伝送線路及びスタブ
【目的】 内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる伝送線路を提供すると共に、、小型化及び軽量化を図ることができるスタブを提供することにある。
【構成】 伝送線路は、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されていることを特徴としている。スタブは、螺旋状の内部導体及び外部導体に各々摺動して接触する内側接触子及び外側接触子を有する短絡板を具備することを特徴としている。
【構成】 伝送線路は、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されていることを特徴としている。スタブは、螺旋状の内部導体及び外部導体に各々摺動して接触する内側接触子及び外側接触子を有する短絡板を具備することを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝送線路及びスタブに関し、例えばTEMモードの高周波用の伝送線路、及びこれに用いられるスタブに関する。
【0002】
【従来の技術】互いに直交する磁場と電場とが伝搬されるTEMモードの高周波用の伝送線路としては、図10に示すような同軸線1が一般的に広く使用されている。この同軸線1の基本構造としては、内径側に、径の小さい内部導体2が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体3が設けられている。なお、内部導体2は、テフロン等の絶縁物によるサポータ(図示略)によって中心部で支持されている。
【0003】このような構造の同軸線1により高周波の遅延線4が構成される場合には、従来、図11に示すように構成されている。すなわち、内部導体2と外部導体3との間に、誘電体5が充填されている。この誘電体5の影響によって高周波の位相速度が光速度より遅くされて、遅延の効果が得られている。
【0004】通常、このような遅延線4は、通信・放送等の高周波部品として使用され、高周波の電力レベルは、1W以下であり、発熱の影響は無視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、伝送される高周波の電力が比較的大きく、内部導体2が比較的多くの熱を発熱する場合がある。このような場合、図10に示すような伝送線1であると、内部導体2と外部導体3との間の空間で気体が対流されることにより、またこの空間で強制的に気体が流されることにより、内部導体2の熱は放熱され、内部導体2は冷却される。
【0006】しかし、図11に示すような遅延線4である場合には、誘電体5の熱伝導率は比較的小さいため、内部導体2から外部導体3への熱の移動がこの誘電体5によって著しく妨げられ、内部導体2の放熱が困難であり、ひいては、内部導体2の高温度化から内部導体2の熱膨脹や誘電体5の変形を生起するといった問題がある。
【0007】このようなことから、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる伝送線路の出現が待望されている。
【0008】また、伝送線路に用いられるスタブでも、内部導体の放熱の容易化を図りながら同時に高周波の遅延効果を実現し、これにより、インピーダンス整合に必要な長さを短くし、全体構成の小型化及び軽量化を図ることができるスタブの出現が待望されている。
【0009】本発明の目的は、上述したような事情に鑑みなされたものであって、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる伝送線路を提供すると共に、内部導体の放熱の容易化を図りながら同時に高周波の遅延効果を実現して、小型化及び軽量化を図ることができるスタブを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の請求項1に係る伝送線路は、内径側に径の小さい内部導体が設けられ、これの外径側に同軸状に、径の大きい外部導体が設けらている伝送線路において、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されていることを特徴としている。
【0011】また、請求項2に係る伝送線路は、螺旋状に形成された一方の導体が、筒状の絶縁物サポータに固定されていることを特徴としている。
【0012】さらに、請求項3に係るスタブは、請求項1又は2に記載の伝送線路において、内部導体が螺旋状に形成されている伝送線路に用いられるスタブであって、螺旋状に形成された径の小さい内部導体と、これの外径側に同軸的に設けられた径の大きい外部導体と、これら内部導体及び外部導体に各々摺動して接触する内側接触子及び外側接触子を有する短絡板と、を具備することを特徴としている。
【0013】さらに、請求項4に係るスタブは、上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されていることを特徴としている。
【0014】さらに、請求項5に係るスタブは、上記螺旋状内部導体の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられ、又は、上記短絡板の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられていることを特徴としている。
【0015】さらに、請求項6に係るスタブは、上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されていることを特徴としている。
【0016】さらに、請求項7に係るスタブは、上記螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、これにより、短絡板が軸方向に移動されることを特徴としている。
