両開きドア装置
【課題】各ドアの開ドア性を悪化させることなく、バリアフリー性と、各ドアの下部における止水性との両立を図る。
【解決手段】ドア枠2の下枠2bの上面に、その長手方向に沿って凹部13を設け、凹部13の先開きドア3側の部分13aに、先開きドア3の開閉に連動して回動され、先開きドア3が開かれたとき凹部13に収容されると共に先開きドア3が閉じられたとき凹部13から突出して先開きドア3の下部に当接する先開きドア用封止部材20を設け、凹部13の後開きドア30側の部分13bに、後開きドア30の開閉に連動して回動され、後開きドア30が開かれたとき凹部13に収容されると共に後開きドア30が閉じられたとき凹部13から突出して後開きドア30の下部に当接する後開きドア用封止部材21を、先開きドア用封止部材20と隙間Gを隔てて設け、後開きドア用封止部材21の上面に、隙間Gを超えて先開きドア用封止部材20の上面まで延出されたカバー41を取り付けた。
【解決手段】ドア枠2の下枠2bの上面に、その長手方向に沿って凹部13を設け、凹部13の先開きドア3側の部分13aに、先開きドア3の開閉に連動して回動され、先開きドア3が開かれたとき凹部13に収容されると共に先開きドア3が閉じられたとき凹部13から突出して先開きドア3の下部に当接する先開きドア用封止部材20を設け、凹部13の後開きドア30側の部分13bに、後開きドア30の開閉に連動して回動され、後開きドア30が開かれたとき凹部13に収容されると共に後開きドア30が閉じられたとき凹部13から突出して後開きドア30の下部に当接する後開きドア用封止部材21を、先開きドア用封止部材20と隙間Gを隔てて設け、後開きドア用封止部材21の上面に、隙間Gを超えて先開きドア用封止部材20の上面まで延出されたカバー41を取り付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア枠に先開きドアと後開きドアとを開閉可能に取り付けた両開きドア装置に係り、特に、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアの下部における止水性との両立を図った両開きドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両開きドア装置として、ドア枠の下部を成す下枠の上面を、バリアフリー性を向上させるために平坦としたものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
この両開きドア装置は、四角枠状のドア枠と、ドア枠の一方の縦枠に装着された主ドアと、ドア枠の他方の縦枠に装着された副ドアと、主ドアの下端に装着され、主ドアが閉じられたとき下方に突出して下枠の上面に圧接し、主ドアが開かれたとき引き上げられて下枠の上面から離間する主ドア用水密部材と、副ドアの下端に装着され、副ドアが閉じられたとき下方に突出して下枠の上面に圧接し、副ドアが開かれたとき引き上げられて下枠の上面から離間する副ドア用水密部材と、副ドアの下部の召合せ部に装着され、各ドアを閉じたとき主ドア用水密材と副ドア用水密材との間を塞ぐと共に下枠の上面に当接するように形成された召合せ水密部材とを備えている。
【0004】
このドア装置によれば、主ドア及び副ドアが閉じられたとき、主ドア、副ドアの下端から主ドア用水密部材、副ドア用水密部材が夫々下方に突出して下枠の上面に当接し、副ドアの下部に装着された召合せ水密部材が主ドア用水密部材と副ドア用水密部材との間を塞ぐと共に下枠の上面に当接するので、各ドアの下端と下枠の上面との間における止水性が確保される。そして、主ドア及び/又は副ドアが開かれるとき、主ドア用水密部材及び/又は副ドア用水密部材が引き上げられて下枠の上面から離間するので、主ドア用水密部材、副ドア用水密部材が下枠の上面及びこの上面に繋がる床面と擦れることによる開ドア性の悪化を回避できる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−89938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし乍ら、上記両開きドア装置においては、召合せ水密部材が副ドアの下部に固定的に装着されているので、副ドアを開くとき召合せ水密部材の下端が下枠の上面及びこの上面に繋がる床面に擦れてしまい、召合せ水密部材の耐久性及び副ドアの開ドア性が悪化する。この点、上記文献1には、副ドアは主ドアよりも開ドア頻度が低いためそれ程問題にならない旨の記載はあるが(段落0024)、問題が生じることは事実であり、副ドアの開ドア頻度が高い場合には、問題となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、各ドアの開ドア性を悪化させることなく、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアの下部における止水性との両立を図ることができる両開きドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、該後開きドア用封止部材の上面に、上記隙間を超えて上記先開きドア用封止部材の上面まで延出されたカバーを取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記カバーによって上記隙間を封止するようにしたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、該後開きドア用封止部材の端部に、上記隙間の方向に延出された庇部材を取り付け、上記先開きドア用封止部材の端部に、上記各封止部材の回動に伴って上記庇部材に下方から当接し得る当接部材を取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記庇部材及び当接部材によって上記隙間を封止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば次のような効果を発揮できる。
【0011】
(1)請求項1に係る発明によれば、各ドアの開閉順序に着目して、後開きドア用封止部材の上面に先開きドア用封止部材の上面まで延出されたカバーを取り付けたので、各ドアの開ドア性を悪化させることなく、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアが閉じられたときの各ドアの下部における止水性との両立を図ることができる。
【0012】
(2)請求項2に係る発明によれば、各ドアの開閉順序に着目して、後開きドア用封止部材の端部に庇部材を取り付け、先開きドア用封止部材の端部に上記庇部材に下方から当接し得る当接部材を取り付けたので、各ドアの開ドア性を悪化させることなく、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアが閉じられたときの各ドアの下部における止水性との両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る両開きドア装置1は、上枠2a、下枠2b及び左右の縦枠2c、2dから矩形に組み立てられたドア枠2と、一方の縦枠2cに開閉可能に取り付けられた先開きドア3と、他方の縦枠2dに開閉可能に取り付けられた後開きドア30とを備えている。この両開きドア装置1は、先開きドア3が後開きドア30より先に開かれ、両ドア3、30が開かれた後には、後開きドア30が閉じられた後に先開きドア3が閉じられるものである。この点、上枠2aの内部に、上述した順に各ドア3、30の開閉が行われない場合には、各ドア3、30の回動をロックする順位調整機(図示せず)を装着してもよい。図例では、先開きドア3のみに開閉ハンドル4を設けて、先開きドア3が後開きドア30に先立って開ドア操作されるようにしている。
【0015】
先開きドア3は、上框5a、下框5b、吊元框5c及び召合せ框5dから矩形に組み立てられた框体5と、框体5の内部に嵌め込まれたパネル6とから成り、図2に示すように、吊元框5cがヒンジ7を介して一方の縦枠2cに取り付けられ、室外側へ開かれるようになっている。同様に、後開きドア30は、上框50a、下框50b、吊元框50c及び召合せ框50dから矩形に組み立てられた框体50と、框体50の内部に嵌め込まれたパネル60とから成り、吊元框50cがヒンジ70を介して他方の縦枠2dに取り付けられ、室外側へ開かれるようになっている。なお、各ドア3、30は、上記構成に限られず例えばフラッシュドアであってもよい。また、左右の縦枠2c、2dには、各ドア3、30が閉じられたとき吊元框5c、50cに当接する縦戸当たり部材8、8が、鉛直方向に沿って夫々設けられている。
