説明

二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収システム

【課題】 二酸化炭素の吸着処理、二酸化炭素の離脱処理、二酸化炭素吸着材のリペア処理、及び二酸化炭素吸着材の製造処理を行うことができる二酸化炭素回収装置を提供すること。
【解決手段】 二酸化炭素の吸着処理、二酸化炭素の離脱処理、二酸化炭素吸着材のリペア処理、及び二酸化炭素吸着材の製造処理を行うことができる二酸化炭素回収装置12であって、流体処理通路17を有し、流体処理通路17に気体を供給するための気体供給口18、及び流体処理通路17に供給された気体を排出するための気体排出口19が形成されたケーシング13と、流体処理通路17内に設けられ二酸化炭素吸着材Kを収容する複数の収容槽14と、各収容槽14内に吸着液を供給する吸着液供給部15とを備え、各収容槽14の底部には、収容槽14内に供給された吸着液の貯留及び排出を可能にする通路開閉機構16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素吸着材の製造及びリペア(回復)、二酸化炭素の吸着、並びに二酸化炭素吸着材の再生を行なうことができる二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二酸化炭素回収装置の一例として、二酸化炭素を吸着することができる吸着液を多孔性物質に担持させた二酸化炭素吸着材に、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素が除去された気体を作ることができるものがある。そして、この二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させて二酸化炭素吸着材を再生できるようになっている。
【0003】
また、従来の二酸化炭素回収装置の他の一例として、吸収塔と再生塔とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。吸収塔では、二酸化炭素を含む被処理気体と、二酸化炭素を吸収することができる二酸化炭素吸収液とを互いに接触させることによって、被処理気体に含まれる二酸化炭素を二酸化炭素吸収液で吸収して、被処理気体から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を除去した気体を作る処理が行なわれる。
【0004】
再生塔では、この二酸化炭素を吸収したリッチ溶液(二酸化炭素吸収液)を再生加熱器により加熱して、二酸化炭素を除去した二酸化炭素吸収液に再生する処理が行なわれる。そして、この再生塔で二酸化炭素が除去されたリーン溶液(二酸化炭素吸収液)は、吸収塔で再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−61777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の二酸化炭素回収装置の前者のものでは、二酸化炭素吸着材に、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素が除去された気体を作ること、及びこの二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させて二酸化炭素吸着材を再生することを繰り返すと、二酸化炭素吸着材に担持されている吸着液が劣化したり蒸発して、二酸化炭素吸着材の性能が低下する。
【0007】
このため、二酸化炭素吸着材を或る一定期間使用したときに、低下した性能を回復させるためのリペア処理を行う必要がある。このリペア処理には、二酸化炭素を吸着することができる吸着液を、多孔性物質に担持させるための担持設備、及び吸着液を担持する多孔性物質を乾燥させるための乾燥設備が必要である。
【0008】
また、新品の二酸化炭素吸着材を製造するときにも、吸着液を多孔性物質に担持させるための担持設備、及び吸着液を担持する多孔性物質を乾燥させるための乾燥設備が必要である。
【0009】
しかし、このような担持設備及び乾燥設備を準備するためには、それらの設備のコストが掛かり、各設備を設置するためのスペースも必要となる。
【0010】
また、上記従来の二酸化炭素回収装置の後者のものでは、吸収塔及び再生塔が別々の設備として必要であり、それら両方の設備のコストが掛かり、それらの設備を設置するためのスペースも必要である。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素を吸着したり、二酸化炭素吸着材を再生するための吸着再生機能、並びに、二酸化炭素吸着材をリペア及び製造するためのリペア製造機能を共通の装置で行なえるようにして、コストの低減、小型化、及び設置スペースの削減を図ることができる二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る二酸化炭素回収装置は、二酸化炭素を吸着することができる吸着液を多孔性物質に担持させた二酸化炭素吸着材に、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着させたり、前記二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させることができ、更に、前記二酸化炭素吸着材及び前記多孔性物質に前記吸着液を担持させることができる二酸化炭素回収装置であって、内部に流体を通すための流体処理通路を有し、前記流体処理通路に気体を供給するための1又は2以上の気体供給口、及び前記流体処理通路に供給された気体を排出するための1又は2以上の気体排出口が形成されたケーシングと、前記流体処理通路内に設けられ前記二酸化炭素吸着材を収容する収容槽と、前記収容槽内に吸着液を供給するための吸着液供給部とを備え、前記収容槽の底部又は前記収容槽の下方には、前記流体処理通路を開閉することによって前記収容槽内に供給された吸着液の排出及び貯留を可能にする通路開閉機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る二酸化炭素回収装置を使用して二酸化炭素を含む被処理気体から二酸化炭素を吸着させるときは、通路開閉機構によって流体処理通路を開状態にして、この被処理気体をケーシングの気体供給口に通して流体処理通路に流入させる。これによって、被処理気体に含まれる二酸化炭素が、流体処理通路内の収容槽に収容されている二酸化炭素吸着材に接触して吸着され(吸着処理)、二酸化炭素濃度の低い気体を気体排出口から排出することができる。このようにして、被処理気体から二酸化炭素を回収することができる。
【0014】
そして、二酸化炭素を吸着した二酸化炭素吸着材から二酸化炭素を離脱させるときは、通路開閉機構によって流体処理通路を開状態にして、例えば加熱気体を気体供給口に通して流体処理通路に流入させて、二酸化炭素吸着材を加熱する。これによって、二酸化炭素吸着材から二酸化炭素を離脱させることができ、この離脱した二酸化炭素を気体排出口から排出することができる。このようにして、二酸化炭素吸着材を再生することができる(再生処理)。
【0015】
また、二酸化炭素吸着性能が劣化した二酸化炭素吸着材に吸着液を担持させて二酸化炭素吸着材をリペアするとき、又は二酸化炭素吸着材を製造するときは、まず、収容槽内に二酸化炭素吸着材(又は多孔性物質)を配置して、この収容槽内に吸着液を貯留できるように、通路開閉機構によって流体処理通路を閉状態にする。この状態で、吸着液供給部によって吸着液を収容槽内に供給すると、収容槽内の二酸化炭素吸着材(又は多孔性物質)が吸着液に浸漬され、吸着液を二酸化炭素吸着材(又は多孔性物質)に担持させることができる。次に、通路開閉機構によって流体処理通路を開状態にして、収容槽内の吸着液を排出する。そして、例えば乾燥気体を気体供給口に通して流体処理通路に流入させて、吸着液を担持する二酸化炭素吸着材(又は多孔性物質)を乾燥させる。これによって、二酸化炭素吸着材をリペア(又は製造)することができる(リペア処理又は製造処理)。
