説明

二重マイクロカプセル、その製造方法及びマイクロカプセルの表面処理方法

【課題】疎水性処理された一次マイクロカプセルを含む二重マイクロカプセル、その製造方法、及びマイクロカプセルの表面処理方法を提供すること。
【解決手段】表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化することにより疎水性処理された一次マイクロカプセルを疎水性分散媒体に分散させ、このマイクロカプセルを含む分散液を更にカプセル化したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重マイクロカプセル、その製造方法、及びマイクロカプセルの表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、有機高分子材料に種々の機能を付与した機能性高分子微粒子であり、様々な機能を持つ液体・固体を内含した非常に微細な微粒子である。近年、マイクロカプセルに対する医療、食品、工業分野でのニーズが高くなり、マイクロカプセルの高機能化への様々な試みがなされてきており、種々の機能性高分子微粒子の開発が活発に行われている。しかし、それにもかかわらず、その機能性発現のための最適条件の探索など、微粒子設計に関する基礎的検討はいまだ不十分なのが現状である。
【0003】
これまで様々なマイクロカプセルが実用化されているが、工業分野での応用の一つとして、コピー機やプリンターのトナーがある。マイクロカプセルトナーは、マイクロカプセルを圧力・熱によって印字面に付着させて発色させるものである。また、分散媒体中にマイクロカプセルを分散した分散液を更にカプセル化して二重化カプセルとしたものも提案されており(例えば、特許文献1参照)、例えば感圧記録紙用マイクロカプセルとして使用されている。
【0004】
マイクロカプセルの製造方法としては、芯物質として油滴(疎水性)を親水性分散媒体中に分散させて所謂水中油滴型乳化分散液とし、両者が含有するモノマーを界面重合させる方法が多く行われている。例えば、マイクロカプセルトナーや感圧記録紙用カプセルの場合、染料や顔料を疎水性分散媒体に分散させて得た油滴(疎水性)を芯物質として用いて、これを水相に分散させてカプセル化を実施している。
【0005】
二重化カプセルの製造方法も同様であり、一次カプセルを作製した後、この一次カプセルをオイル等の疎水性分散媒体に分散させたものを、更に親水性分散媒体中でカプセル化することにより、二重化カプセルが作製される。
【0006】
以上のように、水中油滴型乳化分散液から作製される従来のマイクロカプセルは、作製時に油滴を水相に安定に分散させるために、水相として分散剤を溶解させたものを用いている。分散剤は、生成したマイクロカプセルの表面に付着し、マイクロカプセルを親水性にしてしまう。親水性になった一次マイクロカプセルを用いて、再度疎水性分散媒体に分散させ、更に親水性媒体中に分散させて二重マイクロカプセルを作製しようとした場合、一次マイクロカプセルが疎水性分散媒体から親水性分散媒体中に飛び出し、二重マイクロカプセルの形成が出来ないという問題があった。
【0007】
また、一次マイクロカプセルの親水性の大きな要因である水酸基を有する分散剤等をマイクロカプセル表面から除去するためには、洗浄を何回も繰り返さなければならないという問題もあった。更に、特許文献1に記載されているように、減圧により水分を除去し、疎水性分散媒体と交換する場合にも、マイクロカプセル表面には分散剤や乳化剤等が残留するため、マイクロカプセル表面を完全に親油性にすることが出来ず、疎水性分散媒体に剪断力等の力をかけると、一次マイクロカプセルが容易に疎水性分散媒体から親水性分散媒体に飛び出してしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2002−011340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情の下になされ、疎水性処理された一次マイクロカプセルを含む二重マイクロカプセル、その製造方法、及びマイクロカプセルの表面処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化することにより疎水性処理された一次マイクロカプセルを疎水性分散媒体に分散させ、このマイクロカプセルを含む分散液を更にカプセル化したことを特徴とする二重マイクロカプセルを提供する。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、一次マイクロカプセルを作成する工程、前記一次マイクロカプセルの表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化して疎水性処理する工程、前記疎水性処理された一次マイクロカプセルを疎水性分散媒体に分散させ、一次マイクロカプセル分散液を形成する工程、及び前記一次マイクロカプセル分散液を親水性分散媒体中でカプセル化して二次マイクロカプセルを形成する工程を具備することを特徴とする二重マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0011】
