仮設トイレ用配管装置
【課題】初期水を確実に保持する。
【解決手段】地中に傾斜して埋設された排水管１と、この排水管１に長さ方向に所定間隔毎に接続された複数の縦管２と、排水管１の下流端部と下水管とを接続する中継管３と、中継管３の上流側に設けられて急速開放・閉鎖可能な第１弁装置４と、前記第１弁装置４の下流側の中継管３に設けられ弁体を弁座部に圧接して中継管３を閉鎖・開放可能な第２弁装置５とを具備し、第１弁装置４と第２弁装置５を閉じた状態で、排水管１に初期水を貯留し、所定時間ごとに、まず第２弁装置５を開放し、その後第１弁装置４を開放して、し尿を初期水と共に排水管１から中継管３を介して下水管に排出する。
【解決手段】地中に傾斜して埋設された排水管１と、この排水管１に長さ方向に所定間隔毎に接続された複数の縦管２と、排水管１の下流端部と下水管とを接続する中継管３と、中継管３の上流側に設けられて急速開放・閉鎖可能な第１弁装置４と、前記第１弁装置４の下流側の中継管３に設けられ弁体を弁座部に圧接して中継管３を閉鎖・開放可能な第２弁装置５とを具備し、第１弁装置４と第２弁装置５を閉じた状態で、排水管１に初期水を貯留し、所定時間ごとに、まず第２弁装置５を開放し、その後第１弁装置４を開放して、し尿を初期水と共に排水管１から中継管３を介して下水管に排出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、地震などの緊急災害時に、避難地に設置される仮設トイレ用配管装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
たとえば特許文献１に開示された仮設トイレ用配管構造は、地中に上流側上位から下流側下位に傾斜して埋設される排水管と、この排水管に長さ方向に所定間隔毎に接続されて上端部が地表に露出される複数の縦管と、縦管の上端部に設置された便器と、排水管の下流端に設けられたマンホールとを具備し、マンホールと既設の下水管とを接続したものである。上記従来構成では、排水管のマンホール側またはマンホール内の排水管端部にスライドゲートを取り付けている。使用に際しては、スライドゲートを閉じて排水管内に初期水を溜めておき、初期水により縦管から落下されるし尿の軟化を促進し、所定量のし尿が溜まると、スライドゲートをあけてし尿を初期水と共にマンホール側に流し、下水管に排出するものである。
【特許文献１】特開平１１−１０７３６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記従来構成において、スライドゲートは、操作ロッドにより平板状のゲート板を排水管内の弁座面に沿って上下にスライドさせて開閉するように構成されたもので、ゲート板は弁座面に沿って摺動されるため、弁座面にパッキングなどの止水部材を設けても止水性能が低く、また時間の経過と共に止水性能が低下しやすいものであり、このため排水管内に初期水が確実に保持されずに流出する恐れがあった。このような場合、縦管から落下されたし尿が排水管内で堆積固化して排出されず、使用不能に陥るおそれがあった。
【０００４】
本発明は上記問題点を解決して、排水管内の初期水の漏れを防止して確実に保持できる仮設トイレ用配管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１記載の発明は、地中に上流側上位から下流側下位に傾斜して埋設された排水管と、この排水管に長さ方向に所定間隔毎に接続されて上端部が地表に開口される複数の縦管とを具備した仮設トイレ用配管装置であって、排水管の下流端部に、下水管に接続される中継管を接続し、中継管の上流側に、この中継管を急速開放・閉鎖可能な第１弁装置を設けるとともに、前記第１弁装置の下流側に、弁体を弁座部に圧接して中継管を閉鎖・開放可能な第２弁装置を設け、第１弁装置と第２弁装置を閉じた状態で、排水管内に最上流位置の縦管に対応する排水管の水位が所定深さとなるように初期水を貯留し、所定時間ごとに、まず第２弁装置を開放し、その後第１弁装置を開放して、排水管内のし尿を初期水と共に中継管から下水管に排出するように構成したものである。
