説明

三次元形状データ作成装置

【課題】三次元物体の表面の一部を該三次元物体の厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の三次元形状データを、オフセット前の三次元物体の三次元形状データから容易に作成することができる装置を提供する。
【解決手段】三次元形状データ作成装置は、オフセット前の三次元形状データを入力する手段と、オフセット面領域を選択する手段と、オフセット量を指定する手段と、オフセット面領域を複数の面要素に分割する手段と、面要素を法線方向に指定されたオフセット量だけオフセットしたときの各節点の座標データ算出する手段と、それら座標データを修正してオフセット後の面データを作成する手段と、徐変領域を複数の面要素に分割する手段と、徐変領域の面要素の各節点の座標データを算出する手段と、算出された各節点の座標データから、徐変領域を平滑化した面データを作成する手段と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元物体の三次元形状データを作成する装置に関する。詳しくは、三次元物体の表面の一部を該三次元物体の厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の三次元形状データを、オフセット前の三次元物体の三次元形状データから作成する装置に関する。ここで、「厚み方向」とは、三次元物体を構成する各表面のうちオフセットする表面の法線方向を意味する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品形状や金型の仕様を決定するためにCAE(コンピュータ援用エンジニアリング)が利用されている。この種の技術では、通常、CAD(コンピュータ援用設計)によって作成された形状データや、実際の製品を実測することによって得られた形状データに基づいて解析モデルを作成する。そして、解析モデルを用いたシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果に基づいて製品形状や製品仕様を決定する。CAE技術を利用することで、製品の試作回数を低減でき、効率的に設計を行うことができる。
特許文献1には、この種のCAE技術の一例が開示されている。特許文献1の技術では、実際に作製された金型の形状を測定して成形品の解析モデルを作成し、作成された解析モデルを用いて成形不良対策のシミュレーションを行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−196245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したCAE技術を利用して製品形状や金型の仕様を決定する場合、製品の板厚を部分的に変更したいときがある。例えば、樹脂射出成形に用いられる金型の仕様を決定する場合、設計者が仮設定した板厚分布やゲート配置に基づいてシミュレーションが行われる。シミュレーションの結果、成形品に成形不良(例えば、エアートラップ、フローマーク等)が発生すると、製品の板厚を部分的に変更する対策が採られる。かかる場合、板厚を部分的に変更する対策が適切か否かを確認するために、板厚変更後の成形品について解析モデルを作成してシミュレーションが行われる。したがって、板厚変更後の製品についても解析モデルを作成する必要が生じる。従来、板厚を部分的に変更した製品の解析モデルを作成するためには、CADによって作成された板厚変更前の形状データをCAD上で変更し、変更した形状データに基づいて解析モデルの作成を行っていた。
しかしながら、CAD上で板厚を修正する作業は手動で行わなければならず、製品の板厚を部分的に変更し、板厚変更部位と板厚を変更しなかった部位の段差をなだらかにするために多くの工数を要していた。特に、三次元CAD(以下、3D−CADという)によって作成された三次元形状データ(すなわち、ソリッドデータ)を3D−CAD上で修正するためには、3D−CADの特性上、多くの工数を要した。すなわち、3D−CADでは、オペレータが利用可能なコマンドは限られており、オペレータは、それらのコマンドをさまざまに組み合わせて使用することによって、ソリッドデータを作成・変更する。このため、製品の板厚を部分的に変更する作業も、オペレータが種々のコマンドを組み合わせて使用することによって行われる。このため、オペレータのコマンドの使い方や、使用するコマンドの順序によって、板厚変更部位と板厚非変更部位とをなだらかに結合することが難しく、これらの部位が捩れて結合されてしまう。このため、これらの捩れを修正するために、さらにコマンドを使用する必要が生じる。したがって、最終的な製品形状の形状データを得るために多大な時間を要していた。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、三次元物体の表面の一部を該三次元物体の厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の三次元形状データを、オフセット前の三次元物体の三次元形状データから容易に作成することができる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の装置は、オフセット前の三次元物体の三次元形状データを用いて、三次元物体の表面の一部をその厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の三次元形状データを作成する。三次元形状データは、三次元物体を構成する各表面の面データによって構成され、それら面データによって表される面で閉じられた閉空間内を固体と認識することで三次元形状を表している。したがって、三次元物体の表面の一部をその厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の三次元形状データを作成するためには、オフセットした表面の面データを作成するだけでよい。オフセットした表面以外の表面については、オフセット前の三次元物体の面データと変わらないためである。したがって、オフセットした表面の面データを作成すれば、オフセット後の三次元物体の三次元形状データを作成することができる。そこで、本発明の装置は図18に模式的に示された構成を有する。
