説明

不相溶性添加物を含む現像液

エレクトログラフィー用の現像液であって、液体キャリヤー中に分散されたトナー粒子を含み、そのトナー粒子は、顔料と、熱可塑性樹脂と、有機充填剤を含み、有機充填剤は、熱可塑性樹脂の基と反応性であり且つ液体キャリヤーと不相溶性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体エレクトログラフィー用の現像液、その組成、及びそれらの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの印刷システムにおいて、光伝導性表面を利用することによって画像のハードコピーを現像することは一般的な慣例である。光伝導性表面は、画像領域とバックグラウンド領域を有する静電潜像で選択的に帯電される。キャリヤー液中に帯電トナー粒子を含んでいる現像液をその選択的に帯電された光伝導性表面に接触させる。帯電トナー粒子は、潜像の画像領域に付着し、一方、バックグラウンド領域はクリーンな状態で残される。ハードコピー材料(例えば、紙)を光伝導性表面に直接的に又は間接的に接触させてその潜像を転写する。この方法のバリエーションは、光レセプター上に又は誘電物質上に静電潜像を形成させる種々のやり方を利用するものである。
【0003】
典型的に、当該現像液(しばしば、当分野でインク又はトナーとも称される)は、熱可塑性樹脂(重合体)を当該トナー粒子(インク粒子とも称される)の基材として、及び、非極性液を当該トナー粒子がその中に分散しているキャリヤー液として含有する。一般に、トナー粒子は顔料のような着色剤を含む。
【0004】
現像液の2つの特性は本発明の背景に関連する。これらは現像剤の凝集性と接着性である。凝集性は、その塊全体にわたって現像剤を結合状態に保つべく現像剤粒子間に働く引力である。接着性は、現像後のトナー粒子の表面と、印刷された基板の表面のような、それらが定着される表面との間に作用する引力である。
【0005】
適切な添加物は液体トナーの多くの特性を改善し得る。例えば、その開示が参照により本書に取入れられているところの国際特許96/17277号は、多種類の液体トナーの耐こすれ性(scuff resistance)、耐摩耗性(abrasion resistance)、及び耐剥れ性(peel resistance)が、トナーに用いられる融解温度では同一温度のトナー粒子の粘性よりはるかに低い粘性を有し、且つ凝固時にトナー粒子から分離相を形成する少量の添加物質の添加によって改善され得ることを開示している。
【0006】
米国特許第5,055,370号は、「優れた接着性」を有する正帯電性現像液が、3つの特定系列のモノマーを共重合することにより作られるところの樹脂を含んでいるトナー粒子を用いて得ることができることを開示しており、且つ共重合成分として酸無水物基含有モノマーを含んでいる共重合体に関しては、スチレンと無水マレイン酸の共重合体が好ましいことを付け加えている。
【0007】
米国特許第5,411,834号は、熱可塑性樹脂の粒子、任意選択の顔料、チャージディレクタ、及び不溶性帯電補助剤を有する、現像液組成を教示している。帯電補助剤は、アルケンと不飽和酸誘導体の共重合体からなり、そして酸誘導体はペンダントフルオロアルキル基又はペンダントフルオロアリール基を含む。帯電補助剤は当該樹脂及び任意選択の顔料と会合されるか又は結合される。
【0008】
特開1044955号公報は、熱硬化性官能基を含んでいる特異アクリル樹脂とアクリル樹脂と実質的に反応しない硬化性架橋剤とを液体キャリヤー中に分散させることにより現像液の定着性を改善することを教示している。
【0009】
上述の全ての文献の開示は参照により本書に取入れられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の幾つかの実施形態のうちの一つの様相は、改善された凝集性と接着性を有する現像液に関連するものである。興味深いことに、凝集性を改善することは、多くの場合、接着性と妥協することを伴い、逆もまた同様である。何故なら、現像剤の構成成分間の引力は、これらの同じ成分と基板の間の引力を犠牲にして改善されるからである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の幾つかの実施形態により、接着性と凝集性の同時改善は、顔料と、熱可塑性樹脂と、そして有機の反応性充填剤とをトナー粒子中に取り込むことによって達成される。好ましくは、有機の反応性充填剤は2つの性質を有する:(1)熱可塑性樹脂と反応し、且つ(2)液体キャリヤーと不相溶性である。任意選択で、当該反応性充填剤は、熱可塑性樹脂が粉砕性でない条件下で粉砕する衝撃粉砕性の脆性エラストマーである。本発明の幾つかの実施形態において、当該反応性充填剤は当該樹脂と架橋し、それ故、時として、以後、高分子架橋剤と呼ばれる。
