説明

レーザ加工装置

【課題】反射型空間変調素子を用いたレーザ加工装置において、反射型空間変調素子の反射面の劣化を遅延させ、装置寿命を向上できるようにする。
【解決手段】レーザ加工装置100が、レーザ光源30と、レーザ光源30から出射されたレーザ光31bを空間変調する空間変調素子6と、空間変調素子6によって一定方向に向けて反射されたオン光32を加工可能領域内に結像する結像レンズ7および対物レンズ10と、レーザ光源30と空間変調素子6との間の光路上に配置される可変マスク5と、空間変調素子6の空間変調データを生成する空間変調データ生成部と、空間変調データに基づいて、微小ミラーの傾斜角を切り換える空間変調素子駆動制御部24と、空間変調データに基づいて、照射領域の大きさおよび位置を設定する照射領域設定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関する。例えば、反射型空間変調素子を用いて、液晶基板、半導体基板やプリント基板等の欠陥のレーザ加工(リペア加工)を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、液晶表示デバイス(LCD)の製造工程などでは、フォトリソグラフィ処理工程で処理されるガラス基板に対して各種検査を行われる。この検査の結果、ガラス基板上に形成されたレジストパターンやエッチングパターンに欠陥部が検出されると、レーザ加工装置を用いて、欠陥部にレーザ光を照射して欠陥部を除去するレーザ加工、いわゆるリペア加工を施す場合が多い。
このようなレーザ加工装置として利用可能な装置として、特許文献1には、エキシマレーザなどのレーザ発振器から出射されたレーザビームをホモジナイザーなどのビーム均質光学系を用いて断面上の強度分布を均一化し、微小レンズミラーアレイにより被加工物に転写ドットパターンを構成して、レーザ加工を行うレーザ加工装置が記載されている。
また特許文献2には、ガラス基板上の欠陥部を撮像して取得された欠陥画像データから欠陥部の形状データを抽出し、この形状データに従ってDMD(Digital Micro mirror Device)ユニットの各微小ミラーを高速に角度制御し、これら微小ミラーで反射したレーザ光の断面形状を欠陥部の形状に略一致させて欠陥部に照射するリペア方法およびその装置が記載されている。
【特許文献1】特願平8−174242号公報(図1)
【特許文献2】特開2005−103581号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来のレーザ加工装置には以下のような問題があった。
特許文献1、2に記載の技術では、レーザ光を欠陥形状に対応して空間変調することにより、2次元パターンの加工を行うために、それぞれ微小レンズミラーアレイ、DMDからなる反射型空間変調素子を用いている。このため、レーザ光のエネルギーによっては、これらの微小ミラーが劣化する場合がある。例えば、DMDを構成するアレイ状に配置された微小ミラーの表面はアルミニウムの薄膜で覆われており、これらの微小ミラーにレーザ光を照射して、長い間使用すると、微小ミラー表面のアルミニウム薄膜の反射率が徐々に低下し、最終的には薄膜が除去されるまで劣化し、レーザ光を反射できなくなる恐れがあるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、反射型空間変調素子を用いたレーザ加工装置において、反射型空間変調素子の反射面の劣化を遅延させ、装置寿命を向上できるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のレーザ加工装置は、被加工面上の加工可能領域内の加工形状情報を表す加工データに基づいて、被加工物をレーザ加工するレーザ加工装置であって、レーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を空間変調するために、変調領域内に傾斜角可変に設けられた複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子と、該反射型空間変調素子によって一定方向に向けて反射されたレーザ光を前記加工可能領域内に結像する結像光学系と、前記レーザ光源と前記反射型空間変調素子との間の光路上に配置され、前記レーザ光源から出射されたレーザ光の、前記変調領域上での照射領域の大きさおよび位置を可変する照射領域変更部と、前記照射領域の大きさおよび位置を設定する照射領域設定部とを備える。
この発明によれば、レーザ光源から出射されるレーザ光を反射型空間変調素子上に照射し、微小ミラーによって一定方向に向けて反射された光を結像光学系に入射させ、被加工面上の加工可能領域内に結像する。それにより加工データに基づいたレーザ加工が行われる。その際、レーザ光源と反射型空間変調素子との間には、変調領域上の照射領域の大きさおよび位置を可変できるようにした照射領域変更部が配置されているので、レーザ加工の必要に応じて、照射領域設定部によって照射領域の大きさおよび位置を変更して、照射領域を変調領域に対して狭めることで、反射型空間変調素子に照射されるレーザ光のエネルギーを低減することができる。
