説明

レンズ駆動装置

【課題】装置が小型化しても、レンズを駆動するための駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能なレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置1は、レンズの光軸方向へ移動可能な可動体2と、可動体2を光軸方向へ移動可能に保持する固定体3と、可動体2を光軸方向へ駆動する駆動機構と、固定体3の内部でかつ光軸方向の一端側で可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ6とを備えている。駆動機構は、固定体3の内部に配置される駆動用コイルおよび駆動用磁石を備え、固定体3は、駆動用コイルに電流を供給するための給電用端子14と、給電用端子14が固定されるとともに光軸方向における固定体3の一端側部分を構成するベース部材11とを備えている。板バネ6には、駆動用コイルが電気的に接続されている。また、板バネ6と給電用端子14とは、光軸方向におけるベース部材11の一端側で互いに固定されて、電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等に搭載されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置として、レンズを保持して光軸方向へ移動するスリーブと、スリーブを光軸方向へ駆動するための駆動用コイルおよび駆動用磁石を有する駆動機構と、スリーブおよび駆動機構等が内部に配置される支持体とを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、支持体は、支持体の反被写体側部分を構成するホルダと、スリーブおよび駆動機構の外周側を覆う箱状のヨークとを備えている。
【0003】
また、このレンズ駆動装置では、スリーブは、スリーブの反被写体側に配置される2個の第1バネ部材(板バネ)と、スリーブの被写体側に配置される1個の第2バネ部材(板バネ)とによって、光軸方向への移動が可能となるように支持体に支持されている。2個の第1バネ部材のそれぞれには、駆動用コイルの両端部のそれぞれが接続されている。また、2個の第1バネ部材のそれぞれには、ホルダに固定された給電用の端子が接続されている。第1バネ部材と給電用の端子とは、ホルダの被写体側で接続されており、第1バネ部材と給電用の端子との接続部分は、支持体の内部に配置されている。このレンズ駆動装置では、端子および第1バネ部材を介して、駆動用コイルに電流が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−66286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯電話等に搭載されるカメラの市場では、カメラの小型化の要求が一段と高まっており、そのため、カメラに使用されるレンズ駆動装置の小型化の要求も一段と高まっている。しかしながら、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、第1バネ部材と給電用の端子との接続部分が支持体の内部に配置されており、支持体の内部に第1バネ部材と給電用の端子との接続部分の配置スペースを確保する必要がある。そのため、このレンズ駆動装置では、装置が小型化していくと、支持体の内部の、駆動用磁石および駆動用コイルの配置スペースが狭くなって、駆動機構の駆動力が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、装置が小型化しても、レンズを駆動するための駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能なレンズ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体を光軸方向へ駆動する駆動機構と、固定体の内部でかつ光軸方向の一端側で可動体と固定体とを繋ぐ板バネとを備え、駆動機構は、固定体の内部に配置される駆動用コイルおよび駆動用磁石を備え、固定体は、駆動用コイルに電流を供給するための給電用端子と、給電用端子が固定されるとともに光軸方向における固定体の一端側部分を構成するベース部材とを備え、板バネには、駆動用コイルが電気的に接続され、板バネと給電用端子とは、光軸方向におけるベース部材の一端側で互いに固定されて、電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のレンズ駆動装置では、固定体は、光軸方向における固定体の一端側部分を構成するベース部材を備えており、可動体と固定体とを繋ぐ板バネと駆動用コイルに電流を供給するための給電用端子とが、光軸方向におけるベース部材の一端側で互いに固定されている。すなわち、本発明では、固定体の内部ではなく、固定体の外側で、板バネと給電用端子とが接続されている。そのため、固定体の内部に板バネと給電用端子との接続部分を配置するスペースを確保する必要がない。したがって、レンズ駆動装置が小型化して、固定体が小型化しても、固定体の内部に駆動用コイルおよび駆動用磁石の配置スペースを確保することが可能になる。その結果、本発明では、レンズ駆動装置が小型化しても、レンズを駆動するための駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能になる。
【0009】
本発明において、ベース部材には、板バネの一部が配置される配置孔が光軸方向でベース部材を貫通するように形成され、板バネは、光軸方向におけるベース部材の他端側の面に固定される固定体固定部と、給電用端子に接続される端子接続部と、配置孔に配置され固定体固定部と端子接続部とを繋ぐ連結部とを備え、連結部は、固定体固定部と略直交するように繋がるとともに、端子接続部と略直交するように繋がっていることが好ましい。このように構成すると、固定体の内部で可動体と固定体とを繋ぐ板バネの一部を比較的簡易な構成で固定体の外側に配置して、固定体の外側で板バネと給電用端子とを接続することが可能になる。
【0010】
