説明

二重容器

【課題】内容器を外容器に対して着脱するに際し、内容器の外周部が、加えられた外力により変形するのを防ぎ、内容器を外容器に対して容易に着脱することができる。
【解決手段】内容器11の口部11aには径方向の外側に向けて突出し外容器12の口部12aの開口端縁12c上に載置される第1係合突片11cが周方向に間隔をあけて複数形成され、外容器12の口部12aには、径方向の内側に向けて突出し第1係合突片11cを外容器12の口部12aの開口端縁12cとの間で挟み込む第2係合突片21を有するロックリング2が、軸方向の移動が規制された状態で周方向に回転自在に嵌合され、内容器11および外容器12に対するロックリング2の回転移動に伴い、第2係合突片21と外容器12の口部12aの開口端縁12cとによる第1係合突片11cの挟み込み、およびその解除が切替えられるように構成された二重容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容器と外容器とを組み合わせた二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内容物が収容される内容器と、該内容器を離脱自在に収納した外容器と、を備える二重容器が知られている。
この種の二重容器においては、内容器を外容器に対して着脱する際に、内容器の外周部が、加えられた外力により変形することによって、内容器を外容器に容易に着脱することができなくなる場合があった。
【0003】
そこで、このような問題を解決する手段として、例えば下記特許文献1に示されるような、内容器に、その外周部から垂下され、径方向の外側の押圧面が押圧されることで上端を支点にして径方向の内側に向けて回動する押圧部が設けられる一方、外容器には、該押圧部が離脱自在に係止される被係止部が設けられた構成が知られている。
この二重容器では、内容器を外容器に対して着脱するに際し、内容器の押圧部を径方向に弾性変位させることで、該押圧部が外容器の被係止部に対して係脱されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−195484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の二重容器では、内容器を外容器に対して着脱するに際し、内容器の外周部が、加えられた外力により変形するのを防ぐことに対して改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内容器を外容器に対して着脱するに際し、内容器の外周部が、加えられた外力により変形するのを防ぎ、内容器を外容器に対して容易に着脱することができる二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る二重容器は、内容物が収容される内容器と、該内容器を離脱自在に収納した外容器と、を備える二重容器であって、前記内容器の口部には、径方向の外側に向けて突出し前記外容器の口部の開口端縁上に載置される第1係合突片が周方向に間隔をあけて複数形成され、前記外容器の口部には、径方向の内側に向けて突出し前記第1係合突片を該外容器の口部の開口端縁との間で挟み込む第2係合突片を有するロックリングが、軸方向の移動が規制された状態で周方向に回転自在に嵌合され、前記内容器および外容器に対する前記ロックリングの回転移動に伴い、前記第2係合突片と前記外容器の口部の開口端縁とによる前記第1係合突片の挟み込み、およびその解除が切替えられるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る二重容器によれば、ロックリングの第2係合突片と外容器の開口端縁とが内容器の第1係合突片を挟み込んだ状態では、内容器および外容器を相対的に軸方向に離間移動させることができず、内容器が外容器に対して固定される。
そして、外容器内の内容器を取り外す際には、まず、ロックリングを内容器および外容器に対して回転させることにより、第2係合突片と外容器の開口端縁とによる第1係合突片の挟み込みが解除され、内容器および外容器を相対的に軸方向に離間移動させることができ、内容器を外容器内から取り外すことができる。
【0009】
以上のように、内容器を外容器に着脱するに際し、例えば内容器を押圧する等しなくても、単にロックリングを内容器および外容器に対して回転移動させればよいので、内容器が変形して例えばその外周面が外容器の内周面に圧接すること等を防ぐことが可能になり、内容器を外容器に対して容易に着脱することができる。
【0010】
また、内容器を着脱するに際し、ロックリングを外容器から離脱させずに済むため、使用性を向上させることができる。例えば、ロックリングが外容器に螺着され、当該ロックリングが周方向の全周に亘る環状の第2係合突片を有する場合は、ロックリングを外容器から取り外した後に、内容器を取り出すという操作が必要になる。しかし、本発明の場合には、ロックリングを外容器から取り外すことなく、且つ、螺着されるネジ式の場合に比べて、内容器と外容器との係合解除に必要な回転量も少なくすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る二重容器によれば、内容器を外容器に対して着脱するに際し、内容器の外周部が、加えられた外力により変形するのを防ぎ、内容器を外容器に対して容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を説明するための二重容器の半断面図であって、図5に示すA−A線断面図である。
