説明

レンタル用カバーケース

【課題】 CD,DVD等の記録媒体を収納した貸出しケース、又は雑誌等の物品上端部を上方へ突出した状態で収容し、陳列棚に安定して起立することが出来るレンタル用カバーケースの提供。
【解決手段】 ケース1は所定形状に裁断した樹脂製のシートを折り曲げ成形し、上端は開口すると共に表面部5及び背面部6、片側面部7の上端を内側に折り返した耳部4,4を設け、そして底面の両側端部には僅かに突出した足を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雑誌やビデオテープ、CD,DVD等の記録媒体等をレンタルショップの陳列棚に配列してレンタルする為のレンタル用カバーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽や映像を記録したCD,DVD等の円盤状記録媒体(ディスク)、ビデオテープ、及び雑誌等は、貸出しケースに収納された状態でレンタルされる。そして、該貸出しケースはレンタル用カバーケースに入れられてレンタルショップの陳列棚に配列されている。図8は従来から周知であるビデオテープのレンタル形態を示している場合であるが、レンタル用カバーケース(イ)には上端が開口していて、この上端開口からビデオテープを収納している貸出しケース(ロ)が収容されている。この場合、貸出しケース(ロ)の上端部はレンタル用カバーケース(イ)から上方へ突出している。
【0003】
ところで、上記レンタル用カバーケース(イ)は樹脂を材質として射出成形されるが、図9は該レンタル用カバーケース(イ)の展開図を示している。レンタル用カバーケース(イ)はケース本体(ハ)、ケース蓋(ニ)、及び繋ぎ部(ホ)から成って、ケース蓋(ニ)をケース本体(ハ)に被覆して閉じることで箱型容器となり、上端開口から貸出しケース(ロ)が収容され得る。そして、ケース本体(ハ)の底部には貸出しケース(ロ)が載って支持される底板(ヘ)が取付けられている。
【0004】
該レンタル用カバーケース(イ)は射出成形され、外表面には表紙を挿入する為の透明シートが熱溶着されている。レンタル用カバーケース(イ)を所定の寸法・形状に射出成形する為には、成形用の金型が必要であり、該成形金型の製作費は高く、その為に製品となるレンタル用カバーケースに上乗せされる。勿論、成形されたレンタル用カバーケースはその肉厚は厚くて丈夫であるが、その分だけ幅寸法は大きくなり、陳列棚に配列されるレンタル用カバーケース(イ)、(イ)・・・の個数は少なくなる。
【0005】
そこで、レンタル用カバーケースを射出成形でなく、樹脂製の板材(シート)を折り曲げ成形することで極めて簡単で安く製作出来るレンタル用カバーケースが知られている。しかも、樹脂製の薄い板材(シート材)である為に肉厚は薄く、ケースの幅寸法は小さくなる。特開2004−276947号に係る「レンタル用カバーケース」は胴体部と台座から成り、胴体部は所定形状に裁断した板材を折り曲げた筒体であり、胴体部の底に樹脂の成形品である台座を取着している。そして、胴体部の上端には内側へ折り返した耳部を有している。
【0006】
同じく、特開2009−51569号に係る「レンタル用カバーケース」は、胴体部と台座から成り、胴体部は所定形状に裁断した透明シートを折り曲げた長方形断面の筒体であり、上記胴体部の上端には折返し片を内側に折返して該胴体部内面に巻き付けた表紙を係止し、胴体部の表面部下端と背面部下端には両底片を折り曲げて重ね合わせ、胴体部底に嵌めた嵌入部と底蓋とで両底片を挟み込んで台座を取付けている。
【0007】
このように、薄い樹脂製のシートを折り曲げて形成した「レンタル用カバーケース」は、筒状の胴体部の底に台座を取付けている。台座は樹脂製の成形品であり、胴体部の底に取付けることで安定する。すなわち、薄いシートを折り曲げただけのカバーケースで底面を形成すれば、該底面が完全な平坦面にならずして棚に垂直に起立し難く、転倒してしまう。
【0008】
特に、貸出しケースが抜取られて軽くなった状態では、安定性が損なわれて倒れてしまう。しかし、台座を別部品として射出成形して胴体の底に取付ける場合、安定性は確保されるがその製作コストが嵩むと共に、該台座を胴体部の底に取付ける為の作業も必要になる。
【特許文献1】特開2004−276947号に係る「レンタル用カバーケース」