【０００６】
請求項２記載の発明は、請求項１記載の構成において、第１弁装置は、弁板が中継管側の弁座面に沿って摺動されて中継管を開閉自在なスライドゲート弁からなり、第２弁装置は、中継管の軸心に直交する軸心回りに弁体が回動されて中継管を開閉自在なバタフライ弁からなるものである。
【０００７】
請求項３記載の発明は、請求項１または２記載の構成において、排水管の上流端に、初期水を供給可能で、かつ作業員が入って作業可能なマンホール槽を設けたものである。
請求項４記載の発明は、請求項１乃至３のいずれかに記載の構成において、排水管の初期水の水面より上方の部位と第２弁体の下水管側の中継管との間に、オーバーフローした初期水とし尿とを排出するオーバーフロー管を接続したものである。
【発明の効果】
【０００８】
請求項１記載の発明によれば、排水管の下流側に弁体を弁座部に圧接して中継管を閉鎖可能な第２弁装置を設けることにより、排水管内の初期水を確実に保持して漏水を無くすことができ、初期水の漏れによるし尿の堆積固化が生じるのを未然に防止することができる。また弁体を弁座部に圧接する第２弁装置は、その開閉動作が遅い傾向にあるが、第２弁装置の上流側に急速開放可能な第１弁装置を設け、第２弁装置を開けた後に第１弁装置を急速開放することにより、その水激性を利用して、排水管内のし尿を初期水と共に一気に中継管から下水管に排出することができ、し尿をスムーズに排出することができる。
【０００９】
請求項２記載の発明によれば、バタフライ弁からなる第２弁装置により止水性能を高め、スライドゲート弁からなる第１弁装置により中継管を急速開放することができる。
請求項３記載の発明によれば、排水管の上流端にマンホール槽を設けることにより、排水管内のメンテナンスを容易に行え、また初期水の供給を行うことができるので、最上流位置の縦管を使用しなくてすみ、便器の使用を制限することがない。
【００１０】
請求項４記載の発明によれば、オーバーフロー管により、オーバーフローしたし尿と初期水とをスムーズに排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
［実施の形態１］
【００１２】
本発明は、緊急災害時などの被災地に設置される仮設トイレ用配管装置で、実施の形態を図面に基づいて説明する。
［実施の形態］
本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
【００１３】
この仮設トイレ用配管装置は、下水管に排出する中継管に、２つの弁装置を直列に配設することにより、止水性に優れ、かつ水激性を確保できるように構成したものである。
すなわち、図１，図２に示すように、地中には、上流側上位から下流側下位に一定の勾配で傾斜される排水管１が埋設され、この排水管１の上面に、長さ方向に所定間隔毎に上端部が地表に露出される複数本（図では５本）の縦管２が立設接続されている。また排水管１の下流端部には、既設の下水管（図示せず）に接続される中継管３が接続され、この中継管３に２つの弁装置４，５が直列に設けられている。
【００１４】
前記排水管１は、ポリエチレン製で口径が４００〜６００ｍｍ程度の複数本の単管１ａを接続して所定の長さに形成されている。そしてこの排水管１は、掘削された設置溝６内に基礎砕石６ａを介してたとえば２％の一定の勾配で設置され、覆土で覆われている。
【００１５】
