説明

両軸受リールのハンドル組立体及び両軸受リール

【課題】ハンドル操作の手と反対の手により、ハンドル軸を糸巻取方向に瞬時かつ確実に回転させることができるようにする。
【解決手段】ハンドル組立体2は、両軸受リールのリール本体1に回転自在に支持されるハンドル軸30に装着可能である。ハンドル組立体2は、ハンドルアーム2aと、ハンドル把手2bと、を備える。ハンドルアーム2aは、装着部14aと、少なくとも一つのアーム部14bと、複数の突起部14cと、複数の連結部14dと、を有する。装着部14aは、ハンドル軸30に装着可能である。少なくとも一つのアーム部14bは、装着部14aから径方向外方に延びる。複数の突起部14cは、装着部14aの周囲に配置され、径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される。複数の連結部14dは、複数の突起部14cを連結する。ハンドル把手2bは、アーム部14bの先端に回転自在に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り竿に装着可能な両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されるハンドル軸に装着可能な両軸受リールのハンドル組立体及びハンドル組立体を備える両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールには、スプールを糸巻取方向に回転させるためのハンドル組立体が設けられる。ハンドル組立体は、リール本体に回転自在に支持されるハンドル軸に装着される。ハンドル組立体は、通常は、スプールを連続的に糸巻取方向に回転させ、釣り糸をスプールに巻き取るときに使用される。しかし、釣りを行っていると、釣り糸を僅かに巻き取る操作が必要な場合がある。例えば、釣り糸のたるみを取る糸ふけを回収する場合、キャスティング後にクラッチ機構をクラッチオフ状態からクラッチオン状態に戻す場合、及びキャスティング後にルアーにアクションを加える場合などに、スプールを糸巻き取り方向に僅かに回転させることがある。
【0003】
このようにスプールを僅かに糸巻取方向にわずかに回転させる場合、ハンドル組立体を用いて釣り糸を巻き取ると、その糸巻取動作を瞬時に行えない場合がある。すなわち、ダブルハンドル型のハンドル組立体でも、180度離れてハンドル把手が配置されるため、ハンドル把手が握りやすい位置にないとハンドル組立体を瞬時に操作しにくい。そこで、スタードラグと呼ばれるドラグ調整部材に、釣り竿を持つ手でハンドル軸を回すための補助操作部を設けたものが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のドラグ調整部材は、放射状に突出する複数のドラグ操作部の先端部に補助操作部が設けられている。補助操作部は、リール本体側に接近するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3967661号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成では、ドラグ調整部材を用いてハンドル軸を糸巻取方向に回転させる。このため、ドラグ調整部材によるドラグ力の調整度合い(例えば、ドラグ力を弱めた状態)によっては、ドラグ調整部材だけが回わり、ハンドル軸が回らないおそれがある。このため、ハンドル組立体を持つ手と逆の手でハンドル軸を糸巻取方向に確実に回転させることができない。
【0006】
本発明の課題は、ハンドル組立体を操作する手と反対の手によりハンドル軸を糸巻取方向に瞬時かつ確実に回転させることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る両軸受リールのハンドル組立体は、釣り竿に装着可能な両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されるハンドル軸に装着可能なハンドル組立体である。ハンドル組立体は、ハンドルアームと、ハンドル把手と、を備える。ハンドルアームは、装着部と、少なくとも一つのアーム部と、複数の突起部と、複数の連結部と、を有する。装着部は、ハンドル軸に装着可能である。少なくとも一つのアーム部は、装着部から径方向外方に延びる。複数の突起部は、装着部の周囲に配置され、径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される。複数の連結部は、複数の突起部を連結する。ハンドル把手は、アーム部の先端に回転自在に装着される。
【0008】
このハンドル組立体では、連結部により連結される複数の突起部は、装着部の周囲に配置され、かつ径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される。これにより、複数の突起部又はアーム部を、ハンドル組立体を操作する手と反対の手により操作可能になり、操作可能な部位が多くなる。このため、ハンドル組立体を操作する手と反対の手によりハンドル軸を糸巻取方向に瞬時かつ確実に回転させることができるようになる。
【0009】
発明2に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1に記載のハンドル組立体において、装着部と突起部及び連結部との間には空間が形成される。この場合には、重量増を抑えた最小限の形状により、ハンドル組立体を操作する手と反対の手によりハンドル軸を糸巻取方向に瞬時に確実に回転させることができるようになる。
【0010】
発明3に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1又は2に記載のハンドル組立体において、両軸受リールは、ドラグ機構及びドラグ機構を調整するためのドラグ調整部材をハンドル軸の周囲に有し、突起部は、ドラグ調整部材よりリール本体に近い側に配置可能である。この場合には、突起部がドラグ調整部材よりリール本体に近い位置に配置されるので、ハンドル組立体を操作する手と反対の手によりさらに操作しやすくなる。
【0011】
発明4に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明3に記載のハンドル組立体において、装着部は、ドラグ調整部材よりリール本体に近い側でハンドル軸に装着可能である。この場合には、ハンドルアーム全体がドラグ調整部材よりリール本体に近い側に配置されるので、ハンドルアームの形状の簡素になる。また、ハンドルアームとリール本体との距離が短くなり、ハンドルアームを回しやすくなる。