本発明において、板バネは、光軸方向におけるベース部材の他端側の面に固定される固定体固定部と、給電用端子に接続される端子接続部と、固定体固定部と端子接続部とを繋ぐ連結部とを備え、連結部は、光軸方向に弾性変形可能となっていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、給電用端子と端子接続部との接続部分の残留応力の影響で、あるいは、レンズ駆動装置が使用される環境温度の変化等の影響で、端子接続部を移動させるような力が端子接続部に作用しても、連結部を弾性変形させて、固定体固定部がベース部材の他端側の面から外れてしまうのを防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、連結部は、光軸方向へ弾性変形可能なように蛇行していることが好ましい。このように構成すると、連結部が光軸方向へより弾性変形しやすくなる。したがって、たとえば、給電用端子と端子接続部との接続部分の残留応力の影響等で、端子接続部を移動させるような力が端子接続部に作用しても、連結部を弾性変形させて、固定体固定部がベース部材の他端側の面から外れてしまうのを効果的に防止することが可能になる。また、このように構成すると、端子接続部から連結部を経由して固定体固定部へ至るまでの距離を長くすることが可能になる。したがって、たとえば、給電用端子と端子接続部とを半田付けして接続する際の熱であって、板バネを介してベース部材に伝達される熱の量を低減することが可能になる。その結果、熱の影響によるベース部材の損傷を防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、レンズ駆動装置は、一対の板バネと、一対の給電用端子とを備え、一対の板バネのうちの一方の板バネと、一対の給電用端子のうちの一方の給電用端子とが接続され、一対の板バネのうちの他方の板バネと、一対の給電用端子のうちの他方の給電用端子とが接続され、光軸方向から見たときに、一方の板バネは、一方の給電用端子とは重なるが他方の給電用端子とは重ならず、かつ、他方の板バネは、他方の給電用端子とは重なるが一方の給電用端子とは重なっていないことが好ましい。このように構成すると、レンズ駆動装置に大きな衝撃が加わって、可動体が光軸方向へ大きく移動し、板バネが大きく撓んだとしても、一方の板バネと他方の給電用端子との接触を防止し、かつ、他方の板バネと一方の給電用端子とは接触を防止することが可能になる。したがって、短絡を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、給電用端子は、板バネに接続されるバネ接続部を備え、板バネは、バネ接続部に接続される端子接続部を備え、バネ接続部は、鉤状に形成され、端子接続部には、バネ接続部が挿通される挿通孔が端子接続部を貫通するように形成されるとともに、バネ接続部に係合する舌部が挿通孔の縁から挿通孔の内側へ突出するように形成されていることが好ましい。このように構成すると、舌部を用いて、挿通孔に挿通されたバネ接続部に端子接続部を仮固定することが可能になる。したがって、端子接続部とバネ接続部とを接続する際の作業が容易になる。
【0014】
本発明において、給電用端子は、導電性を有する平板が折り曲げられることで形成され、舌部は、光軸方向とバネ接続部の厚み方向とに略直交する方向に突出していることが好ましい。このように構成すると、バネ接続部の厚み方向に舌部が突出している場合と比較して、舌部がバネ接続部に係合しやすくなる。したがって、挿通孔に挿通されたバネ接続部に端子接続部を仮固定しやすくなる。
【0015】
本発明において、給電用端子は、導電性を有する平板が折り曲げられることで形成され、光軸方向とバネ接続部の厚み方向とに略直交する方向におけるバネ接続部の最大幅と、挿通孔の最大幅とが略等しくなっていることが好ましい。このように構成すると、挿通孔に挿通されたバネ接続部が挿通孔から抜けにくくなる。したがって、バネ接続部に端子接続部を仮固定しやすくなる。また、このように構成すると、端子接続部とバネ接続部とを接続する際の、端子接続部とバネ接続部との相対位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【0016】
本発明において、光軸方向におけるベース部材の一端側の面には、光軸方向の他端側に向かって窪む凹部が形成され、板バネと給電用端子とは、凹部の中で接続され、凹部には、接着剤が充填されていることが好ましい。このように構成すると、固定体の内部で可動体と固定体とを繋ぐ板バネの一部がベース部材の外側に配置されていても、固定体の内部に塵埃が入り込むのを防止することが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、駆動用磁石は、略三角柱状に形成されるとともにレンズ駆動装置の四隅のそれぞれに配置され、駆動用コイルは、略四角筒状に形成されるとともにレンズ駆動装置の側面に沿うように駆動用磁石の外周側に配置されている。この場合には、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置の四隅に駆動用磁石が配置されるため、レンズ駆動装置を小型化することが可能になる。一方、この場合には、レンズ駆動装置の四隅に駆動用磁石が配置され、さらに、その外周側に駆動用コイルが配置されているため、固定体の内部で板バネと給電用端子とが接続されると、その接続作業が困難になるが、本発明では、固定体の外側で板バネと給電用端子とが接続されているため、この場合であっても、板バネと給電用端子との接続作業を容易に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、レンズ駆動装置が小型化しても、レンズを駆動するための駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置の斜視図である。
【図2】図1のE−E断面の断面図である。
【図3】図1に示すレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図4】図3に示すスリーブ、駆動用磁石および駆動用コイルの配置関係を説明するための平面図である。
【図5】図3に示す板バネと給電用端子との接続部分を示す斜視図である。
【図6】図3に示す給電用端子の斜視図である。
【図7】(A)は、一方の板バネの端子接続部および連結部を説明するための拡大斜視図であり、(B)は、他方の板バネの端子接続部および連結部を説明するための拡大斜視図である。
【図8】図7に示す端子接続部の平面図である。
【図9】図1に示すレンズ駆動装置を反被写体側から示す斜視図である。
【図10】図3に示すベース部材の一部の平面図である。