更に、本発明の第3の態様は、マイクロカプセルを、10〜30質量%のアシル化剤を含む、マイクロカプセル0.1g当たり3〜6gの疎水性媒体により表面処理することにより、マイクロカプセルの表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化して疎水性処理することを特徴とするマイクロカプセルの表面処理方法を提供する。
【0012】
以上のように構成される二重マイクロカプセル、二重マイクロカプセルの製造方法、及びマイクロカプセルの表面処理方法において、アシル化はベンゾイル化合物を用いたベンゾイル化であるこが望ましい。また、一次マイクロカプセルの製造の際に使用され、一次マイクロカプセルの表面に付着する分散剤としては、ポリビニルアルコールを用いることが出来る。
【0013】
更に、一次マイクロカプセル内には色素が含まれ、前記疎水性分散媒体には顕色剤が含まれる構成とし、一次マイクロカプセルを潰すことにより、色素と顕色剤との反応により発色させることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、一次マイクロカプセルの表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化して疎水性処理することにより、一次マイクロカプセルの洗浄を繰り返して分散剤を除去することなく、容易に二重マイクロカプセルの製造が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の一実施形態に係る二重マイクロカプセルは、表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化することにより疎水性処理された一次マイクロカプセルを疎水性分散媒体に分散させ、この一次マイクロカプセルを含む分散液を更にカプセル化してなるものである。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る二重マイクロカプセルを示す断面図である。図1において、二重マイクロカプセルは、第1の芯物質2と第1の壁材3とからなる複数の一次マイクロカプセル1が、第2の壁材4により囲まれた疎水性分散媒体5中に分散してなるものである。
【0018】
第1の芯物質2は、色素を含有し、疎水性分散媒体5が顕色剤を含有するとき、二重マイクロカプセルを潰して色素と顕色剤とを反応せしめて発色させる、発色カプセルとすることができる。
【0019】
このような二重マイクロカプセルは、次のようにして製造される。即ち、まず、疎水性媒体中に色素等を含有する第1の芯物質と、第1の壁材を形成する物質とを含む溶液を、分散剤を含む水性分散媒体に加え、攪拌することにより一次マイクロカプセルを生成する。次いで、得られた一次マイクロカプセルの表面をアシル化剤によりアシル化して疎水性処理する。次に、この疎水性処理された一次マイクロカプセルを、顕色剤等を含有する疎水性分散媒体に分散させる。その後、この分散液に第2の壁材を形成する物質を加えた後、分散剤を含む水性分散媒体に加え、二重マイクロカプセルを生成する。
【0020】
以上の方法において、第1の芯物質に含まれる疎水性媒体しては、ジイソプロピルナフタレン、1−フェニル−1−キシリルエタン等を挙げることが出来る。第1の壁材を形成する物質としては、ウレタン、ウレアのようなイソシアネート化合物等を挙げることが出来る。分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース化合物等を挙げることが出来る。
【0021】
疎水性処理のためのアシル化としては、ベンゾイル化、アセチル化が挙げられるが、本発明にはベンゾイル化が好ましい。ベンゾイル化に使用されるアシル化剤としては、塩化ベンゾイル、過酸化ベンゾイル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル酢酸等を上げることが出来る。また、アセチル化には、無水酢酸や塩化アセチルを用いることが出来る。
【0022】