【0017】
【作用】請求項1に係る伝送線路では、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されているため、電場と磁場とが直交する方向に自由空間の光速度で伝搬するTEMモードの高周波は、螺旋状の導体と他方の導体との間を螺旋状に沿って伝搬する。そのため、高周波の軸方向の実効的な伝搬速度は、光速度よりも遅延される。その結果、位相速度が遅延され、高周波の遅延効果が実現される。同時に、内部導体と外部導体との間の空間には、誘電体等が充填されていないため、内部導体が比較的多量の熱を発生したとしても、この未充填の空間により内部導体の放熱が効率的に行われる。従って、請求項1では、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。なお、誘電体が使用されていないため、請求項1に係る伝送線路は、中性子の強度の強い環境でも使用され得るという効果も奏することができる。
【0018】また、請求項2に係る伝送線路では、螺旋状に形成さえた導体が筒状の絶縁物サポータに固定されているため、この導体が撓むといったことが効果的に防止されて確実に支持され、これにより、高周波特性を一定に維持することができる。
【0019】さらに、請求項3に係るスタブでは、請求項1の同様の高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、また、短絡板の移動距離も短くされ、その結果、スタブ全体が小型化され軽量化されることができる。
【0020】さらに、請求項4に係るスタブでは、短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されているため、内側接触子及び外側接触子が各々内部導体及び外部導体に接触しながら摺動され、高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、スタブ全体が小型化され軽量化される。
【0021】さらに、請求項5に係るスタブでは、螺旋状内部導体の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられ、又は、上記短絡板の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられているため、内部導体と短絡板での熱が効果的に除去されるため、各部の変形が抑制され、MWを超える大電力の連続運転での使用が可能になる。
【0022】さらに、請求項6に係るスタブでは、短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されており、また、請求項7に係るスタブでは、螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、短絡板が軸方向に移動される。これにより、駆動シャフト等の外部的な駆動機構が不要にされ、スタブの駆動機構が簡易化され、また、スタブの全体の構造も小型化される。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る伝送線路及びスタブを図面を参照しつつ説明する。
【0024】図1及び図2は、本発明の第1実施例に係る伝送線路を示し、図1は、本発明の第1実施例に係る伝送線路の模式的断面図であり、図2は、図1に示す伝送線路の原理を説明するための図である。
【0025】図1に示すように、本実施例に係る伝送線路10では、内径側に、径の小さい内部導体11が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体12が設けられている。この内部導体11が螺旋状に形成されている。この螺旋の形状は、如何なるものであってもよく、具体的形状は、適宜設計事項である。
【0026】このように内部導体11が螺旋状に形成されているため、電場と磁場とが直交する方向に自由空間の光速度で伝搬するTEMモードの高周波は、螺旋状の内部導体11と外部導体12との間を螺旋状に沿って伝搬する。そのため、高周波の軸方向の実効的な伝搬速度は、光速度よりも遅延される。この原理を図2を参照しつつ説明する。
【0027】図2に示すように、軸Aに対する螺旋状の内部導体11の螺旋の角度をθとし、螺旋のピッチをdとする。このとき、軸方向の長さd当りの螺旋状の内部導体11に沿った長さは、次式により求められる。
【0028】h=d/ cosθこの式より光速度cに対する高周波の軸方向の速度Vz の減速の程度は、大略的に次式により求められる。
【0029】Vz /c=d/h= cosθこれにより、螺旋の角度θが大きい程、高周波の軸方向の伝搬速度が遅延されることが理解される。
【0030】従って、位相速度が遅延され、高周波の遅延効果が実現される。同時に、内部導体11と外部導体12との間の空間には、誘電体等が充填されていないため、内部導体11が比較的多量の熱を発生したとしても、この未充填の空間により内部導体の放熱が効率的に行われる。従って、本実施例では、内部導体11の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。なお、誘電体が使用されていないため、本実施例に係る伝送線路10は、中性子の強度の強い環境でも使用され得るという効果も奏することができる。