【図11】図3に示す板バネと給電用端子とが接続された状態の平面図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかる板バネの連結部の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(レンズ駆動装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の斜視図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。図4は、図3に示すスリーブ8、駆動用磁石15および駆動用コイル16の配置関係を説明するための平面図である。なお、以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、図1等のX1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、図1に示すように、全体として略四角柱状に形成されている。すなわち、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略四角形状となるように形成されている。本形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0023】
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態のレンズ駆動装置1が搭載されるカメラでは、下側に図示を省略する撮像素子が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。なお、本形態では、下側は、光軸方向の一端側であり、上側は、光軸方向の他端側である。
【0024】
レンズ駆動装置1は、図1、図2に示すように、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体2と、可動体2を光軸方向へ移動可能に保持する固定体3と、可動体2を光軸方向へ駆動するための駆動機構4とを備えている。また、レンズ駆動装置1は、可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ5、6を備えている。すなわち、可動体2は、板バネ5、6を介して固定体3に移動可能に保持されている。本形態では、1個の板バネ5が可動体2の上端側に配置され、一対(2個)の板バネ6が可動体2の下端側に配置されている。
【0025】
可動体2は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ7を保持するスリーブ8を備えている。固定体3は、レンズ駆動装置1の上端面を構成するカバー部材9と、レンズ駆動装置1の4つの側面を構成するカバー部材10と、レンズ駆動装置1の下端面を構成するベース部材11と、板バネ5の一部が固定されるスペーサ12と、カバー部材9とスペーサ12との間に配置されるシール部材13と、後述の駆動用コイル16に電流を供給するための一対(2個)の給電用端子14とを備えている。なお、図2、図3では、レンズホルダ7の図示を省略している。
【0026】
レンズホルダ7は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ7の内周側には、光軸方向から見たときの形状が略円形状となる複数のレンズが固定されている。
【0027】
スリーブ8は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ8は、上下方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、上下方向から見たときの外周面の形状が略八角形状となる略筒状に形成されている。また、スリーブ8の下端側には、レンズ駆動装置1の四隅の方向へ突出する突出部8aが形成されており、上下方向から見たときのスリーブ8の下端側部分の形状は略正方形状となっている。このスリーブ8は、その内周側でレンズホルダ7を保持している。すなわち、スリーブ8の内周面にレンズホルダ7の外周面が固定されている。
【0028】
カバー部材10は、磁性材料で形成されるとともに、金属材料で形成されている。たとえば、カバー部材10は、磁性を有する鋼板によって形成されている。また、カバー部材10は、底部10aと筒部10bとを有する底付きの略四角筒状に形成されている。上側に配置される底部10aの中心には、貫通孔10cが形成されている。カバー部材10は、可動体2の上端側の一部を除く大半部分および駆動機構4の外周側を囲むように配置されている。
【0029】
カバー部材9は、金属材料で形成されている。たとえば、カバー部材9は、非磁性のステンレス鋼板で形成されている。また、カバー部材9は、底部9aと筒部9bとを有する底付きの略四角筒状に形成されている。筒部9bの上下方向の幅は、カバー部材10の筒部10bの上下方向の幅よりも狭くなっている。上側に配置される底部9aの中心には、貫通孔9cが形成されている。
【0030】
カバー部材9は、カバー部材10の上端側に溶接によって固定されており、レンズ駆動装置1の上端側部分を構成するとともに、固定体3の上端側部分を構成している。また、カバー部材9は、可動体2の上端側の一部の外周側を囲むように配置されている。カバー部材9の筒部9bの下端には、溶接によってカバー部材10に固定される被固定部9dが形成されている。被固定部9dは、筒部9bの前後の側面の左右両端から下方向へ突出するように形成されている。
【0031】
ベース部材11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。また、ベース部材11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。このベース部材11は、カバー部材10の下端側に固定されており、レンズ駆動装置1の下端側部分を構成するとともに、固定体3の下端側部分を構成している。ベース部材11の中心には、貫通孔11aが形成されている。ベース部材11の詳細な構成については後述する。
【0032】
板バネ5は、スリーブ8の上端側に固定される円環状の可動体固定部5aと、可動体固定部5aの外周側に配置され、スペーサ12およびカバー部材10に固定される略正方形の枠状の固定体固定部5bと、可動体固定部5aと固定体固定部5bとを繋ぐ4本の腕部5cとを備えている。この板バネ5は、可動体固定部5aおよび固定体固定部5bの厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ8、カバー部材10およびスペーサ12に固定されている。
【0033】
板バネ6は、スリーブ8の下端側に固定される略半円弧状の可動体固定部6aと、可動体固定部6aの外周側に配置され、ベース部材11に固定される略三角形状の2個の固定体固定部6bと、可動体固定部6aと固定体固定部6bとを繋ぐ2本の腕部6cとを備えている。この板バネ6は、可動体固定部6aおよび固定体固定部6bの厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。板バネ6の詳細な構成については後述する。