一次マイクロカプセルのアシル化は、アシル化剤を含む疎水性媒体に一次マイクロカプセルを分散させることにより行うが、これに用いる疎水性媒体の量は、一次マイクロカプセル0.1g当たり3〜6gであるのが好ましく、疎水性媒体中のアシル化剤の量は、10〜30質量%であるのが好ましい。
【0023】
疎水性媒体の量が一次マイクロカプセル0.1g当たり3g未満では、一次マイクロカプセルの第1の壁材が溶解して、一次マイクロカプセルが破壊される場合があり、5gを越えると、疎水性処理の効果が得にくくなる。また、アシル化剤の量が10質量%未満では、疎水性処理の効果が得にくく、30質量%を越えると、一次マイクロカプセルの第1の壁材が溶解して、一次マイクロカプセルが破壊される場合がある。
【0024】
なお、アシル化に用いる疎水性媒体、及び疎水性処理された一次マイクロカプセルが分散される疎水性分散媒体としては、上述した第1の芯物質に含まれる疎水性媒体と同様のものを用いることが出来る。また、第2の壁材を形成する物質も、第1の壁材を形成する物質と同様のものを用いることが出来る。更に、一次マイクロカプセル及び二重マイクロカプセルに用いる水性分散媒体としては、水又はアルコールを用いることが出来る。
【0025】
本発明者らは、本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルの表面処理方法におけるアシル化の効果を調べるために、以下のような実験を行った。
【0026】
まず、イソシアネート(コロネートHX、日本ボリウレタン社製)12gをジイソプロピルナフタレンオイル(KMC113、日鉱商事社製)15gに溶解させ、オイル1を作成する。このオイル1をポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール205、クラレ社製)の3質量%水溶液15gに加え、その後、乳化機で乳化し、70℃の温度で3時間かけてカプセル化し、一次マイクロカプセルのスラリーを得る。
【0027】
この場合、イソシアネートは一次マイクロカプセルの第1の壁材となり、ジイソプロピルナフタレンオイルは第1の芯物質に含まれる疎水性分散媒体であり、ポリビニルアルコールは分散剤として働く。
得られた一次マイクロカプセルのスラリーを濾紙と吸引瓶を用いて濾過し、一次マイクロカプセル1(メジアン径6μm)を得る。
【0028】
次いで、サンプル管にジイソプロピルナフタレンオイルを5g及び純水15gを収容し、これをサンプル管1とする。このサンプル管1の中に0.1gの一次マイクロカプセル1を無処理のまま加えると、一次マイクロカプセル1は主として水相に分散する。油相中に残留する一次マイクロカプセル1も徐々に水相側に移行し、沈殿していく。これは、一次マイクロカプセル1の製造の際に用いた分散剤であるポリビニルアルコールが一次マイクロカプセル1の表面に付着しており、ポリビニルアルコールが有する水酸基のため一次マイクロカプセル1の表面が親水性を示すことによるものと考えられる。
【0029】
次に、塩化ベンゾイル(ナカライテクス試薬)1gとジイソプロピルナフタレンオイル4gを混合したオイルをビーカに用意し、これをオイル2とする。
0.1gの一次マイクロカプセル1をオイル2に加え、ビーカ内で60分攪拌する。攪拌した後、ビーカ内から濾紙と吸引瓶を用いて一次マイクロカプセル1を濾過して取り出し、サンプル管1内に加えると、一次マイクロカプセル1は油相に分散する。即ち、一次マイクロカプセル1は親油性(疎水性)を示している。
【0030】
これは、一次マイクロカプセル1の表面に付着するポリビニルアルコール(PVA)が塩化ベンゾイルと反応して、下記式に従ってベンゾイル化され、一次マイクロカプセル1の表面が親油性(疎水性)となったためと考えられる。
【化1】

【0031】
次に、オイル2中の塩化ベンゾイルの量及びジイソプロピルナフタレンの量を変更して、同様の処理を行い、一次マイクロカプセルの親油性(疎水性)を調べた。その結果を下記表1に示す。
【0032】
なお、攪拌は、50mlのビーカ内でスターラ(RCN−3、東京理化器械株式会社製)を用い、スターラ回転数を目盛り3として行った。
【0033】
親油性(疎水性)の評価基準は、下記の通りである。
【0034】
○・・・疎水性化され、マイクロカプセルが油相に安定的に留まる。
【0035】
△・・・疎水性化されるが、壁材が溶解されたマイクロカプセルが観察される。
【0036】
×・・・疎水性化されず、マイクロカプセルが水相に留まる。
【0037】
表中の数値は、塩化ベンゾイルの含有量(質量%)である。
【表1】

【0038】