加工可能領域内に出現する欠陥部の大きさおよび位置は、加工条件や被加工物が変われば変わるので、経時的にはレーザ光の照射領域は均等化されてゆき、レーザ加工を行うごとに反射型空間変調素子のすべての微小ミラーにレーザ光が照射される場合に比べて、平均的には、各微小ミラーへのレーザ光によるダメージを低減することができる。
【0006】
本発明では、前記加工データに対応して、前記レーザ光を前記一定方向に向けて反射する微小ミラーを選択する空間変調データを生成する空間変調データ生成部と、該空間変調データ生成部で生成された空間変調データに基づいて、前記反射型空間変調素子の各微小ミラーの傾斜角を切り換える空間変調素子駆動制御部とを備え、前記照射領域設定部が、前記空間変調データ生成部によって生成された前記空間変調データに基づいて、前記照射領域の大きさおよび位置を設定できるようになっていることが好ましい。
この場合、照射領域設定部が、空間変調データ生成部によって生成された空間変調データに基づいて、照射領域の大きさおよび位置を設定できるようになっているので、空間変調データ生成部により、加工データに基づいて生成される空間変調データに基づいて、照射領域を効率的に設定することができるので、加工効率を損なうことなく、反射型空間変調素子に照射されるレーザ光のエネルギーを低減することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のレーザ加工装置によれば、反射型空間変調素子を用いたレーザ加工装置において、照射領域変更部によって、反射型空間変調素子へのレーザ光の照射領域を狭めることができるので、反射型空間変調素子の反射面の劣化を遅延させ、装置寿命を向上することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す光軸を含む断面における模式説明図である。図2(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置に用いる照射領域変更部および反射型空間変調素子を反射型空間変調素子の基準軸側から見た模式説明図である。
【0010】
本実施形態のレーザ加工装置100は、被加工物にレーザ光を照射してレーザ加工であるリペア加工を行うのに好適なレーザ加工装置である。例えば、LCD(液晶ディスプレイ)のガラス基板や半導体ウエハ基板など、フォトリソグラフィ処理工程で基板上に回路パターンなどが形成された被加工物において、例えば配線部分のショート、フォトレジストのはみ出し等の欠陥部が検出された場合に欠陥部を除去するといったリペア加工に好適に用いることができるものである。
レーザ加工装置100の概略構成は、図1に示すように、レーザ光源30、空間変調素子6(反射型空間変調素子)、可変マスク5(照射領域変更部)、結像レンズ7(結像光学系)、対物レンズ10(結像光学系)、観察用光源14、観察用結像レンズ12、撮像素子13、画像処理部23、装置制御部21、およびユーザーインターフェース27等からなる。図1において、符号11は、被加工物である基板、符号11aは、基板11の被加工面を示す。
【0011】
レーザ光源30は、レーザ光31bを空間変調素子6に向けて出射するリペア加工用の光源である。本実施形態では、レーザ発振器1、結合レンズ2、ファイバ3、および投影レンズ4からなる構成を採用している。
レーザ発振器1は、基板11上の欠陥を除去するため、適宜の波長、出力を備えるレーザ光31aを出力するもので、例えば、パルス発振可能なYAGレーザなどを好適に採用することができる。発振波長は、リペア対象に応じて複数の発振波長を切り換えられるようにしてもよい。
レーザ発振器1は、装置制御部21の制御信号に応じてレーザ発振器1の発光を制御するレーザ発振器制御部26に電気的に接続されている。
【0012】
レーザ発振器制御部26は、予め装置制御部21に記憶されるか、ユーザーインターフェース27により入力されるレーザ照射条件に応じて、例えば、発光波長、パルス発振などの発振モード、点灯消灯制御などを行うことができる。特に図示しないが、レーザ光31aの光強度を調整するため、レーザ発振器1の出射口側に、減光フィルタなどを切換可能に設け、レーザ発振器制御部26によりその切換を制御できるようにしてもよい。
本実施形態では、1回の加工で一定の光強度で一定パルスのレーザ光31aを発光する例で説明する。この1回の発光をレーザショットと称する。
【0013】
レーザ発振器1から出力されるレーザ光31aは、光量分布が一般にガウシアン分布になっているので、本実施形態では、レーザ光31aの光路上に配置された結合レンズ2によって集光してファイバ3の一方の端部3aに光結合する。そして、ファイバ3を通過させて、ファイバ3の他方の端部3bから出射させることで、光量分布が均一化したレーザ光31bを出射することができる。
【0014】
投影レンズ4は、ファイバ端面3aと、空間変調素子6の基準平面とを共役な関係とする配置とされ、ファイバ端面3aの像を空間変調素子6の変調領域全体を照射できるように投影倍率が設定されたレンズまたはレンズ群である。
【0015】