【0031】次に、図3は、本発明の第2実施例に係る伝送線路の模式的断面図である。本実施例では、本実施例に係る伝送線路10では、内径側に、径の小さい内部導体11が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体12が設けられている。この外部導体12が螺旋状に形成されている。この螺旋の形状は、如何なるものであってもよく、具体的形状は、適宜設計事項である。本実施例においても、図2で説明した原理と同様に、TEMモードの高周波は、内部導体11と螺旋状の外部導体12との間を螺旋状に沿って伝搬され、高周波の軸方向の実効的な伝搬速度は、光速度よりも遅延される。これにより、本実施例でも、内部導体11の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。
【0032】次に、図4は、本発明の第3実施例に係る伝送線路の部分切欠斜視図である。本実施例では、螺旋状の内部導体11を支持するための円筒状絶縁物サポータ13(絶縁物サポータ)が設けられている。この円筒状絶縁物サポータ13は、ポリカーボネイト等の絶縁物であり、螺旋状の内部導体11にビス14等により固定されている。
【0033】図1又は図3に示すような伝送線路10では、螺旋状に形成された導体が自重により撓むといったことがあるが、本実施例では、円筒状絶縁物サポータ13により螺旋状の内部導体11が支持されているため、この内部導体11が撓むといったことが効果的に防止され、確実に外部導体12の中に支持され、これにより、高周波特性を一定に維持することができる。なお、外部導体12が螺旋状に形成されている場合には、外部導体12を支持するための絶縁物サポータ(図示略)が設けられてもよい。
【0034】次に、図5及び図6は、本発明の第1実施例に係るスタブを示し、図5は、本発明の第1実施例に係るスタブの模式的断面図であり、図6は、図5に示すスタブに装着される短絡板の斜視図である。
【0035】本実施例に係るスタブ20では、内径側に、径の小さい内部導体11が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体12が設けられている。この内部導体11が螺旋状に形成されている。螺旋状の内部導体11を支持するための円筒状絶縁物サポータ13(絶縁物サポータ)が設けられている。この内部導体11と、外部導体12との間に、短絡板30が設けられている。
【0036】この短絡板30は、図6にも拡大して示すように、内部導体11に摺動して接触するように内側に凸状に形成された内側接触子31が設けられていると共に、外部導体12に摺動して接触するように外側に凸状に形成された外側接触子32が設けられている。この内側接触子31は、螺旋状の内部導体11の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されている。さらに、これら内側接触子31と外側接触子32とを導通して短絡する一対の短絡ディスク33が設けられている。このように構成された短絡板30を軸方向に移動するための駆動シャフト34が設けられている。これにより、駆動シャフト34が軸方向に移動されると、内側接触子31及び外側接触子32が各々内部導体11及び外部導体12に接触しながら摺動される。この際、円筒状絶縁物サポータ13が設けられているため、螺旋状の内部導体12は、中央に確実に保持されている。
【0037】このように構成されたスタブ20では、高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、また、短絡板の移動距離も短くされ、その結果、スタブ全体が小型化され軽量化されることができる。例えば、30MHzの高周波に対して短絡板30の移動距離を2分の1波長分とするためには、従来の同軸型のスタブでは、5mの移動距離が必要になり、短絡板を移動するための駆動装置の部分を含めると全体で10m近い装置が必要になる。これに対して、本実施例に係るような螺旋状の内部導体11が設けられたスタブでは、高周波の遅延効果により、例えば30MHzの高周波に対して短絡板30の移動距離を2分の1波長分とするためには、従来の同軸型のスタブの半分以下、即ち、2.5m以下にすることができ、駆動装置全体を含めた装置全体でも、5m以下にすることができる。このため、本実施例に係るスタブ20は、固定周波数ではなく例えば30〜100MHzの広い周波数の変更に対応することができる。
【0038】次に、図7及び図8は、本発明の第2実施例に係るスタブを示し、図7は、本発明の第2実施例に係るスタブの模式的斜視図であり、図8は、図7に示すスタブに装着される短絡板の模式的断面図である。
【0039】本実施例は、核融合炉のプラズマのイオンサイクロトロン加熱装置に好適なスタブに関する。このようなイオンサイクロトロン加熱装置では、MWを超える大電力の連続高周波インピーダンス整合を行うため、螺旋状の内部導体と短絡板とでの高周波の伝導損失による発熱が極めて高く、各部の変形の虞れがある。
【0040】そこで、本実施例では、図7に示すように、円筒状絶縁物サポータ13に巻回された螺旋状の内部導体11が中空に形成され、この内部導体11の中空空間が、冷却媒体を流通するための流路11aとして形成されている。また、図8に示すように、短絡板30の内部にも、冷却媒体を流通するための流路35が形成され、駆動シャフト34の内部にも、この流路35に連通し冷却媒体を流通するための流路36が形成されている。
【0041】このように構成されたスタブ30では、螺旋状の内部導体11と短絡板30での熱が効果的に除去されるため、各部の変形が抑制され、MWを超える大電力の連続運転での使用が可能になる。
【0042】次に、図9は、本発明の第3実施例に係るスタブの模式的断面図である。本実施例では、外部導体12の一端に、テフロン等の絶縁物から形成されたサポータ41が設けられていると共に、このサポータ41に、フランジ42が設けられている。一方、外部導体12の他端に、軸受板43が設けられている。