【図2】図1の二重容器の内容器が外容器から取り外された状態を示した半断面図である。
【図3】図2に示す内容器の平面図である。
【図4】図1の二重容器においてオーバーキャップを取り外した状態を示す半断面図であって、図5に示すB−B線断面図である。
【図5】図4に示す二重容器の平面図であって、ロックリングによって内容器の軸方向の移動が規制された状態の図である。
【図6】図4に示す二重容器の平面図であって、ロックリングによる内容器の軸方向の移動の規制が解除された状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る二重容器の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、本実施形態の二重容器1は、内容物が収容される内容器11と、内容器11を離脱自在に収納した外容器12と、を備えるとともに、外容器12内に収納した内容器11の離脱を防止するロックリング2が外容器12に被着され、内容器11の口部11aに装着されるオーバーキャップ3が設けられた構成となっている。
内容器11および外容器12は、それぞれ有底筒状に形成され、各中心軸線が共通軸上に位置するように配設されている。以下、この共通軸を中心軸Oといい、中心軸O方向に沿って口部11a、12a側を上側といい、底部11b、12b側を下側といい、また中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
内容器11の口部11aには、径方向の外側に向けて突出し外容器12の口部12aの開口端縁12c上に載置される第1係合突片11cが周方向に間隔をあけて複数形成されている(図3参照)。口部11aのうち第1係合突片11cより上側に位置する部分の外周部分には、口部11aの開口を塞ぐ薄肉キャップ13、またはオーバーキャップ3が被着される雄ねじ部11dが形成されている。薄肉キャップ13は、例えば外容器12に収納される前の内容器11に装着され、外容器12に内容器11が収納される際に取り外される。
また、内容器11の底部11bは、下方に向けて膨出するすり鉢状(半球状)に形成されている。
【0016】
外容器12の口部12aには、径方向の外側に突出し下方に向けて延在し、該外容器12のうち口部12aより下方に位置する部分(内筒12A)を径方向の外側から囲繞する外筒12Bが配設されている。
【0017】
図1および図4に示すように、外容器12の口部12aには、外周面にロックリング2をアンダーカット嵌合させる凹溝12dが周方向に沿って設けられている。
図2に示すように、外容器12の開口端縁12c上には、第1係合突片11cに係合する回り止め片12eが周方向に間隔をあけて複数上方に向けて突設されている。つまり、第1係合突片11cが回り止め片12eに係合した状態で開口端縁12c上に載置され、これにより内容器11および外容器12の相対的な周方向への回転移動を規制する回り止めの機能を有している。
【0018】
図2、図4〜図6に示すように、ロックリング2は、外容器12の口部12aに対してアンダーカット嵌合され、軸方向の相対移動が規制された状態で周方向に回転自在に嵌合されている。ロックリング2の上端には、径方向の内側に向けて突出し第1係合突片11cを外容器12の口部12aの開口端縁12cとの間で挟み込む第2係合突片21が周方向に間隔をあけて複数形成されている。ここで、周方向に隣り合う第2係合突片21、21同士の間には、径方向内側が開放された凹部22が形成されている。この凹部22は、第1係合突片11cと同じ形状でこれより僅かに大きな形状に形成されている。
【0019】
そして、二重容器1は、内容器11および外容器12に対するロックリング2の回転移動に伴い、第2係合突片21と外容器12の口部12aの開口端縁12cとによる第1係合突片11cの挟み込み(図5に示すロック状態T)、およびその解除(図6に示す解除状態R)が切替えられるように構成されている。解除状態Rにおいて、第2係合突片21と外容器12の開口端縁12cとによる第1係合突片11cの挟み込みが解除され、平面視で第1係合突片11cがロックリング2の凹部22内に位置し、第1係合突片11cの上方が開放された状態になる。
【0020】
図1に示すように、オーバーキャップ3は、内容器11に螺着される螺着筒31と、この螺着筒31を径方向の外側から囲繞する囲繞筒32と、これらの両筒31、32を上方から一体に覆う天壁部33と、を備えている。螺着筒31の内周面には、内容器11の口部11aの雄ねじ部11dに螺合される雌ねじ部31aが形成されている。また、天壁部33の内側には、円盤状のパッキン34が嵌合されている。このパッキン34は、外周部が内容器11の口部11aの上端面に対して密着してシールされ、内容器11内を密封している。ロックリング2は、囲繞筒32によって覆われている。
【0021】
以上説明した本実施形態による二重容器1によれば、以下の作用効果を奏する。
