説明

付着灰除去方法

【課題】溶射皮膜が形成されたボイラ管に付着している付着灰を、溶射皮膜を痛めることなく効率的に除去することができる付着灰除去方法を提供する。
【解決手段】溶射材を吹き付けて溶射皮膜12が形成されたボイラ管10であって、ボイラ管10の表面に付着した付着灰14を除去する付着灰除去方法において、付着灰14が付着したボイラ管10に0.1P以上100P以下の粘度を有するゲル状組成物16を塗布する工程と、ゲル状組成物16を塗布する工程の後に、塗布したゲル状組成物16を付着灰14に浸透させた後、ボイラ管10に形成された溶射皮膜12から付着灰14を除去する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着灰除去方法に係り、特に、ボイラ管表面に形成される溶射皮膜の健全性評価のために予め行われる付着灰除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ内に複数配設される伝熱管(ボイラ管)の腐食を抑制するために、ボイラ管の表面に溶射皮膜が形成されている。
【0003】
一般的に、溶射皮膜の健全性を評価するためには、ボイラ管の溶射皮膜上に付着した付着灰(燃焼灰)を予め除去することが行われる。
【0004】
付着灰の除去方法としては、特許文献1に記載されているように、付着灰を湿潤させて除去する手法が知られている。この手法では、水のみ又は水と空気とを混合させた霧状の流体を付着灰に噴射して、一定時間設けて付着灰を湿潤させる。湿潤させた付着灰は、研掃材を吹き付けるブラスト処理やハンマー等によって機械的に除去されたり、水洗いによって除去されたりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−202485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるように、水のみ又は水と空気とを混合させた霧状の流体を用いて付着灰を湿潤させると、付着灰だけでなく、付着灰の下の溶射皮膜にまで水が浸透してしまう恐れがある。このため、ボイラ管と溶射皮膜との間に水が入り込み、ボイラ管の表面が腐食してしまう可能性がある。
また、付着灰を除去するために、ブラスト処理やハンマー等の機械的処理を用いると、溶射皮膜に割れや剥離などの損傷を与えてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、溶射皮膜が形成されたボイラ管に付着している付着灰を、溶射皮膜を痛めることなく効率的に除去することができる付着灰除去方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明に係るボイラ管の付着灰除去方法は、溶射材を吹き付けて溶射皮膜が形成されたボイラ管であって、前記ボイラ管の表面に付着した付着灰を除去する付着灰除去方法において、前記付着灰が付着した前記ボイラ管に0.1P以上100P以下の粘度を有するゲル状組成物を塗布する工程と、前記ゲル状組成物を塗布する工程の後に、前記塗布した前記ゲル状組成物を前記付着灰に浸透させた後、前記ボイラ管に形成された前記溶射皮膜から前記付着灰を除去する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
この付着灰除去方法では、ゲル状組成物の粘度を0.1P以上にすることで、ゲル状組成物が付着灰を湿潤させるとともに、ゲル状組成物が溶射皮膜まで浸透することを防止できる。さらに、ゲル状組成物が垂れにくく塗布しやすくなるので作業性を向上させることができる。また、ゲル状組成物の粘度を100P以下にすることで、ゲル状組成物が付着灰の空隙に侵入しやすくなるので、効率よく付着灰を湿潤させて付着灰を除去できる。
よって、溶射皮膜を痛めることなく効率的に付着灰を除去することができる。
【0010】
上記付着灰除去方法において、前記ゲル状組成物は、セルロース系およびその誘導体、でんぷん系、たんぱく質系、ポリマー系から選択されるいずれか一つの水溶性増粘剤と、水とを含有してもよい。
このように、水溶性に優れた水溶性増粘剤をゲル状組成物に適用することで、付着灰を除去した後の後処理が容易になる。
【0011】
