説明

二次電池用電極、二次電池用電極の製造方法及び二次電池並びに車両

【課題】二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる二次電池用電極を提供する。
【解決手段】二次電池用電極10は金属製の集電板11の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層12を有する電極からなる。活物質層12は集電板11の両面にそれぞれ2層に形成され、最も表面側の活物質層としての表面層15は内側層13の全面に塗布されるのではなく、少なくとも一端が表面層15の外周端部まで達する溝16が複数形成されている。表面層15は間欠的に塗布されており、溝16は集電板11の長手方向と直交する方向に延び、かつ両端が表面層15の外周端部まで達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電極、二次電池用電極の製造方法及び二次電池並びに車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池などの二次電池では、電極として金属製の集電板に活物質を塗布(担持)したものが使用されている。そして、集電板に塗布された活物質の量を多くすることにより、二次電池の出力(放電電流に放電電圧を乗じた値)を高くすることができる。
【0003】
二次電池の基本的な構成は、金属製の集電板に活物質を塗布(担持)した正極用の集電板と負極用の集電板との間に帯状のセパレータを挟んだ積層状態で発電要素(電極組立体)が構成され、その発電要素が電解液と共に電池ケースに収容されている。二次電池の製造工程には、電池ケース内に収容された発電要素を構成する集電板に塗布された活物質に電解液を含浸させる工程があるが、活物質の量が多くなると、含浸に時間がかかり生産性が悪くなる。
【0004】
電解液の含浸性を向上させる方法として、図5に示すように、溝加工用突条50a,51aを有する一対の溝加工ローラ50,51間を、長尺帯状の銅箔製の集電用芯材52の両面に正極活物質層53が形成された正極板フープ材54を通過させることにより両面の正極活物質層53に溝部55を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−186737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1の方法で形成された溝部55は正極活物質層53を圧縮して形成されているため、溝部55の正極活物質層53は高密度となり、電解液の含浸を阻害する。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる二次電池用電極、二次電池用電極の製造方法及び二次電池並びにその二次電池を搭載した車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、金属製の集電板の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層を有する電極からなる二次電池用電極であって、前記活物質層は前記集電板の少なくとも片面に複数層に塗布され、最も表面側の前記活物質層には少なくとも一端が前記最も表面側の活物質層の外周端部まで達する溝が複数形成されている。
【0009】
集電板に塗布された活物質層に電解液を含浸する際、含浸に要する時間は活物質層の密度が同じであれば、厚さが厚い方が長くなる。活物質層を圧縮して活物質層の厚さを薄くした場合は、薄くした分、密度が高くなるため、含浸に要する時間の短縮効果は低い。しかし、この発明では、集電板の少なくとも片面に塗布された活物質層は複数層からなり、最も表面側の活物質層は少なくとも一端が最も表面側の活物質層の外周端部まで達する溝が複数形成されて、溝は活物質層を圧縮せずに形成されているため、溝が形成された部分は他の部分より電解液の含浸が早くなる。また、溝が形成されていない部分も、表面からだけでなく溝の部分からも電解液が含浸するようになるため、電解液の含浸が早くなる。したがって、二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記活物質層は前記集電板の両面に塗布されている。一枚の電極板に塗布される活物質の量が同じばあい、活物質層が電極板の両面に形成されている方が片面に形成されている場合に比べて厚さが半分になり、二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、最も表面側の前記活物質層は間欠的に塗布されている。ここで、「間欠的に塗布されている」とは、最も表面側の活物質層を構成する活物質層が一つではなく、集電板の長手方向に間隔をおいて複数の部分が独立して存在することを意味する。