説明

レーザー光を用いた血液中の酸素量及びヒドロキシルラジカル量の測定方法及び測定装置

【課題】 血液中の酸素量あるいはヒドロキシルラジカル量を直接的に、かつリアルタイムでしかも簡易に測定することができる新規な測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】 先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、エバネッセント光と血液中の酸素あるいはヒドロキシルラジカルとの相互作用により発生したラマン散乱光あるいは蛍光を検出し、その検出結果に基づいて血液中の酸素量あるいはヒドロキシルラジカル量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、レーザー光を用いて血液中の酸素量及びヒドロキシルラジカル量をリアルタイムで測定することができる測定方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液中の酸素量の測定する方法としては、いわゆる血液採取法と透過率法と称される2つの方法があった。
【0003】
血液採取法は、血液中の酸素量を測定するために血液を採取し、酸化しないようにして実験チャンバーに移し変え、その中でガスイオン化状にし、その中の酸素成分を質量分析器で測定する方法である。
【0004】
透過率法は、指に赤外光線照射手段を設けたキャップを差込んで赤外線を照射し、その赤外線の透過率の変化により酸素量を測定する方法である(非特許文献1)。
【非特許文献1】立石哲也編著「メディカルエンジニアリング」米田出版、(2000年4月)、p.39−47
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の血液中の酸素量測定方法のうち、血液採取法は酸素量(濃度)の測定を間接的に行う手法であり、しかも時間がかかり、また測定時間が遅れると化学変化が進む等、本質的な欠点を持っている。一方、透過率法は個人的にばらつきのある筋肉、特に筋肉中の赤外光吸収率が高い水分の含有率や、汗の量、あるいは指の太さの違いなどにより、データの補正をしなければならない複雑さがある。
【0006】
さらに最近では、ヒドロキシルラジカルが活性酸素類の中で生体の老化や癌の発生に最も強い影響力があるとして話題となっており、血液中のヒドロキシルラジカル量を測定する必要性は高いと考えられるが、ヒドロキシルラジカルの寿命は1秒程度と短く血液採取法など通常の方法は取れず、新しい測定技術の開発が求められていた。
【0007】
そこで、以上のとおりの事情に鑑み、この出願の発明は、血液中の酸素量あるいはヒドロキシルラジカル量を直接的に、かつリアルタイムでしかも簡易に測定することができる新規な測定方法及び測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この出願の発明は、上記課題を解決するものとして、第1には、先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、エバネッセント光と血液中の酸素との相互作用により発生したラマン散乱光を検出し、その検出結果に基づいて血液中の酸素量を測定することを特徴とする、レーザー光を用いた血液中の酸素量の測定方法を提供する。
【0009】
また、第2には、先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、エバネッセント光と血液中のヒドロキシルラジカルとの相互作用により発生した蛍光を検出し、その検出結果に基づいて血液中のヒドロキシルラジカル量を測定することを特徴とする、レーザー光を用いた血液中のヒドロキシルラジカル量の測定方法を提供する。
【0010】
また、上記第1又は第2の発明において、第3には、ラマン散乱光又は蛍光の取り込みを、エバネッセント光を発生したファイバープローブにより行うことを特徴とする測定方法を、第4には、ラマン散乱光又は蛍光の取り込みを、別のファイバープローブにより行うことを特徴とする測定方法を提供する。
【0011】
また、この出願の発明によれば、第5には、レーザー光を発生するレーザー発生装置と、先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有し、レーザー発生装置からのレーザー光を入射して、開口からエバネッセント光を発生するファイバープローブと、エバネッセント光と血液中の酸素との相互作用により発生したラマン散乱光を検出する検出手段と、検出手段からの検出結果に基づいて血液中の酸素量を演算する演算手段とからなることを特徴とする、レーザー光を用いた血液中の酸素量の測定装置を提供する。