この場合、前記水溶性増粘剤は、カルボキシメチルセルロースであることが好ましい。
カルボキシメチルセルロースは潤滑性に優れているので、ゲル状組成物と付着灰との親和性がより一層高まる。また、カルボキシメチルセルロースは比較的安価であるため、低コスト化を実現することができる。
【0012】
あるいは、上記付着灰除去方法において、前記ゲル状組成物は、水ガラス、石灰、ベントナイトから選択されるいずれか一つの無機系増粘剤と、水とを含有してもよい。
これにより、ゲル状組成物の粘度をより増加させることができる。
【0013】
上記付着灰除去方法において、前記ゲル状組成物を塗布する工程は、前記ゲル状組成物を含浸させた繊維体を前記付着灰に貼り付けて塗布してもよい。
これにより、ゲル状組成物がより一層垂れにくくなるので、作業性を更に向上させることができる。
【0014】
あるいは、前記ゲル状組成物を塗布する工程は、前記ゲル状組成物を保持させた刷毛体を用いて前記付着灰に塗布してもよい。
これにより、ゲル状組成物がより一層塗布しやすくなるので、作業性を更に向上させることができる。
【0015】
またあるいは、前記ゲル状組成物を塗布する工程は、ボイラ内壁に支持された伸縮ノズルを介して、前記ゲル状組成物が前記ボイラの外側から前記ボイラ管に塗布されてもよい。
これにより、ボイラ内に侵入することなくゲル状組成物を塗布することが可能となり、ゲル状組成物の塗布に要する作業時間を短縮することができる。
【0016】
上記付着灰除去方法において、前記ゲル状組成物を塗布する工程の前に、前記付着灰の薄膜を残して前記ボイラ管から前記付着灰の一部を剥離させる前処理工程を更に備えてもよい。
このようにゲル状組成物を塗布する工程の前に、付着灰の薄膜を残して予めボイラ管から付着灰を剥離させることで、ゲル状組成物を付着灰に浸透させる時間が短縮できる。なお、付着灰の薄膜の厚さは、ボイラ管表面に形成される溶射皮膜を傷つけない程度の厚さであれば特に限定されず、例えば2〜5mmである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、ゲル状組成物の粘度を0.1P以上にすることで、ゲル状組成物が付着灰を湿潤させるとともに、ゲル状組成物が溶射皮膜まで浸透することを防止できる。さらに、ゲル状組成物が垂れにくく塗布しやすくなるので作業性を向上させることができる。また、ゲル状組成物の粘度を100P以下にすることで、ゲル状組成物が付着灰の空隙に侵入しやすくなるので、効率よく付着灰を湿潤させて付着灰を除去できる。
よって、溶射皮膜を痛めることなく効率的に付着灰を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ボイラの一例を示す全体構成図である。
【図2】図1のボイラ管部位を拡大した切欠斜視図である。
【図3】溶射皮膜および付着灰の位置関係を示すボイラ管の一部断面図である。
【図4】実施形態1に係る付着灰除去方法の各工程を示す工程図である。
【図5】実施形態1に係るゲル状組成物の塗布を説明する説明図である。
【図6】実施例および比較例におけるゲル状組成物を用いた灰除去結果である。
【図7】実施形態2に係るゲル状組成物の塗布を説明する説明図である。
【図8】実施形態3に係るゲル状組成物の塗布を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
[実施形態1]
図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係るボイラの一例を説明する。ここでは、排熱回収ボイラを例に挙げて説明するが、ボイラは排熱回収ボイラに限定されるものではない。図1は、ボイラの一例を示す全体構成図である。図2は、図1のボイラ管部位を拡大した切欠斜視図である。
なお、図1には一例として、ガスタービンコンバインドサイクル発電プラントにおけるガスタービンの熱ガス(排ガス)の熱回収を行う竪型排熱回収ボイラを示しているが、これに限定されるものではない。また、排熱回収ボイラは、熱ガスが垂直方向に流れる竪型、熱ガスが水平方向に流れる横型のいずれであってもよい。
【0021】