【0034】
スペーサ12は、金属材料で形成されるとともに、略正方形の枠状に形成されている。シール部材13は、ゴム状の弾性力を有する工業用材料であるエストラマーによって形成されている。また、シール部材13は、略正方形の枠状に形成されている。スペーサ12およびシール部材13は、上下方向から見たときに板バネ5の固定体固定部5bと重なるように形成されている。スペーサ12の下面には、板バネ5の固定体固定部5bの上面が固定されている。また、固定体固定部5bの下面は、カバー部材10の底部10aの上面に固定されている。シール部材13は、スペーサ12の上面とカバー部材9の底部9aの下面との間に配置されている。
【0035】
給電用端子14は、導電性を有する平板状の金属材料が折り曲げられて形成されている。この給電用端子14は、ベース部材11に固定されている。給電用端子14の詳細な構成については後述する。
【0036】
駆動機構4は、レンズ駆動装置1の四隅(具体的には、カバー部材10の内側の四隅)に配置される略三角柱状の4個の駆動用磁石15と、スリーブ8に固定される1個の駆動用コイル16とを備えている。駆動用磁石15および駆動用コイル16は、固定体3の内部に配置されている。
【0037】
駆動用磁石15は、上下方向から見たときの形状が略直角三角形となるように形成されており、光軸Lに略平行でかつ互いに直交する矩形状の側面15a、15bを備えている。この駆動用磁石15は、カバー部材10の筒部10bの内周面と側面15a、15bとが略平行に、かつ、所定の隙間をあけて対向するように配置されている。また、4個の駆動用磁石15は、カバー部材10の底部10aに固定されている。具体的には、4個の駆動用磁石15の上端面が、底部10aの下面に当接した状態で、底部10aの下面に接着等によって固定されている。また、4個の駆動用磁石15の上端面は、底部10aによって完全に覆われている。
【0038】
駆動用磁石15の下端面には、磁性材料で形成された磁性部材17が固定されている。磁性部材17は、上下方向から見たときの形状が駆動用磁石15と同様の略直角三角形状となる平板状に形成されており、互いに直交する2個の端面17a、17bを備えている。この磁性部材17は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように駆動用磁石15の下端面に固定されている。また、磁性部材17は、端面17aが駆動用磁石15の側面15aと同一平面上に配置され、端面17bが駆動用磁石15の側面15bと同一平面上に配置されるように、駆動用磁石15の下端面に固定されている。
【0039】
駆動用磁石15は、上端面の磁極と下端面の磁極とが異なるように、上下方向で2極に着磁されている。たとえば、駆動用磁石15の上端面がS極となり、駆動用磁石15の下端面がN極となるように着磁されている。そのため、レンズ駆動装置1では、カバー部材10の筒部10b、底部10a、駆動用磁石15および磁性部材17を通過するとともに、磁性部材17の下面や端面から筒部10bの内周面に向かって回り込む磁界が形成されている。なお、駆動用磁石15の下端面と磁性部材17の上面との当接部分の近傍からも筒部10bの内周面に向かって磁界が回り込んでいる。
【0040】
駆動用コイル16は、上下方向から見たときの形状が略正方形状となるように扁平な略四角筒状に巻回されている。この駆動用コイル16は、スリーブ8の突出部8aの上面に固定されている。駆動用コイル16は、カバー部材10の筒部10bの内周面に沿うように配置されており、駆動用コイル16の四隅およびその近傍部分は、駆動用磁石15の側面15a、15bおよび磁性部材17の端面17a、17bとカバー部材10の筒部10bとの隙間に配置されている。すなわち、駆動用コイル16の四隅およびその近傍部分は、駆動用磁石15および磁性部材17の外周側に配置されている。
【0041】
また、駆動用コイル16の四隅およびその近傍部分は、磁性部材17の下面や端面17a、17bから筒部10bの内周面に向かって回り込む磁界の中に配置されている。本形態では、可動体2の可動範囲において、駆動用コイル16の内周側に磁性部材17が常に配置されるように、駆動用コイル16が配置されている。駆動用コイル16に電流が供給されると、駆動用磁石15と駆動用コイル16との作用で、可動体2が上下方向(光軸方向)へ移動する。
【0042】
(ベース部材、板バネおよび給電用端子の構成)
図5は、図3に示す板バネ6と給電用端子14との接続部分を示す斜視図である。図6は、図3に示す給電用端子14の斜視図である。図7(A)は、一方の板バネ6Aの端子接続部6eおよび連結部6fを説明するための拡大斜視図であり、図7(B)は、他方の板バネ6Bの端子接続部6eおよび連結部6fを説明するための拡大斜視図である。図8は、図7に示す端子接続部6eの平面図である。図9は、図1に示すレンズ駆動装置1を反被写体側から示す斜視図である。図10は、図3に示すベース部材11の前端側の平面図である。図11は、図3に示す板バネ6と給電用端子14とが接続された状態の平面図である。
【0043】
給電用端子14は、上述のように、平板状の金属材料が折り曲げられて形成されている。この給電用端子14は、レンズ駆動装置1が搭載されるカメラに設けられた基板やコネクタ等に接続される端子部14aと、板バネ6に接続されるバネ接続部14bと、端子部14aとバネ接続部14bと繋ぐ連結部14cとを備えている。端子部14aは、上下方向(Z方向)と左右方向(X方向)とから形成されるZX平面と略平行に配置されている。バネ接続部14bは、前後方向(Y方向)と上下方向(Z方向)とから形成されるYZ平面に略平行に配置されている。連結部14cは、左右方向(X方向)と前後方向(Y方向)とから形成されるXY平面に略平行に配置されている。
【0044】
連結部14cは、端子部14aの上端から後ろ方向へ略直角に折れ曲がるように形成されている。また、連結部14cは、左右方向の外側へ伸びるように形成されている。バネ接続部14bは、連結部14cの左右方向の外側端から下方向へ略直角に折れ曲がるように形成されている。バネ接続部14bは、鉤状に形成されている。具体的には、略長方形の平板にその後端面から前方向に向かって切り欠かれた切欠き部14dが形成されることで、バネ接続部14bが鉤状に形成されている。切欠き部14dは、切欠き部14dの下端側の側面を構成するとともにXY平面に略平行な平面状の平面部と、後ろ上がりで傾斜する平面状の平面部と、この2個の平面部を滑らかに繋ぐ曲面状の曲面部とによって構成されている。
【0045】