【0043】サポータ41には、軸受44が設けられ、この軸受44に、回転軸45が回転自在に支持されている。この軸受44には、回転軸45に接触する接触子46が設けられている一方、軸受44の外側には、コネクタ47が設けられている。外部導体12の他端の軸受板43には、ベアリング49を介して回転軸48が回転自在に支持されている。これら回転軸45及び回転軸48には、螺旋状の内部導体11が連結されている。内部導体11及び外部導体12に摺動して接触する短絡板30が設けられている。この短絡板30の内側接触子31は、螺旋状の内部導体11の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されている。
【0044】このように構成されているため、回転軸48が回動されると、内部導体11の螺旋各線に係合する内側接触子31の短絡板30が軸方向に移動される。これにより、駆動シャフト等の外部的な駆動機構が不要にされ、スタブ20の駆動機構が簡易化され、また、スタブ20の全体の構造も小型化される。
【0045】なお、本発明は、上述した実施例に限定されないのは勿論であり、種々変形可能である。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る伝送線路では、位相速度が遅延され、高周波の遅延効果が実現される。同時に、内部導体と外部導体との間の空間には、誘電体等が充填されていないため、内部導体が比較的多量の熱を発生したとしても、この未充填の空間により内部導体の放熱が効率的に行われる。従って、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。
【0047】また、請求項2に係る伝送線路では、導体が撓むといったことが効果的に防止されて確実に支持され、これにより、高周波特性を一定に維持することができる。
【0048】さらに、請求項3に係るスタブでは、インピーダンス整合に必要な長さが短くされ、また、短絡板の移動距離も短くされ、その結果、スタブ全体が小型化され軽量化されることができる。
【0049】さらに、請求項4に係るスタブでは、内側接触子及び外側接触子が各々内部導体及び外部導体に接触しながら摺動され、高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、スタブ全体が小型化され軽量化される。
【0050】さらに、請求項5に係るスタブでは、内部導体と短絡板での熱が効果的に除去されるため、各部の変形が抑制され、MWを超える大電力の連続運転での使用が可能になる。
【0051】さらに、請求項6及び請求項7に係るスタブでは、螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、短絡板が軸方向に移動される。これにより、駆動シャフト等の外部的な駆動機構が不要にされ、スタブの駆動機構が簡易化され、また、スタブの全体の構造も小型化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る伝送線路の模式的断面図。
【図2】図1に示す伝送線路の原理を説明するための図。
【図3】本発明の第2実施例に係る伝送線路の模式的断面図。
【図4】本発明の第3実施例に係る伝送線路の部分切欠斜視図。
【図5】本発明の第1実施例に係るスタブの模式的断面図。
【図6】図5に示すスタブに装着される短絡板の斜視図。
【図7】本発明の第2実施例に係るスタブの模式的斜視図。
【図8】図7に示すスタブに装着される短絡板の模式的断面図。
【図9】本発明の第3実施例に係るスタブの模式的断面図。
【図10】従来に係る伝送線路の模式的斜視図。
【図11】従来に係る遅延線の模式的断面図。
【符号の説明】
10 伝送線路
11 内部導体
11a 流路
12 外部導体
13 円筒状絶縁物サポータ(絶縁物サポータ)
20 スタブ
30 短絡板
31 内側接触子
32 外側接触子
35 流路
36 流路
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伝送線路及びスタブに関し、例えばTEMモードの高周波用の伝送線路、及びこれに用いられるスタブに関する。
【0002】
【従来の技術】互いに直交する磁場と電場とが伝搬されるTEMモードの高周波用の伝送線路としては、図10に示すような同軸線1が一般的に広く使用されている。この同軸線1の基本構造としては、内径側に、径の小さい内部導体2が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体3が設けられている。なお、内部導体2は、テフロン等の絶縁物によるサポータ(図示略)によって中心部で支持されている。
【0003】このような構造の同軸線1により高周波の遅延線4が構成される場合には、従来、図11に示すように構成されている。すなわち、内部導体2と外部導体3との間に、誘電体5が充填されている。この誘電体5の影響によって高周波の位相速度が光速度より遅くされて、遅延の効果が得られている。
【0004】通常、このような遅延線4は、通信・放送等の高周波部品として使用され、高周波の電力レベルは、1W以下であり、発熱の影響は無視されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、伝送される高周波の電力が比較的大きく、内部導体2が比較的多くの熱を発熱する場合がある。このような場合、図10に示すような伝送線1であると、内部導体2と外部導体3との間の空間で気体が対流されることにより、またこの空間で強制的に気体が流されることにより、内部導体2の熱は放熱され、内部導体2は冷却される。
【0006】しかし、図11に示すような遅延線4である場合には、誘電体5の熱伝導率は比較的小さいため、内部導体2から外部導体3への熱の移動がこの誘電体5によって著しく妨げられ、内部導体2の放熱が困難であり、ひいては、内部導体2の高温度化から内部導体2の熱膨脹や誘電体5の変形を生起するといった問題がある。
