説明

乗用型作業機

【課題】貯留タンクに貯留された液状の農用供給体を効率よく短時間で攪拌することができ、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の固化を効率よく防止できる乗用型作業機を実現する。
【解決手段】貯留タンク16の液状の農用供給体を繰り出す繰り出し部80,81と、繰り出し部80,81からの液状の農用供給体を圃場に供給する供給部82,83とを備えると共に、貯留タンク16の液状の農用供給体を攪拌する攪拌部材78と、攪拌部材78を駆動する電動モータ79と、電動モータ79を正逆転させる制御手段とを備えて、乗用型作業機を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の農用供給体を貯留する貯留タンクと、貯留タンクの液状の農用供給体を繰り出す繰り出し部と、繰り出し部からの液状の農用供給体を圃場に供給する供給部とを備えた乗用型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に開示されているように、肥料タンク(特許文献1の図2の16)の内部に支持された駆動軸(特許文献1の図3の78)を電動モータ(特許文献1の図2の79)によって回転駆動し、駆動軸に装着された攪拌羽根(特許文献1の図3の78a)の回転で液状肥料を攪拌して液状肥料の固化を防止するように構成された田植機が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−82507号公報(図2、図3、図14及び段落番号「0054」、「0072」参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の田植機では、蓋部(特許文献1の図3の16a,69a)の開閉操作に連動して電動モータが一定の回転方向に回転駆動し、電動モータに駆動軸を介して連動連結された攪拌羽根が一定の回転方向で回転駆動することにより、肥料タンクの液状肥料を攪拌できるように構成されていたと考えられる。
【0005】
肥料タンクの液状肥料を攪拌する攪拌羽根を一定の回転方向で回転駆動すると、攪拌羽根の回転方向に沿う一定の方向の流れが液状肥料に生じ、肥料タンク内での液状肥料の流れが一定になり易く、液状肥料が攪拌され難いことがあった。その結果、液状肥料が十分に攪拌されないで圃場に供給されるといった問題や、長い時間電動モータを回転駆動させて液状肥料を攪拌する必要があり、電動モータを回転駆動させる消費電力が多くなるといった問題があった。
本発明は、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体を効率よく短時間で攪拌することができ、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の固化を効率よく防止できる乗用型作業機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型作業機を次のように構成することにある。
液状の農用供給体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクの液状の農用供給体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部からの液状の農用供給体を圃場に供給する供給部とを備えると共に、前記貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌する攪拌部材と、前記攪拌部材を駆動する電動モータと、前記電動モータを正逆転させる制御手段とを備える。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、電動モータを正転させると、攪拌部材の駆動により、電動モータを正転させた方向に沿う方向の流れが貯留タンク内の液状の農用供給体に発生し、電動モータを逆転させると、攪拌部材の駆動により、電動モータの逆転させた方向に沿う方向の流れが貯留タンク内の液状の農用供給体に発生する。制御手段により電動モータを正逆転させることにより、液状の農用供給体の流れが偏った流れになることを避けることができ、電動モータの正転による液状の農用供給体の流れと、電動モータの逆転による液状の農用供給体の流れとを互いにぶつかり合わせたりすることができて、液状の農用供給体の攪拌が促進される。その結果、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体を効率よく短時間で攪拌することができ、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の固化を効率よく防止できる。
【0008】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、液状肥料が十分に攪拌されないで圃場に供給されることを防止できるとともに、電動モータを回転駆動させる消費電力を節約できる。
【0009】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の乗用型作業機において、次のように構成することにある。
前記電動モータが設定時間に亘って正逆転すると、前記制御手段による電動モータの正逆転を停止させる停止手段を備える。
【0010】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、電動モータを正逆転させて攪拌部材により貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌している場合、電動モータが設定時間に亘って正逆転すると、停止手段により電動モータが自動的に停止する。その結果、適切な時間、電動モータを正逆転させて貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌することができ、例えば液状の農用供給体が既に攪拌された状態で電動モータが正逆転して、電力を消費すること防止することができる。
【0011】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の固化を更に効率よく防止でき、電動モータを回転駆動させる消費電力が更に節約できる。
【0012】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1特徴の乗用型作業機において、次のように構成することにある。
前記貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の液量を検出する液量検出手段を備え、
前記液量検出手段により検出した液量が設定液量より少ない場合には、前記制御手段による電動モータの正逆転を停止させる停止手段を備える。
【0013】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第3特徴によると、電動モータを正逆転させて攪拌部材により貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌している場合、液量検出手段により検出した液量が設定液量より少ないと、停止手段により電動モータが自動的に停止する。また、制御手段により電動モータを正逆転させて攪拌部材により貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌しようとする場合、液量検出手段により検出した液量が設定液量より少ないと、停止手段により電動モータの正逆転が自動的に制限される。その結果、液量に応じて適切なタイミングで電動モータを正逆転させて貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌することができ、例えば液量が少ない液状の農用供給体の固化や沈殿が生じ難い状態で電動モータが正逆転して、電力を消費すること防止することができる。
【0014】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の固化を更に効率よく防止でき、電動モータを回転駆動させる消費電力が更に節約できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[1]