上記表1から、ジイソプロピルナフタレンの量が一次マイクロカプセル0.1g当たり3〜6gの範囲内にあり、ジイソプロピルナフタレン中の塩化ベンゾイルの量が10〜30質量%の範囲内にある場合には、一次マイクロカプセルの表面は疏水性化され、一次マイクロカプセルは油相にとどまることがわかる。
【0039】
これに対し、塩化ベンゾイルを用いない場合には、ジイソプロピルナフタレンの量が一次マイクロカプセル0.1g当たり3〜6gの範囲内であっても(5g)、一次マイクロカプセルの表面は疎水性化されず、一次マイクロカプセルは水相にとどまることがわかる。また、ジイソプロピルナフタレン及び塩化ベンゾイルの量がいずれも上記範囲の下限より少ない場合には、同様に一次マイクロカプセルの表面は疎水性化されず、一次マイクロカプセルは水相にとどまることがわかる。
【0040】
更に、塩化ベンゾイルの割合が上記範囲の上限より多い場合には、一次マイクロカプセルの表面は疏水性化されるが、壁剤が溶解された一次マイクロカプセルが観察されることがわかる。
【0041】
次に、本発明者らは、塩化ベンゾイルの効果を確かめるために、更に、以下の実験を行った。即ち、3gのポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール205、クラレ社製)を純水100gに溶解させてポリビニルアルコール水溶液を作製する。このポリビニルアルコール水溶液に塩化ベンゾイルを数滴添加して、よく攪拌する。スターラで5分攪拌すると、ポリビニルアルコール水溶液から白い固体が析出する。このことから、塩化ベンゾイルは、ポリビニルアルコールの疎水性化に効果があることがわかる。
【0042】
以上のように、本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルの表面処理方法によると、マイクロカプセルの表面に付着する分散剤を洗浄することなく、マイクロカプセル表面の疎水性化が可能であり、その結果、マイクロカプセルは油相に留まり、二重化カプセル製造のための以降の工程、例えばオイル中に再分散させる工程等を容易に行うことが可能となる。
【0043】
以下に、本発明の実施例と比較例を示し、本発明の効果をより具体的に説明する。
実施例
一次マイクロカプセル(メジアン径6μm)5gをジイソプロピルナフタレンオイル250gと塩化ベンゾイル50gを予め混合した処理溶液に添加して混合し、一次マイクロカプセルの表面処理を行った。次いで、フィルターを用いて濾過し、一次マイクロカプセルとオイルとを分離した。分離された一次マイクロカプセルの表面にはオイルが被覆されていた。
【0044】
次に、分離された一次マイクロカプセルの全量にジイソプロピルナフタレンオイルを添加し、10gとした。これに顕色剤(R−054、三光社製)を5g添加して溶解し、15gのカプセル分散オイルを生成した。
【0045】
その後、得られた一次マイクロカプセル分散オイルにイソシアネート(コロネートHX、日本ボリウレタン社製)12gを添加し、混合した。次いで、この混合溶液を、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール205、クラレ社製)の3質量%水溶液150gに加え、これを乳化機で乳化し、70℃の温度で3時間かけてカプセル化し、二重マイクロカプセルのスラリーを得た。
【0046】
この二重マイクロカプセルのスラリーを水で洗浄した後、遠心分離機により脱水し、更に凍結真空乾燥機により乾燥させて、二重マイクロカプセルを得た。
【0047】
このようにして得たマイクロカプセルをスパチュラの先で押し潰したところ、一次マイクロカプセル内のロイコ色素が一次マイクロカプセルの外側にある顕色剤と反応し、濃い青色に発色した。
【0048】
比較例
表面処理を行うことなく、一次マイクロカプセル(メジアン径6μm)5gにジイソプロピルナフタレンオイルを添加し、10gとした。これに顕色剤(R−054、三光社製)を5g添加して溶解し、15gの一次マイクロカプセル分散オイルを生成した。以下、実施例と同様にして、二重マイクロカプセルを得た。
【0049】
このようにして得たマイクロカプセルをスパチュラの先で押し潰したところ、一次マイクロカプセル内のロイコ色素が一次マイクロカプセルの外側にある顕色剤と反応し、発色したが、その色は薄い青色であった。これは、二重マイクロカプセルの生成の際に、一次マイクロカプセルの一部が水相中に飛び出したためと考えられる。
【0050】
参考例
一次マイクロカプセル(メジアン径6μm)5gをジイソプロピルナフタレンオイル50gと塩化ベンゾイル50gを予め混合した処理溶液に添加して混合し、一次マイクロカプセルの表面処理を行ったことを除いて、実施例と同様にして二重マイクロカプセルを得た。
【0051】