空間変調素子6は、レーザ光源30の投影レンズ4から投射されたレーザ光31bを空間変調する反射型空間変調素子である。本実施形態では、微小ミラーアレイであるDMD(Digital Micro mirror Device)を採用している。すなわち、図2(a)に示すように、長辺W×短辺Hの矩形状の変調領域内に、複数の微小ミラー6aが、それらの反射面が基準平面内に整列して、2次元的に配列され、空間変調素子6に電気的に接続された空間変調素子駆動制御部24からの制御信号によって、各微小ミラー6aの異なる2方向に選択的に傾斜させることができるようになっている。
各微小ミラー6aは、空間変調素子駆動制御部24からの制御信号に応じて発生する静電電界によって、オン状態では、例えば、基準平面から+12°回転され、オフ状態では、基準平面から−12°回転される。以下では、オン状態の微小ミラー6aによって反射された光をオン光、オフ状態の微小ミラー6aによって反射された光をオフ光と称する。
各微小ミラー6aの位置は、例えば、長辺方向の列番号m、短辺方向の行番号n(m、nは、0以上の整数)として、(m,n)で表すことができる。
【0016】
可変マスク5は、レーザ光源30と空間変調素子6との間の光路上に配置され、レーザ光源30から出射されたレーザ光31bの、空間変調素子6の変調領域上での照射領域の大きさおよび位置を可変する照射領域変更部をなすものである。本実施形態では、空間変調素子6上に近接して設けられた可動マスク5a、5bからなる。
【0017】
可動マスク5a、5bは、図2(a)に示すように、空間変調素子6の変調領域の短辺方向、長辺方向に沿って延びるL字状の端部L、Lがそれぞれ対向して設けられ、それらの間に矩形状の開口部が形成されている。そして、可動マスク5a、5bは摺動可能に重ね合わされ、マスク制御部25(図1参照)によって、空間変調素子6の変調領域上を2次元的にそれぞれ独立に移動できるようになっている。
例えば、図2(a)は、可動マスク5a、5bの端部L、Lがそれぞれ変調領域の外周と略整列するように移動された状態を示す。この場合、対向された端部L、Lの間には、W×Hの大きさの変調領域全体が含まれる開口によって照射領域Pが形成される。
また、図2(b)、(c)は、それぞれ、図2(a)の状態から、可動マスク5a、5bをそれぞれ対向方向に移動して、照射領域Pより開口面積が小さい矩形状の照射領域P、Pを形成し、それぞれを変調領域上の異なる位置に形成した状態を示す。
図2(b)の照射領域Pは、空間変調素子6の変調領域上に設けられた原点Oを含む変調領域の角部に形成した例であり、図2(c)の照射領域Pは、照射領域Pを原点Oと対向する変調領域の角部の近傍に移動した例である。
【0018】
マスク制御部25は、適宜の2軸移動機構を用いることができる。可動マスク5a、5bの移動制御は、例えば、空間変調素子6の原点Oに対する位置座標を用いて行われる。例えば、装置制御部21から送出される照射領域の大きさおよび位置の情報から、それらに対応する端部L、Lの対向する角部の点Q、Qの位置座標を算出することで可動マスク5a、5bの移動量、移動方向が設定される。
【0019】
結像レンズ7、対物レンズ10は、空間変調素子6で空間変調され、一定方向に向けて反射されたオン光32による像を、基板11の被加工面11a上に結像する結像光学系を構成する光学素子群であり、結像レンズ7が空間変調素子6側、対物レンズ10が基板11側に配置されている。そして、これらにより、空間変調素子6の各微小ミラー6aが配列された基準平面と、被加工面11aとが共役の関係とされる。本実施形態では、基板11は、載置台17上に水平に載置され、位置が固定されている。
この結像光学系の投影倍率は、被加工面11a上での必要な加工精度に応じて適宜設定される。例えば、変調領域全体のW×Hの大きさの画像が、被加工面11a上で、倍率βで、W’×H’の大きさに投影されるように設定する。すなわち、被加工面11a上のW’×H’の範囲の領域が加工可能領域となる。
ここで、結像レンズ7のNAは、加工に必要な分解能を満たし、かつオフ光(不図示)として反射された光が、入射しない大きさとされる。
【0020】
結像レンズ7と対物レンズ10との間の光路上には、対物レンズ10側から順に、半透鏡9、8が挿入されている。
半透鏡9は、オン光32を透過させ、観察用光源14によって出射される観察用光33の一部を反射する反射透過率特性を有するハーフミラーからなり、反射された観察用光33が結像光学系の光軸に沿って対物レンズ10に入射できる位置関係に配置される。
観察用光源14は、加工形状を決定したり、加工結果を確認するために被加工面11a上の加工可能領域内を照明したりするための観察用光33を発生する光源である。例えば、可視光を発生するキセノンランプやLEDなど適宜の光源を採用することができる。
【0021】
半透鏡8は、オン光32を透過させ、基板11側から半透鏡9を透過して光路上を進む光のうち、被加工面11aで反射された観察用光33の一部を反射する反射透過率特性を有するハーフミラーからなる。
半透鏡9、8の反射透過率特性は、波長特性が付与されていてもよく、この場合、オン光32の波長に対して高透過率、好ましくは略100%の透過率にするとよい。このようにすれば、結像光学系での光量損失が低減されるので、レーザ光31bの光量をより低減することができる。すなわち、空間変調素子6に対する照射光量がより低減される。
また、レーザ光の照射時にはね上げや移動による光路から退避可能な構成としてもよい。
【0022】