2個の給電用端子14は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、ベース部材11に固定されている。以下では、2個の給電用端子14を区別して表す場合には、右側に配置される一方の給電用端子14を「給電用端子14A」と表記し、左側に配置される他方の給電用端子14を「給電用端子14B」と表記する。
【0046】
板バネ6は、上述のように、可動体固定部6aと、2個の固定体固定部6bと、2本の腕部6cとを備えている。可動体固定部6a、固定体固定部6bおよび腕部6cは、固定体3の内部に配置されており、板バネ6は、固定体3の内部で可動体2と固定体3とを繋いでいる。
【0047】
固定体固定部6bは、ベース部材11の上面の四隅に形成される後述のバネ固定面11bに固定されている。具体的には、2個の板バネ6のうちの一方の板バネ6の固定体固定部6bは、ベース部材11の右前端の隅に形成されるバネ固定面11bおよび右後端の隅に形成されるバネ固定面11bに固定され、2個の板バネ6のうちの他方の板バネ6の固定体固定部6bは、ベース部材11の左前端の隅に形成されるバネ固定面11bおよび左後端の隅に形成されるバネ固定面11bに固定されている。以下では、2個の板バネ6を区別して表す場合には、一方の板バネ6を「板バネ6A」と表記し、他方の板バネ6を「板バネ6B」と表記する。固定体固定部6bには、バネ固定面11bに形成される後述の突起11cに係合する丸孔状の貫通孔6dが形成されている。
【0048】
また、板バネ6は、給電用端子14のバネ接続部14bに接続される1個の端子接続部6eを備えている。端子接続部6eは、連結部6fを介して、固定体固定部6bに繋がっている。すなわち、連結部6fは、端子接続部6eと固定体固定部6bとを繋いでいる。板バネ6Aの端子接続部6eは、板バネ6Aの2個の固定体固定部6bのうちの、ベース部材11の右前端の隅に形成されるバネ固定面11bに固定される固定体固定部6bに連結部6fを介して繋がっている。板バネ6Bの端子接続部6eは、板バネ6Bの2個の固定体固定部6bのうちの、ベース部材11の左前端の隅に形成されるバネ固定面11bに固定される固定体固定部6bに連結部6fを介して繋がっている。
【0049】
可動体固定部6a、2個の固定体固定部6bおよび2本の腕部6cは、XY平面と略平行に配置されている。また、端子接続部6eもXY平面と略平行に配置されている。連結部6fは、ZX平面と略平行に配置されている。また、連結部6fは、固定体固定部6bの前端から下方向へ略直角に折れ曲がるように形成され、端子接続部6eは、連結部6fの下端から後ろ方向へ略直角に折れ曲がるように形成されている。
【0050】
端子接続部6eは、略長方形状に形成されている。端子接続部6eの中心には、板バネ14のバネ接続部14bが挿通される略長方形状の挿通孔6gが端子接続部6eを貫通するように形成されている。挿通孔6gには、バネ接続部14bの一部が配置されている。挿通孔6gの後端の縁には、バネ接続部14bの切欠き部14dに係合する舌部6hが形成されている。舌部6hは、挿通孔6gの内側へ(すなわち、前側へ)突出している。
【0051】
前後方向における挿通孔6gの最大幅(すなわち、舌部6hが形成されていない部分の幅)W1(図8参照)は、前後方向におけるバネ接続部14bの最大幅(すなわち、切欠き部14dが形成されていない部分の幅)W2と略等しくなっている。具体的には、幅W1は、幅W2よりも若干大きくなっている。なお、図8に示すように、左右方向における挿通孔6gの、舌部6hが形成された部分の幅は、舌部6hが形成されていない部分の幅よりも広くなっている。また、左右方向における挿通孔6gの、舌部6hが形成されていない部分の幅は、バネ接続部14bの厚さよりも大きくなっている。
【0052】
連結部6fは、上下方向に弾性変形可能となるように形成されている。本形態では、連結部6fは、左右方向で蛇行するように形成されている。具体的には、図7に示すように、略長方形の平板に、その左端面から右方向へ向かって切り欠かれた略U形状の切欠き部6jおよびその右端面から左方向へ向かって切り欠かれた略U形状の切欠き部6kが形成されることで、連結部6fが形成されており、連結部6fは、このように形成されることで左右方向で蛇行している。また、連結部6fは、給電用端子14のバネ接続部14bの前側に配置されている。
【0053】
固定体固定部6bと連結部6fとの境界部6mの幅(左右方向の幅)、および、端子接続部6eと連結部6fとの境界部6nの幅(左右方向の幅)は、連結部6fの全体の幅(左右方向の幅)W3よりも狭くなっている。境界部6mは、連結部6fの上端の左右方向における外側部分に形成され、境界部6nは、連結部6fの下端の左右方向における内側部分に形成されている。また、境界部6m、6nの幅は、連結部6fの蛇行方向に沿った連結部6fの幅W4と略等しくなっている。
【0054】
ベース部材11は、上述のように、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。ベース部材11の上面の四隅には、板バネ6の固定体固定部6bが固定されるバネ固定面11bが形成されている。バネ固定面11bは、XY平面に略平行な平面状に形成されている。バネ固定面11bには、固定体固定部6bの貫通孔6dに挿通される突起11cが上側へ立ち上るように形成されている。
【0055】
ベース部材11の下端側には、図9に示すように、ベース部材11の下面11dから下側に向かって立ち上る外周壁部11eが形成されている。外周壁部11eは、下面11dの外周端に沿って形成されている。ベース部材11の前側に配置される外周壁部11eの一部は、後ろ側に向かって窪んでいる。具体的には、左右方向に所定の間隔をあけた2箇所において、外周壁部11eの一部が後ろ側に向かって窪んでいる。この窪んでいる部分は、給電用端子14の端子部14aをレンズ駆動装置1の外部に露出させるための端子露出部11fとなっている。
【0056】
ベース部材11の前端側には、給電用端子14の端子部14aが挿通される挿通孔11gが形成されている(図10参照)。挿通孔11gには、端子部14aの一部が配置されている。挿通孔11gは、上下方向でベース部材11を貫通するように形成されるとともに、左右方向に所定の間隔をあけた状態で2箇所に形成されている。また、挿通孔11gは、端子露出部11fに繋がるように形成されており、挿通孔11gに挿通された端子部14aの先端側(下端側)は、図1に示すように、レンズ駆動装置1の外部に露出する。
【0057】