このようにして得たマイクロカプセルは、既に青色に発色していた。これは、処理溶液中の塩化ベンゾイルの割合が50質量%と非常に大きいため、処理溶液による表面処理によりカプセル壁が溶解し、一次マイクロカプセル内のロイコ色素が一次マイクロカプセルの外側にある顕色剤と反応したためと考えられる。
【0052】
以上の実施例では、マイクロカプセルの分散剤としてポリビニルアルコールを用いたが、本発明は、これに限らず、水酸基を有する分散剤、乳化剤(PVP、セルロース系等)であれば、どのようなものをも用いることが出来る。また、水酸基をアシル化するアシル化剤として塩化ベンゾイルを用いたが、ベンゾイル基を有する他の化合物を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る二重マイクロカプセルを示す断面図。
【符号の説明】
【0054】
1・・・一次マイクロカプセル、2・・・第1の芯物質、3・・・第1の壁材、4・・・第2の壁材、5・・・疎水性分散媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化することにより疎水性処理された一次マイクロカプセルを疎水性分散媒体に分散させ、この一次マイクロカプセルを含む分散液を更にカプセル化したことを特徴とする二重マイクロカプセル。
【請求項2】
前記アシル化はベンゾイル化合物を用いたベンゾイル化であることを特徴とする請求項1に記載の二重マイクロカプセル。
【請求項3】
前記分散剤は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の二重マイクロカプセル。
【請求項4】
前記一次マイクロカプセル内には色素が含まれ、前記疎水性分散媒体には顕色剤が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二重マイクロカプセル。
【請求項5】
一次マイクロカプセルを作成する工程、
前記一次マイクロカプセルの表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化して疎水性処理する工程、
前記疎水性処理された一次マイクロカプセルを疎水性分散媒体に分散させ、一次マイクロカプセル分散液を形成する工程、及び
前記一次マイクロカプセル分散液を親水性分散媒体中でカプセル化して二次マイクロカプセルを形成する工程
を具備することを特徴とする二重マイクロカプセルの製造方法。
【請求項6】
前記アシル化はベンゾイル化合物を用いたベンゾイル化であることを特徴とする請求項5に記載の二重マイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
前記分散剤は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項5又は6に記載の二重マイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
前記疎水性処理する工程は、一次マイクロカプセルを、10〜30質量%のアシル化剤を含む、一次マイクロカプセル0.1g当たり3〜6gの疎水性媒体により表面処理することにより行われる請求項5〜7のいずれかに記載の二重マイクロカプセルの製造方法。
【請求項9】
前記一次マイクロカプセル内には色素が含まれ、前記疎水性分散媒体には顕色剤が含まれることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の二重マイクロカプセル。
【請求項10】
マイクロカプセルを、10〜30質量%のアシル化剤を含む、マイクロカプセル0.1g当たり3〜6gの疎水性媒体により表面処理することにより、マイクロカプセルの表面に付着した分散剤の水酸基をアシル化して疎水性処理することを特徴とするマイクロカプセルの表面処理方法。
【請求項11】
前記アシル化はベンゾイル化であり、前記アシル化剤はベンゾイル化合物であることを特徴とする請求項10に記載のマイクロカプセルの表面処理方法。
【請求項12】
前記分散剤は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項10又は11に記載のマイクロカプセルの表面処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−772(P2007−772A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183739(P2005−183739)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】