図18に示される装置は、オフセット後の三次元形状データを作成するために必要なデータの入力等を行う入力手段1、オフセット面選択手段2及びオフセット量指定手段4を備えている。すなわち、入力手段1は、オフセット前の三次元形状データ(例えば、三次元形状データ100)を入力する。オフセット面領域選択手段2は、オフセット対象となる三次元物体のオフセットする面領域(例えば、領域102)を選択する。オフセット量指定手段4はオフセット量(例えば、オフセット量t)を指定する。
そして、この装置は、これらの手段によって入力、選択又は指定されたデータを用いて、オフセット後の三次元形状データを作成する下記の手段を備えている。
第1分割手段3は、選択されたオフセット面領域を複数の面要素に分割する。例えば、オフセット面領域選択手段2によって選択された領域102を複数の微小な面要素に分割する。
第1座標データ算出手段5は、分割された面要素のそれぞれに対して、その面要素をその面要素の法線方向に指定されたオフセット量だけオフセットしたときの各節点の座標データを、オフセット前三次元形状データと指定されたオフセット量から算出する。そして、第1面データ作成手段6は、第1座標データ算出手段5で算出された座標データ群に対して、隣接する面要素の対応する節点の各座標データが一致するように修正してオフセット面領域のオフセット後の面データを作成する。例えば、領域102を分割して得られた各面要素に対して、その面要素をその法線方向に指定されたオフセット量tだけオフセットし、オフセット後の面要素を接続して面データ(三次元物体104の上面(106,108)の面データ)を得る。
第2分割手段は、オフセット面領域と非オフセット面領域の境界線近傍に設定された徐変領域を複数の面要素に分割する。例えば、三次元物体104のオフセット面領域106と非オフセット面領域108の境界線近傍に設定された徐変領域110を複数の微小な面要素に分割する。
第2座標データ算出手段8は、分割された徐変領域の面要素のそれぞれに対して、その面要素の各節点の座標データをオフセット後の面データとオフセット前の三次元形状データから算出する。そして、第2面データ作成手段9は、第2座標データ算出手段8で算出された各節点の座標データから、徐変領域を平滑化した面データを作成する。例えば、第2座標データ算出手段8で算出された座標データ112を平滑化して座標データ114とすることで、徐変領域110の面データを作成する。
第2面データ作成手段9によって徐変領域の面データが作成されると、オフセットした面の面データが特定される。これによって、オフセット後の三次元物体の三次元形状データ116が作成される。
【0007】
この三次元形状データを作成する装置では、オフセット前の三次元形状データを入力し、オフセットする領域を選択し、オフセット量の指定を行うだけで、オフセットした三次元物体の三次元形状データが作成される。このため、容易かつ短時間で所望の三次元形状データを得ることができる。また、得られた三次元形状データから解析モデルを作成し、その解析モデルをシミュレーションに用いることができる。
【0008】
上述の三次元形状データ作成装置では、第1座標データ算出手段5は、オフセット前の三次元形状データから各面要素の各節点の座標データと各面要素の法線方向データを算出し、その算出した座標データと法線方向データとオフセット量を用いてオフセット後の各面要素の各節点の座標データを算出することができる。このような構成によれば、面要素毎に、当該面要素が当該面要素の法線方向にオフセットされるため、オフセット後のオフセット面を適切に表すことができる。
【0009】
また、上述の三次元形状データ作成装置では、第2座標データ算出手段8は、オフセット後の面データを用いて徐変領域内のオフセット面領域内の節点の座標データを算出し、オフセット前の三次元形状データを用いて徐変領域内の非オフセット領域内の節点の座標データを算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
下記に詳細に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(形態1)オフセット前の三次元形状データを入力する入力手段として、3D−CADデータを作成する三次元CAD装置が用いられる。三次元CAD装置と三次元形状データ作成装置は通信回線により接続されている。三次元CAD装置で設計した三次元CADデータ(三次元形状データ)が三次元形状データ作成装置に入力される。
(形態2)三次元形状データ作成装置は、入力された三次元形状データで表される三次元物体を表示する表示装置を備える。オフセット面領域選択手段は、その表示装置に表示された三次元物体上でオフセットする面領域を選択する。
(形態3)三次元形状データ作成装置は、オフセット量を指定(入力)する入力装置を有している。
(形態4)第1分割手段は、選択されたオフセット面領域を三角形の微小面要素に分割する。
(形態5)第1座標データ算出手段は、オフセット前の三次元形状データから各面要素の各節点の座標データと各面要素の法線方向データを算出し、その算出した座標データと法線方向データとオフセット量を用いてオフセット後の各面要素の各節点の座標データを算出する。
