代掻き作業機
【課題】走行機体の側方に押し出された泥水や藁等を確実に代掻き作業機の中央よりに導いて、圃場表面の全てを均平に整地する。
【解決手段】代掻き作業機1は、走行機体90の後部に装着され、走行機体90から伝達される動力によって回転する耕耘ロータの後側に第1整地板19を回動可能に設け、第1整地板19の後端部に第2整地板20を回動可能に設け、耕耘ロータが回転しながら走行機体90の走行とともに進行して耕耘作業を行うとともに、第1整地板19及び第2整地板20によって圃場表面を整地する。第2整地板20は、機体5の進行方向に対して左右方向に延びる直線部24と、この左右両端部に接続されて進行方向に対して左右方向内側に向く傾斜部25とを有して左右対称構造をなす。第2整地板20の左右両端部には補助整地板40が設けられ、補助整地板40及び第2整地板20の傾斜部25によって圃場の泥水や藁等を第2整地板20の中央側へ案内する。
【解決手段】代掻き作業機1は、走行機体90の後部に装着され、走行機体90から伝達される動力によって回転する耕耘ロータの後側に第1整地板19を回動可能に設け、第1整地板19の後端部に第2整地板20を回動可能に設け、耕耘ロータが回転しながら走行機体90の走行とともに進行して耕耘作業を行うとともに、第1整地板19及び第2整地板20によって圃場表面を整地する。第2整地板20は、機体5の進行方向に対して左右方向に延びる直線部24と、この左右両端部に接続されて進行方向に対して左右方向内側に向く傾斜部25とを有して左右対称構造をなす。第2整地板20の左右両端部には補助整地板40が設けられ、補助整地板40及び第2整地板20の傾斜部25によって圃場の泥水や藁等を第2整地板20の中央側へ案内する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に装着され、走行機体から伝達される動力によって耕耘ロータを回転しながら走行機体の走行とともに進行して圃場の耕耘作業を行う代掻き作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような代掻き作業機は、一般的に、耕耘ロータの進行方向後側に第1整地板を上下方向に回動可能に設け、第1整地板の後方側に第2整地板を回動可能に設けて、第1整地板及び第2整地板によって圃場表面を整地しながら第2整地板から泥水を略真っ直ぐ後方へ流すようにしている。このように第2整地板から排出される泥水の流出方向が略真っ直ぐ後方である場合、走行機体の踏圧によって泥水や藁等が走行機体の走行方向に対して側方に押し出されると、この藁等は既に処理された圃場の部分に押し流されたままとなり、きれいに整地された圃場部分が乱されて、圃場表面の全てを均平に整地することができなくなる。
【0003】
そこで、特許文献1には、第1整地板70の後方側に配設されて走行機体90が進行するに従って掘り出された土と水を機体内側方向へ押し出すことが可能な馬鍬71が提案されている。この馬鍬71を走行機体90の後部に装着した状態の斜視図を図9(a)に示し、馬鍬71の裏面図を図9(b)に示し、これらの図を参照して説明すると、馬鍬71は、幅方向に延びる支持部材72の左右両側に一対の左右側刃部73を配設し、一対の左右側刃部73間に中央刃部78を配設して構成される。左右側刃部73は、支持部材72の後端部に複数の傾斜馬鍬片74を支持部材72に沿って取り付けて構成され、中央刃部78は、前後方向の長さが異なる複数個の馬鍬片79を支持部材72の後端部に取り付けて構成されている。
【0004】
傾斜馬鍬片74は、ヘラ状の板部材を後端側が斜め下方へ延びて支持部材72に取り付けられ、圃場の表面に接触する後端部は、支持部材72の幅方向内側に進むに従って後方側に傾斜して延びる。このため、傾斜馬鍬片74の裏側の空間は、支持部材72の幅方向内側に進むに従って拡大して傾斜馬鍬片74の内側端部で開口している。従って、走行機体90が前進走行して耕耘ロータによって掘り出された泥水は、傾斜馬鍬片74の内面に接触すると、内側に向きを変えて隣接する他の傾斜馬鍬片74との間に流出する。
【0005】
また、機体幅方向内側に向いて延びる傾斜案内面81aを有した延長第2整地板81を備えた代掻き作業機80は、特許文献2に記載されており、図10(平面図)に示すように、延長第2整地板81は第2整地板82の左右方向端部に回動可能に取り付けられて、第2整地板82から外側へ延びる整地姿勢Psと、第2整地板上82に折り畳まれる格納姿勢Pkとの間を移動可能である。延長第2整地板81が整地姿勢Psになると、延長第2整地板81の前部に形成された傾斜案内面81aは左右方向内側に向いて延びて、圃場表面を削り取った泥土等を機体幅方向内側に寄せることができる。
【0006】
また、第2整地板86の後端部に第2整地板86の中央部側に傾いて前後方向に延びる切り欠き部87を設けた代掻き作業機85は、特許文献3に記載されており、図11(平面図)に示すように、切り欠き部87は第2整地板86の左右両側の第2整地板86'の後端部に設けられており、この切り欠き部87によって第2整地板86の下方を流れる泥水を機体幅方向内側へ流すことができる。
【0007】
【特許文献1】特表2003−505047号公報
【特許文献2】特開2007−82442号公報
【特許文献3】特開2007−222130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の馬鍬に設けられた傾斜馬鍬片は、支持部材に非連続的に配設されて幅方向長さが比較的に短い。このため、走行機体の踏圧によって走行機体の側方に泥水や藁等が押し出された場合、これらの泥水や藁等は傾斜馬鍬片の裏面に突き当たって内側方向に押し流されるが、この泥水や藁等に作用する内側方向の力の作用時間は比較的に短い。このため、特許文献1に記載の馬鍬では、走行機体の側方に押し出された藁等が既にきれいに整地された圃場部分に残り易く、整地された圃場部分が乱されて、圃場表面の全てを均平に整地することができないという問題を有する。
【0009】
また、特許文献2に記載の代掻き作業機では、第2整地板には延長第2整地板に設けられた傾斜案内面と同様の傾斜案内面が備えられていない。このため、特許文献2に記載された代掻き作業機では、第2整地板の下を泥水や藁が真っ直ぐ後方へ抜けてしまい、それらを中央よりに導くことができず、圃場表面を均平に整地することができない場合があるという課題があった。
【0010】
また、特許文献3に記載の代掻き作業機では、切り欠き部による泥水の機体幅方向内側への整流効果は小さく、充分な実効性が得られないという課題があった。
【0011】