【0016】
この発明に係る二酸化炭素回収装置において、前記通路開閉機構は、可動板状部材と固定板状部材とを有し、これら前記可動板状部材及び前記固定板状部材のそれぞれには、多数の貫通孔が分散して設けられ、前記可動板状部材が所定の開位置又は閉位置に移動したときに、前記可動板状部材の多数の第1貫通孔が、前記固定板状部材の多数の第2貫通孔と互いに重なり合う開状態となり、又は互いに重なり合わない閉状態となるものとすることができる。
【0017】
このようにすると、可動板状部材を所定の開位置又は閉位置に移動させるだけで、流体処理通路を開閉することができる。従って、二酸化炭素を吸着する吸着処理、二酸化炭素吸着材を再生する再生処理、二酸化炭素吸着材を回復させるリペア処理、及び二酸化炭素吸着材を製造する製造処理をするときに使用される通路開閉機構の構成の簡単化及びコンパクト化を図ることができる。
【0018】
そして、可動板状部材及び固定板状部材のそれぞれには、多数の貫通孔を分散して設けてあるので、前記それぞれの吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理をするときに、被処理気体、加熱気体、又は乾燥気体を、これら分散して設けられた多数の第1及び第2貫通孔に通して、収容槽に収容されている多孔性物質又は二酸化炭素吸着材に満遍なく接触させることができ、これによって、被処理気体、加熱気体、又は乾燥気体を使用して行われるそれぞれの前記処理を、短時間で確実に行えるようにすることができる。更に、二酸化炭素吸着材から離脱した二酸化炭素を、収容槽内に滞留させずにスムースに排出することができる。
【0019】
この発明に係る二酸化炭素回収装置において、前記流体処理通路を一部として有し、不活性ガスが循環して流れる循環ラインを備え、前記不活性ガスは、前記収容槽に収容されている前記二酸化炭素吸着材を乾燥させるためのものとすることができる。
【0020】
例えばリペア処理又は製造処理において、不活性ガスを使用して二酸化炭素吸着材に担持されている吸着液を乾燥させると、吸着液の酸化を防止して、吸着液が有する二酸化炭素吸着性能の低下を防止できる。そして、不活性ガスを、流体処理通路を一部として有する循環ラインで循環させて二酸化炭素吸着材を乾燥させると、少ない不活性ガスを使用して二酸化炭素吸着材を乾燥させることができる。
【0021】
この発明に係る二酸化炭素回収装置において、不活性ガスの前記循環ラインには、不活性ガス中に含まれる水分を凝縮するための凝縮器、及び不活性ガスを加熱するための加熱器が設けられているものとすることができる。
【0022】
このようにすると、凝縮器は、不活性ガスに含まれる水分(二酸化炭素吸着材から蒸発した水分を含む)を凝縮させて除去することができる。そして、加熱器は、不活性ガスを加熱して二酸化炭素吸着材の乾燥を促進することができる。これによって、収容槽内の二酸化炭素吸着材が担持している吸着液を効率よく乾燥させることができる。
【0023】
この発明に係る二酸化炭素回収装置において、複数の前記収容槽が、前記ケーシング内に上下方向に沿って設けられ、複数のそれぞれの前記収容槽の底部に対して前記通路開閉機構が設けられているものとすることができる。
【0024】
このようにすると、二酸化炭素吸着材を再生又は製造するときに、例えばまず、上段及びその下段に配置されたそれぞれの収容槽の底部が閉状態となるように、それぞれの通路開閉機構を作動させる。次に、上段の収容槽内に吸着液を供給して、吸着液をその上段の収容槽内に収容されている二酸化炭素吸着材又は多孔性物質に担持させる。そして、上段の収容槽の底部が開状態となるように、通路開閉機構を作動させる。これによって、上段の収容槽内に供給された吸着液が、この上段の収容槽から排出されて、下段の収容槽内に移し返ることができる。これによって、吸着液をその下段の収容槽内に収容されている二酸化炭素吸着材又は多孔性物質に担持させることができる。従って、1つの収容槽で使用される量の吸着液を使用して、複数のそれぞれの収容槽に収容されている二酸化炭素吸着材又は多孔性物質に吸着液を担持させることができる。よって、二酸化炭素吸着材をリペア又は製造するときに使用される吸着液の量の低減を図ることができる。
【0025】
この発明に係る二酸化炭素回収装置において、前記ケーシング内の上段側に設けられている1又は2以上の上段側の前記収容槽と、それよりも下段側に設けられている1又は2以上の下段側の前記収容槽とを備え、前記吸着液供給部は、上段側の1又は2以上の前記収容槽のうちの最上段の前記収容槽、及び下段側の1又は2以上の前記収容槽のうちの最上段の前記収容槽に吸着液を供給するように構成されているものとすることができる。
【0026】
このようにすると、二酸化炭素吸着材をリペア又は製造するときに、1又は2以上の上段側の収容槽と、1又は2以上の下段側の収容槽とに、別々に吸収液を供給して二酸化炭素吸着材をリペア又は製造することができる。これによって、ケーシグ内に設けられている複数の各収容槽に収容されている二酸化炭素吸着材をリペアするためのリペア時間、及び多孔性物質から二酸化炭素吸着材を製造するための製造時間を短縮させることができる。
【0027】
この発明に係る二酸化炭素回収装置において、前記吸着液供給部は、前記収容槽に収容されている前記二酸化炭素吸着材又は前記多孔性物質に吸着液を液滴状に噴霧するものとすることができる。
【0028】
このようにすると、二酸化炭素吸着材をリペア又は製造するために、収容槽内に吸着液を供給するときに、吸着液供給部は、収容槽に収容されている二酸化炭素吸着材又は多孔性物質に吸着液を液滴状に満遍なく噴霧することができる。これにより、二酸化炭素吸着材等の表面に気泡が形成されないように、二酸化炭素吸着材等の表面全体に吸着液を確実に担持させることができる。このようにしてリペア又は製造された二酸化炭素吸着材によると、二酸化炭素に対する吸着能力の向上及び均一化を図ることができる。
【0029】
本発明に係る二酸化炭素回収システムは、本発明に係る二酸化炭素回収装置を複数備え、いずれかの前記二酸化炭素回収装置が、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を行ない、それ以外の前記二酸化炭素回収装置が、前記二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させる再生処理、前記二酸化炭素吸着材に前記吸着液を担持させるリペア処理、及び前記多孔性物質に前記吸着液を担持させる製造処理を行なうことが可能な構成としたことを特徴とするものである。
【0030】
本発明に係る二酸化炭素回収システムによると、いずれかの二酸化炭素回収装置が、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を行なっている間に、それ以外の二酸化炭素回収装置が、二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させる再生処理、二酸化炭素吸着材に吸着液を担持させるリペア処理、及び多孔性物質に吸着液を担持させる製造処理を行なうことが可能である。
【0031】
これによって、この二酸化炭素回収システムが備えているいずれかの二酸化炭素回収装置を使用して、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を、中断させること無く連続して行なわせることができる。更に、これら吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を一括監視することができるので、運転管理の手間を軽減でき、運転管理費を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明に係る二酸化炭素回収装置、及び二酸化炭素回収システムによると、二酸化炭素を吸着したり、二酸化炭素吸着材を再生するための吸着再生設備と、二酸化炭素吸着材をリペア及び製造するためのリペア製造設備とを、別々に用意する必要がなく、1つの設備を使用して、二酸化炭素の吸着処理、二酸化炭素吸着材の再生処理、二酸化炭素吸着材のリペア処理、及び二酸化炭素吸着材の製造処理を行なうことができる。その結果、これらの処理機能を備える二酸化炭素回収装置のコストの低減、小型化、及び設置スペースの削減を図ることができる。
