説明

ワイヤーハーネス用プロテクタ

【課題】プロテクタ本体の側壁の内面にロック手段を設けるものの、電線の噛み込みを防止する。
【解決手段】底壁11と一対の側壁12、13を有する断面U字状のプロテクタ本体10の一方の側壁13の内面にロック凸部14を設け、ロック凸部の上面に傾斜面14aを設ける。プロテクタ本体の上面の電線挿入用開口17aを閉鎖する蓋体20に、蓋体を閉じたときプロテクタ本体の側壁の内面に沿って差し込まれる差し込み壁23を設け、差し込み壁の外面にロック凸部が係合するロック凹部24を設ける。プロテクタ本体の側壁の上端内面に、蓋体を閉じる際に差し込み壁を側壁の内面に沿うように誘い込む誘導斜面15を設け、差し込み壁の下端外面に誘導斜面と摺動する傾斜面25を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネス用プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は特許文献1に記載された従来のワイヤーハーネス用プロテクタの断面図である。
このプロテクタは、合成樹脂の一体成形品よりなるもので、プロテクタ本体110と、蓋体120と、ロック機構130とを有している。プロテクタ本体110は、底壁111と一対の側壁112、113とを有し、上面が電線挿入用開口117aとして開口し、内部の空間が電線収容空間117とされた断面U字状をなしている。また、蓋体120は、プロテクタ本体110の上面の電線挿入用開口117aを閉じる板体121よりなるもので、薄肉ヒンジ118を介して、プロテクタ本体110の一方の側壁112の上端に回動自在に連結されている。
【0003】
プロテクタ本体110の薄肉ヒンジ118と反対側の側壁113の外面には、ロック枠114が突設されている。また、蓋体120のロック枠114に対応する位置には、蓋体120が閉じたときにロック枠114の係止孔114aに差し込まれるロック片123が設けられている。ロック片123の先端には、ロック片123が係止孔114aに差し込まれた際に、ロック枠114の下面に係合して、それにより蓋体120を閉位置にロックする係止爪124が設けられており、これらロック枠114と係止爪123とでロック機構130が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−171816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図3の従来のプロテクタのように、ロック機構130を構成するロック枠114が、プロテクタ本体110の側壁113の外面に突設されていると、ロック枠114の外方への突出寸法H分だけ、プロテクタの外径寸法が大きくなり、そのため、車両に搭載する際の周辺スペースとの関係で、ロック枠114が搭載スペースの周辺物の邪魔になることがあった。
【0006】
そこで、側壁113の内面にロック枠114を設けることが考えられる。しかし、そうすると、蓋体120を閉じるときに、プロテクタ本体110側のロック枠114と蓋体120側のロック片123との間に電線を噛み込んでしまい、ロックが正しく行われないことが懸念された。
【0007】
また、ロック枠114の係止孔114aにロック片123を差し込んで係止爪124を係合させる構造の場合、いったんロックが成立してしまうと、ロックを外すのが非常に困難であり、治具でロック枠114や係止爪124などを無理に変形させながら、ロックを解除せざるを得なかった。しかし、無理にロック枠114や係止爪124などを変形させた場合、ロック枠114や係止爪124に無用な損傷を与えてしまい、再ロックさせることが困難になってしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓋体をロックするための手段をプロテクタ本体の側壁の外面に設けずに内面に設けることで、車両に搭載する際にロック手段が搭載スペースの周辺物の邪魔になることがなく、しかも、側壁の内面にロック手段を設けるものの、電線の噛み込みを防止することができると共に、ロックの解除も容易にできるようにしたワイヤーハーネス用プロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤーハーネス用プロテクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 底壁と一対の側壁とを有し、上面が電線挿入用開口として開口し、内部の空間が電線収容空間とされた断面U字状のプロテクタ本体と、