また、ベース部材11の前端側には、給電用端子14のバネ接続部14bおよび板バネ6の連結部6fが挿通される配置孔11hが形成されている(図10参照)。配置孔11hには、バネ接続部14bおよび連結部6fの一部が配置されている。配置孔11hは、上下方向でベース部材11を貫通するように形成されるとともに、左右方向における挿通孔11gの外側の2箇所に形成されている。上下方向から見たときの配置孔11hの形状は、略T形状となっている。
【0058】
ベース部材11の下面11dの右前端の隅および左前端の隅には、図9に示すように、上方向に向かって窪む凹部11jが形成されている。凹部11jは、配置孔11hが形成される部分に対応するように形成されており、配置孔11hの下端は、凹部11jの中に配置されている。
【0059】
2個の板バネ6のそれぞれには、駆動用コイル16の両端部のそれぞれが半田付け等されて固定されており、電気的に接続されている。本形態では、可動体固定部6aに駆動用コイル16の端部が半田付けされて固定されている。また、板バネ6Aと給電用端子14Aとが半田付け等されて固定されており、電気的に接続されている。具体的には、板バネ6Aの端子接続部6eと給電用端子14Aのバネ接続部14bとが半田付け等されて固定されている。また、板バネ6Bと給電用端子14Bとが半田付け等されて固定されており、電気的に接続されている。具体的には、板バネ6Bの端子接続部6eと給電用端子14Bのバネ接続部14bとが半田付け等されて固定されている。
【0060】
端子接続部6eおよびバネ接続部14bは、図9に示すように、ベース部材11の凹部11jの中に配置されており、凹部11jの中で接続されている。すなわち、板バネ6と給電用端子14とは、ベース部材11の下端側で接続されており、板バネ6と給電用端子14との接続部分は、固定体3の外部に配置されている。また、端子接続部6eとバネ接続部14bとが接続された後の凹部11jには、接着剤が充填されている。端子接続部6eとバネ接続部14bとが接続された状態では、図11に示すように、上下方向から見たときに、板バネ6Aは、給電用端子14Aとは重なるが給電用端子14Bとは重なっていない。また、板バネ6Bは、給電用端子14Bとは重なるが給電用端子14Aとは重なっていない。
【0061】
なお、板バネ6と接続される前の給電用端子14は、ベース部材11に固定されている。具体的には、挿通孔11gに端子部14aが挿通され、配置孔11hにバネ接続部14bが挿通された状態で、給電用端子14はベース部材11に固定されている。また、給電用端子14と接続される前の板バネ6は、スリーブ8に固定されている。このときには、板バネ6の端子接続部6eは、境界部6nで折り曲げられておらず、連結部6fと同一平面上に配置されている。この状態で、ベース部材11のバネ固定面11bに接着剤を塗布して、給電用端子14付きのベース部材11と板バネ6付きのスリーブ8とを組み合わせ、板バネ6の固定体固定部6bをバネ固定面11bに固定するとともに、端子接続部6eおよび連結部6fを配置孔11hに挿通する。その後、バネ接続部14bの切欠き部14dに端子接続部6eの舌部6hが係合するまで、端子接続部6eを略直角に折り曲げて、挿通孔6gにバネ接続部14bを挿通し、半田付け等によって、バネ接続部14bと端子接続部6eとを接続する。
【0062】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、板バネ6と給電用端子14とがベース部材11の下端側で接続されており、板バネ6と給電用端子14との接続部分は、固定体3の外部に配置されている。そのため、固定体3の内部に板バネ6と給電用端子14との接続部分を配置するスペースを確保する必要がない。したがって、レンズ駆動装置1が小型化して、固定体3が小型化しても、駆動用磁石15および駆動用コイル16の配置スペースを固定体3の内部に確保することが可能になる。その結果、本形態では、レンズ駆動装置1が小型化しても、駆動機構4の駆動力の低下を抑制することが可能になる。
【0063】
また、本形態では、板バネ6と給電用端子14との接続部分が固定体3の外部に配置されているため、たとえば、板バネ6と給電用端子14とを半田付けする際の半田が板バネ6の腕部6cや駆動用コイル16に付着するといった不具合が、板バネ6と給電用端子14との半田付け作業時に生じにくくなる。したがって、本形態では、板バネ6と給電用端子14との半田付け作業が容易になる。
【0064】
本形態では、連結部6fは、固定体固定部6bの前端から下方向へ略直角に折れ曲がるように形成され、端子接続部6eは、連結部6fの下端から後ろ方向へ略直角に折れ曲がるように形成されている。そのため、固定体3の内部で可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ6の一部を比較的簡易な構成で固定体3の外側に配置して、固定体3の外側で板バネ6と給電用端子14とを接続することが可能になる。また、端子接続部6eが連結部6fと同一平面上に配置されている場合と比較して、板バネ6の上下方向の高さを低くすることが可能になる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1を上下方向で小型化することが可能になる。また、本形態では、バネ接続部14bがYZ平面に略平行に配置され、端子接続部6eがXY平面と略平行に配置されているため、バネ接続部14bと端子接続部6eとの半田付け作業等の接続作業が容易になる。
【0065】
本形態では、連結部6fは、上下方向に弾性変形可能となるように左右方向で蛇行している。そのため、バネ接続部14bと端子接続部6eとの接続部分の残留応力の影響で、あるいは、レンズ駆動装置1が使用される環境温度の変化等の影響で、端子接続部6eを移動させるような力が端子接続部6eに作用しても、連結部6fを弾性変形させて、固定体固定部6bがバネ固定面11bから剥がれてしまうのを防止することが可能になる。また、本形態では、連結部6fが左右方向で蛇行しているため、端子接続部6eから連結部6fを経由して固定体固定部6bへ至るまでの距離を長くすることが可能になる。したがって、たとえば、バネ接続部14bと端子接続部6eとを半田付けして接続する際の熱であって、板バネ6を介してベース部材11に伝達される熱の量を低減することが可能になる。その結果、本形態では、樹脂材料で形成されるベース部材11の熱の影響による損傷を防止することが可能になる。
【0066】