観察用結像レンズ12は、半透鏡8で反射される観察用光33の光路上に配置され、撮像素子13の撮像面上に結像するレンズまたはレンズ群である。
撮像素子13は、撮像面上に結像された画像を光電変換するもので、例えば、CCDなどからなる。
撮像素子13で光電変換された画像信号は、撮像素子13に電気的に接続された画像処理部23に送出される。
【0023】
画像処理部23は、撮像素子13から送出された画像信号から、例えばノイズ処理、輝度補正などの適宜の画像処理を施し、被加工面11aの画像データを取得する。この画像データは、例えば、ユーザーインターフェース27の一部を構成するモニタに拡大表示されるようになっている。
また、画像処理部23は、画像データから欠陥を抽出し、欠陥を除去するための加工形状情報を加工データとして生成し、装置制御部21に送出する。
この欠陥抽出処理は、周知のいかなる欠陥抽出アルゴリズムを用いてもよい。例えば、取得された画像データと、あらかじめ記憶された正常な被加工面11aのパターン画像データとの輝度の差分をとり、その差分データをあるしきい値で2値化したデータから欠陥を抽出することができる。
【0024】
本実施形態では、図1に示すように、レーザ光源30のうちファイバ3の投影レンズ4側の端部、空間変調素子6、可変マスク5、結像レンズ7、半透鏡8、9、対物レンズ10、観察用光源14、観察用結像レンズ12、および撮像素子13は、それぞれの相対位置を保って筐体などの保持部材(不図示)に一体に保持され、加工ヘッド15を構成している。
加工ヘッド15は、例えばXY移動ステージなどからなる加工ヘッド駆動部22によって、少なくとも被加工面11aに平行な平面内に沿って位置移動可能に保持されている。
加工ヘッド駆動部22は、装置制御部21に電気的に接続され、装置制御部21からの制御信号に応じて、加工ヘッド15を位置移動させることができる。これにより、オン光32を投影する結像光学系の光軸に対して、被加工面11aが相対移動され、加工可能領域が移動される。また、光軸を共有する観察用光33の照明範囲も加工可能領域とともに移動される。
【0025】
装置制御部21は、加工ヘッド駆動部22、画像処理部23、空間変調素子駆動制御部24、マスク制御部25、レーザ発振器制御部26、およびユーザーインターフェース27と電気的に接続され、それぞれとの間で、通信を行って、データや制御信号を送受信し、必要な演算処理を行って、レーザ加工装置100の全体制御を行うものである。
装置制御部21の装置構成は、本実施形態では、CPU、メモリ、入出力部、外部記憶装置などで構成されたコンピュータを用い、それぞれの制御機能、演算機能に対応して作成されたプログラムを実行することにより実現している。
なお、画像処理部23の装置構成は、専用のハードウェアを用いてもよいが、本実施形態では、装置制御部21を構成するコンピュータによって画像処理プログラムを実行することにより実現される。
【0026】
装置制御部21の機能としては、加工データに対応して、レーザ光を一定方向に向けて反射する微小ミラーを選択する空間変調データを生成する空間変調データ生成部と、この空間変調データに基づいて、照射領域の大きさおよび位置を設定する照射領域設定部の機能が含まれる。
【0027】
ユーザーインターフェース27は、装置制御部21の入出力手段を提供する。本実施形態では、特に図示しないが、操作者がレーザ加工装置100の動作制御を行うための指示情報を操作入力するための操作部、例えば、操作ボタン、キーボード、マウスや、装置制御部21によって処理された画像情報や各種の数値、文字情報を表示し、操作者が確認できるようにするモニタなどを備えている。
【0028】
次に、レーザ加工装置100の動作について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の動作について説明するフローチャートである。図4(a)、(b)は、加工可能領域に発生した欠陥の、反射型空間変調素子の変調領域に対する位置関係の例を示す模式図である。図5(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置における照射領域の設定方法について説明する模式図である。
【0029】
レーザ加工装置100は、ユーザーインターフェース27を通して、電源が投入されると初期化される。そして、載置台17上に被加工物として基板11を載置し、以下のようにレーザ加工を行う。
まず、ステップS1では、被加工面11aの加工可能領域の画像を取得する。すなわち、観察用光源14を点灯し、観察用光33を発生させる。観察用光33は、半透鏡9で一部が反射され、この反射光が対物レンズ10で集光されて被加工面11a上の加工可能領域を照明する。
被加工面11aで反射された反射光34は、対物レンズ10で集光され、一部が、半透鏡9を透過する。そして、半透鏡8により、さらに一部が反射されて、観察用結像レンズ12に導かれる。観察用結像レンズ12に入射した反射光34は、撮像素子13の撮像面に結像される。
撮像素子13は、結像された被加工面11aの画像を光電変換し、画像信号として画像処理部23に送出する。このようにして、被加工面11aの加工可能領域の画像が取得される。
この画像は、必要に応じて、ノイズ除去、輝度補正などの処理を行って、ユーザーインターフェース27のモニタに表示する。また、2次元の画像データとして装置制御部21に記憶する。