該プロテクタ本体の上面の電線挿入用開口を閉じる蓋体と、
前記プロテクタ本体の少なくとも一方の側壁に設けられた被ロック部および前記蓋体に設けられて該蓋体が閉じたときに前記被ロック部に係合することで該蓋体を閉位置にロックするロック部とよりなるロック機構と、
を備えたワイヤーハーネス用プロテクタであって、
前記被ロック部として、前記プロテクタ本体の側壁の内面に、前記電線収容空間の内部に向かって突出するロック凸部が設けられ、該ロック凸部は、上面に、前記電線挿入用開口から挿入されたワイヤーハーネスを前記電線収容空間の中央側に向けて誘導する傾斜面を有すると共に、下面に、前記蓋体の開閉方向に対して交差する方向に沿った係止壁面を有し、
前記蓋体には、該蓋体を閉じたときに、前記被ロック部が設けられた前記プロテクタ本体の側壁の内面に沿って差し込まれる差し込み壁が設けられ、該差し込み壁は、外面に、前記ロック凸部が係合するロック凹部が設けられると共に、該ロック凹部の内側壁に、前記蓋体の開閉方向に対して交差し、且つ、前記ロック凹部とロック凸部とが嵌まり合ったとき、前記係止壁面と係合することで前記蓋体を開き方向に係止する係止壁面が設けられ、
更に、前記ロック凸部が設けられたプロテクタ本体の側壁の上端内面に、前記蓋体を閉じる際に前記差し込み壁の下端と前記側壁の上端が接触したとき、前記差し込み壁を前記側壁の内面に沿うように誘い込む誘導斜面が設けられていること。
(2) 上記(1)の構成のワイヤーハーネス用プロテクタにおいて、
前記差し込み壁の下端外面に、前記側壁の誘導斜面と摺動する傾斜面が設けられており、該差し込み壁の傾斜面と前記側壁の誘導斜面とが凸曲面として構成されていること。
(3) 上記(1)または(2)の構成のワイヤーハーネス用プロテクタにおいて、
前記蓋体の一側縁が前記プロテクタ本体の一方の側壁の上端縁に薄肉ヒンジを介して回動自在に連結され、前記蓋体の他側縁に前記差し込み壁が設けられると共に、該差し込み壁に対応する前記プロテクタ本体の他方の側壁の内面に前記ロック凸部が設けられていること。
【0010】
上記(1)の構成のプロテクタによれば、プロテクタ本体の側壁の内面にロック凸部が設けられ、そのロック凸部に、蓋体の差し込み壁に設けたロック凹部が係合するように構成されているので、プロテクタ本体の側壁の外面にロック枠のような突出物が出ず、車両に搭載する際にロック凸部が搭載スペースの周辺物の邪魔になることがない。また、ロック凸部の上面には、電線挿入用開口から挿入されたワイヤーハーネスを電線収容空間の中央側に向けて誘導する傾斜面が設けられているので、蓋体を閉じるときに蓋体側の差し込み壁とプロテクタ本体側のロック凸部との間に電線を噛み込むのを有効に防止することができる。また、ロック凸部が設けられたプロテクタ本体の側壁の上端内面には、蓋体を閉じる際に差し込み壁の下端と側壁の上端が接触したとき、差し込み壁を側壁の内面に沿うように誘い込む誘導斜面が設けられているので、スムーズに差し込み壁をプロテクタ本体の側壁の内面に沿って誘導することができ、蓋体をロックする際の力を小さく抑えることができる。また、誘導斜面と差し込み壁の隙間に治具を差し込むことにより、差し込み壁や側壁を撓ませることができるので、ロック凸部とロック凹部の係合を容易に解除することができ、蓋体のロックを必要に応じて簡単に解くことができる。
上記(2)の構成のプロテクタによれば、差し込み壁の下端外面に、プロテクタ本体の側壁の誘導斜面と摺動する傾斜面が設けられており、差し込み壁の傾斜面と側壁の誘導斜面とが凸曲面として構成されているので、蓋体を閉じてロックする際の摺動抵抗を少なくして、小さい力で容易にロックを成立させることができる。