【0012】
発明5に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明3に記載のハンドル組立体において、装着部は、ドラグ調整部材よりリール本体から遠い側でハンドル軸に装着可能である。この場合には、ドラグ調整部材とハンドル組立体の配置が通常の両軸受リールと同じであっても、ハンドル組立体を操作する手と反対の手によりハンドル軸を糸巻取方向に瞬時にかつ確実に回転させることができる。
【0013】
発明6に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1から5のいずれかに記載のハンドル組立体において、突起部は、リール本体の釣り竿装着側から径方向外方に突出可能である。この場合には、突起部がリール本体の釣り竿装着側から径方向外方に突出するため、ハンドル組立体を操作する手と反対の手の指を延ばすだけで、ハンドル軸を糸巻取方向に容易に回転させることができる。
【0014】
発明7に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1から6のいずれかに記載のハンドル組立体において、アーム部は2つであり、装着部から径方向外方の一方及び他方に延びる。この場合には、アーム部が2つあるため、ハンドル組立体を操作する手と反対の手による操作可能な部位がさらに多くなる。このため、ハンドル軸を糸巻取方向にさらに瞬時にかつ確実に回転させることができる。
【0015】
発明8に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1から7のいずれかに記載のハンドル組立体において、突起部は、鋸歯形状になるように連結部により連結される。この場合には、糸巻取時に使用する突起部の径方向の操作長さを長くすることができるので、ハンドル組立体を操作する手と反対の手による糸巻取方向への回転操作がさらに容易になる。また、鋸歯の角度が緩やかな部分は突起部と連結部との径方向の段差がない。このため、ハンドル組立体を操作する際に突起部から別の突起部に指をかけかえる動作が容易になる。
【0016】
発明9に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1から7のいずれかに記載のハンドル組立体において、連結部は、多角形の辺に沿って配置される直線または曲線である。この場合には、連結部の形状が簡素になり、右ハンドル及び左ハンドルの両軸受リールに共通で使用可能なハンドル組立体を提供できる。
【0017】
発明10に係る両軸受リールのハンドル組立体は、発明1から7のいずれかに記載のハンドル組立体において、連結部は、中央部が装着部に接近する湾曲する円弧状に配置される。この場合には、突起部が凹んだ円弧状の連結部により連結されるので、右ハンドル及び左ハンドルの両軸受リールに共通で使用可能なハンドル組立体を提供できる。
【0018】
発明11に係る両軸受リールは、発明1から10のいずれか1項に記載のハンドル組立体を備える。この場合には、上記発明1から10と同様な作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連結部により連結される複数の突起部は、装着部の周囲に配置され、かつ径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される。これにより、ハンドル組立体を操作する手と反対の手でも釣り竿を超えて操作可能になる。このため、ハンドル組立体を操作する手と反対の手によりハンドル軸を糸巻取方向に確実に回転できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態が採用された両軸受リールの斜視図。
【図2】ハンドルアームの正面図。
【図3】両軸受リールのハンドル装着側の側面図。
【図4】図3の切断線IV−IVによる断面図。
【図5】図3の切断線V−Vによる断面図。
【図6】両軸受リールのハンドル装着側と反対側の側面図。
【図7】ドラグ機構のリール本体側の分解斜視図。
【図8】第2実施形態の図1に相当する図。
【図9】第2実施形態の図6に相当する図。
【図10】第3実施形態の図1に相当する図。
【図11】第3実施形態の図6に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
<両軸受リールの構成>
図1において、本発明の第1実施形態による両軸受リールは、ロープロフィール型のリールである。両軸受リールは、リール本体1と、リール本体1の側方(たとえば左方)に配置されたスプール回転用のハンドル組立体2と、リール本体1の内部に回転自在かつ着脱自在に装着された糸巻用のスプール12とを備えている。ハンドル組立体2のリール本体1から離れる側には、ドラグ調整用のドラグ調整部材3が設けられている。
【0022】
<ハンドル組立体の構成>
ハンドル組立体2は、たとえば金属製の板状のハンドルアーム2aと、ハンドルアーム2aの両端に回転自在に装着された2つのハンドル把手2bとを有するダブルハンドル形のものである。ハンドルアーム2aは、図1、図2及び図3に示すように、装着部14aと、2つのアーム部14bと、複数(例えば4つ)の突起部14cと、複数(例えば6つ)の連結部14dと、を有している。ハンドルアーム2aは、図4に示すように長手方向において両端部が装着部14aよりリール本体1に近づくように僅かに湾曲している。
【0023】
装着部14aは、ドラグ調整部材3よりリール本体1に近い側で後述するハンドル軸30に装着可能である。装着部14aは、ハンドルアーム2aの長手方向の中心に位置する。装着部14aは、貫通孔14eと、一対の第1係合凹部14fと、一対のネジ挿通孔14gと、を有している。貫通孔14eは、ハンドルアーム2aの長手方向の中心に位置し、後述するハンドル軸30が通過可能な丸孔である。一対の第1係合凹部14fは、ハンドルアーム2aの長手方向と直交する方向において、貫通孔14eの内周面から径方向外方に凹んで形成されている。一対のネジ挿通孔14gは、貫通孔14eを挟んでハンドルアーム2aの長手方向に一対配置されている。ネジ挿通孔14gのハンドルアーム2aの表面側には、後述する装着ボルト48の頭部48aを収容可能な頭部収容部14hがコーン形状に凹んで形成されている。