図３に示すように、前記縦管２はポリエチレン製で、サドル付き支管２ａと、この支管２ａの上部に接続された縦管本体２ｂと、縦管本体２ｂの上端を開閉自在なキャップ２ｃとを具備し、排水管１の上面に長さ方向に一定ピッチで形成された縦管用開口部１ｃに支管２ａが嵌合され、そのサドルが取付バンド２ｄにより排水管１に取り付けられている。また縦管２の上端部周囲には、開閉蓋２ｆ付きのスラブ枠２ｅが設けられ、開閉蓋２ｆとキャップ２ｃを取り外した状態で縦管本体２ｂの上部に便器７が取り付けられる。
【００１６】
排水管１の上流端部には、初期水を供給するとともに、作業員が入ってメンテナンス可能な口径のマンホール槽８が設けられており、マンホール槽８の槽本体８ａは、設置溝６内に基礎砕石６ａを介して設置され、その上面開口部にスラブ枠８ｂを介して開閉可能な開閉蓋８ｃが設けられている。
【００１７】
排水管１の下流端に管変換継手部９を介して、排水管１より小口径の中継管３が接続されている。そしてこの中継管３には、上流側に弁板４ｃを上下方向にスライドさせて中継管３を急速開放・閉鎖可能なスライドゲート弁からなる第１弁装置４が設けられるとともに、前記第１弁装置４の下流側に所定間隔をあけて、弁体５ｄを回動して弁座部５ｈに圧接し中継管３を確実に閉鎖・開放可能なバタフライ弁からなる第２弁装置５が設けられている。
【００１８】
すなわち、前記第１弁装置４は、図４，図５に示すように、設置溝６内に基礎砕石６ａとコンクリート製の床版６ｂを介して縦置き円筒状の弁箱４ａが設置され、この弁箱４ａに中継管３が接続されている。そして弁箱４ａ内には、中継管３に連通された開閉用弁穴４ｂを全閉可能な板状の弁板４ｃと、開閉用弁穴４ｂの両側で弁板４ｃの昇降を案内するとともに弁座面を形成するガイド溝４ｄと、弁箱４ａ内で弁板４ｃを昇降駆動する操作ロッド４ｅとが設けられている。そして操作ロッド４ｅの上端部には操作用の把手４ｆが設けられている。また弁箱４ａの上方部には、開閉蓋４ｇを有するスラブ枠４ｈが設置されている。この第１弁装置４の構成では、弁板４ｃがガイド溝４ｄを摺動して開閉用弁穴４ｂを開閉するため、ガイド溝４ｄの弁座面と弁板４ｃが圧接されることがなく、このため止水性能が劣る傾向にある。一方、開閉蓋４ｇを開け把手４ｆを掴んで操作ロッド４ｅを素早く引き上げることで、弁板４ｃを短時間で引き上げて中継管３を急速開放することができる。
【００１９】
第２弁装置５は、図４，図６，図７に示すように、中継管３に介在された弁箱５ａの開閉用弁穴５ｂに、水平軸５ｃを中心に所定範囲で回動される円形の弁体５ｄを有し、水平軸５ｃの端部にはギヤボックス５ｅを介して操作軸５ｆが立設され、この操作軸５ｆの上端に操作ハンドル５ｇが設けられている。ギヤボックス５ｅと操作軸５ｆと操作ハンドル５ｇは、円筒状の外筒体５ｊ内に収容され、外筒体５ｊの上端部にはスラブ枠５ｋを介して開閉蓋５ｍが設けられている。この第２弁装置５の構成では、弁体５ｄの外周部が、開閉用弁穴５ｂの周囲に設けられた弁座部５ｈに、大きい加圧力で圧接されて弁穴５ｂを閉鎖するので、止水性能が高くかつ寿命も長い。一方、弁体５ｄの回動動作が遅く中継管３を急速開放することができない。
【００２０】
また排水管１には、排水管１からオーバーフローした初期水とし尿とを下水管に排出するオーバーフロー管１０が設けられている。このオーバーフロー管１０は、上流端が管変換継手部９の閉鎖板部で初期水の水位Ｗより上方の部位に接続され、第１弁装置４を迂回した後、下流端が中継管３の第２弁装置５の下流側に接続されている。
【００２１】