【0012】
本出願に関連して、充填剤は、現像剤の基板への融着が印刷中に起こるところの、融着温度で軟化もしくは融解しない粒状物質である。本発明の実施形態において、当該充填剤は、融着温度より高い軟化点と融点を有する熱可塑性の材料である。任意選択で、当該熱可塑性充填剤はスチレン無水マレイン酸である。
【0013】
本発明の実施形態に従って用いるのに適している有機の反応性架橋剤の例は、スチレン無水マレイン酸共重合体(以後、SMA)及びポリ−無水物である。
【0014】
下記の実験において、架橋剤の量を増やすことで、0及び20%間の反応性充填剤の範囲で接着性及び凝集性の両方が改善された。反応性充填剤の量をさらに追加することでこれらの性質を一層改善することは可能であろうが、しかしながら、このことがトナーの他の性質に逆に影響を及ぼさないということが明らかでない。
【0015】
従って、本発明の幾つかの実施形態において、高分子架橋剤は、例えば、重量パーセントで1%、2%、5%、10%、20%の、又はそれらよりも高い任意の量か又は任意の中間の量のトナー粒子を構成する。
【0016】
幾つかの実施形態において、当該トナー粒子は、高分子架橋剤、熱可塑性樹脂及び顔料を液体の存在下において一緒に粉砕することによって作られる。任意選択で、当該液は現像剤の液体キャリヤーである。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態の1つの様相は、現像剤用のトナー粒子を作る方法である。本発明の1つの実施形態に従い、当該方法は、上述のように、現像液の液体キャリヤーの存在下において高分子架橋剤を顔料及び熱可塑性樹脂と一緒に粉砕するステップを包含する。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態の1つの様相は、液体エレクトログラフィーによって改善された接着性及び凝集性を有する画像が印刷された基板に関する。本発明の諸実施形態において、そのような基板は本発明による現像剤で印刷される。
【0019】
このように、本発明の実施形態に従い、液体キャリヤー中に分散されたトナー粒子を含んでいる、液体エレクトログラフィー用の現像液が提供され、ここで、当該トナー粒子は、顔料と、熱可塑性樹脂と、有機の反応性充填剤とを含有し、有機の反応性充填剤は、熱可塑性樹脂の基と反応し且つ液体キャリヤーと不相溶性である。任意選択で、液体キャリヤーにおける反応性充填剤の溶解度は室温でせいぜい1%である。本発明の例示的実施形態において、当該反応性充填剤は、室温で、反応性充填剤の重量の3%を上回ることになるところの、液体キャリヤーの量を吸収することができない。
【0020】
また、本発明の実施形態に従い、現像液を作る方法が提供され、当該方法は、顔料と、熱可塑性樹脂と、反応性有機充填剤とを脂肪族の液体中で一緒に粉砕してトナー濃縮物を得るステップと、その濃縮物に脂肪族の液体とチャージディレクタを付加するステップを含む。
【0021】
本発明の例示的実施形態において、熱可塑性樹脂は反応性充填剤によって架橋される。
【0022】
任意選択で、当該液体キャリヤーは、脂肪族の液体、例えば、ISOPAR−Lを含む。
【0023】
任意選択で、当該有機充填剤は、現像剤が印刷中にその温度で基板へ融着されるところの、融着温度より高い軟化点と融点を有する熱可塑性物質、例えば、スチレン無水マレイン酸共重合体(SMA)である。
【0024】
好ましくは、当該トナー粒子は第一官能基を有する高分子樹脂を含み、そして当該反応性充填剤は、その第一官能基と反応できる、第二官能基を有する。任意選択で、第一官能基はアクリル基又はメタクリル基であり、そして第二官能基は無水物の基である。
【0025】
任意選択で、反応性充填剤は、現像剤中で少なくとも約5%(W/W)の不揮発性の固体を構成する。加えて又は代替的に、当該反応性充填剤は、現像剤中での不揮発性の固体の多くて約35%(W/W)を構成する。
【0026】
さらに、本発明の実施形態に従い、現像液を作る方法が提供され、当該方法は、顔料と、熱可塑性樹脂と、反応性有機充填剤とを脂肪族の液体中で一緒に粉砕してトナー濃縮物を得るステップと、その濃縮物に脂肪族の液体とチャージディレクタを付加するステップを含む。