図1及び図2に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられており、リンク機構3の後部に8条植型式の苗植付装置5が支持されて、乗用型作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、苗植付装置5は、4個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転駆動自在に支持された植付ケース7、植付ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、5個の接地フロート9及び苗のせ台10等を備えて構成されている。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面(圃場に相当)に植え付ける。
【0017】
[2]
次に、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2への走行伝動系、苗植付装置5への植付伝動系について説明する。
図1及び図5に示すように、機体の前部にミッションケース17が備えられ、ミッションケース17の前部に連結された支持フレーム18にエンジン19が支持されている。ミッションケース17の左の横側部における上部の前部に静油圧式無段変速装置21が連結されており、エンジン19の動力が静油圧式無段変速装置21の入力軸21aに伝動ベルト23を介して伝達されている。
【0018】
図5に示すように、静油圧式無段変速装置21は中立停止位置を備え、前進側及び後進側に無段階に変速自在に構成されている。静油圧式無段変速装置21の出力軸21bがミッションケース17の内部に入り込んでおり、伝動軸22が回転自在にミッションケース17に支持されて、静油圧式無段変速装置21の出力軸21bと伝動軸22とがスプライン構造により連結されている。
【0019】
図5に示すように、伝動軸22に低速ギヤ24及び高速ギヤ25が固定されており、伝動軸22と平行に配置された伝動軸26に、シフトギヤ27がスプライン構造にて伝動軸26と一体回転及びスライド自在に外嵌されている。これにより、シフトギヤ27をスライド操作して低速ギヤ24及び高速ギヤ25に咬合させることによって、静油圧式無段変速装置21の出力軸21b及び伝動軸22の動力が、高低2段に変速されて伝動軸26に伝達される。これにより、図1,4,5に示すように、静油圧式無段変速装置21の出力軸21bの動力が、伝動軸22,26、伝動軸26に固定された伝動ギヤ30、前車軸ケース20を介して右及び左の前輪1に伝達され、走行出力軸34及び伝動軸38、後車軸ケース37を介して右及び左の後輪2に伝達される。
【0020】
図5に示すように、伝動ギヤ43がワンウェイクラッチ44を介して伝動軸22に外嵌されて、ワンウェイクラッチ44により静油圧式無段変速装置21の出力軸21bの前進の動力が伝動ギヤ43に伝達され、ワンウェイクラッチ44により静油圧式無段変速装置21の出力軸21bの後進の動力が伝動ギヤ43に伝達されない。伝動ギヤ45及び複数の伝動ギヤ46が一体で回転するように互いに連結されて、伝動ギヤ45及び複数の伝動ギヤ46が伝動軸26に相対回転自在に外嵌されており、伝動ギヤ43,45が咬合している。伝動軸26と平行に配置された伝動軸47に複数の変速ギヤ48が相対回転自在に外嵌されて、伝動ギヤ46及び変速ギヤ48の各々が咬合している。
【0021】
図5に示すように、伝動軸47に操作ロッド49がスライド操作自在に挿入されており、操作ロッド49をスライド操作することによって、一つの変速ギヤ48を伝動軸47に連結することができる。これにより、操作ロッド49により6枚の変速ギヤ48のうちの一つの変速ギヤ48を選択して伝動軸47に連結することによって、伝動軸26の動力が複数段に変速されて伝動軸47に伝達される。このように複数の伝動ギヤ46及び変速ギヤ48及び操作ロッド49等により、植付変速機構50が構成されている。この場合、操作ロッド49により全ての変速ギヤ48が伝動軸47に連結されない状態(相対回転自在に外嵌された状態)を設定することができ、伝動軸26の動力が植付変速機構50で遮断された状態を設定することができる。
【0022】
図4及び図5に示すように、ミッションケース17の後部の上部に出力軸51が備えられて後向きに突出しており、出力軸51に相対回転自在に外嵌されたベベルギヤ52が、伝動軸47に固定されたベベルギヤ53に咬合している。出力軸51に植付クラッチ57が備えられて、出力軸51と苗植付装置5の入力軸(図示せず)とに亘って伝動軸58(図1参照)が接続されている。これにより、伝動軸26の動力が植付変速機構50、ベベルギヤ52,53、植付クラッチ57、出力軸51及び伝動軸58を介して苗植付装置5に伝達される。植付変速機構50により苗植付装置5(伝動軸47)に伝達される動力を変速することによって、苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付間隔(機体の作業走行速度に対する苗植付装置5(植付アーム8)の植付速度の比)を変更することができる。
【0023】
[3]
次に、第1,2,3,4,5,6,7,8側条ポンプ80a,80b,80c,80d,80e,80f,80g,80h(繰り出し部に相当)、及び第1,2,3,4深層ポンプ81a,81b,81c,81d(繰り出し部に相当)の構造について説明する。
図1,2,3に示すように、エンジン19を覆うボンネット12の下部の右及び左横側に、畦から運転座席11への乗降用のステップ13が備えられており、支持フレーム18に連結された前の支持フレーム14及び前車軸ケース20に連結された後の支持フレーム31が、右及び左のステップ13の横外側に延出されて上方に延出されている。4個の予備苗のせ台32,33,35,36が、右及び左のステップ13の横外側に位置するように、前及び後の支持フレーム14,31に支持されている。
【0024】
図3,6,7に示すように、前及び後の支持フレーム14,31に、前及び後の支持フレーム15が連結されて右及び左横側に延出されており、板材を折り曲げて構成された支持フレーム63が前及び後の支持フレーム15に亘って連結されている。液状肥料(農用供給体に相当)を貯留する右及び左の肥料タンク16(貯留タンクに相当)が、支持フレーム63に載置されて支持されており、右及び左の肥料タンク16の底部に一体的に形成された前及び後のフランジ部16aが、前及び後の支持フレーム15に連結された固定部15aにボルト連結されている。
【0025】
図3,6,7に示すように、正面視逆三角形状の前及び後のブラケット65が、支持フレーム63の前部及び後部に下向きに連結されており、前及び後のブラケット65に亘って上及び下の補強ロッド66が連結されている。左の肥料タンク16の下方において、第1,2,3,4側条ポンプ80a,80b,80c,80d、及び第1,2深層ポンプ81a,81bが、前及び後のブラケット65に亘って左右方向に向いた状態で、前後方向(左の肥料タンク16の長手方向に沿う方向)に並べて連結されている。図4に示すように、右の肥料タンク16の下方において、第5,6,7,8側条ポンプ80e,80f,80g,80h、及び第3,4深層ポンプ81c,81dが、前及び後のブラケット65に亘って左右方向に向いた状態で、前後方向(右の肥料タンク16の長手方向に沿う方向)に並べて連結されている。
【0026】
図4,6,7に示すように、第1〜4側条ポンプ80a〜80d及び第1,2深層ポンプ81a,81bが内部で互いに連通しており、左の肥料タンク16の前部下部から延出された供給路67が最前部の第1深層ポンプ81aに接続され、左の肥料タンク16の後部下部から延出された供給路68,70が最後部の第4側条ポンプ80dに接続されている。第5〜8側条ポンプ80e〜80h及び第3,4深層ポンプ81c,81dが内部で互いに連通しており、右の肥料タンク16の前部下部から延出された供給路67が最前部の第4深層ポンプ81dに接続され、右の肥料タンク16の後部下部から延出された供給路68,70が最後部の第5側条ポンプ80eに接続されている。
【0027】
図4,6,7に示すように、供給路67,68はゴムホース製でエルボ状に構成されており、供給路70は合成樹脂製でT字状に構成されて、供給路70から斜め外方下方に向けて排出路70aが延出されている(図3参照)。供給路70の排出路70aに開閉弁(図示せず)が内装されており、開閉弁を操作する操作アーム70bが供給路70の排出路70aに備えられている。
【0028】
これにより、図4,5,6に示すように、左の肥料タンク16の液状肥料が供給路67を介して第1深層ポンプ81aの吸引部99に供給され、供給路68,70を介して第4側条ポンプ80dの吸引部99に供給されて、第1〜4側条ポンプ80a〜80d及び第1,2深層ポンプ81a,81bの吸引部99に供給される。右の肥料タンク16の液状肥料が供給路67を介して第4深層ポンプ81dの吸引部99に供給され、供給路68,70を介して第5側条ポンプ80eの吸引部99に供給されて、第5〜8側条ポンプ80e〜80h及び第3,4深層ポンプ81c,81dの吸引部99に供給される。
