説明

ロールケーキ及びその製造方法

【課題】 従来のスポンジケーキの部分をゼリーで代替し、巻き上げたロールケーキとその製造方法を提供する。
【解決手段】 2.0〜2.5重量%のゲル化剤、86.0〜90.0重量%の水、7.5〜12.0重量%のショ糖を含む溶液を用いて板状のゼリー層1を調製し、ゼリー層1の上にクレープ2載せ、クレープの上に細かく切ったフルーツ片3を載せ、さらにフルーツを覆うようにクリーム層4を形成し、クリーム層4を内側にして巻き上げてロールケーキを得る。ゼリー層1とクリーム層4の間にクレープ2を介在させることにより、ロールケーキ全体としての保形性を確保することができる。また、冷凍処理することで、保形性を向上し、食感を変化させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋菓子に関するもので、特に従来のロールケーキのスポンジケーキの部分の代替として、ゼリーを用いた新規構成を有するロールケーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロールケーキは、薄く長方形に焼いたスポンジケーキにフルーツの細片などを載せた後、クリーム類を載せ、クリーム側を内側にして渦巻き状に巻いたものが一般的である。そして一般的なものの他に、食味の多様化を目的とした、様々な構成のものが提案されている。
【0003】
その一例として、特許文献1には、広げた薄いスポンジケーキに、巻く回転方向と平行または不定形に複数の異なる種類の半練状物を塗り分けたり、複数の異なる種類の固形物を異なる場所に配置させたりして、一般的なロールケーキでは得られない食感を提供する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、スポンジケーキの上にプリンを載せ、巻き上げてもプリンの形状が損なわれないロールケーキとその製造方法が開示されている。
【0005】
一方でゼリーは、果汁、砂糖を含む溶液を、ゼラチンを代表とするゲル化剤で固めたもので、これに、香料、果肉、乳製品、鶏卵、酸味料などを加えることにより、食感、食味の多様化が可能で、独特の滑らかな食感を有することから、菓子の素材として多用されている。
【0006】
これを、スポンジケーキの代替として用いることで、従来にない独特のロールケーキが得られることが期待できるが、前記のプリンと同様に脆く、しかも内容物が流動性の高いクリームであることから、巻き上げるのが実質的に不可能であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2006−158212号公報
【特許文献2】 特開2001−112407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、ゼリーで巻き上げたロールケーキとその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記の課題の解決のために、薄型で固形の食材を用いて、ゼリーを巻き上げる方法を鋭意検討した結果なされたものである。
【0010】
即ち、本発明は、2.0〜2.5重量%のゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナンから選ばれる少なくとも1種を含むゲル化剤、86.0〜90.0重量%の水、7.5〜12.0重量%のショ糖を含むゼリーの層と、前記ゼリーの層の上に載せられたクレープと、前記クレープの上に載せられたフルーツの細片と、前記フルーツの細片を覆うように形成されたクリームの層を有する素材を、前記クリームの層を内側にして巻かれてなることを特徴とするロールケーキである。
【0011】
また、本発明は、2.0〜2.5重量%のゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナンから選ばれる少なくとも1種を含むゲル化剤、86.0〜90.0重量%の水、7.5〜12.0重量%のショ糖を含む溶液を用いて板状のゼリーの層を得る、ゼリー調製工程、前記のゼリーの層の上に、クレープを載せ、前記クレープの上にフルーツの細片を載せる、フルーツ層形成工程、前記フルーツ層を覆うようにクリームの層を形成する、クリーム層形成工程、前記クリームの層を内側にして巻く、巻き上げ工程を有することを特徴とする、前記のロールケーキの製造方法である。
【0012】
また、本発明は、前記巻き上げ工程の後、−5℃以下の温度に保持する冷凍工程を有することを特徴とする、前記のロールケーキの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前記のようにゼリーとクリームの間にクレープを介在させることで、クリームとゼリーの保形が可能となり、スポンジケーキの代替としてゼリーを用いたロールケーキの製造が可能となる。
【0014】