【0027】
任意選択で、当該反応性充填剤は、現像剤が印刷中にその温度で基板へ融着されるところの、融着温度より高い軟化点と融点を有する熱可塑性物質である。
【0028】
さらに、本発明の実施形態に従い、スチレン無水マレイン酸共重合体及びポリ無水物から選択された架橋剤で架橋された熱可塑性樹脂を含んでいる画像を保持する基板が提供される。
【0029】
好ましくは、当該架橋剤はスチレン無水マレイン酸共重合体である。
【0030】
任意選択で、当該基板は、ここに開示された現像液を使って印刷され及び/又はここに開示されたように準備される。
【0031】
また、本発明の実施形態に従い、基板上に画像を印刷する方法が提供され、当該方法は、ここに開示されるか又はここに開示された方法に従って作られた現像液を使って画像を印刷するステップを含む。
【0032】
本発明の例示的実施形態は、添付され且つ以下に列挙された図面を参照して以下に記述される。図面に示された構成部品及び外観の寸法は、表示の簡便且つ明快さのために選択されたものであって、必ずしも縮尺表示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に従って現像剤を調合する方法のフローチャートである。
【図2】本発明の幾つかの実施形態に従って、現像液を使って印刷するのに使用されるプリンタの略図解である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の幾つかの実施形態の一つの様相は、液体キャリヤー中に、例えば、Isopar−Lのような脂肪族の液体中に懸濁されたトナー粒子を含む現像液に関するものである。当該粒子は、顔料、熱可塑性樹脂、及び液体キャリヤーと不相溶性であるところの、有機の反応性充填剤を含有する。
【0035】
液体キャリヤーと「不相溶性」であるとは、液体キャリヤー中で1%未満の溶解度を有すること、及び不相溶性材料の重量パーセントで3%を上回らない量で液体キャリヤーを吸収する能力を意味する。
【0036】
本発明の実施形態による高分子架橋剤の例は、Sartomer,U.S.AによるSMA 1440及びCytecによるAdditol P791である。
【0037】
添加物と液体キャリヤーとの不相溶性は、例えば、その中での低溶解度によって及び/又は液体キャリヤー中の添加物の低膨潤度によって明らかに示され得る。
【0038】
低溶解度は、添加物の、1、0.1、又は0.05gのような、ある限界未満の重量が、100gのキャリヤー液に室温で溶解し得ることを意味する。本出願においては、室温は約25℃である。
【0039】
低膨潤度は、添加物がキャリヤー液に浸漬された時に少量のキャリヤー液のみを吸収することを意味する。例えば、1gの添加物は10mg未満のキャリヤーを吸収する。
【0040】
溶解度と膨潤度の試験及びそれらの結果は、2つの好ましい反応性充填剤、SMAとポリ無水物、について下に示されている。
【0041】
ISOPAR(商標)Lにおける添加物の膨潤度と溶解度を測定するため、2つのバイアルに、それぞれ、3gの熱可塑性樹脂と12gのIsopar Lを充填する。空のバイアル及びそれに入れた樹脂の正確な重量を、それぞれ、Wv及びWiと記録する。2つのバイアルを堅く閉じて、オーブン中でT=45℃で18時間加熱する。次いで、バイアルの1つを室温で30分間、他の1つを1週間、一日二回撹拌しながら、放置する。
【0042】
第一バイアルの上澄み液を第三のバイアルに移し、第一バイアルに残された液体残渣をフィルター紙又はティッシュで搾り出して除去する。次いで、このバイアルを秤量し、その重量をWvfと記録する。
【0043】
膨潤度のパーセントは、式((Wvf−Wv−Wi)/Wi)100を使って計算された。
【0044】
第二バイアルの上澄み液を0.45μmのフィルターを通してろ過し、そしてろ過された上澄み液中の可溶性樹脂のパーセントを水分分析装置で測定する。
【0045】
ろ過された上澄み液中に0.5%未満のキャリヤーがあれば、本発明の幾つかの実施形態により、材料はその液体キャリヤーに不溶性(且つ従って不相溶性)であると考えられる。その他では、そのパーセントが1%を下回れば、不溶性であると考えられる。
【0046】
【表1】

【0047】
上述のように、本発明の幾つかの実施形態による現像液で印刷された基板は、改善された凝集性、接着性、及びより速い乾燥時間を呈する。実際には、改善された凝集性及び乾燥速度はより低いフレーキング(小剥れ)で表され、そして低接着性はより低い剥れで表される。