(形態6)第1面データ算出手段は、隣接する面要素の対応する節点の各座標データを平均化法により一致させる。
(形態7)第2分割手段は、徐変領域を三角形の微小面要素に分割する。
(形態8)第2座標データ算出手段は、オフセット後の面データを用いて徐変領域内のオフセット面領域側の節点の座標データを算出し、オフセット前の三次元形状データを用いて徐変領域内の非オフセット面領域側の節点の座標データを算出する。
(形態9)第2面データ作成手段は、徐変領域内のオフセット面領域において、その領域内にある複数の節点の中から1又は複数の節点を選択する(以下、選択された節点を第1節点という)。第1節点毎に、徐変領域内の非オフセット面領域において、その領域内にある複数の節点の中から1又は複数の節点を選択する(以下、選択された節点を第2節点という)。そして、第1節点毎に、その第1節点とその第1節点に対応して選択された第2節点とを繋いで得られる断面を特定する。特定された断面毎に、その表面が平滑化するように表面上のいくつかの節点を移動させて、その移動させた節点の座標データを算出する。同一節点に対応する座標データが複数ある場合は、各座標データが一致するように修正して徐変領域の面データを作成する。
(形態10)第2面データ作成手段は、1つの第1節点に対して、徐変領域と徐変領域の外側との境界線上の節点から複数の第2節点を選択する。
(形態11)第2面データ作成手段は、対応する節点の各座標データを平均化することにより修正する。
(形態12)面データ作成手段は、オフセット前の三次元形状データを用いて、オフセット後のオフセット面領域の面データ及び/又はオフセット後の徐変領域の面データを修正する。
【実施例】
【0011】
本発明の一実施例に係る三次元形状データ作成装置10について図面を参照しながら説明する。図1は三次元形状データ作成装置10の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、三次元形状データ作成装置10は、コンピュータ30と、画像を表示するディスプレイ12と、コンピュータ30にデータを入力するキーボード14と、ディスプレイ12に表示される画面内で任意の位置を指定するマウス16と、各種データを記憶するメモリ18と、コンピュータ30に3D−CADデータを入力するCADデータ入力装置20とによって構成される。
三次元形状データ作成装置10は、三次元物体の表面の一部をその厚み方向にオフセットして得られる三次元物体(以下、オフセット後の三次元物体という)の3D−CADデータを、CADデータ入力装置20から入力される3D−CADデータ(オフセット前の三次元物体のデータ)をコンピュータ30で処理することによって作成する。
ここで、三次元形状データ作成装置10が作成する3D−CADデータについて説明しておく。3D−CADデータは、三次元物体の表面形状を、複数の面データ(平面データ、曲面データ)によって規定し、その面データによって囲まれた空間内を固体と認識させることで、三次元物体の三次元形状を規定した三次元形状データである。3D−CADデータをコンピュータ30で処理することで、その3D−CADデータに基づいた三次元物体の形状がディスプレイ12に表示される。
【0012】
CADデータ入力装置20には、3D−CAD(三次元設計)を行うCAD装置が用いられる。CADデータ入力装置20は、通信回線(例えば、LAN回線)を介してコンピュータ30に接続されている。CADデータ入力装置で作成された3D−CADデータは、通信回線を介してコンピュータ30に入力される。なお、CADデータ入力装置20には、CD−ROMなどの記録媒体に記憶させた3D−CADデータを読取る装置等を用いることができる。
【0013】
ディスプレイ12は、表示画面と、表示画面を起動させる回路等によって構成されている。ディスプレイ12は、コンピュータ30から出力される信号に基づいて画像を表示画面に表示する。例えば、コンピュータ30が3D−CADデータを処理することによって得られる三次元物体を表示画面に表示する。
【0014】
キーボード14は、多数の入力スイッチを備えた入力装置である。オペレータがそれらの入力スイッチを操作することによってコンピュータ30に指令値が入力される。
【0015】
マウス16は、入力スイッチと、入力ローラを備えた入力装置であり、ディスプレイ12に表示される画面内の任意の位置を指定する。オペレータが入力スイッチを操作し、またはマウス16を机上で移動させて入力ローラを動かすことによって、コンピュータ30に指令値が入力される。
【0016】
メモリ18は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ18は、コンピュータ30から入力されるデータを記憶する。メモリ18内に記憶されているデータは、コンピュータ30によって読み出される。メモリ18には、コンピュータ30がオフセット前の三次元物体の3D−CADデータからオフセット後の三次元物体の3D−CADデータを作成するためのプログラムや各種データが記憶されている。例えば、後述するオフセット面領域Aと非オフセット面領域との境界線の近傍に設定される徐変領域Bを規定するデータを記憶している。また、メモリ18は、オフセット面領域A内から1つの第1節点を選択し、徐変領域Bとその外側の領域との境界線上の節点から複数の第2節点を選択するプログラムを記憶している。
【0017】