【0012】
また、第6には、上記第5の発明において、レーザー光を発生するレーザー発生装置と、先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有し、レーザー発生装置からのレーザー光を入射し、開口からエバネッセント光を発生するファイバープローブと、エバネッセント光と血液中のヒドロキシルラジカルとの相互作用により発生した蛍光を検出する検出手段と、検出手段からの検出結果に基づいて血液中のヒドロキシルラジカル量を演算する演算手段とからなることを特徴とする、レーザー光を用いた血液中のヒドロキシルラジカル量の測定装置を提供する。
また、上記第5又は第6の発明において、第7には、エバネッセント光を発生したファイバープローブが、ラマン散乱光又は蛍光の取り込みを行うように構成されていることを特徴とする測定装置を、第8には、ラマン散乱光又は蛍光を取り込むための別のファイバープローブを有することを特徴とする測定装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
この出願の発明によれば、血液中の酸素量あるいはヒドロキシルラジカル量を血液を採取することなく、直接的に、かつリアルタイムでしかも簡易に測定することが可能となる。また、この出願の発明による測定では、水分や筋肉などの存在から生ずる問題はなく、エバネッセント光は境界面から波長程度のごく短い距離だけ滲みだすというナノの量であるため血液をほとんど壊すことはない。
【0014】
さらにこの出願の発明によれば、血液中の最も重要な活性酸素であるヒドロキシルラジカルの量がリアルタイムで分かり、癌の発生や皮膚の老化を防止することに役立つことが期待される。また、ビタミンC等のサプリメントが活性酸素を減らすとして知られているが、そのようなサプリメントや同様の薬剤の効能について、投薬前後の変化によるリアルタイムの臨床実験データが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0016】
この出願の発明の第1(主として請求項1、請求項5に対応、以下第1発明と記す)は、レーザー光を用いて血液中の酸素量を測定するものであって、先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、エバネッセント光と血液中の酸素との相互作用により発生したラマン散乱光を検出し、その検出結果に基づいて血液中の酸素量を測定することを特徴とする。
【0017】
以下、この出願の第1発明を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、この出願の第1発明を適用した、血液中の酸素量を測定するための装置を模式的に示したものである。
【0019】
レーザー発生装置(1)は、血液中の酸素量を測定するために用いるレーザー光(2)を発生させるものである。レーザー光(2)としては、たとえば、波長が300〜2000nm、強度が10〜1000mWの範囲のものを用いることができる。またナノ秒程度のシングルパルスレーザーでは1MW程度までパワーを上げることができる。レーザー光(2)は、穴開き反射ミラー(3)の穴を通過しファイバープローブ(5)に入る。
【0020】
ファイバープローブ(5)は、レーザー光入射側とは反対側に円錐形の先鋭部(6)を有し、その先端に円形開口(7)が形成され、それ以外の部分は光を遮断するように被覆が設けられている。この被覆は、例えば金やアルミニウムをコーティングして設けることができる。円形開口(7)の直径は5〜100μm程度(ファイバー径の1/10程度)とすることができ、その直径を可変させることでエバネッセント光と相互作用する血液量を制御することができる。ファイバープローブ(5)の直径は0.05〜1mm程度のものが好ましい。
【0021】
「エバネッセント光」は、光を異なる屈折率の媒質による界面(例えばガラスと溶液)にある値以上の入射角で入射させると、光は全反射するが、その際、反射光線のほかに、入射側とは反対側の媒質に、界面からの距離に関して指数関数的[exp(−x/λ)(x:先端から外部への距離、λ:光の波長)]に強度が減少する伝播しないタイプの光のことである。
【0022】
この出願の第1発明では、レーザー光(2)により発生したエバネッセント光を血液中の酸素と相互作用させる。その際に、ラマン散乱光が得られる(酸素がラマン活性な分子のため)。エバネッセント光と血液中の酸素との相互作用領域は先端から波長領域と限定されるため、相互作用する光の体積V(ここで血液の屈折率を1.4とすれば、体積は真空中の約70%となる)がわかる。