【0016】
図3に示すように、上枠2aには、各ドア3、30が閉じられたとき上框5a、50aに当接する横戸当たり部材9が、水平方向に沿って設けられている。また、ドア枠2は、下枠2bの上面10が室外側床面11と室内側床面12とに対して面一となるように、設置される。下枠2bの上面10には、その長手方向(水平方向)に沿って凹部13が設けられている。凹部13は、各ドア3、30が閉じられたときドア3、30の下框5b、50bの室内側縁部の下方に位置させて、閉じられたドア3、30の幅方向に沿って断面略矩形の溝状に形成されている。凹部13は、図10に示すように、先開きドア3に対応する先開きドア側凹部分13aと、後開きドア30に対応する後開きドア側凹部分13bとが連続されて形成されている。
【0017】
図3に戻って、下枠2bの上面10は、凹部13を除き略平坦に形成されている。詳しくは、上面10には、凹部13よりも室外側に位置させて凹部13と平行に溝部14が形成されているものの、溝部14には、樹脂やゴム等からなる滑り止め部材15が係合されており、この部分が略平坦となっている。また、図4(a)に示すように、下枠2bの上面10には、凹部13の室内側に隣接させて凹部13と平行に窪み部15が形成されているものの、窪み部15には、ゴムや樹脂等の可撓性材料からなるシール部材16が、後述する先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21と共同して窪み部15の開口を覆うように装着されており、この部分が略平坦となっている。
【0018】
凹部13と窪み部15とは、下枠2bの長手方向に沿って形成された隔壁17によって仕切られている。隔壁17の上端には、先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21を回動可能に係合するための支軸部18が、隔壁17の長手方向に沿って形成されている。支軸部18には、先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21の回動角度を制限するためのストッパ19が、支軸部18の長手方向に沿って形成されている。支軸部18の先開きドア3側の部分には、図4(b)及び図9に示すように、先開きドア用封止部材20が回動可能に係合され、支軸部18の後開きドア30側の部分には、後開きドア用封止部材21が回動可能に係合されている。
【0019】
図9〜図12に示すように、先開きドア用封止部材20は、凹部13の先開きドア側凹部分13a(先開きドア側の部分)に配置されるものであり、先開きドア3の開閉に連動して回動され、先開きドア3が開かれたとき上記部分13aを塞ぐと共に先開きドア3が閉じられたとき上記部分13aから突出して先開きドア3の下部に当接する。後開きドア用封止部材21は、凹部13の後開きドア側凹部分13b(後開きドア側の部分)に配置されるものであり、後開きドア30の開閉に連動して回動され、後開きドア30が開かれたとき上記部分13bを塞ぐと共に後開きドア30が閉じられたとき上記部分13bから突出して後開きドア30の下部に当接する。
【0020】
各封止部材20、21を各ドア3、30の開閉に連動させて回動させる連動機構は、例えば特開2002−174468号公報に記載された連動機構等が用いられる。具体的には、上記連動機構は、下枠2bの先開きドア3側の端部に回動可能に支持され、先開きドア3を閉じたときそのドア3の吊元側によって押し動かされる一端と、その作用で先開きドア用封止部材20を押し上げる他端とを有する先開きドア用連動部材と、下枠2bの後開きドア30側の端部に回動可能に支持され、後開きドア30を閉じたときそのドア30の吊元側によって押し動かされる一端と、その作用で後開きドア用封止部材21を押し上げる他端とを有する後開きドア用連動部材とから成る。
【0021】
詳しくは、上記連動機構の先開きドア用連動部材は、図5〜図8に示すように正面L型の連動部材80からなっている。連動部材80は、剛性を有するよう金属板を曲げ加工して形成されている。この連動部材80は、図6に示すように、下枠2bに回動可能に軸支され、扉閉鎖時に先開きドア3の吊元側により押動かされる一端である垂直部80aと、その作用で先開きドア用封止部材20を押上げる他端である水平部80bとを有している。具体的には一側が長い平面略コ字状の金属製支持枠81に連動部材80の基部がネジからなる支軸82を介して垂直回動可能に軸支され、支持枠81は隔壁17にネジ83で固定されている。
【0022】
連動部材80の水平部80bが下枠2bの長手方向に沿って配置され、垂直部80aが吊元側の縦枠2c近傍に配置され、水平部80bと垂直部80aの交差部が支軸82により垂直回動可能に支持されている。垂直部80bは下枠2bの上面10よりも上方に突出している(図7)。水平部80bは、縦枠2cと下枠2bとで構成されるコーナー部に取り付けられた吊元側端部封止部材84(図5、図6(b))よりも長く形成され、水平部80bの先端が先開きドア用封止部材20の吊元側端部の下方に位置されている。吊元側端部封止部材84には、図5(a)、図5(b)に示すように、先開きドア3が閉じられたときその下框5bが押し付けられる気密材84aが装着されていると共に、先開きドア用封止部材20が封止位置に起立したときその上端に当接する気密材84bが装着されている。
【0023】
先開きドア3の扉開放時には、連動部材80の水平部80bは自重で水平の待機位置に下がり(図7)、先開きドア用封止部材20も自重で退避位置に下がり、下枠2bの上面10が平坦のバリアフリーになることから人の歩行や車椅子の通行が容易になる。先開きドア3の扉閉鎖時には、連動部材80を介して先開きドア用封止部材20が突出位置に押上げられ(図8)、この突出位置の封止部材20に閉鎖時のドア3が当接することにより止水され(図5(a)、図5(b))、下枠2bの上面10が平坦面であるが故に室外側から室内側に流入ないし浸入しやすい雨水等の水の流入ないし浸入を防止することが可能となる。
【0024】
図6に示すように、先開きドア3の吊元側には、ドア3の閉鎖時に連動部材80の垂直部80aに当接する当接板(連動部材の受け部)85が設けられている。突出状態の先開きドア用封止部材20を誤って踏みつけたときに連動部材80に加わる外力を吸収するために、本実施例では、図7、図8に示すように、この当接板85に吸収部材であるバネ(コイルバネ)86が設けられている。また、前記当接板85は、ネジ87によって調整可能に設けられている。実施例では、ドア3の吊元側縦框5cの前記垂直部80aと対応する下端部には切欠部88が設けられ、この切欠部88に当接板85が位置するように吊元側縦框5cにはブラケット89を介して一対のネジ87が螺着され、両ネジ87に跨って当接板85がネジ87の軸方向に移動可能に取付けられている。
【0025】
各ネジ87にはブラケット89と当接板85間にバネ86が取付けられ、バネ86により当接板85がネジ87の頭部87aに当接する方向に付勢されている。当接板85の両ネジ87間の略中央部(扉の厚さの略中間部に位置している)に連動部材80の垂直部80aが当接するようになっている。水平部80bが閉鎖位置のドア3よりも室内側に位置されているのに対し、垂直部80aが同ドア3の厚さの略中間部に位置されており、垂直部80aと水平部80bは室内外方向に位置をずらして形成されている。ネジ87により当接板85の位置を調整して封止部材20の動作タイミングを調整できるようになっている。
【0026】
先開きドア3の扉開放時には、連動部材80は水平部80bが自重で水平の待機位置に下がった非作動状態となり(図7)、ドア3を閉める際にドア3の開度が所定角度例えば30°程度で扉吊元側の当接板85が連動部材80の垂直部80aに接し、開度30°程度から15°程度にかけて当接板85により垂直部80aが押動かされ、連動部材80は水平部80bが所定角度(θ)上方に回動して作動状態となり(図8)、封止部材20が突出位置に押上げられる。
【0027】