上記構成において、使用する延べ人数に応じた所定時間ごとに（ここで「所定時間」とは、予め決定された時間ではなく、使用状態やし尿の貯留状態から判断される排出を必要とする時間をいう）、まず、第２弁装置５の開閉蓋５ｍを開けて操作ハンドル５ｇを操作し、閉鎖位置の弁体５ｄを開放位置に回動させる。ついて、第１弁装置４の開閉蓋４ｇを開け、操作ロッド４ｅの把手４ｆを掴んで素早く弁板４ｃを引き上げて中継管３を急速開放する。この開放時の水激性により、排水管１内の尿は初期水と共に勢い良く中継管３に流れ込み、下水管にスムーズに排出される。
【００２２】
排出が終わると、操作ロッド４ｅを押し込んで第１弁装置４を閉じるとともに、操作ハンドル５ｇを操作して第２弁装置５を閉じる。さらにマンホール槽８の開閉蓋８ｂを開けて、最上流位置の縦管２に対応する排水管１の水位Ｗが所定高さになるまで初期水を供給する。
【００２３】
上記実施の形態によれば、排水管１を既設の下水管に接続する中継管３の上流側に、急速開放可能であるが止水性能に劣るスライドゲート弁からなる第１弁装置４を設け、その下流側に止水性能は高いが、開閉動作が遅いバタフライ弁からなる第２弁装置５を設けたので、排水管１内の初期水の漏れを確実に防止することができるとともに、第２弁装置５の開放後に第１弁装置４を開放することで、中継管３を急速開放して水激性を生じさせ、排水管１内のし尿を初期水と共にスムーズに下水管に排出することができる。
【００２４】
また排水管１の上流端に、マンホール槽８を設けたので、作業員によるメンテナンスを容易に行うことができる。
さらに排水管１と、第２弁装置５の下流側の中継管３とを接続するオーバーフロー管１０により、排水管１内でオーバーフローした初期水とし尿とをスムーズに下水管に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明に係る仮設トイレ用配管装置の実施の形態を示す全体側面図である。
【図２】仮設トイレ用配管装置の全体平面図である。
【図３】縦管を示す横断面図である。
【図４】第１弁装置および第２弁装置を示す縦断面図である。
【図５】第１弁装置を説明する正面視の部分断面図である。
【図６】第２弁装置を説明する側面視の拡大部分断面図である。
【図７】第２弁装置を説明する正面視の断面図である。
【符号の説明】
【００２６】
Ｗ 初期水の水位
１ 排水管
２ 縦管
２ｂ 縦管本体
３ 中継管
４ 第１弁装置
４ｃ 弁板
４ｄ ガイド溝
４ｅ 操作ロッド
５ 第２弁装置
５ｃ 水平軸
５ｄ 弁体
５ｆ 操作軸
５ｇ 操作ハンドル
６ 設置溝
７ 便器
８ マンホール層
９ 管変換継手部
１０ オーバーフロー管
【技術分野】
【０００１】
本発明は、地震などの緊急災害時に、避難地に設置される仮設トイレ用配管装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
たとえば特許文献１に開示された仮設トイレ用配管構造は、地中に上流側上位から下流側下位に傾斜して埋設される排水管と、この排水管に長さ方向に所定間隔毎に接続されて上端部が地表に露出される複数の縦管と、縦管の上端部に設置された便器と、排水管の下流端に設けられたマンホールとを具備し、マンホールと既設の下水管とを接続したものである。上記従来構成では、排水管のマンホール側またはマンホール内の排水管端部にスライドゲートを取り付けている。使用に際しては、スライドゲートを閉じて排水管内に初期水を溜めておき、初期水により縦管から落下されるし尿の軟化を促進し、所定量のし尿が溜まると、スライドゲートをあけてし尿を初期水と共にマンホール側に流し、下水管に排出するものである。
【特許文献１】特開平１１−１０７３６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
