説明

仮設トイレ設備

【課題】 簡略構造であるから非常事態地域に持ち込むのが至便であるとともに発生しがちな水不足状況下でも排泄物の嵩盛りがなくて仮設トイレとしての機能を有効に発揮できるようにした極く簡易で安価な仮設トイレ設備を提供すること。
【解決手段】 下部の架台と上部の囲いおよび架台に昇降可能な登降手段とを有して、これらが分解組立可能とされるとともに、架台には、その上面に排泄物通口が開けられ、同通口より下方には、排泄物容器を出し入れ交換可能な受台が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、大地震や津波、洪水などの非常事態が発生した際には、緊急にトイレが必要になるが、そうした場合には、トイレの数が限定される一方において多くの人が殺到し、さらに水不足が重なって、排泄物が多量に嵩みトイレが機能しなくなることが多々ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その緊急対策として、マンホールを利用してトイレ代わりにするものはあるが、こうしたものは重いマンホールを運ばなければならずしかもマンホールが排泄物で嵩盛りになれば使えなくなるなど現実的でない。
【0004】
本発明は、このような従来なされていた対策例のもつ問題を解決しようとするものであり、簡略構造であるから非常事態地域に持ち込むのが至便であるとともに発生しがちな水不足状況下でも排泄物の嵩盛りがなくて仮設トイレとしての機能を有効に発揮できるようにした極く簡易で安価な仮設トイレ設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、下部の架台と上部の囲いおよび架台に昇降可能な登降手段とを有して、これらが分解組立可能とされるとともに、架台には、その上面に排泄物通口が開けられ、同通口より下方には、排泄物容器を出し入れ交換可能な受台が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上述したように本発明の仮設トイレ設備は、下部の架台と上部の囲いおよび架台に昇降可能な登降手段とを有して、これらが分解組立可能とされるとともに、架台には、その上面に排泄物通口が開けられ、同通口より下方には、排泄物容器を出し入れ交換可能な受台が設けられていることを特徴とするので、簡略構造であるから非常事態地域に持ち込むのが至便であるとともに発生しがちな水不足状況下でも排泄物の嵩盛りがなくて仮設トイレとしての機能を有効に発揮できるようにした極く簡易で安価な仮設トイレ設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の一実施形態を示す図2のI−I線横断面図。
【図2】 図1の縦断面図。
【図3】 図2のIII−III線に沿う設備縦断面図。
【図4】 他の実施形態を示す側面図。
【図5】 他の実施形態を示す要部側面図。
【図6】 他の実施形態を示す要部側面図。
【図7】 他の実施形態を示す縦断模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
各実施形態で説明する案例は他の実施形態においても適用することができる。
図1および図2の右側、図3の手前側をそれぞれ前側とする。これらの図において1は設置地盤、2は下部の架台で、架台1は、現場組立式で、4本の脚3…を備える。
【0009】
脚3は、金属あるいは木質など(以下の部材の材質も同様に特定しない)でなり、アングル状の横断面をしたもので、その溝を内向きにして四隅に配置してある。この脚3の上端には受座3aが一体に形成され、その面には複数のボルト通孔が明けられている。
【0010】
尚、脚3には、アングル型をしたアジャスタ4が長孔と止着具あるいは昇降ネジなどで上下調節可能に取り付けられ、これによって、設置地盤1が不陸であっても高さ調節ができしかも架台上面を安定な水平状態にすることができるようになっている。
【0011】
架台1の上面は広い矩形をした踏板5とされ、この踏板5は前後に少し長目の板とされるとともに、その中央には前後に長く矩形をした排泄物通口6が開けられ、その連通口6の前側には金隠し7が立ち上がり状に設けられている。
尚、排泄物通口6の後寄りの縁部には、取っ手8を備えた交換エッジ9が脱着自在に取付けられ、このエッジ9は、排泄物などで汚された際に容易に交換あるいは清掃できるようになっている。
【0012】
架台2の左右と前側には、脚3の中段にあるように脱着自在な横連結材10が取り付けられている。それらのうち左右の横連結材10,10間には、アングル型をしストッパ機能ももつ横渡し材11が横架されており、この横渡し材11と前側の横連結材10との上面には、排泄物容器12の転輪13を案内するための受台14が左右一対のアングル材として固定されている。
【0013】
排泄物容器12は前後にやや長めで上方を開口した樹脂ケースでなり、排泄物通口6の長手向きと同じく前後にその長手を向けている。図2の矢印Xの大便落下方向と矢印Yの小便放出方向の2方向性を考慮したものである。そして、容器12は、前後に把持部15を備えて矢印Aのように出し入れ自在になっているとともに、差し入れた際には、横渡し材11に当って留まるようになっている。
【0014】
受台14には、転輪13を少しだけ落とし込むような凹部を設けて容器12を図2の状態に位置決めするようにしてもよい。尚、16は補強部材であり、脱着自在で脚3と踏板5との間に取り付けられている。
【0015】
上部には、踏板5の4つのコーナー上を介してポール18が立てられ、それらを上つなぎ材19で連結するとともに補強板20で強固な囲いフレーム21が形成されている。これら各部材は分解組立可能になっている。このフレーム21には囲い22が被せられている。囲い22は、薄い樹脂シートなどで底開放状の5面シートからなり、その下縁部がアンカー23…などによって架台2へ脱着可能とされている。
【0016】