【0029】
図1及び図2に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル64及び運転座席11の下方にステップ28が備えられ、ステップ28が右及び左のステップ13に接続されている。ステップ28の右及び左横側に、右及び左の補助ワイドステップ29が備えられており、右及び左の補助ワイドステップ29の前部が後の支持フレーム31及び後の支持フレーム15に連結されている。
【0030】
[4]
次に、右及び左の肥料タンク16について説明する。
図1,2,3に示すように、右及び左の肥料タンク16は合成樹脂製で半透明に構成されて縦長状に構成されており、機体の右及び左横側で予備苗のせ台32の下方に、右及び左の肥料タンク16が前後方向に沿って支持されている。図6及び図8に示すように、右及び左の肥料タンク16の前部に供給口16bが斜め前方上方に向くように形成されて、右及び左の肥料タンク16の横部に凸状又は凹状の容量目盛り16dが一体的に形成されている。この場合、右及び左の肥料タンク16の前部又は後部に、容量目盛り16dを備えてもよい。
【0031】
図6及び図8に示すように、右及び左の肥料タンク16の供給口16bの後部にブラケット39がボルト連結されて、合成樹脂製で半透明に構成された蓋部40が、ブラケット39の横軸芯P2周りに揺動開閉自在に支持されている。蓋部40を開き側に付勢するバネ41がブラケット39に取り付けられ、ゴム製のシール部材42が蓋部40の内面に固定されており、右及び左の肥料タンク16の前部にバックル部材54が備えられている。下向きに張り出すように形成された金網部材55が、右及び左の肥料タンク16の供給口16bに着脱自在に備えられている。右及び左のタンク16の後部に吸排気口16cが備えられており、吸排気口16cにホース56が取り付けられ、ホース56が上向きから下向きに向けられてバンド59により固定されている。
【0032】
図1,3,6に示すように、前の支持フレーム14の下部14aが斜め後方上方に向くように折り曲げられて、予備苗のせ台32,33,35,36の前端部が、右及び左の肥料タンク16の蓋部40よりも後側に位置するように構成されており、蓋部40を開き操作する為の上方の空間が確保されている。
【0033】
図1,2,3に示すように、前及び後の支持フレーム14,31に、予備苗のせ台33が連結され、予備苗のせ台32,35が着脱自在に構成されており、予備苗のせ台36が上方に揺動させて持ち上げ可能に構成されている。これにより、前及び後の支持フレーム14,31から予備苗のせ台32を取り外すことにより、蓋部40を開き操作する為の上方の空間をさらに大きなものにすることができる。
この場合、前及び後の支持フレーム14,31から予備苗のせ台32,35を取り外して、予備苗のせ台32,35を予備苗のせ台33の前端部及び後端部に取り付けることが可能であり、これによって予備苗のせ台32,33,35を同じ高さに一列状に配置することが可能である。
【0034】
図6及び図8に示すように、蓋部40を閉じ操作し、バックル部材54を蓋部40の係合部40aに係合させて、蓋部40を閉じ位置で固定するのであり、蓋部40の閉じ位置において、シール部材42が右及び左の肥料タンク16の供給口16bの縁部に押圧されてシール状態が確保されている。バックル部材54を蓋部40の係合部40aから外し操作すると、バネ41の付勢力により蓋部40が自動的に開き操作される。蓋部40を開き操作した状態で、肥料袋(図示せず)から液状肥料を右及び左の肥料タンク16の供給口16bに補給する際に、異物が金網部材55に捕らえられるのであり、金網部材55が下向きに張り出すように形成されていることにより、肥料袋の出口が金網部材55に当たり難く、金網部材55が液状肥料の補給の邪魔になり難い。
【0035】
[5]
次に、右及び左の肥料タンク16の内部に配置された攪拌部材78の構造及び作動について説明する。
図8及び図9に示すように、右及び左の肥料タンク16の内部における前後方向中央位置(右及び左の肥料タンク16の供給口16bよりも少し後側の位置)に、上下軸芯P1周りに攪拌部材78が回転自在に支持され、攪拌部材78を回転駆動する攪拌モータ79が、右及び左の肥料タンク16の底部で支持フレーム63の間に備えられている。攪拌部材78は、平面視で十字状で横向きの底板部78a、底板部78aから斜め上方に延出された4枚の羽根板部78bを備えて構成されている。
【0036】
図2及び図9に示すように、右の肥料タンク16において、機体内側の支持フレーム63の後部に制御装置60が固定されて、機体内側の支持フレーム63の前部に、人為的に操作される人為操作具としてのモード切替スイッチ61及び人為的に操作される人為操作具としての攪拌スイッチ77が装備されている。なお、モード切替スイッチ61及び攪拌スイッチ77を異なる位置に配設してもよく、例えば操縦ハンドル64の付近(例えば操縦ハンドル64下部の操作パネル等)に設けることにより操作性を向上できる。
【0037】
機体に備えられたバッテリー(図示せず)から延出された配線(図示せず)が制御装置60に接続され、制御装置60から延出された配線(図示せず)が右及び左のモータ駆動回路87(87L,87R:図15参照)を介して右及び左の肥料タンク16の攪拌モータ79(79L,79R)に接続されており、モード切替スイッチ61及び攪拌スイッチ77から延出された配線(図示せず)が制御装置60に接続されている。後述するモード切替制御により攪拌モータ79が操作されると、攪拌部材78が上下軸芯P1周りに回転駆動され、これにより、攪拌部材78(羽根板部78b)により液状肥料が掻き混ぜられながら、攪拌部材78(羽根板部78b)の付近に上昇及び下降流が発生し、攪拌モータ79の正逆転による液状肥料の干渉作用により液状肥料が効率よく攪拌されて、液状肥料の固化が防止される。
【0038】
[6]
次に、第1,2,3,4,5,6,7,8側条ノズル82a,82b,82c,82d,82e,82f,82g,82h(供給部に相当)、及び第1,2,3,4深層ノズル83a,83b,83c,83d(供給部に相当)について説明する。
図1及び図4に示すように、苗植付装置5において、パイプ状の第1〜8側条ノズル82a〜82hが、植付ケース7及び植付アーム8の通過軌跡の横近傍に位置するように支持されて、第1〜8側条ノズル82a〜82hの出口が田面内の比較的浅い位置に配置されている。第1〜8側条ポンプ80a〜80hの各々と第1〜8側条ノズル82a〜82hの各々とに亘って、供給ホース84が接続されている。
【0039】
図1及び図4に示すように、苗植付装置5において、パイプ状の第1〜4深層ノズル83a〜83dが支持されており、第1〜4深層ポンプ81a〜81dの各々と第1〜4深層ノズル83a〜82dの各々とに亘って、供給ホース85が接続されている。第1及び第2側条ノズル82a,82bの間、第3及び第4側条ノズル82c,82dの間、第5及び第6側条ノズル82e,82fの間、第7及び第8側条ノズル82g,82hの間に、第1〜4深層ノズル83a〜83dが配置されており、第1〜4深層ポンプ81a〜81dの出口が第1〜8側条ノズル82a〜82hの出口よりも深い位置に配置されている。この場合、第2及び第3深層ノズル83b,83cは隣接する接地フロート9の間に配置されており、第1及び第4深層ノズル83a,83dは接地フロート9に開口された長孔9aを通って延出されている。
【0040】
以上の構造により、図1及び図4に示すように、苗植付装置5による苗の植え付けに伴って、後述する[7]に記載のように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dが駆動されて、左の肥料タンク16の液状肥料が、第1〜4側条ノズル82a〜82d及び第1,2深層ノズル83a,83bを介して、田面の比較的浅い位置及び深い位置に供給され、右の肥料タンク16の液状肥料が、第5〜8側条ノズル82e〜82h及び第3,4深層ノズル83c,83dを介して田面の比較的浅い位置及び深い位置に供給される。
【0041】
[7]
次に、第1〜8側条ポンプ80a〜80h、及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの駆動構造について説明する。
図5に示すように、ミッションケース17に施肥出力軸89が回転自在に支持されており、施肥出力軸89がミッションケース17から外部に突出している。植付変速機構50の最も小径の伝動ギヤ46に伝動ギヤ90が咬合しており、伝動ギヤ90と施肥出力軸89との間に施肥クラッチ95が備えられている。図2,3,4,5に示すように、複数段に変速自在な変速機構96が右のステップ13の下部に固定され、施肥出力軸89に固定された出力スプロケット89aと、変速機構96の入力スプロケット96aとに亘って伝動チェーン98が巻回されている。