本形態では、上下方向から見たときに、板バネ6Aは、板バネ6Aに接続される給電用端子14Aとは重なるが給電用端子14Bとは重なっていない。また、板バネ6Bは、板バネ6Bに接続される給電用端子14Bとは重なるが給電用端子14Aとは重なっていない。そのため、レンズ駆動装置1に大きな衝撃が加わって、可動体2が上下方向へ大きく移動し、板バネ6が大きく撓んでも、板バネ6Aと給電用端子14Bとの接触を防止し、かつ、板バネ6Bと給電用端子14Aとの接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、短絡を防止することが可能になる。
【0067】
本形態では、鉤状に形成されるバネ接続部14bに係合する舌部6hが、端子接続部6eの挿通孔6gの縁から挿通孔6gの内側へ突出するように形成されている。そのため、舌部6hを用いて、バネ接続部14bに端子接続部6eを仮固定することが可能になる。したがって、本形態では、端子接続部6eとバネ接続部14bとを接続する際の作業が容易になる。特に本形態では、YZ平面に略平行に配置されるバネ接続部14bに対して、舌部6hが前方向へ突出しているため、左右方向に舌部6hが突出している場合と比較して、バネ接続部14bに舌部6hが係合しやすくなる。したがって、本形態では、バネ接続部14bに端子接続部6eを仮固定しやすくなる。また、本形態では、舌部6hが前方向へ突出しているため、左右方向に舌部6hが突出している場合と比較して、舌部6hの長さを長くして、舌部6hを撓ませやすくすることが可能になる。
【0068】
また、本形態では、前後方向における挿通孔6gの最大幅W1が、前後方向におけるバネ接続部14bの最大幅W2と略等しくなっているため、挿通孔6gに挿通されたバネ接続部14bが挿通孔6gから抜けにくくなる。したがって、本形態では、バネ接続部14bに端子接続部6eを仮固定しやすくなる。また、挿通孔6gの最大幅W1がバネ接続部14bの最大幅W2と略等しくなっているため、挿通孔6gに挿通されたバネ接続部14bに対して端子接続部6eが相対移動しにくくなる。したがって、本形態では、端子接続部6eとバネ接続部14bとを接続する際の、端子接続部6eとバネ接続部14bとの相対位置のばらつきを抑制することが可能になる。
【0069】
本形態では、端子接続部6eとバネ接続部14bとがベース部材11の凹部11jの中で接続され、端子接続部6eとバネ接続部14bとが接続された後の凹部11jに接着剤が充填されている。したがって、本形態では、固定体3の内部で可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ6の端子接続部6eをベース部材11の下端側に配置するために、ベース部材11に配置孔11hが形成されていても、塵埃が凹部11jに繋がる配置孔11hを通過して固定体3の内部に入り込むのを防止することが可能になる。
【0070】
本形態では、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるレンズ駆動装置1の四隅に駆動用磁石15が配置されている。すなわち、本形態では、デッドスペースとなりやすいレンズ駆動装置1の四隅に駆動用磁石15が配置されている。そのため、本形態では、レンズ駆動装置1を小型化することが可能になる。一方で、本形態では、レンズ駆動装置1の四隅に駆動用磁石15が配置され、さらに、その外周側に駆動用コイル16が配置されているため、仮に、固定体3の内部で板バネ6と給電用端子14とが接続されていると、その接続作業が困難になるが、本形態では、固定体3の外側で板バネ6と給電用端子14とが接続されているため、板バネ6と給電用端子14との接続作業を容易に行うことが可能になる。
【0071】
本形態では、端子接続部6eと連結部6fとの境界部6nの幅が連結部6fの全体の幅W3よりも狭くなっている。そのため、本形態では、バネ接続部14bの切欠き部14dに端子接続部6eの舌部6hが係合するまで、境界部6nを境にして端子接続部6eを折り曲げるときに、比較的小さな力で端子接続部6eを折り曲げることが可能になる。
【0072】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0073】
上述した形態では、略長方形の平板に、その左端面から右方向へ向かって切り欠かれた略U形状の切欠き部6jおよびその右端面から左方向へ向かって切り欠かれた略U形状の切欠き部6kが形成されることで、連結部6fが形成されている。この他にもたとえば、図12(A)に示すように、略長方形の平板に、その左端面または右端面の一方から左右方向の内側に向かって切り欠かれた略U形状の切欠き部6pが形成されることで、連結部6fが形成されても良い。この場合には、たとえば、連結部6fの上端側の幅は、上方向に向かうにしたがって狭くなっている。また、図12(B)に示すように、図12(A)に示す連結部6fにおいて、境界部6nが左右方向の中心位置に形成されるように、切欠き部6pよりも下端側の連結部6fの幅が、切欠き部6pよりも上端側の連結部6fの幅より狭くなっていても良い。
【0074】
連結部6fが図12に示すように左右方向で蛇行している場合であっても、固定体固定部6bがバネ固定面11bから剥がれてしまうのを防止することが可能になるといった上述の効果、および、樹脂材料で形成されるベース部材11の熱の影響による損傷を防止することが可能になるといった上述の効果を得ることが可能になる。また、上述した形態では、連結部6fは、左右方向で蛇行しているが、連結部6fは、上下方向に弾性変形可能となっているのであれば、左右方向で蛇行していなくても良い。この場合であっても、固定体固定部6bがバネ固定面11bから剥がれてしまうのを防止することが可能になるといった上述の効果を得ることが可能になる。
【0075】
上述した形態では、端子接続部6eは、連結部6fの下端から後ろ方向へ略直角に折れ曲がるように形成されている。この他にもたとえば、端子接続部6eは、連結部6fの下端から後ろ方向へ折れ曲がるように形成されるとともに、端子接続部6eと連結部6fとのなす角度が鈍角または鋭角になるように形成されても良い。また、端子接続部6eは、連結部6fと同一平面上に形成されても良い。
【0076】
上述した形態では、舌部6hは、挿通孔6gの後端の縁から前側へ突出している。この他にもたとえば、挿通孔6gの左右両端の縁または左右の一方端の縁から突出するように舌部6hが形成されても良い。また、上述した形態では、挿通孔6gに舌部6hが形成されているが、挿通孔6gに舌部6hが形成されていなくても良い。また、上述した形態では、バネ接続部14bは鉤状に形成されているが、バネ接続部14bは鉤状に形成されていなくても良い。
【0077】
上述した形態では、ベース部材11の凹部11jが形成され、端子接続部6eとバネ接続部14bとが凹部11jの中で接続されている。この他にもたとえば、ベース部材11の凹部11jが形成されずに、上下方向におけるベース部材11の下面11dと外周壁部11eの下端との間で、端子接続部6eとバネ接続部14bとが接続されても良い。