【0033】
更に、二酸化炭素吸着材を製造又はリペアするときに、吸着液を収容槽内に充填すればよく、ケーシング内の全体に充填する必要がないので、必要とされる吸着液の量の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施形態に係る二酸化炭素回収システムを示す図である。
【図2】同実施形態に係る二酸化炭素回収装置が備える収容槽を示す拡大断面図である。
【図3】図2に示す収容槽の拡大平面図である。
【図4】同発明の他の実施形態に係る二酸化炭素回収装置が備える通路開閉機構を示す拡大断面図である。
【図5】図4に示す通路開閉機構の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る二酸化炭素回収システムの一実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。この図1に示す二酸化炭素回収システム11は、第1二酸化炭素回収装置12と、第2二酸化炭素回収装置12とを備えている。これら第1二酸化炭素回収装置12、及び第2二酸化炭素回収装置12は、同等のものである。
【0036】
これら第1及び第2のそれぞれの二酸化炭素回収装置12は、二酸化炭素を吸着することができる吸着液を多孔性物質に担持させた二酸化炭素吸着材Kに、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着させて(回収)、二酸化炭素の濃度が低減された清浄気体を作ることができるものである(吸着処理)。そして、この二酸化炭素吸着材Kに吸着された二酸化炭素を離脱させて、この二酸化炭素吸着材Kを再生できるようになっている(再生処理)。また、二酸化炭素吸着性能の低下した二酸化炭素吸着材Kを回復させることができ(リペア処理)、更に、二酸化炭素吸着材Kを製造することができるようになっている(製造処理)。
【0037】
ここで、二酸化炭素を含む被処理気体として、例えば密閉された居住空間の室内空気、空気調和されたオフィス等の室内空気、及びボイラ等から排出される燃焼排ガスを挙げることができる。
【0038】
また、この実施形態では、第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12のいずれか一方が吸着処理を行なっている間に、他方が再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なうように制御されている。これによって、この二酸化炭素回収システム11が備えているいずれかの二酸化炭素回収装置12を使用して、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を、中断させること無く連続して行なわせることができる。更に、これら吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を一括監視することができるので、運転管理の手間を軽減でき、運転管理費を抑制することができる。
【0039】
ただし、第1二酸化炭素回収装置12と、第2二酸化炭素回収装置12とは、同等のものであるので、第1二酸化炭素回収装置12を説明し、第2二酸化炭素回収装置12の説明を省略する。
【0040】
第1二酸化炭素回収装置12は、第1ケーシング13と、収容槽14と、吸着液供給部15とを備え、収容槽14には、通路開閉機構16が設けられている。
【0041】
図1に示す第1ケーシング13は、例えば円筒状に形成され、上下の各開口部は、上壁部及び下壁部によって閉じられて密封されている。そして、この第1ケーシング13には、内部に流体を通すための流体処理通路17を有し、流体処理通路17に気体を供給するための気体供給口18が上壁部に設けられている。また、流体処理通路17に供給された気体を排出するための気体排出口19が、第1ケーシング13の下部の側壁部に設けられている。
【0042】
また、この第1ケーシング13の下壁部には、第1ケーシング13内のドレンを排出するためのドレン口20、及び吸着液が排出される吸着液排出口21が設けられている。
【0043】
収容槽14は、図1に示すように、第1ケーシング13内に上下方向に沿って互いに間隔を隔てて固定して複数設けられ、これら複数のそれぞれの収容槽14の底部に対して通路開閉機構16が設けられている。この実施形態では、例えば3つの収容槽14が設けられている。そして、それぞれの収容槽14内には、多数の二酸化炭素吸着材Kが収容されている。この多数のそれぞれの二酸化炭素吸着材Kは、多孔性物質に二酸化炭素を吸着することができる吸着液を担持させたものである。
【0044】
この多孔性物質としては、活性炭、活性アルミナ等を例示することができる。これらは、表面に多くの細孔を有し、アミン化合物等の吸着液の担持量が多く、またアミン化合物等の担持後において二酸化炭素の吸着にも適している。これらのうち、活性炭は、嵩密度が小さいため、軽量の二酸化炭素吸着材Kを作ることができる。また、アミン化合物が有する僅かなアンモニア臭を脱臭し得るという面でも好適である。二酸化炭素吸着材Kに適した活性炭は、平均細孔径20〜100Å、細孔容積1.0〜2.0cc/g、比表面積1000〜2000m2/gの性状のものが好ましい。
【0045】
二酸化炭素吸着液(吸着液)としては、アミン化合物が好ましい。このアミン化合物としては、ポリエチレンイミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラエチレンペンタミン、メチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサエチレンジアミン、ベンジルアミン、モルホリン等が挙げられる。このうち、比較的低温の加熱で二酸化炭素を脱着させることができるとともに、蒸散しても回収が容易であるという理由で、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンが好適であり、これらの混合物も好適である。
【0046】
この実施形態では、アミン化合物の多孔性物質への担持は、例えばジエタノールアミンの場合、10〜55%の範囲に調整したジエタノールアミン水溶液に活性炭を浸漬し、濾過して乾燥させることにより得られ、通常、20〜200重量%のアミン担持量の二酸化炭素吸着材Kが得られる。
【0047】
通路開閉機構16は、図1に示すように、上段収容槽14、中段収容槽14、及び下段収容槽14のそれぞれの底部に対して設けられ、各底部(流体処理通路17)をそれぞれ別々に開閉することによって、それぞれの収容槽14内に供給された吸着液の貯留及び排出を可能にすると共に、気体の流通及び遮断を可能にすることができるものである。これら3つの各収容槽14に設けられている通路開閉機構16は、それぞれ同等のものであるので、上段収容槽14の通路開閉機構16を説明し、それ以外の通路開閉機構16の説明を省略する。
【0048】
この上段収容槽14の底部に対して設けられている通路開閉機構16は、図2及び図3に示すように、収容槽14の底部を形成する上側の可動板状部材22と、下側の固定板状部材23とを有している。これら可動板状部材22及び固定板状部材23は、略同一半径の円板状体であり、互いに上下に重なり合うように配置され、それぞれには、多数の第1及び第2貫通孔24、25が分散して設けられている。これら可動板状部材22及び固定板状部材23は、摩擦係数の小さい例えばテフロン(登録商標)系の材料で形成されている。
【0049】