【0023】
発生したラマン散乱光は、ファイバープローブ(5)の円形開口(7)から取り込まれ、反射ミラー(3)で反射した戻り光(8)のうち散乱光信号だけ雑音となる光を除去するための干渉フィルター(9)を通した後、超高感度検出器(10)によりその強度が検出される。超高感度検出器(10)としては、たとえば、光電子増倍管(MCP(マルチチャンネル・プレート)付き)や背面照射型超高感度CCDカメラなどを用いることができる。なお、ラマン散乱光の取り込みは、別のファイバープローブを平行して配置して行ってもよい。ここで、例えばラマン散乱光として、1552cm-1のストークス線を用いて検出を行う。
【0024】
ここで超高感度検出器(10)で検出したラマン散乱光の測定値Pカウントは下記式[1]で表される。
【0025】
P=I・V・σ・n・Δt・K/(hν・A)・・・・・[1]
(ところで、I:レーザー強度、V:相互作用領域の体積、σ:ラマン散乱断面積、n:酸素の分子密度、Δt:測定時間、K:光学系の透過率、hν:光子1個のエネルギー、A:検出器の1光子当たりのカウント、つまり電気信号への変換係数である)
従って、パソコン等の演算装置に、上記[1]式に基づく演算を行わせることにより、超高感度検出器(10)による測定値Pカウントから血液中の酸素の分子密度n、すなわち酸素量を求めることができる。
【0026】
この出願の発明の第2(主として請求項2、請求項6に対応、以下第2発明と記す)は、レーザー光を用いて血液中のヒドロキシルラジカル量を測定するものであって、先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、エバネッセント光と血液中のヒドロキシルラジカルとの相互作用により発生した蛍光を検出し、その検出結果に基づいて血液中のヒドロキシルラジカル量を測定することを特徴とする。いわゆるレーザー誘起蛍光(LIF)法を利用したものである。
【0027】
以下、この出願の第2発明を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図2は、この出願の第2発明を適用した、血液中のヒドロキシルラジカル量を測定するための装置を模式的に示したものである。
【0029】
この出願の第2発明では、入射光と測定光(蛍光)が同じ波長になるのを避け、所要の信号強度が得られるならば1台のレーザー装置の使用でもよく、波長が異なるレーザー光を発生させる2台のレーザー発生装置を用いて、2つのレーザー光を合成させて2段励起(2光子吸収)させるようにしてもよい。
【0030】
1台のレーザー発生装置を用いる場合、そのレーザー光は、たとえば、波長が280nm、強度が10〜1000mWの範囲のものを用いることができ、この場合、310nmの蛍光が得られる(ヒドロキシルラジカルは非ラマン活性な分子であり、エネルギー準位間での共鳴吸収励起が起こるため)。
【0031】
また、2台のレーザー発生装置を用いる場合、たとえば、一方のレーザー発生装置からのレーザー光は、波長が350nm、強度が10〜1000mWのものとすることができる。もう一方のレーザー発生装置からのレーザー光は、波長が2.9μm、強度が10〜1000mWのものとすることができる。両レーザー光を合成することにより、2段励起(2光子吸収)が行なわれ、この場合、310nmの蛍光が得られる。
【0032】
1台のレーザー発生装置を使用するか、2台のレーザー発生装置を使用して2段励起(2光子吸収)を得るかの違いは、[2]式の吸収断面積σの大きさに影響し、雑音としての光も考慮して採用する。
【0033】
以下、2台のレーザー発生装置(11−1)、(11−2)を用いる場合を例に説明を行う。
【0034】
レーザー発生装置(11−1)からのレーザー光(12−1)は、穴開き反射ミラー(13)の穴を通した後、ブリュースター角入射用ガラス板(14)を通過させる。一方、レーザー発生装置(11−2)からのレーザー光(12−2)は、反射ミラー(21)で反射した後、ブリュースター角入射用ガラス(反射ミラーの役割も兼ねる)(14)により反射し、レーザー光(12−1)と合流して、レーザー光(12)としてファイバープローブ(15)に入射させる。これにより、レーザー光(12)が、ファイバープローブ(15)に入射してその中を伝播した後、先鋭部(16)先端の円形開口(17)のところで、全反射を起こすとともにエバネッセント光を発生するようになる。ブリュースター角入射用ガラス板(14)は、P偏光(レーザー光の偏光面が法線と光路のなす面内にある光)のレーザー光(12−1)を通過させて、S偏光(レーザー光の偏光面が法線と光路のなす面に垂直な光)のレーザー光(12−2)を反射させる役割を行うもので、BK−7ガラス板や石英ガラス板などを使用することができる。