【0078】
上述した形態では、駆動機構4は、略三角柱状に形成されレンズ駆動装置1の四隅に配置される駆動用磁石15と、略四角筒状に巻回されて形成され駆動用磁石15の外周側に配置される駆動用コイル16とを備えている。この他にもたとえば、駆動機構4は、スリーブ8の外周側に巻回される駆動用コイルと、レンズ駆動装置1の4つの側面のそれぞれに沿って配置され駆動用コイルの外周面に対向する駆動用磁石とを備えていても良い。また、駆動機構4は、スリーブ8の外周側に巻回される駆動用コイルと、レンズ駆動装置1の四隅に配置され駆動用コイルの外周面に対向する駆動用磁石とを備えていても良い。
【0079】
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 レンズ駆動装置
2 可動体
3 固定体
4 駆動機構
6(6A) 板バネ(一方の板バネ)
6(6B) 板バネ(他方の板バネ)
6b 固定体固定部
6e 端子接続部
6f 連結部
6g 挿通孔
6h 舌部
11 ベース部材
11h 配置孔
11j 凹部
14(14A) 給電用端子(一方の給電用端子)
14(14B) 給電用端子(他方の給電用端子)
14b バネ接続部
15 駆動用磁石
16 駆動用コイル
L 光軸
W1 挿通孔の最大幅
W2 バネ接続部の最大幅
X バネ接続部の厚み方向
Z 光軸方向
Z1 光軸方向の他端側
Z2 光軸方向の一端側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、前記可動体を前記光軸方向へ駆動する駆動機構と、前記固定体の内部でかつ前記光軸方向の一端側で前記可動体と前記固定体とを繋ぐ板バネとを備え、
前記駆動機構は、前記固定体の内部に配置される駆動用コイルおよび駆動用磁石を備え、
前記固定体は、前記駆動用コイルに電流を供給するための給電用端子と、前記給電用端子が固定されるとともに前記光軸方向における前記固定体の一端側部分を構成するベース部材とを備え、
前記板バネには、前記駆動用コイルが電気的に接続され、
前記板バネと前記給電用端子とは、前記光軸方向における前記ベース部材の一端側で互いに固定されて、電気的に接続されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ベース部材には、前記板バネの一部が配置される配置孔が前記光軸方向で前記ベース部材を貫通するように形成され、
前記板バネは、前記光軸方向における前記ベース部材の他端側の面に固定される固定体固定部と、前記給電用端子に接続される端子接続部と、前記配置孔に配置され前記固定体固定部と前記端子接続部とを繋ぐ連結部とを備え、
前記連結部は、前記固定体固定部と略直交するように繋がるとともに、前記端子接続部と略直交するように繋がっていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記板バネは、前記光軸方向における前記ベース部材の他端側の面に固定される固定体固定部と、前記給電用端子に接続される端子接続部と、前記固定体固定部と前記端子接続部とを繋ぐ連結部とを備え、
前記連結部は、前記光軸方向に弾性変形可能となっていることを特徴とする請求項1または2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記光軸方向へ弾性変形可能なように蛇行していることを特徴とする請求項3記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
一対の前記板バネと、一対の前記給電用端子とを備え、
一対の前記板バネのうちの一方の前記板バネと、一対の前記給電用端子のうちの一方の前記給電用端子とが接続され、
一対の前記板バネのうちの他方の前記板バネと、一対の前記給電用端子のうちの他方の前記給電用端子とが接続され、
前記光軸方向から見たときに、一方の前記板バネは、一方の前記給電用端子とは重なるが他方の前記給電用端子とは重ならず、かつ、他方の前記板バネは、他方の前記給電用端子とは重なるが一方の前記給電用端子とは重なっていないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記給電用端子は、前記板バネに接続されるバネ接続部を備え、
前記板バネは、前記バネ接続部に接続される端子接続部を備え、
前記バネ接続部は、鉤状に形成され、
前記端子接続部には、前記バネ接続部が挿通される挿通孔が前記端子接続部を貫通するように形成されるとともに、前記バネ接続部に係合する舌部が前記挿通孔の縁から前記挿通孔の内側へ突出するように形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記給電用端子は、導電性を有する平板が折り曲げられることで形成され、
前記舌部は、前記光軸方向と前記バネ接続部の厚み方向とに略直交する方向に突出していることを特徴とする請求項6記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記給電用端子は、導電性を有する平板が折り曲げられることで形成され、
前記光軸方向と前記バネ接続部の厚み方向とに略直交する方向における前記バネ接続部の最大幅と、前記挿通孔の最大幅とが略等しくなっていることを特徴とする請求項6または7記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記光軸方向における前記ベース部材の一端側の面には、前記光軸方向の他端側に向かって窪む凹部が形成され、
前記板バネと前記給電用端子とは、前記凹部の中で接続され、
前記凹部には、接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
前記レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、
前記駆動用磁石は、略三角柱状に形成されるとともに前記レンズ駆動装置の四隅のそれぞれに配置され、
前記駆動用コイルは、略四角筒状に形成されるとともに前記レンズ駆動装置の側面に沿うように前記駆動用磁石の外周側に配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−92579(P2013−92579A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233233(P2011−233233)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】