【0024】
2つのアーム部14bは、装着部14aから径方向外方に先細りにそれぞれ延びている。2つのアーム部14bの先端には、ハンドル把手2bを取り付けるための取付孔14iがそれぞれ形成されている。2つのアーム部14bには、ハンドルアーム2aの軽量化を図るための第1開口14jがそれぞれ形成されている。
【0025】
複数の突起部14cは、装着部14aの周囲に配置されている。突起部14cは、径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置されている。突起部14c及び連結部14dと装着部14aとの間にはハンドルアーム2aを軽量化するための第2開口14kが形成される。これにより、装着部14aと突起部14c及び連結部14dとの間には空間が形成される。突起部14cは、図3に示すように、リール本体1の釣り竿装着側から径方向外方に突出可能である。
【0026】
複数の連結部14dは、図1、図2及び図3に示すように、複数の突起部14cを連結する。また第1実施形態では、アーム部14bと突起部14cと、を連結する。突起部14cは、鋸歯形状となるように連結部14dにより連結される。すなわち、1組の突起部14cと連結部14dが鋸歯形状に形成される。なお、突起部14cの鋸歯の角度が急な部分14m及びアーム部14bが、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手でハンドル軸30を糸巻取方向に回転させるときに用いられる。したがって、4つの突起部14cと2つのアーム部14bとの6箇所のいずれかでハンドル軸30を糸巻取方向に回転させる時には径方向の操作長さが長くなるので、糸巻き取り方向への回転操作が容易になる。また、鋸歯の角度が緩やかな部分14nは突起部14cと連結部14dとの径方向の段差がない。このため、ハンドル組立体2を操作する際に突起部14cから別の突起部14cに指をかけかえる動作を妨げない。
【0027】
<リール本体の構成>
リール本体1は、図3、図4、図5及び図6に示すように、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着されフレーム5の両側方を覆う第1カバー6a及び第2カバー6bと、フレーム5の側部に着脱自在に装着された軸支持部7と、フレームの前方を覆う前カバー6cを有している。第1カバー6aはハンドル組立体2と逆側に配置され、第2カバー6bはハンドル組立体2の装着側に配置されている。
【0028】
フレーム5は、たとえば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属製の部材であり、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された第1側板5a及び第2側板5bと、第1側板5a及び第2側板5bをつなぐ複数のつなぎ部5cと、を有している。このハンドル装着側と逆側の第1側板5aに軸支持部7が着脱自在に装着されている。第1側板5aには、スプール12が通過可能な円形の開口5dが形成されている。開口5dに、スプール12を開口5d側から取り出すための軸支持部7が、たとえばバヨネット機構23により着脱自在に装着されている。下側の2つのつなぎ部5cには、リールを釣り竿に装着するための前後に長い竿装着部4が一体形成されている。
【0029】
第1カバー6aは、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属製の部材であり、第1側板5aの外方を覆っている。第1カバー6aは、軸方向外方に凸に湾曲した三次元曲面で形成される。第1カバー6aは、円形の凹部6dと開口6eとを中心部に有している。また、第1カバー6aは、外表面に線状に延びる段差部6f(図5及び図6参照)を有する。開口6eは、例えば円形であり、凹部6dの中心部に形成されている。第1カバー6aには、軸支持部7が回動自在に装着される。第1カバー6aは、軸支持部7とともにフレーム5に対して着脱自在である。軸支持部7の周囲において、第1カバー6aの開口6eの内周部には、軸支持部7の非操作時の回り止めと、軸支持部7の操作時の位置決めと、を行うための位置決め機構60(図4参照)が配置されている。段差部6fは、図6に示すようにリール本体1の前下部側から斜め上方に傾いて形成される。段差部6fは、第1カバー6aの上部分が下部分より外側に突出するように形成される。段差部6fは、軸支持部7の後述する把手部34aの位置に関連付けて形成される。
【0030】
第2カバー6bは、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の軽金属製の部材であり、フレーム5の第2側板5bにねじ止め固定されている。第2カバー6bには、スプール軸16の配置部分にかしめ固定されたボス部8と、ボス部8に螺合してボス部8の開口を塞ぐ蓋部材9と、が設けられる。ボス部8は、第2カバー6bに、例えばかしめ固定されている。蓋部材9は、ボス部8にねじ込み固定されている。
【0031】
軸支持部7は、第1カバー6aを挟持した状態で第1カバー6aに回動自在に支持されている。したがって、軸支持部7は、第1カバー6aに対して抜け止めされている。また、図4に示すように、軸支持部7は、バヨネット機構23により第1側板5aに着脱自在に装着されている。バヨネット機構23は、軸支持部7の外周部に周方向に間隔を隔てて配置され径方向外方に突出する板状の複数(たとえば3つ)のバヨネット突起23aと、バヨネット突起23aに係合するように第1側板5aの開口5dの外側面に形成された複数(たとえば3つ)のバヨネット溝部23bと、を有している。軸支持部7を回してバヨネット機構23により第1側板5aに軸支持部7を装着することにより、第1カバー6aも第1側板5aに装着される。
【0032】