本発明は、このような問題や課題に鑑みてなされたものであり、走行機体の側方に押し出された泥水や藁等を確実に機体の中央側に導いて、圃場表面の全てを均平に整地することができる代掻き作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するため、本発明は、以下の特徴を有する。特徴の一つは、走行機体の後部に装着され、該走行機体から伝達される動力によって回転する耕耘ロータと該耕耘ロータの進行方向後側に回動可能に支持された第1整地板と該第1整地板の後端部に回動可能に支持された第2整地板とを備え、耕耘ロータが回転しながら走行機体の走行とともに進行して耕耘作業を行うとともに、第1整地板及び第2整地板によって圃場表面を整地する代掻き作業機において、第2整地板は、圃場の泥水や藁等を第2整地板の中央側に案内するため進行方向に対して左右方向内側に向いて延びる傾斜案内面を備えることを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、第2整地板は、圃場の泥水や藁等を第2整地板の中央側に案内するため進行方向に対して左右方向内側に向いて延びる傾斜案内面を備えることにより、引用文献1のように泥水や藁を内側へ整流するための馬鍬を耕耘作業機とは別体として新たに設ける必要がなく、構成を簡素にすることができる。また引用文献2に記載の延長第2整地体だけでなく、第2整地体の本体部にも傾斜案内面を設けることで、泥水や藁等を機体の中央側へより効果的に案内することができる。また引用文献3に記載の切り欠き部を第3整地板に設けるのではなく、第2整地体の本体部に傾斜案内面を設けることで、泥水や藁等を機体の中央側へ充分な実効性を有して案内することができる。
【0014】
また特徴の一つは、傾斜案内面は左右方向に連続的に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、傾斜案内面を左右方向に連続的に形成することにより、傾斜案内面が非連続的に形成されたものと比べ、泥水や藁等の機体中央側への案内効率をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる代掻き作業機によれば、上記特徴を有することにより、走行機体の側方に押し出された泥水や藁等を確実に機体の中央側に案内して、圃場表面の全てを均平に整地することが可能な代掻き作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。先ず、本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機について説明する。代掻き作業機1は、図1(側面図)、図2(平面図)に示すように、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構に連結されるトップマスト6とロアーリンク連結部7を設けて、走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸9aを備えたギアボックス9が設けられ、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸9aに伝達されるようになっている。
【0018】
主フレーム3の左側端部には、チェーン伝動ケース11が垂設され、主フレーム3の右側端部には側部フレーム12がチェーン伝動ケース11と対向して垂設されている。チェーン伝動ケース11に接続された主フレーム3の左側部及びチェーン伝動ケース11内には伝動機構が設けられ、チェーン伝動ケース11と側部フレーム12の下端部間に多数の耕耘爪を取り付けた耕耘ロータ13が回転自在に設けられている。そして、入力軸9aに伝達された動力は、ギアボックス9を介して主フレーム3及びチェーン伝動ケース11内の伝動機構に伝達されて、耕耘ロータ13を所定方向に回転させる。耕耘ロータ13の上側はシールドカバー15によって覆われ、このシールドカバー15の左右方向両端部には側部カバー17が設けられている。
【0019】
シールドカバー15の後端部には、前端部が上下方向に回動自在に取り付けられて後端側が斜め下方に延びる第1整地板19が取り付けられている。第1整地板19の後端部19aは左右方向に略直線状に形成されており、この後端部19aによって耕土表面を平らに整地する。第1整地板19の後端部19aには、第2整地板20が上下方向に回動自在に取り付けられ、第2整地板20の左右両端部には、折り畳み可能に回動自在に取り付けられて整地作業を延長して補助するとともに、前部に形成されて内向きに延びる傾斜面部40aによって圃場の泥水や藁等を機体幅方向内側へ押し流す補助整地板40が設けられている。
【0020】
第2整地板20は、図3(断面図)を更に追加して説明すると、左右方向に延びる平面視矩形状をなす整地板21を有し、この整地板21の前部には上方へ突出する前側段部21aが形成され、整地板21の後部には前側段部21aよりも高さが低い後側段部21bが形成され、前側段部21aと後側段部21bとの間には左右方向に延びて断面扁平矩形状の補強フレーム22が整地板21と一体的に固着されている。この補強フレーム22の左右両端部及び整地板21の左右両端部には、前後方向に延びる連結板23が一体的に固着され、左右一対の連結板23の前端部が第1整地板19の後端部19aに枢結されている。このため、第2整地板20は、第1整地板19の後端部19aを支点として上下方向に回動可能である。
【0021】
第2整地板20は、左右方向中央部分が機体5の進行方向に対して左右方向に略直交して直線状に延びる直線部24と、直線部24の左右両端部に接続されて進行方向に対して左右方向内側に向く傾斜部25とを有して左右対称構造であり、直線部24と左右一対の傾斜部25は連続的に固着されて一体化されている。第2整地板20の傾斜部25の前端部と第1整地板19の後端部19aとの間に形成されて平面視において三角状の孔部26と、第2整地板20の直線部24の前端部と第1整地板19の後端部19aとの間に形成されて平面視において矩形状の孔部27とには、これらの孔部26,27を覆うカバー部28が設けられている。
【0022】
第2整地板20及び補助整地板40の各後端部には、左右方向に所定間隔を有して配置された切り欠き部30,30'が複数設けられている。切り欠き部30,30'は、平面視において略三角形状に開口している。
【0023】
第2整地板20の傾斜部25に設けられた切り欠き部30'と補助整地板40に設けられた切り欠き部30'の延びる方向は略同一であり、これらの切り欠き部30'と第2整地板20の直線部24に設けられた切り欠き部30の延びる方向は相違している。切り欠き部30は、平面視において左右対称の二等辺三角形状に形成されて機体5の進行方向と略同一方向に延びる。このため、第2整地板20が圃場を前進すると、圃場の泥水は切り欠き部30を通って第2整地板20の直線部24の略真後ろに流出する。