この発明では、最も表面側の活物質層は間欠的に塗布されているため、最も表面側の活物質層には少なくとも一端が最も表面側の活物質層の外周端部まで達する溝が存在する状態になる。一般に二次電池では電極はセパレータを挟んで複数層に積層された状態で電池ケース内に収容され、電解液は電極とセパレータの間から電極の活物質層に含浸する。そのとき、少なくとも一端が最も表面側の活物質層の外周端部まで達する溝が存在すると、電解液が溝に浸入し易くなり活物質層への含浸がより早くなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記集電板は一方向に長く延びる形状をしており、前記溝は前記集電板の長手方向と直交する方向に延び、かつ両端が前記最も表面側の活物質層の外周端部まで達する。この発明では、溝が集電板の長手方向と傾斜する状態で形成されたものに比べてローラを用いた活物質の塗布が容易になる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池用電極を用いた二次電池である。この発明の二次電池は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池用電極の効果が得られる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の二次電池を搭載した車両である。したがって、この発明の車両は請求項5に記載の二次電池の効果が得られる。
請求項7に記載の発明は、金属製の集電板の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層を有する電極からなる二次電池用電極の製造方法であって、前記活物質の塗布工程において、前記集電板に活物質層が複数層になるように複数回に分けて塗布を行い、最も表面側の前記活物質層の塗布は間欠的に行う。したがって、最も表面側の活物質層には最も表面側の活物質層の外周端部まで達する溝が存在し、二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる二次電池用電極を容易に製造することができる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、最も表面側の前記活物質層の塗布は転写ローラを用いて行われる。活物質を集電板に塗布する場合、活物質のペーストを集電板上あるいは集電板に塗布された活物質層上に直接塗布する方法では、集電板が移動する状態において所望の間隔で間欠的に塗布するのが難しい。しかし、この発明では、最も表面側の活物質層の活物質の塗布は転写ローラを用いて行われるため、集電板が移動する状態でも活物質を所望の間隔で間欠的に容易に塗布することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる二次電池用電極を提供することができる。請求項5に記載の発明によれば、前記二次電池用電極の効果が得られる二次電池を提供することができる。請求項6に記載の発明によれば、前記二次電池の効果が得られる車両を提供することができる。請求項7及び請求項8に記載の発明によれば、二次電池を製造する際に活物質層への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる二次電池用電極の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は電極の模式平面図、(b)は模式側面図。
【図2】(a)は転写ローラを用いた活物質の塗布方法を示す模式図、(b)は表面層の塗布方法を示す模式図。
【図3】電解液含浸時間と電極抵抗の関係を示すグラフ。
【図4】(a),(b)は別の実施形態の電極の模式平面図、(c)は別の実施形態の溝の形状を示す模式図。
【図5】従来技術の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a),(b)に示すように、二次電池用電極10は金属製の集電板11の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層12を有する電極からなる。この実施形態では、集電板11は、例えば帯状の銅箔で形成され、活物質層12は集電板11の両面にそれぞれ複数層に塗布されている。この実施形態では活物質層12は2層に形成され、内側層13は集電板11の幅方向の両側に存在する一定幅の活物質非塗布部14を除いた部分全面に塗布されている。最も表面側の活物質層としての表面層15は内側層13の全面に塗布されるのではなく、少なくとも一端が表面層15の外周端部まで達する溝16が複数形成されている。内側層13を構成する活物質と表面層15を構成する活物質とは同じものが使用されている。