また、本発明のロールケーキは、保形性を向上するために、巻き上げた後、冷凍処理を施すことが望ましい。ただし、過度に低温にすると、喫食に適する温度に戻るまでに時間を要することなどの支障があるため、適切な温度は一般的な冷蔵庫の冷凍庫で実現できる、−5〜−30℃とするのが望ましい。これによって、アイスクリームのような食感が得られるという副次的な効果も奏する。
【0015】
また、本発明において、ゼリーを得るための溶液の各成分の配合比率を前記のように限定したのは、これ以外の範囲とすると所要の物性や食感が得られないためである。また、クレープの上に載せるフルーツとしては、特に限定されることがなく、イチゴ、リンゴ、桃、食用ほおづき、豆などの一般的にケーキに用いられるものが挙げられる。また、クリームに生クリームを用いたり、レモン液などの果汁を加えたりすることが可能なのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明に係るロールケーキの断面を示す模式図。
【図2】 ロールに巻き上げる前の状態の断面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な図を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るロールケーキの断面を示す模式図である。また、図2は、ロールに巻き上げる前の状態の断面を示す模式図である。図1及び図2において、1はゼリー層、2はクレープ、3は細かく切ったフルーツ片、4はクリーム層である。
【0019】
ここでは、ゲル化剤を20g、水を800g、グラニュー糖を88gそれぞれ秤量して、80℃の温度に保持して、均一になるまで撹拌した後、型枠に流し込んで固め、厚さが約10mmのゼリー層を得た。
【0020】
次に、ゼリー層とほぼ同じ大きさのクレープを調製して、ゼリー層に載せ、約5mmの大きさに切った、パイナップル、食用ほおづき、茹でた枝豆を潰して甘味を付けた「ずんだ豆」を約5mmの厚さとなるように載せた。
【0021】
次に、レモン果汁を混合した生クリームを、約8mmの厚さとなるように塗りつけ、図2に示したようなロールケーキ素材を得た。これを巻き上げて図1に示したような断面形状を有するロールケーキを調製し、冷凍庫を用い、−15℃で冷凍処理を施した。
【0022】
以上に説明したように、本発明によれば従来にない食感や食味を有するロールケーキを提供することができる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、前記以外のフルーツを用いたり、レモン果汁以外の果汁を加えたりするような、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 ゼリー層
2 クレープ
3 細かく切ったフルーツ片
4 クリーム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2.0〜2.5重量%のゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナンから選ばれる少なくとも1種を含むゲル化剤、86.0〜90.0重量%の水、7.5〜12.0重量%のショ糖を含むゼリーの層と、前記ゼリーの層の上に載せられたクレープと、前記クレープの上に載せられたフルーツの細片と、前記フルーツの細片を覆うように形成されたクリームの層を有する素材を、前記クリームの層を内側にして巻かれてなることを特徴とするロールケーキ。
【請求項2】
2.0〜2.5重量%のゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナンから選ばれる少なくとも1種を含むゲル化剤、86.0〜90.0重量%の水、7.5〜12.0重量%のショ糖を含む溶液を用いて板状のゼリーの層を得る、ゼリー調製工程、前記のゼリーの層の上に、クレープを載せ、前記クレープの上にフルーツの細片を載せる、フルーツ層形成工程、前記フルーツ層を覆うようにクリームの層を形成する、クリーム層形成工程、前記クリームの層を内側にして巻く、巻き上げ工程を有することを特徴とする、請求項1に記載のロールケーキの製造方法。
【請求項3】
前記巻き上げ工程の後、−5℃以下の温度に保持する冷凍工程を有することを特徴とする、請求項2に記載のロールケーキの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−106606(P2013−106606A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270649(P2011−270649)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【特許番号】特許第4981191号(P4981191)
【特許公報発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(511301669)
【Fターム(参考)】