【0048】
図1は、本発明の実施形態に従って現像液を作製する方法のフローチャート(100)である。
【0049】
先ず、(102)で、熱可塑性重合体としてのポリエチレン−アクリル酸共重合(Nucrel 699,DuPont)750gを1750グラムのIsopar L(EXXON製のiso−parfinic oil)キャリヤー液と速度60rpm及び温度130℃で1時間Rossダブルプラネタリーミキサー中で混合する。その後、温度を低くし、そして混合物が室温に達するまで混合処理を継続する。混合中に重合体がIsoparを溶媒和し、そして冷却中にキャリヤー液中に(溶媒和されたキャリヤー液を含む)重合体の顆粒が生成される。
【0050】
次に、(104)で、第一ステップで生成された混合物1500グラムを、帯電補助剤としてのトリステアリン酸アルミニウム(Riedel de−Haan)12グラム、反応性充填剤としてのスチレン無水マレイン酸共重合体120グラム、顔料ブルー15:3顔料(Toyo Ink)70グラム、及び700グラムを上回る量のIsopar Lと一緒にUnion Process 1S ボール粉砕機の中に充填する。その混合物を55℃で2時間、続いて、40℃で10時間粉砕して、補助顔料及び充填剤を取込んだトナー粒子含有のトナーの濃縮物を生成させる。
【0051】
全てNVSの重量パーセントで、熱可塑性重合体と反応性充填剤のパーセントは約70%(60%〜85%)であり、トリステアリン酸アルミニウムのパーセントは約2%(1%〜3%)であり、反応性充填剤のパーセントは約20%(5%〜35%)であり、そして顔料のパーセントは約12%(10%〜20%)である。
【0052】
次いで、(106)で、当該混合物を希釈して約20%NVSを有する濃縮物を得る。
【0053】
次いで、(108)で、トナー濃縮物が、トナー粒子のNVSへ1.5mg/gのチャージディレクタを利用して帯電され且つ、任意選択で、追加のIsopar L及びMarcol 82(EXXON)で更に希釈されて2%NVSを有するトナーを生成し、キャリヤー液の98%はIsopar Lと1%Marcol 82である。当実験には市販のチャージディレクタ(HP Indigo Imaging Agent 4.0)を用いた。当分野で知られいるその他のチャージディレクタも使用することができる。
【0054】
結果はシアンのトナーである。以下に報告される実験の全てはシアンのトナーについてであるが、本発明の着想はその他の色、ブラック又は無着色トナーにも同様に適用可能である。
【0055】
実際には、トナーの組成物は、所望の諸特性、色等に依存して変わり得、そのため、ある状況では、そのパーセントも各パーセント成分の後に括弧で示された範囲内で(又はそれを越えてまでも)変化し得る。加えて、使用される重合体及びその他の要素のタイプも、当分野で知られているように、変わり得る。
【0056】
上述のようにSMAによって得られたトナーは、約4ミクロンのメジアン粒径を有し、20ミクロンを上回る粒子は測定可能な量ではなかった。
【0057】
HP3000シリーズを使い、外部加熱(EH)モードで且つブランケット表面温度90℃で印刷した時、このトナーを使用する印刷は、Condat 135(SBR被覆紙)に比べて、1.40マイクロメートルのO.D.及び−2単位のデルタ光沢を示した。トナーそれ自体は、160pmhoの粒子チャージ、及び4.2pmhoのdc伝導率を示した。
【0058】
SMAの代わりにポリ無水物によって上述のようにして得られたトナーは、約5ミクロンの粒径メジアンを有し、粒子の5%は20ミクロンを上回っていた。それは、130pmhoの粒子チャージ、及び4pmhoのdc伝導率を示した。印刷時に、それは、被覆SBR紙に比べて、1.40のO.D.及び−2単位のデルタ光沢(画像用紙上)を示した。
【0059】
その製法が上で詳しく記述された、2つのトナーは、被覆セミアクリル(被覆Magnostar 170g)基板上で、HP3000シリーズを使い、外部加熱(EH)モードで且つブランケット表面温度90℃での印刷に使用された。印刷された画像は、(下に与えられた試験において)同一成分だが架橋剤を含んでいない比較インクより良好なフレーキング及び剥れを示した。
【0060】
下表は、SMAで作製されたトナーによる印刷品質試験の詳細結果を示す。
【0061】
【表2】

【0062】