上記従来構成において、スライドゲートは、操作ロッドにより平板状のゲート板を排水管内の弁座面に沿って上下にスライドさせて開閉するように構成されたもので、ゲート板は弁座面に沿って摺動されるため、弁座面にパッキングなどの止水部材を設けても止水性能が低く、また時間の経過と共に止水性能が低下しやすいものであり、このため排水管内に初期水が確実に保持されずに流出する恐れがあった。このような場合、縦管から落下されたし尿が排水管内で堆積固化して排出されず、使用不能に陥るおそれがあった。
【０００４】
本発明は上記問題点を解決して、排水管内の初期水の漏れを防止して確実に保持できる仮設トイレ用配管装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
請求項１記載の発明は、地中に上流側上位から下流側下位に傾斜して埋設された排水管と、この排水管に長さ方向に所定間隔毎に接続されて上端部が地表に開口される複数の縦管とを具備した仮設トイレ用配管装置であって、排水管の下流端部に、下水管に接続される中継管を接続し、中継管の上流側に、この中継管を急速開放・閉鎖可能な第１弁装置を設けるとともに、前記第１弁装置の下流側に、弁体を弁座部に圧接して中継管を閉鎖・開放可能な第２弁装置を設け、第１弁装置と第２弁装置を閉じた状態で、排水管内に最上流位置の縦管に対応する排水管の水位が所定深さとなるように初期水を貯留し、所定時間ごとに、まず第２弁装置を開放し、その後第１弁装置を開放して、排水管内のし尿を初期水と共に中継管から下水管に排出するように構成したものである。
【０００６】
請求項２記載の発明は、請求項１記載の構成において、第１弁装置は、弁板が中継管側の弁座面に沿って摺動されて中継管を開閉自在なスライドゲート弁からなり、第２弁装置は、中継管の軸心に直交する軸心回りに弁体が回動されて中継管を開閉自在なバタフライ弁からなるものである。
【０００７】
請求項３記載の発明は、請求項１または２記載の構成において、排水管の上流端に、初期水を供給可能で、かつ作業員が入って作業可能なマンホール槽を設けたものである。
請求項４記載の発明は、請求項１乃至３のいずれかに記載の構成において、排水管の初期水の水面より上方の部位と第２弁体の下水管側の中継管との間に、オーバーフローした初期水とし尿とを排出するオーバーフロー管を接続したものである。
【発明の効果】
【０００８】
請求項１記載の発明によれば、排水管の下流側に弁体を弁座部に圧接して中継管を閉鎖可能な第２弁装置を設けることにより、排水管内の初期水を確実に保持して漏水を無くすことができ、初期水の漏れによるし尿の堆積固化が生じるのを未然に防止することができる。また弁体を弁座部に圧接する第２弁装置は、その開閉動作が遅い傾向にあるが、第２弁装置の上流側に急速開放可能な第１弁装置を設け、第２弁装置を開けた後に第１弁装置を急速開放することにより、その水激性を利用して、排水管内のし尿を初期水と共に一気に中継管から下水管に排出することができ、し尿をスムーズに排出することができる。
【０００９】
請求項２記載の発明によれば、バタフライ弁からなる第２弁装置により止水性能を高め、スライドゲート弁からなる第１弁装置により中継管を急速開放することができる。
請求項３記載の発明によれば、排水管の上流端にマンホール槽を設けることにより、排水管内のメンテナンスを容易に行え、また初期水の供給を行うことができるので、最上流位置の縦管を使用しなくてすみ、便器の使用を制限することがない。
【００１０】
請求項４記載の発明によれば、オーバーフロー管により、オーバーフローしたし尿と初期水とをスムーズに排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
［実施の形態１］
【００１２】
本発明は、緊急災害時などの被災地に設置される仮設トイレ用配管装置で、実施の形態を図面に基づいて説明する。
［実施の形態］
本発明に係る実施の形態を図面を参照して説明する。