この囲い22の後面には、図3のように、出入口24が開けられるとともに、開閉自在な遮蔽カバー25が垂れ下がっている。このカバー25は、めくり開けられる簡易なタイプであるが、風や雨などに対処するため、ファスナーや面ファスナーなどで閉止状態が確実に得られるようにしてもよい。
【0017】
尚、囲い22内には、簡易手水洗いや臭いを抜き出すための臭突を設けたり、昼の採光のため上面一部を透明部分にしてもよい。夜間使用のための採光手段はバッテリー式などとして必須とする。
【0018】
28は斜め階段である登降手段であり、設置地盤1を下端とし上端は架台2の踏板5に結合してある。29は側柱で、登降手段28の側部上下から立設され、手摺30によりそれらを連結してある。手摺30は上下数段に設けて勝手に入れないようにしてもよい。側柱29のうち下側のそれはやや高く立設されており、これらを介してヒンジ31回りに開閉自在なドア32を取り付けてある。
【0019】
このドア32は、次の人が勝手にトイレに入って来ないように、内ロック33を備えている。この内ロック33は、ドア32側に一端を取り付けたリンクチェーンの先に掛け留め具を設け、この留め具を手摺30側に掛け付けることによってドア32が外部から開かないようにする。その場合、側方から手を延ばせば掛け止めを外すことができるが、それを防止するため、内ロック33の側方であるドア32一側端にロック安心カバー35を取り付けてある。
【0020】
用を足したい人は、ドア32を開けて図2のように登降手段28より登り、遮蔽カバー25を開けて出入り口24より仮設トイレ設備内に入る。そのとき内ロック33を掛けておけば次の人が入ってくるおそれがない。用を足して排泄物容器12内が嵩盛り状態になったとすると、把持部15をもって同容器12を引き出し、新しい容器12と交換しておく。引き出した容器12は、蓋で密閉しておくこともでき、また重ね置きしておいて一括管理・処理することもできる。
【0023】
尚、排泄物容器12は、図1の矢印Bのように、左右方向に出し入れ可能とすることもできる。
また、前記実施形態では架台2回りは開放状としてあるが、上段と同じく囲いを付してもよい。この場合、内部には臭い消しや分解バイオを設けることができる。
さらに、架台2は防振ゴムを設けて余震などの対策にしてもよい。
また、設備は近隣の建屋に連結して安定化を図るようにしてもよい。
さらに、前記設備は1ユニットを示したが、左右に数列配備してもよい。
【0024】
また、下部の架台2や上部の囲いフレーム21さらに登降手段28などの設備は、図4に示すように、ローリングタワー構築に使用されるような仮設足場機材を立体組みにしたもので構成することもできる。この例の場合、H型建枠37を4面に使用して強度の必要な部分にはブレス38などを追加するとともに、同図右欄に右矢視図を示すように、足場機材の1つである踏板39,39の一対(安全性を考慮してさらに多くの枚数を使用してもよい)を排泄物通口40を形成するように左右に間隔を置いて配備して対処する。
【0025】
踏板39はフック付きであるので、そのフックをH型建枠37の中段桟37aに掛け付けることにより安定してセットできる。その踏板39上に載って用を足すことになる。H型建枠37の上端には上つなぎ材41を嵌め付けて上周りを形成しておく。42は受台で、H型建枠37の下部上段にやや幅狭な間隔をもって前後に向いて渡架されている。その受台42も上つなぎ材41のように挿し込み式あるいはフック掛け式にセットする。踏板39を利用してもよい。
【0026】
その受台42上を利用して排泄物容器43を前後出し入れ自在にセットする。勿論、同容器43は左右出し入れ自在にしてもよい。さらに、建枠37の下端には、ジャッキベース44を差し込んで高さ調節可能とする。そして、H型建枠37などで構築される上部の囲いフレーム21や下部の架台2には適宜囲い45,46を被せ、必要により開閉自在な出入り口や容器の出し入れ口などを付して対処する。
【0027】
また、踏板39上に昇り降りするためのアルミ階段47をフック掛けして装備することにより対処する。次の人の進入をなくすための手段は、例えば、鳥居型建枠や簡易型建枠などを支持フレーム48としてそれにドア49を開閉自在に装備することで対処する。前記ドア用のロック安心カバー35や内ロック33なども必要により付加構成することができる。
【0028】
前記実施形態では1列のみ例示するが、紙面に直交する方向に数列連続して配備することができる。その場合、仮設足場機材の各種建枠などによれば連続配備が容易に可能になるし、運搬も軽量コンパクトで簡便である。
前記建枠などは一例を示したもので他の仮設足場機材に代えて構成することができることは勿論である。
【0029】
図5は前記各実施形態における踏板52上に着座ボックス53を設置して排泄物通口に連通させて座っても用を足すことができるようにしたものである。
また、図6は前記各実施形態における踏板55上に簡易トイレ設備ユニット56をセットしたもので、それを排泄物通口に連通状にしてものである。
図7は既設の下水用配管57を利用して同配管57の長手一部に開口58を形成するとともにそれに連通するように連通カバー59を取り付けて蓋60を付すことにより取っ手61により蓋60を開けて用を足すことができるようにしたものである。勿論、囲い手段は必要であるが図示は省略されている。
【符号の説明】
【0030】
2…架台 6…排泄物通口 12…排泄物容器 14…受台 22…囲い 28…登降手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部の架台と上部の囲いおよび架台に昇降可能な登降手段とを有して、これらが分解組立可能とされるとともに、架台には、その上面に排泄物通口が開けられ、同通口より下方には、排泄物容器を出し入れ交換可能な受台が設けられていることを特徴とする仮設トイレ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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