比較現像液は同じ成分を含むが、SMAを含まずに、より多くの熱可塑性樹脂を含み、そのため、熱可塑性樹脂とSMAの和は全てのサンプルで同じであった。実験の基板は、アクリル被覆紙(Papierfabrik ScheufelenによるBVS(商標)及びMaria Paper SRL,RomaniaによるMagnostar(商標)(表中のMS))と、非被覆紙(Hadera Paper,IsraelによるHadar−Top(商標))であった。
【0063】
高カバーレージ(表中で述べたように、200%及び300%)で画像を印刷することでフレーキングを評価し、そして印刷後1分、2つの印刷頁を(印刷側を対向させて)40サイクルで円形に互いに擦り付けた。表に与えられた数値は、円形の擦り付け後で白く見えた印刷エリアの部分を表す。
【0064】
剥れは100%画像を印刷することにより評価され、印刷後10分、印刷領域に接着テープを貼り付け、そしてそれを剥がして画像に傷を付けた。表に与えられた数値は、テープを剥がした後で白く見えた印刷エリアの部分を表す。
【0065】
図2は、本発明のトナー粒子を含む現像液を使って印刷を作成するのに使用される種類の、印刷装置500の複数の構成要素の関係を表している略図である。図2に示されている(それ自体は新規でない)印刷装置500は、本発明が任意の液体トナープリンタ又はコピー機で達成され得ることを示す単なる図解である。本発明のトナーは、1カラー分解によりトナーを最終基板へ転写する任意のシステムに並びにその分解全てを中間転写部材へ転写し、次いで、分解グループを最終基板へ一緒に転写する印刷装置に適用され得る。さらに、現像の正確な方式は本発明の実施にとって重要でなく、そして現像は、高濃度トナーの二元(層方向(layerwise))転写によるか又はトナーを潜像と接触させるのための任意の多数の既知方法を用いる電気泳動現像により得る。
【0066】
印刷装置500は、光レセプターがそれに付着又は結合されている光レセプター画像シリンダー又はウェブ518及びそのシリンダーがその周りに回転する軸及び現像された画像を直接的に又は中間転写部品を介するかのいずれかで基板へ転写する画像転写部524のような在来構成成分から構成される。帯電器520及び潜像を光レセプター518の上に生成するための走査レーザビーム526を供給するレーザユニット514が光レセプター上に潜像を生成するのに用いられ、そして現像器512が潜像を現像するのに用いられる。任意選択で、洗浄台522が光レセプター518から残留トナーを除去するのに用いられる。
【0067】
図2に関して記述された要素を備えた印刷装置は、ここに記述されたトナー粒子を含んでいる現像液に対して有用である。本発明の例示的実施形態において、印刷装置要素に命令を発し、印刷装置要素からデータを受信し、印刷装置要素のデータを処理し、及び/又は印刷装置の動作を制御するためにコントローラ502が当該印刷装置に設けられる。任意選択で、当該印刷装置は、多重トナー容器506のような、印刷用の材料を貯蔵する貯蔵タンクを含む。
【0068】
本発明は、実施例を手段として提供され且つ本発明の範囲を限定するべく意図されていないところの本発明の諸実施形態の非限定的な詳細説明を用いて記述された。理解されるべきは、一実施形態について記述された特徴及び/又は処理ステップが他の実施形態についても使用され得ること及び本発明の実施形態の全てが必ずしも諸実施形態の一つについて記述された特徴及び/又は処理ステップの全てを有するわけではないということである。記述された実施形態のバリエーションは当業者に想起されるであろう。さらに、用語「からなる」、「含む」、「有する」及びこれらの同根の語は、当該開示及び/又はクレームで使用されるときには、「含むが必ずしも限定するものではない」を意味する。
【0069】
特筆されることは、上述の実施形態の幾つかは、本発明者によって意図された最良の態様を記述し且つ従って構造、作用又は本発明にとって本質的でないことがあり、例として記述されているところの構造及び作用の詳細を包含することがあるということである。ここに記述された構造及び作用は、当分野で周知のように、その構造又は作用が異なっていても、同一の機能を果たすところの、等価物によって置き換えられる。従って、本発明の範囲は、クレームにおいて用いられたような要素及び制限によってのみ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトログラフィー用の現像液であって、液体キャリヤー中に分散されたトナー粒子を含有し、前記トナー粒子は、顔料と、熱可塑性樹脂と、有機充填剤とを含み、有機充填剤は、前記熱可塑性樹脂の基と反応性であり且つ前記液体キャリヤーと不相溶性である、現像液。
