説明

レーザー加工装置及びレーザー加工方法

【課題】加工対象物の両面を加工するレーザー加工装置において、一面と他面とで加工される位置にズレが生じることを低コストで防止した構成を提供する。
【解決手段】レーザー加工装置1は、レーザー発振器10と、1対の反射ミラー12a,12bと、を備える。レーザー発振器10は、レーザー発振器10は、発射光路L1a,L1bの2つの光路を有するレーザーを、位置を変えることなく発射する。反射ミラー12a,12bは、レーザー発振器10が発射したレーザーがFFC20の加工面に照射されるようにそれぞれ反射する。そして、正面視で見たときに、レーザー発振器10は、発射する2つのレーザーが対称軸aに関して対称となるように当該レーザーを発射する。また、反射ミラー12a,12bは、対称軸aに関して対称となるように、対で配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、レーザー加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザーを用いて、対象物に孔開け及び切断等の加工を行う方法が知られている。このレーザー加工は、強度及び位置を精度良く制御できるため、様々な部材の加工に用いられている。特許文献1は、対象物の複数の面にレーザーを照射可能なレーザー加工装置を開示する。
【0003】
特許文献1のレーザー加工装置は、移動可能に構成されたレーザー発振器を備えている。レーザー加工において、通常は、対象物までの距離が変化すると、変化後の距離で高出力が得られるようにレーザー発振器を再設定する必要がある。しかし、特許文献1では、レーザー発振器と対象物との間に光路長補正用のプリズムが配置されているため、レーザー発振器を移動させてレーザーを発射させるだけで、高出力を保ちつつ、対象物の複数の面にレーザーを照射することができる。
【0004】
上記のように、対象物の複数の面にレーザーを照射可能なレーザー加工装置は、例えば、フレキシブルフラットケーブル(FFC)を加工するときに用いられる。
【0005】
初めに、FFCについて説明する。FFCは、特許文献2及び特許文献3に示すように、並べて配置された複数の導体に対して、これらの導体を覆うように絶縁テープを取り付けることで製造される。また、特許文献2及び特許文献3が開示する絶縁テープには窓部が形成されている。この窓部によって、FFCの内部の導体(又は当該導体と電気的に接続された導体)が露出され、この窓部を介して、FFCの内部の導体と他の部品とを電気的に接続することができる。
【0006】
しかし、製造時に窓部が形成される構成では、窓部に異物が混入したり、露出した導体が酸化したりして、接続に失敗することがある。また、製造時において窓部が形成される位置を高精度にすることは難しく、高い位置精度が要求される場合に対応することができなかった。
【0007】
これに対し、特許文献4は、FFCの内部の導体と、接続先の導線と、の接続箇所に該当する部分の絶縁テープを除去して内部の導体を露出させてから接続を行う方法を開示する。特許文献4では、絶縁テープを除去する具体的な方法は特に開示されていないが、特許文献5では、レーザーを用いて絶縁テープを除去する構成が挙げられている。
【0008】
また、この絶縁テープの除去は両面に対して行う必要があり、レーザーを用いて絶縁テープの除去を行う場合、一般的には、一方の面にレーザーを照射した後に、FFCを裏返し、他方の面にレーザーを照射する構成が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2006/092827号パンフレット
【特許文献2】特開2001−43756号公報
【特許文献3】特開2008−4472号公報
【特許文献4】特開平11−97088号公報
【特許文献5】特開2007−52996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、FFCと他の導線とを接続するときは、FFCの内部の導体の幅と同等の大きさの孔(窓)を開ける必要がある。近年では、導体幅は5mm以下のものが用いられており、2mm以下の部材が用いられる場合もある。そのため、高精度の位置決めが必要となる。
【0011】
しかし、上記のようにしてFFCの両面を加工する方法は、FFCを裏返すときに正確に裏返すことが難しいため、加工される位置が、一面と他面とでズレてしまうことが多い。このズレが生じると、他の導線との接続について位置が合わないため、電気的な接続が適切に行えなくなる。
【0012】