【0042】
図3,4,7に示すように、変速機構96から左の出力軸96bが左横側に延出されており、変速機構96の左の出力軸96bが支持フレーム18の上側で伝動ベルト23の下側を通って、第4側条ポンプ80dの近傍にまで延出されており、後のブラケット65に連結された軸受け部65aに、変速機構96の左の出力軸96bが回転自在に支持されている。変速機構96から右の出力軸96cが右横側に延出されて、第5側条ポンプ80eの近傍にまで延出されており、後のブラケット65に連結された軸受け部65aに、変速機構96の右の出力軸96cが回転自在に支持されている。
【0043】
図7に示すように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dは、液状肥料を圧送するローター100、ローター100に連結された駆動軸101、駆動軸101に相対回転自在に外嵌された一対の伝動スプロケット102、キー構造にて駆動軸101に一体回転及びスライド自在に外嵌されたシフト部材103、シフト部材103を伝動スプロケット102への咬合側に付勢するバネ104等を備えて構成されている。第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吐出部105の最上部にプラグ106が接続されて、プラグ106に供給ホース84,85が接続されている。
【0044】
図6及び図7に示すように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吐出部105の圧力を検出する詰まりセンサー107が、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吐出部105の最下部に備えられており、詰まりセンサー107の表示部107a(LED等)が詰まりセンサー107の下部に備えられている。これにより、詰まりセンサー107の表示部107aが機体の右及び左横側に備えられた状態となり、機体の右又は左横側の補助作業者が詰まりセンサー107の表示部107aを比較的容易に目視することができる。
【0045】
図4及び図7に示すように、変速機構96の左の出力軸96bの端部に出力スプロケット96eが固定されて、第4側条ポンプ80dの伝動スプロケット102と、変速機構96の左の出力軸96bの出力スプロケット96eとに亘って伝動チェーン108が巻回されており、第1〜4側条ポンプ80a〜80d及び第1,2深層ポンプ81a,81bの伝動スプロケット102に亘って伝動チェーン108が巻回されている。変速機構96の右の出力軸96cの端部に出力スプロケット96eが固定されて、第5側条ポンプ80eの伝動スプロケット102と、変速機構96の右の出力軸96cの出力スプロケット96eとに亘って伝動チェーン108が巻回されており、第5〜8側条ポンプ80e〜80h及び第3,4深層ポンプ81c,81dの伝動スプロケット102に亘って伝動チェーン108が巻回されている。
【0046】
以上の構造により、図4及び図5に示すように、エンジン19の動力が静油圧式無段変速装置21、伝動軸22,26を介して右及び左の前輪1に伝達され、走行出力軸34及び伝動軸38を介して右及び左の後輪2に伝達される。静油圧式無段変速装置21の前進の動力がワンウェイクラッチ44、伝動ギヤ43,45、植付変速機構50(伝動ギヤ46,48)、ベベルギヤ52,53、植付クラッチ57、出力軸51及び伝動軸58を介して苗植付装置5に伝達される。
【0047】
図4及び図5に示すように、ワンウェイクラッチ44と植付変速機構50(伝動ギヤ46)との間の動力(植付変速機構50において操作ロッド49により伝動軸26の動力が複数段に変速されて伝動軸47に伝達される前の動力)が、伝動ギヤ46,90、施肥クラッチ95、施肥出力軸89、伝動チェーン98、変速機構96、伝動チェーン108、伝動スプロケット102及びシフト部材103を介して、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dに伝達される。
【0048】
図4及び図7に示すように、液状肥料が第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吸引部99に入り込み、ローター100の回転により液状肥料が第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吐出部105に圧送され、プラグ106から供給ホース84,85を介して、第1〜8側条ノズル82a〜82h及び第1〜4深層ノズル83a〜83dに供給される。変速機構96を変速操作することによって、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの駆動速度を変速して、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dによる液状肥料の供給量を変更することができる。
【0049】
この場合、図7に示すように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吐出部105の最上部にプラグ106が接続されているので、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吸引部99及び吐出部105に空気が滞留しかけても、空気がプラグ106から供給ホース84,85に圧送され易くなる。第1〜8側条ノズル82a〜82h及び第1〜4深層ノズル83a〜83d、供給ホース84,85に液状肥料の詰まりが発生すると、液状肥料の詰まりが発生した第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの吐出部105の圧力が上昇するので、圧力の上昇を検出した詰まりセンサー107の表示部107aが点灯する。
【0050】
[8]
次に、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの停止操作構造について説明する。
図7に示すように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの各々の上部に、支持ピン62が横向きに取り付けられ、支持ピン62の各々に操作アーム69が揺動自在に支持されて、操作アーム69の各々がシフト部材103の各々に係合している。
【0051】
図1及び図2に示すように、運転座席11の後側に第1,2,3,4クラッチレバー71a,71b,71c,71dが備えられ、第1〜4クラッチレバー71a〜71dの各々に2本のレリーズワイヤ72のインナーが接続されており、第1〜4側条ポンプ80a〜80d及び第1,2深層ポンプ81a,81bの下部に連結されたブラケット73に、第1,2クラッチレバー71a,71bのレリーズワイヤ72のアウターが接続され、第5〜8側条ポンプ80e〜80h及び第3,4深層ポンプ81c,81dの下部に連結されたブラケット73に、第3,4クラッチレバー71c,71dのレリーズワイヤ72のアウターが接続されている。
【0052】
図7に示すように、第1クラッチレバー71aのレリーズワイヤ72のインナーが、長孔74aを備えた接続部材74を介して、第1,2側条ポンプ80a,80b及び第1深層ポンプ81aの操作アーム69に接続されている。
第2クラッチレバー71bのレリーズワイヤ72のインナーが、長孔74aを備えた接続部材74を介して、第3,4側条ポンプ80c,80d及び第2深層ポンプ81bの操作アーム69に接続されている。
第3クラッチレバー71cのレリーズワイヤ72のインナーが、長孔74aを備えた接続部材74を介して、第5,6側条ポンプ80e,80f及び第3深層ポンプ81cの操作アーム69に接続されている。
第4クラッチレバー71cのレリーズワイヤ72のインナーが、長孔74aを備えた接続部材74を介して、第7,8側条ポンプ80g,80h及び第4深層ポンプ81dの操作アーム69に接続されている。
【0053】
これにより、図2及び図7に示すように、第1〜4クラッチレバー71a〜71dを伝動位置に操作すると、シフト部材103が伝動スプロケット102に咬合して、前項[7]に記載のように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dが駆動される。
【0054】