【0024】
切り欠き部30'は、左右非対称の略三角形状に形成されて第2整地板20の中央部側に内向きに傾いて延びる。このため、第2整地板20が圃場を前進すると、圃場の泥水は切り欠き部30'を通って第2整地板20の中央部側に流出する。
【0025】
このような内向きの傾斜部25や切り欠き部30'を有した第2整地板20を備えた代掻き作業機1が前進すると、図2に示すように、圃場の泥水は、第2整地板20の直線部24の後方では代掻き作業機1の進行方向Aに対して真っ直ぐ後方に流れ、第2整地板20の傾斜部25及び補助整地板40の後方では第2整地板20の中央部側へ向いた斜め後方に流れる。
【0026】
このため、補助整地板40、又は補助整地板40及び第2整地板20が既に代掻きが行われた処理済みの圃場Fの端部に重ね合うように、代掻き作業機1によって処理済みの圃場Fに隣接する未処理の圃場F'を代掻きすると、補助整地板40及び第2整地板20の左右方向端部の前方の圃場の泥水は、補助整地板40の傾斜面部40a及び第2整地板20の傾斜部25の前面に沿って第2整地板20の中央部側へ向いて流れる。また補助整地板40及び第2整地板20の傾斜部25から後方に流出する圃場の泥水は、第2整地板20の中央部側へ向いて流出する。従って、走行機体90の踏圧によって泥水や圃場に存在する藁W等が走行機体90の側方に押し出されても、この藁W等は補助整地板40及び第2整地板20の傾斜部25によって処理直後の圃場F'の内側に押し戻されるとともに、内側斜め後方に流れる泥水によってさらに圃場F'の内側に押し戻される。このため、藁W等が重ね合わせ部分Fpに残ることはなく、きれいに整地された重ね合わせ部分Fpの状態が維持され、その結果、圃場表面の全てを均平に整地することができる。
【0027】
なお、前述した実施の形態では、第2整地板20は内向傾斜する傾斜部25を第2整地板20の左右両端部に設けた場合を示したが、第2整地板20の構造はこれに限るものではなく、図4(a)(概略平面図)に示すように、第2整地板20の直線部24の左右両側に内側に進むに従って内向に傾斜して傾斜角度が漸次小さくなるように接続された2つの傾斜部25a,25bを配設してもよいし、図示はしないが、直線部24の左右両側に3つ以上の傾斜部を配設して、これらが左右方向内側に進むに従って漸次傾斜角度が小さくなるように配設してもよい。また、図4(b)(概略平面図)に示すように、左右に各1つの傾斜部25を配設して平面視においてV字状に構成し、また左右のそれぞれに2つ以上の傾斜部25を配設してV字状に構成してもよい。
【0028】
また、図2、図4(a)、図4(b)に示す第2整地板20の直線部24及び傾斜部25の各前端部は平面視において直線状に形成されたものであるが、これらの前端部を平面視において後方側に凸状に湾曲する曲線状に形成してもよい。例えば、図5(a)(平面図)に示すように、第2整地板20の補強フレーム22の前端部22aの全体を所定の曲率半径Rを有して連続的に円弧状に形成してもよい。この場合、整地板21の後部に、第2整地板20の後方側へ流出する泥水が機体内側方向に流れるように第2整地板20の中央部側に傾く切り欠き部30'を設ける。また第2整地板20は、図5(b)(平面図)に示すように、直線部24の左右両端部に接続された各傾斜部25の補強フレーム22の前端部22aが所定の曲率半径Rを有して円弧状に形成されたものでもよい。
【0029】
また、前述した実施の形態では、第2整地板20自体が曲がって第2整地板20が内向きに延びる構成を示したが、図6(a)(平面図)に示すように、整地板21は平面視において矩形状をなして機体幅方向の一端側から他端側に直線状に延び、この整地板21の上面に平面視においてV字状に延びる補強フレーム22を取り付けて第2整地板20'を構成してもよい。この場合、整地板21の後部には、第2整地板20の後方側へ流出する泥水が機体内側方向に流れるように、内側に向いた切り欠き部30'が設けられる。また、第2整地板20'は、図6(b)(平面図)に示すように、平面視矩形状をなした整地板21の上面に、中央部が左右方向に延びて左右方向両端部が内向に傾いて延びる補強フレーム22を取り付けて構成されてもよい。このように、整地板21に内向傾斜する補強フレーム22を取り付けると、補強フレーム22のうち内側に向く部分(以下、この部分を「傾斜案内面」と記す。)によって圃場の泥水や藁等を第2整地板20の中央側に案内することができる。また、第2整地板20'は、既存の整地板21に内向きに延びる補強フレーム22を取り付けるだけなので、第2整地板20'の設計変更は少なく、第2整地板20'の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0030】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる代掻き作業機について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点のみを説明し、第1の実施の形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。代掻き作業機50は、図7(平面図)に示すように、左右方向の中央部に配置された作業機本体51と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた延長作業体60と、延長作業体60の左右方向の外側端部に上下方向に回動可能に取り付けられた補助整地板40とを備え、作業機本体51及び延長作業体60,60によって3分割構造になっている。
【0031】
左右の延長作業体60,60は、左右対称の構造であり、作業機本体51の耕耘ロータの作業幅を側方に延長する図示省略のロータや延長第1整地板62等を備えてなる延長耕耘整地体61と、延長耕耘整地体61の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長第2整地板63とを有してなる。
【0032】
延長第2整地板63は、延長耕耘整地体61の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられて整地作業を行うものであり、前述した第2整地板20の傾斜部25と同様の構成を有している。この延長第2整地板63は延長作業体60の展開姿勢時に第2整地体20の外端部に接合して連結され、延長第2整地板63の折り畳み姿勢時には第2整地体20の外端部から離反して第2整地体20との接合が解除されるようになっている。
【0033】