【0019】
この実施形態では表面層15は間欠的に塗布されている。また、集電板11は一方向に長く延びる形状をしており、溝16は集電板11の長手方向と直交する方向に延び、かつ両端が表面層15の外周端部まで達する。即ち、内側層13上には集電板11の長手方向に間隔をおいて複数の表面層15が独立して存在する。各溝16間の間隔Lは、例えば、内側層13の幅以上に形成されている。
【0020】
活物質は、例えば、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のように二次電池の種類によって異なる。また、同じ種類の二次電池でも正極用の電極に塗布されるものと負極用の電極に塗布されるものとでは異なる。
【0021】
次に前記のように構成された二次電池用電極10の製造方法を説明する。
二次電池用電極10の製造方法として、活物質の塗布工程が従来と異なり、その他の工程は基本的に同じため、説明を省略する。活物質の塗布工程は内側層13を形成する内側層塗布工程と、表面層15を形成する表面層塗布工程とがあり、内側層塗布工程は従来と同様に行われる。そして、内側層塗布工程で形成された内側層13が塗布された集電板11の内側層13上に表面層塗布工程で表面層15が塗布される。
【0022】
表面層塗布工程では転写ローラを用いて表面層15の塗布が間欠的に行われる。転写ローラを用いた塗布装置は、図2に示すように、転写ローラ21とニップローラ22とが対向して設けられ、転写ローラ21はニップローラ22に対して接近、離間可能に図示しない駆動装置により移動されるようになっている。転写ローラ21及びニップローラ22の下方には帯状の集電板11を案内するガイドローラ23が設けられている。そして、内側層13が塗布された集電板11は、図示しない集電板供給ローラから供給されるとともに、ガイドローラ23を経て転写ローラ21とニップローラ22の間を通過した後、図示しないガイドローラに案内されて図示しない巻き取りローラに巻き取られるようになっている。なお、集電板11の移動経路にはガイドローラの他に図示しない張力調整機構が設けられている。転写ローラ21近傍にはペースト状の活物質を転写ローラ21上に供給する活物質供給部24が、転写ローラ21と一体的に移動可能に設けられている。
【0023】
転写ローラ21に活物質供給部24から供給された活物質は、転写ローラ21がニップローラ22に接近した転写位置では転写ローラ21とニップローラ22とによりニップされた集電板11上に転写される。また、転写ローラ21がニップローラ22から離れて集電板11のニップが解除される位置に配置された状態では、転写ローラ21上の活物質は集電板11上に転写されない。活物質供給部24は図示しない機構により、活物質を転写ローラ21上へ供給可能な状態と、供給を停止する状態とに切り換えられるようになっている。そして、転写ローラ21のニップローラ22への接近、離間と、活物質供給部24からの転写ローラ21への活物質の供給、停止を制御することにより、図2(a)に示すように、集電板11上に任意の長さの活物質層12を塗布することが可能になっている。
【0024】
そして、活物質が活物質供給部24から一定の間隔で供給される状態で、転写ローラ21が所定のタイミングでニップローラ22に対して接近、離間を繰り返すことにより、図2(b)に示すように、内側層塗布工程で内側層13(図示せず)が形成された集電板11上に活物質が表面層15として間欠的に塗布される。活物質が片面に塗布されて表面層15が片面に形成された集電板11は巻き取りローラに巻き取られる。そして、片面に表面層15が形成された集電板11は、前述と同様にして反対側の面に活物質が塗布されて表面層15が両面に形成された集電板11が形成される。なお、図2(b)では表面層15が等間隔で塗布されていることを分かり易くするため、隣り合う表面層15の間隔を表面層15の長さに比べて広く図示している。
【0025】
次に前記のように構成された二次電池用電極10の作用を説明する。
二次電池の基本的な構成は、金属製の集電板11に活物質を塗布(担持)した正極用の二次電池用電極10と負極用の二次電池用電極10との間に帯状のセパレータを挟んだ積層状態で発電要素(電極組立体)が構成され、その発電要素が電解液と共に電池ケースに収容されている。二次電池の製造工程には、電池ケース内に収容された発電要素を構成する集電板11に塗布された活物質層12に電解液を含浸させる工程があるが、活物質層12の厚さが厚くなると、含浸に時間がかかり生産性が悪くなる。
【0026】