この固定板状部材23は、図2に示すように、その外周部が、収容槽14を形成する円筒状の側壁部14aの下部内周面に結合しており、その側壁部14aは、第1ケーシング13の内周面に固定して設けられている。
【0050】
可動板状部材22は、その中央部を中心にして回動自在に固定板状部材23の上面に配置されている。そして、この可動板状部材22の外周部には、大径傘歯車の一部を成す円弧状の大傘歯車26が設けられ、この大傘歯車26に小傘歯車27が噛合っている。この小傘歯車27は、電動機28の回転軸に設けられ、この電動機28は、固定板状部材23に設けられた取付け台29に取り付けられている。
【0051】
また、図2に示すように、可動板状部材22の上面と、この収容槽14に収容されている多数の二酸化炭素吸着材Kとの間には、網状部材30が配置されている。この網状部材30は、二酸化炭素吸着材Kが貫通孔24、25を通ってこの収容槽14からこぼれ落ちないように保持するためのものである。
【0052】
次に、上記のように構成された通路開閉機構16の作用を説明する。今、図2及び図3に示すように、可動板状部材22の多数の第1貫通孔24が、固定板状部材23の多数の第2貫通孔25と互いに重なり合わない閉状態(浸漬モード)となっているとする。この閉状態で、電動機28を例えば正転方向に所定角度だけ回転させると、図3に示す可動板状部材22が時計方向に所定角度だけ回転して、可動板状部材22の多数の第1貫通孔24が、固定板状部材23の多数の第2貫通孔25と互いに重なり合う開状態(排出モード)にすることができる。
【0053】
このように、開状態(排出モード)にすると、例えば収容槽14内に貯留されている吸着液を、これら多数の第1及び第2貫通孔24、25に通して、この収容槽14から排出することができる。また、後述する二酸化炭素を含む被処理気体、乾燥気体(例えば不活性ガス)、又は加熱気体(例えば加熱蒸気)等を通すことができる。
【0054】
次に、この開状態(排出モード)で、電動機28を、例えば逆転方向に所定角度だけ回転させると、図3に示す可動板状部材22が反時計方向に所定角度だけ回転して、可動板状部材22の多数の第1貫通孔24が、固定板状部材23の多数の第2貫通孔25と互いに重なり合わない閉状態(浸漬モード)にすることができる(図2及び図3に示す閉状態)。
【0055】
このように、閉状態(浸漬モード)にすると、吸着液供給部15から供給された吸着液を収容槽14内に貯留することができる。また、後述する二酸化炭素を含む被処理気体、乾燥気体(例えば不活性ガス)、又は加熱気体(例えば加熱蒸気)等が通過することを止めることができる。
【0056】
ただし、この実施形態では、電動機28を駆動することによって、通路開閉機構16を開状態及び閉状態に変更できるようにしたが、これに代えて、手動によって、通路開閉機構16を開状態及び閉状態に変更するようにしてもよい。
【0057】
次に、吸着液供給部15を説明する。吸着液供給部15は、図1に示すように、収容槽14内に吸着液を供給するためのものであり、第1吸着液供給部15及び第2吸着液供給部15を備えている。第1吸着液供給部15は、上段収容槽14内に吸着液を供給できるように、上段収容槽14の上方位置に設けられている。第2吸着液供給部15は、下段収容槽14内に吸着液を供給できるように、下段収容槽14の上方位置に設けられている。
【0058】
これら第1及び第2吸着液供給部15、15は、シャワーを使用して対応する各収容槽14に収容されている多数の二酸化炭素吸着材K、又は多数の多孔性物質に吸着液を液滴状に噴霧することができるようになっている。
【0059】
また、図1に示すように、第1ケーシング13の外側には、吸着液循環用ライン31が設けられ、この吸着液循環用ライン31は、共通管31aと、この共通管31aの一端部から分岐する2つの分岐管31b、31bとを有している。共通管31aの他端部は、第1ケーシング13の下部に設けられている吸着液排出口21と接続している。そして、2つのそれぞれの分岐管31bの各端部は、第1及び第2吸着液供給部15、15に接続している。
【0060】
更に、この共通管31aの途中には、溶液タンク32及び吸着液供給ポンプ33が設けられている。溶液タンク32は、第1ケーシング13の吸着液排出口21から排出される吸着液を貯留できるものである。吸着液供給ポンプ33は、溶液タンク32内に貯留されている吸着液を、第1及び第2吸着液供給部15、15に送り出すためのものである。そして、この共通管31aには、バルブ34が設けられ、2つの各分岐管31bの各端部には、バルブ35、36が設けられている。
【0061】
そして、図1に示すように、第2二酸化炭素回収装置12にも、第1二酸化炭素回収装置12に設けられている第1及び第2吸着液供給部15、15、2つの分岐管31b、31b、並びに、バルブ34、35、36が設けられ、これら第1及び第2吸着液供給部15、15と接続する2つの分岐管31bは、接続管37を介して共通管31aと接続している。また、第2ケーシング13の吸着液排出口21は、接続管38を介して溶液タンク32と接続している。この接続管38にもバルブ34が設けられている。
【0062】
次に、図1を参照して、二酸化炭素を含む被処理気体(CO2含有ガス)を第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12の第1及び第2ケーシング13、13内に供給することができる被処理気体供給ライン39、並びに、二酸化炭素の濃度が低下した清浄気体をそれぞれの第1及び第2ケーシング13、13内から排出することができる清浄気体排出ライン40を説明する。
【0063】
被処理気体供給ライン39は、図1に示すように、共通管39aと、この共通管39aの一端部から分岐する2つの分岐管39b、39bとを有している。共通管39aの他端部は、例えば密閉された居住空間の室内空気、空気調和されたオフィス等の室内空気、又はボイラ等から排出される燃焼排ガスが排出される被処理気体排出ライン(図示せず)の出口と接続している。そして、2つのそれぞれの分岐管39bの各端部は、第1及び第2ケーシング13、13の各上壁部に設けられている各気体供給口18に接続している。これら2つの各分岐管39bには、バルブ41、42が設けられている。
【0064】
更に、この共通管39aの途中には、凝縮器44及び加熱器45が設けられている。この凝縮器44は、冷却器であり、共通管39a内を通る被処理気体に含まれる水分を凝縮させて除去(回収)することができるものである。そして、加熱器45は、例えば排熱を利用する熱交換器、又は電気ヒータであり、共通管39a内を通る被処理気体を所望の温度に加熱して、例えばこの被処理気体が、収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kに接触したときに、結露することを防止することができるものである。
【0065】
清浄気体排出ライン40は、図1に示すように、共通管40aと、この共通管40aの一端部から分岐する2つの分岐管40b、40bとを有している。共通管40aの他端部は、例えば煙突46を介して外部に開口している。そして、この共通管40aの途中には、バグフィルタ及び排気用送風機48が設けられている。
【0066】
ただし、このように清浄気体を共通管40aの他端部から外部に放出してもよいが、例えば密閉された居住空間の室内空気、又は空気調和されたオフィス等の室内空気を被処理気体として清浄化するときは、清浄化して得られた清浄空気を元の密閉された居住空間、又は空気調和されたオフィス等に戻すことができる。このように、清浄空気を元の空間に戻すことによって、居住空間等の二酸化炭素濃度の上昇(酸素濃度の低下)を防ぐことができるし、冷暖房に係る空調エネルギの無駄を防止できる。
【0067】
そして、2つのそれぞれの分岐管40bの各端部は、第1及び第2ケーシング13、13の下部に設けられている各気体排出口19に接続している。これら2つの各分岐管40bには、バルブ49、50が設けられている。