【0030】
次に、ステップS2では、画像処理部23により、ステップS1で取得された画像データから欠陥抽出を行う。そして、ここで抽出された欠陥の画像データからは、欠陥の位置、加工形状情報を表す加工データを生成し、装置制御部21に送出する。
この加工データ、およびステップS1で取得された画像データは、結像光学系の投影倍率がβであるため、加工可能領域上の位置座標を1/β倍することで、空間変調素子6の変調領域の位置に対応させることができる。
装置制御部21では、この加工データの取得後、加工データの位置に対応する微小ミラー6aをすべてオン状態とし、他の微小ミラー6aをオフ状態とする空間変調データを生成する。この空間変調データは、本実施形態では、例えば、各微小ミラー6aの位置(m,n)に対応して、オン状態が1、オフ状態が0の数値が対応する表データとして生成される。
【0031】
次に、ステップS3では、装置制御部21は、装置制御部21の外部記憶装置などに記憶された過去の累積レーザ照射量データをメモリに呼び出す。この累積レーザ照射量データは、過去のレーザ加工において次のステップS4で設定された照射領域の微小ミラー6aに対応するレーザ照射量データが、微小ミラー6aごとに加算されたものである。
累積レーザ照射量データは、初期値が0とされ、例えば、空間変調素子6の交換時などに強制的にリセットされるまでは、更新されたデータが外部記憶装置に記憶されつづける。
加算されるレーザ照射量データは、本実施形態では、レーザショットをカウントするもので、例えば照射領域に1回設定されると、1が加算される。
【0032】
なお、レーザ加工装置100が使用される環境や加工対象により、例えば、レーザショットごとのパルス幅、光強度が変更される場合、累積レーザ照射量データが、実際のレーザ照射光量に一致するように、必要に応じて、レーザ照射量データの重み付けを施してもよい。
また、微小ミラー6aの劣化速度が、例えば、繰り返し熱応力などに影響される場合など、レーザ照射光量の累積値よりも照射回数に依存するような場合には、レーザショットごとのレーザ照射光量が変化しても、累積照射回数のみを記憶すればよい。
このように累積レーザ照射量データは、レーザショット数をベースとした種々の数値に代表されるレーザ照射光量の相当量を必要に応じて設定することができる。そのため、厳密なレーザ照射光量に限定されるものではない。
【0033】
次に、ステップS4では、空間変調データおよび累積レーザ照射量データに基づいて、照射領域を設定する。
本実施形態では、照射領域変更部である可変マスク5によってレーザ光31bを遮光して照射領域を形成する。図1に示すように、レーザ発振器1で発振され、結合レンズ2、ファイバ3を経て、光量分布が均一化されたレーザ光31bは、空間変調素子6の変調領域をすべて含む範囲に照射される。
可変マスク5は、レーザ光源30と空間変調素子6との間に配置されているため、レーザ光31bは、可動マスク5a、5bの位置関係で決まる可変マスク5の開口の範囲に入射する光のみが空間変調素子6に到達する。
例えば、図2(a)のように可動マスク5a、5bが全開状態であれば、照射領域Pは、変調領域の全体に一致する。また、図2(b)、(c)の状態では、照射領域P、Pのように、変調領域の一部にレーザ光31bが照射される。
【0034】
微小ミラー6aの経時劣化を遅延させるために、照射領域は、空間変調データが1となる範囲を含むできるだけ小さな矩形開口とすることが好ましい。本実施形態の可変マスク5は、矩形開口の大きさ、位置を連続的に変化させることができるので、必要に応じて最適の矩形開口によって照射領域を形成することができる。
【0035】
例えば、図4(a)に示すように、空間変調データが1とされる欠陥位置40、41が、変調領域の対向する対角位置に離間して存在するような場合、最低でも図示の照射領域P以上の範囲に選定する必要がある。このような最低限の照射領域の範囲は、装置制御部21によって、空間変調データを演算することで算出される。
なお、このような最低限の照射領域の範囲を算出した上で、例えば照射誤差も考慮して、それよりも広い領域、あるいは、照射領域Pのように変調領域全体を設定してもよい。なお、スループットの短縮を考慮せず、寿命を優先させる場合には領域を2つに分けて設定してもよい。
一方、図4(b)に示すように、欠陥位置42が、原点Oの近傍に1つしかない場合、この欠陥位置42の囲む照射領域P、あるいは、それより大きな照射領域Pに設定すればよい。
【0036】
欠陥の出現位置、大きさ、個数などは、一般には加工ごとに異なるので、このように照射領域をできるだけ狭く設定するだけでも、加工ごとに変調領域全面を照射領域にする場合に比べて、個々の微小ミラー6aへの平均的なレーザ照射量が低減される。そのため空間変調素子6を長寿命化することができる。
【0037】
本実施形態では、より効率的に長寿命化を図るため、ステップS3で呼び出した累積レーザ照射量データを参照して、累積レーザ照射量データがより均等化されるような位置があれば、そのような位置に移動した照射領域を設定する。
【0038】