例えば第1クラッチレバー71aを遮断位置に操作すると、レリーズワイヤ72が引き操作されて、操作アーム69により第1,2側条ポンプ80a,80b及び第1深層ポンプ81aのシフト部材103が伝動スプロケット102から離し操作され、第1,2側条ポンプ80a,80b及び第1深層ポンプ81aが停止する。同様に、第2クラッチレバー71bにより、第3,4側条ポンプ80c,80d及び第2深層ポンプ81bを停止させることができる。第3クラッチレバー71cにより、第5,6側条ポンプ80e,80f及び第3深層ポンプ81cを停止させることができる。第4クラッチレバー71cにより、第7,8側条ポンプ80g,80h及び第4深層ポンプ81dを停止させることができる。
【0055】
図7に示すように、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの操作アーム69の各々の下部に、ピアノ線で構成された操作部材75が連結され、操作部材75が支持ピン62に当て付けられながら上方に延出されている。伝動スプロケット102及び操作アーム69等を覆うカバー76が支持フレーム63に連結されており、カバー76に開口されたレバーガイド(図示せず)に、接続部材75が通されて上方に延出されている。
【0056】
図7に示すように、第1〜4クラッチレバー71a〜71dを伝動及び遮断位置に操作することにより、操作アーム69が揺動操作されると、操作部材75はカバー76のレバーガイドに沿って移動する。操作部材75の上部を持って図7の紙面下方に移動させると、操作アーム69が揺動操作されて、シフト部材103が伝動スプロケット102から離し操作されるのであり、操作部材75をカバー76のレバーガイドに係合させることにより、シフト部材103を伝動スプロケット102から離し操作した状態に保持できる。これによって、第1〜4クラッチレバー71a〜71dとは関係なく、操作部材75により、第1〜8側条ポンプ80a〜80h及び第1〜4深層ポンプ81a〜81dの各々を独立で停止させることができる。
【0057】
[9]
次に、保護具110の構造について説明する。なお、以下の説明においては、左側の第1及び第2深層ポンプ81a,81bの前方に装着された保護具110について説明するが、右側の第3及び第4深層ポンプ81c,81dの前方に装着された保護具110についても左右の勝手が異なる以外の他の構成は左側の第1及び第2深層ポンプ81a,81bの前方に装着された保護具110と同様である。
【0058】
図1,3,10,11に示すように、前側の支持フレーム14の下部14aに、保護具110取り付け用のブラケット113が固着されている。ブラケット113は、横断面形状が後向きのコ字状に成形されており、前面側に2つの前後向きのネジ部が形成されている。保護具110は、丸パイプ材を平面視で後向きのコ字状に湾曲成形した保護具本体111と、保護具本体111の後端部に固着された板状部材112と、保護具本体111の板状部材112とは逆側の端部に取り付けられたキャップとを備えて構成されており、板状部材112をブラケット113に締め付け固定することで保護具110が支持フレーム14の下部14aに固定されている。
【0059】
図10及び図11に示すように、保護具110によって、第1及び第2深層ポンプ81a,81bを前方から覆うことができ、かつ、第1深層ポンプ81aを側方から覆うことができるように構成されている。その結果、例えば乗用型田植機を畦等に接近させた場合に、保護具110によって第1及び第2深層ポンプ81a,81bを保護し、第1及び第2深層ポンプ81a,81bが畦等に接触することを防止でき、第1及び第2深層ポンプ81a,81bの破損を防止できる。
【0060】
図1,2,3に示すように、保護具110の前端が側面視で乗用型田植機の前端より後方に位置するように配設されており、保護具110の外端が前後の支持フレーム15より内方側に位置するように配設されている。その結果、保護具110をコンパクトに配設することができ、保護具110を装着することによる乗用型田植機の全長及び全幅の増加を防止できる。
【0061】
なお、この実施形態では、側条ポンプ80及び深層ポンプ81のメンテナンス性の観点から、側条ポンプ80及び深層ポンプ81のうちの前端部に位置する第1及び第2深層ポンプ81a,81bの前方及び第1深層ポンプ81aの側方を保護具110によって保護する構成を採用した例を示したが、例えば側条ポンプ80が前端部に位置するように配設した場合には(図示せず)、側条ポンプ80の前方及び側方を保護具110によって保護する構成を採用してもよい。また、保護具110のブラケット113側とは逆側の端部を第4側条ポンプ80dの周辺(第4側条ポンプ80dの後方)にまで延出し、側条ポンプ80及び深層ポンプ81の側部を全長に亘って保護具110で保護するように構成してもよく、このように構成することにより、側条ポンプ80及び深層ポンプ81の側方からの畦等への接触を防止でき、側条ポンプ80及び深層ポンプ81の破損を防止できる。
【0062】
[10]
次に、補強部材114の構造について説明する。
図1,3,10,11に示すように、右前の支持フレーム14の下部14aと、左前の支持フレーム14の下部14aとに亘って、補強部材114が装着されている。補強部材114は、左右中央部に位置する直線部114aと、この直線部114aの左右両端部から斜め前方外方に延出された側部114bと、この側部114bの外端部から斜め上方外方に延出された連結部114cとを、支持フレーム18と同じ材料の丸パイプ材を屈曲成形することによって構成されている。補強部材114の左右中央部には、帯板材をU字状に折り曲げ成形した左右の取付部材115が固着されており、この取付部材115によって補強部材114の左右中央部が前後に長い左右の支持フレーム18,18に締め付け固定されている。補強部材114の左右両端部は、帯板材をU字状に折り曲げ成形した上下一対の連結部材116によって、それぞれ左右の支持フレーム14の下部14aに連結されている。
【0063】
このように、左右中央部を支持フレーム18に固定した補強部材114の左右両端部を左右の支持フレーム14に固定することにより、予備苗のせ台32,33,35,36を支持する支持フレーム14を、補強部材114を介して支持フレーム18に固定することができ、支持フレーム14の取り付け強度及び支持フレーム14下部の強度を簡素な構造で向上させることができる。
【0064】
具体的には、例えば予備苗のせ台32,33,35,36に予備苗をのせ、又は肥料タンク16に液状肥料を補給して、支持フレーム14下端部の内方側端部を支点とする曲げモーメントが支持フレーム14に作用した場合に、支持フレーム14を補強部材114によって下方側から支えることにより、支持フレーム14の下部に作用する曲げモーメントに対して効果的に補強することができるとともに、支持フレーム14の下方への撓み量を少なく抑えることができる。その結果、支持フレーム14下部の破損を防止できるだけでなく、予備苗のせ台32,33,35,36のガタつきや揺れを防止でき、予備苗の補給作業等の作業性を向上できる。
【0065】
また、上記のような補強部材114の取り付け構造を採用することにより、支持フレーム14によって支持する重量に応じて補強部材114を簡易に着脱することができ、支持フレーム14の構造等を変更しなくても、例えば乗用型田植機の仕様(予備苗のせ台の段数や肥料タンク16の有無)等に応じて支持フレーム14を簡易に補強することができる。
【0066】
[11]
次に、空箱収容部120の構造について説明する。
図1,3,12,13に示すように、左右の予備苗のせ台32,33,35,36のうちの最上部に配設された予備苗のせ台36に、予備苗を苗植付装置5へ補給した後の予備苗箱(以下空箱Cと称す)を収容する空箱収容部120が形成され、この空箱収容部120に載置された空箱Cが、上方から空箱保持具124によって保持されている。
【0067】
図12及び図13に示すように、空箱収容部120は、予備苗のせ台36の内側に装着された内側保持具121と、予備苗のせ台36の外側に装着された外側保持具122とによって、予備苗のせ台36の上方に平面視が直方体形状の空間を形成することによって構成されている。内側保持具121は、丸棒を屈曲した形状に成形された前側部分121a及び後側部分121bと、前側部分121aと後側部分121bとに亘って設けられた内側部分121cと、前側部分121a及び後側部分121bの下端部に設けられた板状の取付部材121dとを備えて構成されている。
【0068】
図12及び図13に示すように、前側の支持フレーム14の上端部と後側の支持フレーム31の上端部とに亘って上部フレーム123が前後方向の軸心周りに上下揺動可能に支持されており、この上部フレーム123の前端部及び後端部に、樹脂製の予備苗のせ台36の内方側端部が内側保持具121の前後の取付部材121dと共に締め付け固定されている。