【0068】
次に、図1を参照して、例えば不活性ガス等を使用する乾燥気体を、第1及び第2ケーシング13、13内に通して循環させることができる乾燥気体循環用ライン51を説明する。この乾燥気体循環用ライン51は、第1及び第2ケーシング13、13から排出される乾燥気体を再び元の第1及び第2ケーシング13、13に戻して循環させることによって、上段収容槽14、中段収容槽14、及び下段収容槽14内に収容されている二酸化炭素吸着材Kを乾燥させることができるものである。
【0069】
従って、この乾燥気体循環用ライン51と、第1ケーシング13内の流体処理通路17とによって、第1二酸化炭素回収装置12における乾燥気体の循環ラインを形成している。そして、この乾燥気体循環用ライン51と、第2ケーシング13内の流体処理通路17とによって、第2二酸化炭素回収装置12における乾燥気体の循環ラインを形成している。
【0070】
この乾燥気体循環用ライン51は、図1に示すように、共通管51aと、この共通管51aの上流端部から分岐する2つの上流側分岐管51bと、共通管51aの下流端部から分岐する2つの下流側分岐管51cとを有している。そして、2つのそれぞれの上流側分岐管51bの各端部は、第1及び第2ケーシング13、13の各上壁部に設けられている各気体供給口18に接続しており、これら2つの各上流側分岐管51bには、バルブ52、53が設けられている。また、2つのそれぞれの下流側分岐管51cの各端部は、第1及び第2ケーシング13、13の各周壁部に設けられている各気体排出口19に接続しており、これら2つの各下流側分岐管51cには、バルブ54、55が設けられている。
【0071】
そして、この共通管51aの途中には、乾燥用送風機56が設けられている。また、図1に示すように、凝縮器44及び加熱器45は、この乾燥気体循環用ライン51の共通管51a、及び被処理気体供給ライン39の共通管39aに共用されるように、これら2つの共通管51a、39aに対して設けられている。
【0072】
更に、乾燥気体循環用ライン51の共通管51aにおける上流側分岐部51bの手前の位置には、乾燥気体(例えば不活性ガス)や加熱気体を供給するための供給管57が接続しており、この供給管57にはバルブ58が設けられている。
【0073】
次に、上記のように構成された二酸化炭素回収システム11の作用を説明する。この二酸化炭素回収システム11が備えている第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12のいずれの装置も、吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なうことができるものである。そして、この二酸化炭素回収システム11は、第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12のいずれか一方が吸着処理を行なっている間に、他方が再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なうように制御されている。これによって、この二酸化炭素回収システム11が備えているいずれかの二酸化炭素回収装置12を使用して、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を、中断させること無く連続して行なわせることができる。
【0074】
次に、図1に示す第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12を使用して吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なう手順、及びこの第2二酸化炭素回収装置12の作用を説明する。
【0075】
まず、吸着処理について、図1の右側に示す第2二酸化炭素回収装置12を参照して説明する。この吸着処理とは、二酸化炭素を吸着することができる吸着液を多孔性物質に担持させた二酸化炭素吸着材Kに、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着させて、二酸化炭素の濃度が低減された清浄気体を製造する処理である。
【0076】
ただし、この実施形態の二酸化炭素回収システム11では、ボイラ等から排出される燃焼排ガスに含まれている二酸化炭素を吸着(回収)して、二酸化炭素の濃度が低減された清浄気体を外部に放出する例を挙げて説明する。
【0077】
吸着処理を行なうときは、図1に示す右側の第2ケーシング13内に設けられている3つの各収容槽14内に二酸化炭素吸着材Kを入れておく。そして、被処理気体が、被処理気体供給ライン、第2ケーシング内の流体処理通路、及び清浄気体排出ラインを通って外部に排出されるように、各バルブを開又は閉にしておき、3つの各通路開閉機構16を操作して開状態にする。具体的には、バルブ42、50を開にして、それ以外のバルブを閉にする。
【0078】
この状態で、被処理気体を、被処理気体供給ライン39から第2ケーシング13の気体供給口18に供給して、この被処理気体を上段収容槽14の吸着材K、開状態の第1及び第2貫通孔24、25、中段収容槽14の吸着材K、開状態の第1及び第2貫通孔24、25、下段収容槽14の吸着材K、並びに、開状態の第1及び第2貫通孔24、25に通す。
【0079】
これによって、被処理気体に含まれる二酸化炭素が、流体処理通路17内の3つの各収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kに接触して吸着され(吸着処理)、二酸化炭素濃度の低い清浄気体を気体排出口19、及び清浄気体排出ライン40に通して外部に排出することができる。このようにして、被処理気体から二酸化炭素を回収することができる。
【0080】
次に、再生処理について、図1の右側に示す第2二酸化炭素回収装置12を参照して説明する。この再生処理とは、二酸化炭素吸着材Kに吸着された二酸化炭素を離脱させて、この二酸化炭素吸着材Kを再生する処理である。このように、二酸化炭素吸着材Kに対して再生処理を行なうのは、二酸化炭素吸着材Kが二酸化炭素を効率よく吸着できるようにするためには、二酸化炭素吸着材Kが吸着している二酸化炭素吸着量を、或る一定以下にしておく必要があるからである。
【0081】
再生処理を行なうときは、3つの各収容槽14に再生処理される二酸化炭素吸着材Kを充填しておく。そして、加熱気体又は加熱蒸気を供給管57から供給して、上流側分岐ライン51b、第2ケーシング13内の流体処理通路17、及び二酸化炭素排出管59を通って貯留部に貯留されるように、各バルブを開又は閉にしておき、3つの各通路開閉機構16を操作して開状態にする。具体的には、バルブ58、53、70を開にして、それ以外のバルブを閉にする。
【0082】
この状態で、例えば加熱気体又は加熱蒸気を供給管57から供給して、第2ケーシング13の気体供給口18に通して、上段収容槽14の吸着材K、開状態の第1及び第2貫通孔24、25、中段収容槽14の吸着材K、開状態の第1及び第2貫通孔24、25、下段収容槽14の吸着材K、並びに、開状態の第1及び第2貫通孔24、25に通す。
【0083】
これによって、加熱気体等が、流体処理通路17内の3つの各収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kを加熱することができ、その結果、二酸化炭素吸着材Kから二酸化炭素を離脱させることができる。この離脱した二酸化炭素を、二酸化炭素排出管59から排出することができる。この排出された二酸化炭素は、例えば圧縮して貯留部に貯留し、この貯留部を地中に埋設することができる。このようにして、二酸化炭素吸着材Kを再生することができる(再生処理)。
【0084】
そして、二酸化炭素吸着材Kを再生した後は、加熱気体等に代えて、冷却用気体(例えば不活性ガス)を供給管57から供給して、3つの各収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kを冷却する。これによって、吸着処理ができる状態にすることができる。この冷却用気体は、清浄気体排出ライン40の煙突46から外部に排出する。