この時、まだバネ86は圧縮されておらず、この状態で封止部材20を踏みつけると連動部材80及び当接板85を介してバネ86が圧縮され、連動部材80に加わる外力が吸収されることになる。そして、ドア3が更に開度15°程度から0°に閉じる時に、既に連動部材80が作動状態にありそれ以上垂直部80aが動かないため、反力で当接板85がバネ86の付勢力に抗して所定量押動かされる。すなわち、ドア3の閉鎖時の最終段階の動きがバネ86の圧縮で許容ないし吸収される。
【0028】
以上、図5〜図8を用いて前記連動機構の先開きドア用連動部材80について説明してきたが、前記連動機構の後開きドア用連動部材についても同様の構成となっているのでその説明は省略する。
【0029】
図9に示すように、先開きドア用封止部材20は、上面板部22と下面板部23と自由端側部24と基端側部25とから断面略台形の中空形状に形成された本体と、下面板部23からそれと略直交方向に延出されると共に封止部材20の長手方向に沿って形成された支持リブ27とを有し、押し出し加工等によって製造される。基端側部25には、前記隔壁17の支軸部18に係合される係合部28が、封止部材20の長手方向に沿って形成されている。係合部28には、図4(a)に示すように、支軸部18のストッパ19と共同して先開きドア用封止部材20の回動範囲を制限するためのストッパ溝29が、封止部材20の長手方向に沿って形成されている。
【0030】
ストッパ溝29及びストッパ19により、先開きドア用封止部材20が図11及び図12に示すように図中反時計回りに回動されたとき、その上面板部22の上面が下枠2bの上面10と略面一となる回動角度に制限され、封止部材20が格納位置となり、また、先開きドア用封止部材20が図9及び図10に示すように図中時計回りに回動されたとき、その自由端側部24が閉じられた先開きドア3の下部(下框5bの室内側面)に当接する回動角度に制限され(図3参照)、封止部材20が封止位置となる。また、封止部材20が図11及び図12に示す格納位置となったとき、支持リブ27の先端が凹部13の底面に当接するようになっている。この支持リブ27により、車椅子等が通過する際に封止部材20に上方から加わる荷重が支持される。
【0031】
図9に示すように、先開きドア用封止部材20の自由端側部24には、ゴムや樹脂等の弾性体から封止部材20の長手方向に沿って形成されたシール部材31が装着されている。シール部材31は、図3に仮想線で示すように自然状態でV字断面に形成されており、先開きドア用封止部材20が図3に実線で示すように封止位置に立てられたとき、先開きドア3の下框5bの室内側面が圧接されることで折り畳まれるように弾性変形する。
【0032】
図4(a)及び図9に示すように、先開きドア用封止部材20の係合部28と下枠2bの室内側端部32との間には、前記窪み部15が形成され、この窪み部15は、前記シール部材16によって覆われている。シール部材16は、ゴムや樹脂等の可撓性材料から成り、下枠2bの室内側端部32に装着される装着部33と、先開きドア用封止部材20の係合部28の上面に接触する上部ヒレ部34と、隔壁17に接触する下部ヒレ部35とから成る。装着部33、上部ヒレ部34及び下部ヒレ部35は、シール部材16の長手方向に沿って形成されている。
【0033】
以上、先開きドア用封止部材20について説明してきたが、後開きドア用封止部材21についても全く同様な構成であるので、対応する同一の部品には同一の符号を付加して説明を省略する。
【0034】
図4(b)、図10に示すように、先開きドア用封止部材20の召合せ側の端部36は、先開きドア3の召合せ部37よりも先開きドア3の吊元側に位置されており、後開きドア用封止部材21の召合せ側の端部38は、後開きドア30の召合せ部39を超えて先開きドア3の吊元側に位置されている。これは、両ドア3、30が閉じられた状態から先開きドア3のみが開かれたとき、封止位置に起こされている先開きドア用封止部材20が、ドア閉じ状態にある後開きドア30と干渉することなく、格納位置に倒れることを許容するためである。なお、このように両ドア3、30の召合せ部45と両封止部材20、21の隙間Gとを水平方向にずらすことで、気密性が向上することにもなる。
【0035】
また、先開きドア用封止部材20と後開きドア用封止部材21との間には、いずれか一方の封止部材20又は21が回動されたとき他方の封止部材21又は20が引きずられて回動しないようにするため、所定の隙間G(2mm程度)が設定されている。
【0036】
図4(a)、図4(b)及び図9に示すように、後開きドア用封止部材21の端部の上面には、隙間Gを超えて先開きドア用封止部材20の端部の上面まで延出されたカバー41がビス42(ネジ)によって取り付けられている。カバー41は、長方形の板状に形成され後開きドア用封止部材21の上面板部22から先開きドア用封止部材20の上面板部22まで延出されたシール板43と、シール板43の上面に積層され後開きドア用封止部材21の上面板部22から先開きドア用封止部材20の上面板部22まで延出されたフレーム板44とから成る。フレーム板44とシール板43とは接着されてもよい。
【0037】
シール板43は、いずれか一方の封止部材20、21の回動に伴って先開きドア用封止部材20の上面板部22の上面に当接したときのシール性を高めるため、ゴムや軟質樹脂等の可撓性を有する軟質材から成っている。フレーム板44は、シール板43が前記当接時に折れ曲がることを防止するため、シール板43よりも硬い金属や硬質樹脂等の硬質材から成っている。シール板43の縦方向(長手方向と直交する方向)の寸法は、図4(a)、図9に示すように、封止部材20、21の上端を超えると共にシール部材16の上部ヒレ部34の端部を上方から覆う寸法に設定されている。フレーム板44は、略長方形の板体をへ字状に折り曲げた形状となっており、その上端がシール板43の上端に至らない位置とされている。ドア3、30がフレーム板44に当たって傷つくことを防止するためである。
【0038】
図4(b)に示すように、先開きドア3と後開きドア30との召合せ部45は、後開きドア30に装着された縦シール46によって封止される。縦シール46は、鉛直方向に沿って形成され、後開きドア30の召合せ框50dの室内側の端部に装着されている。また、縦シール46は、両ドア3、30が閉じられたとき両ドア3、30の室内側面47と略面一となるように形成されている。これにより、両ドア3、30が閉じられて、両ドア3、30の下框5b、50bの室内側面及びその部分の縦シール46が、カバー41の端部に押し付けられたとき、シール板43の端部が均等に変形することになり、シール性が高まる。
【0039】
本実施形態の作用を述べる。
【0040】
図9は、先開きドア3及び後開きドア30が共に閉じられたときの先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21を示す斜視図である。両ドア3、30が閉じられるとき、各ドア3、30の閉じ動作に連動して、各封止部材20、21が夫々封止位置(同じ回動角度)に立ち上がる。よって、図3及び図4(a)に示すように、両ドア3、30の下部(下框5b、50b)の室内側面が、封止部材20、21のシール部材31及びカバー41のシール板43の端部に押し付けられ、両ドア3、30の下部と下枠2bとの間が水密・気密に封止される。同時に、図4(b)及び図10に示すように、先開きドア用封止部材20の端部の上面がカバー41のシール板43の下面に当接されるので、各封止部材20、21同士の隙間Gが、水密・気密に封止される。
【0041】
その状態から先開きドア3のみが開かれると、先開きドア3の開き動作に連動して、図11及び図12に示すように、先開きドア用封止部材20のみが格納位置に倒れ、凹部13の先開きドア側の部分13aを下枠2bの上面10と面一に覆う。これにより、先開きドア3を開いたときのバリアフリー性が確保される。ここで、カバー41は、先開きドア用封止部材20の上方に配置されているので、先開きドア用封止部材20が倒れることの妨げとならない。
【0042】
先開きドア3が開かれた状態で後開きドア30も開かれると、後開きドア30の開き動作に連動して、後開きドア用封止部材21も格納位置に倒れ、凹部13の後開きドア側の部分13bを下枠2bの上面10と面一に覆う(図示せず)。これにより、両ドア3、30を開いたときのバリアフリー性が確保される。