【0069】
図12及び図13に示すように、内側保持具121における内側部分121cの左右中央部上部には、上下揺動可能な空箱保持具124が、空箱Cを空箱保持具124によって上方から押え付ける使用姿勢(図12及び図13の実線で示す姿勢)と、空箱保持具124を使用しない非使用姿勢(図12及び図13の2点鎖線で示す姿勢)とに姿勢変更可能に前後方向の軸心周りに揺動可能に支持されている。空箱保持具124は、丸棒をコ字状に折り曲げ成形した保持具本体124aと、この保持具本体124aの先端部に固着された前後の連結部124bとを備えて構成されており、この前後の連結部124bが内側保持具121の内側部分121cに形成された前後のピン部121eに枢支連結されている。空箱保持具124と内側保持具121の内側部分121cとに亘ってスプリング125が装備されており、使用姿勢ではスプリング125の付勢力が空箱保持具124を下方へ揺動させる方向に作用し、非使用姿勢では空箱保持具124を外方へ揺動させる方向に作用するように構成されている。
【0070】
以上のように空箱保持具124を構成することにより、空箱Cを予備苗のせ台36の上方に載置し、非使用姿勢での空箱保持具124をスプリング125の付勢力に抗して上方へ揺動させてスプリング125のデッドポイントDPを超えると、空箱保持具124を外方下方へ揺動させる方向のスプリング125の付勢力が作用して、予備苗のせ台36の上方に載置した空箱Cを使用姿勢での空箱保持具124によって上方から押え付けることができる。逆に、使用姿勢での空箱保持具124をスプリング125の付勢力に抗して上方へ揺動させてスプリング125のデッドポイントDPを超えると、空箱保持具124を内方下方へ揺動させる方向の付勢力が作用して、空箱保持具124が内側保持具121のストッパー部121Aに内方側から接当した非使用姿勢に姿勢変更できる。
【0071】
図12及び図13に示すように、外側保持具122は、丸棒を屈曲した形状に成形された前側部分122a及び後側部分122bと、前側部分122aと後側部分122bとに亘って設けられた外側部分122cと、前側部分122a及び後側部分122bの下端部に設けられた板状の取付部材122dとを備えて構成されており、外側保持具122の前後の取付部材122dが、樹脂製の予備苗のせ台36の外方側端部に締め付け固定されている。
【0072】
図12及び図13に示すように、内側保持具121の前側部分121aと外側保持具122の前側部分122aとによって、予備苗のせ台36の前側に正面視での形状が下すぼまり状の前部開口部126が形成されており、内側保持具121の後側部分121bと外側保持具122の後側部分122bとによって、予備苗のせ台36の後側に背面視の形状が下すぼまり状の後部開口部127が形成されている。予備苗のせ台36の上方に空箱Cを積み上げる際や、予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cを回収する際には、この前部及び後部開口部126,127から手を挿入して、容易に空箱Cを予備苗のせ台36に積み上げることができ、容易に予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cを回収できる。
【0073】
図12及び図13に示すように、内側保持具121の内側部分121c及び外側保持具122の外側部分122cの前後中央部は、下方に凹入し上向きに開口したコ字状のストッパー部121A,122Aが設けられており、予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cの左右方向の移動がこのストッパー部121A,122Aによって規制されて、予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cの左右への落下を防止できる。
【0074】
また、内側保持具121の前側部分121aと外側保持具122の前側部分122aとによって予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cの前方への落下を防止でき、内側保持具121の後側部分121bと外側保持具122の後側部分122bとによって予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cの後方への落下を防止できる。
【0075】
更に、空箱保持具124によって予備苗のせ台36の上方に積み上げた空箱Cの上方への移動を規制することができ、例えば走行時の振動や強風等によって空箱Cに上方への力が作用して空箱Cが上方へ移動し、空箱収容部120から圃場等に空箱Cが落下することを防止できる。特に、図13に示すように前後又は左右にずれた状態で空箱Cが空箱収容部120に載置され、強風等によって落下し易い場合であっても、空箱収容部120から圃場等に空箱Cが落下することを防止でき、空箱収容部120で空箱Cを整列させる作業等を行わなくても圃場等に空箱Cが落下することができる。その結果、空箱Cの空箱収容部120への載置作業の作業性を向上させることができると共に、落下した空箱Cを圃場等から回収する回収作業等が必要なくなって、苗植付け作業の作業性を向上させることができる。
【0076】
[12]
次に、苗補給用補助具130の構造について説明する。
図1,2,14に示すように、右及び左の補助具支持フレーム131が運転座席11の左右両側部で、ステップ28の外方側端部に装備されている。補助具支持フレーム131は、運転座席11への昇降用の手摺として兼用されるように構成されており、この補助具支持フレーム131の湾曲部131aを握って、作業者がステップ28に乗り降りできるように構成されている。
【0077】
図1,2,14に示すように、補助具支持フレーム131は、側面視でループ状に湾曲した形状に成形された湾曲部131aと、この湾曲部131aの両端から内方側に直線状に延出された前部及び後部支持部131b,131cとを、丸パイプ材を湾曲成形して構成されている。補助具支持フレーム131の前部支持部131bは、左右の支持フレーム18から左右両側方に延出された前部ブラケット132に固定されており、補助具支持フレーム131の後部支持部131cは、左右の支持フレーム18の後部上部に支持された運転座席11を支持する座席フレーム133に固定されている。
【0078】
図1,2,14に示すように、苗補給用補助具130は、左右に長いパイプ状のガード部130aと、このガード部130aの両端部を下方へ湾曲成形したパイプ状の左右の支持部130bとによって、下向きのコ字状に成形されており、支持部130bの下端部に上下2つの前後向きの取り付け穴が加工された横断面形状がコ字状の取付ブラケット130cが固着されている。苗補給用補助具130の左右の取付ブラケット130cが、後方から左右の補助具支持フレーム131の湾曲部131aの後部に締め付け固定されている。
【0079】
以上のように苗補給用補助具130を構成することにより、運転座席11の後方(運転座席11の後方で運転座席11と苗補給用補助具130のガード部130aと間)に位置するステップ28(運転座席11後方の通路)又は運転座席11の左右両側部に位置するステップ28等に乗った作業者が、予備苗のせ台32,33,35,36からの予備苗を、苗補給用補助具130にもたれかかって又は苗補給用補助具130を握って体勢を安定させながら、予備苗を苗植付装置5に補給することができる。その結果、苗植付装置5への予備苗の補給を無理なく行うことができ、予備苗の補給作業の作業性を向上できる。
【0080】
また、図2の2点鎖線で示す予備苗のせ台32,35を予備苗のせ台33の前端部及び後端部に取り付けて一列状に配置し、乗用型田植機の前方の畦等から一列状に配置した予備苗のせ台32,33,35を使って連続的に苗植付装置5に苗を補給する場合において、運転座席11の後方に位置するステップ28(運転座席11後方の通路)又は運転座席11の左右両側部に位置するステップ28等に乗った作業者が、苗補給用補助具130にもたれかかって又は苗補給用補助具130を握って体勢を安定させながら、苗を苗植付装置5に補給することができる。その結果、苗植付装置5への苗の補給を無理なく連続的に行うことができ、苗の補給作業の作業性を向上できる。
【0081】
図1,2,14に示すように、苗補給用補助具130のガード部130aの高さは、ステップ28に乗った作業者の腰部の位置又は作業者の腰部より高い位置に位置するように、苗補給用補助具130が構成されている。その結果、作業者が苗補給用補助具130に体を預けて、運転座席11側から苗植付装置5側へ体を乗り出して予備苗の補給作業を行うことが可能になって、予備苗の補給作業の作業性を更に向上できる。