上記(3)の構成のプロテクタによれば、蓋体の一側縁が薄肉ヒンジで位置規制されているので、そのヒンジを支点に蓋体を回動させることにより、容易に蓋体を適正位置に閉じてロックさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋体をロックするためのロック凸部をプロテクタ本体の側壁の外面に設けずに内面に設けているので、車両に搭載する際にロック凸部が搭載スペースの周辺物の邪魔になることがない。また、ロック凸部の上面に、電線を電線収容空間の中央側に誘導する傾斜面を設けているので、プロテクタ本体の側壁の内面にロック凸部を設けるものの、電線の噛み込みを有効に防止することができる。また、ロック凸部の設けられたプロテクタ本体の側壁の上端内面に、蓋体側の差し込み壁をプロテクタ本体の側壁の内面に沿うように誘い込む誘導斜面を設けているので、ロックをスムーズに行うことができると共に、必要時に治具を誘導斜面と差し込み壁との隙間に挿入することによって、ロックの解除を容易に行うことができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態のプロテクタの構成図で、(a)は全体概要を示す側面図、(b)は同プロテクタのロック機構を構成するロック凸部とロック凹部の拡大斜視図、(c)はプロテクタ本体側のロック凸部の別方向から見た斜視図である。
【図2】同プロテクタの要部の作用説明図で、(a)は蓋体の差し込み壁の下端がプロテクタ本体の側壁の上端に接触して、差し込み壁が側壁の内側に誘導され始めている状態を示す側断面図、(b)はロック凸部とロック凹部が係合して蓋体が閉じ位置でロックされた状態を示す側断面図である。
【図3】従来のプロテクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態のプロテクタの構成図で、(a)は全体概要を示す側面図、(b)は同プロテクタのロック機構を構成するロック凸部とロック凹部の拡大斜視図、(c)はプロテクタ本体側のロック凸部の別方向から見た斜視図、図2は同プロテクタの要部の作用説明図で、(a)は蓋体の差し込み壁の下端がプロテクタ本体の側壁の上端に接触して、差し込み壁が側壁の内側に誘導され始めている状態を示す側断面図、(b)はロック凸部とロック凹部が係合して蓋体が閉じ位置でロックされた状態を示す側断面図である。
【0015】
このプロテクタは、合成樹脂の一体成形品よりなるもので、プロテクタ本体10と、蓋体20と、ロック機構30とを有している。プロテクタ本体10は、底壁11と一対の側壁12、13とを有し、上面が電線挿入用開口17aとして開口し、内部の空間が電線収容空間17とされた断面U字状をなしている。また、蓋体20は、プロテクタ本体10の上面の電線挿入用開口17aを閉じる板体21よりなるもので、薄肉ヒンジ18を介して、プロテクタ本体10の一方の側壁12の上端に上下方向回動自在に連結されている。
【0016】
プロテクタ本体10の薄肉ヒンジ18と反対側の側壁13の内面には、ロック凸部14が設けられている。また、蓋体20のロック凸部14に対応する位置には、蓋体20が閉じたときにロック凸部14に係合するロック凹部24を外面に有した差し込み壁23が設けられており、これらロック凸部14とロック凹部24とでロック機構30が構成されている。
【0017】
蓋体20は、板体21の一側縁がプロテクタ本体10の一方の側壁12の上端縁に薄肉ヒンジ18を介して連結されることで、上下方向に回動自在とされ、板体21の他側縁に差し込み壁23が垂下されている。
【0018】
ロック機構30を構成するロック凸部14は、プロテクタ本体10の一方の側壁13の内面に、電線収容空間17の内部に向かって突出するよう設けられており、そのロック凸部14の上面には、電線挿入用開口17aから挿入されたワイヤーハーネスを電線収容空間17の中央側に向けて誘導する傾斜面14aが設けられている。またロック凸部14の下面には、蓋体20の開閉方向(矢印Aで示す上下方向)に対して交差する方向に沿った係止壁面14bが形成されている。
【0019】
また、蓋体20の差し込み壁23は、蓋体20を閉じたときに、ロック凸部14を有するプロテクタ本体10の側壁13の内面に沿って差し込まれる部分で、外面に、ロック凸部14が嵌まるロック凹部24を有している。このロック凹部24の内側壁には、蓋体20の開閉方向(矢印Aで示す上下方向)に対して交差し、且つ、ロック凹部24とロック凸部14とが嵌まり合ったとき、係止壁面14bと係合することで、蓋体20を開き方向に係止する係止壁面24aが設けられている。