また延長第2整地板63の外端部には、前述した補助整地板40が上下方向に回動可能に取り付けられている。この補助整地板40は、延長第2整地板63の表側の外端部に回動可能に取り付けられて、展開状態時には延長第2整地板63の外側に延びて延長第2整地板63の整地作業を補助し、折り畳んだ状態(不使用状態)時には延長第2整地板63の表面側に折り畳まれて延長第2整地板63と重なった状態となる。
【0034】
このように構成された代掻き作業機50が前進すると、圃場の泥水は、第2整地板20の後方では代掻き作業機50の進行方向Aに対して真っ直ぐ後方に流れ、延長作業体60の延長第2整地板63の前方ではこの補強フレーム22の前側面部に沿って第2整地板20の中央部側へ流れ、補助整地板40の前方では傾斜面部40aに沿って第2整地板20の中央部側へ流れ、補助整地板40及び延長第2整地板63の後方では第2整地板20側へ向いた斜め後方に流れる。
【0035】
このため、補助整地板40及び延長第2整地板63が既に代掻きが行われた処理済みの圃場Fの端部に重ね合うように、代掻き作業機50によって処理済みの圃場Fに隣接する未処理の圃場F'を代掻きすると、補助整地板40及び延長第2整地板63の前方の圃場の泥水は、補助整地板40の傾斜面部40a及び延長第2整地板63の補強フレーム22に沿って第2整地板20の中央部側へ向いて流れる。また補助整地板40及び延長第2整地板63から後方に流出する圃場の泥水は、第2整地板20の中央部側へ向いて流出する。従って、走行機体90の踏圧によって泥水や圃場に存在する藁W等が走行機体90の側方に押し出されても、この藁W等は補助整地板40及び延長第2整地板63によって処理直後の圃場F'の内側に押し戻されるとともに、内側斜め後方に流れる泥水によってさらに圃場F'の内側に押し戻される。このため、藁W等が重ね合わせ部分Fpに残ることはなく、きれいに整地された重ね合わせ部分Fpの状態が維持され、その結果、圃場表面の全てを均平に整地することができる。
【0036】
なお、前述した図7に示す代掻き作業機50の延長第2整地板63は、延長第2整地板63自体が内向傾斜するものを示したが、図8(a)(平面図)に示すように、延長第2整地板63の整地板64を平面視において矩形状をなして機体幅方向の一端側から他端側に直線状に延びるものとし、この整地板64の上面に平面視において内向きに延びる補強フレーム22'を取り付けて延長第2整地板63'を構成してもよい。
【0037】
また、図8(b)(平面図)に示すように、延長第2整地板63の平面視矩形状をなす整地板64に、平面視において内向きに延びる補強フレーム22'を取り付け、且つ第2整地板20に、延長第2整地板63に取り付けられた補強フレーム22'の延長線上に沿って延びて平面視において内向きに延びる補強フレーム22''を取り付けて、平面視において補強フレーム全体がV字状に延びるように配設してもよい。
【0038】
このように、補強フレーム22'、22''をV字状に内向傾斜するように取り付けると、これらの補強フレーム22'、22''によって圃場の泥水や藁等を第2整地板20の中央側に案内することができる。また第2整地板20や延長第2整地板63は、矩形状に形成された既存の整地板21、64に補強フレーム22'、22''を取り付けるだけなので、第2整地板20や延長第2整地板63の設計変更が少なくてすみ、これら整地板の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0039】
また図8(c)(平面図)に示すように、延長第2整地板63に平面視において内向きに延びる補強フレーム22'を取り付け、第2整地板20に左右方向外側に進むに従って後方側へ傾斜する補強フレーム22'''をように設けてもよい。即ち、補強フレーム22'''の全体が平面視においてW字状に延びるように設けてもよい。このようにすると、圃場の泥水は、補助整地板40及び延長第2整地板63の前側では、代掻き作業機50の前進に伴って第2整地板20側へ向いて斜め後方に流れ、また第2整地板20の前部では延長第2整地板63側へ向いて斜め後方に流れる。このため、圃場の泥水は、第2整地板20の左右方向端部と延長第2整地板63の内側端部との間に向かって流れる。従って、代掻き作業機50が前進して図7に示す作業機本体51の左側端部に設けられたチェーン伝動ケース11や作業機本体51の右側端部に設けられたサポートプレート53の下部によって圃場表面が削られて圃場に凹部が形成されても、第2整地板20と延長第2整地板63との間に向かって流れる泥水に含まれる土によって、凹部を埋め戻すことができる。
【0040】
なお、前述した図8(a)〜図8(c)に示した内向傾斜する補強フレーム22や外向傾斜する補強フレーム22の前端部は、平面視において直線状に延びたものであるが、後方側に弯曲する曲線状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機の側面図を示す。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機の平面図を示す。
【図3】代掻き作業機の第2整地板を説明するための断面図を示す。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機に設けられる第2整地板の概略平面図を示す。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる内側に向いて延びる第2整地板の平面図を示す。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係わる整地板に内向傾斜する補強フレームを設けた第2整地板の平面図を示す。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる代掻き作業機の平面図を示す。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる代掻き作業機に設けられる第2整地板の平面図を示す。
【図9】従来の第2整地板を示し、同図(a)は走行機体の後部に装着された第2整地板の斜視図を示し、同図(b)は第2整地板によって排出される泥水の排出方向を説明するための第2整地板の裏面図を示す。
【図10】傾斜案内面を有した延長第2整地板を備えた従来の代掻き作業機の平面図を示す。
【図11】後端部に中央部側に傾いて延びる切り欠き部を備えた従来の第2整地板の平面図を示す。
【符号の説明】
【0042】
1,50 代掻き作業機
13 耕耘ロータ
19 第1整地板
20 第2整地板
22' 補強フレーム(傾斜案内面)
90 走行機体