【００１３】
この仮設トイレ用配管装置は、下水管に排出する中継管に、２つの弁装置を直列に配設することにより、止水性に優れ、かつ水激性を確保できるように構成したものである。
すなわち、図１，図２に示すように、地中には、上流側上位から下流側下位に一定の勾配で傾斜される排水管１が埋設され、この排水管１の上面に、長さ方向に所定間隔毎に上端部が地表に露出される複数本（図では５本）の縦管２が立設接続されている。また排水管１の下流端部には、既設の下水管（図示せず）に接続される中継管３が接続され、この中継管３に２つの弁装置４，５が直列に設けられている。
【００１４】
前記排水管１は、ポリエチレン製で口径が４００〜６００ｍｍ程度の複数本の単管１ａを接続して所定の長さに形成されている。そしてこの排水管１は、掘削された設置溝６内に基礎砕石６ａを介してたとえば２％の一定の勾配で設置され、覆土で覆われている。
【００１５】
図３に示すように、前記縦管２はポリエチレン製で、サドル付き支管２ａと、この支管２ａの上部に接続された縦管本体２ｂと、縦管本体２ｂの上端を開閉自在なキャップ２ｃとを具備し、排水管１の上面に長さ方向に一定ピッチで形成された縦管用開口部１ｃに支管２ａが嵌合され、そのサドルが取付バンド２ｄにより排水管１に取り付けられている。また縦管２の上端部周囲には、開閉蓋２ｆ付きのスラブ枠２ｅが設けられ、開閉蓋２ｆとキャップ２ｃを取り外した状態で縦管本体２ｂの上部に便器７が取り付けられる。
【００１６】
排水管１の上流端部には、初期水を供給するとともに、作業員が入ってメンテナンス可能な口径のマンホール槽８が設けられており、マンホール槽８の槽本体８ａは、設置溝６内に基礎砕石６ａを介して設置され、その上面開口部にスラブ枠８ｂを介して開閉可能な開閉蓋８ｃが設けられている。
【００１７】
排水管１の下流端に管変換継手部９を介して、排水管１より小口径の中継管３が接続されている。そしてこの中継管３には、上流側に弁板４ｃを上下方向にスライドさせて中継管３を急速開放・閉鎖可能なスライドゲート弁からなる第１弁装置４が設けられるとともに、前記第１弁装置４の下流側に所定間隔をあけて、弁体５ｄを回動して弁座部５ｈに圧接し中継管３を確実に閉鎖・開放可能なバタフライ弁からなる第２弁装置５が設けられている。
【００１８】
すなわち、前記第１弁装置４は、図４，図５に示すように、設置溝６内に基礎砕石６ａとコンクリート製の床版６ｂを介して縦置き円筒状の弁箱４ａが設置され、この弁箱４ａに中継管３が接続されている。そして弁箱４ａ内には、中継管３に連通された開閉用弁穴４ｂを全閉可能な板状の弁板４ｃと、開閉用弁穴４ｂの両側で弁板４ｃの昇降を案内するとともに弁座面を形成するガイド溝４ｄと、弁箱４ａ内で弁板４ｃを昇降駆動する操作ロッド４ｅとが設けられている。そして操作ロッド４ｅの上端部には操作用の把手４ｆが設けられている。また弁箱４ａの上方部には、開閉蓋４ｇを有するスラブ枠４ｈが設置されている。この第１弁装置４の構成では、弁板４ｃがガイド溝４ｄを摺動して開閉用弁穴４ｂを開閉するため、ガイド溝４ｄの弁座面と弁板４ｃが圧接されることがなく、このため止水性能が劣る傾向にある。一方、開閉蓋４ｇを開け把手４ｆを掴んで操作ロッド４ｅを素早く引き上げることで、弁板４ｃを短時間で引き上げて中継管３を急速開放することができる。
【００１９】
第２弁装置５は、図４，図６，図７に示すように、中継管３に介在された弁箱５ａの開閉用弁穴５ｂに、水平軸５ｃを中心に所定範囲で回動される円形の弁体５ｄを有し、水平軸５ｃの端部にはギヤボックス５ｅを介して操作軸５ｆが立設され、この操作軸５ｆの上端に操作ハンドル５ｇが設けられている。ギヤボックス５ｅと操作軸５ｆと操作ハンドル５ｇは、円筒状の外筒体５ｊ内に収容され、外筒体５ｊの上端部にはスラブ枠５ｋを介して開閉蓋５ｍが設けられている。この第２弁装置５の構成では、弁体５ｄの外周部が、開閉用弁穴５ｂの周囲に設けられた弁座部５ｈに、大きい加圧力で圧接されて弁穴５ｂを閉鎖するので、止水性能が高くかつ寿命も長い。一方、弁体５ｄの回動動作が遅く中継管３を急速開放することができない。
