説明

一体型空気調和機

【課題】コンパクトに収納可能な排気ダクトを提供する。。
【解決手段】冷房運転時に発生する排熱を排気ダクト28を介して室外に排出する一体型空気調和機に於いて、前記排気ダクト28は布等の柔軟性薄膜材料から成るダクト本体29と、このダクト本体29の一端に取り付けられる接続具30とで構成し、この接続具30を温風用吹出口26へ着脱自在に装着し、この温風用吹出口26近傍には前記排気ダクト28の収納部36を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型空気調和機に係り、詳しくはユニットを居室内にて使用し、冷風機又は除湿機として使用する一体型空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部屋の間取り等の関係で冷媒配管の接続工事が困難等の理由により、セパレートタイプの空気調和機を取付ることができない場合や、手軽に且つスポット的に冷風にて涼を求める場合に、小能力の圧縮機を内蔵し冷凍サイクルを備えた一体型の冷風機が利用されている。この冷風機は蒸発器にて冷却された冷風を前面の吹出口より吹き出すと同時に、凝縮器によって排熱された温風を背面に吹き出すものであった。
【0003】
図6は従来の一体型空気調和機の断面図で、冷媒を循環する圧縮機a、凝縮器b、蒸発器c、及び冷媒配管等からなる冷凍サイクルを備えている。この冷凍サイクルの作動により蒸発器cに結露するドレン水はドレンパンに集められる。集められたドレン水はドレンパンによりドレンタンクdに導かれ貯留される。
【0004】
また、送風の動力には両軸タイプのモータeが取り付けられ、このモータeの前方向の出力軸には冷風用ファンgが、後ろ方向の出力軸には温風用ファンhが取り付けられ、それぞれ前ケーシングi、後ケーシングj内に納められている。このケーシングには、その前後両側にそれぞれファン用の吸込口が設けられ、上部前面側には冷風用吹出口kが設けられ、この冷風用吹出口kより吹き出される冷風は利用されるものであるが、背面には温風用吹出口lが設けられ、この温風用吹出口lより吹き出される温風の排熱は、この温風用吹出口lに接続された排気ダクトmによって窓等から屋外に排気されるものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特公昭64−10742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の空気調和機の排気ダクトmは蛇腹筒状のプラスチック材料で形成されているために縮めた状態であってもかなりの大きさであり、排気ダクトを取り外して使用しない場合には比較的大きな収納スペースが必要であり、邪魔なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為に、冷房運転時に発生する排熱を排気ダクトを介して室外に排出する一体型空気調和機に於いて、前記排気ダクトは布等の柔軟性薄膜材料から成るダクト本体と、このダクト本体の一端に取り付けられる接続具とで構成し、この接続具を温風用吹出口へ着脱自在に装着し、この温風用吹出口近傍には前記排気ダクトの収納部を設けたものである。
【0007】
また前記収納部は冷風用ファンと温風用ファン周囲に形成されたファンケースと筐体の間に形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、排気ダクトを使用しない場合でも極めて簡単にすぐ収納することができるものであり、排気ダクトを使用する時にも簡単にすぐ装着して使用できるものである。
また、収納部は筐体とファンケースの間の不要な空間を利用しているので、収納部によって空気調和機が大きく成るようなこともなく、コンパクトな空気調和機を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
1は空気調和機の筐体で、底板2と前面、上面、背面の中央にて係合する右枠3と左枠4にて構成している。前記筐体1内には冷凍サイクルの蒸発器5と凝縮器6と圧縮機(図示せず)等を備え、前記蒸発器5の下流側には冷風用ファン7を、凝縮器6の下流側には温風用ファン8を設け、前記冷風用ファン7と温風用ファン8を同一の軸にて回転する送風モータ9を隔壁10の冷風用ファン7側に固定している。
【0011】
前記右枠3は右側面の中央から上部にかけて冷風用吸込口11を備え、この冷風用吸込口11を吸込空気内の埃を除去するフィルタ12で覆っている。前記冷風用吸込口11の下方にはドレンタンク13を着脱するタンク穴14を設けている。前記ドレンタンク13装着時には、ドレンタンク13の外表面は右枠3の外表面と同一面に形成されている。前記冷風用吸込口11の上方には運搬時の手掛用凹部15が一体に形成されている。