【0082】
図1,2,14に示すように、苗補給用補助具130は、側面視で支持部130bが斜め前方上方に傾斜するように構成されており、苗植付装置5の移動軌跡に対する所定の隙間を確保しながら、苗補給用補助具130を苗植付装置5に近い位置に配設でき、運転座席11後方の移動スペースを広く確保できるように構成されている。また、苗補給用補助具130及び補助具支持フレーム131の形状は、予備苗の補給作業により作業者が苗補給用補助具130にもたれかかっても破損することのないように、苗補給用補助具130と補助具支持フレーム131との協働で強度を確保できるように構成されている。
【0083】
なお、本実施形態に示す液状肥料を供給するいわゆるペースト施肥機を乗用型田植機に装着した場合に限らず、粒状施肥を供給するいわゆるミッドマウント施肥機(図示せず)においても、上記の苗補給用補助具130を採用することができる。この場合、苗補給用補助具130のガード部130aの高さを、ステップ28に乗った作業者の腰部の位置又は作業者の腰部の位置より高い高さで、かつミッドマウント施肥機を構成する粒状施肥を貯留するホッパー(図示せず)の蓋(図示せず)が開閉可能な高さに設定することで、ホッパーの蓋を開閉可能に構成しながら、予備苗の補給作業の作業性を向上できる。また、ミッドマウント施肥機と運転座席11との間に通路を確保することで、予備苗の補給作業の作業性を更に向上できる。
【0084】
[13]
次に、制御装置60のブロック図について説明する。
図15に示すように、右側の肥料タンク16に装備されたモード切替スイッチ61及び攪拌スイッチ77、左右の肥料タンク16に装備された左側レベルセンサ86L(液量検出手段に相当)及び右側レベルセンサ86R(液量検出手段に相当)が制御装置60に接続されている。左側レベルセンサ86L及び右側レベルセンサ86Rは、左右の肥料タンク16に装備されており、肥料タンク16に貯留された液状肥料の液量を検出できる。
【0085】
図15に示すように、右側の肥料タンク16に装備されたモード切替スイッチ61は、後述するモード切替制御の自動モード及び手動モードの切り替えを行う人為操作具であり、このモード切替スイッチ61を前後に揺動操作することにより肥料タンク16の運転モードの切替を行うことができる。右側の肥料タンク16に装備された攪拌スイッチ77は、後述する手動モードでの入力指令を発令する人為操作具であり、モード切替スイッチ61を手動モードに切り替えて攪拌スイッチ77を押し操作すると、手動モードが実施される。
【0086】
図15に示すように、左右の肥料タンク16に装備された電動式の攪拌モータ79L,79R(電動モータに相当)は、モータ駆動回路87L,87Rを介して制御装置60に接続されており、後述するモード切替制御の自動モード又は手動モードにより、制御装置60からモータ駆動回路87L,87Rに出力することで、左右の攪拌モータ79L,79Rの正逆回転駆動及び停止ができるように構成されている。なお、モータ駆動回路87L,87Rを制御装置60に内蔵するように構成してもよい。
【0087】
[14]
次に、モード切替制御について説明する。
図16に示すように、モード切替スイッチ61、攪拌スイッチ77、及び、左右の肥料タンク16,16に装備された左側レベルセンサ86L及び右側レベルセンサ86Rからの入力データが監視されており(ステップ#11)、モード切替スイッチ61が手動モードに切り替えられている場合には(ステップ#12:YES)、後述する手動モードに移行し(ステップ#13)、モード切替スイッチ61が自動モードに切り替えられている場合には(ステップ#12:NO)、後述する自動モードに移行する(ステップ#14)。
【0088】
図17に示すように、モード切替スイッチ61を手動モードに切り替えて、攪拌スイッチ77を押し操作すると(ステップ#21:YES)、制御装置60からモータ駆動回路87L,87Rに出力されて左右の攪拌モータ79L,79Rが正回転駆動される(ステップ#22)。次に、左右の攪拌モータ79L,79Rが正回転駆動を開始してから予め設定された第1所定時間(例えば5秒)経過したか否か判断され(ステップ#23)、左右の攪拌モータ79L,79Rが第1所定時間正回転駆動すると(ステップ#23:YES)、一時的に攪拌モータ79L,79Rを停止させる(ステップ#24)。
【0089】
次に、制御装置60からモータ駆動回路87L,87Rに出力されて左右の攪拌モータ79L,79Rが逆回転駆動される(ステップ#25)。左右の攪拌モータ79L,79Rが逆回転駆動を開始してから予め設定された第2所定時間(例えば5秒)経過したか否か判断され(ステップ#26)、左右の攪拌モータ79L,79Rが第2所定時間逆回転駆動すると(ステップ#26:YES)、左右の攪拌モータ79L,79Rを停止させる(ステップ#27)。
【0090】
次に、攪拌スイッチ77を押し操作してから予め設定された第3所定時間(例えば5分)経過したか否か判断され(ステップ#28)、第3所定時間経過していない場合には(ステップ#28:NO)、上述した攪拌モータ79L,79Rの正回転駆動及び逆回転駆動を繰り返す(ステップ#22〜#27)。攪拌モータ79L,79Rの正回転駆動及び逆回転駆動を繰り返し、第3所定時間を経過すると、手動モードを終了する(ステップ#28:YES)。
【0091】
第1及び第2所定時間は、運転座席11の側部に備えられた第1調節具(図示せず)によって変更調節可能に構成されており、例えば肥料タンク16に貯留する液状肥料の粘度等に応じて第1及び第2所定時間を多く又は少なく変更調節することができるように構成されている。また、第3所定時間は、第1及び第2所定時間とは別に、運転座席11の側部に備えられた第2調節具(図示せず)によって変更調節可能に構成されており、例えば肥料タンク16に貯留する液状肥料の粘度等に応じて第3所定時間を多く又は少なく変更調節することができるように構成されている。
【0092】
図18に示すように、モード切替スイッチ61を自動モードに切り替えると、予め設定された設定時間になったか否か判断される(ステップ#31)。設定時間は攪拌モータ79L,79Rを回転駆動させる間隔を設定する時間を示し、例えば設定時間を15分に設定すると、制御装置60に備えられた内部タイマー(図示せず)により15分ごとに後述するステップ#32〜#38に従って攪拌モータ79L,79Rを回転駆動する。従って、ステップ#31においては、前回攪拌モータ79L,79Rが回転駆動されてから設定時間(例えば15分)経過したか否か判断される。なお、モード切替スイッチ61を切り替えると設定時間がリセットされるように構成されており、モード切替スイッチ61を自動モードに切り替えた初回のみは、直ちにステップ#32に移行し、その後は、設定時間ごとに攪拌モータ79L,79Rが回転駆動されるように構成されている。
【0093】
予め設定された設定時間になったと判断されると(ステップ#31:YES)、左側及び右側レベルセンサ86L,86Rの検出結果に基づいて、左右の肥料タンク16に液状肥料の液量が所定量以上(例えば肥料タンク16の容量の10%以上)貯留されているか否か判断される(ステップ#32)。このように、肥料タンク16に所定量以上の液状肥料が貯留している場合にのみ攪拌モータ79L,79Rを回転駆動させて、燃料タンク16内の液状肥料を攪拌することにより、液状肥料に沈殿等が生じ難い攪拌の必要性が低い状況での攪拌モータ79L,79Rの回転駆動を抑制でき、攪拌モータ79L,79Rを回転駆動させる電力量を節約できる。
【0094】
なお、左右の肥料タンク16のうちのいずれか一方の肥料タンク16の液量が所定量未満の場合には、液量が所定量以上の肥料タンク16のみが回転駆動されるように構成されており、左右の肥料タンク16の液量が異なる場合であっても、液状肥料の沈殿等を防止しながら、電力量の節約ができるように構成されている。
【0095】
左右の肥料タンク16に所定量以上の液状肥料が貯留されている場合には(ステップ#32:YES)、制御装置60からモータ駆動回路87L,87Rに出力されて左右の攪拌モータ79が正回転駆動される(ステップ#33)。次に、左右の攪拌モータ79が正回転駆動を開始してから予め設定された第1所定時間(例えば5秒)経過したか否か判断され(ステップ#34)、左右の攪拌モータ79が第1所定時間正回転駆動すると(ステップ#34:YES)、一時的に攪拌モータ79を停止させる(ステップ#35)。
【0096】
次に、制御装置60からモータ駆動回路87L,87Rに出力されて左右の攪拌モータ79が逆回転駆動される(ステップ#36)。左右の攪拌モータ79が逆回転駆動を開始してから予め設定された第2所定時間(例えば5秒)経過したか否か判断され(ステップ#37)、左右の攪拌モータ79が第2所定時間逆回転駆動すると(ステップ#37:YES)、攪拌モータ79を停止させる(ステップ#38)。