【0035】
ファイバープローブ(15)の構造はファイバープローブ(5)と同様であるので、重複を避けるためその説明は省略する。
【0036】
この出願の第2発明では、レーザー光(12)により発生したエバネッセント光を血液中のヒドロキシルラジカルと相互作用させる。その際に、エバネッセント光と血液中のヒドロキシルラジカルとの相互作用領域も、上記と同様、先端から波長領域と限定されるため、相互作用する光の体積Vがわかる。
【0037】
蛍光は、ファイバープローブ(15)の円形開口(17)から取り込まれ、ブリュースター角入射用ガラス板(14)を通過し、反射ミラー(13)で反射した戻り光(18)のうち蛍光信号だけ干渉フィルター(19)を通した後、超高感度検出器(20)によりその強度が検出される。超高感度検出器(20)も上記の超高感度検出器(10)と同様なものを用いることができる。
【0038】
ここで超高感度検出器(20)で検出した蛍光の測定値Qカウントは下記式[2]で表される。
【0039】
Q=I・V・σ’・n’・Δt・K/(hν・A)・・・・・[2]
(ところで、I:レーザー強度、V:相互作用領域の体積、σ’:LIF吸収断面積、n’:ヒドロキシルラジカルの分子密度、Δt:測定時間、K:光学系の透過率、hν:光子1個のエネルギー、A:検出器の1光子当たりのカウント、つまり電気信号への変換係数である)
従って、パソコン等の演算装置に、上記[2]式に基づく演算を行わせることにより、超高感度検出器(20)による測定値Qカウントから血液中のヒドロキシルラジカルの分子密度n’、すなわちヒドロキシルラジカル量を求めることができる。
【0040】
次に、この出願の発明の実施例を述べる。
【実施例1】
【0041】
図1に示す構成の装置を用いて血液中の酸素量測定を行った。レーザー発生装置(1)により波長694nm、強度約1kWの1パルスレーザー光(2)を発生させ、直径2mmφの穴開き反射ミラー(金コートミラー)(3)の穴を通して、ファイバープローブ(5)に入射させた。ファイバープローブ(5)は石英タイプのもので、ファイバー径が1mm、先端部(6)の円形開口(7)の直径は100μmとした。ファイバープローブ(5)の先端を血液中に入れておき、レーザー光(2)を照射するとラマン散乱光(ストークス線:1552cm-1)が発生した。それをファイバープローブ(5)の円形開口(7)から取り込み、反射ミラー(3)で反射させて、戻り光(8)のうち散乱光信号だけ干渉フィルター(9)を通した後、超高感度検出器(10)で検出した。あらかじめ上記[1]式により演算を行い酸素量が算出できるようにプログラムしておいたパソコンに、高感度検出器(10)で検出した測定値を入力して酸素量を求めた。その生データを図3に示す。
【実施例2】
【0042】
図2に示す構成の装置を用いて血液中のヒドロキシルラジカル量測定を行った。レーザー発生装置(11−1)により波長350nm、強度300mWのレーザー光(12−1)を発生させ、直径2mmφの穴開き反射ミラー(金コートミラー)(13)の穴を通して、ブリュースター角入射用ガラス板(14)を通過させた。一方、もう一つのレーザー発生装置(11−2)により波長2.9μm、強度300mWのレーザー光(12−2)を発生させ、反射ミラー(金コートミラー)(21)で反射させ、ブリュースター角入射用ガラス板(レーザー光(12−2)に対して入射角57度(ブリュースター角)で反射ミラーの役割をする)(14)で反射させ、レーザー光(12−1)と合流させ、レーザー光(12)とした。そしてレーザー光(12)をファイバープローブ(15)に入射させた。ファイバープローブ(15)は石英タイプのもので、ファイバー径が500μm、先鋭部(16)の円形開口(17)の直径は50μmとした。ファイバープローブ(15)の先端を血液中に入れておき、レーザー光(12)を照射すると、蛍光(波長310nm)が発生した。それをファイバープローブ(15)の円形開口(17)から取り込み、ガラス板(14)を通過させ、反射ミラー(13)で反射させて、戻り光(18)のうち蛍光信号だけ干渉フィルター(19)を通過させ雑音を除去した後、信号を超高感度検出器(20)で検出した。あらかじめ上記[2]式により演算を行いヒドロキシルラジカル量が算出できるようにプログラムしておいたパソコンに、高感度検出器(20)で検出した測定値を入力してヒドロキシルラジカル量も第1発明の実施例と同様に求めることができた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この出願の発明による血液中の酸素量を測定するための装置を模式的に示した図である。