【0043】
両ドア3、30が開かれた状態から後開きドア30のみが閉じられると、後開きドア30の閉じ動作に連動して、図11及び図12に示すように、後開きドア用封止部材21のみが封止位置に立ち上がる。よって、後開きドア30の下部(下框50d)の室内側面が、後開きドア用封止部材21のシール部材31及びカバー41のシール板43の端部に押し付けられ、後開きドア30の下部と下枠2bとの間が水密・気密に封止される。
【0044】
その後、後開きドア30が閉じられた状態で先開きドア3も閉じられると、先開きドア3の閉じ動作に連動して、図9及び図10に示すように、先開きドア用封止部材20も封止位置に立ち上がる。よって、先開きドア3の下部(下框5b)の室内側面が、先開きドア用封止部材20のシール部材31及びカバー41のシール板43の端部に押し付けられ、先開きドア3の下部と封止部材20との間が水密・気密に封止される。同時に、先開きドア用封止部材20の端部の上面がカバー41のシール板43の下面に当接されるので、各封止部材20、21同士の隙間Gが、水密・気密に封止される。
【0045】
なお、先開きドア用封止部材20の格納位置から封止位置までの回動角度を後開きドア用封止部材21の同回動角度より僅かに大きく設定しておけば、両封止部材20、21が共に封止位置に立ち上がったとき、先開きドア用封止部材20の端部の上面が後開きドア用封止部材21の端部の上面に装着したカバー41のシール板43の下面に押し付けられるため、シール性が高まることになる。このとき、両封止部材20、21は長手方向の軸廻りに僅かに弾性的に捩れることになるため、カバー41が損傷することはない。
【0046】
この両開きドア装置1によれば、各ドア3、30の開閉順序に着目して、後開きドア用封止部材21の上面に先開きドア用封止部材20の上面まで延出されたカバー41を取り付けたので、各ドア3、30の開ドア性を悪化させることなく、各ドア3、30が開かれたときのバリアフリー性の向上と、各ドア3、30が閉じられたときの各ドア3、30の下部における止水性の向上との両立を図ることができる。
【0047】
別の実施形態を図13〜図18に示す。
【0048】
この実施形態に係る両開きドア装置は、基本的には前実施形態に係る両開きドア装置1と同様の構成となっているため、同一の部品には同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0049】
相違点は、先開きドア用封止部材20と後開きドア用封止部材21との隙間Gxを上記実施形態の隙間Gよりも広く設定し、後開きドア用封止部材21の端部に、隙間Gxの方向に延出された庇部材51を取り付け、先開きドア用封止部材20の端部に、各封止部材20、21の回動に伴って庇部材51に下方から当接し得る当接部材52を取り付けた点にある。
【0050】
詳しくは、庇部材51は、図17に示すように、後開きドア用封止部材21の端部の中空部53に挿入固定される挿入部54と、後開きドア用封止部材21の上面板部22の上面と略面一に配置された第1庇部55と、その内方に配置された第2庇部56とを有する。当接部材52は、図14及び図18に示すように、先開きドア用封止部材20の端部の中空部57に挿入固定される挿入部58と、第1庇部55に下方から当接し得る第1当接部59と、第2庇部56に下方から当接し得る第2当接部61とを有する。これら庇部材51及び当接部材52は、有る程度の弾性・可撓性を有するゴムや樹脂等から成っている。
【0051】
本実施形態においても、基本的には前実施形態と同様の作用効果を奏する。更に、本実施形態では、庇部材51の上面が各封止部材20、21の上面板部22の上面と略面一となるため、両封止部材20、21が共に格納位置に倒れたときのバリアフリー性が前実施形態よりも向上する。また、本実施形態では、図14に示すように両封止部材20、21が封止位置に立ち上がったとき、両封止部材20、21の間の隙間Gxを、第1庇部55と第1当接部59とで封止すると共に第2庇部56と第2当接部61とで封止し、二重に封止するため、シール性能が前実施形態よりも向上する。
【0052】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、上記各実施形態に係る両開きドア装置1は、図1に示すように先開きドア3の大きさと後開きドア30の大きさとが略等しいものであったが、先開きドア3が後開きドア30よりも大きな所謂親子ドア装置に本発明を適用してもよい。また、上記各実施形態に係る両開きドア装置1は、室内と室外とを仕切るものであったが、室内に設置されて部屋と部屋とを仕切るものでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の好適実施形態を示す両開きドア装置の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】(a)は図3の要部拡大図であり、(b)は図2の要部拡大図である。
【図5】吊元側封止部材の取付状態を示す図であり、(a)は室内側から見た斜視図、(b)は室外側から見た斜視図である。
【図6】連動機構を示す図であり、(a)はドア開放時の平面図、(b)は同時の室内側から見た正面図である。
【図7】図6(a)のA−A線断面図である。
【図8】ドア閉鎖時の連動機構の動作を示す室内側正面図である。
【図9】先開きドア及び後開きドアが共に閉じられたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図10】図5を反対側から見た斜視図である。
【図11】先開きドアのみが開かれたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図12】図7を反対側から見た斜視図である。
【図13】別の実施形態を示す説明図であり、先開きドア及び後開きドアが共に閉じられたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図14】図9を反対側から見た斜視図である。
【図15】別の実施形態にて、先開きドアのみが開かれたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図16】図11を反対側から見た斜視図である。
【図17】別の実施形態における後開きドア用封止部材及びそれに取り付けられる庇部材の斜視図である。
【図18】別の実施形態における先開きドア用封止部材及びそれに取り付けられる当接部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 両開きドア装置
2 ドア枠
2a 上枠
2b 下枠
2c 縦枠
2d 縦枠
3 先開きドア
13 凹部
13a 凹部の先開きドア側の部分
13b 凹部の後開きドア側の部分
20 先開きドア用封止部材
21 後開きドア用封止部材
30 後開きドア
41 カバー
43 シール板
44 フレーム板
51 庇部材
52 当接部材
G 隙間
Gx 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア枠に先開きドアと後開きドアとを開閉可能に取り付けた両開きドア装置に係り、特に、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアの下部における止水性との両立を図った両開きドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両開きドア装置として、ドア枠の下部を成す下枠の上面を、バリアフリー性を向上させるために平坦としたものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
この両開きドア装置は、四角枠状のドア枠と、ドア枠の一方の縦枠に装着された主ドアと、ドア枠の他方の縦枠に装着された副ドアと、主ドアの下端に装着され、主ドアが閉じられたとき下方に突出して下枠の上面に圧接し、主ドアが開かれたとき引き上げられて下枠の上面から離間する主ドア用水密部材と、副ドアの下端に装着され、副ドアが閉じられたとき下方に突出して下枠の上面に圧接し、副ドアが開かれたとき引き上げられて下枠の上面から離間する副ドア用水密部材と、副ドアの下部の召合せ部に装着され、各ドアを閉じたとき主ドア用水密材と副ドア用水密材との間を塞ぐと共に下枠の上面に当接するように形成された召合せ水密部材とを備えている。