【0012】
前記左枠4は左側面の中央から上部にかけて温風用吸込口16を備え、この温風用吸込口16を冷風用吸込口11と同様にフィルタ12で覆っている。また前記右枠3の手掛用凹部15と対向する位置に同じ形状の凹部15が一体に形成されている。
【0013】
前面下部中央の右枠3・左枠4の合わせ面から上方には前パネル17を備え、この前パネル17の上部には冷風用吹出口18を設けている。この冷風用吹出口18には冷風の左右方向の風向を調整すると共に停止時や除湿運転時に吹出口18を閉じる縦ルーバ19が左右1対設けられ、この縦ルーバ19に冷風の上下方向の風向を調整する多数の羽根20が設けられている。
【0014】
21は前記筐体1上面の前側に設けられた操作部で、運転停止を行う運転スイッチ22や冷風運転と除湿運転の切替を行うモード切替スイッチ23やタイマースイッチ24等を備えると共に、運転状態を表示する多数のランプ25を備えている。
【0015】
26は温風用吹出口で、前記筐体1上面の後ろ側から背面にかけて位置し、排気ルーバ27の切替で温風の吹き出し方向を上方向と後ろ方向に切替るものである。前記排気ルーバ27は上面と同一面で上面側の温風吹出口26を覆い後方へ温風の排気を行う後方排気位置から、温風吹出口26内部の左右に設けられた回動軸(図示せず)を支点として約90度手動にて後方へ回動する事で、排気ルーバ27は背面よりもやや突出する状態で、背面側の温風用吹出口16を覆い上方へ温風の排気を行うものである。
【0016】
28は排気ダクトで、布やポリエチレン等の柔軟性薄膜材料で形成されたダクト本体29と、このダクト本体29の一端にマジックテープ等によって取り付けられた接続具30で構成されている。また前記ダクト本体29は薄膜がつぶれて送風抵抗が大きくなる事を防止するために、プラスッチック製で直径約15cmの補強リング31が複数薄膜に縫い込まれている。
【0017】
前記温風用吹出口26の背面側で、吹出口26の左右と下側周囲にはコの字型の溝32を形成したダクト取付部33が右枠3や左枠4と一体に形成されている。
前記排気ダクト28を温風吹出口26に取り付けるには、排気ルーバ27が上面側にあり、温風の吹き出し方向が後方側にセットされている状態であるかを確認し、前記接続具30をダクト取付部33の溝32に上方から挿入し、ダクト本体29を引き延ばして他端を窓等より部屋の外や廊下に出せば、補強リング31によって送風路が確保され、排気ダクト29のセットが完了する。
【0018】
34は筐体1の背面で温風吹出口26の下方に位置する収納部蓋で、この収納部蓋34と前記ファン7・8のファンケース35間の空間に排気ダクト28の収納部36を形成している。
【0019】
前記隔壁10の右側には、冷風用吸込口11と蒸発器5、冷風用ファン7、冷風用吹出口18を連通して冷風用送風経路37を形成し、また、前記隔壁10の左側には温風用吸込口16と凝縮器6、温風用ファン8、温風用吹出口26を連通して温風用送風経路38を形成している。
【0020】
前記ファンケース35は樹脂成形により隔壁10と一体に設けられるか、又は別体に設けて爪等の係合で組み立てられて形成されている。
【0021】
前記蒸発器5と凝縮器6は熱伝導性良好な多数のアルミウムフィンに銅管が貫通したフィンチューブ式の熱交換器である。
前記底板2上には圧縮機を備え、この圧縮機と前記凝縮器18と、キャピラリーチューブ等の膨脹装置(図示せず)と、蒸発器5等を順次冷媒配管で連通し冷凍サイクルを形成している。
【0022】
前記蒸発器5の下方にはドレンパン(図示せず)を設け、このドレンパンによって蒸発器5で発生した結露水を集め前記ドレンタンク13に蓄えるものである。
前記凝縮器6または圧縮機出口の冷媒配管にはサーミスタセンサ等から成る温度センサ39が設けられている。
【0023】
図4の様に、前記排気ダクト28の着脱方法について説明すれば、収納部蓋34を開いて収納部36から排気ダクト28を取り出し、排気ルーバ27が上面側にあり、温風の吹き出し方向が後方側にセットされている状態であるかを確認し、接続具30をダクト取付部33の溝32に上方から挿入し、ダクト本体29を引き延ばして他端を窓等から屋外や廊下などの部屋の外に出せば、補強リング31によって送風路が確保され、排気ダクト29のセットが完了する。
【0024】