コンピュータ30は、CPU,ROM,RAMを備えたマイクロプロセッサ等によって構成されている。コンピュータ30は、キーボード14やマウス16等から入力される指令値に基づいて、コンピュータ30内のROM、RAMや、メモリ18等に記憶されている種々のデータを演算する。コンピュータ30は、オフセット前の三次元物体の3D−CADデータから、オフセット後の三次元物体の3D−CADデータを作成する。コンピュータ30は、各種プログラムを実行することで、オフセット面領域選択手段40と、オフセット量指定手段42と、第1分割手段44と、第1座標データ算出手段46と、第1面データ作成手段48と、第2分割手段50と、第2座標データ算出手段52と、第2面データ作成手段54として機能する。
【0018】
次に、三次元形状データ作成装置10が、オフセット前の三次元物体の3D−CADデータから、オフセット後三次元物体の3D−CADデータを作成する際の動作について、図2を参照して説明する。
【0019】
三次元形状データ作成装置10でオフセット後の三次元物体の3D−CADデータを作成する際は、まず、CADデータ入力装置20から、オフセット前の三次元物体22の3D−CADデータをコンピュータ30に入力する。コンピュータ30に入力された3D−CADデータはコンピュータ30によって処理され、これによって、オフセット前の三次元物体の形状がディスプレイ12に表示される。
図3には、ディスプレイ12に表示される三次元物体22の一例が示されている。図3に示すように、ディスプレイ12には三次元物体22を一定の視点から見たときの面23,27,28が表示されている。なお、三次元物体22を見る視点の変更は、キーボード14及び/又はマウス16を操作することで行うことができるようになっている。
【0020】
オフセット前の三次元物体22の3D−CADデータがコンピュータ30に入力されたら、オペレータはキーボード14及びマウス16を操作することによって、三次元物体22を構成する面23,27,28等の中からオフセットする面及びその領域を選択する(ステップS2)。
すなわち、コンピュータ30は、まず、オペレータに対してオフセットする領域の選択を求めるメッセージをディスプレイ12に表示する。ディスプレイ12にメッセージが表示されると、オペレータはキーボード14及びマウス16を操作して、ディスプレイ12に三次元物体のオフセットさせる面が表示されるようにする。例えば、図3に示す三次元物体22の表面23をオフセットする場合は、オフセットさせる面23が上側に表示されるように視点を変更する。
次いで、オペレータは、マウス16を操作して、表示された三次元物体のオフセットさせる面から面領域を選択する。具体的には、オペレータは、マウス16を操作して、オフセットさせる面の一部にオフセットさせる領域をスケッチする。例えば、図4に示すように、三次元物体22のオフセットする面23にオフセットさせる領域Aをスケッチする。
オペレータによってオフセットする領域がスケッチされると、コンピュータ30はそのスケッチされた領域内をオフセット面領域(図4の例ではAで示される領域)に設定する。同時に、コンピュータ30は、メモリ18に記憶されている徐変領域B(図4の例ではBで示される領域)を規定するデータに基づいて徐変領域Bを設定する。本実施例では、オフセット面領域の境界線上からオフセット側と非オフセット側の両側に向かって所定の距離の範囲を徐変領域に設定する。なお、図4に示す例では、徐変領域Bは、オフセット面領域Aを全て含み、オフセット面領域Aよりも所定範囲だけ非オフセット面側に広い領域が設定されている。
【0021】
コンピュータ30によってオフセット面領域及び徐変領域が設定されると、オペレータは、キーボード14及びマウス16を操作することによって、オフセット領域をオフセットさせる量及びオフセット方向を指定する(ステップS4)。すなわち、コンピュータ30は、オペレータに対してオフセット量及びオフセット方向の入力を求めるメッセージをディスプレイ12に表示する。オペレータは、キーボード14を操作することによってオフセット量及びオフセット方向を入力する。コンピュータ30は、入力されたオフセット量及びオフセット方向をRAMに記憶する。なお、オフセット方向は、オフセット量を正又は負の値とすることで指定する。本実施例では、正の値は三次元物体22の板厚を厚くする方向へオフセットすることを意味し、負の値は三次元物体22の板厚を薄くする方向へオフセットすることを意味する。
【0022】
オフセット量が指定されると、次に、コンピュータ30は、オフセット面領域内の面データを多数の微小三角平面に分割する(ステップS6)。なお、オフセット面領域を複数の微小三角平面へ分割するためのプログラムには、3D−CADデータの面データを微小な面要素に分割する従来公知のソフトウェアを用いることができる。
図5には三次元物体22に設定されたオフセット面領域Aを複数の微小三角平面24に分割した例が示されている。図から明らかなように、生成された各微小三角平面24は、隣接する微小三角平面24と節点(三角形の頂点)を共有している。
【0023】
オフセット面領域が多数の微小三角平面に分割されると、コンピュータ30は各微小三角平面の各節点の座標データを算出する(ステップS8)。例えば、図5に示す例では、コンピュータ30は、まず、CADデータ入力装置20より入力された3D−CADデータからオフセット対象となる面23の面データを特定し、その面データから各微小三角平面の節点の座標データを算出する。算出された節点の座標データは、x,y,zの三次元座標によって表されている。
【0024】