【００２０】
また排水管１には、排水管１からオーバーフローした初期水とし尿とを下水管に排出するオーバーフロー管１０が設けられている。このオーバーフロー管１０は、上流端が管変換継手部９の閉鎖板部で初期水の水位Ｗより上方の部位に接続され、第１弁装置４を迂回した後、下流端が中継管３の第２弁装置５の下流側に接続されている。
【００２１】
上記構成において、使用する延べ人数に応じた所定時間ごとに（ここで「所定時間」とは、予め決定された時間ではなく、使用状態やし尿の貯留状態から判断される排出を必要とする時間をいう）、まず、第２弁装置５の開閉蓋５ｍを開けて操作ハンドル５ｇを操作し、閉鎖位置の弁体５ｄを開放位置に回動させる。ついて、第１弁装置４の開閉蓋４ｇを開け、操作ロッド４ｅの把手４ｆを掴んで素早く弁板４ｃを引き上げて中継管３を急速開放する。この開放時の水激性により、排水管１内の尿は初期水と共に勢い良く中継管３に流れ込み、下水管にスムーズに排出される。
【００２２】
排出が終わると、操作ロッド４ｅを押し込んで第１弁装置４を閉じるとともに、操作ハンドル５ｇを操作して第２弁装置５を閉じる。さらにマンホール槽８の開閉蓋８ｂを開けて、最上流位置の縦管２に対応する排水管１の水位Ｗが所定高さになるまで初期水を供給する。
【００２３】
上記実施の形態によれば、排水管１を既設の下水管に接続する中継管３の上流側に、急速開放可能であるが止水性能に劣るスライドゲート弁からなる第１弁装置４を設け、その下流側に止水性能は高いが、開閉動作が遅いバタフライ弁からなる第２弁装置５を設けたので、排水管１内の初期水の漏れを確実に防止することができるとともに、第２弁装置５の開放後に第１弁装置４を開放することで、中継管３を急速開放して水激性を生じさせ、排水管１内のし尿を初期水と共にスムーズに下水管に排出することができる。
【００２４】
また排水管１の上流端に、マンホール槽８を設けたので、作業員によるメンテナンスを容易に行うことができる。
さらに排水管１と、第２弁装置５の下流側の中継管３とを接続するオーバーフロー管１０により、排水管１内でオーバーフローした初期水とし尿とをスムーズに下水管に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明に係る仮設トイレ用配管装置の実施の形態を示す全体側面図である。
【図２】仮設トイレ用配管装置の全体平面図である。
【図３】縦管を示す横断面図である。
【図４】第１弁装置および第２弁装置を示す縦断面図である。
【図５】第１弁装置を説明する正面視の部分断面図である。
【図６】第２弁装置を説明する側面視の拡大部分断面図である。
【図７】第２弁装置を説明する正面視の断面図である。
【符号の説明】
【００２６】
Ｗ 初期水の水位
１ 排水管
２ 縦管
２ｂ 縦管本体
３ 中継管
４ 第１弁装置
４ｃ 弁板
４ｄ ガイド溝
４ｅ 操作ロッド
５ 第２弁装置
５ｃ 水平軸
５ｄ 弁体
５ｆ 操作軸
５ｇ 操作ハンドル
６ 設置溝
７ 便器
８ マンホール層
９ 管変換継手部
１０ オーバーフロー管
【特許請求の範囲】
【請求項１】
地中に上流側上位から下流側下位に傾斜して埋設された排水管と、この排水管に長さ方向に所定間隔毎に接続されて上端部が地表に開口される複数の縦管とを具備した仮設トイレ用配管装置であって、
排水管の下流端部に、下水管に接続される中継管を接続し、