【0004】
このドア装置によれば、主ドア及び副ドアが閉じられたとき、主ドア、副ドアの下端から主ドア用水密部材、副ドア用水密部材が夫々下方に突出して下枠の上面に当接し、副ドアの下部に装着された召合せ水密部材が主ドア用水密部材と副ドア用水密部材との間を塞ぐと共に下枠の上面に当接するので、各ドアの下端と下枠の上面との間における止水性が確保される。そして、主ドア及び/又は副ドアが開かれるとき、主ドア用水密部材及び/又は副ドア用水密部材が引き上げられて下枠の上面から離間するので、主ドア用水密部材、副ドア用水密部材が下枠の上面及びこの上面に繋がる床面と擦れることによる開ドア性の悪化を回避できる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−89938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし乍ら、上記両開きドア装置においては、召合せ水密部材が副ドアの下部に固定的に装着されているので、副ドアを開くとき召合せ水密部材の下端が下枠の上面及びこの上面に繋がる床面に擦れてしまい、召合せ水密部材の耐久性及び副ドアの開ドア性が悪化する。この点、上記文献1には、副ドアは主ドアよりも開ドア頻度が低いためそれ程問題にならない旨の記載はあるが(段落0024)、問題が生じることは事実であり、副ドアの開ドア頻度が高い場合には、問題となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、各ドアの開ドア性を悪化させることなく、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアの下部における止水性との両立を図ることができる両開きドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、該後開きドア用封止部材の上面に、上記隙間を超えて上記先開きドア用封止部材の上面まで延出されたカバーを取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記カバーによって上記隙間を封止するようにしたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、該後開きドア用封止部材の端部に、上記隙間の方向に延出された庇部材を取り付け、上記先開きドア用封止部材の端部に、上記各封止部材の回動に伴って上記庇部材に下方から当接し得る当接部材を取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記庇部材及び当接部材によって上記隙間を封止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば次のような効果を発揮できる。
【0011】
(1)請求項1に係る発明によれば、各ドアの開閉順序に着目して、後開きドア用封止部材の上面に先開きドア用封止部材の上面まで延出されたカバーを取り付けたので、各ドアの開ドア性を悪化させることなく、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアが閉じられたときの各ドアの下部における止水性との両立を図ることができる。
【0012】
(2)請求項2に係る発明によれば、各ドアの開閉順序に着目して、後開きドア用封止部材の端部に庇部材を取り付け、先開きドア用封止部材の端部に上記庇部材に下方から当接し得る当接部材を取り付けたので、各ドアの開ドア性を悪化させることなく、各ドアが開かれたときのバリアフリー性と、各ドアが閉じられたときの各ドアの下部における止水性との両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る両開きドア装置1は、上枠2a、下枠2b及び左右の縦枠2c、2dから矩形に組み立てられたドア枠2と、一方の縦枠2cに開閉可能に取り付けられた先開きドア3と、他方の縦枠2dに開閉可能に取り付けられた後開きドア30とを備えている。この両開きドア装置1は、先開きドア3が後開きドア30より先に開かれ、両ドア3、30が開かれた後には、後開きドア30が閉じられた後に先開きドア3が閉じられるものである。この点、上枠2aの内部に、上述した順に各ドア3、30の開閉が行われない場合には、各ドア3、30の回動をロックする順位調整機(図示せず)を装着してもよい。図例では、先開きドア3のみに開閉ハンドル4を設けて、先開きドア3が後開きドア30に先立って開ドア操作されるようにしている。
【0015】
先開きドア3は、上框5a、下框5b、吊元框5c及び召合せ框5dから矩形に組み立てられた框体5と、框体5の内部に嵌め込まれたパネル6とから成り、図2に示すように、吊元框5cがヒンジ7を介して一方の縦枠2cに取り付けられ、室外側へ開かれるようになっている。同様に、後開きドア30は、上框50a、下框50b、吊元框50c及び召合せ框50dから矩形に組み立てられた框体50と、框体50の内部に嵌め込まれたパネル60とから成り、吊元框50cがヒンジ70を介して他方の縦枠2dに取り付けられ、室外側へ開かれるようになっている。なお、各ドア3、30は、上記構成に限られず例えばフラッシュドアであってもよい。また、左右の縦枠2c、2dには、各ドア3、30が閉じられたとき吊元框5c、50cに当接する縦戸当たり部材8、8が、鉛直方向に沿って夫々設けられている。
【0016】
図3に示すように、上枠2aには、各ドア3、30が閉じられたとき上框5a、50aに当接する横戸当たり部材9が、水平方向に沿って設けられている。また、ドア枠2は、下枠2bの上面10が室外側床面11と室内側床面12とに対して面一となるように、設置される。下枠2bの上面10には、その長手方向(水平方向)に沿って凹部13が設けられている。凹部13は、各ドア3、30が閉じられたときドア3、30の下框5b、50bの室内側縁部の下方に位置させて、閉じられたドア3、30の幅方向に沿って断面略矩形の溝状に形成されている。凹部13は、図10に示すように、先開きドア3に対応する先開きドア側凹部分13aと、後開きドア30に対応する後開きドア側凹部分13bとが連続されて形成されている。
【0017】
図3に戻って、下枠2bの上面10は、凹部13を除き略平坦に形成されている。詳しくは、上面10には、凹部13よりも室外側に位置させて凹部13と平行に溝部14が形成されているものの、溝部14には、樹脂やゴム等からなる滑り止め部材15が係合されており、この部分が略平坦となっている。また、図4(a)に示すように、下枠2bの上面10には、凹部13の室内側に隣接させて凹部13と平行に窪み部15が形成されているものの、窪み部15には、ゴムや樹脂等の可撓性材料からなるシール部材16が、後述する先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21と共同して窪み部15の開口を覆うように装着されており、この部分が略平坦となっている。
【0018】
凹部13と窪み部15とは、下枠2bの長手方向に沿って形成された隔壁17によって仕切られている。隔壁17の上端には、先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21を回動可能に係合するための支軸部18が、隔壁17の長手方向に沿って形成されている。支軸部18には、先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21の回動角度を制限するためのストッパ19が、支軸部18の長手方向に沿って形成されている。支軸部18の先開きドア3側の部分には、図4(b)及び図9に示すように、先開きドア用封止部材20が回動可能に係合され、支軸部18の後開きドア30側の部分には、後開きドア用封止部材21が回動可能に係合されている。
【0019】
図9〜図12に示すように、先開きドア用封止部材20は、凹部13の先開きドア側凹部分13a(先開きドア側の部分)に配置されるものであり、先開きドア3の開閉に連動して回動され、先開きドア3が開かれたとき上記部分13aを塞ぐと共に先開きドア3が閉じられたとき上記部分13aから突出して先開きドア3の下部に当接する。後開きドア用封止部材21は、凹部13の後開きドア側凹部分13b(後開きドア側の部分)に配置されるものであり、後開きドア30の開閉に連動して回動され、後開きドア30が開かれたとき上記部分13bを塞ぐと共に後開きドア30が閉じられたとき上記部分13bから突出して後開きドア30の下部に当接する。