各節点の座標データを算出すると、次に、コンピュータ30は、微小三角平面の各節点の座標データから、各微小三角平面の法線方向を算出する(ステップS10)。より詳細に説明すると、コンピュータ30は、微小三角平面の各節点の座標データから、その微小三角平面の法線方向の単位法線ベクトルVを算出する。このとき、コンピュータ30は、ステップS4で記憶したオフセット量を読取り、オフセット方向を特定する。すなわち、読取ったオフセット量が正の値の場合には、三次元物体の厚みを厚くする方向に単位法線ベクトルVが算出される。また、読取ったオフセット量が負の値の場合には、三次元物体の厚みを薄くする方向に単位法線ベクトルVが算出される。コンピュータ30は、全ての微小三角平面に対して、単位法線ベクトルVの算出を行う。
【0025】
各微小三角平面の単位法線ベクトルVを算出すると、コンピュータ30は、単位法線ベクトルVと、各節点の座標データと、ステップS10で読取ったオフセット量を用いて、オフセット後の各微小三角平面の各節点の座標データを算出する(ステップS12)。すなわち、コンピュータ30は、各微小三角平面の各節点をその微小三角平面の法線方向に、オフセット量だけオフセットした座標データを算出する。オフセットする節点の座標データを(x1,y1,z1)とし、単位法線ベクトルVを(xv,yv,zv)とし、オフセット量をPとすると、オフセット後の節点の座標データ(x2,y2,z2)は、次の計算式によって算出される。
【0026】
【数1】



【0027】
コンピュータ30によって全ての微小三角平面の全ての節点に対して、オフセット後の節点の座標データの算出を実行する。上述したように、各微小三角平面は、隣接する微小三角平面と節点を共有している。従って、同一の節点に対して、その節点を共有する複数の微小三角平面からオフセット後の節点の座標データが算出される。
図10,11,13を用いて具体的に説明する。図10、図11は節点60を共有する6つの微小三角平面を示しており、図10はオフセット前の状態を示し、図11はオフセット後の状態を示している。図13は、図10におけるXIII−XIII線断面のオフセット前後の状態を示す図である。
節点60を微小三角平面62の法線方向にオフセットすると、図13に示すように、節点60aの座標データが算出される。また、節点60を微小三角平面64の法線方向にオフセットすると、節点60bの座標データが算出される。同様の計算を節点60を共有する全ての微小三角平面に対して実行すると、図11に示すように、オフセット前の節点60に対応するオフセット後の節点60a〜60fが算出される。このように、同一節点を、異なる平面の法線方向にオフセットすることによって、1つの節点から、複数の対応するオフセット後の節点の座標データが算出される。
なお、図11、図13に示す例では、板厚を厚くする方向に微小三角平面をオフセットするときの状態が図示されているが、板厚を薄くする方向に微小三角平面をオフセットする場合にも、上述の処理が実行される。また、以後の説明で参照する図についても、板厚を厚くする方向にオフセットする場合の状態のみを図示するが、板厚を薄くする方向にオフセットする場合も、板厚を厚くする方向にオフセットする場合と同様の処理が行われる。
【0028】
各微小三角平面の各節点のオフセット後の座標データが算出されると、コンピュータ30は、隣接する微小三角平面の対応する節点のオフセット後の各座標データが一致するように修正する(ステップS14)。すなわち、コンピュータ30は、オフセット前の1つの節点に対応するオフセット後の各節点の座標データを平均化する。例えば、図11及び図13の場合は、節点60a〜60fの座標データを平均化して、節点60gの座標を算出する。すると、図12に示すように、隣接する微小三角平面が再度節点60gを共有する。
コンピュータ30が全てのオフセット後の節点に対して上述の修正を行うと、隣接する微小三角平面が修正後の各節点を共有する。これによって、オフセット領域を法線方向に所定量だけオフセットしたときの面データが生成される。
例えば、図5に示すオフセット領域Aをオフセット量Pだけオフセットする場合は、コンピュータ30が上述の処理をすることによって、図6に示される面25が作成される。上述したように、オフセット後の面25は、オフセット前の面24の各節点を各微小三角平面の法線方向にオフセット量Pだけ移動させて、平均化した面である。従って、オフセット後の面25は、オフセット前の面24を厚み方向にオフセット量Pだけ移動させた面となっている。なお、図6から明らかなように、オフセット後の面25と面23との間には隙間が生じている。
【0029】
コンピュータ30は、オフセット後の面データを形成すると、その面データをオフセット前のオフセット面領域Aの曲率に基づいて修正する(ステップS16)。図6の例では、オフセット後の面25が修正されて、図7に示すように滑らかな曲面となる。また、コンピュータ30は、オフセット後の面25とオフセット前の面23との間の隙間を閉じる側面80、82等を設定し、オフセット後の面25と、側面80,82等と、面23と、他の三次元物体22の表面によって囲まれた閉空間を形成する。そして、その閉空間内は固体と認識されて、3D−CADデータとなる。
【0030】
オフセット後の3D−CADデータが作成されると、コンピュータ30は、オフセット後の3D−CADデータの徐変領域内の面データを多数の微小三角平面に分割する(ステップS18)。例えば、図7に示す徐変領域Bを微小三角平面に分割すると、図8に示すように、徐変領域Bが多数の微小三角平面29が結合した面(平滑化前の面)となる。
なお、コンピュータ30による徐変領域Bの微小三角平面への分割も、ステップS6と同様に、従来公知のソフトウェアを用いることができる。
【0031】
徐変領域が多数の微小三角平面に分割されると、コンピュータ30は、各微小三角平面の節点の座標データを算出する(ステップS20)。すなわち、コンピュータ30は、ステップS16で作成したオフセット後の3D−CADデータから、各微小三角平面の節点の座標データ(x,y,z)を算出する。