【請求項2】
前記液体キャリヤー中の前記反応性充填剤の溶解度が室温で最大限でも1%である、請求項1に記載の現像液。
【請求項3】
前記反応性充填剤が、室温で、前記反応性充填剤の重量の3%を上回ることになる、前記液体キャリヤーの量を吸収することができない、請求項1に記載の現像液。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂が前記反応性充填剤によって架橋される、請求項1に記載の現像液。
【請求項5】
前記液体キャリヤーが脂肪族の液体を含む、請求項1に記載の現像液。
【請求項6】
前記有機充填剤が、前記現像剤が印刷中に基板へ融着される融着温度より高い軟化点と融点を有する熱可塑性の物質である、請求項1に記載の現像液。
【請求項7】
前記トナー粒子が第一官能基を有する高分子樹脂を含み、且つ前記反応性充填剤が、前記第一官能基と反応できる第二官能基を有する、請求項1に記載の現像液。
【請求項8】
前記第一官能基がアクリル基又はメタクリル基であり、且つ前記第二官能基が無水物の基である、請求項7に記載の現像液。
【請求項9】
前記反応性充填剤がポリ無水物及びスチレン無水マレイン酸共重合体から選択される、請求項8に記載の現像液。
【請求項10】
前記反応性充填剤が、現像剤中で不揮発性の固体の5%〜35%を構成する、請求項1に記載の現像液。
【請求項11】
現像液を作製する方法において、
前記方法が、
顔料と、熱可塑性樹脂と、反応性充填剤とを脂肪族の液体中で一緒に粉砕してトナー粒子を含有するトナー濃縮物を得るステップと、
前記濃縮物に脂肪族の液体とチャージディレクタを付加するステップと、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記反応性充填剤が、前記現像剤が印刷中に基板へ融着される融着温度より高い軟化点と融点を有する熱可塑性の物質である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記トナー粒子が第一官能基を有する熱可塑性樹脂を含み、且つ前記反応性充填剤が、前記第一官能基と反応できる第二官能基を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第一官能基がアクリル基又はメタクリル基であり、且つ前記第二官能基が無水物の基である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応性充填剤がポリ無水物及びスチレン無水マレイン酸共重合体から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
粉砕ステップが、その少なくとも5%が前記反応性充填剤によって形成されるところの、固体を含む混合物についてである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
粉砕ステップが、その最大限でも35%が粉砕性重合体によって形成されるところの、固体を含む混合物についてである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
基盤であって、スチレン無水マレイン酸共重合体とポリ無水物から選択された架橋剤で架橋された熱可塑性樹脂を含有している画像を保持する、基板。
【請求項19】
前記架橋剤がスチレン無水マレイン酸共重合体である、請求項18に記載の基板。
【請求項20】
基板であって、請求項1によるか又は請求項11の方法に従って作製された現像液を用いてエレクトログラフィック印刷された、基板。
【請求項21】
画像を基板上に印刷する方法であって、請求項1によるか又は請求項11の方法に従って作製された現像液を用いて画像を印刷するステップを包含する、方法。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−506235(P2010−506235A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532334(P2009−532334)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/040105
【国際公開番号】WO2008/045085
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】