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に装着され、走行機体から伝達される動力によって耕耘ロータを回転しながら走行機体の走行とともに進行して圃場の耕耘作業を行う代掻き作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような代掻き作業機は、一般的に、耕耘ロータの進行方向後側に第1整地板を上下方向に回動可能に設け、第1整地板の後方側に第2整地板を回動可能に設けて、第1整地板及び第2整地板によって圃場表面を整地しながら第2整地板から泥水を略真っ直ぐ後方へ流すようにしている。このように第2整地板から排出される泥水の流出方向が略真っ直ぐ後方である場合、走行機体の踏圧によって泥水や藁等が走行機体の走行方向に対して側方に押し出されると、この藁等は既に処理された圃場の部分に押し流されたままとなり、きれいに整地された圃場部分が乱されて、圃場表面の全てを均平に整地することができなくなる。
【0003】
そこで、特許文献1には、第1整地板70の後方側に配設されて走行機体90が進行するに従って掘り出された土と水を機体内側方向へ押し出すことが可能な馬鍬71が提案されている。この馬鍬71を走行機体90の後部に装着した状態の斜視図を図9(a)に示し、馬鍬71の裏面図を図9(b)に示し、これらの図を参照して説明すると、馬鍬71は、幅方向に延びる支持部材72の左右両側に一対の左右側刃部73を配設し、一対の左右側刃部73間に中央刃部78を配設して構成される。左右側刃部73は、支持部材72の後端部に複数の傾斜馬鍬片74を支持部材72に沿って取り付けて構成され、中央刃部78は、前後方向の長さが異なる複数個の馬鍬片79を支持部材72の後端部に取り付けて構成されている。
【0004】
傾斜馬鍬片74は、ヘラ状の板部材を後端側が斜め下方へ延びて支持部材72に取り付けられ、圃場の表面に接触する後端部は、支持部材72の幅方向内側に進むに従って後方側に傾斜して延びる。このため、傾斜馬鍬片74の裏側の空間は、支持部材72の幅方向内側に進むに従って拡大して傾斜馬鍬片74の内側端部で開口している。従って、走行機体90が前進走行して耕耘ロータによって掘り出された泥水は、傾斜馬鍬片74の内面に接触すると、内側に向きを変えて隣接する他の傾斜馬鍬片74との間に流出する。
【0005】
また、機体幅方向内側に向いて延びる傾斜案内面81aを有した延長第2整地板81を備えた代掻き作業機80は、特許文献2に記載されており、図10(平面図)に示すように、延長第2整地板81は第2整地板82の左右方向端部に回動可能に取り付けられて、第2整地板82から外側へ延びる整地姿勢Psと、第2整地板上82に折り畳まれる格納姿勢Pkとの間を移動可能である。延長第2整地板81が整地姿勢Psになると、延長第2整地板81の前部に形成された傾斜案内面81aは左右方向内側に向いて延びて、圃場表面を削り取った泥土等を機体幅方向内側に寄せることができる。
【0006】
また、第2整地板86の後端部に第2整地板86の中央部側に傾いて前後方向に延びる切り欠き部87を設けた代掻き作業機85は、特許文献3に記載されており、図11(平面図)に示すように、切り欠き部87は第2整地板86の左右両側の第2整地板86'の後端部に設けられており、この切り欠き部87によって第2整地板86の下方を流れる泥水を機体幅方向内側へ流すことができる。
【0007】
【特許文献1】特表2003−505047号公報
【特許文献2】特開2007−82442号公報
【特許文献3】特開2007−222130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の馬鍬に設けられた傾斜馬鍬片は、支持部材に非連続的に配設されて幅方向長さが比較的に短い。このため、走行機体の踏圧によって走行機体の側方に泥水や藁等が押し出された場合、これらの泥水や藁等は傾斜馬鍬片の裏面に突き当たって内側方向に押し流されるが、この泥水や藁等に作用する内側方向の力の作用時間は比較的に短い。このため、特許文献1に記載の馬鍬では、走行機体の側方に押し出された藁等が既にきれいに整地された圃場部分に残り易く、整地された圃場部分が乱されて、圃場表面の全てを均平に整地することができないという問題を有する。
【0009】
また、特許文献2に記載の代掻き作業機では、第2整地板には延長第2整地板に設けられた傾斜案内面と同様の傾斜案内面が備えられていない。このため、特許文献2に記載された代掻き作業機では、第2整地板の下を泥水や藁が真っ直ぐ後方へ抜けてしまい、それらを中央よりに導くことができず、圃場表面を均平に整地することができない場合があるという課題があった。
【0010】
また、特許文献3に記載の代掻き作業機では、切り欠き部による泥水の機体幅方向内側への整流効果は小さく、充分な実効性が得られないという課題があった。
【0011】
本発明は、このような問題や課題に鑑みてなされたものであり、走行機体の側方に押し出された泥水や藁等を確実に機体の中央側に導いて、圃場表面の全てを均平に整地することができる代掻き作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するため、本発明は、以下の特徴を有する。特徴の一つは、走行機体の後部に装着され、該走行機体から伝達される動力によって回転する耕耘ロータと該耕耘ロータの進行方向後側に回動可能に支持された第1整地板と該第1整地板の後端部に回動可能に支持された第2整地板とを備え、耕耘ロータが回転しながら走行機体の走行とともに進行して耕耘作業を行うとともに、第1整地板及び第2整地板によって圃場表面を整地する代掻き作業機において、第2整地板は、圃場の泥水や藁等を第2整地板の中央側に案内するため進行方向に対して左右方向内側に向いて延びる傾斜案内面を備えることを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、第2整地板は、圃場の泥水や藁等を第2整地板の中央側に案内するため進行方向に対して左右方向内側に向いて延びる傾斜案内面を備えることにより、引用文献1のように泥水や藁を内側へ整流するための馬鍬を耕耘作業機とは別体として新たに設ける必要がなく、構成を簡素にすることができる。また引用文献2に記載の延長第2整地体だけでなく、第2整地体の本体部にも傾斜案内面を設けることで、泥水や藁等を機体の中央側へより効果的に案内することができる。また引用文献3に記載の切り欠き部を第3整地板に設けるのではなく、第2整地体の本体部に傾斜案内面を設けることで、泥水や藁等を機体の中央側へ充分な実効性を有して案内することができる。
【0014】