集電板11に塗布された活物質層12に電解液が含浸される際、含浸に要する時間は活物質層12の密度が同じであれば、厚さが厚い方が長くなる。活物質層12を圧縮して活物質層12の厚さを薄くした場合は、薄くした分、密度が高くなるため、含浸に要する時間の短縮効果は低い。しかし、この実施形態の二次電池用電極10は、集電板11の両面に塗布された活物質層12は複数層からなり、表面層15は少なくとも一端が表面層15の外周端部まで達する溝16が複数形成されているため、溝16が形成された部分は他の部分より電解液の含浸が早くなる。また、溝16が形成されていない部分も、表面からだけでなく溝16の部分からも電解液が含浸するようになるため、電解液の含浸が早くなる。
【0027】
二次電池用電極10を構成する活物質層12への電解液の含浸性に対する溝16の効果を確認するため、集電板11の内側層13上に表面層15が間欠的に形成された二次電池用電極(実施例)と、比較例として集電板11上に内側層13及び表面層15の合計の厚さを有する1層の活物質層12が形成された二次電池用電極を形成した。実施例と比較例の二次電池用電極について、電解液含浸時間と電極抵抗の関係を調べた。結果を図3に示す。図3において縦軸は電極抵抗を表し、横軸は浸漬時間を表す。
【0028】
二次電池用電極に電解液の含浸を開始した時点では電極抵抗はkΩ(キロオーム)のオーダーであるが、含浸の進行に伴って電極抵抗は低下し、mΩ(ミリオーム)のオーダーまで低下して安定化、即ちほぼ一定の値になる。電解液が活物質層12全体に含浸されたことの確認は、電極抵抗がmΩのオーダーで安定化することで行われる。図3に示すように、実施例の二次電池用電極は比較例の二次電池用電極に比べて電極抵抗の低下速度が大きく、安定化に要する時間が短くなった。比較例に比べて実施例では1/4程度の時間で安定化した。
【0029】
前記の構成の二次電池用電極10を用いた二次電池は種々の用途に使用されるが、例えば車両に搭載した状態でも使用される。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0030】
(1)二次電池用電極10は、金属製の集電板11の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層12を有する電極からなり、活物質層12は集電板11の少なくとも片面に複数層に塗布され、最も表面側の活物質層(表面層15)には少なくとも一端が表面層15の外周端部まで達する溝16が複数形成されている。そのため、活物質層12を圧縮して溝16を形成した場合に比べて電解液の含浸が早くなる。したがって、二次電池を製造する際に活物質層12への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる。
【0031】
(2)活物質層12は集電板11の両面に塗布されている。一枚の集電板11に塗布される活物質の量が同じばあい、活物質層12が集電板11の両面に形成されている方が片面に形成されている場合に比べて厚さが半分になり、二次電池を製造する際に活物質層12への電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる。
【0032】
(3)表面層15は間欠的に塗布されているため、表面層15には両端が表面層15の外周端部まで達する溝16が存在する状態になる。したがって、一端が表面層15の外周端部まで達する溝が形成された場合に比べて、電解液が溝16に浸入し易くなり活物質層12への含浸がより早くなる。
【0033】
(4)集電板11は一方向に長く延びる形状をしており、溝16は集電板11の長手方向と直交する方向に延び、かつ両端が表面層15の外周端部まで達する。したがって、溝16が集電板11の長手方向と傾斜する状態で形成されたものに比べてローラを用いた活物質の塗布が容易になる。
【0034】
(5)二次電池用電極の製造方法は、金属製の集電板11の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層12を有する電極からなる二次電池用電極に対する活物質の塗布工程において、集電板11に活物質層12が複数層になるように複数回に分けて塗布を行い、最も表面側の活物質層(表面層15)の塗布は間欠的に行う。したがって、表面層15として両端が表面層15の外周端部まで達する溝16が存在し、電解液の含浸に要する時間の短縮を図ることができる二次電池用電極10を容易に製造することができる。
【0035】
(6)表面層15の塗布は転写ローラ21を用いて行われる。活物質を集電板11に塗布する場合、活物質のペーストを集電板11上あるいは集電板11に塗布された活物質層12上に直接塗布する方法では、集電板11が移動する状態において所望の間隔で間欠的に塗布するのが難しい。しかし、表面層15の塗布は転写ローラ21を用いて行われるため、集電板11が移動する状態でも活物質層12を所望の間隔で間欠的に容易に塗布することができる。
【0036】