【0007】このようなことから、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる伝送線路の出現が待望されている。
【0008】また、伝送線路に用いられるスタブでも、内部導体の放熱の容易化を図りながら同時に高周波の遅延効果を実現し、これにより、インピーダンス整合に必要な長さを短くし、全体構成の小型化及び軽量化を図ることができるスタブの出現が待望されている。
【0009】本発明の目的は、上述したような事情に鑑みなされたものであって、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる伝送線路を提供すると共に、内部導体の放熱の容易化を図りながら同時に高周波の遅延効果を実現して、小型化及び軽量化を図ることができるスタブを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の請求項1に係る伝送線路は、内径側に径の小さい内部導体が設けられ、これの外径側に同軸状に、径の大きい外部導体が設けらている伝送線路において、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されていることを特徴としている。
【0011】また、請求項2に係る伝送線路は、螺旋状に形成された一方の導体が、筒状の絶縁物サポータに固定されていることを特徴としている。
【0012】さらに、請求項3に係るスタブは、請求項1又は2に記載の伝送線路において、内部導体が螺旋状に形成されている伝送線路に用いられるスタブであって、螺旋状に形成された径の小さい内部導体と、これの外径側に同軸的に設けられた径の大きい外部導体と、これら内部導体及び外部導体に各々摺動して接触する内側接触子及び外側接触子を有する短絡板と、を具備することを特徴としている。
【0013】さらに、請求項4に係るスタブは、上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されていることを特徴としている。
【0014】さらに、請求項5に係るスタブは、上記螺旋状内部導体の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられ、又は、上記短絡板の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられていることを特徴としている。
【0015】さらに、請求項6に係るスタブは、上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されていることを特徴としている。
【0016】さらに、請求項7に係るスタブは、上記螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、これにより、短絡板が軸方向に移動されることを特徴としている。
【0017】
【作用】請求項1に係る伝送線路では、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されているため、電場と磁場とが直交する方向に自由空間の光速度で伝搬するTEMモードの高周波は、螺旋状の導体と他方の導体との間を螺旋状に沿って伝搬する。そのため、高周波の軸方向の実効的な伝搬速度は、光速度よりも遅延される。その結果、位相速度が遅延され、高周波の遅延効果が実現される。同時に、内部導体と外部導体との間の空間には、誘電体等が充填されていないため、内部導体が比較的多量の熱を発生したとしても、この未充填の空間により内部導体の放熱が効率的に行われる。従って、請求項1では、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。なお、誘電体が使用されていないため、請求項1に係る伝送線路は、中性子の強度の強い環境でも使用され得るという効果も奏することができる。
【0018】また、請求項2に係る伝送線路では、螺旋状に形成さえた導体が筒状の絶縁物サポータに固定されているため、この導体が撓むといったことが効果的に防止されて確実に支持され、これにより、高周波特性を一定に維持することができる。
【0019】さらに、請求項3に係るスタブでは、請求項1の同様の高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、また、短絡板の移動距離も短くされ、その結果、スタブ全体が小型化され軽量化されることができる。
【0020】さらに、請求項4に係るスタブでは、短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されているため、内側接触子及び外側接触子が各々内部導体及び外部導体に接触しながら摺動され、高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、スタブ全体が小型化され軽量化される。
【0021】さらに、請求項5に係るスタブでは、螺旋状内部導体の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられ、又は、上記短絡板の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられているため、内部導体と短絡板での熱が効果的に除去されるため、各部の変形が抑制され、MWを超える大電力の連続運転での使用が可能になる。