【0085】
なお、二酸化炭素排出管59は、清浄気体排出ライン40の2つの各分岐管40bに設けられている各バルブ49、50の流入口と接続しており、各二酸化炭素排出管59には、それぞれバルブ43が設けられている。
【0086】
次に、リペア処理について、図1の左側に示す第1二酸化炭素回収装置12を参照して説明する。このリペア処理とは、二酸化炭素吸着性能が劣化した二酸化炭素吸着材Kに吸着液を担持させて、二酸化炭素吸着材Kの二酸化炭素吸着性能を向上させるための処理である。
【0087】
リペア処理を行なうときは、図1に示すバルブ34、35、36を開にして、それ以外のバルブを閉にする。そして、左側の第1ケーシング13内に設けられている3つの各収容槽14の通路開閉機構16を操作して閉状態(浸漬モード)にする。この3つの各収容槽14には、リペア処理される二酸化炭素吸着材Kが収容されている。
【0088】
次に、バルブ35を開いて、吸着液供給ポンプ33を起動させる。このとき、上側の第1吸着液供給部15から吸着液がシャワー状に噴射されて、吸着液を上段収容槽14に供給することができる。そして、上段収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kが、完全に吸着液に浸漬された状態となったときに、吸着液供給ポンプ33を停止させて、バルブ35を閉じる。
【0089】
そして、所定時間が経過すると、吸着液を上段収容槽14内の二酸化炭素吸着材Kに担持させることができる。しかる後に、上段収容槽14の通路開閉機構16を操作して開状態(排出モード)にして、上段収容槽14内の吸着液を、通路開閉機構16の第1及び第2貫通孔24、25に通して排出する。
【0090】
この上段収容槽14から排出された吸着液は、中段収容槽14に供給されて、中段収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kが、完全に吸着液に浸漬された状態となる。
【0091】
そして、所定時間が経過すると、吸着液を中段収容槽14内の二酸化炭素吸着材Kに担持させることができる。しかる後に、中段収容槽14の通路開閉機構16を操作して開状態(排出モード)にして、中段収容槽14内の吸着液を、通路開閉機構16の第1及び第2貫通孔24、25に通して排出する。
【0092】
この中段収容槽14から排出された吸着液は、下段収容槽14に供給されて、下段収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kが、完全に吸着液に浸漬された状態となる。
【0093】
そして、所定時間が経過すると、吸着液を下段収容槽14内の二酸化炭素吸着材Kに担持させることができる。しかる後に、下段収容槽14の通路開閉機構16を操作して開状態(排出モード)にして、下段収容槽14内の吸着液を、通路開閉機構16の第1及び第2貫通孔24、25、並びに、第1ケーシング13の下壁部に形成されている吸着液排出口21に通して溶液タンク32に戻す。そして、バルブ34を閉じる。
【0094】
次に、これら3つの各収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kを乾燥させる乾燥処理を行なう。まず、バルブ58、52、49、54を開いて、これ以外のバルブを閉じる。この状態で、乾燥気体(例えば不活性ガス)を供給管57から供給して気体供給口18に通して、第1ケーシング13の流体処理通路17に流入させて、この第1ケーシング13の流体処理通路17、及び乾燥気体循環用ライン51内の空気を乾燥気体(不活性ガス)に置換する。そして、バルブ58、49を閉じる。そして、乾燥用送風機56を起動して、乾燥気体を流体処理通路17及び乾燥気体循環用ライン51に通して循環させる。これによって、3つの各収容槽14に収容されている、吸着液を担持する二酸化炭素吸着材Kを乾燥させることができる。
【0095】
このように、乾燥気体が循環している間に、第1ケーシング13の底に溜まる水分をドレン口20から排出すると共に、乾燥気体中に含まれる水分を凝縮器44で回収することができる。そして、加熱器45は、乾燥気体を加熱してその温度を調整して乾燥を促進することができる。これによって、吸着液を担持する二酸化炭素吸着材Kを効率よく乾燥させることができる。
【0096】
乾燥終了後、乾燥用送風機56を停止させて、バルブ52、54を閉じて、ドレンバルブ43を開ける。そして、ドレン排出終了後、ドレンバルブ43を閉じる。このようにして、二酸化炭素吸着材Kのリペア処理をすることができる。
【0097】
次に、製造処理について説明する。この製造処理とは、二酸化炭素吸着材Kを製造する処理である。この二酸化炭素吸着材Kの製造処理と、リペア処理とが相違するところは、リペア処理では、二酸化炭素吸着性能が劣化した二酸化炭素吸着材Kが収容槽14に収容されていて、この収容槽14に吸着液を充填して、二酸化炭素吸着材Kを吸着液に浸漬し、これによって二酸化炭素吸着材Kに吸着液を担持させるのに対して、製造処理では、多孔性物質が収容槽14に収容されていて、この収容槽14に吸着液を充填して、多孔性物質を吸着液に浸漬し、これによって多孔性物質に吸着液を担持させるところである。これ以外は、リペア処理と同等であるので、それらの説明を省略する。
【0098】
以上のように構成された第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12によると、二酸化炭素の吸着処理、二酸化炭素吸着材Kの再生処理、二酸化炭素吸着材Kのリペア処理、及び二酸化炭素吸着材Kの製造処理を行なうことができるので、吸着処理及び再生処理をするための吸着再生装置と、リペア処理及び製造処理をするためのリペア製造装置とを、別々に用意する必要がなく、1つの装置を使用して、吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なうことができる。その結果、これらの処理機能を備える二酸化炭素回収装置のコストの低減、小型化、及び設置スペースの削減を図ることができる。
【0099】
更に、二酸化炭素吸着材Kをリペア又は製造するときに、吸着液を収容槽14内に充填すればよく、ケーシング13内の全体に充填する必要がないので、必要とされる吸着液の量の低減を図ることができる。
【0100】
そして、図2及び図3に示す通路開閉機構16によると、可動板状部材22を所定の開位置又は閉位置に移動させるだけで、流体処理通路17(収容槽14の底部)を開閉することができる。従って、吸着処理、再生する再生処理、リペア処理、及び製造処理をするときに使用される通路開閉機構16の構成の簡単化及びコンパクト化を図ることができる。
【0101】
そして、可動板状部材22及び固定板状部材23のそれぞれには、多数の第1及び第2貫通孔24、25を分散して設けてあるので、前記それぞれの吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理をするときに、吸着液、被処理気体、乾燥気体、加熱気体(加熱蒸気)、又は冷却気体を、これら分散して設けられた多数の第1及び第2貫通孔24、25に通して、その下方に配置されている中段及び下段収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に満遍なく接触させることができ、これによって、吸着液、被処理気体、乾燥気体、加熱気体(加熱蒸気)、又は冷却気体を使用して行われるそれぞれの前記処理を、短時間で確実に行えるようにすることができる。更に、二酸化炭素吸着材Kから離脱した二酸化炭素を、収容槽14内に滞留させずにスムースに排出することができる。
【0102】