軸支持部7は、図5に示すように、第1軸受24aが装着される軸受装着部33と、軸受装着部33とで第1カバー6aを相対回動自在に挟持する着脱操作部34と、を有している。軸受装着部33は、皿状の部材であり、外周部33aが開口5dに嵌合している。また、外周部33aには、外周部33aから径方向外方に突出する、前述したバヨネット機構23の複数のバヨネット突起23aがスプール12の軸芯を中心に周方向に間隔を隔てて形成されている。軸受装着部33の中心部には、第1軸受24aを収納する筒状の軸受収納部33bがスプール12に向けて筒状に突出して形成されている。軸受収納部33bには、第1軸受24aが内周面に装着される段付き筒状の装着空間33cが形成されている。装着空間33cの底部33dには、後述するキャスティングコントロール機構22を構成する円板状の第1プレート41aが装着されている。底部33dには、キャスティングコントロール機構22の後述する制動つまみ42が螺合する雌ネジ部33eが形成されている。着脱操作部34は、軸受装着部33に位置決めされた状態で第1カバー6aに対して軸受装着部33と一体で回動可能である。
【0033】
着脱操作部34は、段付き円筒形状の部材であり、図示しないネジ部材により軸受装着部33に固定されている。着脱操作部34は、第1カバー6aをフレーム5に対して着脱操作するためのものである。着脱操作部34の外側面は、第1カバー6aの外側面より僅かに凹んでいる。図6に示すように、着脱操作部34は、制動つまみ42を跨いで直径上に配置される着脱操作用の把手部34aを有する。把手部34aは、制動つまみ42より軸方向外側に配置され、第1カバー6aの三次元曲面に沿うように僅かに凸に湾曲している。把手部34aは、図6に実線で示す装着位置と二点鎖線で示す解除位置とに回動操作可能である。装着位置では、第1カバー6aがフレーム5に装着され、装着解除位置では、第1カバー6aのフレーム5への装着が解除される。把手部34aが装着位置にあるとき、把手部34aは、第1カバー6aの段差部6fに沿って配置される。また、着脱操作部34は、制動つまみ42を外部に露出させるための開口34bを有する。
【0034】
把手部34aが制動つまみ42を跨ぐように形成されているので、制動つまみ42の脱落を防止できる。
【0035】
<両軸受リールのその他の構成>
フレーム5内には、図4に示すように、釣り竿と食い違う方向に配置可能な糸巻用のスプール12と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなる、クラッチ操作部材17とが配置されている。また、図5に示すように、フレーム5と第2カバー6bとの間には、ハンドル組立体2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるためのギア機構18と、クラッチ機構13と、クラッチ機構13をオンオフ制御するためのクラッチ制御機構19と、スプール12の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構21と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構22とが配置されている。
【0036】
スプール12は、図4に示すように、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻胴部12bの内周側の軸方向の実質的に中央部に一体で形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸16に、たとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0037】
スプール軸16は、第2側板5bを貫通して第2カバー6bに延びている。スプール軸16は第1軸受24a及び第2軸受24bによりリール本体1に回転自在に支持されている。第1軸受24aは軸支持部7に装着され、第2軸受24bは、第2側板5bに固定されたボス部8に装着されている。スプール軸16の第1端16aおよび第2端16bは、山形又は円弧状に突出して形成されている。スプール軸16の第1端16a及び第2端16bがキャスティングコントロール機構22に接触可能である。
【0038】
図5に示すように、スプール軸16の第2側板5bの貫通部部分にはクラッチ機構13を構成する係合ピン13aが固定されている。係合ピン13aは、直径に沿ってスプール軸16を貫通しており、その両端が径方向に突出している。この両端の突出部分に後述するピニオンギア32の先端(図5右端)が係合可能である。
【0039】
レベルワインド機構15は、図4に示すように、後述するギア機構18の第1ギア28に噛み合う第2ギア25と、トラバースカム軸26と、釣り糸ガイド27と、を有している。トラバースカム軸26は、交差する螺旋状溝26aが外周面に形成された軸部材である。釣り糸ガイド27は、螺旋状溝26aに係合し、トラバースカム軸26の回転により、スプール12の前方でスプール12と平行に往復移動する。
【0040】
ギア機構18は、図5に示すように、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に回転自在に装着されるドライブギア31と、ドライブギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、ハンドル軸30に装着され、第2ギア25に噛み合う第1ギア28とを有している。ハンドル軸30は、ローラ型のワンウェイクラッチ40により糸繰り出し方向の回転か禁止され、糸巻取方向だけに回転可能である。ワンウェイクラッチ40は、第2カバー6bに装着される。
【0041】
ハンドル軸30は、基端が第2側板5bに軸受20により回転自在に支持されている。ドライブギア31の奥側(図5右側)にはラチェットホイール36がハンドル軸30に一体回転可能に装着されている。ラチェットホイール36の奥側に第1ギア28が配置される。図7に示すように、ハンドル軸30のラチェットホイール36装着部と第1ギア28装着部の間には、大径の当接部30aが形成されている。ハンドル軸30の先端外周面には、雄ネジ部30bが形成されている。ハンドル軸30の先端面には、雌ネジ部30cが形成されている。ハンドル軸30の外周面には、ワンウェイクラッチ40の内輪40a及び後述する押圧プレート38を一体回転可能に連結するための対向する平行な面で構成される回転連結部30dが形成されている。また、ハンドル軸30の中間部は軽量化のために肉盗みされている。
【0042】
ドライブギア31には、図5に示すように、ワンウェイクラッチ40の内輪40a及びドラグ機構21を介してハンドル軸30の回転が伝達される。
【0043】
