材73は、円環状の部材であって、図示しないが各絞り羽根72のカムピンが摺動可能に嵌合するカム溝を備え、固定枠74に回転自在に支持されている。絞り操作部材73は、その回転によって、図示しないカム溝が各絞り羽根72を揺動駆動し、各絞り羽根72によって形成される絞り開口径を変化させる。本実施形態においては、絞り操作部材73の図2中矢印Bで示す方向の回転によって絞り開口径が大径化し(開放し)、逆方向の回転によって小径化する(絞り込まれる)。
【0031】
また、絞り操作部材73は、第1レバー係合突起73Aと第2レバー係合突起73Bとを備えている。第1レバー係合突起73Aおよび第2レバー係合突起73Bは、それぞれ板状であって、絞り操作部材73の外周縁部から背面側に延設されている。第1レバー係合突起73Aおよび第2レバー係合突起73Bは、それぞれ先端部に所定幅で幅方向に屈曲された係合部73Aa,73Baを備えている。
【0032】
第1レバー係合突起73Aは、絞り操作環部材50における絞込みレバー52と対応している。その係合部73Aaは、図2中矢印Aで示す方向に回転する絞込みレバー52に対して係合するようになっている。
第2レバー係合突起73Bは、回転制限板60における操作板部62と対応している。その係合部73Baは、図2中矢印Bで示す方向に回転する操作板部62に対して係合するようになっている。
【0033】
さらに、絞り操作部材73は、その周縁部の周方向所定位置に、背面側に突出するバネ係合部73Cを備えている。バネ係合部73Cには、操作部材付勢バネ77の一端が係合している。この操作部材付勢バネ77の他端は、後述する回転部材75の操作係合部に係合している。これにより、絞り操作部材73は、操作部材付勢バネ77の弾性復帰力によって、回転部材75に対して図2中矢印Bで示す方向に相対回転付勢されている。
【0034】
回転部材75は、保持部材71の背面側に所定の角度範囲で回転可能に装着されている。回転部材75は、レバー係合突起75Aを備えている。レバー係合突起75Aは、所定幅の板状であって、回転部材75の外周縁部から背面側に延設されている。レバー係合突起75Aの先端部には、幅方向に屈曲された断面形状コ字状の係合部75Aaが形成されている。
レバー係合突起75Aは、絞り操作環部材50における絞込みレバー52と対応している。その係合部75Aaは、図2中矢印Aで示す方向とは逆方向に回転する絞込みレバー52に対して係合するようになっている。
【0035】
また、回転部材75は、被操作バネ係合部75Bと、操作バネ係合部75Cとを備えている。被操作バネ係合部75Bおよび操作バネ係合部75Cは、回転部材75の周縁部の周方向所定位置にそれぞれ背面側に突設されている。
被操作バネ係合部75Bには、保持部材71におけるバネ係合部71Aに一端が係合した回転部材バネ76の他端が係合している。これにより、回転部材75は、回転部材バネ76の弾性復帰力によって、保持部材71に対して図2中矢印Bで示す方向とは逆方向に相対回転付勢されている。
操作バネ係合部75Cには、絞り操作部材73のバネ係合部に一端が係合した操作部材付勢バネ77の他端が係合している。
【0036】
つぎに、上記のように構成された絞りユニット70における開放時における作用について説明する。
絞り操作環部材50のレンズ側連動部51が、カメラボディ10のボディ側連動部12によって図2中矢印Aで示す方向と逆方向に回転操作されると、絞込みレバー52を介して回転部材75が図2中矢印Bで示す方向に回転操作される。これにより、回転部材75は、回転部材バネ76の付勢力に抗して図2中矢印B方向に回転する。絞り操作部材73の第1レバー係合突起73Aは、操作部材付勢バネ77の付勢力で絞込みレバー52に追従して移動し、絞り操作部材73は図2中矢印B方向に回転する。その結果、絞り羽根72は開放する側に駆動される。絞り操作部材73の図2中矢印B方向への回転は、第2レバー係合突起73Bの係合部73Baが、回転制限板60の補正勾配面62Aに当接することで規制され、これによって絞り羽根72の開放絞り開口が規定される。
【0037】
レンズ鏡筒20がズーム操作されると、絞りユニット70はブレ補正ユニット30と共に光軸OA方向に移動し、第2レバー係合突起73Bにおける係合部73Baの周方向における位置(絞り操作部材73の回転位置)は、回転制限板60の補正勾配面62Aに従って変位する。その結果、ズーム操作による焦点距離に応じて、絞り羽根72の開放絞り開口が変化する。回転制限板60における補正勾配面62Aは、操作板部62が先細りになる方向に所定角度で形成されているため、長焦点側(望遠側)へのズーム操作によって絞りユニット70が前面側に移動すると、絞り操作部材73は図2中矢印Bで示す方向に回転して絞り羽根72の開放絞り開口は大きくなるものである。
【0038】
ここで、前述したように、制御基板90とブレ補正ユニット30とを接続するフレキシブルプリント基板80は、回転制限板60における操作板部62の内側面62Bに配置されている。
図3に示すように、フレキシブルプリント基板80は、固定リング25の外周所定位置に配置された制御基板90から、絞り機構40における回転制限板60と対応する位置までは固定リング25の外周に沿って配置される。フレキシブルプリント基板80は、回転制限板60と対応する位置から回転制限板60における操作板部62の内側面62Bに沿って配置されて、ブレ補正ユニット30に接続されている。フレキシブルプリント基板80の回転制限板60への配置部位における幅は、操作板部62の幅と略一致している。
【0039】
回転制限板60(操作板部62)へのフレキシブルプリント基板80の配置構造は、下記のように、ブレ補正ユニット30の移動を許容するようになっている。
すなわち、図4に示すように、フレキシブルプリント基板80は、固定リング25の背面側から操作板部62の内周側(図4中上側)の面に沿って前面側所定位置まで延び、接着剤または両面テープ等の接着部材63によって操作板部62に固定される固定部81を有する。
さらにフレキシブルプリント基板80は、固定部81から連続し、その端部で小さな屈曲半径で内周側に折り曲げられて固定リング25側に延びる第1折曲部82を有する。