【特許文献2】特開2009−51569号に係る「レンタル用カバーケース」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、樹脂製の薄いシートを折り曲げて成形したレンタル用カバーケースには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題は台座を取付けることなく、樹脂製の薄いシートを折り曲げるだけで形成され、しかも転倒することなく安定して起立することが出来るレンタル用カバーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレンタル用カバーケースは、樹脂製の薄いシートを折り曲げ成形して製作された箱形容器であり、上端は開口している。従って、貸出しケースは上端開口から挿入されて、その上端部は開口から上方へ突出した状態で陳列され、前記図7に示す形態と共通する。ただし、本発明のレンタル用カバーケースは2ピース構造ではなく、樹脂製シートを折り曲げて長方形断面の筒形をした胴体部の下端に底を折り曲げて形成している。
【0011】
ただし、本発明のレンタル用カバーケースは、底が面接触ではなく点接触状態とする為に、底面に小さい足を突出させた構造としている。そして、胴体部の上端開口には耳部が折返しされて形成され、該耳部には表紙が離脱しないように挟まれる。ところで、本発明のレンタル用カバーケースはその対象を特に限定せず、ビデオテープ、CD,DVDなどのディスク、又雑誌等のレンタル用として使用され、その大きさ・形状は対象物により変わる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のレンタル用カバーケースは薄い樹脂製シートを折り曲げ成形にて製作することが出来、従来のような高価な成形金型を必要としないことで製作コストは安くなる。そして、底面には小さい足が設けられ、該足が陳列棚に当接することで安定し、転倒することなく起立することが出来る。すなわち、底面全体が接する面接触ではなく、足のみが接する点接触としている。
【0013】
又、表紙はケースの内側に挿入されるが、ケース上端の折返し耳部に係止して外れることはない。そしてケースを構成する樹脂製シートは0.3〜0.5mm程度であり、収容される貸出しケースとの間に大きな隙間を残すことなく製作することで、同一サイズの陳列棚には多数のレンタル用カバーケースを配列することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】レンタル用カバーケースの実施例。
【図2】L形足を設けた底面。
【図3】直線足を設けた底面。
【図4】直線足を設けた底面。
【図5】絞り足を設けた底面。
【図6】雑誌を収容したレンタル用カバーケース。
【図7】DVD等を収容した貸し出しケース、表紙、及びケースが夫々分離している状態。
【図8】従来のレンタル用カバーケースに貸出しケースを収容した場合。
【図9】従来のレンタル用カバーケースの展開図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係るレンタル用カバーケースを示す実施例であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図を表している。このケース1は樹脂製のシートを所定の形状に裁断し、これを折り曲げ成形して製作され、上端には開口3を有し、該開口3からDVDやCD等を収容した貸出しケースが収容空間2に挿入される。そして、開口3には「へ」の字断面の耳部4,4が表面部5及び背面部6の上端を曲げられて折り返しされている。同じく一方の側面部7の上端も折り返しされて小さい耳部を形成している。
【0016】
ケース1の収容空間2には貸出しケースが挿入され、その上端は開口3から突出した状態で陳列棚に配列されるが、この際、貸出しケースに収容されているDVD、CD等の内容を表示する表紙(図示なし)がケース1の内面に面して取付けられ、上記耳部4,4に係止して抜け出さないように成っている。そして、「へ」の字状の耳部4,4は挿入された貸出しケースに接してガタ付かないようにしている。ここで、該ケース1を折り曲げ成形される前の展開シートの形状は特に限定しないが、組立てる際に互いに接合する各面部は溶着にて固定される。
【0017】
ところで、従来の陳列用カバーケースのケース1では、その底に樹脂製の成形台座が取付けられてケースは安定して起立することが出来たが、本発明の該ケース1は、その底に小さい足を設けている。この足を設けることで底面9の面接触を避け、点接触が行われるようにし、ケース1が転倒することなく安定して起立するようになる。
【0018】
足の形態は色々あるが、以下にその具体例を説明する。
(1)底面コーナーに設けたコ形足