ピニオンギア32は、図4に示すように、第2側板5bから軸方向外方に延びている。ピニオンギア32は、中心にスプール軸16が貫通する筒状部材である。ピニオンギア32は、スプール軸16に軸方向に移動自在に装着されている。ピニオンギア32は、基端に形成されたギア部32aと、先端に形成され係合ピン13aに係合可能な噛み合い部32bと、ギア部32aと噛み合い部32bとの間に配置されたくびれ部32cと、を有している。ギア部32aにはドライブギア31が噛み合う。噛み合い部32bには、係合ピン13aが係合する。くびれ部32cには、クラッチ制御機構19のクラッチヨーク35が係合する。ピニオンギア32は、クラッチオン位置と、クラッチオン位置より図5左側に配置されるクラックオフ位置とに、クラッチ操作部材17の操作またはハンドル組立体2の糸巻取方向の回転により移動する。ピニオンギア32は、軸受29により第2側板5bに回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。
【0044】
第1ギア28は、図4に示すように、トルクリミッタ39を介してハンドル軸30に連結される。第1ギア28は、図3に示すように、レベルワインド機構15のトラバースカム軸26に装着された第2ギア25に噛み合う。トルクリミッタ39は、所定以上のトルクが作用すると、ハンドル軸30の回転を第1ギア28に伝達しないようにするために設けられる。トルクリミッタ39は、ハンドル軸30に径方向に進退自在に配置される図示しないピン部材と、ピン部材を径方向外方に付勢する付勢部材と、第1ギア28の内周面に形成されピン部材に係合する凹部と、を有する。
【0045】
クラッチ機構13は、係合ピン13aと、ピニオンギア32の噛み合い部32bとで構成される。クラッチ機構13は、クラッチ操作部材17の操作により、クラッチオン状態と、クラッチオフ状態とをとり得る。クラッチオン状態でハンドル組立体2の回転がスプール12に伝達される。クラッチオフ状態では、スプール12が自由回転可能な状態になる。
【0046】
クラッチ操作部材17は、図1及び図3に示すように、第1側板5aと第2側板5bの間の後部でスプール12の後方に配置されている。フレーム5の第1側板5a及び第2側板5bには長孔(図示せず)が形成されており、クラッチ操作部材17がこの長孔に回転自在に支持されている。このため、クラッチ操作部材17は長孔に沿って上下方向にスライド可能である。
【0047】
クラッチ制御機構19は、クラッチヨーク35を有している。クラッチヨーク35は、スプール軸16の外周側に配置されており、2本のピン(図示せず)によってスプール軸16の軸心と平行に移動可能に支持されている。なお、スプール軸16はクラッチヨーク35に対して相対回転が可能である。すなわち、スプール軸16が回転してもクラッチヨーク35は回転しないようになっている。またクラッチヨーク35はその中央部がピニオンギア32のくびれ部32cに係合して図3左右に移動可能である。クラッチヨーク35は図示しないスプリングによって常に内方(図3左側)のクラッチオン方向に付勢されている。
【0048】
このような構成では、通常状態では、ピニオンギア32は内方のクラッチオン位置に位置しており、ピニオンギア32とスプール軸16の係合ピン13aとが係合してクラッチオン状態となっている。一方、クラッチヨーク35によってピニオンギア32が外方に移動した場合には、ピニオンギア32と係合ピン13aとの係合が外れクラッチオフ状態となる。
【0049】
ドラグ機構21は、図5および図7に示すように、ドラグ力を調整操作するためのドラグ調整部材3と、ハンドル軸30に一体回転可能に装着された押圧プレート38と、ハンドル軸30の周囲で第2カバー6b装着されたワンウェイクラッチ40と、を有している。ドラグ調整部材3は、ナット3aと、ナット3aを一体回転可能かつ軸方向移動自在に連結する操作部材3bと、付勢部材3cと、を有する。
【0050】
ナット3aは、ハンドル軸30先端部に形成された雄ネジ部30bに螺合する。操作部材3bは、図7に示すように、周方向に間隔を隔てて配置された3つの操作突起3dを有し、ナット3aを回転させるために設けられる。操作部材3bは、固定ボルト44によりハンドル軸30に抜け止めされる。この固定ボルト44によりハンドルアーム2aも操作部材3bを介してハンドル軸30に抜け止めされる。固定ボルト44は、ハンドル軸30の先端面に形成された雌ネジ部30cに螺合する。固定ボルト44と操作部材3bとの間には、固定ボルト44の回り止め用のバネ座金47が装着されている。
【0051】
付勢部材3cは、ハンドルアーム2aとナット3aとの間に配置される。ナット3aの軸方向の移動により付勢部材3cの付勢力が変化する。付勢部材3cは、例えば2枚の皿バネ50を有する。付勢部材3cは、ハンドルアーム2a及び内輪40aを介して押圧プレート38を押圧する。この付勢部材3cの付勢力によりドラグ力が調整される。押圧プレート38は、ハンドル軸30に一体回転可能に連結されている。また、押圧プレート38は、ワンウェイクラッチ40の内輪40aに一体回転可能に連結されている。
【0052】
ワンウェイクラッチ40の内輪40aは、ハンドルアーム2aの第1係合凹部14fに一体回転可能に連結されている。内輪40aは、ハンドルアーム2aに2本の装着ボルト48により固定された規制部材56により抜け止めされる。内輪40aは、第1係合凹部14fに係合する第1係合突起40bを一端部に有している。これにより、ハンドルアーム2aの回転が内輪40aに伝達される。また、内輪40aは、押圧プレート38に係合する第2係合突起40cを他端部に有している。したがって、ハンドル組立体2の回転は、内輪40a及び押圧プレート38を介してハンドル軸30に伝達される。
【0053】
また、ドラグ機構21は、ドラグ調整部材3の操作により発音するドラグ操作発音機構49をさらに有する。ドラグ操作発音機構49は、ハンドル軸30に一体回転可能に装着された音出し部材49aと、音出し部材49aに向けて付勢される打撃部材49bと、を有する。打撃部材49bは、操作部材3bの内部に音出し部材49aに向けて進退自在に収納される。
【0054】
このような構成のドラグ機構21では、ドラグ調整部材3の回転操作によって押圧プレート38をドライブギア31に向けて押圧することにより、押圧プレート38とドライブギア31との間で滑りを生じさせることにより、ドラグ機構21がスプール12を制動する。ワンウェイクラッチ40は、ドラグ機構21を作動させるために、ハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転を禁止する。