【0032】
徐変領域内の各節点の座標データが算出されると、コンピュータ30は、徐変領域を平滑化するための基準節点と第2節点を選択する(ステップS22)。本実施例では、徐変領域内のオフセット面領域側の1つの節点を基準節点として選択し、徐変領域の境界線上の全ての節点を第2節点として選択する。図8に示す例を用いて具体的に説明する。図8に示すように、コンピュータ30は、オフセット面領域A内(すなわち、オフセット後の面データ25上)から1つの節点(例えば、節点66)を基準節点として選択し、徐変領域Bの境界線上の全ての節点(例えば、節点68等)を第2節点として選択する。
【0033】
コンピュータ30は、ステップS22で基準節点と第2節点を選択すると、まず、基準節点と各第2節点とを繋いで得られる断面を特定する。次いで、特定した断面毎に、その断面の表面が平滑化するように、その断面の表面上の各節点を移動させた座標データを算出する(ステップS24)。
図8に示す例を参照して具体的に説明すると、コンピュータ30は、基準節点66と第2節点68を繋いで断面70を特定し、その断面70から所定範囲内の領域を平滑化領域Cとして設定する。図8に示すように、断面70は複数の分割線(徐変領域Bを複数の微小三角平面に分割するための線)と交差する。断面70と複数の分割線との交点(例えば、図8の72)のうち微小三角平面の節点以外では、その座標データが算出されていない。コンピュータ30は、その交点と隣接する節点の座標データに基づいて、各交点の座標データを算出する。例えば、図8の交点72の座標データは、節点74と節点76の座標データに基づいて算出される。具体的には、節点74の座標データを(x3,y3,z3)、節点76の座標データを(x4,y4,z4)、交点72と節点74の距離をl、交点72と節点76の距離をmとすると、交点72の座標データ(x5,y5,z5)は、次の計算式によって算出される。
【0034】
【数2】



【0035】
このようにして、断面70上の全ての交点の座標データを算出すると、図14に示すように断面70の形状が特定される。コンピュータ30は、断面70上の基準節点及び第2節点を除く全ての節点または交点を断面70の表面を平滑化する方向に移動させ、移動後の節点または交点の座標データ(平滑化後の座標データ)を算出する(図15参照)。
コンピュータ30は、断面70上の節点または交点の平滑化後の座標データを算出すると、平滑化領域C内の節点(断面70上の節点を除く)の平滑化後の座標データを算出する。平滑化領域C内の節点の平滑化後の座標データの算出は、その節点の座標データと、その節点に最も近い断面70上の節点または交点の座標データと、その節点または交点を移動させた座標データに基づいて算出される。例えば、図8の節点74の平滑化後の座標データ(x6,y6,z6)は、平滑化前の節点74の座標データ(x3,y3,z3)、その節点に最も近い断面70上の交点72の平滑化前の座標データ(x5,y5,z5)、交点72の平滑化後の座標データ(x7,y7,z7)を用いて、次の計算式によって算出される。
【0036】
【数3】



【0037】
コンピュータ30は、上述した処理を平滑化領域C内のすべての節点について行い、平滑化領域C内の全ての節点の平滑化後の座標データを算出する。
コンピュータ30は、上述した断面70に対して行った処理を、基準節点と各第2節点とを繋いで得られる全ての断面に対して実行する。図8より明らかなように、隣接する平滑化領域Cは重なるように設定されていることから、徐変領域内の1つの節点に対して、複数の平滑化後の座標データが算出されることとなる。
【0038】
コンピュータ30は、徐変領域内の各節点の平滑化後の座標データを算出すると、同一の節点に対して算出された複数の平滑化後の座標データを平均化して1つの座標データに修正する(ステップS26)。コンピュータ30が徐変領域内の全ての節点に対して上述の修正を行うと、それらの節点によって形成される多数の微小三角平面によって、徐変領域の平滑化後の面データが形成される。
【0039】
コンピュータ30は、ステップS26で平滑化後の面データを作成すると、各微小三角平面を、隣接する微小三角平面との傾きに応じた滑らかな曲面に修正する(ステップS28)。例えば、図16に示すように、微小三角平面84の形状を、隣接する微小三角平面86、88に応じた滑らかな曲面に修正する。全ての微小三角平面を上述したように修正すると、図9に示すように、平滑化後の面データ26と、徐変領域Bの外側の面データ23とが滑らかに結合される。
【0040】
以上に説明したように、三次元形状データ作成装置10によれば、まず、オフセット前の三次元物体のオフセット面領域を厚み方向にオフセットした三次元物体の3D−CADデータが作成される。次いで、徐変領域B内の面データが平滑化されることによって、徐変領域内の面データと徐変領域Bの外側の面データとが滑らかに結合された、平滑化されたオフセット後の面データを得ることができる。
三次元物体を構成する複数の面のうちオフセットされなかった面(例えば、図9に示す面27,28等)は、オフセット前の三次元物体の面と変わらない。このため、ステップS28で平滑化されたオフセット後の面の面データが得られると、オフセット後の三次元物体を規定する全ての面の面データが得られることとなる。これらの面データによって閉じられた閉空間内を固定と認識することによって、オフセット後の平滑化された3D−CADデータが作成されることとなる。
【0041】