このように、対象物を裏返して当該対象物の両面を加工すると、一面と他面とで加工される位置にズレが生じてしまう。また、対象物の位置を高精度に検出可能な検出センサを備え、裏返しの前後における位置を高精度に一致させる構成も考えられるが、高精度な検出センサは高価であるため、コストが増大してしまう。なお、レーザー発振器を2台備え、対象物を裏返すことなく両面を加工する構成も考えられるが、レーザー発振器は高価であるため、コストが増大してしまう。
【0013】
また、上記特許文献1の構成では、プリズムがレーザーを吸収してFFCに照射されるレーザーの強度が低下することがある。また、強度の強いレーザーを発射すると、プリズムが破損するため、一定以上の強度のレーザーを用いることができない。従って、レーザー加工を効率的に行うことができない。
【0014】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、加工対象物の両面を加工するレーザー加工装置において、一面と他面とで加工される位置にズレが生じることを低コストで防止した構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0015】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0016】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のレーザー加工装置が提供される。即ち、このレーザー加工装置は、レーザー発振器と、反射ミラーと、を備える。前記レーザー発振器は、少なくとも2つの光路を有するレーザーを、位置を変えることなく発射する。前記反射ミラーは、前記レーザー発振器が発射したレーザーが対象物の両面に照射されるようにそれぞれ反射する。そして、レーザーが有する2つの光路の両方に対して平行である面を光路面とし、当該光路面に垂直な方向で見たときに、前記レーザー発振器が発射したレーザーは、所定の対称軸に関して対称となるような2つの光路を有する。また、前記反射ミラーは、前記対称軸に関して対称となるように、対で配置される。
【0017】
これにより、対象物の両面を加工するために当該対象物を裏返す構成と比較すると、対象物を素早く、かつ両面の加工位置のズレ量を低減して加工することができる。また、対象物の両面を加工するためにレーザー発振器を複数用いる構成と比較すると、本発明の構成はレーザー発振器を1つ備えるだけで良いため、設備コストを低減させることができる。
【0018】
前記のレーザー加工装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このレーザー加工装置は、レーザーを2方向に分離するレーザー分離具を備える。分離されたレーザーは、それぞれの前記反射ミラーで反射される。
【0019】
これにより、対象物の両面を同時に加工可能であるため、加工速度を向上させることができる。
【0020】
前記のレーザー加工装置においては、前記対象物の位置を検出する位置検出センサを備えることが好ましい。
【0021】
これにより、対象物の位置を検出できるため、当該対象物の加工面の位置を正確に把握して一層精度の良い加工を行うことができる。
【0022】
前記のレーザー加工装置においては、対象物としてフレキシブルフラットケーブルが用いられることが好ましい。
【0023】
即ち、他の導線と接続するためにフレキシブルフラットケーブルの両面の被覆をレーザー加工によって除去するときは、両面の加工位置のズレ量を極力小さくする必要がある。従って、本発明をフレキシブルフラットケーブルの被覆除去に適用すれば、両面の加工位置のズレ量を低減させるという前記の効果を一層有効に発揮させることができる。
【0024】
本発明の第2の観点によれば、以下のレーザー加工方法が提供される。即ち、このレーザー加工方法においては、少なくとも2つの光路を有するレーザーを発射するレーザー発振器が、当該2つの光路に対して平行である面を光路面とし当該光路面に垂直な方向で見たときに所定の対称軸に関して対称となるように、レーザーを発射する。発射されたレーザーは、前記光路面に垂直な方向で見たときに前記対称軸に関して対称に配置されている反射ミラーでそれぞれ反射する。そして、反射されたレーザーによって対象物の両面を加工する。
【0025】
これにより、対象物の両面を加工するために対象物を裏返す方法と比較すると、対象物を素早く、かつ両面の加工位置のズレ量を低減して加工することができる。また、対象物の両面を加工するためにレーザー発振器を複数用いる方法と比較すると、本発明の方法はレーザー発振器を1つ備えるだけで良いため、設備コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザー加工装置を概略的に示す正面図。
【図2】レーザー加工装置の平面図。
【図3】分離プリズムの構成を模式的に示す斜視図。
【図4】レーザーが反射ミラーによって反射される様子を示す正面図。
【図5】反射光路及び仮想光路の長さの関係を示す正面図。