【0020】
また、ロック凸部14が設けられたプロテクタ本体10の側壁13の上端内面には、蓋体20を閉じる際に差し込み壁23の下端と側壁13の上端が接触したとき、差し込み壁23を側壁13の内面に沿うように誘い込む誘導斜面15が設けられている。また、差し込み壁23の下端外面には、側壁13の誘導斜面15と摺動する傾斜面25が設けられている。そして、差し込み壁23の傾斜面25と側壁13の誘導斜面15とが凸曲面として構成されている。
【0021】
次に作用を説明する。
図示しないワイヤーハーネスを本実施形態のプロテクタにセットする場合、まず、プロテクタ本体10の上面の電線挿入用開口17aから電線収容空間17にワイヤーハーネスを挿入する。その際、プロテクタ本体10の側壁13の内面にロック凸部14が突出しているものの、その上面に傾斜面14aが設けられているので、ワイヤーハーネスの各電線を電線収容空間17の内側にスムーズに誘導することができ、蓋体20を閉じたときに、差し込み壁23の下端とロック凸部14との間に電線を噛み込むのを防ぐことができる。
【0022】
次にその状態で、蓋体20を矢印Bのように閉じると、図2(a)に示すように、蓋体20の差し込み壁23の下端とプロテクタ本体10の側壁13の上端が突き当たることになるが、差し込み壁23の下端と側壁13の上端には、互いに摺動する傾斜面25と誘導斜面15とが設けられているので、これらの案内作用により、スムーズに差し込み壁23を側壁13の内面に沿って誘導することができる。そして、蓋体20を閉じることにより、差し込み壁23の下端の傾斜面25とロック凸部14の傾斜面14aが摺動し、それに伴って側壁13や差し込み壁23などが撓むことで、ロック凸部14が、差し込み壁23の傾斜壁25を乗り越えて、ロック凹部24に係合する。この状態で、ロック凸部14の係止壁部14bとロック凹部24の係止壁部24aが係合し、それにより、蓋体20が閉じ位置にロックされる。
【0023】
次に何らかの事情によりロックを解除する必要が生じたら、図2(b)に示すように、プロテクタ本体10の側壁13の上端の誘導斜面15と差し込み壁23との隙間Sに治具を差し込み、治具によって隙間Sを押し広げる、側壁13や差し込み壁23を撓ませる。そうすることにより、ロック凸部14とロック凹部24の係合を解くことができ、そのまま蓋体20を持ち上げれば、ロックを解除して蓋体20を容易に開くことができる。
【0024】
以上の説明のように、本実施形態のプロテクタによれば、プロテクタ本体10の側壁13の内面にロック凸部14を設け、そのロック凸部14に、蓋体20の差し込み壁23に設けたロック凹部24を係合させるように構成しているので、プロテクタ本体10の側壁13の外面にロック枠のような突出物が出ず、車両に搭載する際にロック凸部14が搭載スペースの周辺物の邪魔になることがない。
【0025】
また、ロック凸部14の上面に、電線挿入用開口17aから挿入されたワイヤーハーネスを電線収容空間17の中央側に向けて誘導する傾斜面14aを設けているので、蓋体20を閉じるときに蓋体20側の差し込み壁23とプロテクタ本体10側のロック凸部14との間に電線を噛み込むのを防止することができる。
【0026】
また、ロック凸部14が設けられたプロテクタ本体10の側壁13の上端内面に、蓋体20を閉じる際に差し込み壁23の下端と側壁13の上端が接触したとき、差し込み壁23を側壁13の内面に沿うように誘い込む誘導斜面15を設けているので、スムーズに差し込み壁23をプロテクタ本体10の側壁13の内側に誘導することができ、蓋体20をロックする際の力(挿入力)を小さく抑えることができる。
【0027】
また、誘導斜面15と差し込み壁23の隙間Sに治具を差し込むことにより、差し込み壁23や側壁13を撓ませることができるので、ロック凸部14とロック凹部24の係合を容易に解除することができ、蓋体20のロックを必要に応じて簡単に解くことができる。
【0028】