上述した三次元形状データ作成装置10は、例えば、射出成形によって製造される成形品の成形金型を設計する際に利用される。図17の成形品90は、射出成形によって製造される成形品の一例である。成形品90は、自動車等のバンパに使用される樹脂部材である。成形品90の意匠面92は、自動車等に取り付けたときに需要者等に視認される意匠面であり、裏面94は需要者等に視認されない裏面である。
成形品90の成形金型を設計する場合、まず、成形品90の3D−CADデータを作成する。そして、その3D−CADデータに基づいてCAEを実行する。CAEでは、射出成形時の諸条件(温度、圧力、樹脂流入口の位置等)を設定し、その条件下で、成形品90を射出成形する場合の樹脂の流動経路等をシミュレーションする。そして、シミュレーション結果から、成形品90の特性等が評価される。シミュレーション結果を評価した結果、成形品90に成形不良が発生することが予測されると、その成形不良の種類と、成形不良が発生する箇所が特定される。図17では、成形品90の意匠面92にエアートラップ96が発生することが示されている。
図17に示すように、シミュレーションによって、成形品90の意匠面92にエアートラップ96等の不具合が発生する可能性があることが判明すると、成形品90の裏面を部分的に板厚を変更する対策が採られる。すなわち、成形品90の板厚を変更すると、成形品90を射出成形するときの樹脂の流動速度及び樹脂の流動方向を変更することができ、成形不良の発生を防止することができるためである。そして、この対策が適切であるか否かを判断するために、再度、シミュレーションを行うことが好ましい。
そこで、本実施例の三次元形状データ作成装置10により、オフセット前の成形品の3D−CADデータからオフセット後の3D−CADデータを作成する。この際、成形品90の意匠面92をオフセットすると、意匠面92の形状が変更されてしまう。意匠面92は需要者等に視認される面であり、そのデザインが重視される面であるので、意匠面92の形状を変更することは好ましくない。従って、裏面94の不具合箇所(エアートラップ96に対応する箇所98)を厚み方向にオフセットする。
オフセット後の3D−CADデータが作成されたら、再度、その3D−CADデータに基づいて解析モデルを作成し、シミュレーションを実行する。シミュレーションの結果、不具合が発生しないことが確認されると、実際に試作等を行って評価することとなる。一方、シミュレーションの結果、不具合が解消されない場合(新たな不具合が発見される場合も含む)は、不具合が解消されるまで、3D−CADデータの作成とシミュレーションを繰返す。このように、CAEと3D−CADデータの板厚変更を繰り返すことで、成形不良が発生しない好適な成形品の成形金型を設計することができる。
なお、上述した三次元形状データ作成装置10に、成形品90の解析用ソフトをインストールし(すなわち、コンピュータ30に、シミュレーション手段と、そのシミュレーション結果を評価する評価手段を設け)、三次元形状データ作成装置10によってシミュレーションと、そのシミュレーション結果の評価を行うようにしてもよい。なお、コンピュータを用いて行われるシミュレーションの実施と、そのシミュレーション結果の評価は、特開2005−169766号公報に詳しく開示されており、この公報に開示された構成を用いることができる。
【0042】
以上に説明したように、本実施例の三次元形状データ作成装置10によれば、オペレータが、三次元物体のオフセットしたい面の一部の領域を選択し、オフセット量を入力するだけで、選択した面領域を三次元物体の厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の3D−CADデータを作成することができる。従って、オフセット後の三次元物体の3D−CADデータを短時間で作成することができる。
また、本実施例の三次元形状データ作成装置10によれば、オフセット後の三次元物体のオフセット面と非オフセット面の境界線近傍が平滑化された三次元物体の3D−CADデータが作成される。従って、オフセット後の3D−CADデータを用いて解析モデルを作成しても、シミュレーションを精度よく行うことができる。
【0043】
なお、本実施例では、コンピュータ30が、オフセット面領域側に基準節点を設定し、非オフセット面側に第2節点を選択し、基準節点と第2節点とを繋いで得られる各断面を平滑化し、各断面を平滑化することで得られた同一節点に対する複数の座標データを平均化することで徐変領域の面データを作成したが、本発明はこのような実施形態に限られない。例えば、オフセット面領域Aの境界線と徐変領域Bの境界線によって規定される平面を、徐変領域Bの平滑化後の面データとする等の方法によって徐変領域の面データを作成することができる。
また、本実施例では、オフセット面領域A内から1つの基準節点を選択し、徐変領域Bの境界線上の節点から複数の第2節点を選択したが、本発明はこのような実施例に限られない。本発明を逸脱しない範囲で、基準節点及び第2節点を選択することができる。例えば、オフセット面側に複数の基準点を設定し、その基準点に対し非オフセット面側に同数の節点を設定するようにしてもよい。また、オフセット面領域の中央に基準節点を設定し、その基準節点に対して等角度に断面が設定されるように第1節点を設定することができる。
また、本実施例では、同一節点に対して算出された複数の座標データを平均化することにより、節点の座標データを修正したが本発明はこのような実施形態に限られない。例えば、節点を共有する各微小三角平面の傾きから節点の座標データを修正する等の他の様々な修正方法によって、対応する節点の各座標データを修正することができる。
また、本実施例では、オフセット面領域A及び徐変区間Bを多数の微小三角平面に分割したが、他の形状の面に分割しても良い。