【0055】
キャスティングコントロール機構22は、図4及び図5に示すように、スプール軸16の両端を挟むように配置された第1プレート41a及び第2プレート41bと、第1プレート41a及び第2プレート41bによるスプール軸16の挟持力を調節するための制動つまみ42と、を有している。
【0056】
図4左側の第1プレート41aは、前述したように、軸受装着部33の装着空間33cの底部33dに装着され、スプール軸16の第1端16aに接触可能である。第2プレート41bは、第2カバー6bの蓋部材9内に装着されている。
【0057】
制動つまみ42は、図5に示すように、円形の操作部42aと、操作部42aより小径の雄ネジ部42bと、を有している。操作部42aは、この実施形態では、円錐台形状である。操作部42aの外周側は、着脱操作部34と操作用の隙間を開けて配置されている。制動つまみ42は、着脱操作部34の把手部34aの内側に配置されている。雄ネジ部42bは、軸受装着部33の雌ネジ部33eに螺合する。雄ネジ部42bは、第1プレート41aに接触可能である。
【0058】
制動つまみ42は、例えば、Oリングの形態のシール部材43によりシールされるとともに、回転操作に制動がかけられる。シール部材43は、制動つまみ42と着脱操作部34との間に配置される。これにより、制動つまみ42を操作すると、その位置で制動つまみ42の回動位置が変化しにくい。
【0059】
<両軸受リールの操作方法>
通常の状態では、クラッチヨーク35は内方(図3右方)に押されており、これによりピニオンギア32は、係合位置に移動させられている。この状態ではピニオンギア32とスプール軸16の係合ピン13aとが噛み合ってクラッチオン状態となっており、ハンドル組立体2からの回転力は、ハンドル軸30、ドライブギア31、ピニオンギア32及びスプール軸16を介してスプール12に伝達され、スプール12が糸巻き取り方向に回転する。
【0060】
釣りを行う場合には、バックラッシュを抑えるためにキャスティングコントロール機構22で制動力を調整する。キャスティングコントロール機構22で制動力を調整する際には、制動つまみ42を、例えば時計回りに回転させる。すると、制動つまみ42が図5右側に前進し、第1プレート41aと第2プレート41bの間隔が狭くなりスプール軸16への制動力が強くなる。また、逆に制動つまみ42を反時計回りに回転させると制動力が弱くなる。
【0061】
制動力の調整を終わると、クラッチ操作部材17を下方に押す。ここでは、クラッチ操作部材17は、下方の離脱位置に移動する。そしてクラッチ操作部材17の移動により、クラッチヨーク35が外方に移動し、クラッチヨーク35に係合したピニオンギア32も同方向に移動させられる。この結果、ピニオンギア32とスプール軸16の係合ピン13aとの噛み合いが外れ、クラッチオフ状態となる。このクラッチオフ状態では、ハンドル軸30からの回転はスプール12及びスプール軸16に伝達されず、スプール12は自由回転状態になる。クラッチオフ状態にして、第1カバー6aを握ってパーミングした手の親指でスプール12をサミングしながらスプール軸16が鉛直面に沿うようにリールを傾けて釣り糸を垂らす。すると、仕掛けの重さにより、スプール12が糸繰り出し方向に回転し、釣り糸が繰り出される。
【0062】
このとき、例えば仕掛けが海底に到達して釣り糸がたるむ糸ふけが生じると、釣り糸のたるみを取るために、ハンドルアーム2aを糸巻取方向に回転させる操作を行う。この操作を行うときは、第1カバー6aを握ってパーミングして釣り竿を持つ手の例えば中指を延ばす。そして、ハンドルアーム2aに設けられた突起部14c又はアーム部14bを延ばした中指により糸巻取方向に押圧する。これにより、ハンドルアーム2aが糸巻取方向に回転してスプール12に釣り糸を巻き取ることができ、釣り糸のたるみを解消できる。これにより、ハンドルアーム2aのハンドル把手2bを操作することなく、釣り糸をスプール12に巻き取ることができる。
【0063】
また、スプール12をリール本体1から取り出す場合、着脱操作部34を操作して第1カバー6aを第1側板5aから外す。このとき、把手部34aを摘んで、着脱操作部34を図6に実線で示す装着位置から二点鎖線で示す解除位置に回すと、バヨネット機構23によるフレーム5との係合が解除され、第1カバー6aを外すことができる。これにより、スプール12が開口5dを通して取り出すことができる。
【0064】
スプール12を取り付ける際には、開口5dを通してスプール12をフレーム5の内部に挿入する。そして、第1カバー6aを第1側板5aに装着して把手部を摘んで着脱操作部34を解除位置から装着位置に回す。このとき、第1カバー6aに形成された段差部6fを触ることにより装着位置に着脱操作部34が配置されていることを識別できる。
【0065】
<第2実施形態>
第2実施形態以降の説明では、第1実施形態と同様な構成部材の説明及び動作については説明を省略する。
【0066】
図8及び図9において、ハンドル組立体102のハンドルアーム102aは、第1実施形態と同様な形状の装着部114a及び2つのアーム部114bと、第1実施形態と異なる形状の突起部114c及び連結部114dと、を有している。ハンドルアーム102aは、ハンドル把手2bの回転中心を結ぶ線Cに対して対称の形状である。装着部114aは、ドラグ調整部材103と、リール本体101との間に配置される。突起部114cは、多角形の角部の一部に配置される。突起部114cは、リール本体101の釣り竿装着側から径方向外方に突出可能である。第2実施形態では、突起部114cは、六角形の4つの角部に配置され台形状に突出している。連結部114dは、多角形の辺に沿って角部を結ぶように配置される。
【0067】
また、ドラグ調整部材103の操作部材103bは、5つの操作突起103dを有している。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0068】
このような構成の第2実施形態でも第1実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0069】