【0020】
各封止部材20、21を各ドア3、30の開閉に連動させて回動させる連動機構は、例えば特開2002−174468号公報に記載された連動機構等が用いられる。具体的には、上記連動機構は、下枠2bの先開きドア3側の端部に回動可能に支持され、先開きドア3を閉じたときそのドア3の吊元側によって押し動かされる一端と、その作用で先開きドア用封止部材20を押し上げる他端とを有する先開きドア用連動部材と、下枠2bの後開きドア30側の端部に回動可能に支持され、後開きドア30を閉じたときそのドア30の吊元側によって押し動かされる一端と、その作用で後開きドア用封止部材21を押し上げる他端とを有する後開きドア用連動部材とから成る。
【0021】
詳しくは、上記連動機構の先開きドア用連動部材は、図5〜図8に示すように正面L型の連動部材80からなっている。連動部材80は、剛性を有するよう金属板を曲げ加工して形成されている。この連動部材80は、図6に示すように、下枠2bに回動可能に軸支され、扉閉鎖時に先開きドア3の吊元側により押動かされる一端である垂直部80aと、その作用で先開きドア用封止部材20を押上げる他端である水平部80bとを有している。具体的には一側が長い平面略コ字状の金属製支持枠81に連動部材80の基部がネジからなる支軸82を介して垂直回動可能に軸支され、支持枠81は隔壁17にネジ83で固定されている。
【0022】
連動部材80の水平部80bが下枠2bの長手方向に沿って配置され、垂直部80aが吊元側の縦枠2c近傍に配置され、水平部80bと垂直部80aの交差部が支軸82により垂直回動可能に支持されている。垂直部80bは下枠2bの上面10よりも上方に突出している(図7)。水平部80bは、縦枠2cと下枠2bとで構成されるコーナー部に取り付けられた吊元側端部封止部材84(図5、図6(b))よりも長く形成され、水平部80bの先端が先開きドア用封止部材20の吊元側端部の下方に位置されている。吊元側端部封止部材84には、図5(a)、図5(b)に示すように、先開きドア3が閉じられたときその下框5bが押し付けられる気密材84aが装着されていると共に、先開きドア用封止部材20が封止位置に起立したときその上端に当接する気密材84bが装着されている。
【0023】
先開きドア3の扉開放時には、連動部材80の水平部80bは自重で水平の待機位置に下がり(図7)、先開きドア用封止部材20も自重で退避位置に下がり、下枠2bの上面10が平坦のバリアフリーになることから人の歩行や車椅子の通行が容易になる。先開きドア3の扉閉鎖時には、連動部材80を介して先開きドア用封止部材20が突出位置に押上げられ(図8)、この突出位置の封止部材20に閉鎖時のドア3が当接することにより止水され(図5(a)、図5(b))、下枠2bの上面10が平坦面であるが故に室外側から室内側に流入ないし浸入しやすい雨水等の水の流入ないし浸入を防止することが可能となる。
【0024】
図6に示すように、先開きドア3の吊元側には、ドア3の閉鎖時に連動部材80の垂直部80aに当接する当接板(連動部材の受け部)85が設けられている。突出状態の先開きドア用封止部材20を誤って踏みつけたときに連動部材80に加わる外力を吸収するために、本実施例では、図7、図8に示すように、この当接板85に吸収部材であるバネ(コイルバネ)86が設けられている。また、前記当接板85は、ネジ87によって調整可能に設けられている。実施例では、ドア3の吊元側縦框5cの前記垂直部80aと対応する下端部には切欠部88が設けられ、この切欠部88に当接板85が位置するように吊元側縦框5cにはブラケット89を介して一対のネジ87が螺着され、両ネジ87に跨って当接板85がネジ87の軸方向に移動可能に取付けられている。
【0025】
各ネジ87にはブラケット89と当接板85間にバネ86が取付けられ、バネ86により当接板85がネジ87の頭部87aに当接する方向に付勢されている。当接板85の両ネジ87間の略中央部(扉の厚さの略中間部に位置している)に連動部材80の垂直部80aが当接するようになっている。水平部80bが閉鎖位置のドア3よりも室内側に位置されているのに対し、垂直部80aが同ドア3の厚さの略中間部に位置されており、垂直部80aと水平部80bは室内外方向に位置をずらして形成されている。ネジ87により当接板85の位置を調整して封止部材20の動作タイミングを調整できるようになっている。
【0026】
先開きドア3の扉開放時には、連動部材80は水平部80bが自重で水平の待機位置に下がった非作動状態となり(図7)、ドア3を閉める際にドア3の開度が所定角度例えば30°程度で扉吊元側の当接板85が連動部材80の垂直部80aに接し、開度30°程度から15°程度にかけて当接板85により垂直部80aが押動かされ、連動部材80は水平部80bが所定角度(θ)上方に回動して作動状態となり(図8)、封止部材20が突出位置に押上げられる。
【0027】
この時、まだバネ86は圧縮されておらず、この状態で封止部材20を踏みつけると連動部材80及び当接板85を介してバネ86が圧縮され、連動部材80に加わる外力が吸収されることになる。そして、ドア3が更に開度15°程度から0°に閉じる時に、既に連動部材80が作動状態にありそれ以上垂直部80aが動かないため、反力で当接板85がバネ86の付勢力に抗して所定量押動かされる。すなわち、ドア3の閉鎖時の最終段階の動きがバネ86の圧縮で許容ないし吸収される。
【0028】
以上、図5〜図8を用いて前記連動機構の先開きドア用連動部材80について説明してきたが、前記連動機構の後開きドア用連動部材についても同様の構成となっているのでその説明は省略する。
【0029】
図9に示すように、先開きドア用封止部材20は、上面板部22と下面板部23と自由端側部24と基端側部25とから断面略台形の中空形状に形成された本体と、下面板部23からそれと略直交方向に延出されると共に封止部材20の長手方向に沿って形成された支持リブ27とを有し、押し出し加工等によって製造される。基端側部25には、前記隔壁17の支軸部18に係合される係合部28が、封止部材20の長手方向に沿って形成されている。係合部28には、図4(a)に示すように、支軸部18のストッパ19と共同して先開きドア用封止部材20の回動範囲を制限するためのストッパ溝29が、封止部材20の長手方向に沿って形成されている。
【0030】
ストッパ溝29及びストッパ19により、先開きドア用封止部材20が図11及び図12に示すように図中反時計回りに回動されたとき、その上面板部22の上面が下枠2bの上面10と略面一となる回動角度に制限され、封止部材20が格納位置となり、また、先開きドア用封止部材20が図9及び図10に示すように図中時計回りに回動されたとき、その自由端側部24が閉じられた先開きドア3の下部(下框5bの室内側面)に当接する回動角度に制限され(図3参照)、封止部材20が封止位置となる。また、封止部材20が図11及び図12に示す格納位置となったとき、支持リブ27の先端が凹部13の底面に当接するようになっている。この支持リブ27により、車椅子等が通過する際に封止部材20に上方から加わる荷重が支持される。
【0031】
図9に示すように、先開きドア用封止部材20の自由端側部24には、ゴムや樹脂等の弾性体から封止部材20の長手方向に沿って形成されたシール部材31が装着されている。シール部材31は、図3に仮想線で示すように自然状態でV字断面に形成されており、先開きドア用封止部材20が図3に実線で示すように封止位置に立てられたとき、先開きドア3の下框5bの室内側面が圧接されることで折り畳まれるように弾性変形する。
【0032】
図4(a)及び図9に示すように、先開きドア用封止部材20の係合部28と下枠2bの室内側端部32との間には、前記窪み部15が形成され、この窪み部15は、前記シール部材16によって覆われている。シール部材16は、ゴムや樹脂等の可撓性材料から成り、下枠2bの室内側端部32に装着される装着部33と、先開きドア用封止部材20の係合部28の上面に接触する上部ヒレ部34と、隔壁17に接触する下部ヒレ部35とから成る。装着部33、上部ヒレ部34及び下部ヒレ部35は、シール部材16の長手方向に沿って形成されている。