(7)前記のように構成された二次電池用電極10を用いた二次電池は、二次電池用電極10が有する効果を得ることができる。
(8)前記の二次電池を車両に搭載して使用すると、その車両はその二次電池が有する効果を得ることができる。
【0037】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 活物質層12は集電板11の両面ではなく片面にのみ形成されていてもよい。即ち、活物質層12は集電板11の少なくとも片面に形成されていればよい。
【0038】
○ 溝16は集電板11の長手方向と直交する方向に延びるものに限らず、例えば、図4(a)に示すように、集電板11の長手方向と傾斜する方向に延びる溝16が形成されるように表面層15が塗布されてもよい。
【0039】
○ 表面層15は、内側層13上に内側層13の幅と同じ幅で塗布される代わりに、図4(b)に示すように、内側層13の幅より狭い幅で塗布されてもよい。この場合、電解液の含浸はより早く行われる。
【0040】
○ 隣り合う溝16の間隔L、即ち表面層15の長さは一定ではなく、異なる間隔Lの部分が存在してもよい。
○ 表面層15は両端が表面層15の外周端部まで達する溝16が複数存在する状態に限らず、少なくとも一端が表面層15の外周端部まで達する溝16が複数形成されていればよい。例えば、図4(c)に示すように、隣り合う表面層15同士が幅方向の一端で連続部15aを介して連続する状態に形成され、溝16は両端が表面層15の外周端部まで達する構成ではなく一端が表面層15の外周端部まで達する構成であってもよい。
【0041】
○ 二次電池用電極10は活物質非塗布部14が集電板11の幅方向の両側に設けられた構成に限らず、幅方向の片側に設けられた構成であってもよい。
○ 集電板11上に塗布された内側層13上に活物質のペーストを間欠的に塗布して表面層15を間欠的に形成する場合、転写ローラ21を用いて塗布する代わりに、活物質供給部24から活物質のペーストを直接内側層13上に供給するようにしてもよい。また、ノズル噴射インクジェット式や塗布式などにより活物質のペーストを直接内側層13上に供給するようにしてもよい。
【0042】
○ 集電板11上に形成された活物質層12は複数層で表面層15の内側に内側層13が2層以上存在してもよい。また、内側層13が2層以上存在する場合、それらの幅が全て同じではなく、表面層15に近い側の内側層13の幅が狭くてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…二次電池用電極、11…集電板、12…活物質層、15…最も表面側の活物質層としての表面層、16…溝、21…転写ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の集電板の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層を有する電極からなる二次電池用電極であって、前記活物質層は前記集電板の少なくとも片面に複数層に塗布され、最も表面側の前記活物質層には少なくとも一端が前記最も表面側の活物質層の外周端部まで達する溝が複数形成されていることを特徴とする二次電池用電極。
【請求項2】
前記活物質層は前記集電板の両面に塗布されている請求項1に記載の二次電池用電極。
【請求項3】
最も表面側の前記活物質層は間欠的に塗布されている請求項1又は請求項2に記載の二次電池用電極。
【請求項4】
前記集電板は一方向に長く延びる形状をしており、
前記溝は前記集電板の長手方向と直交する方向に延び、かつ両端が前記最も表面側の活物質層の外周端部まで達する請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池用電極を用いた二次電池。
【請求項6】
請求項5に記載の二次電池を搭載した車両。
【請求項7】
金属製の集電板の少なくとも片面に活物質が塗布された活物質層を有する電極からなる二次電池用電極の製造方法であって、前記活物質の塗布工程において、前記集電板に活物質層が複数層になるように複数回に分けて塗布を行い、最も表面側の前記活物質層の塗布は間欠的に行うことを特徴とする二次電池用電極の製造方法。
【請求項8】
最も表面側の前記活物質層の塗布は転写ローラを用いて行われる請求項7に記載の二次電池用電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101877(P2013−101877A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245667(P2011−245667)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】