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、ハンドルアームの装着部がドラグ調整部材とリール本体の間に配置されている。第3実施形態で、図10及び図11において、ドラグ調整部材203がハンドルアーム202aの装着部214aとリール本体201との間に配置される。したがって、装着部214aは、ドラグ調整部材203よりリール本体201から遠い側でハンドル軸230に装着可能である。また、2つのアーム部214b、214b、突起部214c及び連結部214dは、ドラグ調整部材203よりリール本体201に近い側に配置可能である。したがって、2つのアーム部214bに接続される装着部214aの両端部214nは、ドラグ調整部材203の径方向外方でリール本体201に向かって折れ曲がっている。この折れ曲がり角度は、60度から100度の範囲が好ましい。第3実施形態では折れ曲がり角度を90度である。装着部214aは、ハンドル軸230に一体回転可能に係合している。装着部214aは、ハンドル軸230の先端の外周面に螺合する固定ナット244によりハンドル軸230に一体回転可能に固定される。固定ナット244は、袋ナットであり、リテーナ245により回り止めされる。
【0070】
突起部214cは、例えば4つ形成され、円弧状にハンドル軸230と同芯の円弧状に形成されている。突起部214cは、リール本体201の釣り竿装着側から径方向外方に突出可能である。連結部214dは、例えば4つ形成され、中央部が装着部214aに接近するように湾曲する円弧状に形成されている。装着部214aと突起部214c及び連結部214dとの間には空間が形成される。したがって、第3実施形態では、突起部214c及び連結部214dは、同じ幅の線状に形成される。
【0071】
このような構成の第3実施形態でも第1及び第2実施形態と同様な作用効果を奏する。
【0072】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。なお、以降の説明では、第1実施形態に含まれる符号は、第1実施形態の符号のみを表記し、その他の実施形態の符号の表記を省略する
(A)両軸受リールのハンドル組立体2は、釣り竿に装着可能な両軸受リールのリール本体1に回転自在に支持されるハンドル軸30に装着可能である。ハンドル組立体2は、ハンドルアーム2aと、ハンドル把手2bと、を備える。ハンドルアーム2aは、装着部14aと、少なくとも一つのアーム部14bと、複数の突起部14cと、複数の連結部14dと、を有する。装着部14aは、ハンドル軸30に装着可能である。少なくとも一つのアーム部14bは、装着部14aから径方向外方に延びる。複数の突起部14cは、装着部14aの周囲に配置され、径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される。複数の連結部14dは、複数の突起部14cを連結する。ハンドル把手2bは、アーム部14bの先端に回転自在に装着される。
【0073】
このハンドル組立体2では、連結部14dにより連結される複数の突起部14cは、装着部14aの周囲に配置され、かつ径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される。これにより、複数の突起部14c又はアーム部14bを、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手により操作可能になり、操作可能な部位が多くなる。このため、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手によりハンドル軸30を糸巻取方向に瞬時に確実に回転させることができるようになる。
【0074】
(B)ハンドル組立体2において、装着部14aと突起部14c及び連結部14dとの間には空間としての第2開口14kが形成される。この場合には、重量増を抑えた最小限の形状により、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手によりハンドル軸30を糸巻取方向に瞬時に確実に回転させることができるようになる。
【0075】
(C)両軸受リールは、ドラグ機構21及びドラグ機構21を調整するためのドラグ調整部材3をハンドル軸30の周囲に有し、ハンドル組立体2において、突起部14cは、ドラグ調整部材3よりリール本体1に近い側に配置可能である。この場合には、突起部14cがドラグ調整部材3よりリール本体1に近い位置に配置されるので、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手によりさらに操作しやすくなる。
【0076】
(D)ハンドル組立体2において、装着部14aは、ドラグ調整部材3よりリール本体1に近い側でハンドル軸30に装着可能である。この場合には、ハンドルアーム2a全体がドラグ調整部材3よりリール本体2に近い側に配置されるので、ハンドルアーム2aの形状の簡素になる。また、ハンドルアーム2aとリール本体との距離が短くなり、ハンドルアームを回しやすくなる。
【0077】
(E)ハンドル組立体202において、装着部214aは、ドラグ調整部材203よりリール本体201から遠い側でハンドル軸230に装着可能である。この場合には、ドラグ調整部材203とハンドル組立体202の配置が通常の両軸受リールと同じであっても、ハンドル組立体202を操作する手と反対の手によりハンドル軸230を糸巻取方向に瞬時にかつ確実に回転させることができる。
【0078】
(F)ハンドル組立体2において、突起部14cは、リール本体1の釣り竿装着側から径方向外方に突出可能である。この場合には、突起部14cがリール本体の釣り竿装着側から径方向外方に突出するため、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手の指を延ばすだけで、ハンドル軸30を糸巻取方向に容易に回転させることができる。
【0079】
(G)ハンドル組立体2において、アーム部14bは2つであり、装着部14aから径方向外方の一方及び他方に延びる。この場合には、アーム部14bが2つあるため、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手による操作可能な部位がさらに多くなる。このため、ハンドル軸30を糸巻取方向にさらに瞬時にかつ確実に回転させることができる。
【0080】
(H)ハンドル組立体2において、突起部14cは、鋸歯形状になるように連結部14dにより連結される。この場合には、糸巻取時に使用する突起部14cの径方向の操作長さを長くすることができるので、ハンドル組立体2を操作する手と反対の手による糸巻取方向への回転操作がさらに容易になる。また、鋸歯の角度が緩やかな部分14nは突起部14cと連結部14dとの径方向の段差がない。このため、ハンドル組立体2を操作する際に突起部14cから別の突起部14cに指をかけかえる動作が容易になる。