すなわち、上記のように構成された二重容器1では、図1および図5に示すように、ロックリング2の第2係合突片21と外容器12の開口端縁12cとが内容器11の第1係合突片11cを挟み込んだ状態において、内容器11および外容器12を相対的に軸方向に離間移動させることができず、内容器11が外容器12に対して固定される。
【0022】
そして、図4および図6に示すように、外容器12内の内容器11を取り外す際には、まず、オーバーキャップ3を内容器11の口部11aから取り外した状態において、ロックリング2を内容器11および外容器12に対して回転させ、平面視で第1係合突片11cがロックリング2の凹部22内に位置させることにより、第2係合突片21と外容器12の開口端縁12cとによる第1係合突片11cの挟み込みが解除される。つまり、第1係合突片11cの上方に第2係合突片21が位置しない状態となるので、内容器11および外容器12を相対的に軸方向に離間移動させることができ、内容器11を外容器12内から抜き出して取り外すことができる。
【0023】
以上のように、内容器11を外容器12に着脱するに際し、例えば内容器11を押圧する等しなくても、単にロックリング2を内容器11および外容器12に対して回転移動させればよいので、内容器11が変形して例えばその外周面が外容器12の内周面に圧接すること等を防ぐことが可能になり、内容器11を外容器12に対して容易に着脱することができる。
【0024】
また、例えばロックリングが外容器に螺着され、当該ロックリングが周方向の全周に亘る環状の第2係合突片を有する場合には、ロックリングを外容器から取り外した後に、内容器を取り出すという操作が必要になる。これに対して、本実施の形態では、内容器11を着脱するに際し、ロックリング2を外容器12から離脱させずに済むことから、使用性を向上させることができる。さらに、本実施形態のロックリング2では、螺着されるネジ式の場合に比べて、内容器11と外容器12との係合解除に必要な回転量も少なくすることができる。
【0025】
また、内容器11が第1係合突片11cによって、外容器12の開口端縁12cに懸架されているため、前記実施形態のように内容器11単独では使用し難い(机などの上に正立できない)底部が半球状のようなデザインであっても、問題なく使用することができる。
【0026】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0027】
例えば、前記実施形態ではロックリング2の第2係合突片21が周方向に全周にわたって間隔をあけて複数形成されているが、複数であることに制限されることはない。例えば、第2係合突片21は少なくとも1つあれば良い。但し、第2係合突片21は1つよりも複数設ける方が周方向の支持バランスを確保することができる。
また、ロックリング2のロック状態と解除状態との間を移動するように、位置決め手段を設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態では外容器12は底部12bを有する有底筒状の形状としているが、底部が開放されている筒体であっても良い。
さらに、ロックリング2は外容器12の口部12aに対してアンダーカット嵌合であることに限定されることはない。
さらにまた、本実施形態の二重容器1では、オーバーキャップ3を備えた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、このオーバーキャップ3を省略した構成のものや、他の形状の蓋部材を設けた構成とすることも可能である。
【0029】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 二重容器
2 ロックリング
3 オーバーキャップ
11 内容器
11a 口部
11c 第1係合突片
12 外容器
12a 口部
12c 開口端縁
21 第2係合突片
22 凹部
O 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される内容器と、該内容器を離脱自在に収納した外容器と、を備える二重容器であって、
前記内容器の口部には、径方向の外側に向けて突出し前記外容器の口部の開口端縁上に載置される第1係合突片が周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記外容器の口部には、径方向の内側に向けて突出し前記第1係合突片を該外容器の口部の開口端縁との間で挟み込む第2係合突片を有するロックリングが、軸方向の移動が規制された状態で周方向に回転自在に嵌合され、
前記内容器および外容器に対する前記ロックリングの回転移動に伴い、前記第2係合突片と前記外容器の口部の開口端縁とによる前記第1係合突片の挟み込み、およびその解除が切替えられるように構成されていることを特徴とする二重容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−75673(P2013−75673A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215837(P2011−215837)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】