【0033】
以上、先開きドア用封止部材20について説明してきたが、後開きドア用封止部材21についても全く同様な構成であるので、対応する同一の部品には同一の符号を付加して説明を省略する。
【0034】
図4(b)、図10に示すように、先開きドア用封止部材20の召合せ側の端部36は、先開きドア3の召合せ部37よりも先開きドア3の吊元側に位置されており、後開きドア用封止部材21の召合せ側の端部38は、後開きドア30の召合せ部39を超えて先開きドア3の吊元側に位置されている。これは、両ドア3、30が閉じられた状態から先開きドア3のみが開かれたとき、封止位置に起こされている先開きドア用封止部材20が、ドア閉じ状態にある後開きドア30と干渉することなく、格納位置に倒れることを許容するためである。なお、このように両ドア3、30の召合せ部45と両封止部材20、21の隙間Gとを水平方向にずらすことで、気密性が向上することにもなる。
【0035】
また、先開きドア用封止部材20と後開きドア用封止部材21との間には、いずれか一方の封止部材20又は21が回動されたとき他方の封止部材21又は20が引きずられて回動しないようにするため、所定の隙間G(2mm程度)が設定されている。
【0036】
図4(a)、図4(b)及び図9に示すように、後開きドア用封止部材21の端部の上面には、隙間Gを超えて先開きドア用封止部材20の端部の上面まで延出されたカバー41がビス42(ネジ)によって取り付けられている。カバー41は、長方形の板状に形成され後開きドア用封止部材21の上面板部22から先開きドア用封止部材20の上面板部22まで延出されたシール板43と、シール板43の上面に積層され後開きドア用封止部材21の上面板部22から先開きドア用封止部材20の上面板部22まで延出されたフレーム板44とから成る。フレーム板44とシール板43とは接着されてもよい。
【0037】
シール板43は、いずれか一方の封止部材20、21の回動に伴って先開きドア用封止部材20の上面板部22の上面に当接したときのシール性を高めるため、ゴムや軟質樹脂等の可撓性を有する軟質材から成っている。フレーム板44は、シール板43が前記当接時に折れ曲がることを防止するため、シール板43よりも硬い金属や硬質樹脂等の硬質材から成っている。シール板43の縦方向(長手方向と直交する方向)の寸法は、図4(a)、図9に示すように、封止部材20、21の上端を超えると共にシール部材16の上部ヒレ部34の端部を上方から覆う寸法に設定されている。フレーム板44は、略長方形の板体をへ字状に折り曲げた形状となっており、その上端がシール板43の上端に至らない位置とされている。ドア3、30がフレーム板44に当たって傷つくことを防止するためである。
【0038】
図4(b)に示すように、先開きドア3と後開きドア30との召合せ部45は、後開きドア30に装着された縦シール46によって封止される。縦シール46は、鉛直方向に沿って形成され、後開きドア30の召合せ框50dの室内側の端部に装着されている。また、縦シール46は、両ドア3、30が閉じられたとき両ドア3、30の室内側面47と略面一となるように形成されている。これにより、両ドア3、30が閉じられて、両ドア3、30の下框5b、50bの室内側面及びその部分の縦シール46が、カバー41の端部に押し付けられたとき、シール板43の端部が均等に変形することになり、シール性が高まる。
【0039】
本実施形態の作用を述べる。
【0040】
図9は、先開きドア3及び後開きドア30が共に閉じられたときの先開きドア用封止部材20及び後開きドア用封止部材21を示す斜視図である。両ドア3、30が閉じられるとき、各ドア3、30の閉じ動作に連動して、各封止部材20、21が夫々封止位置(同じ回動角度)に立ち上がる。よって、図3及び図4(a)に示すように、両ドア3、30の下部(下框5b、50b)の室内側面が、封止部材20、21のシール部材31及びカバー41のシール板43の端部に押し付けられ、両ドア3、30の下部と下枠2bとの間が水密・気密に封止される。同時に、図4(b)及び図10に示すように、先開きドア用封止部材20の端部の上面がカバー41のシール板43の下面に当接されるので、各封止部材20、21同士の隙間Gが、水密・気密に封止される。
【0041】
その状態から先開きドア3のみが開かれると、先開きドア3の開き動作に連動して、図11及び図12に示すように、先開きドア用封止部材20のみが格納位置に倒れ、凹部13の先開きドア側の部分13aを下枠2bの上面10と面一に覆う。これにより、先開きドア3を開いたときのバリアフリー性が確保される。ここで、カバー41は、先開きドア用封止部材20の上方に配置されているので、先開きドア用封止部材20が倒れることの妨げとならない。
【0042】
先開きドア3が開かれた状態で後開きドア30も開かれると、後開きドア30の開き動作に連動して、後開きドア用封止部材21も格納位置に倒れ、凹部13の後開きドア側の部分13bを下枠2bの上面10と面一に覆う(図示せず)。これにより、両ドア3、30を開いたときのバリアフリー性が確保される。
【0043】
両ドア3、30が開かれた状態から後開きドア30のみが閉じられると、後開きドア30の閉じ動作に連動して、図11及び図12に示すように、後開きドア用封止部材21のみが封止位置に立ち上がる。よって、後開きドア30の下部(下框50d)の室内側面が、後開きドア用封止部材21のシール部材31及びカバー41のシール板43の端部に押し付けられ、後開きドア30の下部と下枠2bとの間が水密・気密に封止される。
【0044】
その後、後開きドア30が閉じられた状態で先開きドア3も閉じられると、先開きドア3の閉じ動作に連動して、図9及び図10に示すように、先開きドア用封止部材20も封止位置に立ち上がる。よって、先開きドア3の下部(下框5b)の室内側面が、先開きドア用封止部材20のシール部材31及びカバー41のシール板43の端部に押し付けられ、先開きドア3の下部と封止部材20との間が水密・気密に封止される。同時に、先開きドア用封止部材20の端部の上面がカバー41のシール板43の下面に当接されるので、各封止部材20、21同士の隙間Gが、水密・気密に封止される。
【0045】
なお、先開きドア用封止部材20の格納位置から封止位置までの回動角度を後開きドア用封止部材21の同回動角度より僅かに大きく設定しておけば、両封止部材20、21が共に封止位置に立ち上がったとき、先開きドア用封止部材20の端部の上面が後開きドア用封止部材21の端部の上面に装着したカバー41のシール板43の下面に押し付けられるため、シール性が高まることになる。このとき、両封止部材20、21は長手方向の軸廻りに僅かに弾性的に捩れることになるため、カバー41が損傷することはない。
【0046】
この両開きドア装置1によれば、各ドア3、30の開閉順序に着目して、後開きドア用封止部材21の上面に先開きドア用封止部材20の上面まで延出されたカバー41を取り付けたので、各ドア3、30の開ドア性を悪化させることなく、各ドア3、30が開かれたときのバリアフリー性の向上と、各ドア3、30が閉じられたときの各ドア3、30の下部における止水性の向上との両立を図ることができる。
【0047】
別の実施形態を図13〜図18に示す。
【0048】
この実施形態に係る両開きドア装置は、基本的には前実施形態に係る両開きドア装置1と同様の構成となっているため、同一の部品には同一の符号を付して説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0049】
相違点は、先開きドア用封止部材20と後開きドア用封止部材21との隙間Gxを上記実施形態の隙間Gよりも広く設定し、後開きドア用封止部材21の端部に、隙間Gxの方向に延出された庇部材51を取り付け、先開きドア用封止部材20の端部に、各封止部材20、21の回動に伴って庇部材51に下方から当接し得る当接部材52を取り付けた点にある。
【0050】
詳しくは、庇部材51は、図17に示すように、後開きドア用封止部材21の端部の中空部53に挿入固定される挿入部54と、後開きドア用封止部材21の上面板部22の上面と略面一に配置された第1庇部55と、その内方に配置された第2庇部56とを有する。当接部材52は、図14及び図18に示すように、先開きドア用封止部材20の端部の中空部57に挿入固定される挿入部58と、第1庇部55に下方から当接し得る第1当接部59と、第2庇部56に下方から当接し得る第2当接部61とを有する。これら庇部材51及び当接部材52は、有る程度の弾性・可撓性を有するゴムや樹脂等から成っている。