【0022】さらに、請求項6に係るスタブでは、短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されており、また、請求項7に係るスタブでは、螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、短絡板が軸方向に移動される。これにより、駆動シャフト等の外部的な駆動機構が不要にされ、スタブの駆動機構が簡易化され、また、スタブの全体の構造も小型化される。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る伝送線路及びスタブを図面を参照しつつ説明する。
【0024】図1及び図2は、本発明の第1実施例に係る伝送線路を示し、図1は、本発明の第1実施例に係る伝送線路の模式的断面図であり、図2は、図1に示す伝送線路の原理を説明するための図である。
【0025】図1に示すように、本実施例に係る伝送線路10では、内径側に、径の小さい内部導体11が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体12が設けられている。この内部導体11が螺旋状に形成されている。この螺旋の形状は、如何なるものであってもよく、具体的形状は、適宜設計事項である。
【0026】このように内部導体11が螺旋状に形成されているため、電場と磁場とが直交する方向に自由空間の光速度で伝搬するTEMモードの高周波は、螺旋状の内部導体11と外部導体12との間を螺旋状に沿って伝搬する。そのため、高周波の軸方向の実効的な伝搬速度は、光速度よりも遅延される。この原理を図2を参照しつつ説明する。
【0027】図2に示すように、軸Aに対する螺旋状の内部導体11の螺旋の角度をθとし、螺旋のピッチをdとする。このとき、軸方向の長さd当りの螺旋状の内部導体11に沿った長さは、次式により求められる。
【0028】h=d/ cosθこの式より光速度cに対する高周波の軸方向の速度Vz の減速の程度は、大略的に次式により求められる。
【0029】Vz /c=d/h= cosθこれにより、螺旋の角度θが大きい程、高周波の軸方向の伝搬速度が遅延されることが理解される。
【0030】従って、位相速度が遅延され、高周波の遅延効果が実現される。同時に、内部導体11と外部導体12との間の空間には、誘電体等が充填されていないため、内部導体11が比較的多量の熱を発生したとしても、この未充填の空間により内部導体の放熱が効率的に行われる。従って、本実施例では、内部導体11の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。なお、誘電体が使用されていないため、本実施例に係る伝送線路10は、中性子の強度の強い環境でも使用され得るという効果も奏することができる。
【0031】次に、図3は、本発明の第2実施例に係る伝送線路の模式的断面図である。本実施例では、本実施例に係る伝送線路10では、内径側に、径の小さい内部導体11が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体12が設けられている。この外部導体12が螺旋状に形成されている。この螺旋の形状は、如何なるものであってもよく、具体的形状は、適宜設計事項である。本実施例においても、図2で説明した原理と同様に、TEMモードの高周波は、内部導体11と螺旋状の外部導体12との間を螺旋状に沿って伝搬され、高周波の軸方向の実効的な伝搬速度は、光速度よりも遅延される。これにより、本実施例でも、内部導体11の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。
【0032】次に、図4は、本発明の第3実施例に係る伝送線路の部分切欠斜視図である。本実施例では、螺旋状の内部導体11を支持するための円筒状絶縁物サポータ13(絶縁物サポータ)が設けられている。この円筒状絶縁物サポータ13は、ポリカーボネイト等の絶縁物であり、螺旋状の内部導体11にビス14等により固定されている。
【0033】図1又は図3に示すような伝送線路10では、螺旋状に形成された導体が自重により撓むといったことがあるが、本実施例では、円筒状絶縁物サポータ13により螺旋状の内部導体11が支持されているため、この内部導体11が撓むといったことが効果的に防止され、確実に外部導体12の中に支持され、これにより、高周波特性を一定に維持することができる。なお、外部導体12が螺旋状に形成されている場合には、外部導体12を支持するための絶縁物サポータ(図示略)が設けられてもよい。
【0034】次に、図5及び図6は、本発明の第1実施例に係るスタブを示し、図5は、本発明の第1実施例に係るスタブの模式的断面図であり、図6は、図5に示すスタブに装着される短絡板の斜視図である。
【0035】本実施例に係るスタブ20では、内径側に、径の小さい内部導体11が設けられ、これの外径側に、径の大きい外部導体12が設けられている。この内部導体11が螺旋状に形成されている。螺旋状の内部導体11を支持するための円筒状絶縁物サポータ13(絶縁物サポータ)が設けられている。この内部導体11と、外部導体12との間に、短絡板30が設けられている。
【0036】この短絡板30は、図6にも拡大して示すように、内部導体11に摺動して接触するように内側に凸状に形成された内側接触子31が設けられていると共に、外部導体12に摺動して接触するように外側に凸状に形成された外側接触子32が設けられている。この内側接触子31は、螺旋状の内部導体11の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されている。さらに、これら内側接触子31と外側接触子32とを導通して短絡する一対の短絡ディスク33が設けられている。このように構成された短絡板30を軸方向に移動するための駆動シャフト34が設けられている。これにより、駆動シャフト34が軸方向に移動されると、内側接触子31及び外側接触子32が各々内部導体11及び外部導体12に接触しながら摺動される。この際、円筒状絶縁物サポータ13が設けられているため、螺旋状の内部導体12は、中央に確実に保持されている。