【図6】変形例に係るレーザー加工装置を概略的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。初めに、レーザー加工装置1の構成について、図1から図3までを参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るレーザー加工装置1を概略的に示す正面図である。図2は、レーザー加工装置1の平面図である。図3は、分離プリズム30の構成を模式的に示す斜視図である。
【0028】
レーザー加工装置1は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)20の加工面21a,21bをCO2レーザーによって加工するための装置である。このレーザー加工装置1は、レーザー発振器10と、一対のミラー支持台11a,11bと、一対の反射ミラー12a,12bと、位置検出センサ13と、を備えている。
【0029】
レーザー発振器10は、図示しない1つのレーザー発生源からレーザーを発射可能に構成されている。また、レーザーを発射するタイミング及びレーザーの強度等は、図略の制御装置によって制御されている。そして、レーザー発振器10は、設置面14に向かってレーザーが発射されるようになっており、図1に示すように、発射光路L1a,L1bの2方向にレーザーを発射可能に構成されている。なお、図1及び以下の図面において、発射されるレーザーの最も外側の光路と最も内側の光路のみを図示している。
【0030】
本実施形態のレーザー発振器10は、内部に分離プリズム(レーザー分離具)30を備え、この分離プリズム30によって、1つのレーザー発生源から2方向にレーザーを分離している。この分離プリズム30は、図3に示すように三角柱状に構成される。そして、照射されるレーザーを角度の異なる2面で反射することで、レーザーを2つに分離している。この分離プリズム30は、レーザー発振器10の内部に配置される構成に代えて、レーザー発振器10の外部に配置しても良い。
【0031】
また、分離プリズム30を備える構成に代えて、内部のミラー及びプリズム等の角度を切替可能に構成され、これらを切り替えることでレーザーの光路を変更してレーザーを発射する方向を切り替える構成にしても良い。なお、この場合は、レーザーを同時に2方向に発射することができないため、本実施形態の構成に比べて加工速度が低減するが、分離による強度の低下がないため、レーザー発生源の出力を抑えることができる。
【0032】
また、レーザー発振器10が上記のようにして2方向に発射するレーザーはそれぞれ、正面視において図1に示す対称軸aに関して対称になっている。なお、本実施形態における正面図は、2方向に発射されるレーザーの両方の光路に対して平行である面を光路面(図1における紙面)としたときに、当該光路面に垂直な方向(図1における紙面裏表方向)で見た図と言うことができる。
【0033】
ミラー支持台11a,11bは、設置面14に設置されている。ミラー支持台11a,11bの上部には傾斜が形成されており、この傾斜部分に反射ミラー12a,12bが取り付けられている。
【0034】
反射ミラー12a,12bは、レーザー発振器10が発射したレーザーを反射して、加工面21a,21bに照射するためのものである。この反射ミラー12a,12bは、正面視において、対称軸aに関して対称となるように配置されている。
【0035】
また、反射ミラー12a,12bは、図2に示すように、FFC20の長手方向に平行に長く配置されているため、レーザーによる被覆除去が可能な範囲が広くなっている。
【0036】
なお、反射ミラー12a,12bは、金蒸着されたミラー及びアルミ蒸着されたミラー等を用いることができる。なお、金蒸着されたミラーを用いた場合、減衰や乱反射が少なく、レーザーを吸収しないため、好適である。
【0037】
レーザー加工の対象物であるFFC20は、銅等からなる複数の導線が内部に配置されており、この複数の導線をPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂で被覆したケーブルである。
【0038】
また、FFC20は、図略の支持部によって、レーザー発振器10と、設置面14の間に配置されている。より具体的には、FFC20の長手方向(図1における紙面裏表方向及び図2における上下方向)が設置面14と平行に配置される。そして、FFC20の面積が大きい方の側面(加工面21a,21b)が、設置面14と垂直に配置される。
【0039】
位置検出センサ13は、FFC20の位置を取得して制御装置へ出力している。制御装置は、この位置データに基づいて、レーザーを照射する位置を変更している。
【0040】