図1に示すように、ボイラ1は、鉛直方向に延設されたダクト2の内部に、節炭器、蒸発器または過熱器等の熱交換部4を備える。熱交換部4は、図2に示すように、ガス流れ方向と交差するように水平方向に延設された複数のボイラ管(伝熱管)10を有する。
ガスタービン等から排出された排ガスは、ダクト入口6からダクト2内に導入され、複数の熱交換部4を順次通過して熱回収された後に煙突8から排出される。
【0022】
図3は、溶射皮膜および付着灰の位置関係を示すボイラ管の一部断面図である。
ボイラ管10は、図3に示すように、その表面に溶射皮膜12が形成される。溶射皮膜12は、例えば、耐食性を有する溶射材を加熱・溶融してボイラ管10に吹き付けることによって形成され、ボイラ管10の腐食を抑制する。なお、ボイラ管10に吹き付けられる溶射材は、溶融する材料であれば特に限定されず、例えば、ニッケルクロム鋼でもよいし、セラミックスやサーメットでもよい。
【0023】
通常、ボイラ1の運転時には、図3に示すように、ボイラ管10の表面に形成された溶射皮膜12上に付着灰(燃焼灰)14が付着する。この付着灰14は、溶射皮膜12の健全性評価を行う際に阻害要因となるため、除去する必要がある。
【0024】
図4は、実施形態1に係る付着灰除去方法の各工程を示す工程図である。
まず、図4(a)に示すように、付着灰14が付着したボイラ管10にゲル状組成物16を塗布する。
【0025】
ゲル状組成物16は、セルロース系およびその誘導体、でんぷん系、たんぱく質系、ポリマー系から選択されるいずれか一つの水溶性増粘剤と、水とを含有してもよい。
このように、水溶性に優れた水溶性増粘剤をゲル状組成物に適用することで、付着灰を除去した後の後処理が容易になる。なお、セルロース系およびその誘導体としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)を用いてもよい。また、でんぷん系としては、例えば、澱粉やデキストリンを用いてもよい。また、たんぱく質系としては、例えば、アルブミンやカゼインなどを用いてもよい。また、ポリマー系としては、例えば、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸アミドなどを用いてもよい。
【0026】
なかでも、水溶性増粘剤は、カルボキシメチルセルロースであることが好ましい。
カルボキシメチルセルロースは潤滑性に優れているので、ゲル状組成物16と付着灰14との親和性がより一層高まる。また、カルボキシメチルセルロースは比較的安価であるため、低コスト化を実現することができる。
【0027】
あるいは、ゲル状組成物16は、水ガラス、石灰、ベントナイトから選択されるいずれか一つの無機系増粘剤と、水とを含有してもよい。
【0028】
図5は、実施形態1に係るゲル状組成物の塗布を説明する説明図であり、図2に示すボイラ管10の上面図である。
ボイラ管10にゲル状組成物16を塗布するときは、図5に示すように、ゲル状組成物16を含浸させた繊維体20を付着灰14に貼り付けて塗布してもよい。
これにより、ゲル状組成物がより一層垂れにくくなるので、作業性を更に向上させることができる。なお、繊維体20とは、例えば、ナイロン繊維のような化学繊維であってもよいし、天然繊維であってもよい。特に、繊維体20としてナイロン製ガーゼを用いることで、ガーゼの目付にゲル状組成物が補集されて含浸しやすくなる。
【0029】
ゲル状組成物を塗布(図4(a)参照)した後に、塗布したゲル状組成物16を付着灰14に浸透させる。ゲル状組成物16は、付着灰14の空隙に侵入し、付着灰14を湿潤させる。
ゲル状組成物16を付着灰14に浸透させた後、図4(b)に示すように、ボイラ管10に形成された溶射皮膜12から付着灰14を除去する。
【0030】
上述のゲル状組成物について、以下に示すように、増粘剤の種類および粘度を調節して付着灰の除去結果を評価した。
【0031】
(実施例1)
ゲル状組成物として、カルボキシメチルセルロース(CMC)と水とを含有するものを用いた。このとき、ゲル状組成物の粘度がそれぞれ0.1P,10P,50P,100P,120Pとなるように調製した。溶射皮膜が形成されたボイラ管に付着する付着灰に調製したゲル状組成物を塗布し、一定時間後、付着灰の除去を行った。
【0032】
(実施例2)