簡単のため、以下では、図4(b)の例の場合のように、上記のようにして一旦設定された照射領域が領域Pであり、全体の1/6の大きさだった場合を考える。そして、累積レーザ照射量データを参照した結果、領域P内の累積レーザ照射量が、他の領域に比べて大きかったとする。
この場合、照射領域を領域Pに設定すると、他の領域に比べて、領域Pの微小ミラー6aの劣化が激しくなってしまう。
そこで、本実施形態では、例えば、図5(a)に示すように、変調領域上の6つの領域M1〜M6のそれぞれの累積レーザ照射量データの適宜の代表値、例えば、平均値、最大値など、を比較して、代表値が最も小さい領域を照射領域として設定し直す。例えば、領域M6に設定する。この場合、照射領域が領域M1から領域M6に移動されたことになる。
各領域の累積レーザ照射量データの代表値が同一の場合は、どの領域に設定してもよい。例えば、領域P(M1)のままでもよい。その場合は、次の動作を行わずに、ステップS5、6に移行する。
このようにすれば、レーザ加工を繰り返すうちに、各微小ミラー6aに対する累積レーザ照射量データは、均等化されていく。
【0039】
この場合、照射領域M6に対応する被加工面11a上には、欠陥は存在しないので、図5(b)に示すように、空間変調素子6の位置を被加工面11a上の加工可能領域に対して図示斜め方向に平行移動して、空間変調素子6の領域M6が、欠陥の相当位置420に対応するようにする。この移動は、領域M6の原点O側の角部の点O’を用いて、点O’から点Oに向かうベクトルO’Oで表される。
これに合わせて、領域M1内の空間変調データを、空間変調素子6の移動と逆方向に、すなわちベクトルOO’だけ移動して、領域M6に配置する変換を行う。図5(b)において、符号60の領域は、被加工面11aの加工可能領域の位置に対応する。
【0040】
次に、ステップS5、6では、ステップS4で最終的に設定された照射領域に応じて、装置の設定条件の制御を行う。これらの2つのステップの実行順序は任意である。
ステップS5では、可動マスク5a、5bを移動する空間変調素子6に対して移動し、図5(b)の照射領域M6に開口部が形成されるようにする制御信号をマスク制御部25に送出する。これにより、図2(c)のような位置関係に可変マスク5が移動される。
【0041】
ステップS6では、加工ヘッド15を加工ヘッド駆動部22によって移動させることにより、被加工面11a上の加工可能領域に対する空間変調素子6の相対位置を移動する。この移動は、結像光学系の倍率βを考慮して、ステップS4で求めたベクトルO’Oに相当する移動を行う制御信号を装置制御部21から加工ヘッド駆動部22に送出することで実行される。
すなわち、本実施形態では、加工ヘッド駆動部22が、空間変調データ生成部および照射領域設定部による、空間変調データおよび照射領域の平行移動に対応して、被加工物を逆方向に相対移動させる相対移動手段となっている。
ステップS5、6が終了すると、ステップS7を実行する。
【0042】
ステップS7では、装置制御部21から、所定のレーザ照射条件に対応する制御信号をレーザ発振器制御部26に送出し、レーザ発振器1からレーザ光31aを出射するレーザショットを行う。
レーザ光31aは、結合レンズ2によってファイバ3の端面3aに光結合され、ファイバ3内によって伝送され、光量分布が均一化された状態で、端面3bからレーザ光31bとして出射される。
レーザ光31bは、投影レンズ4によって、空間変調素子6に向けて投影され、可変マスク5で遮光され、照射領域を透過するレーザ光31bのみが、微小ミラー6aに到達する。
そして、傾斜角がオフ状態とされたオフ光(不図示)は、結像レンズ7のNAの範囲外に反射され、傾斜角がオン状態とされた微小ミラー6aで反射されたオン光32のみが、結像レンズ7に入射する。このオン光32は、半透鏡8、9を透過して、対物レンズ10によって被加工面11a上に結像される。
これにより、加工データに対応する空間変調データに基づくオン光32よる変調領域の画像が、被加工面11a上に投影され、オン光32が、被加工面11aの欠陥に照射され、欠陥が除去される。
以上により、1回のレーザ加工を終了する。
また、このレーザ加工での照射領域に対応して、外部記憶装置の累積レーザ照射量データを更新する。
そして、必要に応じて、上記を繰り返して、未除去部があれば再度レーザ加工したり、あるいは、加工可能領域を移動して他の部分のレーザ加工をしたりする。
【0043】
このようにレーザ加工装置100によれば、1回のレーザ加工時に、可変マスク5によって、微小ミラー6aへのレーザ光の照射領域を必要な範囲に狭めることができ、さらに、過去の照射履歴に応じて、累積レーザ照射量が少ない部分の微小ミラー6aにレーザ光を照射することができるので、空間変調素子6の微小ミラー6aの劣化を遅延させ、装置寿命を向上することができる。
なお、反射型空間変調素子を基準平面に平行に2次元に移動可能に構成し、可動マスクの代わりにその照射サイズのみを変更可能な固定マスクとしてもよい。常に空間変調素子6のM1〜M6の領域が光軸に位置するように制御すれば、ステップS6の加工ヘッド相対位置設定を省略できる。そのため、重量の大きな加工ヘッドを動かす必要がなくなり、スループットを向上することができる。
【0044】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。