また、差し込み壁23の下端外面に、プロテクタ本体10の側壁13の誘導斜面15と摺動する傾斜面25を設けており、差し込み壁23の傾斜面25と側壁13の誘導斜面15とを凸曲面として構成しているので、蓋体20を閉じてロックする際の摺動抵抗を少なくして、小さい力で容易にロックを成立させることができる。
【0029】
また、蓋体20の一側縁を薄肉ヒンジ18で位置規制しているので、そのヒンジ18を支点にして蓋体20を回動させることにより、容易に蓋体20を適正位置に閉じてロックさせることができ、取り扱いが容易である。
【0030】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0031】
例えば、蓋体20の一側縁を薄肉ヒンジ18を介してプロテクタ本体10の一方の側壁12の上端縁に連結しているが、薄肉ヒンジ18を設けないで、蓋体20完全にプロテクタ本体10から切り離し、蓋体20の一側縁にも差し込み壁23とロック凹部24を設け、プロテクタ本体10の両方の側壁にロック凸部14を設けてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 プロテクタ本体
11 底壁
12,13 側壁
14 ロック凸部
14a 傾斜面
14b 係止壁部
15 誘導斜面
17 電線収容空間
17a 電線挿入用開口
18 薄肉ヒンジ
20 蓋体
23 差し込み壁
24 ロック凹部
24a 係止壁部
25 傾斜面
30 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と一対の側壁とを有し、上面が電線挿入用開口として開口し、内部の空間が電線収容空間とされた断面U字状のプロテクタ本体と、
該プロテクタ本体の上面の電線挿入用開口を閉じる蓋体と、
前記プロテクタ本体の少なくとも一方の側壁に設けられた被ロック部および前記蓋体に設けられて該蓋体が閉じたときに前記被ロック部に係合することで該蓋体を閉位置にロックするロック部とよりなるロック機構と、
を備えたワイヤーハーネス用プロテクタであって、
前記被ロック部として、前記プロテクタ本体の側壁の内面に、前記電線収容空間の内部に向かって突出するロック凸部が設けられ、該ロック凸部は、上面に、前記電線挿入用開口から挿入されたワイヤーハーネスを前記電線収容空間の中央側に向けて誘導する傾斜面を有すると共に、下面に、前記蓋体の開閉方向に対して交差する方向に沿った係止壁面を有し、
前記蓋体には、該蓋体を閉じたときに、前記被ロック部が設けられた前記プロテクタ本体の側壁の内面に沿って差し込まれる差し込み壁が設けられ、該差し込み壁は、外面に、前記ロック凸部が係合するロック凹部が設けられると共に、該ロック凹部の内側壁に、前記蓋体の開閉方向に対して交差し、且つ、前記ロック凹部とロック凸部とが嵌まり合ったとき、前記係止壁面と係合することで前記蓋体を開き方向に係止する係止壁面が設けられ、
更に、前記ロック凸部が設けられたプロテクタ本体の側壁の上端内面に、前記蓋体を閉じる際に前記差し込み壁の下端と前記側壁の上端が接触したとき、前記差し込み壁を前記側壁の内面に沿うように誘い込む誘導斜面が設けられていることを特徴とするワイヤーハーネス用プロテクタ。
【請求項2】
前記差し込み壁の下端外面に、前記側壁の誘導斜面と摺動する傾斜面が設けられており、該差し込み壁の傾斜面と前記側壁の誘導斜面とが凸曲面として構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス用プロテクタ。
【請求項3】
前記蓋体の一側縁が前記プロテクタ本体の一方の側壁の上端縁に薄肉ヒンジを介して回動自在に連結され、前記蓋体の他側縁に前記差し込み壁が設けられると共に、該差し込み壁に対応する前記プロテクタ本体の他方の側壁の内面に前記ロック凸部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤーハーネス用プロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−152030(P2012−152030A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9129(P2011−9129)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】