フレキシブルプリント基板80は、さらに、背面側に向かって固定リング25近傍まで戻された第1折曲部82から連続し、自由折曲部83で再度前面側に向けて屈曲反転される。自由折曲部83は、フレキシブルプリント基板80がその可撓性で自然に大きな屈曲半径で屈曲し得るように設定されている。そして、自由折曲部83からさらに、内周側に位置するブレ補正ユニット30における背面板32の基板保持部32Aに接着部材63によって接着されるとともに基板保持部32Aに沿って延びて第2折曲部84を形成し、ブレ補正ユニット30に接続される。
【0040】
このようなフレキシブルプリント基板80の配置構造により、図4(a)に示すブレ補正ユニット30が背面側に位置する広角状態から、図4(b)に示すようにブレ補正ユニット30が前面側に移動しても、フレキシブルプリント基板80における自由折曲部83の位置が変化してブレ補正ユニット30の移動に無理なく追従できる。
【0041】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)レンズ鏡筒20は、固定リング25に配置された制御基板90からブレ補正ユニット30に制御情報や駆動電力の供給を行うフレキシブルプリント基板80が、絞り機構40における回転制限板60に沿って配置されている。これにより、フレキシブルプリント基板80を配置するために専用の部材を設ける必要が無く、スペース効率が向上する。その結果、レンズ鏡筒20の小型軽量化が可能となる。
【0042】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態は、固定リング25に配置された制御基板90からブレ補正ユニット30に制御情報や駆動電力の供給を行うフレキシブルプリント基板80を一系統(一組)備えたものである。しかし、本発明はこれに限らず、複数の系統のフレキシブルプリント基板を備えたものに適用しても良い。
【0043】
そのような例として、図5に、2系統のフレキシブルプリント基板80X,80Yを備えた、図2と対応する絞り機構の斜視図を示す。
図5に示す絞り機構は、固定リング25における回転制限板60とは異なる周方向の位置に、前面側に延びる板状の基板ホルダ100が固定され、この基板ホルダ100にフレキシブルプリント基板80Yが配置されてブレ補正ユニット30に接続されている。一方、回転制限板60には、上述した実施形態と同様にフレキシブルプリント基板80Xが配置されている。
【0044】
このように、2系統のフレキシブルプリント基板80X,80Yを独立して設けることで、ブレ補正ユニット30におけるX軸およびY軸方向のアクチュエータに対してそれぞれ独立した最短距離の配線が可能となる等、配線の自由度が向上する。
なお、図5中、図2と同様の構成要素には同符号が付してある。
【0045】
(2)上記実施形態は、本発明を一眼レフ型のカメラに適用した例であるが、本発明の光学機器は、例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、レンズ鏡筒等とすることができる。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0046】
1:カメラ、10:カメラボディ、11:撮像素子、12:ボディ側連動部、20:レンズ鏡筒、25:固定リング、30:ブレ補正ユニット、40:絞り機構、50:絞り操作環部材、60:回転制限板、62:操作板部、62B:内側面、70:絞りユニット、72:絞り羽根、73:絞り操作部材、73A:第1レバー係合突起、73B:第2レバー係合突起、80,80X,80Y:フレキシブルプリント基板、90:制御基板、L1:第1レンズ群、L2:第2レンズ群、OA:光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1係合部を有し、絞り動作に応じて駆動される駆動部材と、
前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、前記駆動部材の駆動が前記第1係合部及び前記第2係合部を介して伝達され、絞り動作が行われる絞り部材と、
前記絞り部材の回転を制限する回転制限板と、
前記駆動部材と前記絞り部材との間に配置され、光軸に沿って移動する被電気供給部と、
前記被電気供給部と電気供給部とを接続する可撓性電気接続部材と、
を備え、
前記可撓性電気接続部材が、前記回転制限板に保持されていること、
ことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒であって、
前記被電気供給部は、ブレ補正を行うブレ補正ユニットであること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒であって、
前記回転制限板は、前記駆動部材及び前記絞り部材の外周側に配置された固定筒に固定され、
前記可撓性電気接続部材の一端は前記固定筒に固定されていること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒であって、
前記可撓性電気接続部材は、前記回転制限板の固定端側から該回転制限板に沿って延び、該回転制限板の一面に固定されている固定部と、
該固定部における前記固定端と反対側の端部から折れ曲がり、該固定部と重なって前記回転制限板に沿って前記固定端側に延びる第1折曲部と、
前記第1折曲部の前記固定端側の端部で再度折れ曲がり、前記第1折曲部と重なって前記回転制限板に沿って延びる第2折曲部と、
を備え、該第2折曲部が前記被電気供給部に接続されていること
を特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒を備えるカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−248009(P2011−248009A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119644(P2010−119644)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】