また特徴の一つは、傾斜案内面は左右方向に連続的に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、傾斜案内面を左右方向に連続的に形成することにより、傾斜案内面が非連続的に形成されたものと比べ、泥水や藁等の機体中央側への案内効率をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる代掻き作業機によれば、上記特徴を有することにより、走行機体の側方に押し出された泥水や藁等を確実に機体の中央側に案内して、圃場表面の全てを均平に整地することが可能な代掻き作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。先ず、本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機について説明する。代掻き作業機1は、図1(側面図)、図2(平面図)に示すように、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構に連結されるトップマスト6とロアーリンク連結部7を設けて、走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸9aを備えたギアボックス9が設けられ、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸9aに伝達されるようになっている。
【0018】
主フレーム3の左側端部には、チェーン伝動ケース11が垂設され、主フレーム3の右側端部には側部フレーム12がチェーン伝動ケース11と対向して垂設されている。チェーン伝動ケース11に接続された主フレーム3の左側部及びチェーン伝動ケース11内には伝動機構が設けられ、チェーン伝動ケース11と側部フレーム12の下端部間に多数の耕耘爪を取り付けた耕耘ロータ13が回転自在に設けられている。そして、入力軸9aに伝達された動力は、ギアボックス9を介して主フレーム3及びチェーン伝動ケース11内の伝動機構に伝達されて、耕耘ロータ13を所定方向に回転させる。耕耘ロータ13の上側はシールドカバー15によって覆われ、このシールドカバー15の左右方向両端部には側部カバー17が設けられている。
【0019】
シールドカバー15の後端部には、前端部が上下方向に回動自在に取り付けられて後端側が斜め下方に延びる第1整地板19が取り付けられている。第1整地板19の後端部19aは左右方向に略直線状に形成されており、この後端部19aによって耕土表面を平らに整地する。第1整地板19の後端部19aには、第2整地板20が上下方向に回動自在に取り付けられ、第2整地板20の左右両端部には、折り畳み可能に回動自在に取り付けられて整地作業を延長して補助するとともに、前部に形成されて内向きに延びる傾斜面部40aによって圃場の泥水や藁等を機体幅方向内側へ押し流す補助整地板40が設けられている。
【0020】
第2整地板20は、図3(断面図)を更に追加して説明すると、左右方向に延びる平面視矩形状をなす整地板21を有し、この整地板21の前部には上方へ突出する前側段部21aが形成され、整地板21の後部には前側段部21aよりも高さが低い後側段部21bが形成され、前側段部21aと後側段部21bとの間には左右方向に延びて断面扁平矩形状の補強フレーム22が整地板21と一体的に固着されている。この補強フレーム22の左右両端部及び整地板21の左右両端部には、前後方向に延びる連結板23が一体的に固着され、左右一対の連結板23の前端部が第1整地板19の後端部19aに枢結されている。このため、第2整地板20は、第1整地板19の後端部19aを支点として上下方向に回動可能である。
【0021】
第2整地板20は、左右方向中央部分が機体5の進行方向に対して左右方向に略直交して直線状に延びる直線部24と、直線部24の左右両端部に接続されて進行方向に対して左右方向内側に向く傾斜部25とを有して左右対称構造であり、直線部24と左右一対の傾斜部25は連続的に固着されて一体化されている。第2整地板20の傾斜部25の前端部と第1整地板19の後端部19aとの間に形成されて平面視において三角状の孔部26と、第2整地板20の直線部24の前端部と第1整地板19の後端部19aとの間に形成されて平面視において矩形状の孔部27とには、これらの孔部26,27を覆うカバー部28が設けられている。
【0022】
第2整地板20及び補助整地板40の各後端部には、左右方向に所定間隔を有して配置された切り欠き部30,30'が複数設けられている。切り欠き部30,30'は、平面視において略三角形状に開口している。
【0023】
第2整地板20の傾斜部25に設けられた切り欠き部30'と補助整地板40に設けられた切り欠き部30'の延びる方向は略同一であり、これらの切り欠き部30'と第2整地板20の直線部24に設けられた切り欠き部30の延びる方向は相違している。切り欠き部30は、平面視において左右対称の二等辺三角形状に形成されて機体5の進行方向と略同一方向に延びる。このため、第2整地板20が圃場を前進すると、圃場の泥水は切り欠き部30を通って第2整地板20の直線部24の略真後ろに流出する。
【0024】
切り欠き部30'は、左右非対称の略三角形状に形成されて第2整地板20の中央部側に内向きに傾いて延びる。このため、第2整地板20が圃場を前進すると、圃場の泥水は切り欠き部30'を通って第2整地板20の中央部側に流出する。
【0025】
このような内向きの傾斜部25や切り欠き部30'を有した第2整地板20を備えた代掻き作業機1が前進すると、図2に示すように、圃場の泥水は、第2整地板20の直線部24の後方では代掻き作業機1の進行方向Aに対して真っ直ぐ後方に流れ、第2整地板20の傾斜部25及び補助整地板40の後方では第2整地板20の中央部側へ向いた斜め後方に流れる。
【0026】
このため、補助整地板40、又は補助整地板40及び第2整地板20が既に代掻きが行われた処理済みの圃場Fの端部に重ね合うように、代掻き作業機1によって処理済みの圃場Fに隣接する未処理の圃場F'を代掻きすると、補助整地板40及び第2整地板20の左右方向端部の前方の圃場の泥水は、補助整地板40の傾斜面部40a及び第2整地板20の傾斜部25の前面に沿って第2整地板20の中央部側へ向いて流れる。また補助整地板40及び第2整地板20の傾斜部25から後方に流出する圃場の泥水は、第2整地板20の中央部側へ向いて流出する。従って、走行機体90の踏圧によって泥水や圃場に存在する藁W等が走行機体90の側方に押し出されても、この藁W等は補助整地板40及び第2整地板20の傾斜部25によって処理直後の圃場F'の内側に押し戻されるとともに、内側斜め後方に流れる泥水によってさらに圃場F'の内側に押し戻される。このため、藁W等が重ね合わせ部分Fpに残ることはなく、きれいに整地された重ね合わせ部分Fpの状態が維持され、その結果、圃場表面の全てを均平に整地することができる。
【0027】