ゲル状組成物として、澱粉と水とを含有するものを用いた。このとき、ゲル状組成物の粘度がそれぞれ0.1P,10P,50P,100P,120Pとなるように調製した。調製したゲル状組成物を用いて、実施例1と同様にして付着灰の除去を行った。
【0033】
(実施例3)
ゲル状組成物として、ベントナイトと水とを含有するものを用いた。このとき、ゲル状組成物の粘度がそれぞれ0.1P,10P,50P,100P,120Pとなるように調製した。調製したゲル状組成物を用いて、実施例1と同様にして付着灰の除去を行った。
【0034】
(比較例)
粘度を調製したゲル状組成物の代わりに水のみを用いた以外は、実施例1〜実施例3と同様の条件で付着灰の除去を行った。
【0035】
(粘度の評価)
図6は、実施例および比較例におけるゲル状組成物を用いた灰除去結果である。
実施例1において、粘度0.1P以上100P以下では、ゲル状組成物が付着灰の空隙に侵入し、付着灰を湿潤させた。このとき、溶射皮膜内にゲル状組成物がほとんど浸透しなかった。また、粘度0.1P以上100P以下では、比較例に比べてゲル状組成物が垂れにくく塗布しやすかった。
粘度120Pでは、ゲル状組成物が付着灰の空隙に侵入しにくく、付着灰を十分に湿潤させることができなかったので、付着灰を除去することができなかった。
粘度0P(比較例)では、付着灰を除去したものの、付着灰の下の溶射皮膜にまで水が浸透してしまった。
よって、溶射皮膜12の種類や付着灰14の状態により異なるが、ゲル状組成物の粘度は0.1P以上100P以下が好ましいことがわかった。
【0036】
実施例2、実施例3の場合も実施例1と同様に、ゲル状組成物の粘度は0.1P以上100P以下が好ましいことがわかった。
【0037】
以上のことから、ゲル状組成物の粘度を0.1P以上にすることで、ゲル状組成物が付着灰を湿潤させるとともに、ゲル状組成物が溶射皮膜まで浸透することを防止できる。さらに、ゲル状組成物が垂れにくく塗布しやすくなるので作業性を向上させることができる。また、ゲル状組成物の粘度を100P以下にすることで、ゲル状組成物が付着灰の空隙に侵入しやすくなるので、効率よく付着灰を湿潤させて付着灰を除去できる。
湿潤させた付着灰は、弱く脆い状態であるのでハンマー等の強い力を与えることなく容易に落とすことができる。よって、溶射皮膜を痛めることなく効率的に付着灰を除去することができる。
【0038】
なお、上述の実施形態において、ゲル状組成物16を塗布する工程(図4(a))の前に、付着灰14の薄膜を残してボイラ管10から付着灰14の一部を剥離させる前処理工程を更に備えてもよい。
このようにゲル状組成物16を塗布する工程の前に、付着灰14の薄膜を残して予めボイラ管10から付着灰14を剥離させることで、ゲル状組成物16を付着灰14に浸透させる時間が短縮できる。なお、付着灰14の薄膜の厚さは、ボイラ管10の表面に形成される溶射皮膜12を傷つけない程度の厚さであれば特に限定されず、例えば2〜5mmである。
【0039】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る付着灰除去方法について説明する。図7は、実施形態2に係るゲル状組成物の塗布を説明する説明図であり、図2に示すボイラ管10の上面図である。
実施形態2では、ゲル状組成物を塗布する工程での塗布手法が異なる点を除けば、実施形態1で説明した方法と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0040】
ボイラ管10にゲル状組成物16を塗布するときは、図7に示すように、ゲル状組成物16を保持させた刷毛体22を用いて前記付着灰に塗布してもよい。
これにより、ゲル状組成物16がより一層塗布しやすくなるので、作業性を更に向上させることができる。なお、刷毛体22は、溶射皮膜を傷つけない観点から、ナイロンブラシのような柔らかい素材を用いたものが好ましい。
【0041】
[実施形態3]
次に、実施形態3に係る付着灰除去方法について説明する。図8は、実施形態3に係るゲル状組成物の塗布を説明する説明図である。
実施形態3では、ゲル状組成物を塗布する工程での塗布手法が異なる点を除けば、実施形態1で説明した方法と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図8に示すように、実施形態3では、ゲル状組成物供給装置24と、伸縮ノズル26とを用いて、付着灰にゲル状組成物を塗布する。