【0051】
本実施形態においても、基本的には前実施形態と同様の作用効果を奏する。更に、本実施形態では、庇部材51の上面が各封止部材20、21の上面板部22の上面と略面一となるため、両封止部材20、21が共に格納位置に倒れたときのバリアフリー性が前実施形態よりも向上する。また、本実施形態では、図14に示すように両封止部材20、21が封止位置に立ち上がったとき、両封止部材20、21の間の隙間Gxを、第1庇部55と第1当接部59とで封止すると共に第2庇部56と第2当接部61とで封止し、二重に封止するため、シール性能が前実施形態よりも向上する。
【0052】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、上記各実施形態に係る両開きドア装置1は、図1に示すように先開きドア3の大きさと後開きドア30の大きさとが略等しいものであったが、先開きドア3が後開きドア30よりも大きな所謂親子ドア装置に本発明を適用してもよい。また、上記各実施形態に係る両開きドア装置1は、室内と室外とを仕切るものであったが、室内に設置されて部屋と部屋とを仕切るものでも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の好適実施形態を示す両開きドア装置の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】(a)は図3の要部拡大図であり、(b)は図2の要部拡大図である。
【図5】吊元側封止部材の取付状態を示す図であり、(a)は室内側から見た斜視図、(b)は室外側から見た斜視図である。
【図6】連動機構を示す図であり、(a)はドア開放時の平面図、(b)は同時の室内側から見た正面図である。
【図7】図6(a)のA−A線断面図である。
【図8】ドア閉鎖時の連動機構の動作を示す室内側正面図である。
【図9】先開きドア及び後開きドアが共に閉じられたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図10】図5を反対側から見た斜視図である。
【図11】先開きドアのみが開かれたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図12】図7を反対側から見た斜視図である。
【図13】別の実施形態を示す説明図であり、先開きドア及び後開きドアが共に閉じられたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図14】図9を反対側から見た斜視図である。
【図15】別の実施形態にて、先開きドアのみが開かれたときの先開きドア用封止部材及び後開きドア用封止部材を示す斜視図である。
【図16】図11を反対側から見た斜視図である。
【図17】別の実施形態における後開きドア用封止部材及びそれに取り付けられる庇部材の斜視図である。
【図18】別の実施形態における先開きドア用封止部材及びそれに取り付けられる当接部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 両開きドア装置
2 ドア枠
2a 上枠
2b 下枠
2c 縦枠
2d 縦枠
3 先開きドア
13 凹部
13a 凹部の先開きドア側の部分
13b 凹部の後開きドア側の部分
20 先開きドア用封止部材
21 後開きドア用封止部材
30 後開きドア
41 カバー
43 シール板
44 フレーム板
51 庇部材
52 当接部材
G 隙間
Gx 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、
上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、
該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、
上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、
該後開きドア用封止部材の上面に、上記隙間を超えて上記先開きドア用封止部材の上面まで延出されたカバーを取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記カバーによって上記隙間を封止するようにしたことを特徴とする両開きドア装置。
【請求項2】
上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、
上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、
該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、
上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、
該後開きドア用封止部材の端部に、上記隙間の方向に延出された庇部材を取り付け、上記先開きドア用封止部材の端部に、上記各封止部材の回動に伴って上記庇部材に下方から当接し得る当接部材を取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記庇部材及び当接部材によって上記隙間を封止するようにしたことを特徴とする両開きドア装置。
【請求項1】
上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、
上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、
該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、
上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、
該後開きドア用封止部材の上面に、上記隙間を超えて上記先開きドア用封止部材の上面まで延出されたカバーを取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記カバーによって上記隙間を封止するようにしたことを特徴とする両開きドア装置。
【請求項2】
上枠、下枠及び左右の縦枠から成るドア枠と、一方の縦枠に開閉可能に取り付けられた先開きドアと、他方の縦枠に開閉可能に取り付けられた後開きドアとを備えた両開きドア装置であって、
上記下枠の上面に、その長手方向に沿って凹部を設け、
該凹部の上記先開きドア側の部分に、上記先開きドアの開閉に連動して回動され、上記先開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記先開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記先開きドアの下部に当接する先開きドア用封止部材を設け、
上記凹部の上記後開きドア側の部分に、上記後開きドアの開閉に連動して回動され、上記後開きドアが開かれたとき上記凹部に収容されると共に上記後開きドアが閉じられたとき上記凹部から突出して上記後開きドアの下部に当接する後開きドア用封止部材を、上記先開きドア用封止部材と隙間を隔てて設け、
該後開きドア用封止部材の端部に、上記隙間の方向に延出された庇部材を取り付け、上記先開きドア用封止部材の端部に、上記各封止部材の回動に伴って上記庇部材に下方から当接し得る当接部材を取り付け、上記両封止部材が共に上記凹部から突出したとき上記庇部材及び当接部材によって上記隙間を封止するようにしたことを特徴とする両開きドア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図18】
【公開番号】特開2007−162429(P2007−162429A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363769(P2005−363769)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】
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