次に、本発明におけるレーザー加工方法について、図1及び図4を主に参照して説明する。図4は、レーザーが反射ミラー12a,12bによって反射される様子を示す正面図である。
【0041】
FFC20の被覆除去を行うときは、まず、加工対象のFFC20を上記の位置に配置する。そして、制御装置は、位置検出センサ13からの位置情報、他の導線と接続されるFFC20の内部の導線の位置等に基づいて、加工面21a,21bにおける具体的な加工位置を決定する。
【0042】
その後、レーザー発振器10から、発射光路L1a,L1bに沿うようにレーザーを発射させて、反射ミラー12a,12bにレーザーを照射する。なお、本実施形態のレーザー発振器10は、分離プリズム30によって同時に発射光路L1a,L1bの双方の光路に沿うようにレーザーを発射可能であるが、分離プリズム30を備えない場合は、初めに発射光路L1a,L1bのうちどちらか一方にレーザーを発射し、次に残りの反射経路にレーザーを発射すれば良い。
【0043】
レーザーは反射ミラー12a,12bによって反射しながら、図4に示す反射光路L2a,L2bに沿うように進む。そして、レーザーは、FFC20の加工面21a,21bに照射される。これにより、FFC20の被覆がレーザーにより加熱され、加熱された位置の両面の被覆が除去される。
【0044】
これらの被覆除去処理を所定回数繰り返すことで、FFC20の被覆除去が完了する。
【0045】
そして、被覆が除去されて所定の位置の導線が露出したFFC20と、他の導線と、が電気的に接続される。なお、この接続には、例えば超音波溶接及び半田付け等の公知の方法を用いることができる。
【0046】
なお、本実施形態の制御装置は、レーザーの出力が最も大きくなる光路長を設定可能に構成されている。以下、この制御装置に設定する光路長について、図5を参照して説明する。図5は、反射光路L2a,L2b及び仮想光路L3a,L3bの長さの関係を示す正面図である。
【0047】
制御装置に対して、実際の光路(発射光路L1a,L1b及び反射光路L2a,L2b)を設定可能であれば、この実際の光路を設定すれば良いが、このような光路は光路長の計測が困難であり、通常は用いることができない。
【0048】
しかし、本実施形態のレーザー加工装置1は、反射ミラー12a,12bに対して、反射光路L2a,L2bと仮想光路L3a,L3bとがそれぞれ対称となるようなレイアウトとなっている。そのため、反射ミラー12aと加工面21aとの間の距離と、反射ミラー12aを発射光路L1aの方向に延長して設置面14に到達するまでの距離と、が等しい。同様に、反射ミラー12bと加工面21bとの間の距離と、反射ミラー12bを発射光路L1bの方向に延長して設置面14に到達するまでの距離と、が等しい。なお、図5には、同じ長さの光路に同じマークを付している。
【0049】
従って、制御装置に設定する光路長を「発射光路L1a及び仮想光路L3aの光路長」とすることで、制御装置に設定する光路長を簡単にすることができる。
【0050】
以上に説明したように、本実施形態のレーザー加工装置1は、レーザー発振器10と、1対の反射ミラー12a,12bと、を備える。レーザー発振器10は、発射光路L1a,L1bの2つの光路を有するレーザーを、当該レーザー発振器10を移動させることなく発射する。反射ミラー12a,12bは、レーザー発振器10が発射したレーザーが加工面21a,21bに照射されるようにそれぞれ反射する。そして、正面視で見たときに、レーザー発振器10は、発射する2つのレーザーが対称軸aに関して対称となるように当該レーザーを発射する。また、反射ミラー12a,12bは、対称軸aに関して対称となるように、対で配置される。
【0051】
これにより、加工面21a,21bを加工するためにFFC20を裏返す構成と比較すると、素早く、かつ両面の加工位置のズレ量を低減して加工することができる。また、FFC20の両面を加工するためにレーザー発振器10を複数用いる構成と比較して、設備コストを低減させることができる。
【0052】
また、本実施形態のレーザー加工装置1は、レーザーを2方向に分離する分離プリズム30を備える。この分離プリズム30によって分離されたレーザーは、それぞれの反射ミラー12a,12bで反射される。
【0053】
これにより、FFC20の両方の加工面21a,21bを同時に加工可能であるため、加工速度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態のレーザー加工装置1においては、FFC20の位置を検出する位置検出センサ13を備える。
【0055】