ゲル状組成物供給装置24は、ボイラ1の外側に配設されており、粘度を調製したゲル状組成物が蓄えられる。
【0043】
伸縮ノズル26は、ボイラ内壁に支持されており、ボイラ出入口28を介在してゲル状組成物供給装置24とボイラ管10との間を伸縮するようにして配設される。伸縮ノズル26は、ゲル状組成物供給装置24から供給されるゲル状組成物をボイラ管10に塗布する抽出口30を有する。
【0044】
ボイラ管10にゲル状組成物16を塗布するときは、図8に示すように、ボイラ1内壁に支持された伸縮ノズル26を介して、ゲル状組成物16がボイラ1の外側からボイラ管10に塗布されてもよい。
これにより、ボイラ1内に侵入することなくゲル状組成物16を塗布することが可能となり、ゲル状組成物16の塗布に要する作業時間を短縮することができる。
【0045】
以上、本発明の一例において詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよい。
例えば、上述の実施形態1〜3を適宜組み合わせてもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 ボイラ
2 ダクト
4 熱交換部
6 ダクト入口
8 煙突
10 ボイラ管(伝熱管)
12 溶射皮膜
14 付着灰(燃焼灰)
16 ゲル状組成物
20 繊維体
22 刷毛体
24 ゲル状組成物供給装置
26 伸縮ノズル
28 ボイラ出入口
30 抽出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射材を吹き付けて溶射皮膜が形成されたボイラ管であって、前記ボイラ管の表面に付着した付着灰を除去する付着灰除去方法において、
前記付着灰が付着した前記ボイラ管に0.1P以上100P以下の粘度を有するゲル状組成物を塗布する工程と、
前記ゲル状組成物を塗布する工程の後に、前記塗布した前記ゲル状組成物を前記付着灰に浸透させた後、前記ボイラ管に形成された前記溶射皮膜から前記付着灰を除去する工程とを備えることを特徴とする付着灰除去方法。
【請求項2】
前記ゲル状組成物は、セルロース系およびその誘導体、でんぷん系、たんぱく質系、ポリマー系から選択されるいずれか一つの水溶性増粘剤と、水とを含有することを特徴とする請求項1に記載の付着灰除去方法。
【請求項3】
前記水溶性増粘剤は、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項2に記載の付着灰除去方法。
【請求項4】
前記ゲル状組成物は、水ガラス、石灰、ベントナイトから選択されるいずれか一つの無機系増粘剤と、水とを含有することを特徴とする請求項1に記載の付着灰除去方法。
【請求項5】
前記ゲル状組成物を塗布する工程は、前記ゲル状組成物を含浸させた繊維体を前記付着灰に貼り付けて塗布することを特徴とする請求項1乃至4に記載の付着灰除去方法。
【請求項6】
前記ゲル状組成物を塗布する工程は、前記ゲル状組成物を保持させた刷毛体を用いて前記付着灰に塗布することを特徴とする請求項1乃至4に記載の付着灰除去方法。
【請求項7】
前記ゲル状組成物を塗布する工程は、ボイラ内壁に支持された伸縮ノズルを介して、前記ゲル状組成物が前記ボイラの外側から前記ボイラ管に塗布されることを特徴とする請求項1乃至4に記載の付着灰除去方法。
【請求項8】
前記ゲル状組成物を塗布する工程の前に、前記付着灰の薄膜を残して前記ボイラ管から前記付着灰を剥離させる前処理工程を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7に記載の付着灰除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−169476(P2011−169476A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30865(P2010−30865)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】