【0097】
次に、設定時間になってから予め設定された第3所定時間(例えば5分)経過したか否か判断され(ステップ#39)、第3所定時間経過していない場合には(ステップ#39:NO)、上述した攪拌モータ79の正回転駆動及び逆回転駆動を繰り返す(ステップ#32〜#38)。攪拌モータ79の正回転駆動及び逆回転駆動を繰り返し、第3所定時間を経過すると、自動モードを終了する(ステップ#39:YES)。
【0098】
第3所定時間を経過する間に、左側及び右側レベルセンサ86L,86Rの検出結果に基づいて、左右の肥料タンク16の液状肥料の液量が所定量未満に減少したと判断される場合には(ステップ#32:NO)、攪拌モータ79L,79Rの回転駆動を終了する。
【0099】
なお、設定時間を設けずに(ステップ#31を省略して)、左側及び右側レベルセンサ86L,86Rの検出結果に基づいて、左右の肥料タンク16に液状肥料の液量が所定量以上の場合には自動的に攪拌モータ79を正逆回転駆動し、左右の肥料タンク16の液状肥料の液量が所定量未満の場合には攪拌モータ79L,79Rの正逆回転駆動を停止(又は中止)するように構成してもよい。
【0100】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、攪拌スイッチ77を操作し又は設定時間になると、攪拌モータ79を正逆転及び停止するように制御手段及び停止手段(モード切替制御)を構成した例を示したが、異なる入力手段により制御手段が作動するように構成してもよく、例えばエンジン19の始動や苗植付装置5の作動等の乗用型田植機に装備された電気機器類の電気信号に基づいて、制御手段及び停止手段が自動的に作動するように構成してもよい。
【0101】
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、第3所定時間を経過すると攪拌モータ79が停止するように、停止手段(モード切替制御)を構成した例を示したが、例えば左側レベルセンサ86L又は右側レベルセンサ86Rの検出結果に基づいて、貯留タンク16に貯留された液状肥料の液量に応じて攪拌モータ79を停止させる第3所定時間を変更するように構成してもよい。このように構成することにより、更に効率よく液状肥料を攪拌できる。また、第1所定時間及び第2所定時間についても同様に、左側レベルセンサ86L又は右側レベルセンサ86Rの検出結果に基づいて、貯留タンク16に貯留された液状肥料の液量に応じて攪拌モータ79を停止させる第1又は第2所定時間を変更するように構成してもよい。
【0102】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、内側保持具121及び外側保持具122を予備苗のせ台36に固定して空箱収容部120を構成した例を示したが、図19に示すような空箱収容部120を採用してもよい。なお、後述する以外の他の構成は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様である。
【0103】
図19(イ)に示すように、予備苗のせ台36に空箱Cを載置するスライド部材140が予備苗のせ台36に対して前後にスライド可能に装着されており、このスライド部材140の前端部に前部保持具141が装着され、予備苗のせ台36の後部に後部保持具142が装備されて、スライド部材140、前部保持具141及び後部保持具142によって空箱Cを収容する空箱収容部120が形成されている。スライド部材140と予備苗のせ台36とに亘って固定具(図示せず)が設けられており、この固定具を解除することでスライド部材140を前後にスライド移動させることができ、固定具をロックすることでスライド部材140を前後にスライド移動させた状態を保持できるように構成されている。なお、スライド部材140を異なる方向(後方、右方又は左方)にスライド移動させるように構成してもよい。
【0104】
図19(ロ)に示すように、スライド部材140を前方にスライド移動させることで、空箱収容部120に収容された複数の空箱Cを前方に移動させることができ、空箱収容部120に収容された複数の空箱Cを上方に持ち上げないで一度に空箱収容部120の左右両側方から右又は左に移動させて回収する(取り出す)ことができて、空箱収容部120から空箱Cを容易に回収することができる。具体的には、例えば図2の2点鎖線で示す予備苗のせ台32,35を予備苗のせ台33の前端部及び後端部に取り付けて一列状に配置し、乗用型田植機の前方の畦等から一列状に配置した予備苗のせ台32,33,35を使って連続的に苗植付装置5に苗を補給する場合において、苗植付装置5に補給する際に発生した空箱Cを空箱収容部120に収容して、この空箱収容部120に収容された空箱Cを、畦等の作業者がスライド部材140を前方にスライド移動させて乗用型田植機の前方から簡易迅速に回収することができる。
【0105】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、液状肥料を右及び左の肥料タンク16に貯留した例を示したが、液状肥料に代えて右及び左の肥料タンク16に、液状の薬剤(農用供給体に相当)を入れて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】乗用型田植機の全体平面図
【図3】乗用型田植機の全体正面図
【図4】エンジン、静油圧式無段変速装置、ミッションケース、変速機構、第1〜8側条ポンプ及び第1〜4深層ポンプの伝動系(農用供給体伝動系)、並びに、第1〜8側条ポンプ及び第1〜4深層ポンプと、第1〜8側条ノズル及び第1〜4深層ノズルとの接続状態を示す図
【図5】エンジン、静油圧式無段変速装置、ミッションケース、苗植付装置の伝動系(植付伝動系)、並びに、変速機構、第1〜8側条ポンプ及び第1〜4深層ポンプの伝動系(農用供給体伝動系)を示す図
【図6】左の肥料タンク、第1〜4側条ポンプ及び第1,2深層ポンプの付近の側面図
【図7】左の肥料タンク、第1〜4側条ポンプ及び第1,2深層ポンプの付近の縦断正面図
【図8】右の肥料タンクの縦断側面図
【図9】右の肥料タンク及び攪拌部材を示す斜視図
【図10】保護具及び補強部材の構造を示す左の肥料タンク下部の正面図
【図11】保護具及び補強部材の構造を示す左の肥料タンク下部の右側面図
【図12】左の空箱収容部の構造を示す斜視図
【図13】左の空箱収容部の構造を示す正面図
【図14】苗補給用補助具の構造を示す縦断正面図
【図15】制御装置のブロック図
【図16】モード切替制御のメインルーチンを示すフローチャート
【図17】モード切替制御の手動モードでのフローチャート
【図18】モード切替制御の自動モードでのフローチャート
【図19】発明の実施の第2別形態での左の空箱収容部の構造を示す縦断左側面図
【符号の説明】
【0107】
16 肥料タンク(貯留タンク)
78 攪拌部材
79 攪拌モータ(電動モータ)
80a〜80h 第1〜第8側条ポンプ(繰り出し部)
81a〜81d 第1〜第4深層ポンプ(繰り出し部)
82a〜82h 第1〜第8側条ノズル(供給部)
83a〜83d 第1〜第4深層ノズル(供給部)
86L 左側レベルセンサ(液量検出手段)
86R 右側レベルセンサ(液量検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の農用供給体を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクの液状の農用供給体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部からの液状の農用供給体を圃場に供給する供給部とを備えると共に、
前記貯留タンクの液状の農用供給体を攪拌する攪拌部材と、前記攪拌部材を駆動する電動モータと、前記電動モータを正逆転させる制御手段とを備えてある乗用型作業機。
【請求項2】
前記電動モータが設定時間に亘って正逆転すると、前記制御手段による電動モータの正逆転を停止させる停止手段を備えてある請求項1記載の乗用型作業機。
【請求項3】
前記貯留タンクに貯留された液状の農用供給体の液量を検出する液量検出手段を備え、
前記液量検出手段により検出した液量が設定液量より少ない場合には、前記制御手段による電動モータの正逆転を停止させる停止手段を備えてある請求項1記載の乗用型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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