なお、前述した実施の形態では、第2整地板20は内向傾斜する傾斜部25を第2整地板20の左右両端部に設けた場合を示したが、第2整地板20の構造はこれに限るものではなく、図4(a)(概略平面図)に示すように、第2整地板20の直線部24の左右両側に内側に進むに従って内向に傾斜して傾斜角度が漸次小さくなるように接続された2つの傾斜部25a,25bを配設してもよいし、図示はしないが、直線部24の左右両側に3つ以上の傾斜部を配設して、これらが左右方向内側に進むに従って漸次傾斜角度が小さくなるように配設してもよい。また、図4(b)(概略平面図)に示すように、左右に各1つの傾斜部25を配設して平面視においてV字状に構成し、また左右のそれぞれに2つ以上の傾斜部25を配設してV字状に構成してもよい。
【0028】
また、図2、図4(a)、図4(b)に示す第2整地板20の直線部24及び傾斜部25の各前端部は平面視において直線状に形成されたものであるが、これらの前端部を平面視において後方側に凸状に湾曲する曲線状に形成してもよい。例えば、図5(a)(平面図)に示すように、第2整地板20の補強フレーム22の前端部22aの全体を所定の曲率半径Rを有して連続的に円弧状に形成してもよい。この場合、整地板21の後部に、第2整地板20の後方側へ流出する泥水が機体内側方向に流れるように第2整地板20の中央部側に傾く切り欠き部30'を設ける。また第2整地板20は、図5(b)(平面図)に示すように、直線部24の左右両端部に接続された各傾斜部25の補強フレーム22の前端部22aが所定の曲率半径Rを有して円弧状に形成されたものでもよい。
【0029】
また、前述した実施の形態では、第2整地板20自体が曲がって第2整地板20が内向きに延びる構成を示したが、図6(a)(平面図)に示すように、整地板21は平面視において矩形状をなして機体幅方向の一端側から他端側に直線状に延び、この整地板21の上面に平面視においてV字状に延びる補強フレーム22を取り付けて第2整地板20'を構成してもよい。この場合、整地板21の後部には、第2整地板20の後方側へ流出する泥水が機体内側方向に流れるように、内側に向いた切り欠き部30'が設けられる。また、第2整地板20'は、図6(b)(平面図)に示すように、平面視矩形状をなした整地板21の上面に、中央部が左右方向に延びて左右方向両端部が内向に傾いて延びる補強フレーム22を取り付けて構成されてもよい。このように、整地板21に内向傾斜する補強フレーム22を取り付けると、補強フレーム22のうち内側に向く部分(以下、この部分を「傾斜案内面」と記す。)によって圃場の泥水や藁等を第2整地板20の中央側に案内することができる。また、第2整地板20'は、既存の整地板21に内向きに延びる補強フレーム22を取り付けるだけなので、第2整地板20'の設計変更は少なく、第2整地板20'の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0030】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる代掻き作業機について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点のみを説明し、第1の実施の形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。代掻き作業機50は、図7(平面図)に示すように、左右方向の中央部に配置された作業機本体51と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた延長作業体60と、延長作業体60の左右方向の外側端部に上下方向に回動可能に取り付けられた補助整地板40とを備え、作業機本体51及び延長作業体60,60によって3分割構造になっている。
【0031】
左右の延長作業体60,60は、左右対称の構造であり、作業機本体51の耕耘ロータの作業幅を側方に延長する図示省略のロータや延長第1整地板62等を備えてなる延長耕耘整地体61と、延長耕耘整地体61の後方位置に上下方向に回動可能に位置して整地作業を行う延長第2整地板63とを有してなる。
【0032】
延長第2整地板63は、延長耕耘整地体61の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられて整地作業を行うものであり、前述した第2整地板20の傾斜部25と同様の構成を有している。この延長第2整地板63は延長作業体60の展開姿勢時に第2整地体20の外端部に接合して連結され、延長第2整地板63の折り畳み姿勢時には第2整地体20の外端部から離反して第2整地体20との接合が解除されるようになっている。
【0033】
また延長第2整地板63の外端部には、前述した補助整地板40が上下方向に回動可能に取り付けられている。この補助整地板40は、延長第2整地板63の表側の外端部に回動可能に取り付けられて、展開状態時には延長第2整地板63の外側に延びて延長第2整地板63の整地作業を補助し、折り畳んだ状態(不使用状態)時には延長第2整地板63の表面側に折り畳まれて延長第2整地板63と重なった状態となる。
【0034】
このように構成された代掻き作業機50が前進すると、圃場の泥水は、第2整地板20の後方では代掻き作業機50の進行方向Aに対して真っ直ぐ後方に流れ、延長作業体60の延長第2整地板63の前方ではこの補強フレーム22の前側面部に沿って第2整地板20の中央部側へ流れ、補助整地板40の前方では傾斜面部40aに沿って第2整地板20の中央部側へ流れ、補助整地板40及び延長第2整地板63の後方では第2整地板20側へ向いた斜め後方に流れる。
【0035】
このため、補助整地板40及び延長第2整地板63が既に代掻きが行われた処理済みの圃場Fの端部に重ね合うように、代掻き作業機50によって処理済みの圃場Fに隣接する未処理の圃場F'を代掻きすると、補助整地板40及び延長第2整地板63の前方の圃場の泥水は、補助整地板40の傾斜面部40a及び延長第2整地板63の補強フレーム22に沿って第2整地板20の中央部側へ向いて流れる。また補助整地板40及び延長第2整地板63から後方に流出する圃場の泥水は、第2整地板20の中央部側へ向いて流出する。従って、走行機体90の踏圧によって泥水や圃場に存在する藁W等が走行機体90の側方に押し出されても、この藁W等は補助整地板40及び延長第2整地板63によって処理直後の圃場F'の内側に押し戻されるとともに、内側斜め後方に流れる泥水によってさらに圃場F'の内側に押し戻される。このため、藁W等が重ね合わせ部分Fpに残ることはなく、きれいに整地された重ね合わせ部分Fpの状態が維持され、その結果、圃場表面の全てを均平に整地することができる。
【0036】
なお、前述した図7に示す代掻き作業機50の延長第2整地板63は、延長第2整地板63自体が内向傾斜するものを示したが、図8(a)(平面図)に示すように、延長第2整地板63の整地板64を平面視において矩形状をなして機体幅方向の一端側から他端側に直線状に延びるものとし、この整地板64の上面に平面視において内向きに延びる補強フレーム22'を取り付けて延長第2整地板63'を構成してもよい。