中継管の上流側に、この中継管を急速開放・閉鎖可能な第１弁装置を設けるとともに、前記第１弁装置の下流側に、弁体を弁座部に圧接して中継管を閉鎖・開放可能な第２弁装置を設け、
第１弁装置と第２弁装置を閉じた状態で、排水管内に最上流位置の縦管に対応する排水管の水位が所定深さとなるように初期水を貯留し、所定時間ごとに、まず第２弁装置を開放し、その後第１弁装置を開放して、排水管内のし尿を初期水と共に中継管から下水管に排出するように構成した
仮設トイレ用配管装置。
【請求項２】
第１弁装置は、弁板が中継管側の弁座面に沿って摺動されて中継管を開閉自在なスライドゲート弁からなり、
第２弁装置は、中継管の軸心に直交する軸心回りに弁体が回動されて中継管を開閉自在なバタフライ弁からなる
請求項１記載の仮設トイレ用配管装置。
【請求項３】
排水管の上流端に、初期水を供給可能で、かつ作業員が入って作業可能なマンホール槽を設けた
請求項１または２記載の仮設トイレ用配管装置。
【請求項４】
排水管の初期水の水面より上方の部位と第２弁体の下水管側の中継管との間に、オーバーフローした初期水とし尿とを排出するオーバーフロー管を接続した
請求項１乃至３のいずれかに記載の仮設トイレ用配管装置。
【請求項１】
地中に上流側上位から下流側下位に傾斜して埋設された排水管と、この排水管に長さ方向に所定間隔毎に接続されて上端部が地表に開口される複数の縦管とを具備した仮設トイレ用配管装置であって、
排水管の下流端部に、下水管に接続される中継管を接続し、
中継管の上流側に、この中継管を急速開放・閉鎖可能な第１弁装置を設けるとともに、前記第１弁装置の下流側に、弁体を弁座部に圧接して中継管を閉鎖・開放可能な第２弁装置を設け、
第１弁装置と第２弁装置を閉じた状態で、排水管内に最上流位置の縦管に対応する排水管の水位が所定深さとなるように初期水を貯留し、所定時間ごとに、まず第２弁装置を開放し、その後第１弁装置を開放して、排水管内のし尿を初期水と共に中継管から下水管に排出するように構成した
仮設トイレ用配管装置。
【請求項２】
第１弁装置は、弁板が中継管側の弁座面に沿って摺動されて中継管を開閉自在なスライドゲート弁からなり、
第２弁装置は、中継管の軸心に直交する軸心回りに弁体が回動されて中継管を開閉自在なバタフライ弁からなる
請求項１記載の仮設トイレ用配管装置。
【請求項３】
排水管の上流端に、初期水を供給可能で、かつ作業員が入って作業可能なマンホール槽を設けた
請求項１または２記載の仮設トイレ用配管装置。
【請求項４】
排水管の初期水の水面より上方の部位と第２弁体の下水管側の中継管との間に、オーバーフローした初期水とし尿とを排出するオーバーフロー管を接続した
請求項１乃至３のいずれかに記載の仮設トイレ用配管装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００７−２９１６５８（Ｐ２００７−２９１６５８Ａ）
【公開日】平成１９年１１月８日（２００７．１１．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１１８６１９（Ｐ２００６−１１８６１９）
【出願日】平成１８年４月２４日（２００６．４．２４）
【出願人】（５９６０８８３２５）ダイカポリマー株式会社 (3)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１１月８日（２００７．１１．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年４月２４日（２００６．４．２４）
【出願人】（５９６０８８３２５）ダイカポリマー株式会社 (3)
【Ｆターム（参考）】
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