また、リペア処理及び製造処理において、二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に担持された吸着液を乾燥させるための乾燥気体又は冷却気体として不活性ガスを使用すると、二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質が担持している吸着液の酸化を防止して、吸着液が有する二酸化炭素吸着性能の低下を防止できる。そして、不活性ガスを、流体処理通路17及び乾燥気体循環用ライン51で形成された循環ラインで循環させて二酸化炭素吸着材K等を乾燥させると、少ない不活性ガスを使用して二酸化炭素吸着材K等を乾燥させることができる。
【0103】
更に、図1に示す第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12によると、乾燥気体循環用ライン51には、凝縮器44、及び加熱器45が設けられている。このようにすると、凝縮器44は、乾燥気体としての不活性ガスに含まれる水分(二酸化炭素吸着材Kから蒸発した水分を含む)を凝縮させて除去することができる。そして、加熱器45は、不活性ガスを加熱して二酸化炭素吸着材Kの乾燥を促進することができる。これによって、収容槽14内の二酸化炭素吸着材Kを効率よく乾燥させることができる。
【0104】
そして、図1に示す第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12によると、3つの収容槽14が、第1及び第2ケーシング13、13内にそれぞれ上下方向に沿って設けられ、これら3つのそれぞれの収容槽14の底部に対して通路開閉機構16が設けられている構成としたので、二酸化炭素吸着材Kを再生又は製造するときに、上段収容槽14内に吸着液を供給して、その上段収容槽14内に供給された吸着液をその下側の中段収容槽14に移し返ることができ、この中段収容槽14内に移し返られた吸着液をその下側の下段収容槽14に移し返ることができる。
【0105】
従って、1つの収容槽14で使用される量の吸着液を使用して、複数のそれぞれの収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に吸着液を担持させることができる。従って、二酸化炭素吸着材Kをリペア又は製造するときに使用される吸着液の量の低減を図ることができる。
【0106】
また、図1に示すように、吸着液供給部15は、シャワーを使用して収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に吸着液を噴霧する構成としたので、二酸化炭素吸着材Kをリペア又は製造するときに、シャワーを使用して上段収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に吸着液を満遍なく噴霧することができる。
【0107】
このように、シャワーを使用して吸着液を二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に噴霧すると、二酸化炭素吸着材K等の表面に気泡が形成されないように、二酸化炭素吸着材K等の表面全体に吸着液を確実に担持させることができる。このようにしてリペア又は製造された二酸化炭素吸着材Kによると、二酸化炭素に対する吸着能力の向上及び均一化を図ることができる。
【0108】
更に、図1に示す二酸化炭素回収システム11によると、第1及び第2二酸化炭素回収装置12、12のうちの一方の装置が、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を行なっている間に、他方の装置が、再生処理、リペア処理、及び製造処理を並行して行なうようにすることができる。これによって、この二酸化炭素回収システム11が備えているいずれかの二酸化炭素回収装置12を使用して、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を、中断させること無く連続して行なわせることができる。更に、吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を一括監視することができるので、運転管理費を抑制することができる。
【0109】
ただし、上記実施形態では、二酸化炭素吸着材Kを再生又は製造するときに、図1に示す例えば第1二酸化炭素回収装置12の1つの吸着液供給部15から吸着液を上段収容槽14内に供給して、その上段収容槽14内に供給された吸着液を中段収容槽14及び下段収容槽14に移し返えて、この3つの収容槽14を上から順番に1つずつ使用して、二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に吸着液を担持させるようにしたが、これに代えて、図1に示す例えば第1二酸化炭素回収装置12の2つの吸着液供給部15、15から吸着液を上段収容槽14及び下段収容槽14の両方に別々に供給して、上段収容槽14及び下段収容槽14の両方を同時に使用して、二酸化炭素吸着材K又は多孔性物質に吸着液を担持させるようにしてもよい。
【0110】
この場合、上段収容槽14において、二酸化炭素吸着材K等に吸着液を担持させた後は、上段収容槽14内の吸着液を中段収容槽14に移し返えて、この中段収容槽14で二酸化炭素吸着材K等に吸着液を担持させる。
【0111】
なお、下段収容槽14に充填された吸着液は、下段収容槽14から排出されて溶液タンク32に戻される。そして、中段収容槽14に移し返えられた吸着液は、下段収容槽14に移し返られ、この下段収容槽14から排出されて溶液タンク32に戻される。
【0112】
このようにすると、第1及び第2ケーシング13、14内に設けられている複数の各収容槽14に収容されている二酸化炭素吸着材Kをリペアするためのリペア時間、及び多孔性物質から二酸化炭素吸着材Kを製造するための製造時間を短縮させることができる。
【0113】
そして、上記実施形態では、第1及び第2のそれぞれの二酸化炭素回収装置12、12には、収容槽14を3つずつ設けた構成としたが、これに代えて、1、2、又は4以上の収容槽14を設けた構成としてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、2つの二酸化炭素回収装置12を設けた構成としたが、これに代えて、3つ以上の二酸化炭素回収装置12を設けた構成としてもよい。この場合は、例えばいずれか1つ又は複数の二酸化炭素回収装置12が吸着処理を行なっている間に、他のいずれか1つ又は複数の二酸化炭素回収装置12が再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なうようにすることができる。
【0115】
更に、1つの二酸化炭素回収装置12を備える構成として、この1つの二酸化炭素回収装置12を使用して、吸着処理、再生処理、リペア処理、及び製造処理を行なうようにしてもよい。
【0116】
更に、上記実施形態では、図1に示すように、第1及び第2ケーシング13、13の上部に気体供給口18を1つずつ設けると共に、その下部に気体排出口19を1つずつ設けたが、これ以外の構成としてもよい。例えば、第1及び第2ケーシング13、13の上部に気体供給口18を2つ以上ずつ設けると共に、その下部に気体排出口19を2つ以上ずつ設ける。
【0117】
このようにすると、或る気体供給口から被処理気体をケーシング13内に供給するようにして、別の気体供給口から乾燥気体、加熱気体(加熱蒸気)、又は冷却気体をケーシング13内に供給するようにする。また、ケーシング13内の清浄気体を或る気体排出口から排出するようにして、それ以外の気体を別の気体排出口から排出するようにする。これによって、吸着処理を行なうときに、専用の気体供給口及び気体排出口を使用することができ、吸着処理を安定して行うことができる。
【0118】
そして、上記実施形態では、図2及び図3に示すように、通路開閉機構16を収容槽14の底部に対して設けた構成としたが、これに代えて、収容槽14の底部と間隔を隔ててその下方に設けた構成としてもよい。この場合は、収容槽14の底部は、上記実施形態と同様に網状部材30で形成され、二酸化炭素吸着材Kを保持できるようになっている。