図6(a)は、本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の照射領域変更部の概略構成を示す模式的な斜視図である。図6(b)は、図6(a)の照射領域変更部に対応する照射領域と変調領域との対応関係を説明する模式説明図である。
【0045】
本実施形態のレーザ加工装置110は、上記第1の実施形態のレーザ加工装置100の可変マスク5に代えて、可変マスク50を備えるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
可変マスク50は、図6(a)に示すように、レーザ光源30の投影レンズ4と空間変調素子6との間に空間変調素子6の変調領域全体を覆う範囲において、変調領域に平行な面内で、例えばステッピングモータなどにより適宜の回転角で回転移動可能に保持された孔付き円板50aからなる。
孔付き円板50a内の周方向には、設定する照射領域の大きさ、位置に応じた複数の孔が設けられている。本実施形態では、7つの孔m〜mが設けられ、適宜の回転角で、孔付き円板50aが停止したとき、図6(b)に示すように、空間変調素子6上の領域M1〜M7に対応する開口が形成されるようになっている。
ここで、孔m〜mは、空間変調素子6の変調領域上を6等分する位置、大きさとなっており、孔mは、変調領域全体にわたる開口となっている。
また、孔m〜mが変調領域を6等分する位置、大きさとなっているのは、一例であり、加工すべき欠陥の大きさや出現率などに応じて、適宜の大きさを有する構成とすることができる。
【0047】
このようなレーザ加工装置110によれば、図3のステップS4において、欠陥位置から求められた加工データに対応する空間変調データが領域M1〜M6の中に収まる場合、その中の1つの領域を照射領域としてまず設定し、上記第1の実施形態と同様な動作を行う。
一方、空間変調データが、領域M1〜M6の中に収まらない場合、領域M7を照射領域に設定する。この場合、累積レーザ照射量データの比較および照射領域の移動は行わずに、次のステップS5、6に移行し、同様にレーザ加工を行うことができる。
【0048】
このようなレーザ加工装置110によれば、1回のレーザ加工時に、可変マスク50によって、欠陥の大きさ、位置に応じて微小ミラー6aへのレーザ光の照射領域を狭めることができ、さらに、過去の照射履歴に応じて、累積レーザ照射量が少ない部分の微小ミラー6aにレーザ光を照射することができるので、空間変調素子6の微小ミラー6aの劣化を遅延させ、装置寿命を向上することができる。
例えば、上記の説明のように、照明領域が、変調領域を6等分するものであり、仮に欠陥が複数の領域にわたる確率が0であると仮定すれば、6つの領域を均等に使い分けることで、常に変調領域全体に照射する場合に比べて6倍の寿命が得られることになる。
【0049】
なお、上記の説明では、照射領域変更部により、矩形の照射領域が設定される場合の例で説明したが、照射領域の形状は矩形に限定されるものではなく、適宜の形状を採用することができる。
【0050】
また、上記の第2の実施形態の説明では、照射領域変更部の複数の開口が、変調領域全体に開口するものと、変調領域を6等分するものとからなる例で説明したが、この2つの間の大きさで変調領域を分割する開口、例えば、2等分するもの、3等分するものなどをさらに備えるようにしてもよい。この場合、欠陥の位置が6等分した開口間にまたがる場合が生じても、2等分(3等分)した開口の1つに収まる確率が高くなるので、レーザ光照射量をより低減し、長寿命化することができる。
【0051】
また、上記の第2の実施形態の説明では、可変マスク50を回転移動させて、照射領域を変更する場合の例で説明したが、2次元的に移動させる構成としてもよい。
【0052】
また、上記の説明では、相対移動手段が、加工ヘッドが移動させる場合の例で説明したが、載置台17をXY移動ステージなどで移動可能に保持して、被加工物を移動させるようにしてもよい。
【0053】
また、上記の説明では、相対移動手段を備えることで、空間変調素子上の照射領域を移動しても、被加工物上の一定領域にレーザ光を照射できるようにしているが、照射領域を移動しない場合には、相対移動手段を備えなくてもよい。
照射領域を移動しない場合でも、加工可能領域内の欠陥の出現位置が、変化する場合には、それに応じて変調領域上で異なる照射領域が設定されるから、変調領域に対して狭い照射領域を設定する構成だけでも、個々の微小ミラーへの平均的なレーザ照射量が低減され、空間変調素子を長寿命化することができる。
【0054】
また、上記の説明では、照射領域設定部が空間変調データに基づいて照射領域の大きさおよび位置を設定するようにした例で説明したが、照射領域設定部は、例えば、ユーザーインターフェース27からの操作入力により空間変調データと無関係に、照射領域の大きさや位置を手動設定できるようにしてもよい。例えば、操作者がユーザーインターフェース27のモニタを観察しながら、モニタ上で欠陥部分を確認し、モニタ上から画像入力するなどして欠陥部分を含む範囲の照射領域を設定できるようにしてもよい。
【0055】
また、上記の説明では、加工データを取得するために、被加工面を撮像する撮像手段を備える場合の例で説明したが、例えば、他の検査装置などによって欠陥の情報が取得され、加工データが渡される場合には、加工データを取得するための撮像手段を備えていなくてもよい。