これにより、FFC20の位置を検出できるため、加工面21a,21bの位置を正確に把握して一層精度の良い加工を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態のレーザー加工方法においては、発射光路L1a,L1bの2つの光路を有するレーザーを発射するレーザー発振器10が、正面視で対称軸aに関して対称となるように、レーザーを発射する。発射されたレーザーは、正面視で対称軸aに関して対称に配置されている一対の反射ミラー12a,12bでそれぞれ反射する。そして、反射されたレーザーによってFFC20の両方の加工面21a,21bを加工する。
【0057】
これにより、FFC20の被覆除去を両面対称に行うことができるので、両面の被覆除去を高精度に一致させることができる。
【0058】
次に、図6を参照して、上記実施形態の変形例を説明する。図6は、変形例に係るレーザー加工装置1xを概略的に示す正面図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0059】
本変形例に係る構成は、正面視において、反射ミラー12a,12bが設置面14に対して垂直に配置されている。つまり、そのため、発射光路L1a,L1b及び反射光路L2a,L2bは、設置面に対して45度の傾斜を有している。従って、発射光路L1a,L1b及び反射光路L2a,L2bの4本の光路が菱形状に構成される。
【0060】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0061】
レーザー発振器10が発射可能なレーザーの方向は、2方向に限られず、3方向又は4方向以上にレーザーを発射できる構成にしても良い。
【0062】
反射ミラー12a,12bの個数は上記で示した例に限られず、反射ミラー12a,12bを複数対で配置する構成にしても良い。また、反射ミラー12a,12bを配置する角度についても、対象物の両面にレーザーを照射可能であれば、どのような角度にしても良い。
【0063】
上記実施形態及び変形例において、対象物としてFFC20を用いたが、これに代えて、他の物質をレーザー加工する場合にも本発明を適用することができる。
【0064】
レーザー発振器10は、加工面21a,21bのPETの除去に適したCO2レーザーを用いたが、用いるレーザーを対象物に応じて変更しても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 レーザー加工装置
10 レーザー発振器
12a,12b 反射ミラー
13 位置検出センサ
20 FFC(対象物)
21a,21b 加工面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの光路を有するレーザーを、位置を変えることなく発射するレーザー発振器と、
前記レーザー発振器が発射したレーザーが対象物の両面に照射されるようにそれぞれ反射する反射ミラーと、
を備え、
レーザーが有する2つの光路の両方に対して平行である面を光路面とし、当該光路面に垂直な方向で見たときに、
前記レーザー発振器が発射したレーザーは、所定の対称軸に関して対称となるような2つの光路を有し、
前記反射ミラーは、前記対称軸に関して対称となるように、対で配置されることを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザー加工装置であって、
レーザーを2方向に分離するレーザー分離具を備え、
分離されたレーザーは、それぞれの前記反射ミラーで反射されることを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザー加工装置であって、
前記対象物の位置を検出する位置検出センサを備えることを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のレーザー加工装置であって、
対象物としてフレキシブルフラットケーブルが用いられることを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項5】
少なくとも2つの光路を有するレーザーを、位置を変えることなく発射するレーザー発振器が、当該2つの光路に対して平行である面を光路面とし当該光路面に垂直な方向で見たときに所定の対称軸に関して対称となるように、レーザーを発射し、
発射されたレーザーは、前記光路面に垂直な方向で見たときに前記対称軸に関して対称に配置されている反射ミラーでそれぞれ反射し、
反射されたレーザーによって対象物の両面を加工することを特徴とするレーザー加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−183425(P2011−183425A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50453(P2010−50453)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】