また、本実施例では、徐変領域Bがオフセット面領域Aの全てを含むように徐変領域Bと設定したが、他の様々な設定方法によって徐変領域Bを設定することができる。例えば、オフセット面領域Aと非オフセット面領域の境界線近傍にのみ徐変領域Bを設定することができる。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施例の三次元形状データ作成装置10のブロック図
【図2】本実施例の三次元形状データ作成装置10の処理を示すフローチャート
【図3】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図4】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図5】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図6】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図7】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図8】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図9】三次元形状データ作成装置10によって表示される三次元物体の模式図
【図10】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの拡大図
【図11】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの拡大図
【図12】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの拡大図
【図13】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの断面図
【図14】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの断面図
【図15】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの断面図
【図16】三次元形状データ作成装置10によって表示される面データの断面図
【図17】成形品90の斜視図
【図18】板厚変更の説明図
【符号の説明】
【0046】
10:三次元形状データ作成装置
12:ディスプレイ
14:キーボード
16:マウス
18:メモリ
20:CADデータ入力装置
30:コンピュータ
40:オフセット面領域選択手段
42:オフセット量指定手段
44:第1分割手段
46:第1座標データ算出手段
48:第1面データ作成手段
50:第2分割手段
52:第2座標データ算出手段
54:第2面データ作成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物体の表面の一部を該三次元物体の厚み方向にオフセットして得られる三次元物体の三次元形状データを、オフセット前の三次元物体の三次元形状データから作成する装置であって、
オフセット前の三次元形状データを入力する手段と、
オフセット対象となる三次元物体のオフセットする面領域を選択するオフセット面領域選択手段と、
オフセット量を指定するオフセット量指定手段と、
選択されたオフセット面領域を複数の面要素に分割する第1分割手段と、
分割された面要素のそれぞれに対して、その面要素をその面要素の法線方向に指定されたオフセット量だけオフセットしたときの各節点の座標データを、オフセット前三次元形状データと指定されたオフセット量から算出する第1座標データ算出手段と、
第1座標データ算出手段で算出された座標データ群に対して、隣接する面要素の対応する節点の各座標データが一致するように修正してオフセット面領域のオフセット後の面データを作成する第1面データ作成手段と、
オフセット面領域と非オフセット面領域の境界線近傍に設定された徐変領域を複数の面要素に分割する第2分割手段と、
分割された徐変領域の面要素のそれぞれに対して、その面要素の各節点の座標データをオフセット後の面データとオフセット前の三次元形状データから算出する第2座標データ算出手段と、
第2座標データ算出手段で算出された各節点の座標データから、徐変領域を平滑化した面データを作成する第2面データ作成手段と、
を有していることを特徴とする三次元形状データ作成装置。
【請求項2】
第1座標データ算出手段は、オフセット前の三次元形状データから各面要素の各節点の座標データと各面要素の法線方向データを算出し、その算出した座標データと法線方向データとオフセット量を用いてオフセット後の各面要素の各節点の座標データを算出することを特徴とする請求項1に記載の三次元形状データ作成装置。
【請求項3】
第2座標データ算出手段は、オフセット後の面データを用いて徐変領域内のオフセット面領域内の節点の座標データを算出し、オフセット前の三次元形状データを用いて徐変領域内の非オフセット面領域内の節点の座標データを算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元形状データ作成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2007−233972(P2007−233972A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58372(P2006−58372)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(300087396)株式会社ビーピーエイ (10)
【Fターム(参考)】