【0037】
また、図8(b)(平面図)に示すように、延長第2整地板63の平面視矩形状をなす整地板64に、平面視において内向きに延びる補強フレーム22'を取り付け、且つ第2整地板20に、延長第2整地板63に取り付けられた補強フレーム22'の延長線上に沿って延びて平面視において内向きに延びる補強フレーム22''を取り付けて、平面視において補強フレーム全体がV字状に延びるように配設してもよい。
【0038】
このように、補強フレーム22'、22''をV字状に内向傾斜するように取り付けると、これらの補強フレーム22'、22''によって圃場の泥水や藁等を第2整地板20の中央側に案内することができる。また第2整地板20や延長第2整地板63は、矩形状に形成された既存の整地板21、64に補強フレーム22'、22''を取り付けるだけなので、第2整地板20や延長第2整地板63の設計変更が少なくてすみ、これら整地板の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0039】
また図8(c)(平面図)に示すように、延長第2整地板63に平面視において内向きに延びる補強フレーム22'を取り付け、第2整地板20に左右方向外側に進むに従って後方側へ傾斜する補強フレーム22'''をように設けてもよい。即ち、補強フレーム22'''の全体が平面視においてW字状に延びるように設けてもよい。このようにすると、圃場の泥水は、補助整地板40及び延長第2整地板63の前側では、代掻き作業機50の前進に伴って第2整地板20側へ向いて斜め後方に流れ、また第2整地板20の前部では延長第2整地板63側へ向いて斜め後方に流れる。このため、圃場の泥水は、第2整地板20の左右方向端部と延長第2整地板63の内側端部との間に向かって流れる。従って、代掻き作業機50が前進して図7に示す作業機本体51の左側端部に設けられたチェーン伝動ケース11や作業機本体51の右側端部に設けられたサポートプレート53の下部によって圃場表面が削られて圃場に凹部が形成されても、第2整地板20と延長第2整地板63との間に向かって流れる泥水に含まれる土によって、凹部を埋め戻すことができる。
【0040】
なお、前述した図8(a)〜図8(c)に示した内向傾斜する補強フレーム22や外向傾斜する補強フレーム22の前端部は、平面視において直線状に延びたものであるが、後方側に弯曲する曲線状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機の側面図を示す。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機の平面図を示す。
【図3】代掻き作業機の第2整地板を説明するための断面図を示す。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる代掻き作業機に設けられる第2整地板の概略平面図を示す。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係わる内側に向いて延びる第2整地板の平面図を示す。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係わる整地板に内向傾斜する補強フレームを設けた第2整地板の平面図を示す。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる代掻き作業機の平面図を示す。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係わる代掻き作業機に設けられる第2整地板の平面図を示す。
【図9】従来の第2整地板を示し、同図(a)は走行機体の後部に装着された第2整地板の斜視図を示し、同図(b)は第2整地板によって排出される泥水の排出方向を説明するための第2整地板の裏面図を示す。
【図10】傾斜案内面を有した延長第2整地板を備えた従来の代掻き作業機の平面図を示す。
【図11】後端部に中央部側に傾いて延びる切り欠き部を備えた従来の第2整地板の平面図を示す。
【符号の説明】
【0042】
1,50 代掻き作業機
13 耕耘ロータ
19 第1整地板
20 第2整地板
22' 補強フレーム(傾斜案内面)
90 走行機体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、該走行機体から伝達される動力によって回転する耕耘ロータと該耕耘ロータの進行方向後側に回動可能に支持された第1整地板と該第1整地板の後端部に回動可能に支持された第2整地板とを備え、前記耕耘ロータが回転しながら前記走行機体の走行とともに進行して耕耘作業を行うとともに、前記第1整地板及び前記第2整地板によって圃場表面を整地する代掻き作業機において、
前記第2整地板は、圃場の泥水や藁等を前記第2整地板の中央側に案内するため進行方向に対して左右方向内側に向いて延びる傾斜案内面を備えることを特徴とする代掻き作業機。
【請求項2】
前記傾斜案内面は、左右方向に連続的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の代掻き作業機。
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、該走行機体から伝達される動力によって回転する耕耘ロータと該耕耘ロータの進行方向後側に回動可能に支持された第1整地板と該第1整地板の後端部に回動可能に支持された第2整地板とを備え、前記耕耘ロータが回転しながら前記走行機体の走行とともに進行して耕耘作業を行うとともに、前記第1整地板及び前記第2整地板によって圃場表面を整地する代掻き作業機において、
前記第2整地板は、圃場の泥水や藁等を前記第2整地板の中央側に案内するため進行方向に対して左右方向内側に向いて延びる傾斜案内面を備えることを特徴とする代掻き作業機。
【請求項2】
前記傾斜案内面は、左右方向に連続的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の代掻き作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−131172(P2009−131172A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309037(P2007−309037)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】
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