【0081】
(I)ハンドル組立体102において、連結部102dは、多角形の辺に沿って配置される直線または曲線である。この場合には、連結部102dの形状が簡素になり、右ハンドル及び左ハンドルの両軸受リールに共通で使用可能なハンドル組立体を提供できる。
【0082】
(J)ハンドル組立体202において、連結部214dは、中央部が装着部214aに接近する湾曲する円弧状に配置される。この場合には、突起部214cが凹んだ円弧状の連結部214dにより連結されるので、右ハンドル及び左ハンドルの両軸受リールに共通で使用可能なハンドル組立体を提供できる。
【0083】
(K)両軸受リールは、上記(A)から(J)のいずれかに記載のハンドル組立体2を備える。この場合には、上記(A)から(J)のいずれか上と同様な作用効果を奏する。
【0084】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0085】
(a)前記実施形態では、手動の両軸受リールを例に説明したが、電動の両軸受リールにも本発明を適用できる。また、ハンドルが糸繰り出し方向に回転する両軸受リールにも本発明を適用できる。さらに、右ハンドルの両軸受リールを例に説明したが、左ハンドルの両軸受リールにも本発明を適用できる。
【0086】
(b)前記3つの実施形態では、突起部をリール本体の釣り竿装着側から径方向外方に突出可能にしてが、突出しないようにしてもよい。
【0087】
(c)前記実施形態では、ハンドルアームが2つのアーム部を有するダブルハンドルのハンドル組立体を例に本発明を説明した。しかし、アーム部が一つのシングルハンドルのハンドル組立体にも本発明を適用できる。
【0088】
(d)前記実施形態では、スタードラグ型のドラグ機構を有する両軸受リールを例に本発明を説明したが、レバードラグ型のドラグ機構を有する両軸受リールにも本発明を適用できる。
【0089】
(e)前記3つの実施形態では、突起部及び連結部と装着部との間に、ハンドル組立体の軽量化を図るために、開口により空間を設けたが、空間を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1,101,210 リール本体
2,102,202 ハンドル組立体
2a,102a,202a ハンドルアーム
2b,102b,202b ハンドル把手
3,103,203 ドラグ調整部材
14a,114a,214a 装着部
14b,114b,214b アーム部
14c,114c,214c 突起部
14d,114d,214d 連結部
14k 第2開口
21 ドラグ機構
30 ハンドル軸
230 ハンドル軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り竿に装着可能な両軸受リールのリール本体に回転自在に支持されるハンドル軸に装着可能な両軸受リールのハンドル組立体であって、
前記ハンドル軸に一体回転可能に装着可能な装着部、前記装着部から径方向外方に延びる少なくとも一つのアーム部、前記装着部の周囲に配置され、径方向外方に突出し周方向に間隔を隔てて配置される複数の突起部、及び複数の前記突起部を連結する複数の連結部を有するハンドルアームと、
前記アーム部の先端に回転自在に装着されるハンドル把手と、
を備える両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項2】
前記装着部と前記突起部及び前記連結部との間には空間が形成される、請求項1に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項3】
前記両軸受リールは、ドラグ機構及びドラグ機構を調整するためのドラグ調整部材を前記ハンドル軸の周囲に有し、
前記突起部は、前記ドラグ調整部材より前記リール本体に近い側に配置可能である、請求項1又は2に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項4】
前記装着部は、前記ドラグ調整部材より前記リール本体に近い側で前記ハンドル軸に装着可能である、請求項3に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項5】
前記装着部は、前記ドラグ調整部材より前記リール本体から遠い側で前記ハンドル軸に装着可能である、請求項3に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項6】
前記突起部は、前記リール本体の前記釣り竿装着側から径方向外方に突出可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項7】
前記アーム部は2つであり、前記装着部から径方向外方の一方及び他方に延びる、請求項1から6のいずれか1項に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項8】
前記突起部は、鋸歯形状となるように前記連結部により連結される、請求項1から7のいずれか1項に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項9】
前記連結部は、多角形の辺に沿って配置される直線または曲線である、請求項1から7のいずれか1項に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項10】
前記連結部は、中央部が前記装着部に接近する円弧状に配置される、請求項1から7のいずれか1項に記載の両軸受リールのハンドル組立体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のハンドル組立体を備える両軸受けリール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−106543(P2013−106543A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252730(P2011−252730)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】