【0056】
また、上記の説明では、レーザ光源から出射されるレーザ光の光量を均一化するために、ファイバ3を透過させる構成の例で説明したが、レーザ光の均一化手段は、他の光学素子、例えば、フライアイレンズ、回折素子、非球面レンズや、カレイド型ロッドを用いたものなどの種々の構成のホモジナイザーなどを用いた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す光軸を含む断面における模式説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置に用いる照射領域変更部および反射型空間変調素子を反射型空間変調素子の基準軸側から見た模式説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置の動作について説明するフローチャートである。
【図4】加工可能領域に発生した欠陥の、反射型空間変調素子の変調領域に対する位置関係の例を示す模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置における照射領域の設定方法について説明する模式図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置の照射領域変更部の概略構成を示す模式的な斜視図、および照射領域変更部に対応する照射領域と変調領域との対応関係を説明する模式説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 レーザ発振器
3 ファイバ
4 投影レンズ
5、50 可変マスク(照射領域変更部)
6 空間変調素子(反射型空間変調素子)
6a 微小ミラー
7 結像レンズ(結像光学系)
10 対物レンズ(結像光学系)
11 基板(被加工物)
11a 被加工面
15 加工ヘッド
17 載置台
21 装置制御部
22 加工ヘッド駆動部(相対移動手段)
23 画像処理部
24 空間変調素子駆動制御部
25 マスク制御部
26 レーザ発振器制御部
30 レーザ光源
31a、31b レーザ光
32 オン光
100、110 レーザ加工装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工面上の加工可能領域内の加工形状情報を表す加工データに基づいて、被加工物をレーザ加工するレーザ加工装置であって、
レーザ光源と、
該レーザ光源から出射されたレーザ光を空間変調するために、変調領域内に傾斜角可変に設けられた複数の微小ミラーを有する反射型空間変調素子と、
該反射型空間変調素子によって一定方向に向けて反射されたレーザ光を前記加工可能領域内に結像する結像光学系と、
前記レーザ光源と前記反射型空間変調素子との間の光路上に配置され、前記レーザ光源から出射されたレーザ光の、前記変調領域上での照射領域の大きさおよび位置を可変する照射領域変更部と、
前記照射領域の大きさおよび位置を設定する照射領域設定部とを備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記加工データに対応して、前記レーザ光を前記一定方向に向けて反射する微小ミラーを選択する空間変調データを生成する空間変調データ生成部と、
該空間変調データ生成部で生成された空間変調データに基づいて、前記反射型空間変調素子の各微小ミラーの傾斜角を切り換える空間変調素子駆動制御部とを備え、
前記照射領域設定部が、前記空間変調データ生成部によって生成された前記空間変調データに基づいて、前記照射領域の大きさおよび位置を設定できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記被加工物を前記結像光学系の光軸に交差する方向に相対移動する相対移動手段を備え、
前記空間変調データ生成部および前記照射領域設定部は、それぞれが生成、設定する前記空間変調データおよび前記照射領域を、いずれも前記加工データに対応する前記変調領域上の位置から平行移動した位置に生成、設定できるように構成され、
前記相対移動手段が、前記空間変調データ生成部および前記照射領域設定部による、前記空間変調データおよび前記照射領域の平行移動に対応して、前記被加工物を逆方向に相対移動させることで、前記加工データに対応する位置の被加工物を前記平行移動された照射領域からのレーザ光によってレーザ加工できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記空間変調データ生成部および前記照射領域設定部が、
前記平行移動を、前記空間変調素子の各微小ミラーに対するレーザ照射光量の相当量の累積データに基づき、前記微小ミラーに対する前記累積データが均等化されてゆくように、設定することを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−142747(P2008−142747A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333497(P2006−333497)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】