【図2】この出願の発明による血液中のヒドロキシルラジカル量を測定するための装置を模式的に示した図である。
【図3】この出願の発明の実施例で求めた生データを示した図である。
【符号の説明】
【0044】
1、11−1、11−2 レーザー発生装置
2、12、12−1(P偏光レーザー光)、12−2(S偏光レーザー光) レーザー光
3、13 穴開き反射ミラー
14 ブリュースター角入射用ガラス板
5、15 ファイバープローブ
6、16 円錐形の先鋭部
7、17 円形開口
8、18 戻り光(散乱光信号または蛍光信号、雑音信号(入射光の戻り光、周囲の光など)
9、19 干渉フィルター
10、20 超高感度検出器
21 反射ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、
ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、
ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、
エバネッセント光と血液中の酸素との相互作用により発生したラマン散乱光を検出し、
その検出結果に基づいて血液中の酸素量を測定することを特徴とする、レーザー光を用いた血液中の酸素量の測定方法。
【請求項2】
先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有するファイバープローブを用い、
ファイバープローブの先鋭部先端の開口を血液中に入れ、
ファイバープローブにレーザー光を入射して、ファイバープローブの先鋭部先端の開口からエバネッセント光を発生させ、
エバネッセント光と血液中のヒドロキシルラジカルとの相互作用により発生した蛍光を検出し、
その検出結果に基づいて血液中のヒドロキシルラジカル量を測定することを特徴とする、レーザー光を用いた血液中のヒドロキシルラジカル量の測定方法。
【請求項3】
ラマン散乱光又は蛍光の取り込みを、エバネッセント光を発生したファイバープローブにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定方法。
【請求項4】
ラマン散乱光又は蛍光の取り込みを、別のファイバープローブにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の測定方法。
【請求項5】
レーザー光を発生するレーザー発生装置と、
先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有し、レーザー発生装置からのレーザー光を入射して、開口からエバネッセント光を発生するファイバープローブと、
エバネッセント光と血液中の酸素との相互作用により発生したラマン散乱光を検出する検出手段と、
検出手段からの検出結果に基づいて血液中の酸素量を演算する演算手段とからなることを特徴とする、レーザー光を用いた血液中の酸素量の測定装置。
【請求項6】
レーザー光を発生するレーザー発生装置と、
先端に開口が形成されそれ以外の部分には光を遮断する被覆が施された先鋭部を有し、レーザー発生装置からのレーザー光を入射し、開口からエバネッセント光を発生するファイバープローブと、
エバネッセント光と血液中のヒドロキシルラジカルとの相互作用により発生した蛍光を検出する検出手段と、
検出手段からの検出結果に基づいて血液中のヒドロキシルラジカル量を演算する演算手段とからなることを特徴とする、レーザー光を用いた血液中のヒドロキシルラジカル量の測定装置。
【請求項7】
エバネッセント光を発生したファイバープローブが、ラマン散乱光又は蛍光の取り込みを行うように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の測定装置。
【請求項8】
ラマン散乱光又は蛍光を取り込むための別のファイバープローブを有することを特徴とする請求項5又は6に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−34418(P2006−34418A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215675(P2004−215675)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000004097)日本原子力研究所 (55)
【Fターム(参考)】