図2は底面に設けたコ形足8の具体例である。該コ形足8は底面9の両側に設けられ、その高さは特に限定はしないが0.5mm〜1.0mm程度であり、底面9が変形して棚面に接しない程度の高さがあればよい。コ形足8はケース1を組立てた際に底面9の両側に位置するように、樹脂製シートを裁断する際に前以て形成している。
【0019】
(2)底面両側端に設けた直線足
図3に示す直線足10、10はケース1の底面9の両側端に突出している。この直線足10は、組立てる前の展開シートの状態において、両側面部7,7の下端を僅かに延ばして裁断している。ケース1は両側端に設けた足10,10が陳列棚の棚面に接することで安定して起立することが出来る。
【0020】
(3)底面の表裏側に設けた足
図4はケース1の表面部5と背面部6の下端を僅かに延ばして直線足11,11・・・を形成している。
(4)底面に形成した絞り足
図5に示す足12,12・・・は底部を僅かに絞り成形したものであり、基本的には両側端部に4ヶ所設けている。該絞り足12,12・・・の突出高さは前記の足と同様に0.5mm〜1.0mm程度あれば十分であり、底面が多少変形しても足12,12・・・以外の箇所が接触することはなく、ケース1は安定して起立することが出来る。
【0021】
ところで、足の形態は上記実施例の他にも色々存在するが、本発明では僅かに波打って変形した底面9が陳列棚の棚面に接することがないように、底面9に足を突出したものであり、ただし、該足の具体的な形態に関しては限定しないことにする。すなわち、ケース1を構成する樹脂製シートは0.3〜0.5mm程度で薄く、その為に底面9は変形して平坦面とは成らない。しかし、僅かに突出した足を設けることで底面9が棚面に接することはなくなる。
【0022】
図6はレンタル用カバーケースに雑誌13を収容した場合を示している。該雑誌13は収容空間2に挿入され、雑誌13の上端部は開口3から上方へ突出している。この雑誌13は貸出しケースに収納されることなく、そのままの状態でレンタル用カバーケースに収容されている。このように、各種雑誌13はレンタル用カバーケースに収容された状態で陳列棚に配列され、客は該レンタル用カバーケースから所望の雑誌を抜き取って借りることが出来る。
【0023】
CDやDVD等のディスクの場合には、そのままレンタル用カバーケースの中に収容することは出来ない為に、一旦、貸出しケースに収納し、該貸出しケースをレンタル用カバーケースに収容することは従来と同じである。図7はCDやDVDを収容している貸出しケース14、耳部4,4を収容空間2に折り込んでいないケース1、及び表紙15を夫々分離した状態で示している。そこで、コ形をした該表紙15をケース1に差し込み、耳部4,4を折り込んで形成したレンタル用カバーケースに上記貸出しケース14が上端部を突出した状態で収容される。
【符号の説明】
【0024】
1 ケース
2 収容空間
3 開口
4 耳部
5 表面部
6 背面部
7 側面部
8 L形足
9 底面
10 直線足
11 直線足
12 絞り足
13 雑誌
14 貸出しケース
15 表紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD,DVD等の記録媒体を収納した貸出しケース、又は雑誌等の物品上端部を上方へ突出した状態で収容するレンタル用カバーケースにおいて、該レンタル用カバーケースは所定形状に裁断した樹脂製のシートを折り曲げ成形し、上端は開口すると共に表面部及び背面部、片側面部の上端を内側に折り返した耳部を設け、そして底面の両側端部には僅かに突出した足を形成したことを特徴とするレンタル用カバーケース。
【請求項2】
底面の両側にコ形足を形成した請求項1記載のレンタル用カバーケース。
【請求項3】
底面の両側端に側面部を僅かに延ばした直線足を形成した請求項1記載のレンタル用カバーケース。
【請求項4】
底面の両側端部に表面部と背面部を僅かに延ばした直線足を形成した請求項1記載のレンタル用カバーケース。
【請求項5】
底面の両側端部に底面を絞り成形した足を設けた請求項1記載のレンタル用カバーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−1118(P2011−1118A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147621(P2009−147621)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(595049622)株式会社ジャストコーポレーション (44)
【Fターム(参考)】