【0119】
また、上記実施形態では、図2及び図3に示すように、通路開閉機構16を収容槽14の底部に対して設けてあり、可動板状部材22を時計方向及び反時計方向に回動させることによって、流体処理通路17を開閉することができる構成としたが、これに代えて、図4及び図5に示すように、通路開閉機構60を収容槽14の底部と間隔を隔ててその下方に設けた構成としてもよい。
【0120】
この通路開閉機構60は、第1ケーシング13の内面に支持板61が略水平に設けられ、この支持板61には、例えば矩形の開口部61aが形成されている。そして、この支持板61の上面に例えば矩形の可動板62が配置され、この可動板62が前後方向に水平移動することによって、開口部61aを開閉することができるようになっている。
【0121】
そして、この可動板62には、進退方向と平行する一方の縁部の上面には、ラック63が設けられ、このラック63と噛合うようにピニオン64が設けられている。そして、このピニオン64は、電動機28によって正転及び逆転方向に回転駆動され、これによって、可動板62が進退移動して開口部61aを開閉できるようになっている。図4及び図5に示す可動板62は、二点鎖線で示す前進位置で閉状態となり、実線で示す後退位置で開状態となる。
【0122】
また、図4及び図5に示す通路開閉機構60は、収容槽14の底部と間隔を隔ててその下方に設けた構成としたが、これに代えて、収容槽14の底部と接触し、又は接近する位置に設けた構成としてもよい。
【0123】
勿論、通路開閉機構は、上記以外の構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
以上のように、本発明に係る二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を吸着したり、二酸化炭素吸着材を再生するための吸着再生機能、並びに、二酸化炭素吸着材をリペア及び製造するためのリペア製造機能を共通の装置で行なうことができる優れた効果を有し、このような二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素回収システムに適用するのに適している。
【符号の説明】
【0125】
11 二酸化炭素回収システム
12 二酸化炭素回収装置
13 第1ケーシング、第2ケーシング
14 収容槽
14a 収容槽の側壁部
15 吸着液供給部
16 通路開閉機構
17 流体処理通路
18 気体供給口
19 気体排出口
20 ドレン口
21 吸着液排出口
22 可動板状部材
23 固定板状部材
24 第1貫通孔
25 第2貫通孔
26 大傘歯車
27 小傘歯車
28 電動機
29 取付け台
30 網状部材
31 吸着液循環用ライン
32 溶液タンク
33 吸着液供給ポンプ
34、35、36、41、42、43、49 バルブ
50、52、53、54、55、58、70 バルブ
37、38 接続管
39 被処理気体供給ライン
40 清浄気体排出ライン
44 凝縮器
45 加熱器
46 煙突
47 バグフィルタ
48 排気用送風機
51 乾燥気体循環用ライン
56 乾燥用送風機
57 供給管
59 二酸化炭素排出管
60 通路開閉機構
61 支持板
61a 開口部
62 可動板
63 ラック
64 ピニオン
31a、39a、40a、51a 共通管
31b、39b、40b 分岐管
51b 上流側分岐管
51c 下流側分岐管
K 二酸化炭素吸着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を吸着することができる吸着液を多孔性物質に担持させた二酸化炭素吸着材に、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着させたり、前記二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させることができ、更に、前記二酸化炭素吸着材及び前記多孔性物質に前記吸着液を担持させることができる二酸化炭素回収装置であって、
内部に流体を通すための流体処理通路を有し、前記流体処理通路に気体を供給するための1又は2以上の気体供給口、及び前記流体処理通路に供給された気体を排出するための1又は2以上の気体排出口が形成されたケーシングと、
前記流体処理通路内に設けられ前記二酸化炭素吸着材を収容する収容槽と、
前記収容槽内に吸着液を供給するための吸着液供給部とを備え、
前記収容槽の底部又は前記収容槽の下方には、前記流体処理通路を開閉することによって前記収容槽内に供給された吸着液の排出及び貯留を可能にする通路開閉機構が設けられていることを特徴とする二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記通路開閉機構は、可動板状部材と固定板状部材とを有し、これら前記可動板状部材及び前記固定板状部材のそれぞれには、多数の貫通孔が分散して設けられ、
前記可動板状部材が所定の開位置又は閉位置に移動したときに、前記可動板状部材の多数の第1貫通孔が、前記固定板状部材の多数の第2貫通孔と互いに重なり合う開状態となり、又は互いに重なり合わない閉状態となることを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記流体処理通路を一部として有し、不活性ガスが循環して流れる循環ラインを備え、
前記不活性ガスは、前記収容槽に収容されている前記二酸化炭素吸着材を乾燥させるためのものであることを特徴とする請求項1又は2記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
不活性ガスの前記循環ラインには、不活性ガス中に含まれる水分を凝縮するための凝縮器、及び不活性ガスを加熱するための加熱器が設けられていることを特徴とする請求項3記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
複数の前記収容槽が、前記ケーシング内に上下方向に沿って設けられ、複数のそれぞれの前記収容槽の底部に対して前記通路開閉機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
前記ケーシング内の上段側に設けられている1又は2以上の上段側の前記収容槽と、それよりも下段側に設けられている1又は2以上の下段側の前記収容槽とを備え、
前記吸着液供給部は、上段側の1又は2以上の前記収容槽のうちの最上段の前記収容槽、及び下段側の1又は2以上の前記収容槽のうちの最上段の前記収容槽に吸着液を供給するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
前記吸着液供給部は、前記収容槽に収容されている前記二酸化炭素吸着材又は前記多孔性物質に吸着液を液滴状に噴霧することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の二酸化炭素回収装置を複数備え、いずれかの前記二酸化炭素回収装置が、被処理気体に含まれている二酸化炭素を吸着する吸着処理を行ない、それ以外の前記二酸化炭素回収装置が、前記二酸化炭素吸着材に吸着された二酸化炭素を離脱させる再生処理、前記二酸化炭素吸着材に前記吸着液を担持させるリペア処理、及び前記多孔性物質に前記吸着液を担持させる製造処理を行なうことが可能な構成としたことを特徴とする二酸化炭素回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−236736(P2012−236736A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106425(P2011−106425)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】