【0037】このように構成されたスタブ20では、高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、また、短絡板の移動距離も短くされ、その結果、スタブ全体が小型化され軽量化されることができる。例えば、30MHzの高周波に対して短絡板30の移動距離を2分の1波長分とするためには、従来の同軸型のスタブでは、5mの移動距離が必要になり、短絡板を移動するための駆動装置の部分を含めると全体で10m近い装置が必要になる。これに対して、本実施例に係るような螺旋状の内部導体11が設けられたスタブでは、高周波の遅延効果により、例えば30MHzの高周波に対して短絡板30の移動距離を2分の1波長分とするためには、従来の同軸型のスタブの半分以下、即ち、2.5m以下にすることができ、駆動装置全体を含めた装置全体でも、5m以下にすることができる。このため、本実施例に係るスタブ20は、固定周波数ではなく例えば30〜100MHzの広い周波数の変更に対応することができる。
【0038】次に、図7及び図8は、本発明の第2実施例に係るスタブを示し、図7は、本発明の第2実施例に係るスタブの模式的斜視図であり、図8は、図7に示すスタブに装着される短絡板の模式的断面図である。
【0039】本実施例は、核融合炉のプラズマのイオンサイクロトロン加熱装置に好適なスタブに関する。このようなイオンサイクロトロン加熱装置では、MWを超える大電力の連続高周波インピーダンス整合を行うため、螺旋状の内部導体と短絡板とでの高周波の伝導損失による発熱が極めて高く、各部の変形の虞れがある。
【0040】そこで、本実施例では、図7に示すように、円筒状絶縁物サポータ13に巻回された螺旋状の内部導体11が中空に形成され、この内部導体11の中空空間が、冷却媒体を流通するための流路11aとして形成されている。また、図8に示すように、短絡板30の内部にも、冷却媒体を流通するための流路35が形成され、駆動シャフト34の内部にも、この流路35に連通し冷却媒体を流通するための流路36が形成されている。
【0041】このように構成されたスタブ30では、螺旋状の内部導体11と短絡板30での熱が効果的に除去されるため、各部の変形が抑制され、MWを超える大電力の連続運転での使用が可能になる。
【0042】次に、図9は、本発明の第3実施例に係るスタブの模式的断面図である。本実施例では、外部導体12の一端に、テフロン等の絶縁物から形成されたサポータ41が設けられていると共に、このサポータ41に、フランジ42が設けられている。一方、外部導体12の他端に、軸受板43が設けられている。
【0043】サポータ41には、軸受44が設けられ、この軸受44に、回転軸45が回転自在に支持されている。この軸受44には、回転軸45に接触する接触子46が設けられている一方、軸受44の外側には、コネクタ47が設けられている。外部導体12の他端の軸受板43には、ベアリング49を介して回転軸48が回転自在に支持されている。これら回転軸45及び回転軸48には、螺旋状の内部導体11が連結されている。内部導体11及び外部導体12に摺動して接触する短絡板30が設けられている。この短絡板30の内側接触子31は、螺旋状の内部導体11の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されている。
【0044】このように構成されているため、回転軸48が回動されると、内部導体11の螺旋各線に係合する内側接触子31の短絡板30が軸方向に移動される。これにより、駆動シャフト等の外部的な駆動機構が不要にされ、スタブ20の駆動機構が簡易化され、また、スタブ20の全体の構造も小型化される。
【0045】なお、本発明は、上述した実施例に限定されないのは勿論であり、種々変形可能である。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る伝送線路では、位相速度が遅延され、高周波の遅延効果が実現される。同時に、内部導体と外部導体との間の空間には、誘電体等が充填されていないため、内部導体が比較的多量の熱を発生したとしても、この未充填の空間により内部導体の放熱が効率的に行われる。従って、内部導体の放熱の容易化を図りながら、同時に高周波の遅延効果を実現できる。
【0047】また、請求項2に係る伝送線路では、導体が撓むといったことが効果的に防止されて確実に支持され、これにより、高周波特性を一定に維持することができる。
【0048】さらに、請求項3に係るスタブでは、インピーダンス整合に必要な長さが短くされ、また、短絡板の移動距離も短くされ、その結果、スタブ全体が小型化され軽量化されることができる。
【0049】さらに、請求項4に係るスタブでは、内側接触子及び外側接触子が各々内部導体及び外部導体に接触しながら摺動され、高周波の遅延効果によりインピーダンス整合に必要な長さが短くされ、スタブ全体が小型化され軽量化される。
【0050】さらに、請求項5に係るスタブでは、内部導体と短絡板での熱が効果的に除去されるため、各部の変形が抑制され、MWを超える大電力の連続運転での使用が可能になる。
【0051】さらに、請求項6及び請求項7に係るスタブでは、螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、短絡板が軸方向に移動される。これにより、駆動シャフト等の外部的な駆動機構が不要にされ、スタブの駆動機構が簡易化され、また、スタブの全体の構造も小型化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る伝送線路の模式的断面図。
【図2】図1に示す伝送線路の原理を説明するための図。
【図3】本発明の第2実施例に係る伝送線路の模式的断面図。