排気ダクト28を取り外すには、前記の取付手順の逆を行い、ダクト本体29を小さく折り畳んで収納部36に収納すれば良い。いつでも排気ダクト28が必要なときに簡単に空気調和機に着脱でき、収納時の見栄えが良いだけでなく、排気ダクト28を紛失したり何処かに片付けて忘れてしまうような事がないものである。
【0025】
図5のフローチャートを元に運転時の作動について説明すれば、操作部の運転スイッチ22を押圧すれば運転ランプが点灯し運転が開始され(st1)、送風モータ9が強運転で約5秒間送風を行うことでファン7・8が強風レンジでの送風を行い、排気ダクト28が膨らんで排気ダクト28内に排気送風路が形成されると共に、圧縮機が運転を開始する(st2)。
【0026】
5秒間の強運転後、ファン7・8を中風量または弱風量等の設定風量に戻して運転を継続し、温度センサ39によって凝縮器6または圧縮機出口の温度を読み込む(st3)。
【0027】
次にst4にてセンサ温度が所定温度の65℃以上であるかを判断し、65℃未満であればst3に戻り運転を継続するが、65℃以上の場合には排気ダクト28の排気送風路が完全に確保できない状態であると判断し、再びファン7・8を強運転で運転し、タイマtをスタートする(st5。
【0028】
次にタイマtのカウントで5分経過後st6に進み、st6にてセンサ温度が75℃以上の場合にはst8に進み冷凍サイクル及び排気送風路の異常過熱を防止するために、空気調和機を全停止するか、圧縮機のみを停止し運転ランプを点滅し異常の表示を行う。
【0029】
またst6でセンサ温度が75℃未満の場合にはst7に進み、st7にてセンサ温度が55℃まで低下したかを判断し、55℃以下の場合にはst5における強風運転で排気送風路が確保され障害が解消されたと判断しst3の通常運転に戻るものである。
【0030】
またst7にてセンサ温度が55℃より大きい場合はst5における強風運転で排気送風路が完全には確保されてはいないが、ファン7・8が強運転で有れば冷凍サイクルや排気送風路が異常過熱する心配は無いと判断し、st5に戻って強運転を続けるものである。
【0031】
このように排気ダクト28を使用しない場合でも極めて簡単にすぐ収納することができるものであり、排気ダクトを使用する時にも簡単にすぐ装着して使用できるものである。
また、収納部は筐体とファンケースの間の不要な空間を利用しているので、収納部によって空気調和機が大きく成るようなこともなく、コンパクトな空気調和機を提供することができるものである。
また、排気ダクト28を布等の柔軟性薄膜材料とプラスチック製のリング状骨材で構成したので、排気ダクト28をたたんでコンパクトに収納することができるものである。
また、運転開始時にはファン7・8を一時的に強風量運転することで、柔軟な排気ダクト28を膨らますことでスムーズに排気の経路を確保することができるものであり、また運転時の異常停止手段により排気ダクト28が塞がった場合でも温風用送風経路38や冷凍回路の異常過熱を検知して、停止等の動作を行うことにより、一体型空気調和機を安全に使用できるようにするものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明一実施例の斜視図。
【図2】同要部平面の断面図。
【図3】同要部側面の断面図。
【図4】同排気ダクトの装着手順を示す斜視図。
【図5】同フローチャート図。
【図6】従来例の概略断面図。
【符号の説明】
【0033】
11 冷風用吸込口
16 温風用吸込口
18 冷風用吹出口
26 温風用吹出口
28 排気ダクト
29 ダクト本体
30 接続具
36 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷房運転時に発生する排熱を排気ダクトを介して室外に排出する一体型空気調和機に於いて、前記排気ダクトは布等の柔軟性薄膜材料から成るダクト本体と、このダクト本体の一端に取り付けられる接続具とで構成し、この接続具を温風用吹出口へ着脱自在に装着し、この温風用吹出口近傍には前記排気ダクトの収納部を設けた事を特徴とする一体型空気調和機。
【請求項2】
前記収納部は冷風用ファンと温風用ファン周囲に形成されたファンケースと筐体の間に形成した事を特徴とする請求項1記載の一体型空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−138531(P2006−138531A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327806(P2004−327806)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】