【図4】本発明の第3実施例に係る伝送線路の部分切欠斜視図。
【図5】本発明の第1実施例に係るスタブの模式的断面図。
【図6】図5に示すスタブに装着される短絡板の斜視図。
【図7】本発明の第2実施例に係るスタブの模式的斜視図。
【図8】図7に示すスタブに装着される短絡板の模式的断面図。
【図9】本発明の第3実施例に係るスタブの模式的断面図。
【図10】従来に係る伝送線路の模式的斜視図。
【図11】従来に係る遅延線の模式的断面図。
【符号の説明】
10 伝送線路
11 内部導体
11a 流路
12 外部導体
13 円筒状絶縁物サポータ(絶縁物サポータ)
20 スタブ
30 短絡板
31 内側接触子
32 外側接触子
35 流路
36 流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】内径側に径の小さい内部導体が設けられ、これの外径側に同軸状に、径の大きい外部導体が設けらている伝送線路において、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されていることを特徴とする伝送線路。
【請求項2】螺旋状に形成された一方の導体が、筒状の絶縁物サポータに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路。
【請求項3】請求項1又は2に記載の伝送線路であって内部導体が螺旋状に形成されている伝送線路に接続されるスタブにおいて、螺旋状に形成された径の小さい内部導体と、これの外径側に同軸的に設けられた径の大きい外部導体と、これら内部導体及び外部導体に各々摺動して接触する内側接触子及び外側接触子を有する短絡板と、を具備することを特徴とするスタブ。
【請求項4】上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスタブ。
【請求項5】上記螺旋状内部導体の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられ、又は、上記短絡板の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のスタブ。
【請求項6】上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスタブ。
【請求項7】上記螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、これにより、短絡板が軸方向に移動されることを特徴とする請求項6に記載のスタブ。
【請求項1】内径側に径の小さい内部導体が設けられ、これの外径側に同軸状に、径の大きい外部導体が設けらている伝送線路において、内部導体と外部導体とのいずれか一方が螺旋状に形成されていることを特徴とする伝送線路。
【請求項2】螺旋状に形成された一方の導体が、筒状の絶縁物サポータに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路。
【請求項3】請求項1又は2に記載の伝送線路であって内部導体が螺旋状に形成されている伝送線路に接続されるスタブにおいて、螺旋状に形成された径の小さい内部導体と、これの外径側に同軸的に設けられた径の大きい外部導体と、これら内部導体及び外部導体に各々摺動して接触する内側接触子及び外側接触子を有する短絡板と、を具備することを特徴とするスタブ。
【請求項4】上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋形状全体を包持して接触するように、内筒状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスタブ。
【請求項5】上記螺旋状内部導体の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられ、又は、上記短絡板の内部に、冷却媒体を流通するための流路が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のスタブ。
【請求項6】上記短絡板の内側接触子は、螺旋状内部導体の螺旋各線が貫通して通挿するように傾斜した内筒状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスタブ。
【請求項7】上記螺旋状内部導体がその中心軸回りに回動され、これにより、短絡板が軸方向に移動されることを特徴とする請求項6に記載のスタブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図7】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図7】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開平8−98353
【公開日】平成8年(1996)4月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−235598
【出願日】平成6年(1994)9月29日
【出願人】(000004097)日本原子力研究所 (55)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成8年(1996)4月12日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)9月29日
【出願人】(000004097)日本原子力研究所 (55)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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